:dishonored
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褐望のアロザール
お名前:
「いつだって君は遅いんだなぁ、12番」 --
2014-06-27 (金) 22:44:01
嘲笑うような。否。嘲笑う声が耳に届く。 --
2014-06-27 (金) 22:44:41
慣れたもの。けれど、悔しさがないわけではない。
そっと、目を伏せた。 --
2014-06-27 (金) 22:45:22
「化け物を殺すのは得意なのに。人を助けるのは全然ダメだ。ダメダメだね」 --
2014-06-27 (金) 22:45:51
無意識のうちに、眉間に皺が寄る。
服の布地に染み込んだ化け物の血の匂いが、なぜだかやたらと鼻についた。 --
2014-06-27 (金) 22:47:22
「けど、いいよ。いいんだ。それを許そう。だって、それが君の価値。おしごとなんだから」 --
2014-06-27 (金) 22:48:06
口でゆっくりと息をする。喉の奥に鉄錆の香り。 --
2014-06-27 (金) 23:06:20
「さぁ、12番。出て行っていいよ。また、今度」 --
2014-06-27 (金) 23:06:54
ついていた膝を地面から離し、立ち上がった。声の主に背を向ける。 --
2014-06-27 (金) 23:07:26
「あぁ、可哀想な犠牲者。生まれ変わったら、もっと上手に生きられますように」 --
2014-06-27 (金) 23:07:51
閉じていた瞳を開いて。部屋を後に。 --
2014-06-27 (金) 23:08:18
最新の1件を表示しています。
コメントページを参照
「いつだって君は遅いんだなぁ、12番」 --
2014-06-27 (金) 22:44:01
嘲笑うような。否。嘲笑う声が耳に届く。 --
2014-06-27 (金) 22:44:41
慣れたもの。けれど、悔しさがないわけではない。
そっと、目を伏せた。 --
2014-06-27 (金) 22:45:22
「化け物を殺すのは得意なのに。人を助けるのは全然ダメだ。ダメダメだね」 --
2014-06-27 (金) 22:45:51
無意識のうちに、眉間に皺が寄る。
服の布地に染み込んだ化け物の血の匂いが、なぜだかやたらと鼻についた。 --
2014-06-27 (金) 22:47:22
「けど、いいよ。いいんだ。それを許そう。だって、それが君の価値。おしごとなんだから」 --
2014-06-27 (金) 22:48:06
口でゆっくりと息をする。喉の奥に鉄錆の香り。 --
2014-06-27 (金) 23:06:20
「さぁ、12番。出て行っていいよ。また、今度」 --
2014-06-27 (金) 23:06:54
ついていた膝を地面から離し、立ち上がった。声の主に背を向ける。 --
2014-06-27 (金) 23:07:26
「あぁ、可哀想な犠牲者。生まれ変わったら、もっと上手に生きられますように」 --
2014-06-27 (金) 23:07:51
閉じていた瞳を開いて。部屋を後に。 --
2014-06-27 (金) 23:08:18
はためく布地の音が、耳につく。
わざとらしくゆったりとした服の端々が、風に揺らされて音を立てる。 --
2014-06-27 (金) 22:35:43
耳をふさぐことなんて出来やしない。風を避ける事だって、出来やしない。 --
2014-06-27 (金) 22:36:17
眼下。仄明かり灯す家々。僕は今空にいる。 --
2014-06-27 (金) 22:36:57
目的に向けて。最短の距離を、最速で。 --
2014-06-27 (金) 22:37:28
最短。街を走るよりも、屋根屋根を超えるよりも。 --
2014-06-27 (金) 22:37:45
最速。既に馬よりも早く。 --
2014-06-27 (金) 22:39:39
目的。それは、あぁ。 --
2014-06-27 (金) 22:39:52
窓を破って飛び込んだ中。またしても人が死に、化け物はそこにいた。 --
2014-06-27 (金) 22:41:31
自分の髪の色が嫌いだった。 --
2014-06-27 (金) 22:22:46
理由を聞かれれば、きっと他人からはどうでもいい中身。
夕刻。日暮れの中。子供らが家に帰る時間の空と同じ色をしているからだ。 --
2014-06-27 (金) 22:23:56
それでも染めたりはしなかった。それはきっと、意地だ。
帰る家がない己にとって、親の迎えに来る子らを見ることに何も感じていないと。
そういうことに、したかったからだ。 --
2014-06-27 (金) 22:24:57
それこそどうでもいい話。そうであろうし、そうあるべきだ。 --
2014-06-27 (金) 22:25:46
そういう意味では。この恰好は、否が応でも、己を惨めにする。 --
2014-06-27 (金) 22:27:50
髪の色すら判らぬ程。眼のみを残して、布に包んだ姿。
仕事服。仕事。殺し。人ではなく、化け物を。 --
2014-06-27 (金) 22:28:44
12番。11番までは皆死んだから。だから僕は、
12番めの男
(
ガイ・トゥエルブ
)
だ。 --
2014-06-27 (金) 22:30:03
褐望のアロザール --
2014-05-07 (水) 22:39:48
歯を食い縛る。
歯列の隙間から漏れだす呼吸は、今にも叫びへと変わりそうで。
それを押し留めるのは、両の肩に触れた、二つの手があるからだ。
「さぁ、行きましょう」
左後ろから、囁きかける声が聞こえる。
「今がきっと、その時だから」
右後ろから、囁きかける声が聞こえる。
己を後押す声が聴こえる。
「貴方だから」
「貴方にしか」
だから俺は、僕は。
両掌の中に、力を籠めて。
「私達を、燃やして」
今。別れを―――――― --
2014-05-07 (水) 22:38:41
Last-modified: 2014-06-27 Fri 23:08:18 JST (3593d)