IAL/1124
- てすてす -- フラプティナ
- Prologue
雪吹き荒ぶ白夜の大地 禍々しき気配を放つ黄金の剣を抱き倒れ伏す者あり --
- (嗚呼……我が主よ……どうか、お許しを……この邪剣を、人跡未踏の、誰も触れ得ぬ地へ捨て去る役目……全う、出来そうにありませぬ)
その者の五感は既にその殆どが失われ、最早自分の体がどうなっているのかも分からなくなっていた。 肌を裂くような風の冷たさも、乾いた空気に混じる匂いも、抱いている筈の剣の鞘の感触も、明るいはずの空さえも暗く。 それ故に、その体が持ち上げられ、どこかへ運ばれようとしていることにも気が付きはしなかった。 --
- その者が次に瞼を開くと、目に入ってきたのは突き刺すような明るい白い空ではなかった。黒みがかった茶色の岩肌に、時折灯りが揺らめいている。
驚き身を起こさんと身動ぎすれば、予想に反し地面は柔らかく沈み込む。合わせて微かに軋んで、突いた手元を見れば白い布。 更に手をよくよく見れば包帯が巻かれている。どこの誰かは知らぬが、あの雪原からわざわざ運び込んで手当をした者が居るというのか。 --
- 洞窟めいた場所に、しかしかなり上等なベッド。理由の分からない状況に混乱しつつ、漸くかの邪剣の存在を思い出して探し……かけた所で、指が当たった。先に見なかった方の手元に置かれている。
安堵も束の間、現状を顧みると全く以て飲み込み難いとしか言いようがない。知られている限り最も北にある村を発って恐らく数日、人跡未踏の地へ只管歩を進めた。 誰かが住んでいるなど聞いたことはない。生命の存在を拒む領域、居るのは精霊や竜ばかり……いずれにせよ人をこの様に丁重に扱うような者ではない。と…… 「目が、覚めましたか」 凛と、通る声。その声の方へ目を向ければ、そこにいたのは少女であった。白い肌、緑の目。髪は黒く……髪よりも尚黒い角をその頭に頂いていた。 --
- 竜か、竜に類する存在である証拠だ。やはり話の通りであったか、と自然と身を守る様に、先程指に触れた邪剣の柄を握っていた。
「落ち着いて下さい。此身に其方を害するつもりがあるのであれば、態々その様に手当などせぬはず……と、言いたい所ですが、竜とは人の子らの考えの及ばぬ存在……と思われているでしょう」 竜の少女はですが、と続ける。 「此身は以前、人の子らの……なんと言いましたか……人魔大戦?にて其方ら、善神の徒の側で……少々ばかり手を貸した事があります。故に、其方ら善神の徒との関わり方には多少心得があるのです」 --
- 黄金の柄を握る手が震え……次の瞬間、ぐぅと腹が鳴って力が抜けた。そう言えば村を発ってから殆ど何も口にしていない。そしてこの空間にはなんとも食欲を誘う香りが流れていた。
竜であると仄めかす少女の手には盆が乗り、その上には湯気を立てる何らかの料理の器が並んでいる。 少女はといえば腹の虫の鳴き声が届いたか、 「これを。口に合うかは分かりませんが、少なくとも毒は入っていません……温まりますよ」 そう言って笑みを浮かべた。そこに慈愛を見たのは己が弱っていたからばかりではないだろう、とその者は感じた。 --
- 五臓六腑にしみわたるとはこの事だろうか。供されたのはスープであったが、調理法自体はシンプルと予想されたが、どこで手に入れたのか豊富な食材が豊かな味を作り出していた。末期の食事はこのスープが良い、とさえ思えた。
その者はあっという間に平らげてしまうと、竜に対して先程の非礼を詫び、次いで命を救われた礼を述べた。 そしてそれから、訥々と自身が北を目指す理由を話し始めた。本来であれば誰にも秘めたまま、永久に閉ざされた凍土に消えるつもりであったのだが、この竜の少女を信頼に足る者と判断したのか、単に絆されたか。 ……あるいは、竜ならばなんとか出来るのではないかという淡い期待も手伝ったか。 一頻り話し終えると、一息ついて己の手にある黄金の剣を今一度見やった。宝石の類を一切用いず、施された彫金のみで荘厳ささえも感じさせる、宝剣。この一振りで帝都を守護する結界を生み出すとされていたが、実際は…… 「それ程禍々しき武具を見るのは久々です。大戦中には幾らか見ましたが……其方が処分に苦慮するのも頷けましょう」 ですが、と続く。 「此処より更に北へ向かい、そこへ捨てたとして……安全とは限らないでしょう。此身以外にも、竜や精霊がいます。仮にそれらに悪意が無くとも、『人の子らの許へ届けよう』等と考えればそれだけで水泡に帰すのですから」 確かに、それはそうかもしれない。だがそれならばどうすれば良いというのか。 --
- 「破壊するのは危険でしょう。その剣を罠として用いるつもりなのであれば、当然気付かれた時の対策も為されているはず。」
活きた火山へ捨てるという手も考えはしたが、使われている素材を考えればその程度で破壊されはしないだろう、と予想された。噴火でもして万が一再び世に放たれたら、目も当てられない。 己に課せられたのはこの邪な剣を主たるウィルハルトの、そして可能な限り未来永劫主の子々孫々に至るまで、手に至らせぬようにする事。 ……実際はそこまで言われてはいないのだが。『剣に魔術を付与する現場を監視し、主に害を成す物と判断した場合は秘密裏に持ち出す事』程度だったが。 己に魔術を多少なりとも見る目があって良かった。敵は反ウィルハルト勢力、などと生半可な存在ではなかったのだから。 --
- 「……そこで提案があります。その剣、此身に預けてみては?事情が事情ですから、其方が後々盗人として裁かれる事はないでしょう。ですが、失くした責には問われると予想されます」
預けたとて、遺失した事実は変わらないのでは……?とその者は思ったが、まだ竜の話には続きがありそうだ。 「ですので、此身、竜との戦いで喪失したとでもすれば、仕方の無かった事と考えて……は貰えませんか、ね……?」 正直、脇が甘々な気がするが他に妙案も思い浮かばず、その方向で進めることとなる。
そうして暫し熱りの覚めるまでこの地で竜とともに過ごし、然る後帝都へ戻り事の顛末を報告するということで纏まった。 --
- 「……は?今なんと?」
その者は己が耳を疑い、思わず聞き返した。聞き間違いでなければ、『その剣で此身を刺し貫いて下さい』と言った様に聞こえたのだ。 「確かに、その様に、言いました。その剣に付与された魔術を解析する為には此身に刺し、内に取り込むのが一番効率が良いのです」 母親が子に言い含めるように言い直した後、なんだか良く分からない理屈を並べてきた。何故そうなる。 いや、いや……確かに竜とは人知を超えた存在であるし、当人……当竜?が言うことなのだからその様になっているのだろうが、しかし。 「恩人……恩竜?に対して気が引ける、というのは分かります。ですがもしその剣の呪いが解けるなら、あるいは良き物に置き換えられるなら、それは佳いこと、でしょう?」 それは確かにそうかも知れないが、それなら自分が居ない時に適当に刺すのは駄目なのだろうか。 「偽証するにも真実味は少しでも多い方が良いでしょう。少なくとも竜たる此身に剣を刺してきたというのは本当になるのですから。」 「それに、気が咎めるというのは問題ありません。竜の姿の此身を見れば、きっとそのような気持ちは吹き飛ぶことでしょう」 共に暮らして暫く経つ。竜の奇矯な振る舞いには数え切れぬほど驚いたが、そろそろ慣れてきた所でこれだ。 その者は、竜がどのような姿であろうと気が咎めるのには変わりないと断言できるのだが、竜は全く取り合わない。 「折角、其方の在るべき場所へ戻ることが出来るのです。躊躇う理由がどこにあるのですか?」 何が『其方ら善神の徒との関わり方に多少の心得』だ。全く分かっていない。命を救われ、更にはしばらく共に暮らせばヒトというものは情が湧くのだ。 とそんな事を言ったら、 「此身は名誉や忠義というものには疎いのですが、愛や絆と比して軽んじて良い物では無いのではありませんか?其方は日頃事あるごとに口にしているというのに」 と、返される。全くご尤もではあるが、忠義と恩義は秤にかけられるものではない。その後もどうにか別の方法は取れないのかと粘ってみはしたが、竜は頑として首を縦に振らない。 「……ではこうしましょう。此身が帝都?とやらに行くことがあれば、案内を頼みたいと思います。流石にこれだけの魔術、一朝一夕では済まないとは思いますが……いずれ、必ず参りますので」 正直、交換条件には到底なり得ない。だがその者は泣く泣くそれを飲み、斯くして黒き竜に黄金の剣を突き立てるに至ったのであった --
- 邪剣が此身に突き刺さってから……体感どれくらい経ったか、分かりませんね。洞窟の中ですしね。
解析の結果、この邪なる剣に込められた魔術は『ウィルハルト並びにその血族が触れた場合、時間の流れから隔絶させる』という物のようです。 どうも、数百人単位の人の子らの魂を使って織り上げた呪術で、術式の元々の出所は時空神。どのような経緯で引き出された魔術かは分かりませんが……どのみち碌な物ではありません。まあ……解くには楽しい謎掛けのようではありますが。 ……おや、また人の子らが這々の体で来ましたね。そして此身の姿を確認するとすぐに帰ってしまいます。そういう仕事なんですかね…… --
- ──そして400年の時が流れた── --
- 隔絶の手法が問題でしたが……なんとかクリアです。これをこうして……こう。
パキンと術式の噛み合う音が響き、斯くして黒き竜は時の牢獄から解き放たれた。 「……しかし元の姿では少々、抵抗術の燃費が良くありませんし、帝都に顔を出せませんから……よいしょ、っと」 漆黒の巨大な体がみるみる折り畳まれ、人の形へと収められていく…… 「ンー…やはりまだ侵食しきれていない部分は残りますね。邪魔なので……誤魔化しましょうか」 乳あれ。竜は盛った。 「後はー…服ですねー…服。どれ程経ったかは知れませんが、着られますかね……?」 サイズを変えたので合わせるのに四苦八苦。帝都到着後に生活の為に持ち物を一部換金しようとしたら、偶々入った商館が邪剣を預けた者の子孫が経営していたりしたが、それはまたいずれ。 --
- 歩くたびに景色が変わっているみたいだ 恐ろしいことに、たぶん気のせいじゃないんだなこれが(ロケーション表ころころ) -- ベレグリエル
- ただいま(知らない人の部屋に迷い込んだ!)……あれ、鍵閉め忘れてた? -- ベレグリエル
- おかえりなさい(ただいまと挨拶されればそう返す。礼儀である)其方の家がどうかは存じませんが、此身は塒に鍵を掛ける習慣を持っておりません。
(とんでもない問題発言だが盗られるものはまず無いし、自分が一番のセキュリティなのでこうなるのは当然の事……いや、人が迷い込むのは当然ではない) ……時に確か……歴史の?教官?でいらっしゃいました、ね?(平然としているがよく見たら(よく見なくても)全裸の竜である) -- フラプティナ
- ああ、ええと………ただいま、今日も絶好のお出かけ日和だったよ 最近は季節がよくなってきた 帝都を歩くにはいい時分だ
(帝都にいくつか構えた棲家のひとつに戻ったつもりで、不在中に知らない人が住み着いていることも時々あってそういうアレかと解釈した) 私を教官と呼ぶってことは、君は私の生徒になるのか この秋から新しく入ってきた子かな(立派な体格に軽く目を見開いて)プライベートは裸で過ごすタイプ? -- ベレグリエル
- それは何よりでございました。此身もこの季節はゆるりと歩くのが好ましいと感じます……馬で遠乗りも佳いですね。
ええ、如何にも。実は以前学園内を拝見させて頂いたのですが、その折にお見掛けした方でしたので少々驚きました(という割にあまりにも平然としている。ちなみに教科については案内の教員に訊いたのだった) (目を見開く様子にもやはり特に気にした風もなく、柔らかく微笑んで)そうですね……どちらかと言えば、服を着ないで過ごす期間の方が長い位で。この方が楽なのは確かですが、お見苦しいようでしたら着替えてまいりましょうか? -- フラプティナ
- そうかい、エルフはあまり多くないから目立っていたのかもね そういう君も私の耳より立派なものを持っているじゃないか 一目見ただけで記憶に残る……
あっ、思い出してきたぞ すごい子が来るって話、聞かされたような気がする 私もこの秋に着任したばかりでね、ベレグリエルっていうんだ(物怖じせず握手を求める) 寒くないなら別にいい 来客が無いのをいいことに、年中裸で過ごしてるやつを知ってる あっちは長い髭を蓄えたおじさんで、そのまま外に出て捕まってしまった… -- ベレグリエル
- そうでしょうか?其方のそれとは比較にならないと感じますが(耳の話なので無害です)
帝都には人の子らが様々居りますれば、扱いの難しい者も居りましょう……せめて此身は御手を煩わす事は避けたいと思います。ベレグリエル、佳き名ですね……此身はフラプティナと申します。以後御見知り置きを。 (差し出された手をそっと、両手で包むように握って柔らかな笑みを深めた。これでイチコロだぜ!と知り合いから聞いているがイチコロが何かは知らない) それは何より……ふむ、捕まるというのは困りますね?留意致しませんと……其方にも少なからず迷惑の掛かる事でしょう(実の所、侍女にもちょっと言われることではあった) -- フラプティナ
- ベレグリエル、私たちの言葉で「強き心の娘」だ 悩み多き身には皮肉な名前になってしまっているけど、ありがとう 君のも素敵だと思う
フラプティナ、野に咲く花のように穏やかな響きだ 何ていう意味になるんだろう?(杖を抱えたまま考え始めて)やっぱり君が例の子か 滅多に人里に現れない古生物が向学心に目覚めたっていう…大きな生き物には窮屈に感じるかもしれないけど、好きなだけゆっくりしていくといい 家具の配置なんかも好きに変えて貰って構わないから(まだ自分の家だと思ってる)トラブルに見舞われた時には力になるよ それも師匠の役目のうちだ -- ベレグリエル
- (成程、竜の塒に迷い込んで動揺した様子が無いのは名にし負う所か、と理解しつつ)何も、悩みは弱さの証明とはなりませんでしょう?ですが、此身にお手伝い出来る事があれば何なりと。
此身の名は、以前住まう所であったこの国の北の方での言葉で黒曜石を指す言葉です。この尾や総身を覆う鱗を見た人の子らの付けた呼び名の一つで、とても気に入っている物です(尾はふりふりと、どこか上機嫌に揺れる) (どうもこの国では竜は少々特別な存在らしく、あちこちで何やら歓待されたり複雑な表情を浮かべられたりした物だが、教員間でも噂になっているようだ。見学の際に質問攻めにしたせいであろう……と話を聞きながら思う) 有り難うございます。窮屈とは思いません、人の子らの趣向が詰まっていて楽しいと思う程で。 (ははーん、さては買い手の付かなかったこの邸宅はこの教員の持ち物だったのですね?となにか得心の行った様子であるが、多分間違い)確かに人里に降りるのも久し振り(竜基準)ですから、喜んで頼らせて頂きましょう。 同じ様に、其方の手に負えぬ事であれば此身の力が役に立つこともありましょう。その時はよしなに(そうしてまたにこりと微笑む) -- フラプティナ
- なるほど、黒曜石の竜……ねえフラプティナ、何がきっかけになったのかわからないけど、君が興味を持ってくれたこと…人に学ぶと決めたことを、私は嬉しく思うんだ
何をするにも、まずお互いのことを知るところから始まるわけだから 君はこれからたくさんの人と関わりを持つことになる 今まで以上に、ずっと多くの人とね 私も人と関わることを決めて、かれこれ500年くらいになるかな 辛いこともたくさんあったけど、今はよかったと思ってる 500年後の君もそう思ってくれたらいいな ところで、間取りもちょっと変えたかい? 奥の部屋に箪笥みたいなのがなかった……?(記憶との不整合に怪訝な表情)まあいいか、身の回りのものは揃え直せばいいし どうぞごゆっくり、フラプティナ 遠慮なくくつろいでってよ 必要なものがあれば買い物に出てみようか よろしくね(時々寝に帰る場所のひとつに追加された!) -- ベレグリエル
- (思えば第一次人魔なんとかの頃にも人の子らと関わる事は多かれど、それぞれ余裕ある付き合いであったとは到底言えるものではなかった)
(瀬戸際に表れるものこそその者の本質であるという話もある。しかし神代の時代ならまだしも、人の子らを駒とする者達はもう居ない。現代の生活とは戦いの外にあるもの。であれば、平時の中にも本質があるのではないだろうか) (差し当たって、眼の前のベレグリエルは……好ましい人物と思えた。辛いことが多くあろうと、それでも良かったと言える者は正しく『強き心の娘』だ) いえ?配置にはそれ程拘りはありませんので、手を付けては……ええ、そちらこそごゆっくり……(それ本来此身のセリフですよね……?と事此処に至って漸く齟齬を覚えた) (……が、それ以上気にすることはなく)ええ、喜んでお供致しましょう。こちらこそ、よろしくお願いいたします(偶に特定の教員が出入りする謎の邸宅の完成である) -- フラプティナ
- (真に古きフラプティナならばその存在には既に気付いている事だろう、もしくはコレがヒトであった頃ですら知っているかも知れない)
(ゼイムのスラムで朽ちんとしていた命がある竜種の手により作り変えられたモノ、おぞましいと呼ぶべきほどに正負の可能性詰め込まれた怪物) (それが時計塔の屋根の上に居るフラプティナに会いに来たのだ、地面より一飛で)お初にっ!ボクはミオソティス!キミならボクの事はもう知ってると思うけどご挨拶に伺いました! (かの竜とも時折視線が合った事はあるかも知れない、人のシステムが取り零した命を拾い上げ眼前少女の子育てで会いに来る程の時間はなかったかも知れないが) -- ミオソティス
- (眺望の良好な場所から人の子らの営みを睥睨している……という訳ではなく、胸の黄金の柄に魔術的に圧を掛けるのに邪魔が入りづらいから居るだけなのだ)
(裏を返せば通常声を掛けてくる者が居ないということでもあり、まして目線の合うなど正しく珍事であった。黒曜の竜はそんな闖入者を一目見るなり、ふっと目を細め微笑んだ) (懐かしき者の気配を悟ってか、或いはその者の寵愛を一身に受けた者であるが故か、もしくは可愛らしかったからか──) (または単に、己の存在を全世界に知らしめんとするような極彩色に目がびっくりしたか、のどれか……全部かも知れない) 初めまして。此身はフラプティナ……其方こそ、此身の事をある程度知っているようですね? -- フラプティナ
- (二人並べば当に大人と子どもと呼ぶべき程にある身長差だ、実際は時も加味すれば大人と赤子とすらも言えない程の差はあるが)
(そしてそれを裏付けるように少女は笑みをフラプティナへ向ける、神話以前の竜同士であれば殺し合いのサインでしかないが…) ほんとーにある程度ね!キミが彼と同じぐらいに古くてヒトを見るのが好きな竜で何故か力が封印されてるって事ぐらいだ! (どうやら「こんにちは!死ね!」の流儀ではないらしい)ボクはこの学園に完全な存在とは何かを学びに来たんだ、キミって完全な存在ってなんだと思う? -- ミオソティス
- (この場に時代の流れに染まぬ古き竜が居れば、フラプティナの笑みを見て『随分と人の子らに毒されたものだ』と嘲笑っただろう)
(古き者同士の流儀など知らぬ相手と付き合う方が余程多くなったのを毒された、と表現するのならば果たしてそうなのかも知れないが) (ミオソティスがそのつもりで来ていたのならば応えることもしただろうが、そうではないというのは、下からこちらを見ている時にはもう分かっていたことだ) ふふ、良くご存知で。彼の竜は……案外耳聡いのですね?(冗談めかして笑う様は人の子と変わりないように見える) (問われ、ふと考える)完全な存在、というのはどの程度のものを指すのかにもよるでしょう。完全とは単一の意味しかないはずなのに、不思議ですね? 例えば生物として、何もかも一切他の何かに頼らず生きていける物だとします。しかしそれは人の子らの目には、社会性を喪失した存在と映るでしょう。 また、人の子らの学生という観点から完璧な人間を仮定すると、眉目秀麗、文武両道……いろいろな要素を持ち合わせた者、と言われますね(なにかの読み過ぎかも知れない) ……やや話が逸れましたか。いずれにせよ、何もかもを持っていて、他者を必要としない者は……孤独でしょう。此身は……その様になりたいとは思えませんね…… -- フラプティナ
- (自身の育ての親が褒められれば本当に嬉しそうな笑みを浮かべるが…)あっでもキミについてはボクなりの目と耳さ!
彼ならもっともーっと良く見えるし良く聞こえるからね!そこはもっとボクも鍛えたいんだけどねーこればっかりは修行あるのみさ (修行、竜混じりが口にするには奇妙な事を言う。アレが作り出したのならば生まれついての強大な種だと考えるのが当たり前と言えるだろうに) ふんふん、流石に始まりの一匹が言うと説得力がある…彼も時々そんな事は言ってたねーオレ達はあまりにも強く完璧すぎたって でも同じぐらい言うんだよね、あの御方こそのみが真に完全な存在だったって。そういう意味だとキミの目から見た創造主はどうだったのかな? 完全じゃなかった?だって他の竜を想って命を掛ける様な神様だもんね(それは竜が口にするにはあまりに不敬な言葉だ、だが永く生きる果てに竜の誰もが考える事だろう…祖は完全であったか、何故完全であったのか) -- ミオソティス
- (修業が必要、と当人が言うのだからそうなのだろう。それはつまり成長の余地を持たせている、不完全であるということだ)
(そして足りないなりに良く考える。下手の考えなんとやらと言うが、それは素地となる物を持たない者を指す言葉に過ぎない。彼の竜は良く教え育てたものだ、と内心に深く感嘆する) (そうした背景があればこそ、不敬だとは感じない。今はまだ最初に教え込まれた知識の上で考えているに過ぎず、つまりは彼の竜のずっと考えていたことであり──) (自分も偶に考えることであった)先程は完全な者というのは他者を必要としない、と定義しましたが……そうして考えれば我らが慈母は、完全ではないのかも知れません。 其方の言うように他者を想う存在であった。それは自分以外が居なければ成り立たぬ行為です(そうでなければ今も慈母は失われず在っただろう。しかしそれは同時に此身や神、人の子らの存在しえぬ世界だったのだ、と考える) (それは何故か)……完全な存在、というのは他の見方をすれば永久に変わらぬものです……が、それは存在の袋小路とでも言いましょうか、それ以上悪くも良くもならない。 逆説的に、不完全であれば完全を目指し続けることが出来る……我らが慈母は、不完全であるがゆえに完全であった、と……か?(自分で言っていて禅問答のように感じてつい疑問形になった) -- フラプティナ
- (フラプティナの目からすればある種合理性の塊にすら見えるだろう、あの竜は計算尽くでこの不完全さを作り上げている)
(だが同時にだからこそ理解の出来ない世界にこの少女は放たれたのだ、何かを乗り越えるだけの成長を願われて) ほほお…やっぱり彼と似た事を言うんだね、彼はそれをあの御方の無限性…愛があるから自分とは違うと言っていたんだ 愛とは不完全で同時に恐ろしい力を持つものだって、でもボクは彼にもその愛はあると思うけどね…彼に無いのは実感なんだと思うのに うんでも当時を知るキミからそれを聞けたのは大収穫だ!ついでに言えばキミも愛があるように見える!あはははは! よし!じゃあ挨拶もそこそこに!またね!(ポンと跳ねればそのまま地に落ちつつ手を振る) -- ミオソティス
- まあ……一人で黙々と考えているとどうしても、その辺りに着地するのでしょう(しかし愛とは。此身よりも余程ロマンティストに思える)
(そして何よりそのロマンに満ちた愛をきちんと注ぎ、未だ青かれど結実に導いている)ふふ、それには同感です。まあ……実感を得たとしても照れて認めない気も、しないでもないですが。 (果たして、自分の場合はどうだろうか。未だ昔受けた物を模倣しているに過ぎないとも思う。何事も模倣から始まるのならば、まだ入口に立った所なのだろう) ……それは重畳でした。授業で会うこともありましょう、共に楽しんで勉学に励みましょうね(ひらひらと手を振り返すと、飛び降り、そして駆け去る姿を暫し眺めた) (すわ飛び降りか!?と上がった悲鳴は聞かなかったことにした) -- フラプティナ
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- ここにいると、服を着ているのがなんだか申し訳なくなってくるな………(書き物をしていたのが出てきて、伸びをしている)私も脱いだ方がいい? -- ベレグリエル
- 奇遇ですね……此身は服を着た方が良いのではないかと考えていた所です(侍女に言ってみたら『郷に入っては郷に従えと申しますし、むしろお仕事が増えるのは嬉しい方ですが……』と何やら微妙な顔をしていたという)
しかしそうですね……ええ、此身の造形には自信がありますが、美しきものはいくら見ても飽くことはないでしょう(やや持って回った言い方な辺りに仄かな遠慮が見えるが、そもそもその仕方が間違い) -- フラプティナ
- 身もふたもないことを言うと、下着くらいはつけていた方が汚れが少なくて済むだろうね 君も女の子なら、あるでしょそういうの(汗もかいたりするし、と付け加え)
ふふっ、不思議な言い回しをするんだね 綺麗だからもっと見てほしい、って言ったの? たしかに見ごたえは十分だけど……(ものすごいところから突き出た剣の柄に目がいく) -- ベレグリエル
- ありませんよ(ありませんよ)概ねの形は人の子らと同じ様に整えてありますが、不要な器官は『今の所は』省いていますね。構成素材も元のままです。
勿論誰にでもという訳ではありませんが……って此身の話ではなくてですね……(視線を感じて何故かちょっと胸を張って……胸を見てるわけじゃないと気が付いて姿勢を正しつつ)もしやと思いますが……これをご存知で? -- フラプティナ
- それなら安心……いや待って、待ってフラプティナ 君は黒曜石の竜で、人に化けてて、使わなそうな部分は省いてる? 滅茶苦茶だな 逆に大変じゃないのそれ…
どうだろう 今じゃ儀式用の宝剣にさえ使われなくなった意匠だ(近づいて眺める)古びて見えないけど、そうとうな古物だろ ウィルがいた頃か、もっと前に造られたものだ しっかり刺さっちゃってるけど、痛くないのかい 昔誰かに殺されかけたとか? だとしても、ウィル以外の誰かだろうね こんなのを使ってるところは見たことがない -- ベレグリエル
- 人の子らにとって不可能とも思えるような技は、此身の力を示すには丁度良いでしょう?と言いたい所ですが、一見して気が付かないのではあまり意味がありませんね(困ったようにくすりと笑う)
その推測はほぼ正解ですが──逆説的に、つまりはご存知でないと(嘗てウィルハルトの近くに居た者でも知らないとなると、やはりこの方向では手詰まりか、と考える) この剣は──(斯々然々。竜曰く、建国宣言の際に使われるはずの、護国の象徴となるべき宝剣であった) (が、実際には反ウィルハルト・反帝国もしくは悪神の徒……或いはそれらを兼ねた者等によって、ウィルハルトを時の流れから隔絶させる魔術が掛けられていた) (疑念を抱いた初代皇帝の命により式典前に持ち出され、紆余曲折を経てフラプティナの許へ辿り着いた、という旨の話をした) ……詳細な解析の為、此身にそれを受ける必要があったのです。まあ、刺された時には多少痛みはしましたが今は大丈夫ですよ、有難う御座います。 -- フラプティナ
- あるべきものがない、というのは想定外の弊害を招く可能性がある 不自然なものは続かない 自然の摂理だ 揃えらえるものなら、きちんと揃えた方がいいと思うよ
ふむ………宝剣が汚染されていた? 知らなかったな セレモニーの準備はほとんど人任せにしていたから…そんなことがあったんだね あの時はあっちこっちから干渉があって、目が回りそうに急がしかった 失敗に終わることを望む人は星の数ほどいたからね 王国も随分えげつないことをした それで、厄ネタの後片付けが巡り巡って君のところに運び込まれて、事もあろうに引き受けちゃったのか 知らなかったとはいえ、申し訳ないことをした すまなかったね、フラプティナ とんだ迷惑をかけてしまって…(金色の宝剣の柄へと手を伸ばす)あいつの置き土産の始末は私の仕事だ これは必ずどうにかする -- ベレグリエル
- 此身が欲するか、必要となるか……その時に、と。どの道この学園に通う四年の後の事は決めてはおりませんし、仮にその期間だけの話であれば竜にとっては瞬き程の時間ですので。
恐らくそれが目的でしょう。これを用意する間、なるべく多くの者から目を逸らさせておく為……結果としては失敗に終わりましたし、よしんばその時上手く行ったとして、その後の算段が上手く行ったとも思えません。 (と、伸びて来た手を捕らえるとするりと指を絡め)……いけませんよ、不用意に触れては。その気持ちは嬉しく思いますが、彼の者達の想定する対象者は初代皇帝ばかりではありませんから。 事実、術に含まれる条件式には“血縁者”“関係者”と大雑把に指定してあります。人の子らにとって充分に長い時が過ぎたと考えていましたが、其方の様に未だ存命の関わりある者が居るとは思っても見ませんでした……考えが足りませんでした、ね。 それと……そもそも、今を以て尚、悪用を防ぐという目的は変わりませんので容易には抜けぬようにもなっているのです。 これこの様に(身を捩り、背の側を見せれば刃が突き出た様子は無い)此身を再構築する際、剣の掌握した部分を我が身として取り込んだのです。 -- フラプティナ
- 数多ばら撒かれた策謀のなれの果てでも、君にとっては今現在の問題だ 私にとってもね かわいいかわいい私の弟子が苦しめられてる 見過ごせるものじゃない
ん(正面から手をつないだみたいに指が絡まった)関係者って、私もかい? 血縁者じゃないならいいかと思ったのに……存命の者は私だけかもね 人はすぐに死んでしまうから とはいえ、帝国が敗けたあとの戦後処理より大変な仕事なんかないさ(押しとどめるような手を引いて)滅びた国が元通りになるまで、付きっきりで見ていたんだぞ私は 汚染を除く、可能であれば反転する…君の心臓を炉心に使えば、魔力の多寡は問題にならないはずだ エルフ領にいる若いのに、器物の解呪に詳しいやつがいる 調べてみるから、分かっていることを教えてほしい 私は君の師匠だからな 弟子の苦しみを除くのも務めのうちだ -- ベレグリエル
- (人の子らの記した歴史書を紐解けば、暴力に依る主義の主張とはより多くを巻き込み大きな悲劇とするのを是とする物のようだ、と知った)
(大雑把な範囲指定はそれを狙ってのことだろうが、範囲が広すぎて機能するかはやや疑わしい所がある。それでも、試してみようとさえ思わないのがこの竜であった) (手を引かれる、とはなんと心躍るものだろうか。暇な時間に読み耽った物語でも佳い場面で行われるそれはなんとも楽しげであった……今はそういう場合でもない気がするが) (やや逸れた思考を引き戻す。実の所、時間を掛ければこの術を除く力はある。その代わりあまり急いでもいないので、終わった頃には人の世は終わっているかも知れないが) (であれば、人の子らに甘えてみるのもアリのように思えた。ベレグリエルの斯様に背負い込む所は少々、心配にならないでもないが)……では、力を借りましょう。 とはいえ、背景情報は先程申し上げた通り。追加出来そうな情報は……時の神が関わっていると思われる辺りでしょうか。 時の流れは絶対不変。故に多くの者がその名さえも知らない……善も悪もありませんし、実存も疑わしい所ですが……時間の流れから隔絶させるなど、人の子らのみでは成し得ないでしょう。 -- フラプティナ
- (フラプティナの表情に何かを察して)わざわざ他人の世話を焼いて、余計な苦労を買って出るのが不思議に思えたかい それはフラプティナだって同じことだろ
君がことを収めてくれたおかげで今があるなら、帝国の人みんなが君を助けなきゃならない ましてや君は私の弟子だ これくらいの面倒は当たり前に見るとも それに何より、ウィルならそうした 借りを作ったままにするようなやつじゃなかった 彼がしたくてもできないことを、私が代わりにするだけだ しかし、時の神…”未知なる諸神”とは大きく出たな 呪詛の域を超えてるよそれは たった一度の仕掛けのために、どれだけ大掛かりな仕込みをしたのか…… 君のおかげで当てが外れて、さぞかしガッカリしたことだろうね(シリアスな雰囲気を締めくくるように笑い、つながれた手をにぎにぎとして) まずは事情を知っていそうな人に、話を聞いたりしてみようか ウィルの仕事はいつもそこから始まるんだよ、フラプティナ(小休止を終え、仕事に戻っていった) -- ベレグリエル
- 此身のこれは好きでやっていることですのに……と、きっとそれもまた同じ様に仰るのでしょうね。
(好ましい心掛けではあるが。一方で、死した者ならこうしたであろう、という考えはある種の呪いのようにも思えた。とはいえそれは此身にも言えること……我らが慈母の事を想わぬ日はないのだから) 善悪に関わらず、何ら負う物も無いマクマクとは異なり、触れてはならぬ物を司るが故に名さえ知られぬ神です。無論、彼の物らとて直接力を引き出せた訳では無いでしょうが…… ふふ、そうですね。表情を見られなかったのが残念でなりません(真似るようににぎにぎと返して微笑む) おや、英傑として名に聞く者も、初めは地道に始めるのですね(是非そう致しましょうと返すと、やや名残惜し気に解かれた手を見送った) -- フラプティナ
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