フィーネの日記
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*フィーネの日記より抜粋 [#b47075a3] :9月6日 晴れ| そろそろ学園生活が始まる。~ ガス爺さんがボクに学べと言った理由を少し理解してきた。~ 素人の上、知識もなかったら経営なんて出来やしない。~ そういうシンプルな理由だ。&br;~ でもボクにできるだろうか。店を守り、いつか来る終わりまで生き抜くことが。~ :9月12日 曇り| 新入生歓迎会に出た。~ でも、モニカ先輩と少し話したくらいだった。~ 彼女に少し話したけど、ボクは人と違うらしい。~ その事実が臆病な子兎のようにボクの足を竦めさせてしまう。&br;~ カウンターの向こうにいる時は。自分の心を&ruby(よろ){鎧};っている時は。~ 平気なのに。&br;~ 残りエネルギーは8日と20時間。ヴィルトゥスはまだ発掘された報告はない。~ :9月17日 晴れ| ヴィルトゥスが発掘されたらしい。~ 早速、買い取りの交渉に行く。~ 特に問題なく買い取れたことはボクにとって僥倖だ。~ 10万ガリオンかかったけれど、いつもと同じ程度の値段と言えるだろう。&br;~ 何もかも順調に進んでも、ボクの命は最大で二年程度。でも……~ 残りエネルギーは32日と8時間。まだ、生きていられる。~ :10月3日 雨| ベレグリエル師匠に言われたことを思い出す。~ ボクの短命は本当に運命なのだろうか。~ もしかしたら、ずっとずっとヴィルトゥスが発掘され続けるかも知れない。~ ひょっとしたら、ヴィルトゥスに代わる代替エネルギーが見つかるかも知れない。&br;~ そんな希望的な妄想が、実現しないであろうことも何故か実感としてある。~ 残りエネルギーは16日と20時間。そろそろ“次”の心配をしなくちゃ。~ :10月15日 雨| 冷たい雨が降る日だ。~ あの店の裏に時々来る白猫は凍えていたりしないだろうか。~ ……そもそもボクが動物を飼っても、動物より先にいなくなるという理由で~ あの白猫に名前もつけずに餌だけ与えているのだけれど。&br;~ それは正しいのだろうか。ボクにはわからない。~ 残りエネルギーは4日と8時間。次のヴィルトゥスはまだ見つかっていない。~ :10月18日 晴れのち曇り| ヴィルトゥスが発掘された。ギリギリ間に合った、というわけだ。~ ボクは今日も生きていられる。ボクは今日も動いていられる。~ そして買い取りもスムーズに済んで、10万ガリオンの出費。~ ガムシャラに生きて、生きて、生き尽くして。~ 根限り生きてどうしようもなくなったら。&br;~ 爺さん。ちゃんと笑顔で迎えてくれよな。&br;~ 残りエネルギーは31日と19時間。ボクの人生に執行猶予。~ :11月7日 晴れのち曇り| 最近、友情というものを強く意識するようになった。~ ヒトと違うボクにも友達が持てるのであれば。~ これ以上ないもののように思う。~ 刺激的な炭酸水が飲めなくても、芳醇な果実の味がわからなくても。~ ヒトとヒトの&ruby(あわい){間};にあるものを意識することで、~ 強く前に出ることができるのだ。&br;~ 残りエネルギーは11日と2時間。少し心許ないか。~ :11月22日 雪| 今日は二つ、書くことがある。~ ヴィルトゥスが見つかったことだ。~ あまり状態は良くなかったけど、十分に稼働する。~ これでまた生き延びることができる。&br;~ そしてもう一つ。~ 店の裏に来ていた白い猫が死んだ。~ 誰かに河川敷で殺されていたんだ。~ どうしてと思うことすら虚しい。&br;~ 残りエネルギーは23日と15時間。~ 古いヴィルトゥスは稼働時間こそ短いものの正常に稼働している。~ :12月14日 雪| レッドドラゴンの腹を食い破って生まれてきた白い龍。~ 彼は生まれながらに異世界の悪龍の因子を植え付けられた存在だった。~ 絶対を喰らう悪龍の権能にボクは種族を喰われ、~ ボクは人間になってしまった。&br;~ これでいいのだろうか。~ ボクは……人間として生きていいのだろうか。~ :12月23日 雪| 今日も雪は降り続く。~ ボクたちは連日の龍を巡る冒険の中で、~ 様々な答えを見つけたように思う。~ ボクも自由の意味、少しだけ見つかった気がする。&br;~ 遅いかな。でも、今なら。ガス爺さんの気持ちが少しだけ分かる。~
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[[モドル>IAL/0001]] *フィーネの日記より抜粋 [#b47075a3] :9月6日 晴れ| そろそろ学園生活が始まる。~ ガス爺さんがボクに学べと言った理由を少し理解してきた。~ 素人の上、知識もなかったら経営なんて出来やしない。~ そういうシンプルな理由だ。&br;~ でもボクにできるだろうか。店を守り、いつか来る終わりまで生き抜くことが。~ :9月12日 曇り| 新入生歓迎会に出た。~ でも、モニカ先輩と少し話したくらいだった。~ 彼女に少し話したけど、ボクは人と違うらしい。~ その事実が臆病な子兎のようにボクの足を竦めさせてしまう。&br;~ カウンターの向こうにいる時は。自分の心を&ruby(よろ){鎧};っている時は。~ 平気なのに。&br;~ 残りエネルギーは8日と20時間。ヴィルトゥスはまだ発掘された報告はない。~ :9月17日 晴れ| ヴィルトゥスが発掘されたらしい。~ 早速、買い取りの交渉に行く。~ 特に問題なく買い取れたことはボクにとって僥倖だ。~ 10万ガリオンかかったけれど、いつもと同じ程度の値段と言えるだろう。&br;~ 何もかも順調に進んでも、ボクの命は最大で二年程度。でも……~ 残りエネルギーは32日と8時間。まだ、生きていられる。~ :10月3日 雨| ベレグリエル師匠に言われたことを思い出す。~ ボクの短命は本当に運命なのだろうか。~ もしかしたら、ずっとずっとヴィルトゥスが発掘され続けるかも知れない。~ ひょっとしたら、ヴィルトゥスに代わる代替エネルギーが見つかるかも知れない。&br;~ そんな希望的な妄想が、実現しないであろうことも何故か実感としてある。~ 残りエネルギーは16日と20時間。そろそろ“次”の心配をしなくちゃ。~ :10月15日 雨| 冷たい雨が降る日だ。~ あの店の裏に時々来る白猫は凍えていたりしないだろうか。~ ……そもそもボクが動物を飼っても、動物より先にいなくなるという理由で~ あの白猫に名前もつけずに餌だけ与えているのだけれど。&br;~ それは正しいのだろうか。ボクにはわからない。~ 残りエネルギーは4日と8時間。次のヴィルトゥスはまだ見つかっていない。~ :10月18日 晴れのち曇り| ヴィルトゥスが発掘された。ギリギリ間に合った、というわけだ。~ ボクは今日も生きていられる。ボクは今日も動いていられる。~ そして買い取りもスムーズに済んで、10万ガリオンの出費。~ ガムシャラに生きて、生きて、生き尽くして。~ 根限り生きてどうしようもなくなったら。&br;~ 爺さん。ちゃんと笑顔で迎えてくれよな。&br;~ 残りエネルギーは31日と19時間。ボクの人生に執行猶予。~ :11月7日 晴れのち曇り| 最近、友情というものを強く意識するようになった。~ ヒトと違うボクにも友達が持てるのであれば。~ これ以上ないもののように思う。~ 刺激的な炭酸水が飲めなくても、芳醇な果実の味がわからなくても。~ ヒトとヒトの&ruby(あわい){間};にあるものを意識することで、~ 強く前に出ることができるのだ。&br;~ 残りエネルギーは11日と2時間。少し心許ないか。~ :11月22日 雪| 今日は二つ、書くことがある。~ ヴィルトゥスが見つかったことだ。~ あまり状態は良くなかったけど、十分に稼働する。~ これでまた生き延びることができる。&br;~ そしてもう一つ。~ 店の裏に来ていた白い猫が死んだ。~ 誰かに河川敷で殺されていたんだ。~ どうしてと思うことすら虚しい。&br;~ 残りエネルギーは23日と15時間。~ 古いヴィルトゥスは稼働時間こそ短いものの正常に稼働している。~ :12月14日 雪| レッドドラゴンの腹を食い破って生まれてきた白い龍。~ 彼は生まれながらに異世界の悪龍の因子を植え付けられた存在だった。~ 絶対を喰らう悪龍の権能にボクは種族を喰われ、~ ボクは人間になってしまった。&br;~ これでいいのだろうか。~ ボクは……人間として生きていいのだろうか。~ :12月23日 雪| 今日も雪は降り続く。~ ボクたちは連日の龍を巡る冒険の中で、~ 様々な答えを見つけたように思う。~ ボクも自由の意味、少しだけ見つかった気がする。&br;~ 遅いかな。でも、今なら。ガス爺さんの気持ちが少しだけ分かる。~
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