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92年6月 Edit

手間をかけさせられた割には実入りの無い仕事であった
この調子で冒険者を続けて行っても果たして立ち行くものか
あるいは次の方策を練らねばなるまい

梅雨時がまだ巡ってきた
思えば5年前、冒険者稼業に身を投じた時もこの季節であったな
湿った風が心地良い

92年7月 Edit

ものを見つけることは出来たが、満足できては居ない
俺は一体何を求めているのか、そんな子供じみた考えが脳裏をよぎる
楽な仕事を終えてなお、そうなる以上、潮時なのだろうか

また毛皮の抜ける時期となった。夏毛になり、少々身も軽くなるだろう
この時期は毛無しの身が羨ましくもなるな

92年8月 Edit

苦労の果てに報われることも無く、徒労感のみが残された
もはや冒険に向かう気力はほとんど残されていない
そろそろ次の稼ぎ方を考えるべきだろう

真夏は昼、家にこもり。夜に出歩くが良い
しかし今の俺はそれにこだわる事も無く
ひたすらにぶらつきたい気分だ

92年9月 Edit

ここ最近気落ちしていたせいか、今回はやる気が出たように思える
彼岸であいつに会ったせいもあるだろうか
少し気分が良くなったのは確かだ

季節は秋の頃
色づき始める木々を見てふと思う
俺の知己も随分と逝ってしまったなと

92年10月 Edit

ものが見つかることは無く、再びやる気が失われている
この分だと冒険者稼業から足を洗う日も遠くはないか
そうしたらどうするかな

来月は一周忌だ
奴の墓参りを済ませたら何をするか
もしその時にこの稼業から足を洗っていたら……
いずれにせよ、冬篭りを終えてからのことだろう

92年11月 Edit

さんざん歩き回ったが、ものを見つけることは出来なかった
しかしその分だけの財宝は手に入れている
全快手に入らなかったことも手伝っているだろう

今月は奴の一周忌だ、墓参りに行くとしよう
大人しくしているのも飽いた
これを一つの区切りとしておこう

92年12月 Edit

俺がただ突っ立っているうちにものは見つかった
やはり楽な仕事は良い
金もそれなりの入りだ

92年も終わるな
雪も見かけることが多くなり、厳しい季節になる
眠気覚ましを多く持たねば

93年1月 Edit

目的地は近く、ものもすぐに見つけることが出来た
ほとんど日帰りで金が手に入る
これほど良いことはない

新年を迎えた
古き俺を捨てるということはない、全て平らげて再び歩き出すまでのこと
そうすればまた違う俺も現れよう

93年2月 Edit

特に何をするでもなくものを見つけ、財宝も手に入れた
その点で言えば満足の行く仕事だったといえる
だが、しかし……
巨大トカゲの討伐と来たか……死に場所か?

捜索組みといえど、最近は安泰でない噂は聞いていた
それがいよいよ、俺にも回ってきたというわけだ
くだらん
まだまだ死にたくはないのだがな
しかし未だ胸の奥で燻る武士は囁く、死ねと
死んでたまるものかよ


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