企画/聖杯戦争四期
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- １１月某日 - 表 層 -
- 告知
- - 遺 跡 表 層 -
- ……聖杯の眠る地、か……
（表層から遺跡を睥睨している）
いくら秘そうとも暴き出すのは人の性……其の結末が望むものである保証など、何処にも無いと云うのにな…… -- 黒髪のセイバー
- その聖杯が もしその手に在れば貴方は何を望みます？ -- キャスター(嘘)
- （振り向かずに嗤い声を漏らす）
それほど聖杯の与える願いとやらに期待はしていないが……受肉でも願っておくとしよう。もし其れが成されるのならば、だがな……
汝こそ何を願う？ 余に限りなく性質の近い汝にこそ、願いなど皆無に思えるがな……くくく -- 黒髪のセイバー
- 受肉ですかー これは意外と平々凡々？
それはよくお分かりのようで 私の願いはマスターの願いの成就のみでございますので -- キャスター(嘘)
- まぁいいだろう……虚言を咎める気は無い。其れはあながち虚言でもない真実だろうからな
（可笑しそうに、肩を揺らして嗤う）
願いなど大半が有り触れた物だ……真の意味で手に出来ぬ奇跡なぞ、この世にそれほど数があるわけでもない…… -- 黒髪のセイバー
- それはそれはお許しいただきありがとうございます
えーでも万能の願望器ですよ？ 世界とか狙っちゃったりしたくありません？したくありませんか -- キャスター(嘘)
- フッ……万能か……俄かその言葉に余は懐疑する。不老不死の証明と同じ事だ……不滅は証明し続けることしか出来ない……決して結果は出ない……万能もまた同じ事だ、故に万能は覆る可能性を常に孕んでいる……余は聖杯は魔力の器程度にしか思っておらん……
たかが其の程度の魔導器で世界が掴めるとは余には思えんのでな……其の程度で手に入る下らない世界なら寧ろこちらから願い下げだ
（虚言を語る真実の化身にして虚言の根源に、深淵の主にして宵闇の支配者はそう語る） -- 黒髪のセイバー
- ふふふふ 疑っているのに一応手は伸ばすんですねぇ そんな姿(従者)に身を窶してまで
あー確かに 小さいとがっかりですよね 大きいモノが潰れる時が一番楽しいのに -- キャスター(嘘)
- くくく、姿形に意味など無い……如何な器に入ろうと、水は水であるように、闇もまたそうであるというだけだ……
……それに、存外に面白い玩具が手に入ったのでな……聖杯は其のついでと云ったところだ
全く、人の欲望ばかりはいくら見ても飽きないものだ……まだ向こう数百年はコレだけで楽しめそうなほどにな -- 黒髪のセイバー
- 成程そちらは当たりようで… 楽しそうでとても羨ましいです
んー 私なんかは人間もっともっと欲深くても良いと思うんですが
期待したいですねー 聖杯の方には -- キャスター(嘘)
- 欲望は人並みに欲深すぎる程度で丁度佳いのだ……真に深い欲望は……人を人では無い者へと変質させてしまう……まぁ其の過程を眺めるのは至高の美酒を愉しむことと何ら変わりないのだが……其れが楽しめるのは一回限りだからな
手元に置く玩具の欲望は適度でいいのだ……そして、適度に餌を与える……餌の前で右往左往する其れを眺めるのは中々に乙なものだ……機会があれば汝も試してみるが佳い……くくく
（口元を歪めて、嗤う。魔族の、魔性の笑みを形作る） -- 黒髪のセイバー
- ……… はっ これが上級者の貫禄！？ (黒い背中に向かってへへーっと平伏) -- キャスター(嘘)
- くくく……余に勝るとも劣らぬ『佳い趣味』をしておきながら、佳く云うものだ……
（踵を返し、キャスターと擦違って遺跡を後にする）
汝の虚言には期待している……万物を欺くその術で、存分に余を愉しませろ……或いはその時は……余が汝の真実狂言に踊らされる日も在るだろう
共に因果が巡ることを願う……去らばだ。余に最も近しく、そして最も遠き隣人よ -- 黒髪のセイバー
- あっ 師匠ー せめてお名前だけでもー！ ……… -- キャスター(嘘)
やっぱ話しかけるのは冒険しすぎたかなー
ふぅ (俯きながらも舌を出し) あー怖かった -- キャスター(嘘)
- 某日 - 表 層 -
- 告知
- - 遺 跡 表 層 -
- 夜の底、遺跡の表層は月灯りによって照らされていた
夜空を仰げば無数の星の瞬きが見え、それは命の灯火とも重なって見えてしまうことだろう
君たちの足下、その遙か地下に広がる迷宮で一体どれだけの命が散らされてきたことだろうか
サーヴァントは生存戦略の名の下に淘汰され、敗北したマスターたちは失意のままに聖杯戦争から脱落した
しかし聖杯を手にする機会が無くなったとはいえ、彼らには彼らの物語がある
月の光に導かれるように、それぞれの思惑を持った魔術師たちは遺跡の表層部へと足を運ぶのだった ────
- （天へ空いた穴より光が燦々落ちてくる。太陽にも似たそれは、身を焼きつけることもなければ草木を育てる力もない）
（ただただ、その底へ落ちた者へと掴みがたい幻想を与えるのみ。月は星を照らしている────）
（石のタイルに彩られ、数多の装飾をレリーフとして纏う迷宮が月の下へ鎮座している）
（それは底より更に底へ繋がるようであり、命綱すら持たない者は、手を引く者の居ない者はお断りといった調子で大口を開けて待っている）
……追い詰められ、閃輝暗点に照らされて見えた物なのかもしれねえ。（そこへ立つ足が竦むのは当然のことであり、）
（未だ敗戦のショックを引きずる足はより重く、勇気を得るには程遠い）
……だが、絶対におかしいんだ……この遺跡にしろ、教会にしろ……。そのおかしさの向こうに、何かあるのなら暴いて照らしてやる。
もしかしたら、もう一度だって会えるかもしれねえ。あんな消え方・生まれ方なんて絶対おかしいんだから……。
（風が吹き抜ける。それは地を這う敗残の塵を根こそぎに飛ばしてしまうようであり、不安を余計に煽ってくれた） -- キフィ
- （物陰から物陰へ、夜の闇にパーカーが揺れる）
魔力が戻っていれば、気配遮断くらい出来たのに（それは強がりだった 万全だったとしても、こちらの世界で力を使うことは消耗も激しくリスクが大きい 足音は小さいが、無音とは行かぬ）
（まだ手探りだった 教会が何をたくらんでいるのか、明かされていないものがあるのには確信めいた感覚を覚えるが、どういうものなのかは見当もつかない）
（ちゃり… 小さな足音）
（確かめてくれば、十分に交渉材料になる 剣馬だって…）
（はやる気持ちを抑え、人影を追う） -- ヴィー
- (月灯りに頼るようにふらふらと歩く少女 けして明るくはない、けれど、そんな覚束無い足取りになる程暗すぎる事もない)
(…戦争に敗れたこと、そして、サーヴァントを失ったこと それらを引きずったままの重い足、重い体)
(抱えたまま歩くのは、少女には少々難しかった)
(何かを引きずっているような、そんな足音を響かせ歩く)
(周りに人が居る事にも気付けない) -- リコール
- 三者三様に遺跡の表層へと集まった魔術師たち
だが君たちはこの場所に近付く別の気配を感じ取った
物陰に潜んでその姿を伺うと、現れたのは聖教会から派遣された監督役のシスター・シモーネであった
監督役が遺跡に何の用があると言うのだろうか
君たちは彼女を追ってもいい、そしてその姿を追うといつの間にかそれぞれが引き合うように一箇所へと集まっていた --
- いた…（あいつだ…！）
（無用心にも尾行されてるのを知らず、遺跡に入ってゆくのが見える）
（遺跡の中はもう何度も探索している 迷い無く、シスターを追って遺跡へと足を踏み入れる） -- ヴィー
- 匂いがする。……やはり、こんな月に見下ろされる日はなんらかの狂気を孕んでるんだな。
（流れてくる香りを捉える。それには覚えがあった。静謐で深遠な香りは、例の“シスター”のものだ）
（季來が「いい人」と話していたのを思い出す。いい人らしい、いい人はどうも疑わしく思えるもので、この場でその背を見れば、）
（余計にその疑いは深まり、色濃く、教会の纏着である黒よりずっと深くなっていく）
ワラすがで、ここまで来てみたが……ふふ、ふ……運が、向いてきたのかも知れねえな。
（音もなく風のように。そうして近づく。敗けた者らしく、地を這う影のようになって、光の向こうの謎を追う）
（ふと、香りに他の気配を感じる。その数は貳つであり、敵意があるかどうかも解らないが、不意に恐怖を抱いてしまう）
（その気配が向かう先は自分と全く同じようで、走るペースもまた同じで、鉢合わせることは請け合いであった）
（遺跡に足を踏み入れるとき、限界まで接近した自分と目的を同じとする影へ、右脚の鞘から抜いたナイフを音もなく突きつける）ッ！！ -- キフィ
- あいつ…！（あわてて足を止め、物陰に隠れて様子を伺う） -- ヴィー
- (歩くのをやめ、静かに小さくため息をひとつ)
(…少し落ち着いた方が良いかもしれない ずっとこうしている訳にもいかない)
(体の重さを少しでも振り払うかのように頭を振って…ふと、気配に気付く)
(気配だけでは敵か味方かも分からない 舞台から降りた身とは言え、ここは未だ自分にとって危険が多い)
シスター、シモーネ……だったか
(何故彼女がここに、と考える前に足は一歩、また一歩と進み出していた)
(…しかし遺跡には一度も足を踏み入れたことが無かった為か、足は止まる)
(けれど、何故だか躊躇しているこの時間さえ惜しく思えて)
(再度足を踏み出そうとし─)
ひ…っ！？
(その足は、背後から突き付けられた敵意によって、止まる) -- リコール
- ……？（手応えというか、反応が浅すぎる。虎へ牽制の牙を突き出したつもりが、鼠の前で手を打ち鳴らして縮こまらせた気分になる）
なんだ、テメエは……どこかで、見たな、確かどっかのマスターだったか……。
（“教会”の刺客でも、闇に這う悪鬼でもないと気づけば、ナイフを下ろす）
（よくよく見れば小さな子供で、この場に置くのは余りに頼りなく「迷い込んだのか」とすら思えた）
さっさと帰れ……独りきりじゃ、呑まれっちまうぞ。得体の知れないバケモンにな。 -- キフィ
- キフィがリコールに対してナイフを突き付け、時間は凍り付き場が緊張に包まれる
しかし互いに牽制しあっている間にシスターは遺跡の表層の奥、君たちが召喚に使用した部屋よりも奥へと入っていってしまう
このままこの場に留まっていればシスターを見失ってしまうかもしれない... --
- あれは…キフィと…（名も知らぬマスター）
（ここで騒ぎを起こすのはまずい 手近な小石をつかみ、遠くへ投げる シスターの気をそちらに向けんとする） -- ヴィー
- （(ﾁｯ)軽く舌打ちを鳴らすと、シスターの居るほうへ向く。もう、追いきれるかどうか不安になるほど、それは遠ざかっている）
（香りを追えばそれなりに追跡は出来るものの、芳しい状況とは到底言えるはずもない）追わなきゃ。
（朽ちた柱などに身を隠しつつ、リコールに背を向けて歩き始める。(こつん)と音がしたかと思うと、）
（小石が飛ぶ。シスターの意識を引き付けにかかっているように見えた。「誰だ……？」）
（柱の裏に身を隠したまま様子を窺う） -- キフィ
- シスターの意識が一瞬、小石が投げられた方向へと向くが気にすることなく表層部の奥へと向かう
早く追わなくては... --
- しっ…（肉厚な唇の前で人差し指を立てる 夜の闇に褐色の肌は溶け込み、緑色の瞳が光る）
（キフィとリコールを追い越し、わずかな音とともにシスターを追いかける） -- ヴィー
- （銀の煙管を取り出して、煙術で足音を消して速く追おうかとも思ったが）
（タバコを点ければ闇の中では、赤い星のように火種が光って、目だってしまうことだろう。煙魔術は使えない）
……地道に、地道に……。（取り出した、銀の煙管をもう一度仕舞い、辺りに気を配りながら背を追っていく） -- キフィ
- ……。（小石の出所から気配が一つ飛び出して、自分の前を横切った。「ヴィー！？」声を出すことはないが、驚きは隠せない）
（闇夜に浮かび上がる唇に瞳は、以前見かけた姿と相違ないが、輝きを失って見えたのは何も闇のせいだけでもなく）
（「俺と、同じか」考えることは同じのようで、「とすると……」先程会った小さな人影も、同じことを思っていたのかもしれない） -- キフィ
- (所詮はただの子供に等しい どうする事も出来ず目を固く閉じ……掛けられた声に、恐る恐る閉じた瞳を開ける)
(思わず怯えた態度を取ってしまった自分に軽く舌打ちをして)
…もう、独りきりで歩いて行かなきゃいけないんだ 放っておいて…
(言いながら歩を進めようとし、自分を追い越す少女を見て思わず早足で追いかける)
(追うような形になるが、気に入らないなどと言っている場合ではない)
(音を消すように、けれど、速さは緩め無いように) -- リコール
- 表層部の最奥、壁画の描かれた行き止まりにてシスターは立ち止まった
シスターは手元のランプの灯りを頼りに壁画へと手を触れる
すると壁画のタイルの一部が窪み、まるでスイッチのように奥へと滑り込む
それと同時に壁画が二つに裂け、これまで誰も知ることの無かった通路が開かれた
開かれた通路の先は闇で覆われ、彼女は闇の中に溶け込むかのように先へと進んだ --
- （「あっはっは」あそこが伏魔殿だろうか。ワラを掴んだと思えば、それは木に括られた麻紐であり、）
（このまま向こう岸までたどり着けるのではないかと、錯覚を抱かせるに充分なほどに、手がかりを得てしまう）
……っ！（見失わぬよう、気配をハナでも追いながら、ヴィーやリコールの気配も感じて、闇へ歩みを進めていく） -- キフィ
- （多分キフィと…よくしらないがこの少年も目当ては同じなのだろう だったら…）
（今の自分には心強い 左腕に並ぶ7つのゲートから漏れる光は光とも呼べず弱弱しい）
（シスターが闇に消えると、一呼吸おいて壁の前へ 何度も調べたはずなのに！）
（静かに中の様子を伺う） -- ヴィー
- (『何かを感じて追ってみれば…なんだ、これは』)
(口に出さずとも、表情もそう言いたげに歪む)
(この様子だとあの2人は分かってて入ったのだろう)
(何も知らず、こうした偶然が無ければ何かを感じる事も無かった自分に、軽く舌打ちする)
(けれど、こうして結果的に何か掴めたのだ これを生かさないなんて勿体無い真似は、しない)
(闇に消えたシスターを確認すると、少し置いて自分も中へ)
(何も見えないけれど、炎で明るく照らし出す訳にも行かない)
(深い闇の中を、手探りでゆっくり進んでいく) -- リコール
- 壁画の奥は闇であり、飛び込んだ先に何が待っているかは分からない
従って外から中の様子を伺っても何も見えない
キフィのように闇へと一歩前へと踏み出さねば何も掴めないことだろう
しかし一歩踏み出した瞬間、三人は一堂に会することだろう --
- （最早迷いなど抱えていられない。やって後悔したことなど幾らでもあるが、今はやらなければいけない）
（そうでなければ、消えて逝ったキャスターに示しもつかない。もう一度だけでも、会わなければいけない）
（そこに打算は一つも含まれていなく、ヴィーやリコールの存在は、心の端あたりで受け止めている程度で、気には留めない）
（ただ奥へ進んで、狸の尻尾を掴むだけだ。「！？」「何だ……！？」） -- キフィ
- （今の自分には、闇を見通す力は無かったが、やむをえまい…）
（壁に手をついて、ゆっくりと何も見えぬ闇の中へ） -- ヴィー
- (飛び込んだのはいいが、どうなっているのかを感じることさえ出来ない)
(情けないが、今はただ手探りで進むしか─)
(「ッ！？なんだ…！？」)
(思わず足を止めて、警戒態勢に入る) -- リコール
- 闇の先、それは一本道であり三人が揃って足を踏み入れる
薄暗いからと行ってランプで堂々と照らしてしまうとシスターに気付かれてしまうかもしれない
だが灯りは最小限に、そして周囲を伺うとこれまでの遺跡の構造とは異なる点が現れる
それは石造りではなく、壁に触れた掌には無機質な鋼材で出来た通路であることを知らしめる
これは一体、聖杯の迷宮についての疑念が生まれた─── --
- （鉄の香りが鼻を突く。血と同じ香りであり、石造りとはまた違う、明らかな人工物であってもその質を根本から違える、）
（自然へ対する違和感の産物が其処には存在していた。ライターを手で覆いながら壁を照らすと、確かにそれは鋼材に他ならない）
どういうことだ……？（三人共に足が止まり、同じ場所に居る）……！（「そうだ、シスターはどこへ……！？」首を見回す） -- キフィ
- ！？（何も見えぬ闇の中、唐突に壁の手触りが変わる）
構造物が…違う？（一体どういう遺跡なのだろうか？ 表層部分はデコイなのか？違和感を感じつつも、闇の中、シスターを追う） -- ヴィー
- (『気配が…？いや、確か他の2人も居るし…当然、シスターも居る』)
(目的が同じような2人がここでやりあう筈もない ならば、警戒は最低限で良い筈だ)
(そう結論づけて再び手探りで道を拓こうとし……今までと違う壁の感触に気付く)
(少し考えてから静かに手を合わせ、両掌の間に小さな炎を生み出し)
(なるべくその光が漏れないように、掌で覆ったまま壁を確認する)
(…どうなっている？まるでここだけ人の手が入ったような…) -- リコール
- 一本道の出口、その先は光が扉となっていた
光の扉を抜けると視界が開け、そこは無機質な広間であった
壁には緑色の導力光走り、この部屋が人工物であることを匂わせる
しかし先に入ったであろうシスターの姿は見えず、この広間よりも奥の部屋に入ったということなのだろうか --
- ひ、かり……？（進んで見えたのは光だったが、それは、なぜだか狂気の渦へ誘う、先程見た月の光のように思える）
（『水に映る月は別の世界へ繋がっている』とよく言われるが、それにとてもよく似ていて不吉なのだ）
おい、テメエら……絶対に警戒を怠るなよ……。目の前の全てを疑え。（聞こえるかも解らない小声で呟く）
（それは自分に言い聞かせるためであった。意をそうして決すると、光へ呑み込まれるように向こう側へ歩いていく）
……馬鹿な。（鉄というだけではなく、その内に油か魔導の血を流した、無機の世界が広がっている）
（“遺跡”だとのたまうのが滑稽に思える、裏方にある舞台装置がそこにあり、少なからずのショックが身に波及した）
何が起こってる……！？（シスターの姿を探して、もう我慢ならないと詰問してやろうかと思えど、その姿は既にない） -- キフィ
- 言われなくてもわかってるよ（闇に応える）
…！？（目の前の闇にそこだけまるで他所の世界から切り取ったかのように光の扉が浮かぶ 怪しいと思ったが、他に道らしい道は無い 誘われるように扉を抜け）
…ここは…？（表層の石造りの遺跡からは想像もつかない光景が広がっている これはまるで…） -- ヴィー
- (闇の海の出口は、光)
(両極端なそれが、なんだか不気味だった)
(小さな声だが、確かに聞こえた 2人居た内の、男の声)
(『…目の前の、すべてを…』)
(口調は話しかけるそれだが、自身にも向けているだろうその言葉)
(頭の中で反芻してから、光へ足を踏み入れた)
(もうすっかり遺跡とはかけ離れたそこを、険しい顔で見やる)
(シスターの姿は見当たらない)
(まだ奥があるのだろうかと、再び見渡す)
(今度は、注意深く) -- リコール
- 戸惑いが三人の間に広がる。このような区画があることは知らされてはいない
それどころか遺跡の表層から第一層にかけてはここ数百年の間に作られたものであることをシスターの口から教えられていたが、
この部屋を見る限りではとても数百年も前に作られたものとは思えない
疑念が生まれ警戒の色が強まると、正面の通路の先にある部屋から緑色の明かりが漏れていた
意を決してその部屋へと入ると君たちは更に混乱を強いられることだろう
部屋にはコンソールと思わしきパネル、その上にはモニターが立体映像として表示されていた
モニターには塔のような概略図が描かれ、五階層によって区切られた塔の上層３つが緑色に、下層２つが赤色によって表示されている
表示されている言語は未知のものであり、古代言語などに精通しているものがいれば理解できたかもしれないが...
円形のグラフもまた塔の横に表示され、緑色が半数を占めて赤色の部分は後僅かである
この表示が意味するところとは何なのか、なぜ遺跡の表層部にこのような場所があるのか、生まれた疑惑が頭を駆け巡る --
- （シスターがいない… だがいないのなら好都合だ…）
（戸惑いがちにコンソールへ向かう やはり表層の遺跡はデコイなのだ これがこの遺跡の真の姿…）
（モニターの現しているものは…もしかしてこの遺跡なのだろうか？ だとしたら、教会は嘘をついていたことになる？）
（すでに遺跡の全貌を知りながら、隠していたのか…？）
（「どうやって…なんていうのはまぁ、考えればなんとかなるものさ 問題なのはね、リン ”なぜ”だよ それが重要なんだ」）
（かつてのマスターの言葉を思い出す 何故教会はこれを隠して… これでは探索なんて茶番じゃないか！なんのためにあんなまねを…）
（モニターをじっと睨む 文字もこの世界に来てから学んだものとは違う） -- ヴィー
- （時計持ちの兎を追っていたら木の虚に落ちて、不思議の世界に迷い込んだような……）
（実際にはそんなファンシーなものではなく、機械が機械を動かす歯車に満ちた区画であり、）
（モニターは絵を映し、天井からは温度のない灯りが降り注ぎ、生きた心地のしない機械はただただ動作を続けている）
……“遺跡”ィ？ どこがだよ。……こんなオーバーテクノロジーが、どうして潜っていられンだよ。
（疑惑と憤りが自然に湧いてくる）遺跡か教会のどっちかが怪しいと思ってたが……。そんな次元じゃ無え。
こんな大掛かりなデウス・エクス・マキナを作って神の産物だと嘯いてたとは、人を小馬鹿にしているのか……？
（古代に編纂された植物の書物を読んだことはあるが、古代語は明らかに専門外で、憤りや戸惑いを感じても、）
（それをぶつけることはできない。モニターを仰ぎ見る）……これは、搭？ 緑が三つで赤が二つ……。
二つ、搭を昇った……？ 搭、しかし、ここは搭じゃなくて地下深い遺跡だろう……？ 確か、今は2階層まで開いて……。
（ぶつぶつと、思ったことを口にしていく） -- キフィ
- (ぱっと目に止まったコンソールパネルを見つめる)
(…下層 2つ？)
…ここ、か？
(つい漏れた言葉も気にせず、考える事を続ける)
(表示された文字は、自分ではわからない、読み取れないもの)
(…ここに居る2人も、この様子だと多分分からないだろう)
(『これが読み取れたら、少しは…』)
(歯噛みしつつ、何か他に分かることは無いかと必死にパネルを凝視し続ける) -- リコール
- パネルに表示された情報を必死に読み取ろうとする君たちであったが、それが最大の危機を招いてしまった
「ここを見られてしまったからには捨て置く訳にはまいりません」
一行の背後、あのシスターの声が投げ掛けられる
君たちの中に気配察知に長けたものがいても今のはまるで予測できなかった事だろう
気配を感じさせることなくシスターは背後に現れ、君たちが振り向くよりも早く攻撃を仕掛けた
直後に感じたのは激痛、苦痛に目を凝らして振り向けばシスターが掌から電撃を放っていた
ここでも君たちは違和感を感じることがあるかもしれない
魔力に長けたものがいたならば、この電撃からは魔力を感じることができず、雷魔法によるものでは無いことを知らしめた
完全に不意を突かれた電撃、これにより君たちは膝を付いて前へと倒れ意識は遠のいて行くことだろう --
- …！？（背中にかけられた声に振り向く そこに立っていたのはほかならぬシスターだった）
（シスターの手が帯電してゆくのが見える この場を切り抜けるには…セイバーの宝具！！）
（だが、左腕のリングはむなしく擦れたような音を上げ数ミリ動いた程度 ゲートをこじ開ける魔力が足りない）
あああああああっ！！！（雷撃を受け、全身を痙攣させる）
（筋肉が弛緩し、がくりと硬い床に膝をつき、肉付きのいい太ももが小さく揺れる）
らめら…ここれ…（フードが下り、桃色の髪が緑色の光を受けてきらきらと靡く）
どさり…（倒れる 鋼で出来た地面に緩やかなウェーブを持った髪が広がった） -- ヴィー
- （「声？」囁く声は優しく響く。今まで感じていなかった気配が突然に、濃厚に表れて、それに背中を引っつかまれた）
（心臓が跳ね上がる。動悸の調子を完全に乱されて、歯の根すらも合わなくなり、得体の知れない恐怖に震える）
（「“匂い”がまるでしなかった」背を向けていても香りは届く。だからこそ、安心してそうしていた。だが……）
っ……か、……ぁっ……！！（抜き打ちのナイフは届かない。どころか、その雷撃を身に浴びて、裂かれるような痛みを受け取る）
（視界に生じた亀裂はだんだん深まっていく。膝にも腕にも力が入らず、躰のスイッチが切れてしまったことに気づく）
（思考のヒューズが飛ぶ前に、どうにか、考えを纏めていく。「この、聖杯戦争は……」）
（そして、暗がりへ意識が飲み込まれて消え往く）……キャスター…………。（冷たい鉄の上へ倒れこんだ） -- キフィ
- (声を聞いた頃には、もう遅かったのだろう)
！？
(振り向く前に 飛び退く前に)
っくあ…あああああああ…！！
(体に走る痛み)
(思わず守るように体を抱くが、そんな行動は、意味が無い)
(どうして どうして自分はこんなにも 無力なのだろうか)
(折角、何か掴んだと言うのに)
(サーヴァントが居ないと何も出来ない)
(痛みからなのか それとも自分の無力を改めて認識したからか)
(意識が落ちる中涙を流し)
(思わず)
…らい、せんさ、ぁ
(もう居ない、サーヴァントの名を呼んで 床に沈んだ) -- リコール
- 意識を失った三人を俯瞰するように見下ろすシモーネ
その表情に感情は無く、彼女もこの区画のように無機質な存在であると告げていた
「ご安心ください。命までは取りません。ですが暫くの間、身柄は拘束させていただきますが」
彼らが次に目を覚ましたとき、その場所は礼拝堂の地下にある牢部屋であることだろう ─── --
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