《篝火》の帝姫ガラテア Edit

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基礎情報
名前ガラテア
性別女性
生年王国歴147年(352歳)
身長171
体重61kg
学籍魔術科1年(309年目)
所在学院女子寮
出自
父帝ウィルハルト三世
出身帝都:冬の離宮
行動方針
好みステラ・ノーチェルクス
苦手喪失 / 魔族
その他
近影全身 / 生身 / 瞑目 / 制服
水着 / バニー
企画学院 / リスト / イベント
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三行で Edit

  • 知ってるか?
  • あの女神像
  • 人間だったんだぜ!

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  • 🗿 -- 2022-06-17 (金) 21:12:26
  • 🗿 -- 2022-06-17 (金) 21:12:30
  • 🗿 -- 2022-06-17 (金) 21:12:33
お名前:
編集:junくんち
&color(#166193){}; ガラテア>ARA/0010
編集:info/ARA
王国暦XXX年
--月第--週
(西暦 2024-07-21)
NEXT :--/--(-月)
告知

・本企画は終了しました。皆さまお疲れさまでした。
・企画終了後の過ごし方は自由です。

設定 Edit

《篝火》の帝姫ガラテアのこと
・ゼイム帝国皇帝ウィルハルト三世の一子で、334年前の大戦で名を馳せた将のひとり
 ミネラ=ゼイム戦争末期、戦況の悪化を覆すため近衛兵団を与えられて華々しく戦線に投入された
・竜角から発する蒼き燐光で戦場を照らし、兵たちを導く姿から《篝火》の二つ名で呼ばれた
 戦場の華と謳われながらも、王国側の暗殺作戦によって悲劇的な死を遂げたという
・近衛兵団の中枢もろとも、ミネラ神の権能を振るう極大神聖魔術に呑まれたのだ
 兵たちはことごとく砂塵と化して崩れ落ちたが、竜種の強靭な生命力がガラテアの生命を永らえさせた
・その身は大理石の彫像となり、精神だけが334年ものあいだ休眠と覚醒を繰り返してきたのだった
時系列でいうと
・王国歴147年:帝姫ガラテア生誕 蒼き竜角と竜眼を備え、男子でないことを惜しまれる
・王国歴152年:魔術師アンブロジウス・V・マールベルク、ガラテアの教育係に就任
・王国歴155年:ミネラ=ゼイム戦争勃発
・王国歴163年:戦況の悪化にともない、本国残存兵力の前線投入が発議される
        帝姫ガラテア、皇帝親征の名代として近衛兵団の将領に任じられ出征
        出陣式の華々しさは名画となって残るほどで、帝都臣民の喝采と熱狂を集めた
・王国歴163〜165年:帝姫ガラテアと幕下の将校団、停滞した戦線の建て直しに尽力
        王国による本土反攻に備え、これを阻止するべく各地を転戦する
・王国歴165年:《篝火》の帝姫ガラテア「戦死」の報、臣民の人心震撼する
        盛大な国葬が計画されるも、帝国は間もなく竜谷防衛線の山岳要塞を失陥
        王国軍による大反攻を許し、決定的な敗北をもって終戦を迎える
・王国歴?年:魔術師アンブロジウス、石化したガラテアを回収
        その後王国側に渡り、アルミネラ王立学院の魔術科長に就任
・王国歴190年:魔術師アンブロジウス、学院創設90周年を記念して《女神像》を寄贈
・王国歴199年:魔術師アンブロジウス、神聖魔術研究の成果をダンジョンに封印
・王国歴274年:第二次人魔大戦勃発 後に勇者トーマの活躍をもって終結に至る
・王国歴499年:探検部、魔術師アンブロジウスの遺産を発見 ガラテアの石化が解除される
生身に戻った後のこと
・重要文化財《伝 女神ミネラ像》の喪失と《篝火》のガラテア復活が王国内外で報道
・ゼイム皇帝に宛てた親書の発送とミネラ国王への非公式の謁見を完了した後、
 王立学院長と帝国大使の同席をともなう共同記者会見が行われた
・盗難防止の保護魔法は解除したものの、王国重要文化財の指定はなぜかそのまま
・王国歴500年1月第3週:ステラ・ノーチェルクスを相部屋に迎え共同生活をスタート
・王国歴500年3月第2週:ステラの秘密を受け入れ、恋愛関係になった
ミネラ王国重要文化財《伝 女神ミネラ像》のこと
・350年くらい前に降臨した地母神ミネラが手ずから彫り上げた、と語り継がれる女神の彫像
 ミネラ神の「創世竜の娘」としての側面、あるいは慈悲深き女神アイジアの肖像などの諸説がある
・髪の一筋一筋に至るまで精緻に表現された容貌は生けるが如く、神域の造形とも評される
 《救いの女神》という主題は普遍的な希望の象徴であり、戦乱の時代を代表する芸術品
・歴史的文化的な価値を鑑み、像には破壊防止・盗難防止の保護魔法が厳重に施されていた
学院名物《女神像》のこと
・《伝 女神ミネラ像》は学術的な正式名称であり、生徒たちは単に《女神像》と呼ぶ
 学院創設90周年記念で寄贈されて以来、学院のシンボルとして生徒たちに親しまれてきた
・中庭の正門正面に鎮座するランドマークで、購買部には土産物も充実している
 女神像サブレにポストカードのセット、卓上サイズのミニ女神像などが売れ線の定番商品
・全身可動でキャストオフ可能なfi○ma女神像は特に人気を集め、現在もプレ価で取引されている

ステラとの相部屋スペース Edit

お名前:
  • 膨れた頬に口づけを受けて、ステラの赤い瞳が大きく瞬く。
    そのまま降りしきるキスの雨に、当惑したように眉を八の字にさせながらも不機嫌そうだった口元が徐々に緩んでいく。
    「ちょ、ちょっと、ガラテア……! ま、待って、ちょっ……こらっ、めっ、でしょ……!」
    押しとどめるようにガラテアの肩口へ添えた手の力も、抗議の声も弱弱しく、コロコロと転じていくステラの表情。
    口づけを受ける最中、にやにやと薄ら笑いを浮かべている母の顔を見れば、その揺れ動く複雑な胸中にすっと一つの線が走った。
    「……もぅ。ガラテアったら。本当に貴方ってば、しようのない子ね」
    お返しとばかりにガラテアの唇へと口づけを返すと、抱き上げようとしてくる手からすっと逃れて、彼女の側面へと身を翻す。
    そのままガラテアの腕を取り、彼女にぴったりと身を寄せれば、横合いからの上目遣いでとびきりの笑顔を見せる。
    「何があっても私は貴方の味方だから、ね」
    半ば己に言い含めるように流れた言葉の先では、エステルがいつのまにか木造りの大扉の前まで歩を進めていた。
    そこへいざなうように、ガラテアの手を取って横並びに歩く靴音が、赤い絨毯の上で厳かなリズムを刻んでいく。
    「さぁ。お父様がお待ちよ」

    無造作に扉を開いて、勝手知ったる様子で扉の先へと歩いていくエステル。 視線で辿っていけば、石造りの部屋の中はところどころで玄妙な輝きを湛えている。
    燭台の代わりに点在する輝石が、夜に瞬く星光のように闇を青白く照らし、巨大な飾り窓から覗く赤月の光と奇妙なコントラストを描いている。
    石造りの闇を微かに照らす儚げな青と赤の光。赤い絨毯が敷かれたその最奥に、ぽつりと古ぼけた椅子が一つ。
    その主は椅子から離れた場所で、窓越しの真紅の月を見上げて佇んでいる。
    歩を進めていたエステルが足を止め腕組みし、微妙な距離を隔てて、古城の主に静かな視線を向けている。
    老境に差し掛かった厳めしい面構えは、ただ無言の内に空を見上げて赤い瞳を閉じる。
    扉から吹く風が長身の男の白髪と漆黒のローブを微かに揺らすと、赤い瞳が再び開かれ、風の起こりへと視線を転じる。
    そこで初めて己が妻エステルの姿を認め、そのまま視線は過ぎていき、寄り添う若い二人の影に止まる。
    「ゲオルク・フリードリヒ・オラトリオである。闇と夜、そして死と恐怖を象徴する暗黒のゼノバスの直系。そして、このうら寂れた古城の主でもある」
    男は視線と共に身体をステラとガラテアへと向き直れば、静かに訥々と言葉を刻んでいく。
    「常夜結界の内で起きたことは我の既知の事である。故に其方の素性は先刻承知の上……」
    老木で作られた漆黒の杖を、こつこつと石畳に打ち付け、男は真っすぐに視線をガラテアへと向ける。
    「が、其方の口から直接聞きたい。其方は何者か、何が目的でこの地を訪れたのか」
    問う老魔の口振りと視線からは何の色も感じ取れない。魔族が人類種に抱く殺意も敵意も、その他の含意も一切無い、紅き双眸が透徹と瞬く。 -- 2024-04-18 (木) 22:48:09
    • 心得ている(何があっても味方だ、と言われれば頷きを返して)背中を押されていることも(もしかすると、緊張に顔が強ばっているように見えただろうか)
      (であれば、しっかりしなければと自戒する 数えて数秒の瞑目、呼吸を整え、自然体で胸を張る 青き血筋に相応しく、骨の髄まで染みついた所作をひとつずつ思い出す)
      (この身を織りなす血肉は、女神の似姿と謳われた王国の至宝にして帝国の希望 蒼く煌めく焔をもって世を照らさんとした《篝火》の帝姫)
      (昔日の威儀は朽ちず変わらず、うら若くも少女と呼ぶにふさわしき一身をもって、燦然として壮麗なる幻想を比類なき調和のもとに体現する)
      (長じて後にも父王たる主上に見える機会は数多くあったが、万雷の喝采を浴びて出征の挨拶を奏上した時にさえこれほどの緊張を味わっていただろうか?)
      (おおよそ現実離れした絵のような光景の中を、ステラと二人並び立って歩み続けた 城主の気配は常にあって、一歩歩むごとにその輪郭が濃さを増してゆく)

      (そうしてたどり着いた場所、長くも短き奇妙な旅路の終着点に立っている)
      (血のように紅い月光を浴びて、異邦を吹きわたる風にそよぐ白髪 立ち姿は息を吞むほどに美しくも峻厳なる威厳に満ちて在り)
      (胸の内に直接響いてくるような質量のある声音を受け止め、他国の元首に対する儀礼と所作をもって応じた)
      (彼こそは万魔の長にして超然たる孤峰 魑魅魍魎のひしめく大地に割拠し、一国と一城を領する魔王に他ならぬがゆえに)
      (投げかけられた問いの意味は明々白々 何人であると名乗るも佳かろうが、わずかに一言の答えが未来を決するかもしれなかった)
      私はガラテア・ウム・ゼイム ステラの佳き友にして、愛深きことを知る者だ 用件はただひとつ、我が愛と心は同じく
      公を慕い、祝福を賜りたく願う(求めるものは形なきもの、そしてステラの幸せには欠かせないもの)
      (此度の婚礼が親子の絆と情を損なうものであってはならない なればこその挨拶だ 互いを知るところから始めたいと思う)
      -- ガラテア 2024-04-19 (金) 01:57:44
      • ガラテアの言葉を反芻するように、自身の顎鬚を指先でなぞるゲオルク。その眉間の皺が思考と共に深く刻まれる。
        「ガラテア・ウム・ゼイム。其方にいくつか訊ねたいことがある」
        老魔は右手を杖から離し、人差し指を一つ立てる。
        「その祝福とは、誰が誰に対してのものなのか。そして何を企図したものなのか」
        続けて中指を立て、老魔は静かに言葉を紡いでいく。
        「そしてその祝福を、なにゆえ授かりたいと願うのか」
        言葉面と表情こそ厳めしいが、声音は夜空の雲を緩やかに流していく風のように、穏やかな韻律を伴っている。
        「人界の習わしに照らせば自明の理であろう。そのことは、我も知識としては身に着けている」
        あくまで知識としてだけだが、と付け加えながら、二本指を立てたまま言葉は続いていく。
        「其方とステラ。我とエステル。各々の置かれた状況や立場を考慮すると、人界の習いをそのまま適用するには、いささか不適切である……と、我は考えている」
        そこで初めて、対面してからガラテアの方に向けていた視線をエステルの方へと転じ、溜息というには控えめに息を吐く。
        腕組みをして不敵な笑みを浮かべたままのエステルを真紅の瞳が捉えれば、老魔の眉間が複雑に歪む。
        「……それ故に二つの問いを発した。其方の答えを聞きたい」
        ゲオルクの視線が再びガラテアとステラの二人に戻る。
        僅かに緊張した面持ちでガラテアの服の裾を指先で軽く摘まんでいるステラの姿が視界に移れば、老魔の口の端に微かな笑みが浮かぶ。 -- 2024-04-19 (金) 17:57:38
      • (自身の有様を顧みるに、元来多弁な性質ではない 公人たる者たちの言葉には相応の重みが備わるが故に、自然とそうなってしまう側面もある)
        (ましてや万魔の上に立つ者であれば何をかいわんや、共通の言語を多くは持たぬ者同士、まともな会話が成り立たない懸念さえあった)
        (公は多弁にして雄弁であり、最悪の想定に比べれば望むべくもないような状況と言えた ステラという共通項は想像以上に大きかったのだ)
        (問いかけは関心の表明であって、状況が許すかぎり自由な発言の機会を与えられている証左でもある)
        この身ひとつは昔日の影 篝火もまた、已んで久しき古物ながら…今日の習いは言うに及ばず、天地開闢の神代よりあり得ぬことと承知している
        なればこその話しあいだ 自らが先例となり、後の世に続く者らの魁となる 斯様な先達が在るならば、訪ねて知恵を求めたいとも考えた
        公はステラを言祝がれるであろう 私は……公を愛する心情、心映えの美しきさまを知っている しかし、それだけでは十分ではない
        (裾をつまんでいた手をとり、胸の高さまで持ち上げた その指先には母の形見が輝いていて)ステラと私、祝福は二人でひとつ
        ………私にも、父と呼ぶことを許してほしい(ステラと同じ、紅い目を見た)もしも主上が世に在られたならば、此度のこと、お許し下さると信じている
        今日の帝室は兄の血筋ゆえ、この身はもはや外交の道具にはなり得ぬ あるいは一人の父として…佳きに計らえ、と仰せになったやもしれぬ
        (二つ目の問いの答えも、もう口にしたかもしれないが)我が愛、我がさだめ ゼノバスの腕に抱かれし、バロネールの導きの光―――天の星(・・・)
        夜に星々は数あれど、私の星はただひとつ とこしえに輝いて在れと(こいねが)う 理由は、つまり(まなざしを重ね、仲睦まじくはにかむ)
        (父母の祝福はきっと、ステラにとって)一番の贈り物になるから
        -- ガラテア 2024-04-20 (土) 02:51:35
      • ガラテアの返答の大部分は、凡そゲオルクが想定していた可能性の内だった。
        故にゲオルクは、臆せず朗々と紡がれるガラテアの言の葉を、表情一つ動かさず耳を傾けていた。
        ただ一点。凪いだ水面に大きな波紋が広がる瞬間があった。
        『私にも、父と呼ぶことを許してほしい』
        それを耳にして一拍のち、老魔の眉間にかつてないほど深く深く皺が刻み込まれていた。
        彼を良く知るエステルは、そんな夫の様子を目にして必死に笑いを嚙み殺そうと肩を震わせていた。

        他方、娘のステラは渋面とも懊悩とも付かぬ父の表情を目にし、その内心を量りかねて瞳を丸くする。
        当惑のうちに、並び立つガラテアの言葉へと思考と視線は移り行き、自然と蒼い瞳へ吸い寄せられるままに笑みを浮かべる。
        想い合う互いの様子で知れようが、駄目押しとばかりにガラテアへ抱き着いて、父へと向けて無言のままに何度もこくこくと頷いて見せる。

        ガラテアの語る内容を肯定する娘の稚気混じりの振る舞いに、ゲオルクは瞑目して天を仰ぐ。
        「…………ガラテア・ウム・ゼイムよ。重ねて問う」
        再び目を開いた老魔は、ガラテアの目を見据えて3本目の指を立てようとするも、その手は途中で止まる。
        「……問う前に、だ。これから私の発する問いへ、より正確な回答を期するために話さねばならぬことがある」
        これまでの2つの問いに対してガラテアの出した答えは、生半な覚悟で発せられたものではあるまいと、ゲオルクは見て取った。
        それゆえに、伏して語るつもりの無かったことを語らねばならぬと、老魔は腹を据えて一つ息を吐く。
        「常夜結界の内で起きた事だけでも其方には軽挙妄動のきらいがある、と我は考えている」
        左手に持つ黒杖の先が石畳の地を打ち、硬い音を一つ響かせる。
        「十数年前、我が娘ステラが吸血を長期行わなかったことにより人類として知覚される事態が起きた。
         それを端緒として秘匿していた我が妻エステルの存在が露見し、この地の常夜結界にはある仕掛けが施されるようになった。
         ゼノバスの権能に通じた高位魔族、あるいは結界術に長けた魔のモノであれば、我や巫女クロティルダと同様に結界内の出来事を感知出来る仕掛けだ。
         父祖ゼノバスより拝領した地を護る為、他の監視下に置かれる斯様に屈辱的な仕打ちですら、多くの血と代償を払い手にする有様だった」
        そこで初めてゲオルクは憤激した様相を露わに、杖を強く地に叩きつけ、ひと際激しい夜風が吹き付ける。
        「我が妻エステルがその咎より免れたのは、ひとえに特異な人格と功績によるところが大きい。
         暗黒のゼノバスの使徒の扶けとなる、夜と闇の権能と真理の探求。まずこれが理知的なゼノバス麾下の高位魔族の目に留まった。
         次いで人魔の見境なく、敵対するものは容赦なく害し、利するものは徹底的に利用する性質が、善神の欺瞞を暴く存在であると興を買った」
        ほーお、とエステルが何か言いたげな目つきで息を吐くが、ゲオルクは鼻を鳴らして言葉を続ける。
        「我が娘ステラも同様の扱いとなった。母の跡目を継ぐものとして、そしていずれはゼノバスの系譜を継ぐものとしての目算も込めて。
         だが全ての魔族がそうした認識を持つ訳ではない。偶さか個として強大な力を持つゼノバスの使徒からは御目溢しとなったが、知と理の埒外にいる有象無象は吐いて捨てるほど存在した。
         粗方掃除は終わったが、それでもなお、未だに湧いて出てくる始末だ」
        これも我が身の不肖ゆえ、と嘆息し、幾分平静を取り戻してからガラテアを改めて見据える。
        「さきも触れたが、この地、常夜結界内の動向は他の魔族の監視下にある。
         今となってはエステルとステラの滞在が知れたところで、流れる血の量はたかが知れている」
        例えそうだとしても、ステラがこの地に訪れることは稀であった。
        それが無用の争いを引き起こし、父祖ゼノバスの(よすが)である地と居城が父の手から離れることに繋がるのを危惧したがゆえに。
        「だが其方はどうか? 第一次人魔大戦の英傑ウィルハルト=ウム=ゼイムの後裔たるガラテア・ウム・ゼイムよ。
         その名、その血筋、その力。其方の意図が那辺にあれど、その来訪を知れば魔に属する者たちが如何とするか。
         例え常夜結界の外にあろうとも、真の魔界に於いてその身に宿りし力は、探知の力に長けたものからすれば容易に看取できよう」
        無論のこと、常夜結界の内においては監視の目を晦ます術は幾つか存在する。
        だがその術を持ちながらも、エステルは敢えてその術を使わずガラテアをこの地へと導いた。
        「ずいぶんとまぁ長い講釈だったなゲオルクよ。今後、私と愛を語らう時もそれだけ口が回ることを期待しよう」
        こちらの思惑などお構いなしに、軽口を叩いてにやにやしているエステルを横目で切って捨てると、ゲオルクはガラテアに向けて右手をかざす。
        「……3つ目の問いだ。ガラテア・ウム・ゼイムよ。
         其方はさきの問いに対する答え……その望みが、如何なる事態を引き起こすか、思慮した上でも希求するか?」
        右手の薬指をゆっくりと立て、計3本の指を示してはガラテアに訊ねる。
        問いの前段で激することはあっても、ガラテアに向ける声音と視線は終始平静を保っている。
        それは3つ目の問いを投げかける時も変わらず、青い瞳を捉える老魔の真紅の瞳も同様に、微かな柔らかさすら帯びている。 -- 2024-04-20 (土) 22:46:27
      • (来訪の意図を伝えた上で、話題は当然に起こり得る事態へと移ってゆく 話にならぬ、と一蹴される可能性も大いにあり得たはずだったが)
        (ことの是非を論じるに及ばず、言い換えれば当人としては左程の問題にはならぬと考えている こちらの話の理解に努め、熟慮の上でそう決した)
        (老公が感情を示して尚、寛大で懐の深い人物であるとの印象に変わりはない 無理を押し通すために払った犠牲と労苦は察してなお余りあった)
        (そしてこの身は新たなる厄介の種には相違なく、面倒ごとを持ち込んでいる自覚もあった)承知している それもまた青き血のさだめに他ならず……
        元より長居はせぬつもりでいたが、問われたからには我らの間に横たわる不都合についても語らねばなるまい(できれば触れずに済ませたかったが、覚悟はしていた)
        我が父祖は万魔の大敵、そして魔神の使徒は我が怨敵に相違なし 今この瞬間にも狡知に長けたる策謀の大君(ラトロンズ)のまなざしを注がれて在ることを感じずにはおられぬ
        公よ 私のような飾り物にも、忠節を尽くす臣民があった 皆を破滅のさだめへと誘った悪鬼の哄笑が耳を離れぬ 生きて世に在るかぎり忘れられるものではない
        一時の歓心を買わんがため、心にもない甘言を弄し公の足下に額づくことがあれば、皆は私を許さぬだろう 魔と人は、昼夜のごとく交わり得ぬものなれば…
        (ステラの背中に手を添える その身を強く抱き寄せた)しかし、しかしだ……公よ、それは貴公らも同じではないか?
        我が父祖と同じく、この身もまた多くの魔族を手に掛けた 我らが魔族に向けた憎悪が、この身を憎む魔族の心根を上回るものであると言えようか?
        公よ 我らはあまりに多くを害し、そして多くを喪ってきた たとえ幾多の闘争が、アリウスの子らたる諸神の御心に適うものであろうとも―――
        流された血にいかほどの意味があっただろうか(ステラの首に手をかけた、あの瞬間と同じ想いが胸を満たしていた)皆、ステラが気づかせてくれたことだ
        なればこそ私は、同じ痛みを知る貴公を岳父と仰ぎたいと思う 魔と人と、凡そ交わることを知らぬ我らが道を同じくするのは並大抵のことではない
        しかし、いつかはこれが当たり前になるかもしれぬ この道の先にいかなる苦難が待とうとも、進むと決めた 二人で、共に
        魔界の事情については……公とエステル殿の智慧を頼るより他ないが、この身ひとつ、ものの役に立つことがあれば犬馬の労も厭わぬと誓う
        ステラ、私ばかり話してしまった(決意の光を宿したまま優しい眼を向けて)言葉の足りぬところがあれば補ってほしい ステラの言葉は私の言葉だ
        -- ガラテア 2024-04-21 (日) 00:56:52
      • 「人と魔を境とし、互いの属する共同体と轡を並べ、殺し合う。
         それがアリウスより分かたれし諸神の計らいであり、我らを縛る呪詛と欺瞞。
         神々を打ち手とする盤上の駒である……という点においては、人類も魔族も同じであろう」
        ガラテアの語る前段を肯定するように、微かに頷いてはゲオルクの言葉は続いていく。
        「そして其方と我を巡る状況と道行き。
         殺し合うさだめにある存在を殺し、本来交わるはずのない存在と情を通じた。
         その点においては、其方と我の境遇は相似を描いているといえる。だが、しかしだ」
        ──ある一点において己とガラテアには決定的に異なる点がある。
        老魔は内心で言葉を留め置き、ガラテアに促されたステラへと視線を転じる。
        相対する娘の紅き双眸は惑いに揺れていた。

        ステラは考える。
        なぜ父はこうも端的な問いを繰り返すのか?
        学術的な分野ならいざ知らず、個人的な情動へ問いを重ねる姿は初めて目にするものであった。
        なぜ父はわざわざ常夜結界のことを口に出したのか?
        この会話が第三者の監視下にあることを伝えたのは、ガラテアに覚悟を問うためだけのことなのか。
        なぜ母は隠匿の術を使わずにガラテアをこの地へと連れてきたのか?
        短時間であれば露見せずに話し合うことも出来たはずであるのに。

        沈思黙考の中、再度紡がれるガラテアの想いを耳にし、彼女の温もりを直に感じていくうち、
        迷いや疑問は吹き飛んで、胸の奥に熱い火が灯っていく。
        余人の思惑など何するものぞ。見も知らぬ第三者はもとより、いかなる神々にも、古竜にも、神祖にも、恥じ入る行いはしていないのだから。
        「お父様。さきのガラテアの言葉に足りぬ言葉など一つもありません」
        間近にある蒼い瞳には茶目っ気も交えて愛らしくウインク一つ返し、左手を掲げる。
        「なので私からは惚気話を一つ」
        ステラは左手の薬指に嵌めた指輪を再び示す。
        黄金のリングを彩るロイヤルブルーの輝きが、玄妙なる光彩に溢れた室内で一際瞬いている。
        「我が愛ガラテアは、私の中の魔性を看取した後も私を愛し、更なる愛を育みました」
        過日の出来事が胸に去来する。不都合な真実は白日のものとなり、生じた絶望は希望へと転じ、愛が生まれた。
        「我が片翼にして我が火。我が夜にして我が光。暗き夜の道行きを照らす我が月」
        「……夜にして光、か」
        瞑目して呟くゲオルクに、ステラは満面の笑みを返した。

        「……一つ思い出したことがある。
         『魔と人は、昼夜のごとく交わり得ぬものなれば』というさきのガラテア・ウム・ゼイムの言葉。
         そして先のステラの言葉。それらに関連する事柄である。
         父祖ゼノバスから直接賜った数少ないお言葉の一つ。ステラよ。覚えておるか?」
        闇は陽の弥終(いやはて)、陽は闇の最先(いやさき)……でしたっけ?」
        ゲオルクは微笑んで娘に頷き返すと、緩んだ口元を結び直すように咳ばらいを一つ。

        「かつて人類が生み出された時、善神を称する愚昧な一派はある仕掛けを施した。
         魔に類する存在に対して『殺意』と『憎悪』を抱くように、人類を創造した。
         いずれも彼奴らが『悪神』と謗る権能の内だ。それを己の被造物に植え付けた。
         下らん! じつに下らん!!! 何が『善神』か! その行いのどこに善性などある!」
        老魔の総身から怒気が滲み溢れ、石造りの大部屋の空気が震える。
        赤月が覗く巨大な飾り窓が突風に揺られて音を軋ませ、室内を一陣の風が走った。
        「……そも、そのような呪詛は不要だったのだ。
         人も魔も利害が対立していれば自然と殺し合う。
         その創造主である神々がそうであったように。
         かつて祖神アリウスが写身として創造した竜がそうであったように。
         魔も同族で容易く争いを起こす。無論、人類も同じく。
         ガラテア・ウム・ゼイムよ。そなたなら身を以て知っているだろう」
        先ほどの激していた様子は鳴りを潜め、また周囲は夜の静けさを取り戻している。
        「そのことは呪詛を施した神々も承知の上であろう。
         だがそれでもそうせざるを得なかった。
         戦いの駒として生み出した人類と魔族を、無心で争わせるためには欠くことが出来なかった。
         それはなぜか?」
        誰に問うでもなく、その答えを明らかにする前に老魔は再び右手を掲げる。
        睦まじく抱き合う二人へ向けて真っすぐと、人差し指から小指まで計4本を立てて示す。

        「……ガラテア。そしてステラよ。最後の問いだ。
         其方らが自覚するように、道行きは苦難に満ちている。
         因習に縛られた人類や魔族はおろか、蒙昧な神の一派すらも、障害となり得る。
         それでもなお……いついかなる時でも、互いを愛し敬い慈しみ、二人で共に進むと……誓えるか?
        最後の問いは今までと趣を異にした韻律を伴って紡がれる。
        まるでゼノバスの奇蹟を行う聖句を口にする時のように粛々と。
        老魔の視線は、向かい合う二人の瞳、そしてステラのかざす指輪へと順繰りに巡っていく。
        「ガラテアの言葉は私の言葉」
        ガラテアの耳朶に口元を寄せてささめくと、花咲くような微笑を散らす。
        ステラの答えはとうに決まっているからだ。 -- 2024-04-23 (火) 00:45:03
      • 公よ、私もひとつ思い出したことがある かつて人界は二つに割れた 神々の恩寵に浴する王国と、我ら人の道の体現たる帝国の戦だ
        人を護るべく磨かれた刃が人に向けられた 雌雄一対の剣が互いに噛み合い、屍を山と積み上げ流れ出でた血は大河を成した
        後の世の史書にもあるとおり、”世紀の愚行”と謗られても致し方のない結果だけが残った ただ、しかし……それだけではなかった
        私のような若輩者には、主上の御心の全てを察し奉ることなど叶わぬ望みだ とはいえ、我らが”人の国”であることは疑いの余地なきこと…
        神の子羊たる王国とは異なる在りようを求め、神々の思惑を離れて自らの意志のみを尊ぶ道を歩んできた 帝国の臣民は神々を恃まず、縋らず、崇めもせぬ
        我らは神の子羊にあらず、恩寵も加護も求めはしない 我らのさだめは天のいと高き神々の御園にあらず、己が手の内に在るものと信じている……

        (ここまでは誰もが知る帝国の理念、人の人たる所以を求めるゼイムの信条だ この話にはまだ続きがある)
        ゆえにこそ、かの大戦は必然であった 我らが本意は”征服”にあらず 目指したものは……”解放”だ
        人の歩みゆく道の果てには、いつか必ず神の世の終わりがあるはずだ ”帝国”という機構は…神々の支配を排し、人の世を齎さんがために在る
        人は旧きさだめの奴婢にあらず 血に刻まれし憎悪、魔と人の相克もまた然り…我らが父祖の想い描いた未来に至らんがため、神の頸木に挑んだのだ
        結果は貴公も知っての通り……理想は歪み、希望は砕け…あらゆる汚辱と悪徳が地に満ちた 神々の鞭に打ち据えられ、亡国の憂き目に遭った
        この身ひとつもまた然り 目覚めた時には全てが終わっていた始末だ ゲオルク殿……失礼、公よ、我らは道を誤ったのだろう
        別の手立てでなければ至れぬということだ 私にはそれが何かまだわからないが…
        (墓場まで持っていく類の話をべらべらと喋ってしまった)
        (この場、この時、この人々に知っていてほしいと思ったためだ 何よりそれは、)……このささやかな一歩をもって、全ての魂への餞としたいと思う
        (人と魔が共に歩めるという可能性 遠い未来に訪れるかもしれない真なる自由の体現が、今はまだ多くの困難を伴うとしても)
        (誓いを、ここに)
        誓うとも 我が愛に掛けて、とこしえに(返答はさだめに挑む只人として 婚礼の儀式のようだ、と思いながら花嫁に唇を寄せた)
        -- ガラテア 2024-04-24 (水) 00:22:11
      • 「全ての物事には時宜がある。ただ、それだけのこと」
        ガラテアの語るミネラ=ゼイム戦争の端緒と果て、そこに秘められた意図。
        否定とも肯定とも取れる端的な言葉だけを表に出し、ゲオルクは伏した心の内に思う。
        ──時期尚早であった。
        あの時代、ミネラにおいて神々の恩寵はあまりに近く、人が神から離れるにはまだ未成熟であった。
        ゼイムの先鋭的な思想は、帝国全ての民へと浸透させるには至らず、その結束に綻びが生じた。
        付け入る隙は幾らでもあった。他国からも、自国からも、そして神々と魔族からも。
        雑多な思惑と策謀が交錯し、蒔かれた不和と混乱の種は、結果として二度目の人魔の大戦へと繋がっていった。
        全てが拙く幼かった。人も、魔も、神々も。アリウスが原初に造りし竜たちの足跡をなぞるばかりであった。
        ──だが果たして、それだけか?

        宵闇の魔女エステルは、今にも溢れそうな感情を押し止め、口の端を震わせる。
        ゲオルクが二人に向けた最後の問い。
        もはや問いとも呼べぬ、まことに珍奇な文言と裏腹に厳かな韻律。
        その答えは言葉と行為で示される。
        唇を寄せるガラテアへ、実に情熱的に。ステラは人目も憚らず差し出された蕾を啄み食む。
        「いつも通りで、ね」
        交わされる口づけはどこまでも甘く。魔性に濡れた声音と視線で融かす様に。
        ささめきと共に鋭い歯がガラテアの唇を浅く裂き、浮き立つ赤い雫を舌で掬い取りながら、淫らな調べが静謐の内に続く。
        真紅の瞳に明確な魔を宿しながらも、唇と舌は慈しむ様に、そして貪欲に相手を求める。
        誓いの口づけをしかと見届けていたゲオルクが、徐々に行為が熱を帯びて加速していくにつれ、瞳を伏して瞑目したところで、エステルの我慢は限界を迎えた。
        「……っく、ははっ……あはははははははは! いつまで黙っているつもりだゲオルク! この調子では止むまで夜が明けてしまうぞ、ははははは!」
        それまで押し殺していた笑いを弾かせて、エステルはさも愉快そうにゲオルクの傍まで歩み寄ると、その背中をばしばしと手のひらで叩く。

        老魔は呆れとも感心とも付かぬ複雑な色合いを帯びた視線でエステルを睨みつけてから、深く深く大きな息を吐く。
        全くこの女のやる事は昔も今も変わらず唐突で型破りだ。自分の求める最上を得るために、実現可能性など端から捨て置いている。
        「……ガラテア。そしてステラよ。其方らの答え、しかと受け取った。
         ……ステラ。ステラ。もうよい。答えはもう見た。そう恨みがましい目で見るな」
        未だに続けていた口づけを途中で打ち切られ、実に名残惜しそうな様子を見せる娘に父は苦笑する。
        その笑みが満足げなものに変わり、立てていた指を折って力強く握りこむ。
        「みごとだ」
        もはやその喜悦を隠そうともせず口の端を綻ばせて、老魔は手にした杖を軽やかに地に打ち付ける。
        「視座の高い者は遠くまで物事を見通すが、得てして己の足元を見落とす。
         いかな高説も、その行いが付いてこなければ、ただの空論であると他者に捉えられる」
        花の香りと共に柔らかな風が室内へと吹き込んでくる。
        馥郁たる香気がゲオルクの手に辿り着けば、古城の中庭で咲き誇っていた薔薇が一輪現れる。
        「今宵最後の昔語りだ。父祖ゼノバスがその分け身として我を生み出した時。
         我は人類への殺意と憎悪を抱く仕掛けを授からなかった。そのような作為は不要であると」
        つとゲオルクが横目でエステルを流し見る。その柔らかな眼差しを受けて、薄笑いのままエステルは胸元から輝石を取り出す。
        室内に設えられた輝石よりは小ぶりながらも、より強く不思議な光彩を備えた光石をゲオルクは受け取って、薔薇へと静かに重ねる。
        「それでも私は父祖を敬い、慕い、善神を称する存在を憎み、彼奴等の生み出した人類を数多も屠った。
         この身、この魂、暗黒のゼノバスの魔性を色濃く宿すものと、闇に生き、死と恐怖を遍く振りまいた。
         それは全てが己の自由意志であると、我は今も信ずる。楔なくとも、思うが儘に生き、思うが儘に殺した」
        薔薇と光石。それを両の掌を合わせて包み込み、総身からマナを滾らせて流し込む。
        「そして偶さか、妙な女と出会った」
        「おい」
        声色と瞳に若干の殺意を織り交ぜて、エステルはゲオルクの両拳に手を重ねて、同じくマナを流し込んでいく。
        「理と利で結びついた関係だが、妙なことにその女とは余人へ持ち得ぬ感情を交感するに至った。
         その感情を言葉に言い表すのは至難の業だ。が、敢えて既存の概念に当てはめるとするのであれば」
        強く重ね握られていた二人の掌が解かれると、そこには薔薇を形どった光石が輝いていた。
        「…………愛だ」
        間が長い、と不機嫌に唇を尖らせるエステルに頬を抓られながら、ゲオルクはガラテアに薔薇の輝石を差し出す。
        夜空に散りばめられた様々な星のごとく、時には白く、時には蒼く、時には紅く、時には黄金に。
        見る角度で目まぐるしく色を転じていく光石は、うっすらと薔薇の香気を漂わせ、ガラテアとステラの姿を照らしている。

        「魔性を色濃く宿したこの身と魂でさえ、人類の女と通じてしまった。
         人類と魔族を戦いの駒とするに枷無くば、神々に不都合が生じていたのは想像に難くない。
         だが、どうだ。そんな小賢しい企みなども無為であったと。
         旧主の呪詛を超克せしものガラテアよ。其方の今の在り方こそ、其方が抱いたかつての理想に至る道を体現している」
        その理想は、奇しくもゲオルクとエステルの目指す真理の道と交錯するものでもあった。
        善神や悪神、人界と魔界、その境に思考を囚われず、あるがままの世界を、闇と光を内包する宙の理を解き明かす道と。
        恭しく儀礼的な辞儀と共に、ガラテアへと薔薇の輝石を手渡すと、ゲオルクは真紅の双眸を滾らせて巨大な赤月に吠える。
        「痛快、実に痛快だ!」
        窓越しの巨大な月、その先へと挑む様に威容を纏わせてゲオルクは宣言する。
        「我が娘ステラの伴侶たるガラテア!
         此のものは善性を掲げる愚かな神の一派の欺瞞を明らかにする存在である!
         厚顔無恥な一部の神々の下らん小競り合いが引き起こした、実につまらぬ裁定を顕わにする生きた証!
         それに仇なすことあらば、この暗黒のゼノバスの直系たるゲオルク・フリードリヒ・オラトリオの道行きを阻むと同義!
         手向かうならば、血の代償を以て贖うと心せよ!!」 -- 2024-04-25 (木) 00:53:22
      • (きっとこの瞬間にも想像を遥かに超える数の耳目を集めているというのに、誓いの口づけはどこか淫らで)…………ん……
        (ふたつの粘膜が擦りあい、ひとつに溶けて、普段にも増して燃え立つような熱情に突き動かされていることが伝わってきた)
        (痛みすら感じぬほどに裂かれた唇が甘く疼きだし、胸の内では求められる悦びの方が勝ってゆく)………ステラ、ステラ…
        (腕の中から匂い立つほどに濃い魔の気配が立ちのぼる 口付けはめくるめくように、どこまでも深く甘く続いて)
        (オーディエンスがいなければ夜が明けるまで続いたであろう一時を終えると、一仕事終えたような満足げな笑みを向けた)
        ゲオルク殿………否、向後は父上とお呼びしようか(熱を帯びた柔らかな身体を支える感触を愉しみながら見守って)
        此度のことも、いつの日にか昔語りの語り草になるのであろう その時まで健勝で在られんことを願っている ステラのためにも
        (祝福のしるしを授かり、そのきらめきを目に焼き付けたあとステラの手を重ねて包む 指の間から柔らかな光が漏れ出でるさまを眺めて)
        嗚呼、生きていてよかった 永き旅路は、無駄ではなかった(心からそう思えることに、胸が震えた)すべてのさだめは、この瞬間のためにあったのだろう
        ステラ、我が愛、さだめの星よ(どんな言葉をもってしても言い表せない歓喜に身体がぞくりとわななき、竜角の蒼き燐光が見たこともないほどに輝く)
        (アリウスの子らたる諸神、魔界にひしめく万魔の長らも照覧あれ 緊張の糸が切れるではなく、ただあらゆる怖れが胸から消えて)
        (輝くような笑みをもって、生まれてきた意味を見つけた喜びを示した)佳き日を共にできたこと、そして我が妻に迎えられたこと
        誇らしく思う、ステラ、我が妻………ふふっ、妻、妻か 本当に認められたのだな(万感の想いを分かち合い、まなざしに想いを交わして)
        そして父上、母上 此度の仕儀にとどまらず、美神の寵児、ゼノバスの姫君の世に在ること……ステラに似て愛深き御心に感謝を
        この恩顧、海よりも深く山よりも高く…心に刻み、終生感謝を捧げよう 同じ道を歩めること、この身に余る誉れに思う
        -- ガラテア 2024-04-25 (木) 23:26:44
      • エステルが取り出した輝石。それは天から降りし星光の結晶の中でも、より純度の高いものであったとステラは記憶していた。
        両親の手によりマナを通じて薔薇と一体になった光石は、己の原型の一つとほぼ同一であり、命を宿す星と同質のものである。
        ガラテアと重ねる手から零れ出す光は、命の脈動を表す様に色を転じていき、新生の煌めきを示している。
        星は命を宿し、地に生を受けし者たちへのしるべとさだめ。
        その論に従えば、ゲオルクとエステルは最上級の祝福を以て、新たな道に導きの光を灯したのだと察する。
        「ガラテア。我が愛、我が君」
        竜角に蒼い輝きを宿し、それに負けぬほど眩い笑みを見せるガラテアへ、とびきりの笑顔を返す。
        胸に満ち溢れる喜びと共に、瞳には涙が浮かんでくる。その源泉は両親からの祝福だけではない。
        ガラテアがこれまでの道行きを、《篝火》としての来し方も含めて、自らを肯定しているのが何よりも嬉しかった。

        「……思うが侭、感じるが侭に生きよ。それだけでよい」
        ガラテアへと向けた端的なゲオルクの言葉に、エステルは口の端を吊り上げて言葉を継いでいく。
        「ふふっ。ガラテアよ。これはな、ゲオルクがステラにも良く言っていることだ。私も想いは同様。お前たちはもっと好きにしていいくらいだ」
        エステルは薄っすらと笑みを浮かべたまま、自然とゲオルクへ身を寄せて抱きしめる。
        「今回のことで、私もわざわざ魔の目を忍ぶ手間から解放された……そう取って良いのだろう?」
        なぁゲオルク、と積年の含みを音色に滲ませながら、指先で良人の胸元を詰問するように突いている。

        ちゃっかりした母の様子に浮かべた涙を少し引っ込ませて、ステラは再びガラテアと眼差しを重ねる。
        愛はさだめ、さだめは死。死せるアリウスから『私たち』のさだめは始まった。死から新たな生が生じ、各々がさだめを求め律した」
        創世龍アリウスの『死』によって神々は生じた。死を象徴とするゼノバス、その使徒が世界の在りように目を向けたのは、極めて自然なことだとステラは感じていた。
        別たれた全てが一つの内にあり、如何なる楔があろうとも。その思索の果てが、『好きにせよ』と一言で結ぶならば。
        「何をさだめとするか、私たちは選んでいける。愛をさだめとし、そのさだめをしるべとするなら。
         愛とはその下に皆が憩う木。枯れないようにせっせと水をやり、世話をし、また新たな芽吹きを育んでいく絶え間なき行い」
        真紅の中に映える蒼い瞳。真昼でも闇夜でも、同じ瞬きを見せるこの星こそが私のさだめなのだと、改めて胸に刻んでいくように。
        「私の愛は血と水で育つの。これからもしっかりとお世話してね」
        結びと共に抱擁と口づけを。幾度も幾度も。今までも、そしてこれからも続いていくように。
        -- ステラ 2024-04-30 (火) 18:04:40

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編集:星火燎原
&color(#166193){}; ガラテア>ARA/0010
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女神像の噂

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Last-modified: 2022-06-14 Tue 00:07:53 JST (768d)