ARA/0010

  • 膨れた頬に口づけを受けて、ステラの赤い瞳が大きく瞬く。
    そのまま降りしきるキスの雨に、当惑したように眉を八の字にさせながらも不機嫌そうだった口元が徐々に緩んでいく。
    「ちょ、ちょっと、ガラテア……! ま、待って、ちょっ……こらっ、めっ、でしょ……!」
    押しとどめるようにガラテアの肩口へ添えた手の力も、抗議の声も弱弱しく、コロコロと転じていくステラの表情。
    口づけを受ける最中、にやにやと薄ら笑いを浮かべている母の顔を見れば、その揺れ動く複雑な胸中にすっと一つの線が走った。
    「……もぅ。ガラテアったら。本当に貴方ってば、しようのない子ね」
    お返しとばかりにガラテアの唇へと口づけを返すと、抱き上げようとしてくる手からすっと逃れて、彼女の側面へと身を翻す。
    そのままガラテアの腕を取り、彼女にぴったりと身を寄せれば、横合いからの上目遣いでとびきりの笑顔を見せる。
    「何があっても私は貴方の味方だから、ね」
    半ば己に言い含めるように流れた言葉の先では、エステルがいつのまにか木造りの大扉の前まで歩を進めていた。
    そこへいざなうように、ガラテアの手を取って横並びに歩く靴音が、赤い絨毯の上で厳かなリズムを刻んでいく。
    「さぁ。お父様がお待ちよ」

    無造作に扉を開いて、勝手知ったる様子で扉の先へと歩いていくエステル。 視線で辿っていけば、石造りの部屋の中はところどころで玄妙な輝きを湛えている。
    燭台の代わりに点在する輝石が、夜に瞬く星光のように闇を青白く照らし、巨大な飾り窓から覗く赤月の光と奇妙なコントラストを描いている。
    石造りの闇を微かに照らす儚げな青と赤の光。赤い絨毯が敷かれたその最奥に、ぽつりと古ぼけた椅子が一つ。
    その主は椅子から離れた場所で、窓越しの真紅の月を見上げて佇んでいる。
    歩を進めていたエステルが足を止め腕組みし、微妙な距離を隔てて、古城の主に静かな視線を向けている。
    老境に差し掛かった厳めしい面構えは、ただ無言の内に空を見上げて赤い瞳を閉じる。
    扉から吹く風が長身の男の白髪と漆黒のローブを微かに揺らすと、赤い瞳が再び開かれ、風の起こりへと視線を転じる。
    そこで初めて己が妻エステルの姿を認め、そのまま視線は過ぎていき、寄り添う若い二人の影に止まる。
    「ゲオルク・フリードリヒ・オラトリオである。闇と夜、そして死と恐怖を象徴する暗黒のゼノバスの直系。そして、このうら寂れた古城の主でもある」
    男は視線と共に身体をステラとガラテアへと向き直れば、静かに訥々と言葉を刻んでいく。
    「常夜結界の内で起きたことは我の既知の事である。故に其方の素性は先刻承知の上……」
    老木で作られた漆黒の杖を、こつこつと石畳に打ち付け、男は真っすぐに視線をガラテアへと向ける。
    「が、其方の口から直接聞きたい。其方は何者か、何が目的でこの地を訪れたのか」
    問う老魔の口振りと視線からは何の色も感じ取れない。魔族が人類種に抱く殺意も敵意も、その他の含意も一切無い、紅き双眸が透徹と瞬く。 -- 2024-04-18 (木) 22:48:09
    • 心得ている(何があっても味方だ、と言われれば頷きを返して)背中を押されていることも(もしかすると、緊張に顔が強ばっているように見えただろうか)
      (であれば、しっかりしなければと自戒する 数えて数秒の瞑目、呼吸を整え、自然体で胸を張る 青き血筋に相応しく、骨の髄まで染みついた所作をひとつずつ思い出す)
      (この身を織りなす血肉は、女神の似姿と謳われた王国の至宝にして帝国の希望 蒼く煌めく焔をもって世を照らさんとした《篝火》の帝姫)
      (昔日の威儀は朽ちず変わらず、うら若くも少女と呼ぶにふさわしき一身をもって、燦然として壮麗なる幻想を比類なき調和のもとに体現する)
      (長じて後にも父王たる主上に見える機会は数多くあったが、万雷の喝采を浴びて出征の挨拶を奏上した時にさえこれほどの緊張を味わっていただろうか?)
      (おおよそ現実離れした絵のような光景の中を、ステラと二人並び立って歩み続けた 城主の気配は常にあって、一歩歩むごとにその輪郭が濃さを増してゆく)

      (そうしてたどり着いた場所、長くも短き奇妙な旅路の終着点に立っている)
      (血のように紅い月光を浴びて、異邦を吹きわたる風にそよぐ白髪 立ち姿は息を吞むほどに美しくも峻厳なる威厳に満ちて在り)
      (胸の内に直接響いてくるような質量のある声音を受け止め、他国の元首に対する儀礼と所作をもって応じた)
      (彼こそは万魔の長にして超然たる孤峰 魑魅魍魎のひしめく大地に割拠し、一国と一城を領する魔王に他ならぬがゆえに)
      (投げかけられた問いの意味は明々白々 何人であると名乗るも佳かろうが、わずかに一言の答えが未来を決するかもしれなかった)
      私はガラテア・ウム・ゼイム ステラの佳き友にして、愛深きことを知る者だ 用件はただひとつ、我が愛と心は同じく
      公を慕い、祝福を賜りたく願う(求めるものは形なきもの、そしてステラの幸せには欠かせないもの)
      (此度の婚礼が親子の絆と情を損なうものであってはならない なればこその挨拶だ 互いを知るところから始めたいと思う)
      -- ガラテア 2024-04-19 (金) 01:57:44
      • ガラテアの言葉を反芻するように、自身の顎鬚を指先でなぞるゲオルク。その眉間の皺が思考と共に深く刻まれる。
        「ガラテア・ウム・ゼイム。其方にいくつか訊ねたいことがある」
        老魔は右手を杖から離し、人差し指を一つ立てる。
        「その祝福とは、誰が誰に対してのものなのか。そして何を企図したものなのか」
        続けて中指を立て、老魔は静かに言葉を紡いでいく。
        「そしてその祝福を、なにゆえ授かりたいと願うのか」
        言葉面と表情こそ厳めしいが、声音は夜空の雲を緩やかに流していく風のように、穏やかな韻律を伴っている。
        「人界の習わしに照らせば自明の理であろう。そのことは、我も知識としては身に着けている」
        あくまで知識としてだけだが、と付け加えながら、二本指を立てたまま言葉は続いていく。
        「其方とステラ。我とエステル。各々の置かれた状況や立場を考慮すると、人界の習いをそのまま適用するには、いささか不適切である……と、我は考えている」
        そこで初めて、対面してからガラテアの方に向けていた視線をエステルの方へと転じ、溜息というには控えめに息を吐く。
        腕組みをして不敵な笑みを浮かべたままのエステルを真紅の瞳が捉えれば、老魔の眉間が複雑に歪む。
        「……それ故に二つの問いを発した。其方の答えを聞きたい」
        ゲオルクの視線が再びガラテアとステラの二人に戻る。
        僅かに緊張した面持ちでガラテアの服の裾を指先で軽く摘まんでいるステラの姿が視界に移れば、老魔の口の端に微かな笑みが浮かぶ。 -- 2024-04-19 (金) 17:57:38
      • (自身の有様を顧みるに、元来多弁な性質ではない 公人たる者たちの言葉には相応の重みが備わるが故に、自然とそうなってしまう側面もある)
        (ましてや万魔の上に立つ者であれば何をかいわんや、共通の言語を多くは持たぬ者同士、まともな会話が成り立たない懸念さえあった)
        (公は多弁にして雄弁であり、最悪の想定に比べれば望むべくもないような状況と言えた ステラという共通項は想像以上に大きかったのだ)
        (問いかけは関心の表明であって、状況が許すかぎり自由な発言の機会を与えられている証左でもある)
        この身ひとつは昔日の影 篝火もまた、已んで久しき古物ながら…今日の習いは言うに及ばず、天地開闢の神代よりあり得ぬことと承知している
        なればこその話しあいだ 自らが先例となり、後の世に続く者らの魁となる 斯様な先達が在るならば、訪ねて知恵を求めたいとも考えた
        公はステラを言祝がれるであろう 私は……公を愛する心情、心映えの美しきさまを知っている しかし、それだけでは十分ではない
        (裾をつまんでいた手をとり、胸の高さまで持ち上げた その指先には母の形見が輝いていて)ステラと私、祝福は二人でひとつ
        ………私にも、父と呼ぶことを許してほしい(ステラと同じ、紅い目を見た)もしも主上が世に在られたならば、此度のこと、お許し下さると信じている
        今日の帝室は兄の血筋ゆえ、この身はもはや外交の道具にはなり得ぬ あるいは一人の父として…佳きに計らえ、と仰せになったやもしれぬ
        (二つ目の問いの答えも、もう口にしたかもしれないが)我が愛、我がさだめ ゼノバスの腕に抱かれし、バロネールの導きの光―――天の星(・・・)
        夜に星々は数あれど、私の星はただひとつ とこしえに輝いて在れと(こいねが)う 理由は、つまり(まなざしを重ね、仲睦まじくはにかむ)
        (父母の祝福はきっと、ステラにとって)一番の贈り物になるから
        -- ガラテア 2024-04-20 (土) 02:51:35
      • ガラテアの返答の大部分は、凡そゲオルクが想定していた可能性の内だった。
        故にゲオルクは、臆せず朗々と紡がれるガラテアの言の葉を、表情一つ動かさず耳を傾けていた。
        ただ一点。凪いだ水面に大きな波紋が広がる瞬間があった。
        『私にも、父と呼ぶことを許してほしい』
        それを耳にして一拍のち、老魔の眉間にかつてないほど深く深く皺が刻み込まれていた。
        彼を良く知るエステルは、そんな夫の様子を目にして必死に笑いを嚙み殺そうと肩を震わせていた。

        他方、娘のステラは渋面とも懊悩とも付かぬ父の表情を目にし、その内心を量りかねて瞳を丸くする。
        当惑のうちに、並び立つガラテアの言葉へと思考と視線は移り行き、自然と蒼い瞳へ吸い寄せられるままに笑みを浮かべる。
        想い合う互いの様子で知れようが、駄目押しとばかりにガラテアへ抱き着いて、父へと向けて無言のままに何度もこくこくと頷いて見せる。

        ガラテアの語る内容を肯定する娘の稚気混じりの振る舞いに、ゲオルクは瞑目して天を仰ぐ。
        「…………ガラテア・ウム・ゼイムよ。重ねて問う」
        再び目を開いた老魔は、ガラテアの目を見据えて3本目の指を立てようとするも、その手は途中で止まる。
        「……問う前に、だ。これから私の発する問いへ、より正確な回答を期するために話さねばならぬことがある」
        これまでの2つの問いに対してガラテアの出した答えは、生半な覚悟で発せられたものではあるまいと、ゲオルクは見て取った。
        それゆえに、伏して語るつもりの無かったことを語らねばならぬと、老魔は腹を据えて一つ息を吐く。
        「常夜結界の内で起きた事だけでも其方には軽挙妄動のきらいがある、と我は考えている」
        左手に持つ黒杖の先が石畳の地を打ち、硬い音を一つ響かせる。
        「十数年前、我が娘ステラが吸血を長期行わなかったことにより人類として知覚される事態が起きた。
         それを端緒として秘匿していた我が妻エステルの存在が露見し、この地の常夜結界にはある仕掛けが施されるようになった。
         ゼノバスの権能に通じた高位魔族、あるいは結界術に長けた魔のモノであれば、我や巫女クロティルダと同様に結界内の出来事を感知出来る仕掛けだ。
         父祖ゼノバスより拝領した地を護る為、他の監視下に置かれる斯様に屈辱的な仕打ちですら、多くの血と代償を払い手にする有様だった」
        そこで初めてゲオルクは憤激した様相を露わに、杖を強く地に叩きつけ、ひと際激しい夜風が吹き付ける。
        「我が妻エステルがその咎より免れたのは、ひとえに特異な人格と功績によるところが大きい。
         暗黒のゼノバスの使徒の扶けとなる、夜と闇の権能と真理の探求。まずこれが理知的なゼノバス麾下の高位魔族の目に留まった。
         次いで人魔の見境なく、敵対するものは容赦なく害し、利するものは徹底的に利用する性質が、善神の欺瞞を暴く存在であると興を買った」
        ほーお、とエステルが何か言いたげな目つきで息を吐くが、ゲオルクは鼻を鳴らして言葉を続ける。
        「我が娘ステラも同様の扱いとなった。母の跡目を継ぐものとして、そしていずれはゼノバスの系譜を継ぐものとしての目算も込めて。
         だが全ての魔族がそうした認識を持つ訳ではない。偶さか個として強大な力を持つゼノバスの使徒からは御目溢しとなったが、知と理の埒外にいる有象無象は吐いて捨てるほど存在した。
         粗方掃除は終わったが、それでもなお、未だに湧いて出てくる始末だ」
        これも我が身の不肖ゆえ、と嘆息し、幾分平静を取り戻してからガラテアを改めて見据える。
        「さきも触れたが、この地、常夜結界内の動向は他の魔族の監視下にある。
         今となってはエステルとステラの滞在が知れたところで、流れる血の量はたかが知れている」
        例えそうだとしても、ステラがこの地に訪れることは稀であった。
        それが無用の争いを引き起こし、父祖ゼノバスの(よすが)である地と居城が父の手から離れることに繋がるのを危惧したがゆえに。
        「だが其方はどうか? 第一次人魔大戦の英傑ウィルハルト=ウム=ゼイムの後裔たるガラテア・ウム・ゼイムよ。
         その名、その血筋、その力。其方の意図が那辺にあれど、その来訪を知れば魔に属する者たちが如何とするか。
         例え常夜結界の外にあろうとも、真の魔界に於いてその身に宿りし力は、探知の力に長けたものからすれば容易に看取できよう」
        無論のこと、常夜結界の内においては監視の目を晦ます術は幾つか存在する。
        だがその術を持ちながらも、エステルは敢えてその術を使わずガラテアをこの地へと導いた。
        「ずいぶんとまぁ長い講釈だったなゲオルクよ。今後、私と愛を語らう時もそれだけ口が回ることを期待しよう」
        こちらの思惑などお構いなしに、軽口を叩いてにやにやしているエステルを横目で切って捨てると、ゲオルクはガラテアに向けて右手をかざす。
        「……3つ目の問いだ。ガラテア・ウム・ゼイムよ。
         其方はさきの問いに対する答え……その望みが、如何なる事態を引き起こすか、思慮した上でも希求するか?」
        右手の薬指をゆっくりと立て、計3本の指を示してはガラテアに訊ねる。
        問いの前段で激することはあっても、ガラテアに向ける声音と視線は終始平静を保っている。
        それは3つ目の問いを投げかける時も変わらず、青い瞳を捉える老魔の真紅の瞳も同様に、微かな柔らかさすら帯びている。 -- 2024-04-20 (土) 22:46:27
      • (来訪の意図を伝えた上で、話題は当然に起こり得る事態へと移ってゆく 話にならぬ、と一蹴される可能性も大いにあり得たはずだったが)
        (ことの是非を論じるに及ばず、言い換えれば当人としては左程の問題にはならぬと考えている こちらの話の理解に努め、熟慮の上でそう決した)
        (老公が感情を示して尚、寛大で懐の深い人物であるとの印象に変わりはない 無理を押し通すために払った犠牲と労苦は察してなお余りあった)
        (そしてこの身は新たなる厄介の種には相違なく、面倒ごとを持ち込んでいる自覚もあった)承知している それもまた青き血のさだめに他ならず……
        元より長居はせぬつもりでいたが、問われたからには我らの間に横たわる不都合についても語らねばなるまい(できれば触れずに済ませたかったが、覚悟はしていた)
        我が父祖は万魔の大敵、そして魔神の使徒は我が怨敵に相違なし 今この瞬間にも狡知に長けたる策謀の大君(ラトロンズ)のまなざしを注がれて在ることを感じずにはおられぬ
        公よ 私のような飾り物にも、忠節を尽くす臣民があった 皆を破滅のさだめへと誘った悪鬼の哄笑が耳を離れぬ 生きて世に在るかぎり忘れられるものではない
        一時の歓心を買わんがため、心にもない甘言を弄し公の足下に額づくことがあれば、皆は私を許さぬだろう 魔と人は、昼夜のごとく交わり得ぬものなれば…
        (ステラの背中に手を添える その身を強く抱き寄せた)しかし、しかしだ……公よ、それは貴公らも同じではないか?
        我が父祖と同じく、この身もまた多くの魔族を手に掛けた 我らが魔族に向けた憎悪が、この身を憎む魔族の心根を上回るものであると言えようか?
        公よ 我らはあまりに多くを害し、そして多くを喪ってきた たとえ幾多の闘争が、アリウスの子らたる諸神の御心に適うものであろうとも―――
        流された血にいかほどの意味があっただろうか(ステラの首に手をかけた、あの瞬間と同じ想いが胸を満たしていた)皆、ステラが気づかせてくれたことだ
        なればこそ私は、同じ痛みを知る貴公を岳父と仰ぎたいと思う 魔と人と、凡そ交わることを知らぬ我らが道を同じくするのは並大抵のことではない
        しかし、いつかはこれが当たり前になるかもしれぬ この道の先にいかなる苦難が待とうとも、進むと決めた 二人で、共に
        魔界の事情については……公とエステル殿の智慧を頼るより他ないが、この身ひとつ、ものの役に立つことがあれば犬馬の労も厭わぬと誓う
        ステラ、私ばかり話してしまった(決意の光を宿したまま優しい眼を向けて)言葉の足りぬところがあれば補ってほしい ステラの言葉は私の言葉だ
        -- ガラテア 2024-04-21 (日) 00:56:52
      • 「人と魔を境とし、互いの属する共同体と轡を並べ、殺し合う。
         それがアリウスより分かたれし諸神の計らいであり、我らを縛る呪詛と欺瞞。
         神々を打ち手とする盤上の駒である……という点においては、人類も魔族も同じであろう」
        ガラテアの語る前段を肯定するように、微かに頷いてはゲオルクの言葉は続いていく。
        「そして其方と我を巡る状況と道行き。
         殺し合うさだめにある存在を殺し、本来交わるはずのない存在と情を通じた。
         その点においては、其方と我の境遇は相似を描いているといえる。だが、しかしだ」
        ──ある一点において己とガラテアには決定的に異なる点がある。
        老魔は内心で言葉を留め置き、ガラテアに促されたステラへと視線を転じる。
        相対する娘の紅き双眸は惑いに揺れていた。

        ステラは考える。
        なぜ父はこうも端的な問いを繰り返すのか?
        学術的な分野ならいざ知らず、個人的な情動へ問いを重ねる姿は初めて目にするものであった。
        なぜ父はわざわざ常夜結界のことを口に出したのか?
        この会話が第三者の監視下にあることを伝えたのは、ガラテアに覚悟を問うためだけのことなのか。
        なぜ母は隠匿の術を使わずにガラテアをこの地へと連れてきたのか?
        短時間であれば露見せずに話し合うことも出来たはずであるのに。

        沈思黙考の中、再度紡がれるガラテアの想いを耳にし、彼女の温もりを直に感じていくうち、
        迷いや疑問は吹き飛んで、胸の奥に熱い火が灯っていく。
        余人の思惑など何するものぞ。見も知らぬ第三者はもとより、いかなる神々にも、古竜にも、神祖にも、恥じ入る行いはしていないのだから。
        「お父様。さきのガラテアの言葉に足りぬ言葉など一つもありません」
        間近にある蒼い瞳には茶目っ気も交えて愛らしくウインク一つ返し、左手を掲げる。
        「なので私からは惚気話を一つ」
        ステラは左手の薬指に嵌めた指輪を再び示す。
        黄金のリングを彩るロイヤルブルーの輝きが、玄妙なる光彩に溢れた室内で一際瞬いている。
        「我が愛ガラテアは、私の中の魔性を看取した後も私を愛し、更なる愛を育みました」
        過日の出来事が胸に去来する。不都合な真実は白日のものとなり、生じた絶望は希望へと転じ、愛が生まれた。
        「我が片翼にして我が火。我が夜にして我が光。暗き夜の道行きを照らす我が月」
        「……夜にして光、か」
        瞑目して呟くゲオルクに、ステラは満面の笑みを返した。

        「……一つ思い出したことがある。
         『魔と人は、昼夜のごとく交わり得ぬものなれば』というさきのガラテア・ウム・ゼイムの言葉。
         そして先のステラの言葉。それらに関連する事柄である。
         父祖ゼノバスから直接賜った数少ないお言葉の一つ。ステラよ。覚えておるか?」
        闇は陽の弥終(いやはて)、陽は闇の最先(いやさき)……でしたっけ?」
        ゲオルクは微笑んで娘に頷き返すと、緩んだ口元を結び直すように咳ばらいを一つ。

        「かつて人類が生み出された時、善神を称する愚昧な一派はある仕掛けを施した。
         魔に類する存在に対して『殺意』と『憎悪』を抱くように、人類を創造した。
         いずれも彼奴らが『悪神』と謗る権能の内だ。それを己の被造物に植え付けた。
         下らん! じつに下らん!!! 何が『善神』か! その行いのどこに善性などある!」
        老魔の総身から怒気が滲み溢れ、石造りの大部屋の空気が震える。
        赤月が覗く巨大な飾り窓が突風に揺られて音を軋ませ、室内を一陣の風が走った。
        「……そも、そのような呪詛は不要だったのだ。
         人も魔も利害が対立していれば自然と殺し合う。
         その創造主である神々がそうであったように。
         かつて祖神アリウスが写身として創造した竜がそうであったように。
         魔も同族で容易く争いを起こす。無論、人類も同じく。
         ガラテア・ウム・ゼイムよ。そなたなら身を以て知っているだろう」
        先ほどの激していた様子は鳴りを潜め、また周囲は夜の静けさを取り戻している。
        「そのことは呪詛を施した神々も承知の上であろう。
         だがそれでもそうせざるを得なかった。
         戦いの駒として生み出した人類と魔族を、無心で争わせるためには欠くことが出来なかった。
         それはなぜか?」
        誰に問うでもなく、その答えを明らかにする前に老魔は再び右手を掲げる。
        睦まじく抱き合う二人へ向けて真っすぐと、人差し指から小指まで計4本を立てて示す。

        「……ガラテア。そしてステラよ。最後の問いだ。
         其方らが自覚するように、道行きは苦難に満ちている。
         因習に縛られた人類や魔族はおろか、蒙昧な神の一派すらも、障害となり得る。
         それでもなお……いついかなる時でも、互いを愛し敬い慈しみ、二人で共に進むと……誓えるか?
        最後の問いは今までと趣を異にした韻律を伴って紡がれる。
        まるでゼノバスの奇蹟を行う聖句を口にする時のように粛々と。
        老魔の視線は、向かい合う二人の瞳、そしてステラのかざす指輪へと順繰りに巡っていく。
        「ガラテアの言葉は私の言葉」
        ガラテアの耳朶に口元を寄せてささめくと、花咲くような微笑を散らす。
        ステラの答えはとうに決まっているからだ。 -- 2024-04-23 (火) 00:45:03
      • 公よ、私もひとつ思い出したことがある かつて人界は二つに割れた 神々の恩寵に浴する王国と、我ら人の道の体現たる帝国の戦だ
        人を護るべく磨かれた刃が人に向けられた 雌雄一対の剣が互いに噛み合い、屍を山と積み上げ流れ出でた血は大河を成した
        後の世の史書にもあるとおり、”世紀の愚行”と謗られても致し方のない結果だけが残った ただ、しかし……それだけではなかった
        私のような若輩者には、主上の御心の全てを察し奉ることなど叶わぬ望みだ とはいえ、我らが”人の国”であることは疑いの余地なきこと…
        神の子羊たる王国とは異なる在りようを求め、神々の思惑を離れて自らの意志のみを尊ぶ道を歩んできた 帝国の臣民は神々を恃まず、縋らず、崇めもせぬ
        我らは神の子羊にあらず、恩寵も加護も求めはしない 我らのさだめは天のいと高き神々の御園にあらず、己が手の内に在るものと信じている……

        (ここまでは誰もが知る帝国の理念、人の人たる所以を求めるゼイムの信条だ この話にはまだ続きがある)
        ゆえにこそ、かの大戦は必然であった 我らが本意は”征服”にあらず 目指したものは……”解放”だ
        人の歩みゆく道の果てには、いつか必ず神の世の終わりがあるはずだ ”帝国”という機構は…神々の支配を排し、人の世を齎さんがために在る
        人は旧きさだめの奴婢にあらず 血に刻まれし憎悪、魔と人の相克もまた然り…我らが父祖の想い描いた未来に至らんがため、神の頸木に挑んだのだ
        結果は貴公も知っての通り……理想は歪み、希望は砕け…あらゆる汚辱と悪徳が地に満ちた 神々の鞭に打ち据えられ、亡国の憂き目に遭った
        この身ひとつもまた然り 目覚めた時には全てが終わっていた始末だ ゲオルク殿……失礼、公よ、我らは道を誤ったのだろう
        別の手立てでなければ至れぬということだ 私にはそれが何かまだわからないが…
        (墓場まで持っていく類の話をべらべらと喋ってしまった)
        (この場、この時、この人々に知っていてほしいと思ったためだ 何よりそれは、)……このささやかな一歩をもって、全ての魂への餞としたいと思う
        (人と魔が共に歩めるという可能性 遠い未来に訪れるかもしれない真なる自由の体現が、今はまだ多くの困難を伴うとしても)
        (誓いを、ここに)
        誓うとも 我が愛に掛けて、とこしえに(返答はさだめに挑む只人として 婚礼の儀式のようだ、と思いながら花嫁に唇を寄せた)
        -- ガラテア 2024-04-24 (水) 00:22:11 New
      • 「全ての物事には時宜がある。ただ、それだけのこと」
        ガラテアの語るミネラ=ゼイム戦争の端緒と果て、そこに秘められた意図。
        否定とも肯定とも取れる端的な言葉だけを表に出し、ゲオルクは伏した心の内に思う。
        ──時期尚早であった。
        あの時代、ミネラにおいて神々の恩寵はあまりに近く、人が神から離れるにはまだ未成熟であった。
        ゼイムの先鋭的な思想は、帝国全ての民へと浸透させるには至らず、その結束に綻びが生じた。
        付け入る隙は幾らでもあった。他国からも、自国からも、そして神々と魔族からも。
        雑多な思惑と策謀が交錯し、蒔かれた不和と混乱の種は、結果として二度目の人魔の大戦へと繋がっていった。
        全てが拙く幼かった。人も、魔も、神々も。アリウスが原初に造りし竜たちの足跡をなぞるばかりであった。
        ──だが果たして、それだけか?

        宵闇の魔女エステルは、今にも溢れそうな感情を押し止め、口の端を震わせる。
        ゲオルクが二人に向けた最後の問い。
        もはや問いとも呼べぬ、まことに珍奇な文言と裏腹に厳かな韻律。
        その答えは言葉と行為で示される。
        唇を寄せるガラテアへ、実に情熱的に。ステラは人目も憚らず差し出された蕾を啄み食む。
        「いつも通りで、ね」
        交わされる口づけはどこまでも甘く。魔性に濡れた声音と視線で融かす様に。
        ささめきと共に鋭い歯がガラテアの唇を浅く裂き、浮き立つ赤い雫を舌で掬い取りながら、淫らな調べが静謐の内に続く。
        真紅の瞳に明確な魔を宿しながらも、唇と舌は慈しむ様に、そして貪欲に相手を求める。
        誓いの口づけをしかと見届けていたゲオルクが、徐々に行為が熱を帯びて加速していくにつれ、瞳を伏して瞑目したところで、エステルの我慢は限界を迎えた。
        「……っく、ははっ……あはははははははは! いつまで黙っているつもりだゲオルク! この調子では止むまで夜が明けてしまうぞ、ははははは!」
        それまで押し殺していた笑いを弾かせて、エステルはさも愉快そうにゲオルクの傍まで歩み寄ると、その背中をばしばしと手のひらで叩く。

        老魔は呆れとも感心とも付かぬ複雑な色合いを帯びた視線でエステルを睨みつけてから、深く深く大きな息を吐く。
        全くこの女のやる事は昔も今も変わらず唐突で型破りだ。自分の求める最上を得るために、実現可能性など端から捨て置いている。
        「……ガラテア。そしてステラよ。其方らの答え、しかと受け取った。
         ……ステラ。ステラ。もうよい。答えはもう見た。そう恨みがましい目で見るな」
        未だに続けていた口づけを途中で打ち切られ、実に名残惜しそうな様子を見せる娘に父は苦笑する。
        その笑みが満足げなものに変わり、立てていた指を折って力強く握りこむ。
        「みごとだ」
        もはやその喜悦を隠そうともせず口の端を綻ばせて、老魔は手にした杖を軽やかに地に打ち付ける。
        「視座の高い者は遠くまで物事を見通すが、得てして己の足元を見落とす。
         いかな高説も、その行いが付いてこなければ、ただの空論であると他者に捉えられる」
        花の香りと共に柔らかな風が室内へと吹き込んでくる。
        馥郁たる香気がゲオルクの手に辿り着けば、古城の中庭で咲き誇っていた薔薇が一輪現れる。
        「今宵最後の昔語りだ。父祖ゼノバスがその分け身として我を生み出した時。
         我は人類への殺意と憎悪を抱く仕掛けを授からなかった。そのような作為は不要であると」
        つとゲオルクが横目でエステルを流し見る。その柔らかな眼差しを受けて、薄笑いのままエステルは胸元から輝石を取り出す。
        室内に設えられた輝石よりは小ぶりながらも、より強く不思議な光彩を備えた光石をゲオルクは受け取って、薔薇へと静かに重ねる。
        「それでも私は父祖を敬い、慕い、善神を称する存在を憎み、彼奴等の生み出した人類を数多も屠った。
         この身、この魂、暗黒のゼノバスの魔性を色濃く宿すものと、闇に生き、死と恐怖を遍く振りまいた。
         それは全てが己の自由意志であると、我は今も信ずる。楔なくとも、思うが儘に生き、思うが儘に殺した」
        薔薇と光石。それを両の掌を合わせて包み込み、総身からマナを滾らせて流し込む。
        「そして偶さか、妙な女と出会った」
        「おい」
        声色と瞳に若干の殺意を織り交ぜて、エステルはゲオルクの両拳に手を重ねて、同じくマナを流し込んでいく。
        「理と利で結びついた関係だが、妙なことにその女とは余人へ持ち得ぬ感情を交感するに至った。
         その感情を言葉に言い表すのは至難の業だ。が、敢えて既存の概念に当てはめるとするのであれば」
        強く重ね握られていた二人の掌が解かれると、そこには薔薇を形どった光石が輝いていた。
        「…………愛だ」
        間が長い、と不機嫌に唇を尖らせるエステルに頬を抓られながら、ゲオルクはガラテアに薔薇の輝石を差し出す。
        夜空に散りばめられた様々な星のごとく、時には白く、時には蒼く、時には紅く、時には黄金に。
        見る角度で目まぐるしく色を転じていく光石は、うっすらと薔薇の香気を漂わせ、ガラテアとステラの姿を照らしている。

        「魔性を色濃く宿したこの身と魂でさえ、人類の女と通じてしまった。
         人類と魔族を戦いの駒とするに枷無くば、神々に不都合が生じていたのは想像に難くない。
         だが、どうだ。そんな小賢しい企みなども無為であったと。
         旧主の呪詛を超克せしものガラテアよ。其方の今の在り方こそ、其方が抱いたかつての理想に至る道を体現している」
        その理想は、奇しくもゲオルクとエステルの目指す真理の道と交錯するものでもあった。
        善神や悪神、人界と魔界、その境に思考を囚われず、あるがままの世界を、闇と光を内包する宙の理を解き明かす道と。
        恭しく儀礼的な辞儀と共に、ガラテアへと薔薇の輝石を手渡すと、ゲオルクは真紅の双眸を滾らせて巨大な赤月に吠える。
        「痛快、実に痛快だ!」
        窓越しの巨大な月、その先へと挑む様に威容を纏わせてゲオルクは宣言する。
        「我が娘ステラの伴侶たるガラテア!
         此のものは善性を掲げる愚かな神の一派の欺瞞を明らかにする存在である!
         厚顔無恥な一部の神々の下らん小競り合いが引き起こした、実につまらぬ裁定を顕わにする生きた証!
         それに仇なすことあらば、この暗黒のゼノバスの直系たるゲオルク・フリードリヒ・オラトリオの道行きを阻むと同義!
         手向かうならば、血の代償を以て贖うと心せよ!!」 -- 2024-04-25 (木) 00:53:22 New
      • (きっとこの瞬間にも想像を遥かに超える数の耳目を集めているというのに、誓いの口づけはどこか淫らで)…………ん……
        (ふたつの粘膜が擦りあい、ひとつに溶けて、普段にも増して燃え立つような熱情に突き動かされていることが伝わってきた)
        (痛みすら感じぬほどに裂かれた唇が甘く疼きだし、胸の内では求められる悦びの方が勝ってゆく)………ステラ、ステラ…
        (腕の中から匂い立つほどに濃い魔の気配が立ちのぼる 口付けはめくるめくように、どこまでも深く甘く続いて)
        (オーディエンスがいなければ夜が明けるまで続いたであろう一時を終えると、一仕事終えたような満足げな笑みを向けた)
        ゲオルク殿………否、向後は父上とお呼びしようか(熱を帯びた柔らかな身体を支える感触を愉しみながら見守って)
        此度のことも、いつの日にか昔語りの語り草になるのであろう その時まで健勝で在られんことを願っている ステラのためにも
        (祝福のしるしを授かり、そのきらめきを目に焼き付けたあとステラの手を重ねて包む 指の間から柔らかな光が漏れ出でるさまを眺めて)
        嗚呼、生きていてよかった 永き旅路は、無駄ではなかった(心からそう思えることに、胸が震えた)すべてのさだめは、この瞬間のためにあったのだろう
        ステラ、我が愛、さだめの星よ(どんな言葉をもってしても言い表せない歓喜に身体がぞくりとわななき、竜角の蒼き燐光が見たこともないほどに輝く)
        (アリウスの子らたる諸神、魔界にひしめく万魔の長らも照覧あれ 緊張の糸が切れるではなく、ただあらゆる怖れが胸から消えて)
        (輝くような笑みをもって、生まれてきた意味を見つけた喜びを示した)佳き日を共にできたこと、そして我が妻に迎えられたこと
        誇らしく思う、ステラ、我が妻………ふふっ、妻、妻か 本当に認められたのだな(万感の想いを分かち合い、まなざしに想いを交わして)
        そして父上、母上 此度の仕儀にとどまらず、美神の寵児、ゼノバスの姫君の世に在ること……ステラに似て愛深き御心に感謝を
        この恩顧、海よりも深く山よりも高く…心に刻み、終生感謝を捧げよう 同じ道を歩めること、この身に余る誉れに思う
        -- ガラテア 2024-04-25 (木) 23:26:44 New
  • (この世界には暗黒の領域があり、既知と未知を隔てる大いなる障壁の向こう側を人は《魔界》と呼んだ)
    (かつて魔界を人界に塗り替えて生まれた帝国には魔界研究の長い歴史があったが、最重要機密に接していた身にもその全貌は窺い知れない)
    (ミネラ=ゼイム戦争の時代より300と30余年、人類の版図は広がることなく、現代の魔界地図は主として第二次人魔大戦で得られた情報に基づくものである)
    (謎に包まれた人跡未踏の領域、人類の到達を拒む暗黒大陸 人界に名だたる英雄豪傑たちでさえ、近寄ることすら考えない それが今回の旅の行き先だ)
    (普段ステラが手紙のやりとりをしているルートをたどり、彼女の実家に挨拶に行く 夏休みが終わるまでに学院に戻れる保証はどこにもなかったが)
    (幸いに、途中からは迎えの馬車があった)そろそろ……見えてくる頃か(クマみたいな体躯の魔獣が巨大な怪鳥に空の彼方へと連れ去られる様子を遠目に眺めている)
    -- ガラテア 2022-07-01 (金) 22:12:48
    • 馬車が通る道すがら、幾つもの瘴気溜まりから漂う禍々しい気配が、街道沿いに犇めいている。
      半ば魔界化した周囲の光景に、御者は震えて祈りながら馬を走らせている。その行く手に遠く聳える山脈は、霧と見紛う程の濃い瘴気に覆われている。
      魔獣を連れ去る巨鳥が、その山麓に差し掛かったところで、複数の影が群がっては巨鳥と共に堕ちていく。
      遠吠えとも唸り声とも付かぬさざめきが響き渡る中、馬車が終点へと辿り着く。
      ステラが母親宛ての手紙を出す先、そこには古ぼけた平屋がポツンと一軒建っていた。
      木造の小さな家屋は、ところどころ傷んでおり、王都であれば廃屋と見紛う風情であった。
      乗り合わせていたガラテアを一人残し、来た道を早々に戻っていく馬車の音が遠くなっていくと、平屋の裏手から無造作に庭先へと歩いてくる人影があった。
      喪服のような黒服に身を包み、つば広の黒い三角帽子を被った女が、ガラテアの姿を認めると蒼い瞳をすぅっと細めた。
      「殺風景で殺伐とした観光にはまるで向かぬ土地柄だろう。数少ない美点は余人に煩わされぬこと、星が美しく空に映えること」
      それくらいだが……と、語りながら携えていた小型の天測器を片手に、暮れゆく空を見上げている。
      それ以上言葉を紡ぐことなく、女は天測器のレンズを覗き込み、中天へと視線を向けている。
      ガラテアが何者であるのか、何をしに現れたのか、女は問うことも無く泰然自若と天測器に付いている計器の目盛りを弄っている。 -- 2022-07-02 (土) 21:54:34
      • (人界の理の及ばぬ世界があることを様々な報告から知ってはいたが、話に聞くのと実際に目の当たりにするのでは全くもって訳が違う)
        (百聞は一見に如かずというが、たしかに一見しただけでよくわかる ここはある種の極地であり、人の生存に適さぬ土地だ)
        (空は翳って人は大地の実りを得られず、山野に鳥獣が通うこともなく、いかに商魂逞しき商人たちであろうとも恐れて寄りつこうとしない)
        (こんな場所に居を構えたとして、一体どうやって暮らしていけばいいのか想像もつかない、とでもいったところか)
        (それでも、この辺鄙な場所に隠れ住む少数の人間がいる 人の世界では生きづらく、多かれ少なかれ、人目を避けねばならない理由のある者たちだ)
        (普通は好んで近づくものではないが、今回はそのうちの一人に用があった)――――ステラ………いや、エステル殿だな
        (似ている、と思った サファイアの青を湛えた瞳が、ルビーのような赤に変わればステラに生き写しのようだ 目許だけでなく横顔まで瓜二つで)
        話はかねがね伺っている お目にかかれて光栄だ 我が名はガラテア ステラの無二なる友にして、比翼連理の番たらんと誓った者だ 願わくば、以降見知り置かれたい
        (異国の貴人に接する作法も無論に心得てはいるが、今日はただのガラテアとして、ステラの父母に会いにきたのだ 古式ゆかしい略式の儀礼で済ませた)
        -- ガラテア 2022-07-02 (土) 22:57:20
      • 加えて似たところがあるとすれば、胸元を飾る紅い薔薇。ステラが所持する物とほぼ同一のコサージュが黒い色調に彩りを添えている。
        女は金糸の髪を靡かせて、ガラテアの方に視線を定めると、皮肉気に口元の端を釣り上げて片眉を跳ねさせる。
        「ふっ。嫌味無しに敬意を示されたのは何時ぶりか……ああ、こちらもお前のことは知っている。此処に来ることもな」
        会釈を返すことも無く、顎先を上向けて腕組みをする姿は、ステラと似ても似つかない。
        ガラテアに品定めするような視線を向けながら、傍らに取り出した杖の先で、荒れ果てた地面に何がしかの模様を描いている。
        「ステラなら先にゲオルクの所へ向かっている。お前が此処に一人で来たことに、少し腹を立てていたな」
        くっくっと愉快そうに口の端を歪めて、杖の先をトンと地面に打ち付ける。
        「わざわざ自らの足で赴くとは、驚嘆すべき胆力と愚かしさだ。これからの事を思えば、お前がタダの愚者でないことを祈るばかりだ」
        皮肉気な言葉面と表情だが、その声音にガラテアを厭う気配は無い。
        だがしかし、所作だけ見れば、この女に敵が多い理由は容易に察せられるだろう。
        「お前の口から直接聞いておこう。何をしに来た?」 -- エステル 2022-07-03 (日) 00:41:22
      • (ステラは母親とずっと手紙のやりとりをしていた 見せてもらったことは一度もないが、きっと日常のとりとめもない話まで伝わっていることだろう)
        (このガラテア・ウム=ゼイム、人呼んで《篝火》のガラテアがその実いかなる人間なのか、ステラの目と語り口を通して知り尽くしているというわけだ)
        (ミネラ=ゼイム戦争の戦史や《篝火》の評伝を百冊読んだ歴史愛好家よりも余程詳しいとも言える その当人が目の前に来て、興味深く観察をしている……といったところか)
        人類の歴史に残る愚行を演じた後では、これしきの些事は誤差にもならぬだろう 何ごとも、この目で確かめなければ気が済まぬ性質でな
        ステラと私の行く末に関わることなら尚更に……これも考えあってのことだ ステラには大切な役目がある 私が顔を出す前に、ゲオルク殿を骨抜きにする役目がな
        (結果的にそうなっただけ、ともいえるが、ゲオルク殿にも心の準備というものが要る 久々の親子水入らずの時間を過ごさせたい気持ちもあって)
        (皮肉屋らしく諧謔めいた言葉にも、気を悪くすることはない 単身魔界に乗り込んで、高位の魔族を攻略するような女傑とは斯様なものかと感心して聞いている)
        (言わずと知れた問いを投げかけられれば、にこりと笑みを見せて)義母上を迎えに参上した ステラの母君は私の義母上でもある ゲオルク殿の居城に集うにせよ―――
        供の一人もおられぬとあっては見過ごせぬ(騎士道華やかなりし中世帝国の習いに従い、貴婦人に暫時の献身を申し出る際の所作を完璧にこなして)義母上、いやエステル殿
        積もる話は道すがら、ということでいかがか?(供を連れていないのはこの身も同じだ 単身で魔界を旅することの能わぬ二人でなくとも、打ち解けるための時間が欲しかった)
        -- ガラテア 2022-07-03 (日) 01:24:02
      • 「一つ忠告しておこう。歴史とは語り手の望む物語だ。虚飾に満ちた記述を削ぎ落せば、如何な傑物も人類種が刻んできた大河の一滴に過ぎない」
        杖を手にガラテアの傍まで歩み寄れば、空いた片手で彼女の顎をしなやかな指先で捕らえる。
        「ゲオルクの前で韜晦は要らぬ。ただ在るがままで良い」
        上から目線の忠言を口にして、柔らかく蒼い瞳を細める。
        向けられた当人は知る由も無いが、エステルという女が他人に忠告するのは極めて稀なことであった。
        「さて、道すがらといってもな。供など連れてはお笑い種なほど、短い道行だ」
        ニヤリと笑ってガラテアの顎に触れていた指を滑らせ、今度は彼女の手を無造作に握る。
        「所詮ここは人界の中にある魔の境。真に魔界へ通ずる道は、ただ闇雲に歩みを進めても辿り着けぬ」
        先ほどまでエステルが描いて地面の模様が、玄妙なる輝きを放ち始める。夜空に輝く星のような淡い光。
        その光へとガラテアの手を取って歩みを進める女は、横顔を傾け問いかける。
        「覚悟は良いか? この先お前の身の安全は保障出来ん」 -- エステル 2022-07-03 (日) 01:55:11
      • 魑魅魍魎の相手にはいささかの覚えがある これが初めて、という訳でもない ゲオルク殿は戯れを介されぬ御仁ではなかろう(眉ひとつ動かさずに蒼く燃えるような瞳を向ける)
        (ミネラ=ゼイムの大戦当時にも、人界という盤上に姿形も定かならぬ指し手が繰り出す手駒の相手をしていた 暗闘を繰り広げた恐るべき指し手たちの中には、彼女の父親もいたのだろうか?)
        (ともあれ、直言を憚らずともよい、というのはある意味では有難いことだ 元より魔界の作法など知る由もなく、何が逆鱗に触れるかも判らない その心配はない、と言っているのだ)
        はじめ、エステル殿は分かれて住んでいるのかと考えた ここは人界に近すぎるし、かような場所に高位の魔族が潜み続けられるはずもなし……
        さもなくば、元より分かれてなどおらぬのだろう(無造作に握られた手をつなぎ直して、その甲に軽く唇を当てる)大方、このようなことであろうと思っていた
        (ステラの両親が仲違いをしている、などと示唆する情報はなかった であれば、往来の便を確保する仕掛けがどこかにあるに違いなく―――魔法陣の中へと踏み込んでいく)
        当然の義理を果たすのに、己が身を案じる者がどこにいる? そんなことより、ステラの話だ 四方山話にかこつけて幼少の頃の話をたんと仕入れるつもりが、目算が狂ってしまった
        落ち着いたら聞かせてほしい 愛らしい話も、恥ずかしい話も山ほどな(子供部屋もそのままに残されているに違いない……と想像を逞しくしている)
        -- ガラテア 2022-07-03 (日) 02:57:23
      • 果たしてゲオルクはどこまで余人の戯話を許容するのか。謀に倦んだ寡黙な男の横顔が、エステルの頭にふと過る。
        眼前に燃え立つ蒼い瞳を見つめ返して、黒衣の女は言葉の代わりに淡い笑みを浮かべる。
        下手な予断はすまいと、これ以上の言及は避け、間近に迫る二人の邂逅に結果を任せる。
        いたるところに住んでいる者は、どこにも住んではいないのだ。秘め事は手慣れたものさ。私一人なら如何様にでもなるが、ステラが居てはそうもいかぬ」
        産まれた当初、魔族として認識されていたステラの存在は、ゲオルク周辺の魔族に知れ渡っていた。
        数年後ステラが暫し吸血を行わなかったことで、魔の因子が弱まり人類として知覚され、母であるエステルの存在も周囲に露見した。
        ゲオルクの立場を鑑みて、表向きは母子共々魔界を放逐されたという扱いであったが、周囲の目を晦まして度々逢瀬を重ねてきた。
        「力を是とする魔の世界でも、しがらみがつき纏う。遠ざけたところで、小知恵の働く者ほど喧しく騒ぎ立てる。寄らば大樹の陰だと佞する者は、人界とそう変わらぬ」
        人界よりも差が顕著なれど、形成される各社会集団の枠組みから、ゼノバスの直系は逃れ得なかった。同じ神を戴く同胞を完全には斬り捨てられなかった。
        個と集団の鬩ぎ合いは人魔の境なく起こる。全く煩わしいことだと、女は不機嫌そうに鼻を鳴らす。

        「ふっ。頼もしいことだ。では束の間、エスコートを頼むとしよう」
        ガラテアの唇が手の甲に落ちれば、不敵に笑って彼女の腕をとる。目線一つの低さから、上目遣いにガラテアの身体へと身を寄せる。
        「積もる話が出来るかはお前次第さ。万事上手くいったなら、ステラの前で話すとしよう。その方が面白い」
        過去の話を暴かれて、きゃあきゃあと姦しく抗議する娘の姿を想像し、女はくすくすと笑う。
        淡い光を放つ陣の中に足を踏み入れれば、目の前がぐらりと揺らぐような感覚に襲われる。
        眠りに落ちる一刹那のような眩暈。
        それが晴れれば、眼前には今までとは全く別の光景が広がっている。
        天には暗闇。輝く星々。天頂には紅く輝く真円の月。
        星と月明かりの下には、鬱蒼とした森に囲まれた古城があった。
        既にしてその古城の中庭へと、二人は足を踏み入れている。
        殺風景な木造りの家屋の代わりに、薔薇の咲き乱れる石造りの庭園が二人の視界に映っている。
        夜の世界は驚くほど静かで、周囲には音も気配も絶えている。その静寂を打ち破るように、黒衣の女が口を開く。
        「慣れぬ内は転移の影響で酔いを感じる者もいる。ガラテア。大事は無いか?」 -- エステル 2022-07-03 (日) 19:42:32
      • 魔族の社会は個の力を重んじるというが、それが全てでもないらしい 存外に世知辛いものだな 権謀術数は世の常とはいえ、親子が共にあることさえ叶わぬとは……
        (魔界においても生き馬の目を抜く様な生存競争が繰り広げられており、その熾烈さは往時の帝国宮廷にも勝るものであるらしい 人間の母子を、いつまでも背負い続けられるものではなかった)
        エステル殿と、ステラの存在は魔界に属さぬものと見なされた……(そして、その重圧はゲオルク殿でさえ抗し得るものではなかったということだ 力ある魔族もまたしがらみには勝てない)
        (親子三人の苦労は察するに余りあるようで、それぞれに折り合いをつけた結果が今の暮らしぶりなのだろう)私にも多少の覚えがある 母上は帝国有数の名族の出……ではなくてな
        我が母のことながら、豊かな学識と比類なき容色を主上もたいそう愛されたものだが……あわよくば帝国の後継者の外戚たらんと野心をたくましくする者らが数多あった
        大貴族たちは帝国の藩屏だ 外から見えるほどに中央集権が進んでいる訳でもなかった 母に愛情を注ぐほどに、疎ましく思う者は増えていく……生命の危険は増すばかりだ
        そうして、母は遠ざけられた 私が男子でなかったことが決定的だったな 主上は母によく似たこの姿と竜種の形質を愛されたが、やはりお側には置かれなかった……
        愛すればこそ遠ざける、という考えは矛盾している様でもあるが……それが愛情深き行いであることを私はしかと心得ている ふふっ、義母上は愛されておられるのだな
        (さすがは親子、というのか身を寄せる時の仕草までステラに似ている様だった 打ち解ければ可愛らしいタイプなのかもしれない)上手くいくに決まっている
        ステラの父君だぞ 愛すべき特質の多くは義父上より受け継がれたものに相違ない そうでなくとも、癖の強い男の相手は手慣れたものだ……(ふと、薔薇の香りが薫った気がして)
        (どこか心地よくも一瞬意識が遠のいて、世界がぐるりと回って落ちる あわや無様に転倒でもしたか、と思われたが変わらず直立できていた)……………ん………
        ……大事ない、術式までは同じでないかもしれないが…こんな風にして、連れ回されたことがある………(無論アンブロジウスの仕業だ ゆっくりと目を見開いて、あたりの景色を確かめる)
        (黒々と染まった空には不自然なまでに大きな真紅の月が浮かび、その下端が尖塔のシルエットに切り取られている まるで幻想的な絵画の中に迷い込んだようだった)
        -- ガラテア 2022-07-03 (日) 21:10:09
      • 夏季にはしばしば見られる赤い月。目の錯覚で常より大きく見える赤月。
        だが頭上に輝く真紅の月は、異様なまでに紅く大きい。不自然と感じるのは決して錯覚ではない。
        ガラテアの体調を気遣う素振りを見せていたエステルは、その蒼い眼差しを細めて周囲に視線を走らせる。
        「それは重畳。だが……お前はまさかゲオルクさえ何とかすれば良いと思っているのか?」
        万事上手く。その万事とは魔界での立ち回りも含まれている。
        古城を取り巻く深い闇の奥では、先ほどまでとは比にならぬ濃密な瘴気が渦巻いており、そこかしこに魔素の影が漂っている。
        中庭に咲き誇る真紅の薔薇が、生温い風に吹かれて花弁を揺らす。
        その風と共に転がる様な笑い声が聞こえてくる。中庭と古城の内部を繋ぐ石畳の廊下の奥から、小さな影が近づいてくる。
        「早速のご登場か。この常夜結界の主、ゼノバスの巫女にして魔女クロティルダ」
        悠々と歩み寄ってくる小さな影からガラテアを庇う様に、エステルは更に身体を寄せていく。
        『あら? あらあらあら? 随分と親密な様子ねぇ奥方様。貴女が身体に触れるのを許すなんて、ねえ?』
        黒いローブに身を包んだ女……クロティルダは、フードの奥から窺える真っ白な髪を靡かせて、くすくすと邪気の無い笑いを浮かべている。
        常夜に浮かぶ赤月の如く、爛々と真っ赤に染まった瞳が、静かにガラテアとエステルを見据えている。
        その小さな体躯は一見すれば儚げな美少女然として。だが総身からは魔が色濃く立ち上り、紛れもない魔族の気配を漂わせている。
        余裕のある笑みを浮かべ、二人を射抜く紅い眼差しからは、敵意も殺意も興味も綯交ぜにした形容し難い複雑な色が滲んでいる。
        「奴はゲオルクの眷属であり、ステラの乳母でもある。私はぎりぎり身内として認識されているが、お前はどうか分らん」
        ガラテアに言葉を向けながら、エステルは油断なくローブ姿の魔女に視線を定めている。
        対峙する魔女クロティルダは、人懐こい笑顔を形作りながら、今宵初めて訪れた珍客の動向を試すようにガラテアへと視線を集中させている。 -- 2022-07-04 (月) 22:30:27
      • 違うのか?(この地は魔界の奥深くにあり、現代においてなお情報は極めて乏しい これほどの異界に人間の帝国を築くということがどれほどの偉業か、今更ながらに感じられて)
        いや、戯れだ この《篝火》を滅ぼさんとする14万の男たちの相手をしてきたのでな 将を落とすより他に、脇目をふる暇などないことを心得ているだけだ
        (瘴気溜まりをかき混ぜて散らす風の生温かさが、魔界もまた夏を迎えていることを思い起こさせてくれる 魔界にもまた、人界の習俗に通じるものが息づいていて)
        (エステルの横顔に緊張が走った あたり一面から感じられる魔族の気配が一層強まり、禍々しい存在感が小柄な少女のような姿形に凝集していた)
        (あれこそが正真正銘の魔族だ 人間とは本質的に異なる思考を備えている 問答ひとつ誤っただけで、とりとめもない気まぐれに首を引きちぎられても不思議はない)
        (底が知れない相手であろうとも、言葉が通じるならばまだましな方だ 王国の歴史に名だたる英雄豪傑たちと、互いを視認できる距離から言葉を交わすなど早々あり得ぬことで)
        さしずめ私は、手塩にかけて育てた愛し子に言い寄り……事もあろうに、まんまと篭絡しおおせた女狐、といったところか? ふふっ、この顔を拝みにきたのだろう
        (魔界の奥深くに分け入り、エステルひとりしか傍に連れずとも態度を変えることはない 6万と7500の精兵を率いて在るがごとく、格調高い中世の帝国語で語り掛ける)
        我が名はガラテア・ウム=ゼイム! 御稜威世に遍く及び天地領ろし召す我が君、ウィルハルト三世が一子である 此度はゲオルク殿、エステル殿ならびに家中の者らへの挨拶に参上した
        案内を願えるだろうか?(間もなく義母となるであろう女性をエスコートする姿勢は崩さない 気遣いは無用とばかりに一歩前を進んで、近づいていく)
        (一人娘の乳母を務める者が独断で暴走することは考えづらい たとえゲオルク殿が判断を留保していたとしても、家中の者らに勝手な振舞いを許すことはないだろう)
        (クロティルダもまた、眷属としてゲオルク殿の名を無用に貶めるような振舞いは避けるはずだ 家中の者らの器はすなわち、主人の器そのものでもある)
        (―――などと期待半分に考えているが、如何せんこちらは人間だ 人界に紛れた魔族のように、あっけなく細切れになる危険性は常にある 結局は出たとこ勝負であった)
        -- ガラテア 2022-07-05 (火) 00:09:01
      • 夏の夜風にガラテアの口上が朗々と高らかに響く。紡がれていく音調に、クロティルダは笑みを崩さない。
        結びの言葉から1秒、2秒、3秒と、時が流れていくにつれ、白髪の魔女から笑い顔が消えていく。
        何かを期待していたかのように輝かせていた紅い双眸から光が消え、視線を中空に漂わせながら頬に手を当てている。
        『……硬い』
        歩を進めるガラテアと遅れて追従するエステルに、凶星の如く一瞥をくれる紅い瞳。その主は闇色のフードを脱ぎ去って、白い髪を夜風に流す。
        『名前と目的を告げるだけ? それだけしか示さぬ有象無象の望みを聞くとでも?』
        流暢な中世帝国語を口にする知識を持ちながら、まるで知らぬ者と相対するようにガラテアへ語りかける魔女。
        それは従前の立場など全く考慮せず、今この場で示されるものだけを見るのだと、暗に示して瞑目する。
        『ねぇ奥方様。覚えているかしら? 貴女が初めてこの城を訪れた時の事を』
        後ろ手にこつこつと石畳を刻む靴音。ゆっくりと近づいてくる魔女の調べに、エステルはただ無言で視線を定めている。
        『愉快だったわねぇ、あの時は。他には目もくれず問答無用で、貴女はただ真っ直ぐにゲオルクの所へと』
        くすくすと笑い声が流れていく。眷属でありながら、主を敬称抜きで呼ぶ女。軽んずるでも無く親し気な響きは、互いの信を滲ませている。
        他意も無く純粋に愉し気だった笑いが止み、瞑られていた目が開かれる。
        『もっと柔らかくしないといけないかしら?』
        冷たく響く中世帝国語と共に、赤黒い光を放つ視線がガラテアの蒼い瞳を射抜く。
        ローブの裾から覗く白い細指が、すっと頭上の星空へと翳される。それと同時に。
        無数の赤い光弾と巨岩が、瞬時にクロティルダの周囲に展開される。
        空に向かって立てられていた指が僅かに傾けば、人ひとりに匹敵する巨岩の一つがガラテアに向かって降り注ぐ。 -- 2022-07-06 (水) 22:25:56
      • (冗長な前口上を省いてこれだ ごく当たり前の挨拶が、乳母殿の機嫌を損ねたらしいことは容易に察せられた 元々嫌われていたのかもしれないが、今となってはどちらも同じことだ)
        (攻城戦に望んでいるならばいざ知らず、此度は慶事の挨拶に訪れたのだ 事を荒立てるつもりは毛頭なく、なるべく穏便に筋を通したいという望みを抱いてもいた)
        (ゲオルク殿とエステル殿との良好な関係を築くより他に、するべき事があろうとは考えたこともなかった)ステラを待たせてしまっている 邪魔立ては無用に願いたいが
        (帝都よりもたらされた歴史上の遺物のひとつ 竜谷の古戦場より回収された宝剣を携えていたが、出発前に封印を施したままただの一度も抜いてはいない)
        (決して危険がなかった訳でないが、《篝火》が少しなりとも考えを改めたことを示すには……何があろうとも魔族を傷つけぬ、という行いを以てするより他にないものと考えていた)
        (その試みも、ここにきてステラの実家に立ち入る前に頓挫しかかっている訳だが)―――エステル殿、ひとつ尋ねたいのだが(蒼い瞳に赤光を映しながら、振り向くことなく口を開く)
        (魔性の者らに人界の理を当てはめてはいけない そのことを重々承知の上で、尚も問わずにはいられない)あれが乳母だと? 冗談だろう 門番かと思えば、さに非ず
        挨拶のひとつも返せぬどころか、遠来の客人を噛むより他に能がないとは恐れ入る 番犬の真似事すら満足に務まらず、口を開けば無礼千万
        見境もなく吠え散らかして、城の主を気取るとは まことの主君に尻を向け、その顔に泥を塗っていることさえ気づけぬままに得意満面―――まさしく醜悪の極みだ
        躾の足りぬ駄犬ほど、見苦しいものはないな(ステラの家族が相手なら、尚のこと見過ごせない 事を荒立てる予定は一切ないが、挑戦を前にたまらず恭順の意を示すほど惰弱でもなく)
        (数万を下らぬ長弓兵が一斉に放った遠矢が日の光さえも覆い隠して、白昼の天を暗黒に染め上げるさまを見上げたことがある 僅か一瞬の後には無数の死が降り注ごうとしていた)
        (あの光景に比べれば、たかだか岩塊のひとつやふたつ―――頬を撫でる春の微風と、少しも変わるところがない 意に介することもなく歩みを進め、一瞬の後に直撃した)

        (常人と変わらぬ肉体は巨大な質量と運動エネルギーに晒されてたちまち四散し、人ひとり分の血潮や肉片、すり潰された臓物がエステルに降りかかる―――かに思われたが)
        (濛々と巻き上がる砂塵と土煙の中から、少しも変わるところなく五体を保って現れ出でた 装いこそ土埃に塗れたが、その肌も長い髪の一筋一筋に至るまで僅かな汚れもなく)
        エステル殿、こちらであっているだろうか?(砕け散った石榑の破片が散弾のように降り注ぐことのないよう、エステルから射線を外して威風堂々と進んでいく)
        (種を明かせば、暗殺対策として出征前に施された帝国最高の魔術的防護と、王国重要文化財の絶対的保護を目的とする破壊防止の術式の重ね掛けのなせる業だ)
        (言うなれば、肉体そのものが世に二つとなき至宝だ 燦然たる美の象徴にして、中世帝国の失われた秘儀と現代王国の技術の粋を集めて築かれた両大国の魔術遺産)
        (先祖返りとも言うべき竜種の心臓を駆動させ、地母神の奇跡にして呪詛たる神聖魔術さえも身ひとつで超克し得る生命力の持ち主 それが《篝火》のガラテアという人間だった)
        -- ガラテア 2022-07-07 (木) 00:34:06
      • 常夜結界の主にして古城の管理者である白髪の魔女の挙動を注視していたエステルが、クロティルダの展開する標準魔術を見れば意外そうに片眉を跳ねさせる。
        「ガラテア。お前は存外可愛らしいところがあるな」
        危急の事態に思われたが、眼前の魔女の意を察すれば、弛緩した空気と共に軽口が漏れ出る。
        振り下ろされる岩の槌には目もくれず、ガラテアの歩調に合わせるように進んでいく。
        「道化の言葉に嚙みつき返したところで悦ばせるだけさ。礼に非ざれば、礼を以て報いよ」
        くつくつと笑って巨岩の砕け散る様を見る。傷一つ負っていないガラテアの背を横目に、自身に張っていた防壁を解く。
        「もっとも。私ならお前の百倍は言い返して相手を砂にしていた。ガラテアは辛抱強いな」
        冗談のような口調で本音をさらりと零し、つと視線を白髪の魔女へと向ける。
        「お優しいことだ。挨拶が手ぬるくなったな、テッサリアの魔女よ」
        『はいはい。後は親子水入らずでどーぞ。無粋な横槍は入らなようにしておくから』
        先ほどまで浮かべていた凶相から一転、けろりと笑顔を浮かべている黒衣の魔女は、ひらひらと手を振って空を眺めている。
        その紅い双眸は横を通り過ぎていく二人を映すことなく、何の色も感じさせない得体の知れぬ輝きを湛えている。
        どこまで正気でどこまで狂気か。よくよく分からぬ奴だと、月下に薔薇の咲き誇る中庭で踊るように銀糸の髪を靡かせる魔女を一瞥して。
        再びガラテアの身体に身を寄せては、中庭の先の渡り廊下へと歩を進める。
        「ああ、こちらで合っている。そう広い城でもない。手当たり次第でも、すぐお目当てに出会えるさ」

        そう言いつつも、歩み慣れた道行を最短のルートでガラテアをいざない、尖塔を一つ隔てた回廊へと数分の内に辿り着く。
        赤い絨毯が敷かれた道の先。古めかしい木造りの大扉の前では、薄明りに照らされた影が一つ。
        その姿を見止めれば、エステルは身を寄せていた相手からパッと手を離し、にやにやと薄ら笑いを浮かべる。
        扉の前の人物は、ガラテアの姿を遠目に確認すると、憂いに満ちていた目を輝かせて満面の笑顔を浮かべる。
        そのまま数歩駆け出して、後ろに二つ縛った金の髪を揺らしていたが、急に足を止めると不機嫌そうに腕組みをはじめる。
        「どうしたステラ。お前の愛しい人が目の前に現れたというのに」
        しかも二人だ、と指を二本立てて白い歯を覗かせているエステルに、恨めし気な視線を返す娘。
        その紅い瞳が母からガラテアに移れば、ふくれ面をぷいっと背けて、腕組みしたまま虚空に視線を彷徨わせている。
        分かりやすくへそを曲げている女は、チラチラとガラテアに視線を送っては、唇を尖らせている。 -- 2022-07-07 (木) 03:13:53
      • (存外に可愛らしい、などと言われれば眉を持ち上げて目を瞬いていたが)ああ、よく言われる(可愛らしい、というのは容姿ではなく内面の話だ 主にステラに言われている)
        (大質量と大質量がぶつかりあったなら、より強く質量のあるものが残る 傍目にはただの人間にしか見えない身体が巖を粉砕した物理現象は、そのようなものに見えたことだろう)
        友誼を望んでいる者を、あまり試すな はっきり言って不愉快だ(ただの挨拶に手荒い歓迎があったかと思えば、戦意を煽る挑発の言葉には乗ってくる様子もなく)
        (気まぐれが過ぎる、と困惑している この先も付き合っていかれるものかどうか、不安しかなかった)人間と見れば、悪さをせずにはおられぬとでも?
        屍肉漁りの魔獣共でも少しは思慮が働くだろう……これが魔族の習いだと言うなら、私は決して染まらない 必要とあらば理解はするが、共感までは望んでくれるなよ
        (相容れない考えの持ち主がいくらでもいることなど、当然に心得ている しかし魔族を身内に持つという時点で覚悟していた以上に意味不明で、一瞥をくれずに進んだ)

        (程なく、ステラの姿を見つけた いつも寝起きを共にしていた者が急にいなくなって、ひとり旅路をたどる間にずいぶん長いこと離れ離れになっていたような気がする)
        (そのことを不満に思っていることは容易に察せられたが、にわか雨でも振り出すみたいに急転直下拗ねたような素振りを見せたことにはくすりと笑ってしまった)
        ステラ、ステラ……褒めてほしい 飢えた魔獣や、悪戯者の魔族に喰われることなくたどり着いたぞ しかも予定より大幅に早い(エステルが一緒に転送してくれたお陰だ)
        (むくれて目もあまり合わせてくれないが、構わず近づいて視線の先からのぞき込んではそっぽを向かれてを何度か繰り返し)…………ああ!(何かに気付いた様子で、はたと手を打つ)
        こういうことだな(柔らかい頬に口付けをひとつ いや一度では足りぬとばかりにふにゃふにゃになるまで繰り返して、顎の下を人差し指の背でくすぐる)
        (ステラの様子はといえば、魔性の血脈が瞳の色味に現れていて、魔界の影響をしっかり受けているのかもしれない 首筋に歯を立てている時の淫らな姿がふと思い起こされて)
        ふふっ、愛らしいことだ(元々さほどに機嫌を損ねていないことも心得ている さっと片膝をついたかと思えば、足元から腕を添えてお姫様抱っこの形に抱き上げようとする)
        -- ガラテア 2022-07-07 (木) 18:51:55
  • 🗿 -- 2022-06-30 (木) 21:21:10
  • (ステラが20回目の誕生日を迎えた日のこと―――日付が変わってすぐに祝意を伝えて、夕べに大ご馳走を用意していることを明かしておいた)
    (無理に秘密にするよりも、二人で力を合わせて支度をする方が楽しいためだ この日のために、帝国が誇る一流の食材とソリオス領の名物を取り寄せている)
    (中世から製法の変わらない硬質の穴あきチーズや野菜の酢漬け、鶏の丸焼きに使う香草や蜂蜜、スープに使う海産物の乾物に色鮮やかな南国の果物などが集った)
    今回は海のものを使うが、干し肉もあるぞ いつもまとまった量を買い付けて、週に一度は出させていた……(お揃いのリボンで髪をまとめて、エプロン姿で料理をしている)
    -- ガラテア 2022-06-24 (金) 00:41:07
    • (凛として可愛らしいガラテアの纏め髪とエプロン姿に目を細める。その傍ら、それなりの手つきでスープや丸焼きに使う材料の下拵えをしていたが)
      ……ねぇガラテア。料理の経験は如何ほどおあり?
      (若干の懸念を抱きながら尋ねる。野営などで炊事の機会は目の当たりにしているだろうが、彼女がどこまで手を伸ばしていたかは未知数だ) -- ステラ 2022-06-24 (金) 01:13:40
      • 煮炊きの心得なら、それなりにあるぞ 本職のようには行かないが、私も手伝うことがあった(《篝火》のガラテアは兵たちと苦楽を共にした―――これは数多の逸話と共に語られる史実だ)
        (傷んで虫が湧くような肉でも、よく火を通せば嫌な顔ひとつせずに黙々と食したし、石のように硬い黒パンや真水のように薄いスープの味も知っている それが《篝火》という将だった)
        (喜びも悲しみも兵たちと分かちあい、最も危険な死地に立って貴き者の務めを果たし続けた 彼らの信望なくして、王国きっての英雄たちとは戦えぬとでも考えていたのだろう)
        まあ、私の知っている”料理”と卿の考えるそれが同じものとは限らない訳だが……(330余年の間に調理技術は目覚ましい進歩を遂げている より多彩に、美味しく便利になっているのだ)
        味付けには自信がある方だ 私が焼いたのを欲しがる者が多くてな 功ある者らに与えていた(オーブンの中で光沢のある飴色に仕上がった鶏肉からいい匂いがぷんぷんと漂う)
        -- ガラテア 2022-06-24 (金) 01:44:12
      • (ガラテアの返答にホッと胸を撫でおろす。壊滅的な料理下手である可能性も考えていたが、それは無用な心配だったようだ)
        (もしそうであっても、それはそれで楽しい時間になっていただろうと、スープ鍋に材料を放り込みながら思う)
        料理は火と水。その基本は昔からずっと変わらないから大丈夫よ。それに……一番大事な愛情はふんだんにあるものね?
        (かき混ぜるスープ鍋には、細かく切った干し肉と貝類の乾物から染み出た旨味を、たっぷり吸った野菜が煮えている)
        ん〜〜〜鶏肉の焼けたいい匂い♪ それじゃあスープの味付けもお願いしようかしら?(香ばしい匂いに鼻を鳴らし、盛り付け用の皿を準備していく) -- ステラ 2022-06-24 (金) 19:58:23
      • 腹が減っては戦ができぬ、とも言うものな 皆で囲んだ粗末な汁物が、誰かにとっては最後の晩餐になると知っていた(頷いて、スープの鍋の味を見る 調味料を選んで素朴な薄味でまとめた)
        私が塩のひとつまみ、刻んだ野菜のひとかけらを投じるだけで魔法がかかった 世間知らずの姫君が、煮炊きを覚えるには十分な理由だろう? これもある種の……愛情といっていいだろうか
        昔は香辛料が貴重品でな ステラが私の時代に来たら、薄味だらけで辟易としたはずだ 私は逆に、舌が慣れるまで大変だった……(口にするものすべてが味覚を驚かせていたらしい)
        (鶏の丸焼きに野菜の酢漬け、焼いた干し肉に穴あきチーズ ソリオス風の海の幸と温野菜のスープに、ふかふかの小さい丸パンを食卓に並べて)もうひとつ、ステラに贈り物がある
        -- ガラテア 2022-06-24 (金) 21:45:36
      • (食うに困った国が勝てた例無し、という言葉が頭を過る。戦の趨勢は畢竟、国力の差で決する)
        (所詮書だけで得た知識に過ぎないと口には出さず、スープ鍋から立ち昇る湯気を無言で見遣る)
        それはもう。貴女みたいな美人に給仕されるだけでも、ご馳走に早変わりよ。殿方なら尚のこと。
        あら。私は生まれて10年、魔界で生きてきた女よ? あそこより酷い食事情なんて早々ないわ。
        (吸血でどうとでもなる自分はともかく、母は相当に難儀していた。それも今は昔の話だと、目の前に広がる色とりどりの料理に目を輝かせる)
        んふふ。これだけでも素敵な贈り物なのに、もう一つ? 一体何かしら? -- ステラ 2022-06-24 (金) 23:31:27
      • ひと口に魔界と言っても、野の獣として育った訳でもなし 大半はお父上の居城暮らしだろう どうりで私たちは、どこか似ている訳だ……さて、ひとつというかふたつだな
        (贈り物は二つあった 判読不可能なレベルで朽ち果てたラベルに皇帝家の紋章らしき図案がかろうじて読み取れるような、博物館レベルで古色蒼然たるボトルが一本)
        (もうひとつは同じく皇帝家の紋章があしらわれて、現代の帝国語で収穫年や醸造所の名前が読み取れる程度のオールドヴィンテージが隣に並んだ)
        帝国にも誇るべき食文化があってな その最たるものが葡萄酒だ 博識なステラなら、この酒のことも知っているだろう(《竜の血》を意味する古語―――伝説的な酒の名を口にした)
        (当代のゼイム皇帝と帝室に連なるものだけが口にすることを許される 門外不出の特別醸造、文字通りに”幻”の赤ワインだ 帝都から取り寄せた紋章入りのグラスを並べて)
        片方は主上の遺産だ 私が生まれた年に仕込まれたものでな いつか私が生涯の伴侶と出会い、祝言を上げる日に……婚礼の宴で、封を切って酌み交わすおつもりだったらしい
        もうひとつは、ステラが生まれた年のものだ 今日はどちらかひとつを開けることにしたい もう片方は卿に預けておく また次に祝い事があった時に開けよう
        -- ガラテア 2022-06-24 (金) 23:41:51
      • ……Drachenblut(竜の血)(古ぼけたボトルの朽ちたラベルに指先を沿わせ、目を丸くする)
        このワイン。私達だけで口にするものでは無いと思うの。然るべき時、然るべき場で、いただくもの。
        今日はこちらを空けましょう(言うや否や、己の生まれ年のワインボトルを開栓し、用意されたグラスに注いでいく)
        (封を切らなかったボトルは食卓を彩るように、その中央へと据えられ、燭台の明りで玄妙な光を湛えている)
        素敵な贈り物をありがとう。ふふ……生まれてから20年分を一気に貰ったみたいな気持ち。
        (微笑んで、ワインの満ちたグラスをそっと持ち上げる)さぁさ、料理をいただきましょう? せっかくのご馳走が冷めてしまうわ。 -- ステラ 2022-06-25 (土) 00:44:01
      • 《竜の血》こそは、帝室の力の象徴 この身に流れる血潮そのもの―――ステラには毎日のように啜られて有難味も薄れているが、帝国では一番の美酒だ(彼女の選択に満足げな笑みを返す)
        そうか、わかった ひとりでは扱いを決めかねていた 夫を迎える予定が無くなった上に……353年物を口にして、腹を壊さずにいられるものか確証も無くてな
        (いっそこの機会に開けてしまおうかとさえ考えたが、ステラの考えでは”然るべき時”、”然るべき場”というものを今後に控えているらしい)
        (それが一体何を指しているのか、想像することも楽しく)こちらこそ、受け取って貰えてよかった その身に注がれてきた愛の総量に比べれば、あまりにもささやかな贈り物だが
        ステラは大人の女になった 今の卿には似合いの品だ(特別な日の特別な夕餉を二人で囲む 完璧な所作で軽くグラスを持ち上げて)誕生日おめでとう、ステラ
        卿という星のきらめきが世にあること……健やかに美しく、私のステラを育てた全てのものに感謝している(《竜の血》を口にして、久方ぶりの芳醇な風味に歓喜を覚える)
        さて、こちらもお待ちかねだ いただきます(二人で食べきれるか怪しい量のご馳走に挑み始めて)ふふっ、なかなかに悪くない 見直してくれても構わないぞ
        -- ガラテア 2022-06-25 (土) 01:39:23
      • 美は孤ならず、必ず隣あり。私を美しいと言ってくれる貴女こそが、その一番の素。
        (穏やかに笑ってグラスの中の深い赤を揺らす。広がる香気、口に含んで染み入る芳しさ)
        (何れも今まで味わってきたワインとは雲泥の差がある。が、それでもどこか物足りなさを覚え)
        ふふふ。私が飲んだ中でも格別に美味しいお酒。でも、毎日味わっている美酒には及ばないわね。
        (つとガラテアの首筋を流し見る。幾度口にしても決して飽くことない至上の美酒。それを思えば、どんな古酒も色褪せてしまう)
        いただきます(言葉と共に伏した目を、開いて最初に視界に映るは鳥の丸焼き。彼女が味付けした肉を取り分け、一切れゆっくりと咀嚼する)
        ……美味しい! 甘い風味も香草の匂いと上手く調和して、鳥の脂と重層的な味わいを為しているのに、後味はさっぱりしてる。
        (一切れ、二切れと口にしてはワインを含み、そのマリアージュに酔い痴れる)ワインと副菜との相性も良い……。
        食材とメニュー選びの段階から気が行き届いているのがよく分かるわ。味付けからその差配まで、素晴らしいわね。
        ……御見逸れしました。もしかして料理下手かも?なんて疑っちゃってごめんなさい。
        (しおらしく謝ってから、悪戯っぽい笑みを浮かべ)ふふっ。これから毎日ガラテアにお料理してもらおうかしら? -- ステラ 2022-06-25 (土) 21:02:38
      • どの料理も馴染み深い 私の時代のご馳走だ(香草の組み合わせが鶏肉の味わいを引き立て、艶のある飴色が食欲をそそる 甘めの味付けは現代ではあまり見かけないものだ)
        寒冷地ゆえ、保存のきく食糧が重宝された 多種多様なチーズが作られている所以だ 北国の海は豊かで、魚は脂がのっていて美味だが海に出られない季節もあってな
        そういう季節には、乾物を戻して料理に使った(スープの滋味深い味わいにほっと溜息をつく)気候や土壌の問題もあって、良質の小麦や果物といえば王国の産品ばかりだった
        ミオやキザニアの香辛料は滅多に口に入らぬ貴重品だ……七つか八つか、物心ついた頃に戦が始まってな 数年が経つ頃には食糧事情も目に見えて悪化していた
        その中でも、我らなりに工夫をして食の楽しみを守ろうとした(ふふ、と笑みを見せて)今は豊かな時代だ 食材に事欠かぬ、というのはいいな 料理にも張り合いが出る
        (空いたグラスにワインを注いで)酒といえば、わが国には蜂蜜酒の文化があってな 蜂蜜の他に、香草を漬け込んだりして香り付けをする……
        蜜月、という言葉は初婚の二人が蜂蜜酒を口にする習わしにちなんでいる 蜂蜜の酒は男女の性愛を促し、子宝をもたらす力があるという(素焼きの陶製のボトルを食卓に並べる)
        これは後で味見をしよう ステラもきっと気に入るはずだ(謝られてしまうときょとんとし、笑いだして)一人では着替えもできぬ私だ 卿の危惧も無理なからぬことだが
        時々手伝っていただろう? 私はステラの味が好きだ(朝昼晩、二人して学食や学外の食堂の世話になることが多かったが、ステラが作ってくれることもあって)
        しかし、ステラも20歳か 卿と出会ったあの日から、姿も雰囲気も変わった様だ 恋を知って、表情が柔らかくなった このガラテアが咲かせた花だ 誇らしく思っている
        -- ガラテア 2022-06-25 (土) 21:52:47
      • (ミネラ=ゼイム戦争の際には、ギザニアによってゼイムの海上封鎖が行われていた筈だった)
        (となれば、開戦後には現在食卓にある内の半分以上は調達が困難となる)
        (ガラテアのさらりとした語り口の裏に潜む、相当な苦労を偲んでワイングラスを傾ける)
        ミードね。蜂は多産の象徴でもあるし、その蜜は滋養満点。養蜂はどこの国も古くから歴史があるわね。ゼイムならホットミードが主流なのかしら。
        (蜂蜜酒の入った陶製のボトルをじっと見て)味見……ねぇ。この文脈だと、どういう意味やら。
        (日々の食事に言及されれば、ここ半年のことがパッと思い起こされる)
        貴女と出会ってから半年近く。色々あったわね……そんなに変わったかしら?(自覚の無い様子で己の頬をむにむにと摘まみ)
        ガラテアの方は……第一印象とは随分違って、色んな顔を見せてくれるようになって……それはきっと、元々貴女の中に在ったものだと思うけれど。
        (記憶を辿っていく中で、懐かしむような表情に、ふと寂寥の色が混じる。彼女と同居を始めてから、漠然と感じていたこと。口にするのを躊躇っていたこと)
        ねぇガラテア。貴方は今後、ゼイムの国政について関わっていきたいという気持ちはあるのかしら? -- ステラ 2022-06-26 (日) 00:13:48
      • そのままの意味だ 常食しているものを、味見とは言わないだろう?(涼しい顔で答えて)ちなみにこの蜂蜜酒も《篝火》仕様だ 私たちが慣れ親しんだ味を再現している……
        (頬を摘まんでいる姿を微笑ましく眺めている)聡明で好奇心旺盛、人当たりがよく誰とでも分け隔てなく接する 私に好意を向けるようになっても、美徳は少しも損なわれていない
        愛らしさは日ごとに増しているようだ 無意識のことかもしれないが、こちらの好みを窺っているような瞬間がある ステラが私の色に染まろうとしてくれている そう思うと……
        愛おしくてたまらなくなる(葡萄酒の酒気が回ってきたのだろう、頬だけでなく顔じゅうがほんのりと朱に染まっている)容姿は優美にして可憐、だが最大の魅力はその眼の光だ
        叡智を求めるもののきらめきを宿している 目から鼻に抜けるような智慧者の顔だが、最近はもっと柔らかく、愛情深い一面が表れているように思う
        私の場合……永き眠りより目覚めた時、この心はまだ戦場にあった 卿らがくれた穏やかな日々が、私をかつての童女に戻したのだろう きっと私は、もう以前のようには戦えない
        だが後悔はない これでよかったと思っている ステラが目にするこの私は、戦なき世に育ったであろう18の私だ(年齢相応、というには少し艶めいた笑みを見せる)そろそろ19歳になるがな
        (グラスの中でワインを回して、残っていた分を一息に乾した)………その話……まぁ…………そうだな、私なりにも色々と考えていた
        《篝火》の名はこの先もついて回る 私は《篝火》のガラテアだ 他の何者にもなれない 私たちは臣民に奉仕するもの 民の願いを集め、彼らの未来を拓く装置のように生きてきた
        他の生き方を知らなかったし、喜んで捨て石になるつもりでもいた だが、アンブロジウスは違った様だ 我が名が歴史の汚点として刻まれることをよしとせず、この命さえ奪おうとした
        色々あって、目覚めてみればこの有様だ 戦は終わり、このガラテアの姿に誰もが親しみを持っていた 何というか……新しい生き方を探せ、と言われているような気がしていてな
        そうでなくとも、今はオリヴェールやバルターの時代だ もしも二国を統べる両陛下の許しを得らえるのであれば……親善大使のような立場で、この王都に留まりたいと思っている
        -- ガラテア 2022-06-26 (日) 01:37:42
      • ……ガラテアは私を褒めるのが本当に上手ねー。まるで何かの物語の登場人物を表現しているみたい。
        (冗談めかして笑う顔は耳まで真っ赤に染まっている。実像とは隔たりを感じる美辞麗句も、それを発する彼女の意を思えば、嬉しさがこみ上げる)
        あはは。今日は暑いわねー(シャツの襟元を緩め、手のひらでパタパタと風を送る。面映ゆい気持ちを押し流すように、ワイングラスの中身を飲み干して)
        (少しの酔いを覚えつつも、続くガラテアの話に耳を傾ける。空になったグラスを置いて、すっと彼女の傍に歩み寄る)
        国政からは距離を置きつつも、特権を持たぬ立場から両国の架け橋になれれば……と。
        私には政治の機微が良く分からないけれど、現在の政治基盤を徒に刺激せず、その中でも最大限両国の……ひいては世界の向後を考えた選択だと私は思う。
        (それは喜ばしいことなのだと、ガラテアの正面から彼女の両肩に手を置いて微笑む。その選択に水を差すことはしたくない)
        (それでも尚、ずっと気になっていたことを口に出す)……まるでアンブロジウスはこうなることを見越していたかのよう。
        アンブロジウスと石化した貴女の去就。ミネラ=ゼイム戦争の幕引きからミネラに渡るまで、予め定めていたように事が進んでいたように見える。
        あの戦争の真意を思えば、初めから終わりまで全てが想定の範囲だったように思えてくる。アンブロジウスと両国の首脳、誰がどこまで絵図を描いていたか……。
        ガラテアの石化が解かれたのもアンブロジウスの遺産によってでしょう? 遠い未来、かつての戦争の恩讐が薄れかけた頃に、発見されるのを見越したような遣り口で。
        (口にしても詮無き事か。それでも言わずにおれなかった。過去に立脚しながらも、過去に囚われず生きようとしている彼女の姿)
        (その中で、因果の端緒となった存在へどのような思いを抱いているのか。確かめずにいられなかった。彼女の今を繋ぎ止めるものとして)
        ガラテア……私は貴女の心が自由であるように願っている。何かの為に、心を殺したり諦めたりしないように。
        より良き未来を生きる為、過去に蟠りなく、全てが納得ずくであるように(ガラテアの肩に置いた手を回して、彼女にしな垂れかかるように抱きしめる) -- ステラ 2022-06-26 (日) 14:28:06
      • この《篝火》は時代の異物だ 私のことで世を騒がせたのも、ひとえに大昔の遺物が世に現れたことの特異さゆえだ 死したはずの者が生きている これは自然なことではない……
        穿った見方をすれば、私というイレギュラーを利用して世を乱そうという輩も現れることだろう 現実の政治に影響力を持てば、”歪み”はいっそう増幅されて禍の元となるばかりだ
        であれば……かつての《篝火》がそうであったように、私は飾りのままでいい 人の世の安らかならんことを願って、両国の友誼を説くのみだ(傍らに立つステラを見上げる)
        このことは、折に触れて両陛下にもお伝えしている この身に異心なきことは、時間が証明してくれるだろう(肩に置かれた手に手を重ねて、穏やかな顔で微笑みを見せた)
        アンブロジウスのしたことは……理解できるが、共感はしない あれは竜谷の防衛線を一夜にして崩壊せしめ、本土進攻の後押しをした 我が同胞の夥しい巻き添えを出した上でな
        この身ひとつ、命を奪うと申し出があったならば……あるいは許したかもしれない だが、私を慕う者たちまで滅ぼすことはなかった 皆、戦後の復興にこそ力を尽くすべき者たちだった
        私はあれを許さない 幼き私を教え導き、もうひとりの父と慕った男であろうとも……アンブロジウスが止めなければ、人の世が滅びていたとしてもな
        (抱きしめられ、ステラの熱を感じて)ステラ、これは最上級の機密事項だが………ゼイムの帝室は竜種の血脈だ 竜の因子をひときわ多く受け継ぐ者は、”先祖返り”ができることがある
        力ある竜種が人の姿をとるように、人もまた竜種になれるということだ 理論上、私にもできると調べがついていた……私のような小娘が、なぜ最前線に送られたのか
        不思議に思ったことだろう 国威発揚、士気の高揚は表向きの理由……我が国が存亡の危機に陥った時には、この身を厄災に変えて王国軍の主力部隊を滅ぼしつくす任を負っていた
        無論、王国の諸将は一騎当千の英雄ばかりだ 彼らと刺し違えるか、さもなくば王国全土を焼き尽くし……この身は人の世を滅した悪竜として、永遠に呪われていたことだろう
        そうなれば――――ステラと出会うことも叶わなかった(あまりにも重たい秘密だが、ステラには事の真相を伝えておきたかった 初めて真に対等な関係になれた気がした)
        この先は……名も知れぬ誰かのためでなく、ステラのために生きたいと思う(す、と立って、ステラの肩に手を添えて半歩の距離をとる)ステラ、ステラ…………
        (赤い瞳が心奪われるほどに美しくて、どくん、どくんと竜の心臓が暴れ出している 続く言葉は、予定調和のごとく自然に)私の妻になってほしい
        -- ガラテア 2022-06-26 (日) 17:39:20
      • ふふっ。この煌びやかな飾りに負けないよう、中身を伴う国造りはさぞ大変でしょうね。これからのオリヴェール先輩とバルター先輩の苦労が偲ばれるわ。
        (眼前に在る才気煥発な人物は本来飾りで収まる器ではない。それでも彼女が望むのなら、その選択を支え続けるのみだ)
        (重なる手から伝わる温もり、平らかな彼女の笑い顔。そこから窺える静かな決意を、肯定する様に目を細める)
        (続くアンブロジウスのことには、ひどく物悲しい思いが去来する。どのような事情があったにせよ、その真意を知る暇もなく別離が訪れた)
        もう叶わぬとはいえ、せめて一度でも彼のした事を貴女が直接問い質すことが出来ればと……そう思わずにはいられないわ。
        その果てが今と同じ結論だったとしても、貴女の負った苦しみが少しでも軽くなるんじゃないかって。
        (もし自分が彼女と同じ立場であったら。幼少から慕っていた者に、判然としない迷いの中で鬱屈した想いを抱き続けていただろう)
        (その晴れぬ苦しみを思えば、知れず彼女を抱きしめる手に力がこもる)
        (互いの熱を感じながら、ガラテアに秘められた真実を耳にすれば、よりいっそう身を寄せて穏やかに囁きかける)
        《竜の心臓》が貴女に備わっていると聞いた時、そうした可能性もあるのではと考えていたわ。
        (どこぞの天竜の例もあり、竜種の因子を持つということは、現時点での身に拠らず、竜の権能を揮う力が内在しているのだろうと)
        でもそうはならなかった。多分それも、アンブロジウスが見越してのことだったのでしょうけれど……なんだか少し腹が立ってきたわ。
        そこまでの事情があるのならば、なおさら彼は貴女と話し合うべきだった。答えは正しくとも、ずいぶん勝手な遣り口だこと。
        (無論それは推測に過ぎないが、ガラテアの語る真相を聞いても、その周辺に怒りが及びこそすれ、彼女自身へは何の忌避も感じない)
        ガラテア。話してくれてありがとう。例え為され得なかったこととはいえ、それを一人で抱えていたのは辛い思いもあったでしょう?
        大丈夫。どんなことがあっても私は貴女の味方よ。今までも、これからも、それはずっと変わらない。
        (強く抱きしめていたガラテアの身体が起ち上がり、少しばかりの距離を経て、互いの瞳の色を映し合う)
        (蒼くどこまでも吸い込まれそうな光。一点の曇りもない天を思わせる輝き。その色に魅入られて、鼓動は高鳴る)
        うん……(自然に飛び出た力ある言葉に自然と頷きを返す。が……)……………………………え、ちょっと、まって。
        つ、妻? 妻って言ったの今……!? そ、それはもう、伴侶になるって、誓い合ってたけど、妻……!?
        た、確かに夫よりは、妻という表現の方が、正しいのでしょうけど……(顔を真っ赤にして、ごにょごにょと)
        (答えは肯定以外有り得ぬのだが、何とはなしに妻という表現に引っ掛かりを感じ、わたわたと狼狽している) -- ステラ 2022-06-26 (日) 19:42:26
      • ん………あっ、ああ、言った…言ったとも(話の流れで思わずスッと口走ってしまった いつかは申し込んでいたような気がするし、遅かれ早かれ時間の問題だったとして)
        (ステラが大人になった日の夜に、というのは悪くない節目のようにも思える 結果的にはファインプレーと言えるのではないだろうか?)
        (などと考えながら、問い返されれば気恥ずかしさが勝って顔がさらに火照ってゆく)な、何かおかしかっただろうか……ステラ…?
        (帝室に連なる者たちも、ありとあらゆる作法を一から十まで心得ている訳ではない 場面に合わせて、有職故実に通じた専門家の指南を受けたりもする)
        (いずれ婚礼の儀を迎えることになれば、然るべき指南を受けられるはずだったが……今は330余年の未来で、しかも同性同士だ 先例は当てにできそうにない)
        こんなにも愛らしい女子をつかまえて、夫というのも違う気がして、だな それに、卿のように聡く美しい乙女を内室に迎えらえる者は世にも稀な果報者であろう
        何より、わた、私は……(ぷしゅう、と白い煙が立ちのぼりそうな有様で目を回しかけている それでも両手で顔を覆うことはせず)ステラの花嫁姿が……見てみたいと、思って………
        …………あっ!? と……そうだ、卿に見せたいものがある(帝都からはるばる送らせた品々のひとつ、《篝火》のガラテアの正当な資産と認められた古物を探して)
        (ロイヤルブルーの輝きを放つ古風な指輪を手に戻ってきた 大粒のサファイアを貴石が囲み、細工師の技巧が凝らされた黄金のアームが支える逸品だ)…………これ………
        母上の………形見の品だ 婚約の時に贈られて、私が生まれてからも愛用なさっていた 眺めるたびに、主上の初々しいご様子が思い起こされると仰って………
        ステラ、ステラ……どうか私を、遥か後の世を生きるこのガラテアを………助けてほしい(声が震えてしまいそうになる 震えを押さえて、指輪を差し出した)
        -- ガラテア 2022-06-26 (日) 21:37:01
      • い、いえ、何もおかしくは無い、のだけれど……(何とはなしに感じていた引っ掛かりの原因に思い当たる)
        (今にして思えば自分は、二人の関係性を既存の言葉に当て嵌めるのを避けてきた)
        (性別も、種族も、生まれた時代も超えた自分達に、既存の枠組みを適用しても破綻するのではないかと)
        (そんな恐れも、いざ言葉に出されてみれば戸惑いよりも喜びが勝る。己よりも動揺しているガラテアを見て、急速に頭は冷静さを取り戻す)
        (そうなれば、ガラテアの動揺する姿が何とも可愛らしく見えてきて、慌ただしく言葉を紡いでいく彼女を、敢えて無言で見つめてみる)

        ……んふふ。あーゆうところ、ホント可愛い(ガラテアが探し物をしに離れている時、独り呟く)
        (間を置かず、蒼い輝きを湛えた指輪を携えてきた彼女に、息を呑む。指輪の出来自体もだが、纏わる逸話も破格のものだ)
        (まるでガラテアの瞳のように煌いている輝石を眩しそうに見遣り、途切れ途切れに言葉を絞り出す彼女の手をそっと取る)
        (そのまま指輪を受け取って、何のためらいもなく己の左手薬指に嵌めていく。計ったようにぴたりと指輪が収まった)
        (指輪を嵌めた手の甲を持ち上げ、彼女の視界に映るよう、満面の笑顔を浮かべ)
        ええ、もちろん。朝は貴女を起こし、着替えをし、一緒に朝食を摂り、共に勉学に励み、午後のティータイムも欠かさず、夕餉のあとの入浴も、髪を乾かすのも、心ゆくまで愛し合うのも。
        (ガラテアの左手を引き寄せて、その薬指に唇を落す)……これからも変わらないわ。いっぱい頼って甘えてちょうだい。 -- ステラ 2022-06-26 (日) 22:41:12
      • (何かとんでもない間違いをしたかもしれないが、それが何かはわからない……こういう状況には覚えがあった 人生の転機になるような局面では時々あることだ)
        (未来のことも判らぬままに、いつも正しい選択を選べる保証などない それでも選ばなければならない時には決断を下したし、その結果には責任を負ってきた)
        (将としては当然のことだ はじめは動揺を示していたが、やがて心は鋼になった―――はずだったが、翻って自分自身のことになると話は違う)
        (自分自身の将来を選ぶ余地などなかったし、ましてや色恋に現を抜かすなど以前の自分では考えられなかったことだ ゆえに、こういう状況にはまったく抵抗がなく……)
        (気づけばすっかり酔いが醒めていて、ステラの反応が判らないあいだは赤くなったり蒼くなったり動悸が激しくなったりしていたが)……………ぅ………
        (形見の指輪を指に通してニコニコしている姿を見ると、緊張の糸が一気に溶けて口から魂がまろび出そうになった)……はぁぁぁぁぁぁぁ…っ…………
        (幸いなことに、指輪のサイズはステラの指にもちょうどいい様で、直しに出す必要も無さそうだった)………………ステラ、ステラ……(口の中に魂を押し戻して)
        (じわりと視界が滲んで、涙目になりながら両手を伸ばす 形を確かめるように頬に触れ、そしてその背を抱き寄せる)…………………よかった………
        (額を合わせて目をつむり、全身にステラを感じる 二人とも酒精の作用で血の巡りがよくなっている分、たしかな熱が立ちのぼってステラの匂いのようなものが鼻腔をくすぐる)
        …………ああ、ありがとうステラ(長い睫毛をゆっくりと持ち上げ、緋色の瞳を覗く すっきりとした表情ではにかみ、飾り気のない口づけを交わして)
        これからは、もう「卿」とは呼べないな この時代では、妻女を何と呼んでいる……? ステラは何と呼ばれたい? 我が愛……我が友………私の星よ、というのもいいな
        ふふっ、ステラ……ステラ、お父上とお母上の許へ挨拶に行こう(ひと回り小さな身体を抱き上げて回る 童女のようにはしゃぎ、声を弾ませて)子供は何人欲しい?
        -- ガラテア 2022-06-26 (日) 23:44:07
      • ガラテア。ちょっと意地悪しちゃってごめんなさいね(涙目になっているガラテアを、微笑んでは抱きしめ返す)
        (この20年間そのほとんどは近親者と過ごすばかりで、一から関係性を築かねばならない他人との心の機微に疎かった自分が)
        (この学院に来てから多種多様な存在と共に時間を過ごし、そして彼女と寝食を共にしてから分かったことがある)
        (相手の一挙手一投足に、大袈裟なほど喜んだり落ち込んだり右往左往してしまうのは、恋をしているからだ)
        大丈夫よ、ガラテア。失敗してもいいの、間違えてもいいの、格好がつかなくてもいいの。どんな貴女も、私の愛する貴女。
        (誤謬を恐れず手を伸ばし、その手を取って共に進んでいくのが愛なのだと、重なる額と唇から実感が湧き出してくる)
        (私は彼女に恋をして愛している。たぶん、きっと、ずっと、この熱が醒めることはない。この蒼い瞳が輝く限り、私は醒めない夢の中にいる)

        え〜? 呼び方〜? そうねぇ……私はガラテアに名前を呼ばれるたび、ときめいているわよ? 特に二回続けて呼ばれた時とか。
        その、お父様に倣えば「我が愛」だけれど……挨拶は纏まった時間が取れる夏休みかしらねえ。
        (はしゃぐ愛しい人の手に持ち上げられ、中空を星の様に巡り回る中、頬に手を当て考え込む素振り)
        男の子と女の子が一人ずつ? いえ、やっぱり二人ずつかしら。同性の弟妹が居た方が、上手く回って賑やかになりそうだし。
        (実現可能性はさておいて、純粋な彼女の稚気に誘われる様に、未来の絵図を思い描く)ガラテアは何人欲しいの? -- ステラ 2022-06-27 (月) 20:11:32
      • ステラは時々意地悪になる……(思い起こしてみれば、そういう時は決まってこちらの反応を愉しんでいるのだ いつも困らされている分、困らせてみようということかもしれない)
        (彼女は誰にでも親切で、余人に意地悪をしている姿をただの一度も見たことがない 自分だけに見せる特別な一面、と思うと存外に悪い気もしないようで)
        構わぬ これがありのままの私だ ステラだけが知っていればいい(以前にも、外面を取り繕う必要のない相手がいたことがある 幼馴染の友人や、側仕えの侍女たちがそうだ)
        (皆歴史の彼方へ消えてしまって、しばらく身ひとつでふらふらとしていたが―――この身は新たな理解者を得た)………これからも、一番近くで見守っていてほしい
        私も、名前で呼ぶのが好きだ もっと名前を呼びたくて、ステラと口にするきっかけを探しているほどだ ステラ、ステラ………私を虜にする者の名だ
        「卿」というのは二人称だ 宮廷に詰める者たちや、将兵相手にはこれでよかった……ふふっ、お父上もデレデレだな(可笑しくなってくすりと笑い)これからは私の義父でもあるのか……
        ならば私もそうしよう 我が愛(改まって口にしてみると気恥ずかしくて、くすぐったそうな照れ笑いをしつつ)にとっても馴染み深いのだろう? 我が愛、我が愛………情熱的なことだ
        私は何人いてもいいが、たしかに男子と女子がほしい(二人によく似た子供たちのいる光景を楽しげに想像して)あながち無理な話でもないぞ 帝室に、とある秘薬が伝わっていてな
        女子に男子と同じモノを与え、女子を身籠らせる様になる……これは史書にも残らぬマル秘情報だが、とある皇女がこれを使って皇統断絶の危機を防いだことがある
        表向きは直系男子の嫡子、ということになっているがな 私もその血を引いている(部屋の中をくるくると半周して、柔らかな身体を自分のベッドの上へと降ろす)
        でも………ステラ、ステラ(薔薇のコサージュに指をかけて、くつろげた襟元から首筋に、頬に口づけの雨を降らせる)まだしばらくは、二人だけでいい
        -- ガラテア 2022-06-27 (月) 22:08:07
      • 我が愛ガラテア(口に出してみればごく自然に。収まるべきところに収まったとでもいうように、胸にすとんと落ちてくる)
        我が愛、我が標、我が楔、我が翼、我が火、我が光、我が月、我が夜、我が血、我が妻、我が君……ガラテア。
        (思いつくままにつらつらと、弓なりに細めた紅い瞳を静かに燃え立たせ、薄く笑った唇が色めき立つ)
        (浮いた身体がくるくると室内を巡る中、視線は中心のガラテアへと真っすぐに注がれ。軋むベッドの音を耳にしながら、なおも瞳は釘付けのまま)
        ああ、ガラテア。今でも身を焦がす熱情の愛に、新たな彩りを添えて私を熱く蕩けさせようと?
        (首筋に受けるキスの熱さに吐息を弾ませ、秘薬を用いた未知の睦み合いに想いを馳せては、胸の奥を滾らせる)
        ガラテア。まだ貴女の知らない私を見つけてみて。この身、この姿のままでも……(彼女の服の内に手を潜り込ませ、美しき線を描くお腹を指で撫で上げる)
        (愛しき人に組み伏せられて荒々しく身体の最奥を突き上げられる。いつの日か訪れるであろう光景を夢想しては、淫靡な笑みを口元に湛え)
        今はまだ。貴女の唇で、舌で、指先で。私を隅々まで味わって……(挑戦的に紅玉の瞳を引き絞り、深くガラテアと唇を重ねる)
        (極上の美酒を貪るように、ワインの香りを纏わせたトロトロと熱い口腔を、舌先が奔放に跳ね回る。祝いの酒宴はまだ始まったばかりだった) -- ステラ 2022-06-27 (月) 22:57:18
  • 🗿 -- 2022-06-22 (水) 22:07:24
  • (元々ひとりにひとつずつあったベッドも、いつしか日ごとに代わるがわる二人一緒に使うようになっていた いつものように遅くまで睦言を交わして、明くる朝のこと)
    (ご存知の通り朝はとびきりに弱くて、放って置かれたら夜まで眠っていそうな程で―――ステラと胸を合わせたまま、身体じゅうキスマークだらけで心地よさそうに寝息を立てている)
    -- ガラテア 2022-06-20 (月) 21:07:24
    • (ガラテアが寝入ってから。そのまま共に眠りこけぬよう、彼女の髪を梳りながら、朝陽が登るまで窓の外の空を眺めている内に時が過ぎ)
      ふぁ〜〜〜…………さて。今日はどうやって起こそうかしら?(日課となったルーチン。穏やかな寝息を立てる裸身に目を細め)
      ふふっ。こっちに触感ってあるのかしら? 実験、実験♪(目に映るは二本の竜角。蒼い燐光を纏う角に指を沿わせる)
      (右の竜角には指と掌をひたりとくっ付け、根元から優しく扱きたてる。左の竜角には唇を落し、先端へと舌を這わせ、固いしこりを解すように舐めしゃぶる) -- ステラ 2022-06-20 (月) 21:30:36
      • (竜角はやはり材質不明といった感じだ 大海原の水底のような深い深い青が暗く透き通っている中に、燃え盛る焔のような蒼い輝きがゆらめいている)
        (見かけはゴツゴツとしているが手触りは磨き抜かれた貴石のように滑らかだ 当人が眠っているために、対の竜角に宿った焔は平穏を保っていて)
        (そこに刺激が加えられると、微風を受けたようにささやかな反応を見せた)………ぅ………ん……(身じろぎをしようとして、すぐに力尽きて静かになる)
        (起こすためなら何をしても構わない それも最初の約束のひとつだ 交際を始めた後には、さらに遠慮がなくなって独創性あふれる起こし方をされるようになっていた)
        -- ガラテア 2022-06-20 (月) 21:46:38
      • んっ……ちゅ……ぷぁ(滑らかな竜角の先端を唇で扱き、紅い舌先が表面を這い回る。異質な感触ながら、ガラテアの身体の一部と思えば愛しさは募る)
        (行為が熱を帯び始め、舌をチロチロと小刻みに蠢かせ。空いた片方の手をガラテアの唇へと寄せていく)
        あまり、れろ……触感は無いの、かしら……んむっ……はぁ……(竜角を弄る指先と舌はそのままに、ガラテアの口の中へと指を忍ばせる)
        (親指で唇の縁をなぞり、中指と薬指は歯列と口腔をまさぐる。そのまま彼女の舌を捕らえると、二指で挟んで優しく擦る) -- ステラ 2022-06-20 (月) 22:02:53
      • (触れられた場所から温もりが伝わって、今は人肌と同じくらいに温まっている 肌に直接唇が降ってきた時ほどの反応はないが、触れられていることはわかる)
        (―――といったところだろうか? 目を覚ましていれば別の反応があり得たかもしれないが、今は幸せそうなまどろみの中にいて)…………すぅ………すぅ……………
        (口腔に潜り込んだ指先が歯列の間をくぐれば、まったく抵抗もなく押し開かれる代わりに、ステラの細指に甘噛みする程度の圧がかかる)
        (舌を弄られている間も、あどけなさすら感じさせる寝顔を晒していたが……二の腕のあたりまで露わになっていることに肌寒さを覚えてか、ステラの温もりにもぞもぞと身をすり寄せる)
        -- ガラテア 2022-06-20 (月) 22:19:04
      • (口腔に挿入していた指先がやわやわと甘噛みされれば、お返しとばかりに口に含んでいた竜角に歯を立てる)
        (普段彼女の肌を食むよりも少し強めに。それでもなお寝息の乱れぬガラテアに、またぞろ悪戯心が湧き出す)
        ん〜〜〜……ふっふっふ〜♪(摺り寄せてくる身体の間、みっちりと合わさった互いの胸の合間に指を差し込んでいく)
        (弾力と柔らかさに富んだ波をかき分け、彼女の胸の先を探り当てれば。指の腹でこしこしと緩やかな刺激を送っていく)
        さーって、と……ん、ちゅ(一方で彼女の口腔を弄っていた指を引き抜いて、朝日にてらつく銀糸を己の口に含み、その味に酔い痴れ)
        (己の唾液と絡ませれば、ガラテアの下腹部へと手を伸ばす。その行き先は見事な丸みを帯びた臀部。なだらかな曲線に掌と指先を沈み込ませる) -- ステラ 2022-06-20 (月) 22:43:34
      • …………っ………(ステラの歯が当たれば、透き通った竜角の奥底から蒼い燐光が瞬く ぴく、と肩がわずかに強ばるような反応を見せ、それもやがてくたりと弛緩する)
        (朝を迎えて目が覚めるたび、閨を共にしている彼女にいいように玩ばれていたことに気付くのだが―――今ではそれも愛すべき日常の一部となっていた)
        (ゆっくりとした呼吸に合わせて上下する胸の先がステラの細指を受け止める 押し込まれたなら抵抗もなく沈み込み、指先に次第に次第にはっきりとした形を感じさせて)
        (丸みを帯びて膨らんだ乳輪の先 執拗に擦られて主張を強めるその有様に、目覚めていれば恥じらいもしたかもしれないが)……………ぁ……っ、ん………(今は僅かに呼吸が乱れるのみで)
        (すらりと長く伸びた脚の付け根、長距離の行軍で鍛え抜かれた健脚を支えるほどに肉付きがよく、引き締まって安定感のあるお尻にステラの細指が食い込んだ)
        -- ガラテア 2022-06-20 (月) 23:04:13
      • ……っふぅ。今日は眠りが深いわねぇ(いつもならもう少し色好い反応が得られるのだがと、呆れと感嘆の織り交じった息を吐く)
        (この時間は愛おしくもあるが、長引けば長引くほど後を引く。目覚めても互いの興奮が収まりきらず、行為に及ぶこと幾たびも)
        今日は遅刻避けなきゃ。春休み明け早々なんだし(指先で主張を強めるガラテアの胸の先。薄紅に色づく蕾を指の腹で摘まんでは転がし)
        (身を捩っては顔を近づけ、先ほどまで角の上で這い回っていた唇と舌先で刺激を始める)
        (その最中も、足の付け根で手を動かすことは忘れない。ふるりと揺れる桃の頂点へ優しく指を滑らせて、柔らかにくすぐる)
        そろそろ……仕上げ、っと(徐々に高くなっていく陽の光。室内に差し込む光を受け煌めく、ガラテアの白い肌に舌を這わせ、桜色の突起を思い切り吸い上げる)
        (その直後、二人の半身を覆っていたシーツを思い切り剥ぎ取り、先ほどまで優しく指を沿わせていたお尻へと平手打ちを見舞う)
        そ・ろ・そ・ろ、お・き・な・さ・いっ(ぴしゃりぴしゃりと二度三度、痕が残らぬ絶妙な力具合で、肉付きの良い臀部に掌を打ち付けていく) -- ステラ 2022-06-20 (月) 23:41:18
      • ……んん………(胸が釣り上げられ、鼻にかかったような声で小さく呻く 一体どんな夢を見ているのか、ゆるゆると締まりのない笑みを浮かべながら背中を反らして)
        (乱れたシーツが温もりごとはぎ取られ、生まれたままの裸身に朝の光が注ぐ 露骨に嫌そうな寝顔になって、肌の触れあう面積をすこしでも増やそうとしたが)
        ―――い゛………!!(すごくいい音がしてお尻が波打った 効果は覿面、豆鉄砲を喰ったハトのように目を丸くして)たっ、たぁ……! うぅ………ぅうぅぅ…
        (綺麗に入った衝撃が膀胱まで届いて、あんまり驚いたりもして軽く漏れそうになることがあるが、今日はセーフだ ステラのベッドで粗相をしたことは一度、いや二、三度しかない)
        (くぁ、と口に手を当て大きな欠伸をすれば、目尻には涙が溜まる 余人の目に触れたなら、曲がりなりにもゼイムの帝姫たるものにあるまじき振舞いと大いに叱られそうだが)
        (彼女の前で取り繕うことは何もない ステラの頬を挟んで胸から引き剥がし、挨拶代わりに唇を合わせる)…………………(陶然として、軽く目をつむったかと思えば)
        …………あと、五分だけ…(なんとそのまま夢の世界に舞い戻って、ふたたび静かな寝息を立てはじめた! 普段の凛々しさなど1mmもなく完全に眠気に負けている……)
        -- ガラテア 2022-06-21 (火) 00:39:27
      • 目が覚めた? (やはりこの手に限る。過去に何度かやらかしはあったが、手強い眠気を打ち破る最善手の一つ)
        (しゅっしゅと平手で空を切りながら、彼女の大欠伸を微笑ましく見守る)
        (やや強引に引き寄せられては、されるがままに唇を重ね、陶然としている彼女に笑みを深くしていたが……)
        そのあと五分が本当に五分だった試しは無いでしょ、もぉ……!(再び睡魔の手に落ちたガラテアに顔を寄せて)
        (瞑目している彼女の耳に唇を近づけ、その耳朶を食みながら甘い言葉を流し込む)
        このまま、五分寝てるのと……五分間、キスをするんだったら……どっちがいい?
        (歯形が付くほど耳朶を噛み、僅かに浮き上がってくる血の味を舐めとりながら、紅い舌先がくちゅくちゅと淫靡な音を立てて耳孔を穿る) -- ステラ 2022-06-21 (火) 01:18:04
      • ……………ぅ………?(耳に犬歯が突き立てられて、ステラの囁く声が聞こえた 眠たすぎてよくわからないが、雰囲気的に何か淫らなことを口にしているのはわかった)
        (朝の二度寝に勝る快楽などそうそう無いことは世人も認める通りだが、たしかにこの身は知っている 睡魔の誘惑にも勝る、ごく少数の例外があり得ることを)
        (ぐちゅり、と濡れた音がして聴覚の半分が犯される 肌や舌はもちろんのこと、ステラは眼球にも性欲を向ける 五感の中でまだ玩ばれていないのは嗅覚だけだ)
        (この鼻も遠からず、何か想像もし得ない奇想天外な方法で抱かれることになるのだろうか? そんなとりとめもないことを考えながら思考を覚醒させていく)
        (あと五分の間に、ステラは何をしようと言っていたのか? こくり、こくりと頷きながらゆっくりと薄目を開けて)………おはよ……ステラ、おはよう…………
        (ステラの言う通りだ もういい加減に起きないといけない 本格的に怒られる前に起きるべきだ 半分以上も寝ぼけたまま、愛おしい吸血鬼の身体をまさぐり)
        (ゆうべもドロドロに蕩けていた場所に細指をあて、お気に入りの場所を撫で上げる そうだ、ステラはきっとこう言っていた―――五分あるならもう一度だけ、と)
        -- ガラテア 2022-06-21 (火) 01:57:44
      • はい、おはよう(薄目でぼんやりしているガラテアに、口づけをして微笑んでいたが……)
        ……ちょっと? あの、ガラテア……ねぇ……(こちらの身体を弄ってくる手の動きに、困惑した表情を浮かべ)
        ……もぉ! こらっ、メッ、でしょ……バカバカ……ばかぁ……(彼女の頭をペチペチと叩いて非難がましい言葉を並べるも)
        (昨夜の残滓と先ほどまでの流れで火の点いた身体は、淫靡に攻め立ててくる指の動きに抗えない)
        (濡れだした秘所を搔き回されて、淫らに輝く紅い瞳は、負けじと彼女の敏感なところを探り当てては指先を蠢かせる)
        (穏やかな朝の時間は一瞬の内に淫蕩に染まり、互いの吐息と嬌声が混じり合う)
        (五分どころで済むわけもなく、睦み合う時間はあっというまに過ぎゆき。その日、二人が学院に姿を現したのは昼過ぎになったという) -- ステラ 2022-06-21 (火) 23:42:05
  • 🗿 -- 2022-06-20 (月) 20:49:05
  • ステラ、ステラ……(真夜中に出かけようとするステラを呼び止める フードのついた暗色のクロークをふわりと羽織って)ついていきたい 構わぬだろうか? -- ガラテア 2022-06-17 (金) 21:48:00
    • ええ、勿論。一緒に星を見に行きましょう(迷いもなく笑顔で頷く)
      (ステラの向かう先は郊外に少し歩いた平原。カンテラの明りを消せば、王都で灯る明りも遠く)
      (空には満天の星と月が輝いている。そんな場所に彼女をいざなうべく、ガラテアに向けて手を差し出す) -- ステラ 2022-06-17 (金) 23:45:57
      • 星の明るい夜があるたび、大きな蝙蝠の群れになって……月まで飛んでいくのだろう? ふふっ、私も連れていってほしい(詩的な空想を口にして、ステラの白い手と手を重ねた)
        (”真夜中の外出を妨げないこと”―――最初の約束をきちんと守って、無用の詮索も差し控えてきた 人間誰しも、一人になって自分自身と向き合う時間が必要だ)
        (ステラはきっとこちらの意図を察していたし、一人の時間を愉しんできたはずだ 今夜初めて、その先に一歩立ち入ってみることになる 出かける準備は万端だ)
        -- ガラテア 2022-06-18 (土) 06:42:21
      • たとえ空が翳っていても、たとえ翼が無いとしても。今の私は月も星も、その手に掴めるの(重ねた手と手。指を絡ませ目を細める)
        (実のところ、最初に提示した二つの条件は既に有って無いようなもの。心を交わしたあの日から、もう彼女には何も隠し立てする必要は無い)
        (それでも律義に約束を守ってきたことが無性に嬉しい。私の愛する人は、敬意も信頼も寄せられるのだと)
        (夏の空気が混じり始めた夜の散策。傍らの蒼き燐光が仄かに照らす道行は、妙に心が躍るものだった)
        やっぱりこの時期は天頂付近の大三角! ミネラでは春の大三角と呼ばれ、三つの星で形作られる標!
        (街の灯から遠く離れた平原。空は良く晴れ渡り、開けた大地には満天の星が広がっている)
        (童女の様に目を輝かせて、興奮気味にガラテアの裾を引き) ねぇ見える? 天頂から少し東に、一際輝いているオレンジ色の星があるでしょう?
        アルクトゥルス。全天でも五指に入る明るさの星。地域によっては「北の守護者」、「龍の一角」なんて異名もあるの。 -- ステラ 2022-06-18 (土) 11:10:32
      • ふふっ、見えるとも 呼び名は少し違うが、私も多少知っている アンブロジウスが古代の星座を教えてくれてな(フードを外し、軽く首を振って麗らかな金の髪を夜風に晒す)
        (星の話をするステラはいつもと少し雰囲気が違って、まるで童心に帰ったようだ 後ろからそっと腰を抱き、少し身をかがめて同じ目の高さから空を見上げた)
        星の逸話は世界各地に伝わっている 私の時代にも、星々は人の不確かな道行きを照らす導きの光だった 特に……極北にあって、ひときわ明るく瞬くあの星
        (北の空を見上げて、星座をたよりに見つけ出して指さす)我らはあの輝きを、アリウスのまなざしと考えた 天に満ちるこの星々は、すべてが父祖のまなざしだ
        私もいつかは天に昇り、いとし子たちを見守る光となるだろう(蒼く燃えるような《篝火》を、瞳の中の光を細めて)今でも似たようなことはしているがな
        …………ステラ、ステラという名は……やはり星にちなんだものなのか?(彼女の口ぶりには単なる趣味を超えた特別な思い入れが感じられる 興味を覚えて問うてみた)
        -- ガラテア 2022-06-18 (土) 11:52:46
      • (月夜に靡く金糸の輝きを横目に思う。魔術師アンブロジウス。彼の者について幾つか思うところはあれど、今は心の内に秘め)
        (背中にひたりと寄り添う柔らかな感触に頬を緩め、愛しき人と顔を並べて星空を見上げる)
        (彼女の差す指先の向こう。極北に座す不動の星。多くの人々の生活に根差す導きの星)
        北の極星。不動に見える輝きは、長い長い時と共に、僅かにその位置を変えている。
        かつてその事を教えてくれたお父様はこう言った。「不朽不変のものなど無い」と。
        星の輝き、その命すらも永遠ではない……と続くのでしょうけれど(間近にあるガラテアの頭を抱き、頬を合わせる)
        たとえ全てに限りがあるとしても、今こうして抱く想いは絶対だと私は信じている。
        紡がれた想いで為されたことが、形を変えて伝わって、また新しい想いが生まれ、繋がり、継がれていく。
        (その遠き果てが滅びだとしても、今の輝きは決して無為ではない。遠く瞬く光を目に、近き光を肌で感じ、心は明るく満ちている)
        ふふっ。本当、単純な名前でしょう? うちの家系って名前に頓着しないのかしら? お母様だってエステルだし。
        (ステラもエステルも、古語で星を意味する言葉。星詠みの家系としては珍しくない、ということを笑って語り)
        とはいえ、他にも理由があって……ちょーっと長いお話になるけど、いーい? -- ステラ 2022-06-18 (土) 16:02:29
      • お父上がそのような話を?(一口に魔族と言っても、人界の外に生きるあらゆる種族の総称だ 吸血鬼は不死なる者たちの一種で、群を抜いた長命で知られる)
        (ステラもお父上に似て、常人の寿命をはるかに凌ぐような長生きをするのだろうか? 遠い未来、その時自分は―――と、触れあう頬の柔らかさにそんなことを思った)
        我らはむしろ、星々の輝きにとこしえなるものを求めた 帝国人の誉とは、父祖の歩みを継ぐことにある この時代に目覚めて、ひとつ驚いたことがあってな……
        王国人も帝国人も、昔は60歳を超えて生きる者など稀だった 40を過ぎれば長生きの部類でな 帝室に連なる者たちは特に短命だった 竜種の血脈が濃すぎるためだ
        私の身体も同じはずだが―――神の呪いをこの身に受け、本来人に用いられてはならぬ術式を施された今は判らない 果たしてどうなっていることやら
        ともかく、以前は人の命が短かった(衣服の上から腹部の手触りを愉しんでいる)果てがあることを皆知っていたし、いつかは偉大なる父祖の列に加わることを喜びとしていた
        星々は「しるし」だ 地上がどれほどに荒れ果て、今を生きる私たちがいくたび愚行を繰り返しても……夜ごとに天を見上げれば、父祖の慈愛が清い輝きを放っていて
        ―――我らを愛する者たちに、見守られていると信じられたんだ(優しい声で呟いて、考え方は正反対でもほとんど同じ結論に至る話を締めくくった)
        ノーチェルクスは星詠みの家門か わかりやすくて愛らしい ステラは私の一番星だものな(頬をすりあわせ、顎の下を細指でなぞり)
        星の輝きは導きの光だ 遠い未来の世界でも、星だけは変わらず天にあった いつも私を見守り、道を示してくれる ステラはそういう、愛すべき名だ
        …………ステラ、ステラ……ああ、私のステラ(どれほどに愛でても足りない 名前を呼んでぎゅうっと抱き寄せ)教えてほしい ステラのことを、もっとたくさん……
        -- ガラテア 2022-06-18 (土) 16:58:29
      • (久遠なるもの有限を愛し、定命なるもの永劫に焦がれる)
        (ガラテアの話を聞きながら、ふとそんなことが頭に過る。果たして自分とガラテアはどちら側なのか?)
        (いずれにせよ己は彼女を求めている。欠けたるを埋めるが如く。帝国人が神々ではなく、血族と星々へ縁(よすが)を見たように)
        (……このお腹を撫でている手も何かを求めているのかしら? 服の上から腹部を滑る指の感触で、些か間の抜けた思考がまろび出る)
        なんだか今日はやけに甘えたさんねぇ、私の星は(誉め言葉に面映ゆさを覚えつつ、後ろ手に彼女の頭を撫でる)
        (名を呼ぶ声が心地よく耳朶を擽り、されるがままに抱き着かれる。口角をより緩ませて)
        お母様とお父様が結びついたのも星が切欠だったし、私が産まれ得たのも星のおかげだったの。
        魔界の空ってね、人界と同じように太陽も月も星も見えるの。座標はちょっと違うけど。
        (それから訥々と父母の出会いを語る。母が星の力を探究するため、魔界に赴いたこと)
        (夜と闇を司る悪神ゼノバスこそが星に関する新たな知見の糸口であり、その直系である父ゲオルクに目を付けたこと)
        天体って善神バロネールの権能の内でしょう? けれど魔界でも魔族にも観測できる天体とは何なのか、魔族側の知見が必要と考えたんでしょうね。
        (そんな母の思惑に父が応じて共同研究が始まったこと。そして一つの伝承に目を付けたこと)
        (生命の魂の行く末、その道行の一つが在る星の光に還っていくということ)
        死後の魂は神々の御許に召され、再び生まれ変わる。という説がミネラでは支配的であるけれど、例外はいくつも存在する。どこかの天竜とか、ね。
        (ガラテアの口ぶりから、ゼイムでは死後の魂が神々の手に拠らず、星に還っていく説を採っているのでは?と頭を過りつつも、話を続ける)
        神々の手から零れ落ちた魂の行く末。その星の光が本当に魂の流転した姿だったのか。
        それを父と母は解き明かした。
        (その星から周期的に地表に落ちてくる光があったこと。それは人界と魔界の両方に降りそそぐこと)
        (『天から降りし星光の結晶』──大地に還ろうとする生命の源、流転する命の力を宿した星の雫)
        ……ここまでは、いーい?(抱きしめてくるガラテアの手の甲を擽るように、指先を滑らせる) -- ステラ 2022-06-19 (日) 00:30:47
      • ふふ、見せつけているんだ 太祖ウィルハルト=ウム=ゼイムより続く皇統……我が父なるウィルハルト三世陛下、そして我が弟、その子らに至るまで……私を見守るものすべて
        貴き父祖もご照覧あれ、とな(腰かけられる場所を探し、造りのしっかりとしたクロークを敷いてステラを膝の上に乗せた 背中を支え、首筋に口づけをして)
        (見通しのよい草原で、人の気配は少しもない ふだんは人目を憚って、外でステラを困らせるようなことは自制してきたが……今なら多少大胆になっても構わないと判断した)
        (ライフワークのためとはいえ、一介の人間が高位の魔族と接触して学術的な交流を試みるというのは常軌を逸したことだ ほとんど死ににいくようなものだからだ)
        (直截に言って、魔族は今も人の生存を脅かしている ゆえにこそ個の力で魔族と渡り合える勇者トーマは歴史上の特異点となったし、太祖ウィルハルトの偉業は空前絶後のものだった)
        (話には聞いていたが、その覚悟は壮絶なものだ 生存の保証など少しもないまま、ただ情熱をもって人の天敵に挑み―――見事その心を動かしてみせた)偉大な母上だな エステル殿は強い御方だ
        (禁忌というのは、先人たちの犠牲の上に築かれた経験則だ エステル殿は一体いくつの禁忌を乗り越えたのか その困難を想うほどに、畏敬の念に打たれてしまう)
        私は………魔族とは、生存を賭けた争いを演じることしか知らなかった 多くを奪い、奪われて……(目の前に迫る豊かな胸に甘える ふかふかのふわふわだ)
        大戦の陰で演じられたもう一つの戦い、史書には残らぬ暗闘だ 民の未来を守るためなら、私はどこまでも非情になれた お父上は《篝火》の名を、快くは思われないだろう
        それだけに―――私は、お父上とお母上を誇らしく思う ステラの父母は、我が父母も同じだ 私たちよりも大きな違いを乗り越えられた
        (魂の行方についての話も興味深く聞いている この世界の成り立ちに迫る、根源的な探究だ 星詠みの学問は未来のことを知る技術体系でもある その究極形とも言えるかもしれない)
        疑問はいくつもある 帝国人の魂は神々のものではない 魂の流転があり得るとすれば、魂の総量は変わらぬことになるが……両大国の人口は今日まで増え続けている
        この矛盾は………(恐るべき考えに逡巡を示して)人が魔に、魔が人になり得ることを示しているように思う ステラは、かつて私を愛してくれた誰かなのか……?
        -- ガラテア 2022-06-19 (日) 09:55:23
      • 見守っているお歴々を泣かせるようなことしちゃダメよ?(導かれるままに、ガラテアの膝の上に身を預ける)
        ……重くないわよね?(他愛もないことを気にしながら、首筋に受けた口づけに、くすぐったそうに身を捩らせる)
        (母が為してきたことを人に説明するたび、あらためて思う。客観的に見て母はやはり異常なのだと)
        (ただ興味の赴くまま。知ることに饕餮で、知らずを恐れ。貪欲に知識の甘き果実を求め続けた。その先に破滅の口が開いていようとも)
        (結果が伴わなければ愚かな狂人。たとえ結果を示してみせても、受け取り方は人によって大きく違う)
        ただ自分が大切にしていることの為に動いた。貴女も、母も、父も、そこだけは変わらないわ。
        その功罪が周囲に認められるかはまた別のお話。でも、私は思うの。大切なことは大切な人に認められればそれで十分。
        ありがとうガラテア。私の母と父を認めてくれて。
        (彼女の来し方から考えるに、魔族とそれに通じる者を認めるのは、尋常ならざること)
        (私という取っ掛かりがあったとはいえ、父母に敬意を表してくれたことが、ただただ嬉しい)
        (胸に甘えてくる彼女に安心して身を預け、そんなことを思う)

        一つの魂が一つの魂に転化するとは限らない。斃れたアリウスが、多くの善神と悪神に分かたれたように。
        一つが複数に分かたれ、或いは複数が一つに合わさり。数だけではなく、性質も同様。魂の行く末は人魔の境目を超える。
        (そして恐らく。魂はこの世界に限らず、世界の壁を越えて流出と流入を繰り返しているのではないかと、仮説を胸に諳んじて)
        (携えていた日傘にマナを通し、イメージを強く形作る。この魔杖と自身を構成する要素に思いを馳せて連なる言葉を紡いでいく)
        星の嘘 虚光の影 偽りの宙 転輪せし巡り行く 心の写し身 光の影 列なる天
        (言の葉を重ねるたび、日傘の輪郭が溶けていく。やがてそれは夜闇と同化するように、小さな宙を形作る)
        終端の星光(アル・タルフ)
        (ステラの手元に形成された極小の夜空。光の絶えた真なる闇から、仄かな黄金の球体が一つ浮かび上がり、儚く消えていった)
        これが流転する命の光の一端。その星の雫が大地に落ち、還ろうとする前の原型……それが『天から降りし星光の結晶』。
        人界と魔界、それぞれに堕ちた星光の結晶。それらを合わせた結晶を、母はその身に取り込んだ。
        幾度となく父と交わっても子を宿すことがなかった母が、結晶を依り代として子を宿した。
        そうして産まれたのがこの私。ステラ・ノーチェルクス(星の夜光)
        混じり合うことの無かった母と父の血が、生命の源を媒介にして結実し、新たな命が芽吹いた。
        人でも、魔族でも無く、そのどちらでもある存在。
        (淡々と事実を告げていく内に、手元の宙が消えていく。元に戻った日傘を地にそっと置いて、たおやかに微笑む)
        もしかしたら私の中に、かつて貴女を愛した魂の一部が宿っているかもしれない。例えそうであったとしても。
        今の私は貴女を愛している。この気持ちだけは絶対の絶対。
        (言葉と瞳に確信の色を滲ませて、ガラテアに深く身を預ける) -- ステラ 2022-06-19 (日) 14:08:55
      • 重たくはないが、多少は肉がついている方が好みだ この時代でも、痩せこけて肌の荒れている者を見るたび胸が痛んでな(当人の意志でそうしているとしても心配は心配らしい)
        その点、ステラは素晴らしい どこに触れても柔らかくて、この手をしっとりと受け止めてくれる 当代一流の画家を招いて、絵に描かせたいくらいだ
        (ステラの父母は彼女に愛情を注ぎ、ステラもまた父母を深く敬愛している 少女時代の家庭が温かいもので、ステラが愛情深い性質に育ったことに感謝の念を抱いていた)
        今の心配は、むしろ私だ お父上は決して性急な御方ではないはずだが、娘を誑かしたと言われればその通りだろう? かといって、返せと言われても返せない
        高位の吸血鬼と単身でやりあえる傑物など、私の時代にも何人いたか……交際をしていることについて、お父上は何と?(彼女なりの表現でいい感じに伝えてくれていることを祈って)
        ふむ、一対一の関係ではない? 仮説としては冒険的で面白い ただ、魂の残滓に人魔の境など存在しないのだとしたら……(ステラの胸に顎を乗せて見上げる)
        私たちは、何のために戦っていたのだろうな(生存のために、子々孫々の未来のために―――かつて同胞であったかもしれない者たちと滅ぼしあっていたのだとしたら)
        (神々の悪意を、あるいは空恐ろしいまでの無関心を想ってしまう 二度にわたる人魔の大戦も、無意味な死をうず高く積み上げただけ―――ということになるのだろうか?)
        (ステラの魔法が夜空と溶け合い、黄金の輝きが流転して消えゆくさまを見届ける)人と魔を隔てる大いなる理 その頸木をはめ込まれる以前の、無垢なる魂……
        よもや、そんな手段があり得たとはな(輝くほどに美しい横顔を恍惚として見上げ、その頬に口づけをした)神々の支配をよしとせぬ心意気は、帝国人の心情にも通じるものだ
        だが、卿の誕生は不可能を可能にする試みのためではあるまい 懇ろに情を交わさなければ子はできぬのでな(互いを信じ、愛情を育んだ上でのことだ そこに至るまでのドラマを想う)
        ……ステラ………ステラ・ノーチェルクスか ほんとうに、よくできた名だ(夜風になびく金の髪をさらさらと梳き、やがてどちらからともなく唇を重ねる)
        時の流れにかき混ぜられて、形を失い、やがて大河の一滴となる……想像もつかぬほどに壮大な話だが、ひとつ確かなことがあるぞ このガラテアは、何物も負わぬ身となった
        今の私なら応えられる 卿がこの身を愛する程に、尽きせぬ情愛をもって報いよう ステラ、ステラ………無二なる友よ 導きの標、愛おしき星よ(体重を支え、微笑みを返した)
        -- ガラテア 2022-06-19 (日) 15:47:22
      • 裸婦像だったら御免被るわ。私というキャンバスに色を乗せられるのは貴女だけ。
        (彼女が好きだと言った柔肉へと沈み込めるように、豊満な胸でガラテアの頭を抱きとめる)
        (父の意思を問われれば、唇に指を当て)えぇと……私が貴女とルームシェアをしたことを報告した手紙には、「どういうつもりだ?」って暗に咎める返信が来て、
        私に魔族の血が流れていても貴女が受け入れてくれた手紙には、「勝手にしろ」って短い返信。どちらもお母様からしか返信は無かったから……
        (くすくすと悪戯っぽく笑い)お父様はどう思ってるのかしらねぇ? 愛娘を誑かされた父親の気持ちってどういうものなのかしら?
        (父の思いは那辺にあれど、決して悪いように事を運ばぬ確信がある。人と魔が手を取り合える事を、身を以て知っているのだから)

        元を辿ればジアリウスに住まう全ての命は創世の竜アリウスに行きつく。大樹の基に分かたれた枝葉。
        『憎いながらに なほ恋しとは どうしたわけと 問われもせうが、 ただ由故も無く かう成りはてて、 切り虐まるる 身の因果。』
        (同じ人を憎みも愛する、なぜそうなるのか分からず苦しむ。そんな内容の古典詩歌を口ずさむ)
        神々は同じ一つから別れた似た者同士。好きな所も嫌いな所も表裏一体。上手く折り合いを付けられないからお互い否定し合う。
        自分の中で相反する感情を制御出来ない子供みたいよね? 喧嘩の規模も子供なら、笑い話で済んだでしょうに。
        (未だに意地を捨てきれぬ神(もの)、諦観の内に姿を消した神(もの)、卑近な話題に落とし込めば実にありふれた話)
        (違いを愛し、違うも良しと、認めることの難しさ。頬に口づけを受ければ、僅かな差異など全て許してしまう心持になる)
        (父と母も、こうして違いを乗り越えてきたのだろうかと、愛しい人の唇を肌で感じながら思う)
        (ほんの一時、僅かな黄金の煌き。その名残を映す、金糸が指の合間を流れていき、重なる唇は無言の内に愛を語らう)
        ガラテア。貴女も同じよ。父祖の血脈と紡がれてきた多くの想いが貴女を形作って、数奇な因果の果てに今こうしてここに居る。
        その身を縛る楔を欲するなら、私が貴女を繋ぎましょう。私の光、私のさだめ、私の愛、ガラテア。
        (名を呼ぶたびに湧き上がる想いを、口づけを以て伝えていく。何度も、何度も。汲めども尽きぬ愛を) -- ステラ 2022-06-19 (日) 17:25:20
      • 現代語に翻訳するなら……(こほん、と咳払い)『ちょっとびっくりしたけど、ステラが決めたことだ。反対はしないさ。いつも君の幸せを願ってる。パパより』といったところか
        男親の愛情表現などこんなものだ、ステラ(どんな顔をしてやっと一文を認めたのか、想像してくすりと笑う)どこの馬の骨か判らぬ相手も何だが、身元が割れすぎているのも考え物だな
        (ゲオルク殿の返信を見る限り、この関係はすでに親公認となっているようだ これ以上、刺客の数が増えることは無さそうだと知れて内心安堵を覚えていた)
        あるいはこの世は、死せるアリウスがまどろみの内に見ている末期の夢かもしれない 我らも共にアリウスの子らに相違なく、創世竜の残滓に他ならないのだろう
        帝国の方言で、吸血鬼を意味する言葉に”ドラキュラ”というのがあるが、意味は”竜の子”だ 我らゼイムの帝室も、竜の血脈を色濃く受け継ぐことを誇ってきた
        私たちは……どこか似ているのかもしれないな(ステラとの関係が深まるたび、魔族に対する見方が変わっていくようだ 彼女の語り口のおかげか、それは好ましい変化に思えて)
        人が三人集まれば派閥が生まれ、争いを始める 人と人の間でさえ判りあえぬものを、魔族が相手ともなれば尚のこと……だがもしも、魂の原型に違うところがなく―――
        ほんの些細な偶然から、人の身に生まれただけだと言うならば(半ば願いを込めて言葉を継ぐ)いつかは判りあえるのかもしれないな それこそ、人界の両大国が和解に至っている様に
        (何度でも、ステラの唇の瑞々しくも柔らかい感触を味わう 輝きを増すルビーの瞳と間近に見つめあい 吐息が混じりあうことに興奮を覚える)………アルクトゥルス……
        ステラが私のアルクトゥルスなら、私はさしずめシリウスか? 天を焼く蒼き篝火だ(ひとつに溶けあう感覚に酔いしれ、舌を差し伸ばしてステラの舌先と戯れあう)
        ちなみにガラテアは”肌白きもの”……母に似て、色白の赤子だったそうだ 主上は竜種の血統を示す瞳と角をご覧遊ばされ、いたくお喜びになられたと聞く
        もしも男子に生まれていれば、もっと別の名がついていたかもしれない 私は長女だったからな 歴史も変わっていただろう(星明りだけをたよりに美貌を仰ぐ)
        けれど、私に”もしも”はいらない 今が一番幸せだ ステラが傍にいるだけで、この胸は甘く疼いてたまらなくなる……(蒼く燃える瞳が輝きを増してゆく)
        -- ガラテア 2022-06-19 (日) 22:21:34
      • ……くっ、っふふ……っふ、あはは! そ、そうね、たぶんきっと、そ、そんな感じかも……んっふっふ。
        (ガラテアの現代語訳を、平素から口数少ない厳めしい顔の父が喋っているのを想像し、堪えきれぬ様子で笑いを転がす)
        (返信の筆跡は母のもの。そこにどれだけ父の意が汲まれているかは分からないが、恐らくガラテアの想像から遠くないはずだ)
        ドラクリヤ……竜の子。興味深いわね。ゼイムにとって由縁のある竜を冠するのは、どういう謂れがあるのか。
        魔に属さぬ吸血種も存在するし、そうした者と過去に何らかの関連が……(思考へ沈溺しそうになったところで、触れ合う身体に意識を戻す)
        (重なる唇、寄り添う身体。そこから伝わる柔らかさと微熱。もしこれが夢であるのなら。どうか永く覚めずにいて欲しい)
        (夢ならばもっと欲張っても良い。世に不要な諍い無く、こうして愛を育む輪が垣根を越えて広がるように)
        (そんな願いと共に、穏やかで熱のこもった口吻を繰り返す。視線と吐息を交わし合わせて)
        蒼き夜の太陽、私を焼き焦がすもの……(太陽を除けば最も明るい星。そんな蒼く燃える輝きを間近で感じ)
        あら。ではその巡り合わせに感謝しないと(その名の通りの美しい肌、白い頬に掌を添わせ、互いの舌先を絡め合う)
        その想いと疼き、私も同じく抱いている(分かち合うように、より身体を寄せて互いの胸を合わせては)
        (蒼い瞳の輝きへ愛おし気に唇を落し、彼女の竜角へと手を伸ばす) ねぇ。ここ(角)、触ってもいい?
        (今まで触れるのを憚ってきた蒼き竜角。紅い瞳が上目遣いでねだるように、その艶を増して問いかける) -- ステラ 2022-06-20 (月) 06:21:52
      • (視界いっぱいにステラの唇が迫り、柔らかく触れる感触に瞼が反応してしまう 唇が離れた後に目を瞬いて)ステラ、ステラ………皆も瞳に口付けをしているのか?
        嫌ではないが、私の時代にはなかった風習でな いつも驚いてしまう……目はとても繊細な場所だ 宝石にも似て美しいが、比べ物にならぬほどに壊れやすくもある……
        口付けをされると、動けなくなるんだ 私の心に、直に唇を当てられているようで……何なら、舌でされている時よりも…すごい、というのか(無意識に下腹部のあたりを撫でている)
        気持ちが舞い上がって…あっ、い、いや、私は何を言っているのだろうな??(ぽっと頬に朱が差して照れ笑いをする じわじわと熱が広がり、耳までほんのり赤くなって)
        …………ステラ、私も……(星明りよりも強く煌めく緋色に吸い寄せられるように唇を当て、眼球の精妙な凹凸を傷つけぬ程度に舌先で味わってみた)
        (愛おしい相手の繊細な場所に触れたい、という心理的な欲求が満たされるばかりでなく、本当に、心そのものに口付けをしているような感覚があって)
        そう、か……これは癖になる(また初々しく頬を染めた ステラのおねだりには勿論とばかりに頷いて)我らゼイムの帝室は、数多の竜種より竜の因子を積極的に取り入れてきた
        それだけに、個体差が激しくてな 発現する部位も形もさまざまだ 私の場合は、竜角と竜眼……そしておそらく、それなりの等級に分類される《竜の心臓》を備えている
        ミネラ神の呪いを受けても死なず、大理石の塊と成り果てても尚生き永らえる 強靭なる生命の遺産……まさしく父祖の恩寵のなせる御業に違いない
        この角は、鏡越しにしか見たことがないが山羊や羊のようなものではなく……鉱物質のそれに近いようだ 光っているが熱くはない 素手で触れても問題はないはずだ
        我らにとっては、父祖の恩寵と力の象徴 将来を誓った相手でなければ、早々滅多に触れること能わぬ場所だ 堪能するといい(触れやすいように軽く首を垂れた)
        (満天の星々に見守られながら、ひそやかな逢瀬は続く 大きなクロークに包まって、空が白むまで語らい続け―――翌日は二人してうつらうつらとしていたという)
        -- ガラテア 2022-06-20 (月) 11:09:07
  • 🗿 -- 2022-06-17 (金) 21:12:38
  • (《四季分かつ街》アンジー・テトへの旅行もとい宿泊研修も二日目の夜、冬神の領域《鍛冶神の泉》に立ち並ぶ温泉施設のひとつに二人の姿があった)
    (宿泊研修中はそこかしこに同級生がいて油断大敵という感じで、露天風呂つきの宿を別に一室押さえたのだった)朝から晩まで、目いっぱい遊んだな……
    (敢えて口に出すまでもなく、人目を憚るようなことをしようとしている 身体を清めて、今は平らな石材が組み合わさった湯船の縁に腰かけている)
    -- ガラテア 2022-06-13 (月) 00:10:17
    • (あれよあれよという間もなく、学院生徒が宿泊する施設とは別の宿に到着し)
      (あれ?おかしいな?と思う頃には、既に露天風呂の中にいた)
      そ、そうねー。こ、この二日間、色んなことをしたわねー……(裸身にタオルを巻いたまま、湯船にざぶんと身を漬ける)
      (言葉も視線も定ならぬまま、夜空に浮かぶ月を見上げ、既に火照りはじめた頭と顔を冷やそうと)
      (わー月が綺麗だなー、冬の大三角形綺麗だなー、やっぱり冬空は透き通ってるなー、と天に意識を集中する) -- ステラ 2022-06-13 (月) 00:30:43
      • こんなに遊び呆けたのは初めてだ 誰の目も気にせず、すべての余暇を自分のために使って……夢のようなひとときだった(新しく生まれた思い出の数々を思い返して)
        付き合ってくれてありがとう、ステラ おかげで楽しかった(長い脚をゆらめかせて熱い湯を波立たせる)共同浴場、というのは王国の文化でな 人魔大戦の後に生まれた帝国には―――
        誰かと入浴する、という文化そのものがなかった(側仕えの者たちは数に含めない)まだあまり馴染みがなくて、今も少し……緊張を覚えている
        -- ガラテア 2022-06-13 (月) 00:48:43
      • お、お気に召して頂けたなら、きょ、恐悦至極ー。だ、大丈夫。私も、楽しかったから(ふわふわとした言葉のチョイスが続く)
        (身近で感じるさざ波。夜気に響かせる水音。どうしたって一緒に入浴するものの存在を意識してしまう)
        だ、大丈夫。私も、緊張してるから(何が大丈夫なのか。思考と言葉がてんでバラバラのまま、空をじっと見上げている) -- ステラ 2022-06-13 (月) 00:58:39
      • ステラ(名前を呼んで、星空を見上げる彼女の正面へと回る 身体に巻いていたタオルをはらりと取りのけた)見るがいい、世界で一番有名な裸身(すがた)
        (はちきれんばかりに豊かな胸と、女性らしく丸みを帯びながらも《理想の人体》と謳われた武人の肉体が一望のもとに曝されて)この300年もの間、《女神像》の土産物が世界中に出回ったのでな
        誰もが私の顔立ちや、胸の形を知っている……(自由の女神枠にあたる土産物の定番であり、美術の教科書の常連でもある 今回の旅行中にも《女神像》を知る地元人に何度か呼び止められた)
        未だ王国の至宝に数えられている、唯一生身の人間でもある 今はミネラ王の財貨にあらず、卿のものだ(堂々と胸を張っている)ビリウス二世陛下も、さぞお嘆き遊ばされることだろう
        -- ガラテア 2022-06-13 (月) 01:12:57
      • (呆けたようにガラテアの裸身を見つめる。夜空を彩る星の輝きに比肩する美しさがそこに在った)
        (目を逸らそうにも逸らせない。しなやかな肉食獣を思わせる流麗な美と、誰をも魅惑する妖艶な美が共存する肢体に)
        ……え、えぇと、皆の知ってる裸と、い、今目の前にある裸は、全然違う、というか……違うから困っているというか
        (相部屋には《女神像》の関連商品がそこかしこに転がっていて見慣れたものだ。だが、それが生きたガラテアと結びつくことは無かった)
        (共に暮らす彼女はもっと可愛らしかったし、もっと愛らしかったし、もっと綺麗だったし、もっとお茶目なところがあったし)
        (と、惚気混じりなことが頭を過りつつも、顔を真っ赤にしたまま尚視線は逸れることなく釘付けになっている)
        こ、困っちゃうわねー、あ、あはは、私的専有の罪でいつか罰されないかしらー、あは、あははー…………
        ……早く隠して! 頭がどうにかなりそうだから!
        (自身の巻いていたタオルを取り払って、代わりにガラテアの身体を覆うとする。その行動からして既にどうかしている) -- ステラ 2022-06-13 (月) 01:38:00
      • むぅ……(タオルが身体に被せられる傍からぽいっと投げ捨て、その手をとって自らの胸へと押し当てる いざ触れられてみると、自身の手で触れる以上のくすぐったさが感じられて)
        それはよかった 私自身とは別物か 似姿が売られていることで……嫌な思いをしていないか、すこし気になっていた(膝立ちになって跨り、ゆるやかにのしかかるような姿勢になった)
        いずれにせよ、案ずるには及ばぬ このガラテアは、卿のものだ(艶めいた声音で耳元へと囁く)……などと言われて奮わぬ男はいないが、ステラはどうだろうな?
        私はステラの容姿が好きだ どこを眺めても愛らしく、声音は鈴の鳴るように軽やかで……制服姿では細身と見えて、脱ぐと存外に肉付きのよいところも好きだ
        私はステラのこころが好きだ 美神ルメンコその人のように、細やかな愛情をもってこの身を導き助けてくれる 聡明で思慮深く、私を大切に思ってくれるところが好きだ
        どちらも今は私のものだ そのことを思うと、この身は歓喜に包まれる 女子の身に生まれながら、卿のまなざしに昂ぶってもいる 私はおかしくなってしまったようだ……
        -- ガラテア 2022-06-13 (月) 02:32:36
      • ぅあ……(絞り出される息。瞳に再度映る裸身、手に感じる弾力と柔らかさ、その全てに言葉を失くす)
        (あたかもその肉体の魅力で脅迫するかのように、こちらの意識と視線を無理やりにでも奪ってくる)
        (真珠色に濡れた乳房を揺らめかせている妖女の姿に、視界が埋まっていく。湯の境界線上で水面に揺らめく影が重なる)
        (耳朶を打つささめきは甘く猥らに。どんな魅了の魔術よりも、心の奥を搔き回してくる)
        (紡がれる言の葉が重なるたび、ああ愛されているのだなと実感がこみ上げてくる。またぞろ胸の内の火も喚起され)
        ……本当に私のもの? (蘇った言葉と共に、紅い瞳が夕映えの様に燃え立つ)
        本当にガラテアは私のものかしら? (ガラテアの声に誘われるように、小鹿の様に震えていた言葉が艶美さを帯びる)
        この凛とした眼差しも、時に見せる儚い色も、雄弁に愛を語る澄ました声も、無言の内に情愛を交わす唇も。
        (お返しとばかりに耳元で囁く。ガラテアの耳朶に沿って唇を這わせ、その耳孔に溶かし込むように舌先を添わす)
        帝姫に相応しい教養と武人の心、その裏で揺れる繊細で軟らかな心、この奥に潜む烈しい熱情。
        (手の内にある豊かな乳房をやわやわと揉み込む。その内で鼓動する熱さえも手にしようと、指先は優しく沈み込む)
        本当に私のもの? (踊る舌先は言葉と共にガラテアの耳を蹂躙し、湯とも異なる水音が淫らな調べを奏でている)
        私も本当に……ガラテアのものかしら? (挑むように弓なりに細められた眼差しが、熱く鋭く蒼い瞳を射抜く)
        (仄かに赤く色づく曲線美が、ガラテアの肢体と混じり合い、二人の豊満な境界が湯の間でめまぐるしく形を変えている)
        私はガラテアのもの? (分かり切った答えを求め、問いかける紅い視線は妖艶な色に染まっていく) -- ステラ 2022-06-13 (月) 21:26:09
      • ………んん……(耳朶に押し当てられる柔らかな感触 くちゅ、と舌先で穿られる音がして思わず目を見開く ステラは時々、本当に驚くようなことをするのだ)
        (蠱惑的な言葉が直に流し込まれて、蒼い焔が火勢を増してゆく 未来世界ではこれが普通なのだろうか? それともステラが特別に淫らなのだろうか? いずれにしても同じことだ)
        (愛らしくも聡く可憐で、しかし同性のステラに惹かれた この身、この心は尋常の有様ではない―――と思い惑ったこともあったが、彼女もまったく同じ熱に冒されている)
        卿の首に手をかけた時………この花を、手折ってしまえと囁く声がした 私はステラのようになりたかった 卿のように愛らしく、優しくありたいと願い、焦がれた
        (細指が胸に食い込み、肌の重なった場所から甘く痺れるような快楽が小波のように広がってゆく 熱い湯の中、ステラの鼓動がいちばん近くに感じられて)
        (くい、と顎に指をかけて唇を吸った)この命、存在のすべて 私の前に、ステラ・ノーチェルクスが差し出されていた(言の葉をとどめるように口づけを繰り返す)
        手折る必要など少しもないと知った あの日、あの時……生死の際で、通じ合っていた(頭を抱いて、問いの答えを返す)昨日と今日と、明日のステラも私のものだ
        (愛の告白にしては殺伐に過ぎるが、あれ以上に雄弁な言葉など考えもつかなかった 言辞はいらず、瞬時に互いを理解した 結果論だが、私たちはあれでよかったのだ)
        -- ガラテア 2022-06-14 (火) 00:05:40
      • ルームメイトの誘いを受ける時、少しだけ怖かった。私の正体が知られてしまうんじゃないかって。
        そうして貴女と過ごす内に、その怖さの中身がどんどん変わっていった。私に魔性の血が流れていると知れば、きっと優しい貴女は傷ついてしまう。
        私の向けた思いが全て打算に基づくものだと誤解されるのも怖かった。それでも私は踏み込むことを止めなかった。止められなかった。
        (華奢な手の内には到底収まらぬ胸の張り。沈みゆく手は熱い鼓動を感じ取り、触れた箇所から自らの熱も伝えようと)
        あの時私は、ここで命を終えても良いと思った。そう思えた人に逢えただけで充分だと思っていた。
        (重なる唇を受け入れて、少しでもこの想いが伝わるようにと、求め受け入れ、情熱的に口唇が動く)
        気づいていた? 貴女がずっと泣いていた時、私も知れず涙が零れていた。
        受け入れてもらえた嬉しさと、これからも貴女と共に在れる喜びで。
        (互いに頭を抱きながら、言葉の合間に口づけを。答えはとうに分かっていた。でも欲張りなことに言葉も欲しかった)
        私は貴女のものよガラテア。死が二人を分かつまで、私は貴女の傍に居続ける。貴方の時間を私にちょうだい。
        (深紅の瞳に光を宿し、蒼く透徹とした眼差しを真っ直ぐに見据える。どうかこの誓いが永く果たされることを願って) -- ステラ 2022-06-14 (火) 00:48:09
      • たくさん怖がらせてしまったな、ステラ 愛らしい笑みの向こうに、余人を立ち入らせない場所のあることを感じていた
        ずっと……怖れを抱いて生きてきたのか(生まれ育った時代も出自も違う二人が絆を深め、比翼連理の番となった 何と不可思議で、得がたい僥倖だろう)
        世の仕組みは、卿の味方にはならなかった 日常の隣に破滅が口を開けていて……それでも行かねばならぬ気持ちを、私はたしかに知っている
        ステラにもしものことがあれば……私もまた、魔に魅入られた裏切者の謗りを免れ得ない 滅びる時は私も一緒だ 父祖の御名にも泥を塗ることになるだろうが
        構うものか(自身のそれを凌ぐかに思われるほどに豊かな胸に触れる 持ち上げてみれば掌が押し包まれるようで、白い肌にひとつずつ吸いあとを残してゆく)
        我らのさだめはひとつになった(烈火の紅蓮と古酒の深紅、鮮やかなコントラストに魅せられて見つめる)私は《篝火》の名より……民の願いや、世の安寧より輝かしき宝を得た
        卿の願いを叶えよう、ステラ 無二なる友、我が愛……新しき、この身のさだめよ(胸の頂きに甘えるように吸いつき、なだらかな起伏の美しい腹部を撫でる)
        ふふっ、どこに触れても柔らかい……たまらないな(子をなす場所のふくらみを押して、細指はさらに下腹へと降りてゆく)卿に溺れてしまいそうだ
        -- ガラテア 2022-06-14 (火) 01:50:05
      • この学院に来るまでは怖いもの知らずだったわ。家族以外と深く関わることなんてなかったもの(少しだけ寂しげな笑みを浮かべ)
        ここで多くの人達と出会って、貴女と出会って、初めて私は怖いと思った。この素晴らしい時間が壊れてしまうんじゃないかって。
        それでも欲しくなってしまった(微笑みと共に口づけを交わす)全てを忘れて後先考えずに。
        あら? じゃあバレなければいいのかしら? 私が魔族の血を引くことも、こうして愛し合っていることも……ふぁっ。
        (問いは嬌声で打ち切られる。彼女の指先が胸に沈み込み、得も言われぬ快楽が喉の奥から絞り出される)
        (濡れた乳房がその弾力と柔らかさを告げるように、触れた指先を押し返しては吞み込んでいく)
        んっ……ふっ……それは光栄ね。貴女の一番になれ……て、あぁ……っ!
        (含羞交じりの軽口も、一際感じた快感に塗りつぶされる。ふるりと揺れた双曲線、桜に色づいた頂点に愛しい人の唇が触れた)
        (その唇が、舌先が、指先が。触れられた箇所から火を押し当てた様な熱が伝播し、漏れ出る声に甘さが滲む)
        もっと、もっと……触って。貴女の唇と指で、私の全部に触れて……(紅い瞳は淫靡に濡れて、期待に満ちた眼差しを向ける)
        (下腹へと向かう指先を導くように、ガラテアの手の甲へ掌を重ね。その先へ、無毛の秘所へと誘うように)
        (その最中、熱に浮かされた衝動は眼前の白い肌を味わおうと。首筋に唇を落せば、舌先は曲線に沿って滑っていく)
        (胸元から胸先へ、キスの雨を降らせながら、歯を立てぬように優しく食む) -- ステラ 2022-06-14 (火) 20:30:40
      • 地平の彼方を遠く望んで、目もくれぬままに通り過ぎたもの 私には関りがないと手を伸ばせずにいた……すべてが今になって追いついてきて
        「私の番」なんて来ないと思っていた 戦争を終え、復興に一生を捧げて……平和が取り戻された頃にはもう、死を待つばかりの老婆に成り果てていると思っていたのに
        わからぬものだな(口づけに応え、舌と舌とで軽く交わる)男子は小姓と、女子は側仕えの女たちと……我らの世界では公然の秘密だった 今でもそうかわからぬがな
        この先も未婚のまま、いつまでも共にあったなら……後の世の歴史家たちは、卿をこの《篝火》の伴侶と呼ぶだろう(次第に形がはっきりとしてゆく薄紅色を舌先で捏ねて)
        (はしたない形に膨れた乳輪ごと、いっそう強く吸いだそうとする)………ステラ……(歌うように高く澄んで、思い惑うように甘く震えて ステラの声が理性を揺るがす)
        (奇跡のような均整の美は積み木の城にもどこか似ていて、壊してしまわぬようにと自制を効かせていたが)…………こんなにも淫らに、愛らしく………
        (導かれた指先がいよいよ秘められた場所まで達すれば、誰にも許されたことのない処女地をゆく感動に声が震えた ゆっくりとなぞって形を確かめ)
        (自分自身のそれと似通っているところ、違うところを探した 一番大きな相違点はといえば、)生えて………いないのか…?(柔らかい産毛さえ生えていなかった)
        (何ごとも抜かりなく手を打っておく彼女のことだ もしかすると、いつその時が来てもいいように手入れを完璧にしていたのかもしれない その線はいかにもありそうに思えて)
        ふふっ、少し……恥ずかしいな…私は、その………手入れをする、習慣がなかったものだから…(見苦しくない程度に整えてはいた、程度の意味だ)
        ………ステラが真夜中に出ている時…こんな風に、卿の手で触れられたら、と………ひとり慰めて、いた(ひとり遊びと同じ要領で、二指を揃えて陰核をこね始める)
        ステラ……………ステラっ……(彼女に欲情されている、と思い知るほどに耐えがたい喜悦が身体をめぐる 吐息は切なさを増して、声を抑えることができなくなっていた)
        (膚に唇が当てられるたびゾクゾクと戦慄いて、茫洋と蕩けた顔をして曇りなく白い肩口を、首筋を眼前に晒した)……歯を立てても………構わない、から…………
        -- ガラテア 2022-06-14 (火) 21:55:28
      • (彼女と自身の来し方と行き先。細部は違えど、その方向性は一致しているように思えた。奇しくもその巡り合わせに心が浮き立つ)
        (唇と舌を混じらせながら思う。全ては必然だったのだと。これからの二人の行く末が一つとなるのも)
        (そんな夢想に頭を溶かしつつも、看過できぬ一言に、むっと口の端を釣り上げる)
        「未婚のまま」? もしかして、この私がありながら他の誰かと結婚しようと? んう……!
        (追及の手もそこそこに、胸の先から駆け抜ける甘い痺れに唇を戦慄かせる)
        (興奮に色めき主張を強める突起が、舐り吸われて、ひくひくと打ち震える。蕾が花を咲かせるように)
        う……あ、え、えぇと……(白い光が思考を塗りつぶしていく。何も覆い隠すことの無い秘所に滑る指)
        その……もともと、生えてなくて……(未開の地をなぞりかき分けられ、快楽に濡れた頭は、問われるままに答えを告げる)
        っ!(未知の刺激に頤を反らす。自らも触れたことの無い肉芽を転がされ、目の前に星が散る)
        (彼女の指先が動くたび、喘ぐ吐息が漏れ出して。媚肉の奥から湯とも異なる湿り気が染み出してくる)
        (霞み掛った視界の中を、魅惑的な白が映える。きめ細やかな肌の奥、青白い血管を舌でなぞる)
        (首筋を啄み、吸い付き、丹念に味わおうと。血の衝動と共に疼きだす嗜虐心が、うっすらと瞳に灯っていく)
        ガラテアは……こんな想像をしていたの?(眼前のご馳走を前にして、手元は彼女の腹の下へと伸びる)
        (金に薄く茂る先をかき分けて、彼女の雌芯へ指先を淫らに踊らせる。今まさに、己がされているように) -- ステラ 2022-06-14 (火) 22:55:19
      • まさか! 帝室に連なる者たちも、数代経てば凡百の貴種に埋もれる まして私は300と30年も前だぞ ステラの他に、今更欲しがるものがいるものか
        (実際には今も求婚の申し込みが殺到していた 現代に蘇ったうら若き将星、誰もが知る女神の似姿にして、伝説的な中世の帝姫だ 名望も話題性も抜群にあり―――)
        (どれほど条件のいい縁談も、その全てを惜しげもなく袖にしていた それで余計に求婚者が増えていることは知る由もなく)婚礼……婚礼か…
        私の生きた時代に、女子同士で結ばれたという話は聞かなかった(胸が弱いのも可愛らしくて、大きく育てよとばかりに代わるがわる吸いついて)
        ルメンコ神の信徒たちならば、あるいは……?(博覧強記のステラに尋ねて、心当たりがなければ諦めるしかなさそうだ その時は、形ばかりでも挙げてみようかと考えつつ)
        (肉付きのよい太ももに挟まれながら、滑らかで手触りがよくていつまでも撫でていたくなる)なるほど、またひとつステラの秘密を知ってしまったな……
        個人差があることは知っている おかしくはない……というより、ステラらしくて愛らしいと思う(生えてなさそう、とか幼い印象がある、とかではなく)
        (彼女の身体が神々しく見えてしまう程には体毛が薄く、白い肌がよく映えたのだ 達するまで止めないつもりで陰核を擦り、挟んでやんわりと圧し潰す)
        (つつましく閉じた場所から透明な蜜が滲みだせば、それも別の指先に絡めて彼女の体内へと指先を埋めてゆく まずは第一関節まで、ゆっくりと押し広げて進め)
        ん………何だ、ステラに滅茶苦茶にされる妄想をか? していたとも こんな風に、触っ………て…(何人たりとも触れ得ぬその場所にステラの細指がかかる)
        (息が詰まって腰が跳ね、喉を晒して背中を反らした)……ふぅ…っ……ぁ、く…………ぁ……んん…っ! 自分で、するのとは…………大違い、だ……
        ふ、ふっ……早く、戻らないと………皆に、怪しまれてしまう…な……(さらに続けて二度達するまで手を緩めない 身体をゆすりながら、首筋を晒す合間に熱く激しい口づけを交わす)
        -- ガラテア 2022-06-15 (水) 00:01:13
      • なら良し(即答するガラテアに口元を大いに緩ませて、その裏に潜む事情は知る由もなく)
        同性同士の結婚は、古今例が無いわけではないけれど……あっ、あっ……(断続的な吸い付きに甘い吐息で思考は途切れ)
        ……もぅ。いいじゃない、世間の普通じゃなくても。私達の普通で。
        (結婚に憧れが無いと言えば噓になる。だがそれでも。例え社会的な承認を得られずとも、共に在れれば充分だと)
        (彼女が触れる先から伝わる熱と愛おしさ。これが何よりの証で祝福であると、思いを乗せて愛撫は続く)
        やぁ……んん、あ……あ、あぁ……(どこよりも敏感な肉の刺激に、吐息交じりの嬌声が止まらない)
        (蜜を溢れさせる秘唇の奥。そこに愛する人の指先が潜り込めば、白い肢体が大きく跳ねる)
        あっ……そこ、だめ……っ、きもち、よすぎ、て……おかしく、なる……あぁっ
        (水音が跳ねる。捩る身体にふつふつと汗が浮かび、桃色に薄く色づく肌がびくりびくりと震えている)
        (無意識に強張る身体は、指先にあったガラテアの秘所、その入り口を引搔くように搔き回す)
        (ガラテアの媚態と喘ぎに興奮が加速する。混じり合う吐息、共に昂ぶり合う身体、募るごとに性感は高まる)
        (激しく交わされる口吻に頭の芯が溶けてくる。媚肉はその歓びに打ち震え、ガラテアの指先をきゅうっと締め上げ)
        ──あっ、あっ、あぁ……っ!
        (艶めく媚声は一際高く。全身を走り抜ける法悦が、頭の中を真っ白に染め上げる)
        (感じたことの無い快楽に、総身をひくひくと痙攣させ、行為の熱が冷めやらぬ秘所の中では大量の蜜が溢れ出す)
        (朧げな意識の中、しな垂れかかる彼女の首筋。吸い寄せられるように口を開け、唇と歯で甘噛む) -- ステラ 2022-06-15 (水) 01:11:49
      • あるのか? 世の中、ずいぶん進んだものだな(この世界は、価値観が激変するような一大事を幾度も経験してきたのだろう それこそ人魔が番い、子をなすまでに―――)
        (つぷ、つぷ、と浅い場所に馴染ませていたが、受け入れる支度ができたと見るや第二関節まで呑み込ませた)………熱……これが、ステラの中身…………内側……
        (異物を受け入れたことのない内壁を傷つけないように、指の腹を先だてて熱い泥濘を探る)……これから、もっと良くなる………と思う……
        ……っとぉ………ステ、ラ…………待っ……!!(ステラの身体を跨ぐように膝をつく体制では、ふとももを締めることも叶わない たちまち腰砕けになる)
        ……ぅ、う……………ぅ……!(眉根を寄せて押し殺した呻きを漏らしながら、身体の支えはステラに預けて、空いている方のひとさし指を噛んで際限のない歓喜に震えた)
        (ひとり遊びでは経験したことのない快楽を叩き込まれ、白く泡立った蜜がどろりと溶けだす 荒い吐息をつきながら、ステラのより深い場所へと潜らせた指を動かせば)
        (陰核の裏と表を二つの指で挟み込むような形となった 自分の場合は、ここを擦るのが一番良くて、指先の届く限りステラの一番いい場所を探して回る)
        …………ぁ、ここ……か? 気に入って……くれると思って…(とりわけ大きな反応のあった場所を優しく擦って、愛らしい魔人を鳴かせることに意識を集める)
        (犬歯が首筋に食い込めば、甘い痺れが身体を巡った 少しの恐怖もなく、甘えられる喜びで胸が満たされていた)……ふふっ、可愛らしいことだ…
        -- ガラテア 2022-06-15 (水) 02:09:29
      • (世の潮流などお構いなしに、生まれた時も立場も種族も性差も超えた二人の睦み合いは続く)
        ……ふぇ? っあ……んぅ……(達した余韻もそこそこに、更なる攻めを見せるガラテアの指先。蜜壺の奥から新たな快感が生まれる)
        もっと、きもちよく……?(焦点の合わぬ瞳が揺れて、細かく震える身体が粟立つ。より強まる快楽の予兆に媚肉は再び蠢動をはじめる)
        うぁ……くぅ、ん……ガラテア、も……きもち、よいの?(身体の内側をまさぐられる刺激の中、見たことの無い彼女の痴態に胸が躍る)
        (蕩けた頭は半ば本能的に、触れた箇所のより深くへと。濃厚な蜜を纏わせた人差し指と中指を、一息に突きこむ)
        ガラテアの……んっ、かわいい声、もっと……聞かせて?(ぐちゅぐちゅと淫水の音を響かせて、指先の抽挿が激しさを増す)
        (淫蕩に濡れる瞳は、愛する人の艶姿を見逃すまいと。密かに被虐の気を纏わせる、彼女の姿を暴かんと、眼差しと指先で攻め立てる)
        っ! ……やぁっ、そこ……だめっ、だめっ……やぁ……だ、めっ……!(身体の内側と外側、両面からの痺れる甘さに唇が戦慄く)
        (言葉とは裏腹に、ひくつく媚肉はおねだりをするように彼女の指先へと絡み付き、口唇から突き出る紅い舌が糸を引いて切なげに震える)
        (肉襞をかき分ける指が奥深く、子を宿す入り口付近に差し掛かれば、弓なりに跳ねた身体が豊かな胸を大きく揺らす)
        だめっ、だめっ、だめっ……ま、た……ぅ……ん、んっ……っあ……!
        (再び視界が白く染まる。一度目よりも激しい悦楽の波が全身に押し寄せ、はしたない嬌声が浴室に響き渡る)
        (絶頂に呼応するように、ガラテアの膣壁を弄る二指が大きく震え、親指の腹が彼女の陰核をびくびくと擦り上げる)
        (恍惚の極致の中、視界を埋める彼女の首筋。戦慄く唇の奥で光る犬歯が、白い肌に浅く突き立てられる)
        (ごく薄く表面から滲み出る鮮血に、舌を這わせて舐めとって。忘我の瞳が甘美な味に酔い痴れる) -- ステラ 2022-06-15 (水) 21:38:04
      • (重力と浮力の狭間で揺蕩う胸が持ち上げられて、誰にも見せたことのない場所をいいように玩ばれて ステラの腕にすがるように身を委ねながら、湯の中で身体を揺さぶる)
        (押し殺そうとすれば嬌声は呻きにも似て、聞かせてほしい、という願いには困ったような顔をした)………ぅ、う……そん、な…………
        (気恥ずかしさを押し切って、おずおずと口を開く 喉の奥から漏れ出した声は震えて、乱れて、裏返って 自分自身でさえ聞いたことのない声が聞こえた)
        ………っ……………ぁ、あ………だめ、ま……た………!(何度目かの絶頂に喉が詰まって、身を強ばらせる 理性は容易く押し流されて、ステラの掌に洪水のような蜜が降った)
        ……………はぁ……はっ………ぁ……!(いじわる、と言いたげなまなざしは、切れ長の目尻にうっすらと涙をためて ステラにだけ聞こえるような囁き声で甘く鳴きつづける)
        ステラ………(歓喜に浸るさまを間近に見届け、上手にできたらしいことに安堵の笑みを浮かべる 幸せな余韻に浸りながら、攻め手を緩めてあとは優しく撫でるだけにして)
        (首筋に吸血種の犬歯が突き立てられて、血が滲みだす 隠しきれないほど大穴が空いたらどうしよう、などと案じるほどの痛みもなかった)…………ん………
        (捕食されている、というより雛鳥に餌付けをしているような感覚だ 聡明で理知的で、愛らしさという概念を擬人化したようなステラが、今は夢中になって血を舐め啜っている)
        (派手な嬌声は止み、今はただ滾々と湯の湧き出る音が聞こえているだけ ステラの欲求が満たされるまで、この背徳的な行いを存分に尽くさせようと思った)
        (かくして、二人とも我に返った時には結構な時間が経っていた 遅くなった理由が皆に気取られぬよう、二人して知恵を出しあいながら仲睦まじく宿への道をたどるのだった)
        -- ガラテア 2022-06-15 (水) 22:44:35
  • 🗿 -- 2022-06-12 (日) 04:18:18
  • (時は3月第2週。日付が切り替わった直後の時刻。相部屋の窓からは月と星の光が覗いている)
    ガラテア、ガラテア。ちょっとちょっと。
    (ランプの薄明りが灯る下で、笑顔を浮かべながらガラテアに手招きを送っている) -- ステラ 2022-06-08 (水) 01:07:55
    • (その日は帝国の雑誌が遠路はるばる届いたばかりで、明かりをたよりに遅くまで読み耽っていた ステラが外出をしていない日には、専ら彼女と駄弁っているような時間帯だが)
      (顔を上げてみれば、ステラが手招きをしていた 何やら素敵なことを思いついているような表情だ 雑誌を閉じ、裸足のままベッドを下りて近づいていく)ん、どうした……?
      -- ガラテア 2022-06-08 (水) 01:29:11
      • ふふー♪ 今日はねぇ。愛の祝日といって、想い人に薔薇を送る日なの。
        (後ろ手に隠していた品をニコニコ笑顔で、ガラテアに差し出す)
        (明りの下で輝くのは青い薔薇を模したコサージュ。魔術で色づけされた生花にパーマネントを施した一品であった)
        はい、受け取ってもらえる? -- ステラ 2022-06-08 (水) 01:46:16
      • 聞いている 私が卿の想い人か 光栄なことだ(愛の祝日は近年、帝国でもさかんに行われるようになっている 帝都に駐在する王国人向けの催しが、瞬く間に帝国全土に広まったのだ)
        ありがとう、ステラ(未来世界で目ざめてから、この種の贈り物は初めてかもしれない ランプの灯を受けて柔らかく煌めく花弁を掌に包みこんでみれば、頬がほんのりと薄紅色に染まった)
        青は私の色だな この私にも、見たことのない花があるとは……やはり未来は驚きに満ちている(薔薇の蕾が慎ましく花開くような笑みをみせ、部屋着の胸に挿してみた)
        似合っているだろうか? いや、きっと似合っているはずだ 卿の選んだ品だものな その点は信頼している(ステラに胸を張ってみせたり、姿見に映して見たりして)
        私からも、卿に贈り物がある(薔薇の花弁を象ったクリスタルの小瓶に封じられた黄金色の香水を包んだもの差し出す)かつて愛用していた品が、現代に復元されたものだ これで相思相愛だな
        -- ガラテア 2022-06-08 (水) 02:13:59
      • ん〜…………ふふっ。喜んで頂けて何より(どこか曖昧な笑み。想い人。確かに想ってはいる。言葉に感じる意味は人それぞれだ)
        青い薔薇はね、近年でもまだ栽培するのは凄く難しいの。それは私の魔術で色づけさせてもらったわ。
        やっぱりガラテアにはこの色かなーって。うん。やっぱり良く似合ってる。瞳と角の3点合わせね。
        (薔薇を差した彼女を眩し気に見遣る。夜空の恒星のように美しく輝くのは、紛れもなく彼女自身だった)
        (月光の様に艶やかな金糸の髪が、蒼いコントラストと相まって良く映えている)
        まあ、何かしら?(まさかガラテアから贈り物を貰えるとは思っておらず、望外の喜びに目を輝かせる)
        (それが香水であることが分かれば、早速瓶の蓋を開けてハンカチに染み込ませ、手首に僅か染み込ませる)
        (次いで首元に、耳の下に。控え目に施しても、麗しく清冽な香りが鼻腔をくすぐった)
        ありがとう。とても素敵な良い香り。ふふっ……これで香りも貴女とお揃いになったかしら?
        (ガラテアの間近で鼻を鳴らす少女の胸元では、赤い薔薇を模したコサージュが星明りを反射して煌いている)
        (自身が常に身に付けているものと対を為す様な、ガラテアの胸を飾る青薔薇に目を弓なりに細める) -- ステラ 2022-06-08 (水) 02:47:24
      • 手製の品か それは貴重なものだな……どうりで同じ品物を見かけぬわけだ ああ、大切にする なるべく多くの者の目に触れるように、普段遣いをさせてもらおう
        そういえば、昔は今ほど水が豊かに使えなくてな 野営地のそばに風呂屋がない時には、香水をふって済ませることもあった その話に尾ひれがついて、妙な噂が囁かれたことがある……
        (《篝火》のガラテアの伝説的な逸話のひとつに、寝所では香水の他に何も身につけなかった……というものがある 知っての通り事実ではないが、逸話のせいで香水が大流行していた)
        ちなみに、”例のアレ”は試さない方がいい 本当にやると風邪をひくぞ 働き疲れて何度かやった覚えもあるが、その後数日は調子を崩した 腹を冷やしては身体によくない……
        ともかく、日ごろの感謝を伝える機会が多いに越したことはないな(清く麗らかな金の髪に白く透き通るような肌をもつ二人はさながらに姉妹のようで、赤と青の対比がひときわ映える)
        現代の帝国人も、卿らと同じように愛の祝日を楽しんでいる 日頃は愛について多くを語らぬ者も、今日この日だけは多弁になればよいと思う 佳き時代になったものだ
        そうだ、ステラ……卿は美神の祭典に詳しかっただろう(胸元を飾った揃いの薔薇を、誇らしげに見下ろしている ステラの隣に腰かけて)愛の祝日には、他にどういうことをしている?
        王国の各地には、古来より連綿と受け継がれた独特の祝祭があると聞く 故郷の習わしについて教えてほしい 家々に伝わる教えや、しきたりというのもあるのだろうな
        -- ガラテア 2022-06-08 (水) 03:13:48
      • パーマネンスとコーティングの術式はちょっと自信ないの。壊れちゃったら言ってね(大切にする、という言葉に口元を綻ばせ)
        (香水の逸話にはさもありなんという顔。香木や香水など貴人の香りに纏わる話は、何かと脚色されがちである)
        ふふ、ご忠告どうも。春めいて寒暖差も激しくなってきたから私も気を付けないと。
        (勿論のことガラテアの寝姿にも気を配らねば。何かにつけて目の離せぬ同居人の新たな注意事項を頭に留める)

        愛の祝日、故郷の習わし……ね(ガラテアが隣に腰掛ければ、足を組み頬杖をついて考え込む)
        (まさかここで生まれた地である魔界のことについて話すわけにはいくまい。第二の故郷ともいえる地へと思考を巡らす)
        ノーチェルクス家はミネラ王国の南方、大河パルラの河川沿いに位置するソリオス領にあるの。
        (地形上の必然として、ミオとミネラの海運貿易の中継地点であること。ミオの文化的影響が強いこと)
        (水運と商業が経済の中心であること。人材の流動性が高いことを簡潔に述べる)
        商契約の日常化。水運や商業で男手が長期間不在になりがち。
        この二つが影響しているのか、ソリオスでは愛の祝日に男女で「鍵」を贈り合う習慣があるの。
        大体はその「鍵」に対応した錠前も用意して、一方の「鍵」が無ければ自分の持つ錠前は空けられない様にしておく。
        錠前の中身はもう人それぞれ。財産だったり権利書だったり……貴族だったら貞操帯だったり。
        俗っぽくて夢と浪漫に欠けるわよね? 中身次第ではロマンチックになるんでしょうけれど。
        (頬柄を付いた手首から、香水の匂いが立ち上る。その芳しさに目を細め)
        「鍵」だけを贈り合うケースもあるの。その場合だと「私の心の鍵を持つのは貴方」という意味合いになるわね。
        (微笑を深くして隣に視線を流す。胸元に飾られた青い薔薇に、そしてその主である蒼い瞳へと)
        帝国では愛の祝日が伝わったのは最近なのでしょう? 似たような慣習は無かったのかしら?
        男女や友人間で何かを贈り合ったり、想いを伝えるような習わしは。 -- ステラ 2022-06-08 (水) 14:03:41
      • 王国の南の玄関口のひとつ、水の商都……交通の要衝だな きっと年中暮らしやすい気候をしていて、さまざまな出自を持つ者が集い……(ステラの”故郷”の風景を思い浮かべる)
        美味なるものには事欠かない!(愉しげに声を弾ませ)たとえ言葉が通じぬ同士であっても、食の妙味が人を繋げる ソリオスの民は、朝に夕に世界の広さを知るのだろう 羨ましいかぎりだ
        暮らしのあり方が文化を生んだ 互いを信じる者同士が、対なす鍵に誓いを立てる きっと幼い子供らも、いつか誓いを立てる相手が現れる日を今や遅しと待つのだろう
        素敵なことだ、ステラ 私も誓いを立ててみたくなった……今日はその愛の祝日だものな 小箱に仕舞えるようなものはあるだろうか?
        (愛の祝日が広まる以前の帝国について問われると、少し難しい顔をして思案した)帝国人は父祖を敬い、いつも感謝を捧げている その歩みを継ぐことを誉としてきた
        ゆえに長幼の序を重んじてきたし、自身を育んでくれた家族への感謝を示す行事が多いな 貴賤貧富にかかわらず、家のことにかけて父の言うことは絶対だ
        将来を誓う結婚相手さえ、親同士の話し合いで決まる 今はだいぶ緩んだ様だが、かつての帝国では自由な恋愛など考えられなかった(続く言葉を口にする前に、僅かな逡巡が差し挟まれる)
        (ぽふり、と上体をベッドに預けて、どこか遠くを見るような目で天井を見上げる 聡明なステラはきっと《篝火》の経歴を調べたはずだ 何とはなしに、彼女に知られたくなかったことさえも)
        ………かく言う私にも許嫁がいた 四十も年上の老獪な大貴族でな 奥方に先立たれて、不遜にも私を後添に所望した それほどの権勢を誇っていたんだ(このことは史家も伝えている通りだ)
        帝室の藩屏、といえば聞こえはいいが……あの者の協力なくして、大戦を戦い抜くことは不可能だった 程なく降嫁の勅許が発せられたが、未来の旦那様は王国の将に討たれて果てた
        私の降嫁は沙汰止みになったが、すぐに求婚者が列をなして名乗りを上げた……そういうことが二度も三度も繰り返されて、いつしか私は敬遠されるようになっていた
        凶運を招く女などいらぬ、という訳だな 閨閥は帝国の統治に欠かせぬものだが、もはやその役には立てなくなっていた(壊れやすい、と言われた花にそっと触れてみている)
        私は………”終わった”女だったんだ、ステラ このことは、近衛の将として戦地に赴いたこととも無関係ではなかった これが私の生きた時代だ 現代(いま)とは何もかもが違った
        -- ガラテア 2022-06-08 (水) 20:49:07
      • (あれ? こんなに食に興味があったのかな? と少し意外そうに眉を跳ねさせ)
        (過日の帝国の習わしや気質と共に、手帳にさらさらと書きとめている)民まで自由恋愛禁止だった……と。
        (これは相当に厳格だが、当時の帝国の情勢を思えば致し方のない話に思える。ましてや王侯貴族となれば)
        選択の余地は無かったでしょう(ベッドに身を預けるガラテアを背中越しに感じながら、誰とはなしに呟く)
        (彼女の推測通り、一人目の許嫁の事とその顛末までは知っていた。簡素な数行の記述のみ、ではあるが)
        その後の求婚者のことは知らなかったわ。悉く討ち死にとは、貴女よほど勇猛な人か、危険すぎるほど有能な人に好かれるのねえ。
        (実態としてはそれほど帝国側の戦況が苛烈だったということだろう。そこには触れず俗っぽい感想を漏らす)
        (ベッドに腰かけたまま、その縁に両手を掛けて足をブラブラと揺らす。二人の視線が交わることなく互いの言葉が続いていく)
        貴女が戦地に赴かなければ、私達はこうして出会うこともなかった。
        ねえガラテア。一度終わったことだとしても、もう一度はじめることが出来ないなんて決まっていないわ。
        (後ろ髪を二つに纏めている内の片方のリボンに手を掛けて、しゅるりと解けば金の髪が舞う)
        (振り返り、ガラテアの横へうつ伏せに寝転べば、解いた青いリボンを彼女の手にひと巻きする)
        はい。小箱に仕舞えるようなもの。これは今、最も新しい時に貴女と私を結んでいるもの。現代(いま)の貴女はこれをどうする? -- ステラ 2022-06-08 (水) 22:32:27
      • 有事に務めを果たせぬ者は、怯懦のそしりを免れぬ 位人臣を極めた実力者なら尚のこと、最前線に立たねば示しがつかぬというわけだ 戦うほどに貴種が斃れた
        それはこの身にとっても同じこと……私はいつも、最も危険な場所を探した そうでなければ兵が奮わぬ 私を死なせぬようにと皆が力を尽くしてくれた
        最後には私の番が来て……恋のひとつも知らぬまま、死んだも同然の有様に成り果てたがな(ステラはどんな顔をして聞いていたのだろう? 肩にかかった髪を、背中を眺める)
        この時代に目覚めることができたのも、ほんの些細な偶然だ ゼッファー教諭があの日腹痛で休んでいたなら、今も私は《女神像》のままだったかもしれない
        卿との出会いが私を変えた 現代風の化粧ができるようになったりとかな そちらはどうだろう? 最近は私を起こす手際がよくなった気がする……コツは加減をしないことだ
        (起こすためなら何をしてもいい その約束に二言はないが、日に日に遠慮がなくなってきていることに恐々として、スムーズな起床を決める日が増えつつある今日この頃であった)
        (ステラの髪を束ねるリボンの片方が目の前で解かれ、手のひらに乗る 指にふわりと絡まるそれを眺めながら、問われたことの意味を考える)
        (この問いに正解などない このガラテアがどうしたいか、があるだけだ)そうか、何となくだが……ステラ、鍵を贈りあう意味が分かった気がする
        品物を収める小箱は、まさしく二人の部屋そのものだ 共に暮らすことを望みながらも、やむを得ない事情で叶わぬ者が生活の場所の”代わり”を作る それが小箱だ
        私はこのリボンを、仕舞いこみたくないと思った ステラと共に在る今が閉じ込められて、触れられぬようになるからだ ああ、だんだん判ってきたぞ
        いつまでも開けずにおいて、小箱の中身をとどめておくこともできるかもしれない……しかし、そんな永遠は無意味だ 明日のステラに会えるなら、今日のステラに会えなくなっても構わない
        日常の中にステラがいて、いつでもこの手を取れるのなら(リボンの巻かれた手を伸ばし、手と手を繋ぐ)”代わり”なんていらない 私には現在(いま)があるから
        -- ガラテア 2022-06-08 (水) 23:38:12
      • (戦のあとに生まれ、戦に生きた国。聞けば聞くほど武威の塊だ、と感じる)
        (いくら史書の頁を読み解いたところで、当事者の言葉には敵わない)
        (生きた本の内容とあらば、常に心が躍ってきたものだが、ことこの話題においては哀しさが勝る)
        (語る言葉がその身を傷つける刃のようだと、《篝火》の帝姫の話には如何ともし難い哀愁がつき纏う)

        あら。じゃあそのコツに従って、明日はもっと遠慮なくいかせてもらおうかしら。
        (話題が転じれば、心も軽く。自然と笑顔が浮き上がり、舌の上でも言葉が躍る)
        素敵な解釈。ガラテアには詩人の才能があるわね。私はそこまで思い至れなかったわ。
        (先人達の遺骸の上に現在がある。そしてそれが未来へと続いていく。今を肯定することは全てに繋がる)
        (そのはずなのだ、と思いを込めて彼女のたおやかな手を握り返す)
        大丈夫。私は現代(いま)ここにいるわ。
        こうして貴女の手を握って、他愛もないお喋りに興じて、微笑には自然と微笑みを返す。
        (空いた手でもう片方の髪のリボンを解いて、またガラテアと自身の間に蒼いアーチを描き、両手を繋ぐ)
        青い薔薇の花言葉を知ってる? 昔は「不可能」だったんだけどね。今は変わったの、「夢はかなう」って。 -- ステラ 2022-06-09 (木) 01:51:12
      • (昔の話をするたび、ステラはどこか哀しそうな顔をした 愛嬌に満ちて可憐なこの子の表情をもってしても覆い隠せない動揺が、心のざわめきとなって伝わってくるのだ)
        (哀しいばかりではない 尊く輝かしいものを見たのだと言いたかった 300と35年の眠りを除けば、この身はつい先日まで、その只中に在ったこともまた事実で)
        (やはりこの身、この心の半分は今も竜谷の戦場を彷徨っているのだろう 《篝火》の帝姫ガラテアは、天より墜ちたひとつぼし 人の願いを負って敗亡のさだめに足掻いた悲運の将だ)
        (英雄たちの名と共に、幻想的な悲恋の物語を数多謳われたもうひとりの主人公だ その生と死は、今も大いなる悲劇として愛されている)
        (しかし―――)
        ただ……尻を打つのはやめてほしい おどろいて漏れそうになる……(何が?)くすぐられるのも苦手だ あれは覿面に効く……(当人はこの有様だ だいぶふわふわになってきている)

        うぇっ………そ、そういう話では…なかったのか……?(すこし深読みが過ぎたかもしれない あの問いかけは、今を愛せよと言われているような気がしたのだった)
        (きっとそうに違いない、くらいの勢いで大いに語ってしまった ぽっぽっと顔が熱を持っていくようで―――ダメだ、本格的に恥ずかしくなってきた!)
        っ………卿が、喜んでくれた、ことはよかったが……!(両手を取られていて、顔が隠せない 耳まで真っ赤して足をぱたぱたさせる 意識する程に、身体が熱を持ってしまう)
        (恥ずかしいと思う方が恥ずかしいのだ そういうことにして胸の鼓動を鎮めようとしたが、一向に収まってくれない しまいには湯気の出そうなほど身悶えをして)
        (ステラを巻き込んでゴロゴロと転がり、こちらが”下”で止まった 両手はリボンと細指に結ばれたまま、お手上げのポーズで)ステラは意地悪だ………(やっとそれだけ言えた)

        詩人のように見えたなら、卿らが私をそう変えたんだ 《篝火》のガラテアが、日ごとに弱くなっていく 過去に縛られ、喪われた未来にさえ涙せずにいられた私が―――
        消えていくようで、怖い………ステラ、ステラ……助けてほしい 誰も知らない、ただのガラテアになっていくことが、こんなにも楽しくて、嬉しくて……(泣きそうな顔で、くしゃくしゃの笑みを)
        私が私でなくなるみたいだ 胸がざわめき、疼いている 感情が揺れる……教えてほしい、ステラ この苦しさを、私は知らない(背筋を反らせて間近に見上げる 赤と青の花弁が触れた)
        (燦然と咲く花々が、ひとつの臥所に折り重なっている 組み伏せられた乙女は仄白い首筋を露わに曝して―――その光景は奇しくも、ドラキュラ映画のハイライトにも似ているようだった)
        -- ガラテア 2022-06-09 (木) 06:12:06
      • (過日の話で垣間見える悔恨は、それだけ周囲の忠心や忠義の裏返しでもある)
        (国の為か。個人の為か。その端緒こそ分からぬが、尊ぶべき行動と理念の果てであろう)
        (頭では理解を示しながらも、心ではどこか承服しかねる思いがあった。それは、きっと、恐らく)
        (《篝火》のことを口にする彼女が、ここではないどこか遠くを見ているように思えたからだ)
        じゃあ、これからはくすぐりを中心に攻めるとしましょう。ふふふ。
        (こんなにも可愛らしい彼女が、目の前の自分を見ていないような気がして、嫉妬にも似た感情を覚えているからだ)

        そういう話ではあるけれど(今を愛せよ、という大筋はガラテアの察した通りだ)
        (けれどそれを、前段の鍵や小箱の話に繋げて語るくだりは、彼女の教養と洞察力の賜物だ)
        (言葉でそれを訂正しようにも、こうも愛らしい姿を見せられては、その気も失せてくる)
        (意地悪だ、というガラテアの言葉を裏付けるように、真っ赤になった彼女の顔へ蠱惑的な笑みを向ける)
        こーら。暴れないの。
        (寝台の上でもみくちゃになる内、熱が伝播したかのように、自身の身体の奥へ熱く滾る何かがあった)
        (ランプの薄明りの下で踊っていた二つの影が、一つに折り重なって。薄い夜着から彼女の熱と鼓動を感じる)
        (──このまま彼女を喰らってしまいたい。その身も、心も、全てを衝動に任せるがままに)
        (握りあった手はそのままに、間近に迫る泣きそうな顔が、胸の中に新たな感情を灯す)
        (──だけどそれ以上に彼女を大切にしたい。今にも壊れてしまいそうなガラスの器を。あらゆるものを受け入れ、同時に透明で壊れやすい大器を)

        昨日の私も今日の私も、明日の私も。少しづつ違う私。知らないことを知っても、また知らないことが出てきて。
        そこに怖れもあれば、わくわくするような楽しみもあって。貴女が今感じているようなことは、私も感じているの。
        (絡み合った手を解いて、ガラテアの頭を抱える様に優しく抱きしめる)
        だから、ね? 一緒に楽しみましょう。怖いことも、苦しいことも、嬉しいことも。
        知らないことを一緒に知りましょう。
        (蒼い瞳に紅い輝きが落ちてゆく。零れる前の涙を拭う様に、ガラテアの瞳に口付けを)
        (次いでその額へと唇を触れて、幼子をあやす様に、彼女の麗しい金の髪をさらさらと撫でつける) -- ステラ 2022-06-10 (金) 00:44:32
      • (真夜中の静けさの中で、小さな物音もありありと耳朶を打って―――意識してしまう 吐息ひとつ、肺腑を満たして漏れゆくまでの仕草のすべても知覚されていることを)
        (見上げた赤い瞳の奥に、常ならぬ朱い光が見えた気がした 捕食者のまなざしだ 理知的でたおやかな情愛と暴力的なまでの征服欲がせめぎあい、危うい均衡は前者に傾いた)
        (そんな葛藤が、大粒のルビーのような瞳に色彩の揺らぎとなって表れた 言語に尽くせぬような美しさに言葉を失い、半ば恍惚としてそれを見上げた)

        (―――まるで魔物に魅入られたようだ、と思わぬでもない もしも彼女が魔物であれば、両手を封じられ急所を晒したこの有様では)
        (たちまちの内に喰い殺されてしまうのだろう それは忌まわしくも甘美な妄想だった 頬の熱がわずかに高まり、吐息は浅く、早さを増してしく)
        (現実と妄想の区別があいまいに溶けあいながら、ステラの言葉に目の表情だけで頷いた)それは……いいな、ステラがいれば…きっと楽しい
        (唇が降りてくる 化粧を落としても色艶は瑞々しく、得も言われぬほどに柔らかそうな薄紅色が視界を埋め尽くしていく)
        ………ステラ……ステラ(閉ざすことなどできるはずがない 人中の竜たる証左でもある縦長の瞳孔が、今やランプよりも明るく輝く蒼い焔が口づけを受けた)
        …こんなの、知らない………(現代人は眼球に接吻をするのだろうか? 驚き、戸惑っている間にもステラの唇は額に注ぐ 判らないなりに、可愛がられていることは判った)
        (これも一種の愛情表現だ 心臓は早鐘を打って、体中が熱を発している しかしこのガラテアは、ただ愛され護られて悦ぶだけの女ではない)
        (求めなければ、得られぬものがあることを知っている)………場所を、間違えている(ステラの首へと手を伸ばす 抱き寄せて、唇までの数センチを一息に埋めた)
        -- ガラテア 2022-06-10 (金) 01:46:46
      • (燃え立つような蒼き竜眼。艶やかな金糸のヴェールに秘された前額。彼女の身体に唇で触れるたび、心の中に温かいものが満ちてくる)
        (胸の奥で渦巻く獣性は沈みゆき、麗らかな春光に包まれるような柔らかさ。だが、それはどこか独り善がりで)
        (互いの熱から目を逸らした迂遠さが、意識に僅かな空白を呼んだ)
        ……あ。
        (気が付けば、ガラテアの顔がより間近に迫っていた。より大きな感情の質量に引き寄せられるように)
        (触れ合う唇。その驚くべき柔らかさと弾力に遅れて、今までにない熱が火の点いたように押し寄せてくる)
        (炎に巻かれた狂おしさに導かれ、硬直していた身体が彼女を求めて動き出す)
        (啄ばむ唇は極上の果実を思わせる瑞々しさと甘さで。より味わおうと突き出す舌が、唇と歯列をなぞっては蠢く)
        (血などとは比べ物にならぬ甘美で芳醇な味わい。踊る唇と舌先の上で、陶然とした紅い瞳に淫靡な光が灯る) -- ステラ 2022-06-10 (金) 21:43:42
      • (豊かな胸と胸に挟まれて、二輪の花弁がひとつに重なる 壊れてしまいそうな程に柔らかく形を変える二つのコサージュは何かを暗示している様でもあって)
        ……………待って……(ステラの胸を飾る鮮やかな赤へと触れ、続いて彼女がくれた青も外して一緒に置いた これでいい―――どんなに乱れても構わない)
        (今の関係を壊してしまうかもしれない 彼女にそんなつもりは一切なくて、春の日のように穏やかな日々を……ひだまりのように温かなこの場所を、失うだけに終わるかもしれない)
        (すべてを台無しにしてしまうことへの怖れが、賢しらな言い訳を根こそぎに吹き飛ばすような熱情に呑まれる 最後の枷が取り払われて、情愛を求める腕が力を増していく)
        (ステラの舌が情欲のままに口腔を暴きたてる むせかえるような女の匂いに理性が突き崩されて、言葉を発する余裕などなく彼女の舌を迎え入れた)
        (いつも可憐で愛らしくて、生まれながらの育ちの良さを感じさせるステラが―――幼子のように危なっかしく、未来世界を歩むこの身を優しく導いてくれる彼女が)
        (今は吐息を荒げて、獣のように喰い散らかそうとしている あらゆるペルソナをかなぐり捨てた彼女の姿が、なぜかたまらなく愛おしく思えて)
        (歯と歯が当たるほどの勢いで求め返す 舌と舌がどうしようもないほどに淫らな水音を立てて交わり、舌先がステラの犬歯に触れる)……………ん……っ…
        (普段は気にも留めなかったが、明らかに異質な形状をしている 鋭利に研ぎ澄まされた先端の形をなぞり、勢いをつけて浅く食い込ませた 交合の狭間に、竜種の裔の生き血が滲む)
        -- ガラテア 2022-06-10 (金) 22:50:44
      • (赤と青。二つの花が星明りに照らされる傍で、大輪の花が寝台の上で蕾を開かせようとしている)
        (絡み合う二人の金の髪が、まるで一つであるかのように折り重なり、混じり合う)
        (互いに首に絡ませた手が、両者を繋ぎ合わせる鎖となって、二つの影が固く結び合う)
        (唇と舌が溶け合う熱をもたらして。弾む息遣いと水音のリズムが加速する)
        (密着する豊かな双曲線が、口づけに併せるように形を変え、その柔らかな肉の奥から伝わる鼓動が雄弁に昂ぶりを告げる)
        (ああ、何を我慢する必要があったのだろう。心も身体も睦み合うのが、これほどの快楽であるとは)
        (紅玉の瞳に影が差す。眼前の蒼い輝きを、その下で魅惑的にたわむ薄紅色の唇を、踊る赤い舌先を)
        (求めるままに味わいつくそうと、衝動のままに。そこに新たな色が混じった)
        ……ん……ふぅ………………っ。
        (ふつりと弾けるような音が聞こえた気がした。違和感に頤を反らせば、舌先で繋がる銀糸のアーチに紅い色が滲んでいた)
        (──ああ、なんて甘美な味わいだろう)
        (その思いも束の間。頬に差していた赤味の熱が、急速に冷えていく)
        ……っ!!
        (血だ。彼女の血だ。そう認識すれば口元をぱっと抑えて僅かに身を引く)
        (失せていく顔の血の気とは対照的に、ステラの瞳はその紅い輝きを増していく)
        (ルビーの瞳に昏い影が混じる中、その身体から立ち上る気も徐々に闇を濃くしていき)
        (蒼い瞳の映る先では、今にも泣きそうな顔の女が、魔の気配を宿している) -- ステラ 2022-06-11 (土) 00:19:03
      • (―――(まもの)の、気配があった

        (距離にしてわずかに数センチ先 どうして、と疑問を呈するよりも早く理解する 私はステラを疑い、そして疑いは正当なものだったのだと)
        (秘密が露見したことに怯えきって慄きながらも、魔性の本能に抗うことは能わぬ悪神のしもべ―――凄絶なまでに美しさを増していく魔族が目の前にいる)

        (嗚呼、何と愚かなことだろう)

        (人類の脅威にここまで気を許してしまった その事実に戦慄し、全身の毛穴が開いて冷たい汗をどっと噴き出す)
        (魔族は容易く人に化け、両大国の要人に取り入り……付け入る隙が見つからぬ時には、忌まわしくも殺して成り代わることまでしたではないか)
        (奴らは私の帷幄で名を馳せた部下たちにまで魔の手を伸ばし、かけがえのない友を幾人も喪っている)
        (どうして、この時代ではあり得ないと思ったのか? 連中は永き時の果てに、《篝火》に手をかけることに成功したのだ)
        私は弱く、愚かになった 夢にまで見た平和に毒され、もののみごとに堕落した―――きっと、赤子の手をひねるよりも容易かったろう)

        …………ぁ………う………(まもの)を殺せ、と闘争本能が叫ぶ 衰えたとはいえ、激しく動揺している今なら首をへし折れる)
        (判断に迷う時間はなかった この美しい魔物が正気づくまで、あと何秒も残されてはいない 今ならまだ間に合う―――)
        (瞬時に上下を入れ替わり、馬乗りになって愛らしい首に手をかける 肩から先がぶるぶると震えていた)
        魔物(ステラ)を手に掛けないといけない その恐ろしさに心が悲鳴を上げている 今にも砕けてしまいそうで)……………すてら……すて、ら……
        (見下ろす顔に濃い影が落ち、竜種の双眸と双角だけが真っ青に燃え盛っている これが私たちの結末なのか―――)

        (永遠にも等しい数秒の後、魔物(ステラ)の顔に雫が落ちる 麗しき唇を濡らして、さらにぽたぽたと滴るそれは涙ではない)
        (深々と噛み潰された唇から溢れて流れた鮮血だ)……………たす…けて………(結論はシンプルた 私は彼女を殺せない ここまで絆され、心惹かれて―――)
        (気取った瞬間から判っていた 私はこの愛おしい魔物を―――ステラ・ノーチェルクスを殺せない 殺せるはずなど無かったのだった)

        (もしも彼女が望むなら、いいように嬲り尽くされよう 骨の髄まで利用され、挙句に殺されたって構わない)
        (ステラがくれた、穏やかで優しい日々に比べれば―――ささやかに過ぎるほどの対価だ)
        (こんなにも愚かな私を生かしてくれた者たちに示しがつかないし、詫びなければいけない相手の顔が次々と心に浮かんだ けれど、一番には……)
        …………痛くして、ごめん……(ステラを傷つけてしまったことだ 殺意は跡形もなく霧消して、視界が潤んで歪んでいく)
        (ぽろぽろと涙をこぼして頬を撫でる 溢れて滴る血と涙が彼女を汚す もう一度、この愛おしいひとの唇を吸った)
        (さっきよりもいっそう激しく、傷つき震える心を気遣いながら―――《篝火》の帝姫を弱く愚かにしたもののすべてを、全身をもって示し続ける)
        (見る影もない程に烈しさを失い、ただひとりのために美しくなると誓ったこの灯が……彼女のことをも照らせるようにと願いながら)
        -- ガラテア 2022-06-11 (土) 03:34:19
      • (いつかこの時が訪れるのだろうと思っていた)
        (最初に出会った時。ルームメイトの誘いを受けた時にその予兆はあった)
        (だが、結びの時はあまりにも早すぎた。自分なら隠し通せるという慢心と傲慢が、その時を早めた)
        (──その時がくれば、相手を殺すか、殺されるしか道は無いと分かっていた)
        (このまま逃げ果せたとしても、彼女と、今まで出会った人達に多大なる迷惑を掛けることになる)
        (そして母の名誉の回復も叶わぬものとなり、生涯を陽の当たらぬ過酷な道へと突き落とすことになる)
        (それだけはあってならない。こんな自分にも愛情を注いでくれた母を裏切る様なことはあってはならない)
        (──ならば彼女を殺すのか?)
        (今ならば。吸血種としての力を以てすれば。その尋常ならざる膂力を以てすれば)
        (即座に彼女の首をへし折り、その血を全て啜り上げ、痕跡を完全に消し去り……)

        (それが叶うことは決してない)
        (忘我の内に身体は動かず、ただ凄絶な蒼い光を宿す瞳を見つめるだけだった)
        (視点がぐるりと揺れて、今や彼女の手が自らの首に掛かっている)
        (安堵が全身を包んだ。これで良いのだと、心の底から思った)
        (夜の篝火に誘われて、その身を燃やす蛾のように。強すぎる光に誘われた、闇をゆく者の末路)
        (どこか遠く、自分の名を呼ぶ声が聞こえる。それが目の前の相手からであれば、永劫の死出の旅には相応しい葬送曲だと思った)
        (ぼんやりと蒼い燐光が視界で揺れる。冥府への送り火としては些か過分に過ぎないかと)
        (ただ一つだけ心残りがあるとすれば。きっと幾許かの傷を心に残してしまうだろう心優しい彼女を)
        (少しでも苦しめまいとするにはどうしたらよいのか。その答えは出ぬままに、果ての時は近いと悟る)

        (ぽつりと熱いものが顔を濡らした。目の前から流れ落ちる紅い雫が、場違いにも美しいと思った)
        (唇に流れ込めばその甘美な味わいに、遠くなっていく意識が急に引き戻される)
        (なんて綺麗な涙なんだろう)
        (間の抜けた感想と共に、頬を撫でる心地よい感触が、降り注ぐ紅と透明のコントラストが、耳朶を打つ声が)
        (スローモーションで流れていき、その全てに愛おしさが溢れてくる)
        (もう決して交わることが無いはずだった唇が。再びその身に落ちれば、心の中に火が灯る)
        (交わした口づけは激しく、それでいて優しく。今までに感じたことの無い光が、胸の内に満ちていくのを感じる)
        ……大丈夫。全然へっちゃら。
        (どれだけ唇を重ねていたのだろう。永劫とも瞬間とも取れぬ狭間で、言葉と共に溢れる笑顔)
        (蒼い瞳から零れる涙。その涙を受け止め、拭うように、愛しい人の頭を撫でつけ)
        (唇から流れ落ちる血の滴。その痛みを分かち合うように、傷口へと唇を添わす)
        (この涙と血が止まるまでは、言葉は要らないとでも言うように、ただ静かに穏やかに)

        ……落ち着いた?
        (口内に感じる血の味が収まりを見せる頃、魔性の者とは思えぬ清冽な笑みを口元に湛えて静かに問う) -- ステラ 2022-06-11 (土) 05:33:43
      • (ステラは抵抗する素振りすら見せなかったし、従容と死を受け入れるさまにはどこか安堵の表情さえ垣間見えた)
        (その一瞬のまなざしが、千言万語を尽くすよりも雄弁に彼女の心を語っていた 人の尊厳を嗤い踏み躙り、冥府魔道をゆく悪鬼ども少しも重なるところがなかった)
        (ステラは普通の魔族とどこか違うのかもしれなかったし、単に優しい人となりと悪神の支配に抗する努力の賜物なのかもしれなかった)
        (なぜ、どうして、と問う必要はない それは今すぐ尋ねることでもなかったし、二人ともそんな余裕はどこにもなくて)

        ……………よかった……(とだけ、その一言を心の底から呟くのだった)

        (こんなに泣いたのはいつ以来だったろう? あまりにも多くの死に触れ、すべてに責を負ってきたために涙することを忘れてしまっていたようだ)
        (ステラと自身のさだめに泣いた 彼女が見せた覚悟と、昨日までの悔恨と、判りあえたことへの安堵に泣いた)
        (共に過ごしてきた時間が、無二なる友との友情が、育んできた絆が、何よりもこの愛情が嘘ではなかったことに泣いた)
        (ステラに縋って泣いた 口づけをしながら泣いた 彼女の胸を濡らして泣いた 頭を撫でられながら泣いた 涙が尽きるまで泣いた)
        (両目が腫れぼったくて、きっと目も当てられないほどに酷い顔をしているに違いない けれど、もう今更愛想を尽かされることはないだろう)
        (問いかけには、恰好のつかない笑みを返して頬をすり寄せる 糸が切れるように力が抜け、ステラの腕に身体を預けて)
        (優しくて穏やかな時間を失わなかったことへの安堵に包まれて、やがて静かに目をつむった きっと明日の朝だって、ステラが起こしてくれると信じながら)
        -- ガラテア 2022-06-11 (土) 06:08:58
  • 🗿
  • 🗿
  • 🗿
  • (学園祭当日の朝 バニーの試着をしつつあれもこれもとポージングを試してみたりして、ハレの舞台の支度をしている)
    (観衆に語り掛けるべきスピーチも夕べの内に書き上げ、完璧に頭に入っていたが)………ステラ、ステラ 助けてほしい(化粧台の前から助けを求める声が上がった)
    -- ガラテア(バニー) 2022-06-05 (日) 21:03:15
    • (こちらも水着に着替えてチェック中。同居人の助けを呼ぶ声に視線を移し、若干顔を赤らめる)
      (露出はそう多くないのに、なぜこうも煽情的なのか? 直視すると危ないなーと思いつつ)
      どうしたの? 衣装に何か問題でもあったのかしら? -- ステラ(水着) 2022-06-05 (日) 21:56:08
      • (王都の若い女性に流行している有名メーカーの化粧品が一セット、大小の瓶が並んでいる 《篝火》のガラテアプロデュースを謳った新製品の試供品だ 瓶にも図案化された横顔が入っている)
        (メーカーのスタイリストはどの瓶を最初に使っていただろう? 頭上に?を浮かべながら記憶をたどっていたが、困り顔で振り向いて)使い方が……わからない…
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-05 (日) 22:16:15
      • (そんなに複雑な化粧品なの?と瓶を見れば、大きい方は化粧水と乳液が一体になったもの)
        (小瓶の方はベースメイクの液体ファンデーション。どちらも最低限の化粧品だ)
        貴女ならこの2つだけでも充分なのかしら? えぇと、まず顔を洗って、大きい瓶の方から……
        (そこではたと気づく)……使い方って具体的な使用方法も? 塗り方とかも? -- ステラ(水着) 2022-06-05 (日) 22:31:10
      • これと、これと……これもだ(フェイスカラーにリップカラー、ネイルカラーとトップコートまで含めたセット商品らしい)
        (当人が齢若いこともあってか、ナチュラル寄りのすっきりとした色調で統一されている 同じく図案化された横顔があしらわれた専用ポーチ付きだ)
        いつも人に任せていたのでな 目をつむってさえいれば、自然と美しくなっていた(帝国の《顔》のひとつとして常に人目を浴び続け、一分の隙も無く完璧な化粧を施されてきた)
        私ひとりでしたことは……一度もない(用途が想像もできないような未来の化粧品ばかりで表情がどんどん弱っていく)
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-05 (日) 22:41:14
      • あら。このままでも貴女は十分美しいわよ?(軽口を装った本音を滑らせ、化粧セット諸々を検分)
        じゃあこれから出来るようになりましょ。私も横でやってみるからそれを真似してみて?
        (どうってことない風にさらりと告げる。鼻歌交じりに準備を整えて、化粧台の隣に座る) -- ステラ(水着) 2022-06-05 (日) 22:53:31
      • //申し訳ございません。文通でお願いしますー! -- ステラ 2022-06-05 (日) 23:15:03
      • 皆がそう言ってくれた 私はいつも感謝の弁を口にしたが……本当は、わからずにいた 化粧をされて着飾れば、民も兵たちも喜んでくれたものだが
        この身は《篝火》……皆の希望を燈して燃える篝火だ 願いを重ねるに足るだけの容姿が要る そのことを理解し、当然に持ち合わせているかのように振舞ってもいた
        『花の顔(かんばせ)に蒼白の燐光を映し、王国の将兵さえ凄絶なる美貌に震えた 可憐にして剛毅、怜悧にして勇壮に戦う帝姫のカリスマが、竜谷の防衛線を史上最大の城塞に変えた』
        『彼女こそは導きの光、絶望の戦場を遍く照らす《篝火》であった』―――などと後世の史劇は伝えている 当人の言はともかく、運命に抗い続けた果てに歴史に名を残したのだろう)
        私は進んで自分を捨てた 人形になったんだ 一人では何もできない 自分自身の美しさを信じられたこともない ステラ、私はよい生徒になれるだろうか?(見よう見まねでスタンバイ)
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-05 (日) 23:21:12
      • ///お疲れさまでしたー! 水着サイッコーでしたね!! どうぞゆっくりお休みになって下さい -- ガラテア 2022-06-05 (日) 23:23:35
      • (《篝火》の帝姫。彼女に会う前は歴史書の中の幾つかの記述を記憶していただけであり、同室となった数週間、彼女を記した書物を幾つか読了した)
        (だが史実の記述を知れば知るほど、こうして目の前に居るガラテアとは、頭の中で結び付かぬ思いをしていた)
        (その理由が朧気ながらに分かってきた気がする。彼女は大器であり、かつては様々な人に中身を注がれてきた。しかし今は)
        ガラテア。ちょっと手を貸してね? 暫く手は動かさない様に。
        (予定を変えて、ネイルカラーとトップコートを化粧台に用意し、ガラテアの手を取って指と爪に保湿クリームを馴染ませる)
        かつて貴女が帝国の《篝火》であったこと。その切欠だとか、そう在り続けたことに、貴女の意志が全く無かったとは思えない。
        状況的に選択の余地は無かった、と「判断」はしていたのでしょうけれど。
        (下準備を終えて、ガラテアの爪に下地の色を塗っていく。小さな刷毛が、丁寧に慎重な動きで爪の上を滑っていく)
        これも見て覚えておいてね? 爪の彩り方は意外と簡単だから、すぐに覚えられると思うわ。 -- ステラ(水着) 2022-06-06 (月) 22:02:37
      • わかった(ステラの細指が肌に触れれば、ほんの少しのむず痒さに手を引きそうにもなる 意識して力を抜き、大人しく様子を見守ろうとする)
        現実に背を向け、放蕩三昧に明け暮れる訳にもいかなかった あの時代、帝国は多くの問題を抱えていたし……境界の向こうからもたらされる情報は来たるべき危機を示唆していた
        (魔族の蠢動ぶりは年々きな臭さを増して、人魔を分かつ境界近くの小競り合いは明らかに増えていた 誰もが「二度目の人魔大戦」を予期し、それはさながらに終末の予言のごとく―――)
        (人心に暗い影を落としていた 帝国の力の象徴たる皇帝家に対する時代の要請は、日に日に高まり続けていたのだった)……そうとも、私はたしかに時代の求めに応じた
        だが、私を造ったのは《時代》ではない 数知れぬ人の手がこの身を支えた ひとりひとりが全力を尽くして、《篝火》という願いの器を作り上げた
        (この名と共に語られた数多の逸話が、より強固な幻想を築くための礎となった 身も蓋もないことを言えば、人為的なプロパガンダの産物でもあったということだ)
        器用なものだな(躊躇のない筆さばきで、爪からはみ出すこともなく色を付けていくさまを感心して眺めている 動きを模倣するための観察に意識を向けて)
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-06 (月) 23:09:52
      • あら。家や国のことを放り出して好き放題しちゃう困ったちゃんは結構いるのよ? 義務を果たすって存外難しいことだわ。
        (ゼイムの気質か、帝姫への教育の賜物か。あるいは別の何かがそうさせたのか)
        それで貴女は帝国の《篝火》であったことに何か後悔している? 間違っていたと思うのかしら?
        (さらりとベースコートを塗り終えると、扇子を取り出してパタパタとガラテアの指に風を送る。早く乾けーと念じながら)
        爪の手入れだけは慣れてるの。放っておくと直ぐに伸びて割れちゃうから。
        (応える様子はいつもの雑談のように。それはガラテアの過去を問う質問の時も変わることは無い) -- ステラ(水着) 2022-06-06 (月) 23:33:18
      • 悔いなどない、と言えたなら恰好が良かったのだがな(鏡の中のステラへと苦笑を向ける)後になって思うことは数多あるとも 私も多くの史書を紐解いたのでな
        我らの戦いは、未来の子らによりよい世界を遺すためのもの……そう信じたが、戦争の終結には少しも貢献できなかった 結果は真逆、とさえ言っていい
        より多くの血を流し、才ある者らを……私のような者を慕ってくれた才人たちを、ひとり残らず死なせてしまった 取り返しのつかぬことをしたと思っている
        この身が石へと変じたあの夜……(目をつむればこの世で最も有名な乙女のひとり―――《女神像》そのものの表情となった)別離の言葉のひとつもかけてやれなかった
        私の心の半分は、今もあの戦場にある 過去と未来は、あまりにもかけ離れていて……この身は今も竜谷の片隅に埋もれて、美しい夢を見ているのではと……恐ろしくなることがある
        (爪が色味を増してつやつやに光っている 過酷な戦場の暮らしで荒れ果てていた指先も、この半年の学園生活でだいぶ綺麗に治ってきていた)
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-06 (月) 23:53:01
      • (ガラテアの爪に指先で僅か触れ、下地が乾いている事と、綺麗に輝く指先を見て笑みが零れる)
        今の話を聞くと、ちょっとズルいなーって思っちゃうわ。
        貴女が《篝火》として作り上げられたこと、為したこと、為せなかったこと。それって貴女だけではなく、多くの人の力の結実よね?
        それなのに、貴女一人に責任を感じさせちゃってるのは、周りの人達ズルいなーって思う。
        (帝国の人間も敗戦によって、身を以て痛感したであろう。が、その点は考慮しない)
        はい。まだカラーと仕上げがあるから、動かさないようにねー?
        (彼女の手を包み込むようにしっかりと捉え、きゅっと指先を摘まんで固定する)
        (淡い桃色のネイルカラーを、下地の上から塗っていく。先ほどよりも、慎重に色ムラの無いように)
        ねえガラテア。今の私には貴方の気持ちや想いを理解することは難しい。自身の経験に照らした類推も同様。
        (もちろん分かりたいとは思うけど、と鏡越しの彼女の瞳へと微笑を映す)
        私がはっきりと確信を持って言えるのは一つだけ。貴方は今ここに居るわ。夢なんかじゃない。
        (ガラテアの指先を捉える力に、僅かばかりの熱が灯る。爪に乗る色は、ゆっくりと着実に彩りを増している) -- ステラ(水着) 2022-06-07 (火) 00:32:59
      • (目を奪われるように鮮やかな色彩が指先に溢れようとしている)―――ステラ、皆が私を愛してくれた なのに私は、彼らの愛に報いることが叶わなかった ただ搾取しただけだ
        財貨を奪うよりもいっそう罪深い……人の心の内にあって、最も尊いものを奪ったのだからな(事実、王国の民さえもうら若き敵将を愛した)
        (かの大戦を描いた叙事詩には、王国の歴史に名を残した救国の英雄たちと《篝火》のロマンスを脚色した描写や、そもそもカップリングの種類が非常に多い)
        (無名の騎士が《篝火》の窮地を救い、互いに心惹かれながらも《篝火》が悲劇的な死を迎え―――騎士は悲恋の果てに暴虐の皇帝を打ち倒す、というおとぎ話もある程だ)
        ステラ………ステラ、「ミスコン」は美神ルメンコの祭典だと聞いている(すぐ隣に煌めく赤い瞳を直に見つめる 瞳の奥にははっきりと怯えのような感情がある)
        私のようなものが、美と愛を競うことなど赦されるのか?(瞳が揺れる 心が揺れているのだ)作り物の私が、皆の愛を無下に扱った私が……こんな、夢みたいな思いをして…
        ―――美しくなって、よいのだろうか(心ときめかぬはずがない 胸が躍らぬはずがない ゆえにこそ、恐ろしくなる こんなに幸せでいいのか、己はそれに価するのか……と)
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-07 (火) 00:50:18
      • ガラテア。愛することは、それだけで幸せなことなの。愛される対象である、それだけで既に報いているの。
        (思うところは数ある。果たして大衆が《篝火》に向けたのは愛だったのか、と。ただ理想を望み、理想から外れなかったが故の感情ではないのか)
        (だがそれは口に出したところで答えは出ない。ただ悲しい思いが増えるだけだ)
        (マニキュアが全ての指を桜色に色づかせた時、つと間近からの視線を感じる。迷子になった幼子のような瞳)
        『美は誰にでも平等』 『美への道はいついかなる時でも開かれている』 ……ルメンコ様の言葉に倣えば、勿論オーケー。
        だけど……(不安に揺れる蒼い双眸を真正面から受け止める。深紅の瞳に光を宿し、ガラテアの手を優しく握る)
        美しくなりなさいガラテア。私は今の貴女がより美しくなる姿を見てみたい。もし一人で美を追い求めるのが不安だというなら。
        私のために美しくなってくれないかしら? (満面の笑顔を咲かせ、言葉と瞳で問いかける) -- ステラ(水着) 2022-06-07 (火) 01:35:57
      • (少なくとも、偶像(アイドル)であることだけは全うした 今も同じ二つ名を名乗っているのは、この胸に矜持が残っているためだ)
        (悔恨も憂いもあるが、未来世界は誰もが心豊かに笑いあえるような理想郷で―――目くるめくようなこの日々を、愛おしく思い始めてもいる)
        私自身のためでなく、他の誰のためでもなく……ステラのために?(思わず問い返してしまう 花咲くようなその笑顔を、美しいと思った 心の奥底から鮮やかな感情が沸き立って)
        贅沢な話だ まるで……(口説き文句のようだ、と口には出さずに頬が自然とはにかんでしまうままに任せる ほんの少しだけ顔が熱くて、つかのま薄紅色の色味が増した)
        卿のためか、いいな、それは……楽しそうだ(反芻するたびに何やら愉快で、重ねた手を握り返して身を乗り出す)美しくなったら、たくさん褒めてくれるのだろう?
        (竜角に宿る蒼い焔は輝きを増し、数多の詩歌に謳われた顔を明るく照らしてゆく ついには我慢の限界、とばかりに抱きついた)ありがとう、ステラ さすが私の無二なる友だ!
        (身をよじって抱擁を交わしているせいで、エナメル質の光沢ある生地から大きな胸が今にもこぼれそうになっている 気にする様子もなく、友誼と親愛の情を全身をもって示し)
        いいだろう、やってみるとも 私は卿のために美しくなる(こちらも間近に満面を向けた)だから私に教えてほしい 美しくなるための技術、美神の秘密……その全てを!
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-07 (火) 02:04:05
      • そう! 私の為に!
        (ガラテアの表情に花が綻べば、自然と心は浮き立ち、重ねる言葉に力が篭る)
        そうねまずはその自然な笑顔! とても素敵に輝いているわ! 笑顔は美と愛の呼び水!
        (己を愛する。その為にはまず肯定が必要なのだと思う。今の自分を誰かが肯定しているということが)
        (頭の片隅でそんなことが過りながらも、ただ単純に眼前の友人の顔に明るさが戻ったのが嬉しくて)
        どういたしまし……て!?(突然の抱擁に素っ頓狂な声があがる。圧倒的な肉感、それが布面積の少ない素肌にダイレクトに伝わってくる)
        (身長差で互いの胸が上下に撓み、薄い布地を通して豊満な果実が押し合い圧し合い、煽情的に形を変えていく)
        は、はい。お、教える。教えるから、ま、まずは離れましょう。離れま、しょう(触れ合うほど近い笑顔に、頬は真っ赤に染まっていく)
        って、爪! 爪は大丈夫なの!? ちゃんと乾いてる!?(もし乾く前で色が剥げていたらやり直しだ、と時間を意識し始める) -- ステラ(水着) 2022-06-07 (火) 02:35:24
      • ん……時間?(今更ながらに思い出す 今はミスコン当日の朝、身支度をしている真っ最中で―――)だ、大丈夫……なのかこれは!? わからん……
        (あまり悠長にしていられないことを思い出し、俄かにアワアワと慌て始める ステラの髪にマニキュアが付かないようにそっと離れて)
        (胸は普通にこぼれていたのでぐいぐいっと押し込んで直した どうも衣装のサイズが小さいようで、特に胸を収める部分は明らかに足りていないようだった)
        ステラ、ステラ……助けてほしい…!(困り顔でもう一度頼み込んで、二人してバタバタと身支度を整えていく ステラの仕事ぶりがどれほど素晴らしいものだったかは……)

        (美神の尽きせぬ愛と祝福のもと、やがて全校生徒の知るところとなったのだった)
        -- ガラテア(バニー) 2022-06-07 (火) 02:49:19
  • 🗿 -- 2022-06-14 (火) 00:07:39

Last-modified: 2024-04-25 Thu 23:26:44 JST (2d)