FA/2

目を開けると、彼女は見知らぬ土地に横たわっていた。

すぐさま起き上がり自らの携帯袋と装備品を確かめるが、
どうやら荒らされている様子はなかった。

むしろ自身の身に付けているものが
高品質なシロモノとなっていて驚いたほどである。

それらは明らかに彼女に最適化された物であり、
驚くほど身に馴染む。

どこで手に入れたのかと記憶を辿っても、
最後に覚えているのは簡単な依頼をこなし、
仲間と祝杯をあげているところだ。

──私は一度死んだのでしょうか。

周囲の状況、そして自らの記憶の欠落を見るにそれしか考えられない。

ひとまずシリューは遠くに見える建物を目指し歩き始めた。

こちらで最初に出会った人・リリアさん

私を見て「人形かと思った」と言っており、ルーンフォークはおろかラクシアの名前すら知らないと言っていた。
出会って間もない私のことを気にかけ、街に来ることを勧め自らの宿までおしえてくれた。
また、私の蘇生について「きっと生きていてほしいと思ったからだ」と言ってくれた。素敵な考え方だと思う。
無礼が過ぎると思いマナサーチこそしなかったが、風体からするとソーサラーのようだった(この世界にソーサラーという概念があるかはともかく)。
ずいぶんと幼いように感じたが、家ではなく宿に寝泊まりしているということは冒険者なのだろうか？

ハーブ屋の店主・エリッサさん

廃屋の側で薬草摘みをしていた女性。
私を見て住人と思っていたので、私は勝手に使っている立場でむしろ本来の住人を知りたいと言うとここに人の気配を感じたことはないので恐らく空き家ではないか？とのことだった。
つい薬草の専門家のように思って会話してしまったが、あくまでハーブがメインであるとのこと。
街にはアルケミストがいるらしい！冒険者とのことだが、ラクシアのアルケミストとはまた違った体系の符術を使うのだろうか？
冒険者になってからは携行食が便利で忘れていたけど、たまには料理をするのも悪くないかも。記憶のない間にもしかしたらやっていたりして。

休暇中の天使？さん

あんパンを熱心に頬張っていた男性(恐らく)。
正直センティアンではないかと思ったが、人族ではなく神の使いだという。
実際天使の輪(実物は初めて見た)をつけた瞬間に声が聞こえなくなったので、恐らくは神託としての性質が出たのではないだろうか。
神の声が聞こえない、というルーンフォークの特性を今更ながら再認識したが、逆に言うのならば降臨した神の姿を見ることは出来るのかも？
人が大人しく聞いていたら好き放題言ってくれたあの聖職者共に「天使と話をしてきた」なんて言ったらひっくり返るか烈火のごとく怒るかのどちらかだろうな。
それにしても綺麗と言われて少しドキッとしてしまった。相手は魂について言っているのに何を考えているんだ私は……。
追記:次に会ったら名前を聞くこと！