どこかの店だったり市街地だったりうろうろ †
とてつちかんかん †
日本に数多ある刀派の中でも異端に類する流派の刀匠。
大きな道具箱を背負い、黒鞘の刀を一振り腰に下げている。
聞けば彼は答えるだろう「刀を探している」と。
・ある種の魔術を用いて刀を打つ刀鍛冶の流派、狂極派/きょうごくは の刀匠
・特別出来の良いものは超常の力を備え、魔剣として世に出ることも少なくない
・男が探しているのは男の師がかつて打った一振りの魔剣。百剣翁の所蔵となっていたそれを破壊するために都心部へ入り込んだ。
・背に背負う大きな道具箱は、簡易的な鍛冶道具入れであり武器庫。魔術的に空間拡張されており、見た目以上に物が入る。
・道具箱には魔剣には及ばぬものの自身が打った各種の武器を収めており、所々から柄が飛び出ている。
・魔剣の格や種類にもよるが適切な場と時間さえあれば破損した魔剣を打ち直し修復なりすることが可能。
・また、モノによっては剣の備える力を変質させることもできる。しかし男が手を入れた魔剣は元の状態には戻らない。
・剣禍対に先んじて目的の魔剣を探す必要があるため、常に都内を探し回っている
・使えぬものを打てるか、ということで師匠の教えにより武具を打つ際は合わせてそれを扱う術も習得する
・ので一通りの武術は収めているが、どれも達人の域には及ばない
・腰の黒鞘の刀は強い力を発しており、魔剣だと分かるだろう。
・狂極派では、資質に優れる者は鍛術と呼ばれる鍛造用の法術を用いて剣を鍛えることがある。
その中でも特に出来の良いものは魔剣として昇華される。
・正国が背負った道具箱も鍛術で作られた狂極派の貴重な掘り出し物である。
・灰色の髪、黒いシャツ。最近シャツがやたらと上等なものになった。問われれば妖精作だと悪戯げに言うだろう。
・色黒。鍛冶場焼けだとか。
・だいたい埼玉県出身埼玉県育ち。しかし若干師匠に影響されてたまに言葉が怪しい。
・好物はそば。インスタントから手打ちまで。たまに自分でも打つ。
・都内へは国の正式な許可を得て入っている。魔剣を作る側としての見識を期待されて事態の収集に協力するような条件つき
・ので目的外の魔剣に対してもそれなりの対応を取るが、積極的には破壊しようとはせず封印する方向で対応する
ひとびと †
・小野班塵/おのはんじん
狂極派の名工である刀匠。界隈では若かりし頃からその腕の冴えを讃えられていたが、その評価を盤石の物とし老いたのち、
同じく刀匠であった息子夫婦が小規模な魔剣災害に被災。難を逃れた幼い正国を残してこの世を去った。
当時、彼を知る者からは鬼気迫る様相であったとされ、しばし消息を絶った後、忌喰を携えて現れた。
詳細な記録は残っていないが、その際に紆余曲折があったのち、忌喰は狂極派宗家預かりとなり、正国を引き取り育て、
刀剣の世界からは距離を置き、ほぼ引退状態となった。現在は心臓の病を患っており、自宅療養中。
・青江莉子/あおえりこ
狂極派の傍流、青江派の鍛冶師。正国とははとこの間柄。刀匠ではなく、鍛冶全般を請け負う青江鍛冶工房を営んでいる。
異能を持ち、金属類に類する物体を錆びさせることができ、魔剣にも有効。ある程度ダメージを与えられるが、
あくまである程度であり、破壊するまでには至らない。そもそも本人が戦いたがらない。
長い黒髪を流すように伸ばした、細身の女性。墨田区押上に在住し、今回の災禍をやり過ごしている。魔剣『高跳青江』を持つ。
魔剣もろもろ †
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| | 影切正国
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『影切正国/かげきりまさくに』
・概要
正国が打った、漆黒の打刀。刀装具はほぼ無く、艶の無い無骨な黒漆塗りの鞘に納められており、
柄も黒の柄糸で巻かれた飾り気のない拵えをしている。鍔は刀工鍔の槌目仕上。地肌に槌の跡残る愚直なもの。
刀身には刃入れがされておらず、研ぎ師が研ぎを行う下準備の鍛冶研ぎさえも無く、
通常の刃物としては使えないただの刀の形をした板とも言える。そのため刃文もない。
反りは浅く帽子短くふくら張り身幅は広く重ね厚く鎬は高い。打ち合いそれでも折れぬことを想定した、殴り合うための造り。
・能力
他の魔剣の力を切る、対魔剣の魔剣。魔剣由来の力のみを切るため、単体での異能や魔術については無力である。
仮に千鬼夜行による剣獣に対して使用した場合、刃物の域を越えた凄まじき尋常ならざる切れ味を見せるが、
同等の魔術による魔獣が存在したとして、それに対して使用した場合は、ただの鉄の棒で殴っただけになる。
あくまで刀であるため、ただあるだけで魔剣の力を無効化できるような代物ではなく、振るうことでその効果を発する。
また、効果の度合いもその際の斬撃の状況に左右される。
力を発揮する際は、刀身に透明な陽炎のような靄を纏いその陽炎が効果範囲となる。
対象の魔剣の格や発揮した力との相性によっては、力を霧散しきれない。
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『黯刃正国/あんじんまさくに』
・概要
影切正国を打ち直した漆黒の太刀。拵えは凡そ影切のものと同じだが、長さがが伸び、太刀ほどの長さになっている事と、
身幅も広くなり、より豪壮な印象を与える刀となっている。なお、刃がついておらず、通常の刃物としては使えないのも影切と同様。
夜闇を固めたような黒は更に深く。見つめていれば引きずり込まれてしまうような黒々とした刃である。
・能力
高位の魔剣に匹敵しうる、影切が持っていた対魔剣としての力を更に伸ばし拡張した魔剣。
魔剣という概念に対しての負の性質を持ち、他の魔剣に対してその魔剣が発揮する超常の力を抑え込み、切り裂く力を持つ
更には、ある程度ではあるが、魔剣が起こす事象そのものに干渉しうる力を有し、その事象を打ち消す限定的な事象改竄能力を得た。 仮に、魔剣で鉛弾を弾くなどして撃った場合、影切では成すすべがなかったが、黯刃の場合、鉛弾を弾いた、という事象に対し干渉し、
鉛弾に加えられた人体を貫通しうる物理的破壊力を消し去ることが出来る。対象の魔剣との関連が直接的であればあるほど効果は高い。
『忌喰班塵/いみばみはんじん』
・概要
正国の師匠、班塵が打った太刀。刀装具はほぼ無く雪のような抜ける白い鞘に納められており、
柄も同じく白糸で巻かれた純白の拵え。金を縁取りに施した葵型の鍔を嵌められている。
刀身は銀にも思えるような目も眩む白く輝ける白刃。反りは中程ふくら枯れ帽子は長く鋭い大切先。
身幅狭く重ねは薄く鎬は低い。刃文は薄く現れており見れば心を掻きむしられるような狂い乱れ刃。
獲物に奥深く滑り込み食らいつき、噛めば二度と離さぬような、斬るための造り。
班塵がかつて打ち上げた一振りであり、厳重に保管されていたものの、ある事件により散逸。
長らく所在が不明となっていたが、ある日百剣翁の蒐集品の一本となっていることが判明した。
・能力
切ったものを食う。生物無生物に関わらず食らうが、中でも武具、特に魔剣を好み食らう。
更には食らったものの力を取り込み、自身の力として使用することができる。
仮にこの魔剣を手にしたものは、強い衝動に苛まれ際限なく何かを切らずにはいられなくなる。
【忌喰補記】
より強い剣、より強い生命を喰らおうと都心をさまよい続け、強力な魔剣を求めて新宿へと。
魔剣ヴァンフルドの勢力下の刀を幾つも食らい、手がつけられられなくなっていた所を首魁であるヴァンフルド自身が
これを面白がり、単身忌喰へと挑む。結果としては強大すぎた覇剣を喰らいきれずほぼ相打ちになり、
融合を果たしたような状態に。元より純粋な食欲の意念のみしか存在しない忌喰は従的存在となり、
強い自律意識の存在したヴァンフルドが主人格となり、新たなる人格が形成された。
つまり世界征服を目論んでいた覇剣としての意思はそのままに、全てを支配し食らいつくさんとする暴食の覇王である。
最終的には、剣禍対を中心とした政府の討伐作戦により、覇剣諸共消滅した。
【ここから以下の剣についてはフリー利用剣】
『歌仙眠院/かせんみんいん』
・概要
戦国時代の狂極派の刀匠が打った一振り。かの刀匠は長年不眠に悩まされており、その解決のために打った一本。
細長い薄い金属板を螺旋状に巻いた拵えの蛭巻太刀であり、先反りの反り深く、のたれ刃文の身幅の広い刀身。
見ていて心が落ち着くようなゆったりとしたような造り。
・能力
生き物を眠らせる不思議な音色を放つ魔剣。音色には指向性があり、適切な強さ、方向を定めて対象に聞かせなければ効果が薄い。
その由来から、距離が離れるほど効果が薄くなり最大距離でも10mほどしか届かずその距離では眠気を覚える程度でしかない。
聞かされた強さ、長さにもよるが、刀の間合いで5秒も聞けば常人では耐えきれず眠りに落ちる。
『針一寸/はりいっすん』
・概要
江戸時代の狂極派の刀匠が打った一振り。昔話の一寸法師に着想を得て打たれた針ほどの小ささの極小刀。
拵え、鍔は無く柄に直接極細の糸が巻かれている身幅が狭く反りが全く無い直刃刃文の細身の直刀。
よく見なければ刀の造りをしていることが分からない針のような造り。
当時、この刀を盗みに使えると盗んだ盗賊がいたが、後日なにかに潰された姿で発見されたという。
・能力
持ち主を文字通り一寸の小ささに縮めてしまう。縮小化とそこからの復帰は本人の意志で行える。
その際、身につけていたものも同様に縮めるが、体から離れた瞬間に元の大きさに戻る。
件の盗賊は刀を盗んださい、逃げる時に履いていた下駄が脱げてしまい、その下駄によって潰された。
『雨久花畝練/みずあおいうねねり』
・概要
江戸時代の狂極派の刀匠が打った一振り。農民出身であった刀匠が造った一振りの短刀。
木目を模した装飾の施された拵えで、鞘に入った状態では一見は刀の形をした木刀にも見える。
抜けば刀身は片切刃作りの直刀。当時は旱魃が続いており、これを見かねた刀匠が雨乞いの儀式のために打った。
・能力
水を操る。無から水を生み出すようなことは出来ないが、能力の影響範囲が広く、時間をかければ雲を呼び寄せ雨を降らせることもできる。
水以外の液体状のものも操作出来なくはないが、その想定用途からか、操るものが水から離れるほど操作難易度が高くなる。
『飛びやっとう/とびやっとう』
・概要
平安時代の狂極派の女刀匠が打った一振り。菖蒲造りの身幅が広く反りの強い刀身を備えた薙刀。
当時の男勝りの武勇を誇る姫のために打たれた一本であり、その姫が納めていた静流薙刀術向けの静型薙刀である。
姫が戦場で倒れたのち、しばらくは女性の手を渡っていたとされる。
・能力
斬撃の拡張。視界内の任意の地点に突如として攻撃のみを出現させる。あくまで拡張のため、
仮に斬撃が止められた場合は、同じく薙刀も動きが止まる。発生する地点は使用者の認識に縛られる関係上、
暗闇や視界の悪い状態ではまともに斬撃を発生させることが出来ない。最大距離は精神力に依存する。
『イペタム』
・概要/能力
アイヌ生まれの魔剣であり、蝦夷拵の刀。日本本島からの侵略者、いわゆる和人に攻め込まれたとある集落の鍛冶師が
ウェンカムイ(悪い神)に願いを捧げ作ったという魔剣。和人に対抗するためには、和人の技があればと考えた鍛冶師により、
魔剣が遭遇した剣術を記憶、模倣し使用することができるようになる。
『タンネピコロ』
・概要/能力
アイヌの宝刀である長剣。文化、宗教に関わらず神性を持つ存在に対して呼応し、干渉する。
干渉に成功した場合、その神性に基づく能力を増幅したり、分け貸し与えてもらうことができる。
柄と鞘にはアイヌ紋様が刻まれており、シク/目 の意匠を中心に細工されている。
『タクネピコロ』
・概要/能力
アイヌの宝刀である短剣。文化、宗教に関わらず邪性を持つ存在に対して呼応し、干渉する。
干渉に成功した場合、その邪性に基づく能力を増幅したり、分け貸し与えてもらうことができる。
柄と鞘にはアイヌ紋様が刻まれており、アイウシ/棘 の意匠を中心に細工されている。
『カッテンストゥッツ』
・概要/能力
ベルギーで打たれた野太い短剣。柄が香箱座りの猫の意匠となっている。
小はネズミサイズから、大は大型トラック程の魔力で構成された猫を疑似物質化して召喚し、操る事ができる。
猫は自律して行動するが、視覚含めた五感をリンクすることが出来、思念で直接操作することもできる。
『カセグレン』
・概要/能力
フランスで打たれた細身の長剣。持ち主の視覚を強化する。
使用者は裸眼で数km先の硬貨の模様も判別することができたり、見ているものを高精度に分解し
超スローモーションでとらえることもできる。持ち主の素養次第ではあるが、魔力などの通常視認しづらい物も見えるようになる。
『ロスコン・デ・レジェス』
・概要/能力
スペインで打たれた曲刀。お菓子を操る。
うまい棒を金属製の棍棒のようにして扱えるようにしたり、せんべいを鋭利な円盤カッターとして操作したりできる。
また、お菓子を核にして動く自律型のお菓子モンスターを生み出したりもする。どれも元となるお菓子が必要。
とある場所にお菓子の家を建てて暮らしている少女が所有者。近づく者はお菓子モンスターに襲われてしまう。
『難升米/なしめ』
・概要/能力
古墳時代に作られたと思われる極めて原始的な魔剣。短時間の未来予知を可能とする。
非常に強力な魔剣の一本であるが、負荷が高く、使用するだけでも危険な魔剣である。
また、未来予知の精度そのものも使用者の資質に左右される。
『長城』
・概要/能力
中国で紀元前に作られた魔剣。使用することで強力な障壁を作り出せる結界系の中華剣。
その障壁の強度もさることなら、効果範囲が広く、過去の記録で作られた障壁で最大規模の物は
ある島を丸々分かつ線となるほどの距離に結界を構築したという。高出力のため、長時間の維持は難しい。
『高跳青江/たかとびあおえ』
・概要/能力
青江莉子の大正時代の先祖が打った魔剣。短〜中距離の空間跳躍を可能とする。
刀身の重ね薄く浅い反りがあり、互の目の現れた刃文を持つ短めの脇差。
災害発生以降は、危機に遭遇した際はこの魔剣を使い逃げていた。
異能と組み合わせることで対魔剣もこなす事ができる可能性を秘めているが使用者に全くその気がない。
鞘の中 †
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