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比叡山の奥深く開いた異世界の扉
その前に立つのは白髪の少年
慣れ親しんだ世界に別れを告げる為か
思い残す事があったのか暫しの間だけ後ろを振り返る
しかし、それもしばらくの間だけ
新しい世界と新しい冒険が待っている扉の方に向き直ると、今度は躊躇わず歩き出す
腕に巻かれた白いリボンが引き留めるように風に流され、はためくが気にした様子も無く
彼が闇の扉に飲まれると、音もなく扉は締まり消失し
少年はその名の通り、この世界から霧のように立ち去った
…これは、一人の少年が大人になった物語だ…
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