聖杯戦争/最終/再世の塔 企画/ゴルロア聖杯戦争/4期
- 再世の塔 ・ 螺旋階段 - |
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- - 再世の塔 ・ 螺旋階段 -
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- - 再世の塔 ・ 螺旋階段 -
- [激震。何処ぞでの破壊の衝撃が断続的に伝わる―此処は。]
[光明。三度現世と結んだ縁も奇妙に、取り戻してゆく主従の誓い―否さ、絆。]
[律動。人々は武器を取り、たった一つの頂へ―]
[揺籃は火葬場へ、孵ることはなく還る。―だが此処は。]
芯線逸れた螺旋階段!此処は地獄の三丁目、情け無用の鉄火が廻る!
因がお前で果が俺で。諸共報いて応えにゃなるまい番外地 --
- [道理である。この塔に記憶された地の記憶は、特に今回の争奪戦に見せかけた儀式へ捧げられた者の色が濃い]
[今老婆の前に立ちはだかる手紙服は、間違いなくサーヴァント・黒手紙。] --
- 随分お早いお帰りだねぇ、「局長」 -- グラフィカ
- [どるん。左腕、機関部が嘶く。それは、「スイッチが入った」事を示すのみならず。] --
- 寂しがる暇も無かったかね?「ライトレイト君」 -- 黒手紙
- [くるりとステッキを一回転。それは、必殺の間合いを測るのみならず。] --
- どうだろうねぇ…「局長」が死んで、何十年か。 -- グラフィカ
- [一歩、踏み出される脚は螺旋階段の下。未だ昇り始めるばかりの心持ちを、持っていた頃のように。] --
- 残された君の苦労、察するに余りあると。
そして、魔の支配するかの国で今日まで生き延びた事、称賛に値すると述べておこう。 -- 黒手紙
- [一歩、踏み出される脚は螺旋階段の上。ただ降るばかりの心持ちに、先暗い冬を見た頃のように。] --
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- [このイカれた時代へようこそ。突然に、ではなく必然。]
[遥か遠く北の雪国、「郵便局員」二人の間に積もり積もったマイトの山が、今点火されただけの事。] --
- あれはいつのことだったかねェ! -- グラフィカ
- [振動掌が階段を破砕しつつ、咆哮を上げる。実に三百六十段が鍵盤のように跳ね、駆け上がる/駆け下りる脚は宙を舞わざるをえない] --
- 寒い日であったな…「郵便局」へようこそ、と言った覚えがあるッ -- 黒手紙
- (思い出されるのは、まだ老婆が少女であった頃。「棄てられた」不義の子を作り出し、救い上げる業務の中)
[交差する、その一瞬に抜刀は十六回。尽くを鉄腕に防がれ、縺れるように落下するが地面際で互いを蹴る!着地は、遠く。] --
- あれはいつのことだったかねェ! -- グラフィカ
- (思い出されるのは、まだ青年が老人であった頃。宮を探り、人を陥れ、鬼を謀る。喜劇と悲劇の混成上演、この世の果てとも言える場所。)
[崩落を起こし、積み木細工のように降る階段。その只中、地面へ突き立つ腕は一際吠える!] -- グラフィカ
- 駆けずり回ったものさ。「柱」と成り得る者を探し、殺し、生かし!
救国の栄誉を我が手に、などと誇れる仕事と言いがたくはあるがァ! -- 黒手紙
- [破壊のメロディは底を抜く。螺旋階段は塔の中、渦巻くように落下する…尚も、二人輪になって]
[ぶつかり合うのは鋼鉄と刃金、火花を散らすは技と業。弾かれ、壁へと埋まるのは一方。] --
- …くふふ、結局出戻り。元鞘だったけどねェ…「局長」、寝てれば知らずに済んだのに -- グラフィカ
- [未だ落下し続ける螺旋軸。その壁面へと叩きつけた一撃は、「怨み」を媒介にした剣士固有のモノだ。]
[遜色なく振るわれる暴力には、しかし決闘の時よりも深い情念が隠る] --
- まだまだ目はあると言わねばなるまいか?元より残務処理、火種は幾らでもさ
―私は、その途上で果てたとも。君とて、その途上で果てれども! -- 黒手紙
- [「怨み」が募る。心を焼く火種は、途半にして討たれた過去の自分か?未だ覇を狙う主人か?それとも、足掻くことを止めぬ―かつての、教え子か] --
- そうだねェ…そう生きるしか、そう死ぬしか。でもさ
そう「した」のは「レジネフ」、あンただよ -- グラフィカ
- [瞬間、最高回転域に達した左腕が奈落へと降り続ける螺旋軸を粉々に破砕する!]
[呪言と共に「怨み」が奔る!髑髏の海原が崩落の中を埋め尽くし、圧し潰さんと押し寄せるがしかし]
[その場にはもう居ない。風巻いて、塵を残し。最早懐中、曳くは業火。真っ直ぐ貫く鉄腕に血潮が焦げて黒く染む。] --
- …忘れた、な -- 黒手紙
- [ブチ抜かれた心臓。破壊振動は既に、全身に達して]
[景色が色を取り戻していく。鋼鉄の左腕が持つ熱が、呪術発動の鍵であるジャケットを燃やし尽くす]
[心持ち、笑顔。それは、問答の間見られなかった顔である。] --
- 私は老人であったうえに死人であり、黄泉がえりなのだ。多くは望まないでいただきたい。 -- 黒手紙
- フン。今じゃ私だってお婆さんだよォ…もう、多くは望むまいさ -- グラフィカ
- (消えてゆく、黒手紙の身体。もう何十年前であったか、「彼」が死んだ時は、泣いたような気がしたけれど) --
- 人を呪わば…塵も残さず 元気でやりたまえ、よ「ライトレイト君」… -- 黒手紙
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[ずずん、と随分かかって地面に着く。老婆の鉄腕に残るのは、燃え残った上着の一片。切手柄の墓標である] --
- おやすみ、「局長」 これでもう、何の痕跡も残っちゃいない、よォ… -- グラフィカ
- (任務完了。道すがら、自我の無い複製含め。完殺であった…)
(存在そのものが秘匿されるべき「郵便局長」、その末路と後始末。大きな仕事の一つを片付けて、足取りも軽く) --
- [まだまだ人生は続く。この塔もまた旅の途中、やるべき事はもう無い。]
[何処かへと去る背中はありふれた老婆のそれでしか無いが…行く先には必ずや戦雲が、渦を巻く] --