名簿/482937?

  • (てへぺろ) -- 2013-12-12 (木) 23:18:13
  • 冥界×××年 ×月×日 P× ×:××
    暗いところ -- 2013-12-12 (木) 22:39:31
    • と言うわけで、ちょっと裁判っぽくしてみたのですがいかがでしょう
      ……いかがでしょう? -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:40:36
      • なんで二回聞いた? そんな事はどうでも良いんだよ
        ここはどこだ、早くあいつらを追いかけないといけないのに…… -- 冥界被告? 2013-12-12 (木) 22:42:33
      • 名前まんまですよ。おやご自分の現状をご存知でない?
        あなた先ほどきっちり死んだばかりなんですよ? あ、ここはあの世ですね、あなたが来るのは2回目ですが -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:43:59
      • そうか死んだのか、それはともかく早くここから出て……死んだ!?
        なんで! いつ! どこで! -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 22:45:03
      • 頭を殴られて、さっき、茂みの中で。死んだと言っても正確にはそうですね
        死にかけてる……と言いますか、崩壊しかかってると言いますか。まぁどちらにしろご臨終一歩手前なんですね
        ご愁傷様です -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:46:07
      • なっそん……どうしよう -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 22:47:35
      • どうしましょう、諦めちゃいます? -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:48:09
      • 出来ればやる事やってから諦めたいかな…… -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 22:48:27
      • そうですか、それなら私いいお話を持ってきたんですが
        どうです? もし私に協力していただけるのならあなたをちょこっといじって
        今ある崩壊からお救いしてもいいのですが -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:49:27
      • ! それは真かね! 本当なのか!? -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 22:50:11
      • 随分と必死なご様子、愛と? -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:50:27
      • 誠? -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 22:50:40
      • そう真なんですね、もちろん私に協力していただけるの折込済みなわけですが
        まぁその態度からすれば合意と見て良いと判断しましょう
        と言うわけで合意が得られた時点であなたを救ってあげるわけですが。どうやって救うか知っておきます?
        一応あなたの体結構変わっちゃうと思うので -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:51:58
      • ニア はい
         いいえ -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 22:53:42
      • そうですねぇ……簡単に言うとですね。あなたは今死人という冥界の属性にありながらも
        その法則から逸脱してしまった存在なんですよ。ほら覚えてます? 消滅するはずだった人たちが作った不要世界ーとかなんたらーとか
        別段不要物達が自分達の世界を作ることまでは
        ぎりぎりグレーで法則にはのっとった行為なんですよね、事実不要物は現世に行くと世界の抗体に殺されちゃうわけですし
        でもあなたはそんな冥界属不要物科の存在でありながらも、現世においてその存在を確立してしまった
        と言うのが前回のお話ですね、ちゃんと覚えてます? -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 22:57:59
      • 覚えてる……けど、存在を確立させた時点でまだ死人のままで居るとは正直思わなかった
        実際傷の治りは前より遅いし、ちゃんと血も出てたからてっきりいい感じに収まったのかと…… -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 22:59:25
      • 言い訳する人は皆そういうんですよねぇ、知らなかった! とかなんとか言って
        まぁ別段それはどうでも良いんです。むしろ今回においてその法則を破ってしまった事があなたの助けになるわけですね -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:01:37
      • 破った事が助けに? ……少し予想は付いてきたけど
        ひとつ質問していいかな、僕が前死んだ時君みたいなのは居なかったんだけど。……もしかして冥界の人じゃないの? -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:02:56
      • なんで冥界の人間が冥界の法則を破った事を褒めるんですか、違うに決まってますよ
        まぁ私の事はおいおい話すとして。つまりはですね、あなたは大きな法則を一度破りつつも、現状別の法則によって縛られているわけです
        言ってる意味分かります? 言うじゃないですか、一人殺せばあとは二人だろうが三人殺そうが一緒だって
        まぁつまりはその災厄がどうとかで崩壊しちゃう! なんて法則も破っちゃえばいいわけですね -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:04:58
      • ……どうやって? -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:05:29
      • 風が語りかけます -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:05:57
      • 鈍い…鈍すぎる…… -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:06:09
      • 十万石パンチ!(スカッ)そこで私の出番なわけですよ、分かるでしょう? 死に行く存在をこうやって拾い上げる事が出来る
        そんな人間がちょちょっと不思議パワーを使えばあなたがその法則を破るきっかけと言うか亀裂が作れるわけです
        と言うか現にあなた私が手を出すまでも無く切り離したはずのBを既に右腕からはやしてますしね -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:07:31
      • Bって……この鎖の事か、そういえばあの時のあいつは両袖からこれをたらしてたな
        でもこれが生えてる事と、法則が敗れる事の関連性が見出せないな -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:09:04
      • そうですね、あなたがBを殺してからBは消滅してしまった、厳密に言えば冥界へと意識の無いものとして溶け込んでしまって
        あなたの体の中にはBの要素なんて本来かけらも無いはずなんですが、何故かあなたにはそのBが作り出した要素が出ちゃってるわけです
        まぁそれがどうしてなのかは私にもさっぱり分かりませんが、つまり私が言える事はあなたはもう既にめちゃくちゃなんですよ
        とにかくめちゃくちゃ、存在自体がめちゃくちゃ、言ってしまえばバグがゲームの中を自由に動き回ってる感じですね、怖すぎる…… -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:11:05
      • そうか……つまり既に破綻気味の僕を君が不思議パワーで突く事で
        この崩壊の法則を崩せるって事になるのか。そう考えるとこの崩壊の法則も
        ある意味薄皮一枚で保ってる感じに思えてくるな -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:13:08
      • 言ってしまえばそうですね、正直私の力もそんな強くないので薄皮一枚だからこそ助けられるわけですが
        ……さて、お話もこのぐらいにしておきましょう。そろそろ時間もありませんし
        それじゃあ法則を今から破りますよ、ハァーッ! -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:14:23
      • ……え? 今ので終わり? -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:14:36
      • はい! ばっちり法則は破綻しました! これでちょっとすれば生き返るんじゃないですかね、やっぱり寺生まれってすごいです
        さて、それじゃあ生き返るまで時間も無いので私の名前と、手伝いの理由を言っておきますね
        言っておきますが約束破ったら殺しますからね -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:15:42
      • 分かった、あなんか体薄くなってきた…… -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:16:07
      • それで私の名前はですねー -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:16:35
      • あー、なんだって?(スゥー -- ヒトツミ? 2013-12-12 (木) 23:16:50
      • はや! 消えるのはや! わー! いいですか! 生き返って事を終えたら絶対来てくださいよ!
        私と遊んでもらうんですから忘れないでくださ-圏外- -- ■■■■? 2013-12-12 (木) 23:17:45
  • 冥界×××年 85月21日 AM:9:15
    どこぞの法廷 -- 2013-12-12 (木) 22:15:08
    • ーーーとこのように、被告は冥界の法則を曲げた上に、危険人物であるBを生み出した要因になるのです
      これにより多数の現世の命が刈り取られ -- 冥界検事? 2013-12-12 (木) 22:18:41
      • ちょっ! ちょーっとまってください! -- 冥界弁護士? 2013-12-12 (木) 22:19:29
      • なんですか弁護人 -- 冥界裁判長? 2013-12-12 (木) 22:19:46
      • 確かにBは大変危険な存在ではありましたが、あれは冥界において罪人の新しい運用を考えるため
        試験的に作られた存在だったはずです、つまりBの存在はAである彼被告にとって故意に生み出されたものではなく
        あなた方冥界側の責任でしょう! 被告の罪にかぶせるのは私はどうかと思うなぁ! この資料にもばっちりその事は記録されてますよ! くらえ! くらえ! -- 冥界弁護士? 2013-12-12 (木) 22:21:51
      • 弁護人は資料を物理的に投げないように -- 冥界裁判長? 2013-12-12 (木) 22:22:08
      • すいません(しまった、裁判長の心象が悪くなってしまったぞ……!) -- 冥界弁護士? 2013-12-12 (木) 22:22:31
      • 確かにそのような事例は存在しましたが、しかしそれとこれとは話が別でしょう!
        あのBがたとえ本人の故意によるもので生み出されたものでなくても
        その原因を作り行動から目を引くような結果になったのはこの被告の責任だ! 裁判長、よって私はこの被告に即時消滅の判決を求めます! -- 冥界検事? 2013-12-12 (木) 22:24:17
      • うーむ……確かに試験的運用の賜物とは言えアレだけ人を殺したと言うのは
        やはりその素質を持っていた本人の所業と言うほかは無いと私は思います……
        弁護人、これに対しなにか言う事はありますか? -- 冥界裁判長? 2013-12-12 (木) 22:25:41
      • うぅ……っ、え、えっとですね…… -- 冥界弁護士? 2013-12-12 (木) 22:26:24
      • 弁護士ちゃん! こういうときこそあなたのいつものはったりが
        いつだって有罪を無罪にしてきたのよ! -- 冥界マスコット? 2013-12-12 (木) 22:27:14
      • そう、そうだった……ここで諦めたら、私を信じるしかない被告人はどうなるんですか!
        もちろんあります! 裁判長……あなたはみかんと言う果物を知っていますか -- 冥界弁護人? 2013-12-12 (木) 22:28:01
      • み、みかんですか? それはもちろん知ってますが…… -- 冥界裁判長? 2013-12-12 (木) 22:28:49
      • オイオイオイ、死んだわアイツ
        (机ドン)弁護人は明らかに話題逸らしに入っている! 裁判長! 今すぐ判決を -- 冥界検事? 2013-12-12 (木) 22:29:50
      • 待ってください! いいですか裁判長! 近年冥界で使われているみかんには明らかに危険な物質が入った農薬が使われています!
        これを食べた罪人たちはその元の性格や性質に問わず凶暴化してしまうのです! -- 冥界弁護人? 2013-12-12 (木) 22:31:30
      • そ、そういえば最近ニュースでそんな事を言っていましたな……私も孫にはみかんを食べないようきつく言っています -- 冥界裁判長? 2013-12-12 (木) 22:32:14
      • 裁判長! これ以上はあまりにも無駄だ!
        おい弁護人! みかんが凶暴だかなんだか知らんがいい加減に -- 冥界検事? 2013-12-12 (木) 22:33:21
      • 良いですか! もし彼が分離する前事前に冥界から冥界みかんを食べさせられていたらですよ
        (机ドン)これは明らかに凶暴化させる意図があっての事じゃないですか! -- 冥界弁護人? 2013-12-12 (木) 22:34:40
      • ! それが本当だとすれば被告の尊厳を著しく傷つける事実ですな! -- 冥界裁判長? 2013-12-12 (木) 22:36:01
      • そんなのでたらめだ! 証拠を出せ証拠を!(バコンバコン -- 冥界検事? 2013-12-12 (木) 22:36:33
      • ふっふっふ……証拠ならちゃんとありますよ(さっき作ったばっかりだけど
        よく見てください、これがその証拠で -- 冥界弁護士? 2013-12-12 (木) 22:37:15
      • た、大変です! 先ほどみかん畑から死体が発見されました! -- 冥界警官? 2013-12-12 (木) 22:37:53
      • ! -- 冥界裁判長? 2013-12-12 (木) 22:38:04
      • ! -- 冥界検事? 2013-12-12 (木) 22:38:12
      • !(ど、どういうことなんですか……!) -- 冥界弁護士? 2013-12-12 (木) 22:38:30
      • なにこの茶番 -- 冥界被告? 2013-12-12 (木) 22:38:42
  • あらすじ
    洋上学園に入学するも突然のタイムスリップに襲われたエマとキキ
    気がつけば2年だか3年ほどの時間が経ちもう知り合いとか居ないしとりあえず色々と過ごしてるうちに
    いろいろあった -- 2013-05-30 (木) 23:32:22
    • いろいろはしょりすぎだよね!? いや……私もなにがあったのかよくわかんないけど -- エマ? 2013-05-30 (木) 23:44:08
      • まぁまぁいいじゃないですか。大切なのは過去より未来、そして未来より現在ですよ
        エマ様は若いんですからもっと前を見るべきだと夜草は思いますよ -- 夜草? 2013-05-30 (木) 23:45:32
      • いやそんな次元じゃないよ、今現在私達がどこにいるかすら…… -- エマ? 2013-05-30 (木) 23:46:39
      • それは違うぞ夜草、確かに現在は大切であるが、未来を見ずに生きる現在などなんの価値もないのだ
        未来を見据えて行動する、それが魔王というのであろう!
        -- キキ? 2013-05-30 (木) 23:47:57
      • いやあの -- エマ? 2013-05-30 (木) 23:48:07
      • んまぁキキ様! この夜草間違った考えをしておりました。確かに未来あっての現在
        いや現在が未来を作るのなら、未来と言う前を見て今を生きるべきでしたわ! -- 夜草? 2013-05-30 (木) 23:49:08
      • 天丼か! -- エマ? 2013-05-30 (木) 23:49:28
      • なんじゃ騒がしい、私がとてもありがたい話をしてる最中だと言うのに
        最近短気じゃぞエマよ
        -- キキ? 2013-05-30 (木) 23:50:09
      • 〜〜〜〜〜〜っ! いや、いやいい。とりあえず今の目的は変わっていないことを確認しよう
        私はキキを消しに学園に来た、このさい時間が凄い飛んでるのはもう見ないフリをして。その目的をどう達成するか
        頼れる人はもう居ないし、調べて分かるようなことじゃないし……詰んでる? -- エマ? 2013-05-30 (木) 23:52:20
      • 詰んでる? と言うことはエマ様ギブアップ? まぁキキ様聞きましたか、エマ様がギブアップですよ!
        これはお祝いしなくてはなりませんよ! -- 夜草? 2013-05-30 (木) 23:53:30
      • ふふふ……まぁ私はエマがギブするのは最初から見抜いておったがな&br;よしエマよ! 宴の準備じゃ、馳走を用意せい! -- キキ? 2013-05-30 (木) 23:54:41
      • なんで私が用意するのよ……ん?
        (やんややんやと騒がしい部屋、そんな時おもむろに鳴り響くノック音、誰か来たのだろうか、とドアノブに手をかけ)
        (返事をしながらドアを開ける。二つ目の話はここから始まる、短い間だったのにとても長く感じた追いかけっこは、意外にも私の手で始まってしまった) -- エマ? 2013-05-30 (木) 23:57:22
      • ドカン! 夜の洋上に大きな音が鳴り響く。洋上学園都市、それは人工の島と言うには不釣合いなほど大きく
        またその雑多な時代の中では十分なほどに浮いた存在、きらきらと夜にも関わらずところどころに光を放つ建物の群集の一つに煙が立ち上った
        「ちょっといきなりなにこれ! なんで私の部屋がいきなり襲われなきゃならないの!」
        煙の中から壁の外へと飛び出す一人の女、不満ありげな顔をしながら後ろに伸びる黒い物体に向かい叫ぶ
        女が飛び出したのはじつに建物の3階にあたる場所であったが、そのことなど気にも留めていない様子だ
        そんな事私に言われても知らぬわ! それより追ってきておる、はよ逃げんか!」
        少女の後ろに伸びるそれ、黒い見た目は影であるが、その影は生きたように抗議し、体をしならせる
        部屋が突然爆発する直後、いつものように騒がしい部屋にうんざりしていた頃だ。いつもはあまり訪問者の来ない部屋に一つのノック音が響いた
        なにか届け物でも来たのだろうかそんな軽い気持ちでドアをあけたのが始まりだった
        一瞬金属の擦れる音がしたかと思えば、次の瞬間には既に爆発音が鳴り響き部屋は煙で満たされていたのだ
        女……エマというこの人物も冒険者を初めて早々ひよっこのままではない、煙の中から放たれるさっきに背を向け、一目散に逃げ出す
        とはいえ出入り口である扉には正体不明の訪問者が、逃げ道を探した結果先ほどの爆発で開いた大きな穴から飛び降りるしかなかったのだ
        「キキに言われなくても逃げるって! あぁ、もうどうしてあんたに影を食われてからこう厄介ごとが、あそこ借り部屋なのに……」
        現在の状況を憂いつつも地面が近づけば、慣れた様子で受身を取り着地する。受身を取っていても3階からなのだから限界があるのでは、と疑問にも思うだろうが
        冒険者と言うのは案外都合のいい体を持っているものである
        そのまま走り出し細道へと逃げ込む、煙が晴れ始めた部屋からは、人影がその様子を見下ろしていた
        「……」
        その風貌はあまり褒められたものではなく、薄汚れところどころ破れたコートをたなびかせるそれは荒れた白髪を伸ばし、酸化した血の色のような濁った目を細める
        ジャラリ……袖から何本も伸びる鎖を引きずりながら踵を返せば、急いで追う様子も無く、ゆっくりと建物を降りていく -- 2013-05-31 (金) 02:46:39
      • 裏路地---
        エマとキキと呼ばれる影は建物の間に伸びる細道を走り、裏路地へと出る
        微妙に薄暗いそこはやはりあまり評判のいいところではないが、自分達を追ってきているであろう頭のおかしい人間よりはましだろうと
        所々に点在するなんとも物騒な雰囲気を持った人間達の間をぬうようにして走り続ける
        「さっきのあれ、もしかしたらキキ狙いじゃないでしょうね! もしそうだとしたら私はなにが何でもキキを消すかんね!」
        体力はあるのか、走りながらも疲れを見せない様子でエマは影に向かい怒るようにそう言い放つ
        それを聞いた影はむっとした様子で
        なにを言うか、私はここに知り合いの一人も居ない以前に、この世界の住人ではないのだぞ。こっちで追われる覚えなぞないわい!
        と返すが、その瞬間に走るエマ達(正確には走っているのはエマだけだが)の横に並ぶようにして現れたそれがその返答を否定する事になる
        「いいえキキ様、残念ながらあいつはキキ様狙いです」
        「ほら! やっぱあんた関連じゃない!」
        なんじゃと! こっちまで私を狙うような輩が居るというのか夜草よ
        夜草と呼ばれるその女性、片手には小さなランタンを持ち、体は足先までローブに包まれているために体は見えない
        その夜草がキキの言葉にうなずくと
        「あれは2年ほど前にこちらまで追ってきた狩る者の一人、私達とは別の世界からやってきたと言われるそれです
        あぁ……しばらく情報が入ってこないことに油断していました……まさかすぐそこまで来ているとはこの夜草一生の不覚です」
        頭を抱える夜草をよそに、その存在の事を聞いてキキは影で出来た体を硬直させる
        その影にとって最悪の存在、まさかそれがもうすぐそこまで来ていたとなるとふざけている場合ではない
        おいエマよ! このまま走り続ければどれぐらいで広い場所につける!
        「広い場所? えぇっと……あと3分ぐらい」
        3分、もし狩る者がこちらを追ってきているとしても、今の様子を見ればそのぐらいは逃げ続けられるだろう
        いやそうでなくてはならない、自分の知っているその異世界の狩る者であれば、このように狭く入り組んだ場所はこちらにとって不利だ
        そしていくら逃げたとしても見つかった時点でもはや安全な場所がなくなった事も理解できてしまう
        よしエマよ! 広い場所に出たら足を止めろ、そこで奴を向かえ討つぞ!
        勝てる見込みは少ないが、万が一と言う事が起こるかもしれない
        その言葉を聞いてエマは驚いたように抗議を繰り返すが、遠く聞こえる鎖の音を聞けば
        もはや逃げ切る事が出来ないのでは、というキキの疑問は確信に変わってしまっていた -- 2013-05-31 (金) 02:51:49
      • 細い道が続く裏路地、いくつもの曲がりくねった角を作るそれはまるで迷路のように入り組み
        夜である時間のためもあってか自分がどの道から来たのかということすらも、慣れていない人間ならば分からなくなっていただろう
        そんな場所をなれた様子で走り、曲がっていくと、やがて少し道の幅が広くなっていく
        この先はちょっとした広場のようになっており、夜な夜なあまり褒められた生活を送っていない者達の溜まり場にもなっている
        本来ならばあまり近づきたくない場所ではあるが、そのような人間達よりももっと厄介な存在に追いかけられている今、そんな事を考えては居られない
        エマはキキの言われるがまま走りやがてその広場へと出ると、全力で動かしていた足をゆっくりとした動きに移行させていく
        走っていた途中は気づきにくいのだが、止まるとその疲れが一気に押し寄せ、息を乱しながらも後ろを見る
        広場から伸びる唯一といっていい通路、恐らく先ほどの人物が来るとしたらここからだろう
        エマはその通路を睨み一応に身構え、腰に下がる石剣に手を添える
        「それで……あれはいったいなんなのさ、いきなり襲ってくる時点でまともな奴じゃないってのは分かるけど」
        息を整え、改めて疑問に思ったことを聞く。分かっていたが自分は巻き込まれた側だ、それならばはっきりと原因を聞く権利がある
        うむ……確かにお前も知っておく必要があるだろうな。奴は私がこちらに来る前に――
        だがその疑問にたいする回答は許されなかったようだ。キキが言葉を続けるのを妨害するかのように
        その攻撃は意外にも3人の後ろから飛んでくる
        「っ! キキ様!」
        一番にそれに気づいた夜草が叫ぶ。その瞬間部屋を襲った時のような爆音が響き、地面の岩がはじけ飛ぶ
        「ちょっ!? なんで後ろから攻撃が飛んでくるの!」
        飛んでくる岩の破片から急所を守りながらも、その衝撃で思わずよろける
        見えたのは地面に刺さる鎖、ピンと張られたそれがやがて徐々に緩んでいくと、一人の人物が地面に降り立つ
        ボロ布のようなコートを羽織った、明確にその3人……いやエマの後ろに伸びるものを狙う人物だ -- 2013-05-31 (金) 20:32:00
      • 抉れた床、破片がそこらじゅうに散らばる中3人の影が立つ
        先ほど鎖による攻撃を繰り出した存在は口を開くこともなく歩みをゆっくりと進める。見据える先にはエマの後ろに伸びた黒い影
        影もまたその存在から目をそらすことはなく、じっと相手を見続ける
        ……エマよ、私が合図したら石剣を抜け
        キキがエマへと小声で指示する。エマはそれに対し返事はしなかったが、ゆっくりと腰の鞘へと手を当てる
        なおも鎖を引きずる男は近づいてくる、幸いにも広場には珍しく自分達以外の人間はおらず
        閑散とした薄暗い静けさが広がっていた。横に居た夜草もまた目の前の人物に対し威嚇をしつつ睨み付ける
        徐々に男の歩みが速くなる。それほど広くない広場、相手がこちらに近づいてくるまでそう時間はかからなかった
        やがて相手が不意に腕を振り上げる
        袖から伸びた鎖が二本ほど、暴れるように跳ねたかと思えば男の腕の動きにそって半円を描くようにその先の刃物を影
        いやエマごと貫こうと狙ってくる
        いまだ! 抜け!
        その瞬間である、キキの合図と共に石剣から影の柄が延び。エマはそれを抜けば強い衝撃があたりに広がると、壁にぶつかればその力は反射するように広場中を暴れまわる
        男の鎖はその衝撃に耐え切れず法則の力を失いがちゃがちゃと音を立てながら地面へと落ちる
        また男もその衝撃をもろに受けたのか少々足をよろけさせるも
        倒れるまでは行かず、今度はもう一本の腕を相手に向かい振り切る -- 2013-06-01 (土) 19:04:45
      • 振り切る腕に少し遅れて続く鎖、今度は先ほどとは違い直線的に鎖に繋がれた三つの刃物が二人を襲う
        エマは抜いた石剣を構えると、飛んでくる三つの刃物のうち二つを弾くが
        取り逃した一つが頬をかする。頬は皮が一枚切れた程度だろうか、少量の血が流れるだけであったが
        その後ろで刃物が刺さった壁がまるで爆発したかのようにはじけ飛ぶ
        「……じょうだんじゃない、あんなのまともにくらったら風穴開いちゃう!」
        ならば勝て! もしくは逃げ切る隙を作らんか!」
        思わず出る泣き言を咎められながらも、相手がこちらごと自分の影を殺そうとする意思をはっきりと感じれば
        エマは石剣を構えたまま相手に向かい走り出す、石剣の長さは60cmほど、お世辞にも長いとは言えないその剣で有効な攻撃を繰り出すためには
        嫌でも相手に近づかなければならない。しかし相手もまたその接近を許すはずもなく
        よろけかけた体勢を完全に整えれば再び相手に対し直線的に鎖を放つ
        エマはまたも高速で飛んでくるそれを弾こうとするが、こちらが近づいた分だけ刃物の到着時間が早い
        エマの腕では飛んでくる刃物の一つを弾くのがやっとで、残りの刃物がしっかりとエマの胴を狙い、すぐそこまで飛んでくる
        「っ!?」
        気づいた時には切っ先は自分の皮膚を引き裂こうとしている。ここまでかと思わず目を閉じたその瞬間、激しい熱風と鉄がはじけ飛ぶような耳を劈く音がすぐそばで聞こえる
        「とり逃した分はわたくしが抑えます! エマ様は近づくことだけをお考えください!」
        いつの間にやら自分達より少々上空に飛んでいた夜草が声をあげる
        手に持ったランタンの周りには火の玉のようなものが浮かび、漂っている
        男は夜草の存在を確認すれば表情を険しくし、先ずは夜草からしとめようという魂胆か
        走ってくるエマを気にする様子もなく、両腕を空に居る夜草へと向ける -- 2013-06-01 (土) 19:15:35
      • 「なっ! 馬鹿にして!」
        まるでこちらなど注意するにも値しない存在と言わんばかりにこちらから視線を外す
        そんな男を見ればエマも流石に頭に来たのか、一気に足を踏み込ませ石剣を下段に構える
        一度柄を強く握りなおし、そのまま相手に向かい下から一気にそれを振り上げる。この距離ならば有効打には十分だ
        切れ味も石剣とはいえ、キキの魔力補正がかかっているこれは今やどんなに研いだ鉄よりも切れる
        相手にその刃がぶつかる瞬間、男はまるでそのタイミングが分かっていたかのようにくるりと後ろに一回転しながら飛び上がり、それを避ける
        紙一重の回避、それにエマが驚くまもなく、地面へと着地した男は間髪居れず空の夜草に向かい鎖を飛ばす
        しかし距離があるためか夜草が手に持ったランタンを一振りすればそれはすべて弾かれてしまい、その攻撃は誰の目にも無意味なものに見えた
        「あ……っ! しまった!」
        しかしその攻撃を防いだ夜草だけはその攻撃の意味に気がつく、弾かれた鎖は器用にうねりながら、下に居るエマに向かい落ちていくのだ
        攻撃を避けられ、少々躍起になって次の攻撃に移行しようとしたエマはそれに気がつかない
        おいエマ! 上だ!
        次に気がついたキキがとっさに声を出す、しかしそのときにはもう遅い
        うねる鎖はエマの体を捉え、男がぐいっと一度強く鎖を引けば体中に鎖が巻きつき、エマを縛り上げる -- 2013-06-01 (土) 19:23:26
      • 「あぅっ……ぐ……」
        鎖の拘束は予想以上にきつく、男が腕を動かせば鎖が肉に食い込み、骨がギシギシとしなる
        夜草はその状況から動くことが出来ず、またキキも影ゆえに何もできることはない
        男は捕らえた獲物を見下ろしつつエマへと近づく。刃物を手に持つがすぐに殺すつもりはないのか、影ではなくエマを見て口を開く
        「お前は罪を犯していない、影を差し出せばお前の命は助けてやろう」
        それを聞いたエマはドキンと一度強い鼓動に目がくらむ。影を差し出せば命は助ける
        つまりそれは自分から影を引き剥がすことが出来るという事だ、それがどういった情報かは分からないが
        今ここでその提案を承諾すれば晴れて普通の人間に戻ることが出来る
        「……わた――いーだろう! 貴様のその提案乗ってやろうではないか!
        言葉を発しようとしたその瞬間キキが大声を上げる、エマは思わず驚き影のほうを見るが
        その影はいつものように傲慢に、横暴な様子で振舞い続ける
        「ちょっと、なんでキキがそう言うこと言っちゃうの!」
        慌てて影のほうを向いて抗議する、この影はいつもこうだと言わんばかりに多少の怒りを込めた声だ
        ふんっ、貴様は私を消したくてここへ来たのだろう。ならばここで私を差し出せば私は消えて命も助かり万々歳ではないか
        「そ、それでもキキから言うことじゃないじゃん! もっと抵抗してよ!」
        ふんっ、エマも捕まり夜草も動けん状態で、影の私になにが出来ると言うのだ。命を差し出す以外で出来ることはもうなかろう
        じょうだんじゃない、うるさい言う事を聞け。すっかり目の前の男を無視した形で言い合う二人を男はじっとみつめる
        そのまま2分ほど言い合いをした後だろうか、男は痺れを切らしたのか
        「黙れ」
        と一言だけ言ってエマの喉に刃物を突きつける
        「俺はこの女に答えを聞いたんだ、影は黙っていろ。……それで、答えはどうする」
        男がエマを見て重く言い放つ、確かに影を消すのが自分の願いだった
        エマは喉に刃物の感触を感じながらじっと考える。少しして顔を挙げ、を睨み付けた -- 2013-06-01 (土) 19:45:20
      • 「い……いや……だ」
        せめて笑いながら言ってやろうと思ったのか、エマは口元を引きつらせながらそう弱々しく言う
        !? おいエマ! なんでそうなる! 早く撤回しろ!
        騒ぐ影を尻目に男は目を細める、すぐに殺してもいいが、何故そう言うのか気になったのか
        「何故、嫌だと答えた」
        と問えば、エマは引きつった顔のまま震えた声で
        「わ…わかんないけど……キキを消すのは私じゃないと駄目だと……お、おもう……から……」
        そう答える。男はそうか、とそっけなく答え、手に持った刃物に力を込め、エマの喉に刃物を突き刺した -- 2013-06-01 (土) 19:49:10
      • 喉を刺され、刃物は引き抜かれる。先ほどまで吸っていた空気が喉の穴から抜けていくのが分かる
        息苦しい、そんな声を出すことも出来ず力は抜け、その場に倒れこむ
        「エマ様!」
        上に居た夜草はその様子を見て一気に怒りをあらわにする、ランタンの火の玉は次第に大きくなり、青くなり体を取り巻き始める
        「貴様ぁ!」
        体を取り巻く火の玉のようなものを男に向かい投げつける、男は避けたがそれが地面に着弾した瞬間膨大なエネルギーが当たりに広がり、エマとキキを避けるようにしつつもそれ以外は無差別に抉り、傷つけていく
        「キキ様! ここは私が引き止めます、貴方様はエマ様を連れてできるだけ遠くへ逃げてください!」
        影と男の間に立ちふさがるようにしつつ夜草が叫ぶ。男は先ほどの衝撃のせいだろうか、頭をくらくらとさせ体が安定していない
        ……っ! 仕方あるまい、少しこの場を頼むぞ!
        その様子を見たキキは倒れるエマの下へともぐりこむと、エマの体を浮かせそのまま急いで通路へと入っていく
        夜草がそれを見届けていると、後ろからジャラリと音が聞こえる
        「お前も大人しくしていれば、見逃してやったものを」
        男が赤くドス濁った目で夜草を見る
        「あいにく主の危機を目の前にして一人生き延びるつもりはない。それにこの魔王キキの右腕夜草、貴様のような下郎に殺されるほど弱くはない」
        手に持ったランタンを離れた男に対し突き出せば、夜草の後ろには巨大な青白い火の玉が現れる
        ウィルオウィスプ、夜草に取り巻く死者の魂は今にも爆発しそうに、また夜草の感情に反応するように大きな殺意を込め始める -- 2013-06-01 (土) 20:01:35
      • 再び裏路地
        エマを乗せた影はそれなりの速度で走る、どこを走っているのかはわからない、どこに出るのかも分からない
        そんな中をただひたすらに走る。すると上から咳き込む声が聞こえる
        思わずその動きを止め、影はエマを座らせ適当な壁にもたれかからせる
        エマよ……馬鹿なことをしたものだ
        影は思わずその息も絶え絶えな存在に言ってしまう。しかしその越えには呆れた様子はなく
        むしろ自分を責めるような声だ、エマは喉から抜ける空気に息苦しそうにしながらもキキを見る
        キキは思わずそれに対し目をそらしそうになるが逆にそれが出来なかった、エマはキキを見て笑うのだ
        それはもうすぐ死んでしまうからなのか諦めなのか、もしかしたら同情ですらあるのかもしれないが今のキキにはそれを理解する事は出来ない
        だがその顔を見れば今自分がするべき事が分かるのは確かだ。短い時間ではあったが、この人間にはそれをする価値がある
        まったくもって仕方のない奴だ。仕方ない、今こそ私が貴様を選んだ理由を教えてやろう、貴様のその体をもってな
        エマがその言葉を聞いたのかは分からない、しかしそのままゆっくりと目を閉じる。キキはそのエマの体に自分の影の体を重ね合わす
        そうすればエマの周囲の地面が淡い光を放ち始めたかと思うと、キキの体は徐々に薄くなる。エマの体が目には見えないが確かになにかが流れ落ちるものをふせぎ
        やがては喉の穴も塞がっていく
        まったく……仕方のない奴だお前は
        それだけを言うと影は静かに目を閉じ完全に消える……いやエマの体へと溶け込んだ
        光は徐々に消え、しばらくの静寂。するとエマの指が小さく動く、ゆっくりと目を開ければ自分が死んでいないことに驚き、そして息が出来ることに驚く
        エマは驚いて立ち上がると、キキを呼ぼうとする……が声が出ない。喉の穴は完全に塞がれているのだが声だけが出ないのだ
        いや声だけではない、これは確信ではなくなんとなく……といった感じではあるが、たとえ声が出せてもキキはもう出てこない気がする
        夜も明け始める時間帯、日が昇り始めるのがこの裏路地からも見える
        狭い道に太陽の光が差し込む。エマはその光に眩しそうにしながらも足元を見て、その「なんとなく」が確信へと変わる
        エマの足元の影は完全に消えている、エマの影は無くなっていた -- 2013-06-01 (土) 20:23:11
      • 度々広場
        夜明けが近づく時間帯、裏の一角で大きな爆音がいくつも響き渡る
        青白い光が見えたかと思えば爆発、鎖の音が聞こえたかと思えば爆発音。まさに誰も様子を見に来ないのが不思議なぐらいに騒がしさをだしていた
        そんな音を作り出す二人のうちの一人、夜草は飛んでくる鎖を避けつつもうぃすぷを飛ばし続ける
        あの二人を逃がしてからどれぐらい経っただろうか、少なくともそこまでの長時間は経っていないはずだが、既に二人の周りは抉れた地面や壁だらけであった
        普段あまり体を動かさないのもあってか息が切れる、それに反し自分と同じほどに激しく動いていたはずの男は疲れの一つも見せないのだ
        ずれることのない男の精密な攻撃に、夜草は次第に避ける事が困難になっていく。加えてこの時間、空が白く太陽が見え始めれば
        自分はこの体を維持できなくなる、そうすればこの男からあの二人を守る存在は居なくなってしまうのだ。なんとかそうなる前に負傷ぐらいはさせなければ
        夜草は飛んできた鎖の一本を掴むと、男が飛ばした鎖を引き戻す力を利用し相手へと接近する
        近づいてしまえば鎖が飛んでくることはない、相手に近づきながらランタンにウィスプを3匹ほど忍ばせる
        相手にこれを密着させ爆破させる考えだ。しかし男はこれに対し確実に警戒するだろう、そしてそれを爆発させられたとしても自分もただではすまないだろう
        夜草は言えば決死の覚悟で男に近づくのだ、途中鎖が何本か体に突き刺さる覚悟もしていたが、不思議と男はそのまま夜草の接近を許す
        先ほどまでの戦いの動きを考えればこの接近に対処できない相手ではない、しかし今他に考える余裕も無い夜草は
        そのまま男のそばまで来れば、一気にランタンを持った右手を開いてのみぞおちに突き出し、それを爆発させる
        -- 2013-06-02 (日) 19:43:46
      • ドカン! 少し離れたところから大きな爆発が聞こえる
        その直後に音の振動が衝撃波となりびりびりと身を震わせながら体を通り過ぎていった。音のしたほうを見れば先ほどの広場だ
        よくないことか悪いことかはわからないが、決定的ななにかがあったのは確実だ
        「キキ!」
        エマは影の名前を呼ぶ、しかしいつもすぐに返事をするその声はない
        いったいどうしてしまったのだろう……エマが困惑していると、ある違和感に気がつく。そういえば自分は首を刺されて死に掛けていたはずなのに
        今は当然のように息をして、それどころか痛みひとつ無い。いったいどういう事かと刺された箇所に触れてみる
        傷の跡は触感では感じられない、どうして傷が治っているのだろう
        キキはどうしてしまったのか。すぐには理解できない状況に、エマは考えるのをやめるように首を振る
        ここで考えていても仕方が無い、せっかく逃げるチャンスを得たのだ。キキと夜草、この二人が無事なことを信じて
        エマは音のした方とは反対方向へと走り出す -- 2013-06-15 (土) 15:30:40
      • 度々々広場
        広場にもうもうと立ち込める煙、それは夜草にとって精一杯の、集められるだけ、そして出せるだけ大きなウィスプを爆破したそこは
        すでに広場と呼ぶよりも、廃墟と言ったほうが正しいほどに抉れていた。煙の中にひとつの荒い息遣い、相手に放った片腕をもう片方の手で押さえ、煙の中を見据える
        荒い息の主は夜草だ、朝の光は舞い上がった煙にさえぎられているためか、すでに消えていてもおかしくない時間帯であるにも関わらず、その体ははっきりとそこに存在している
        先ほどの攻撃で倒せただろうか、息を荒くしながらも少しも目を離さず煙の中を見つめ続けるその目は、ひとつの影を捉える
        影は煙の向こうでおぼろげながらにもただたっているだけなのがわかる。やはり死にはしないか……と夜草が呟き、それでも負傷ぐらいはしていてほしいと
        敵であるそれに対し心の中で祈る
        やがて煙が徐々に晴れていく……男の血にぬれたコートの端が見え、やがて四肢をはじめとしその全体像が見える
        夜草は相手の状態を見て驚く、そんな、まさか。そういった言葉が頭をぐるぐると回る
        相手は確かに爆撃を直に受けた、よけた様子も無いのは相手につけた手の感触でわかる。しかし、目の前にいるそれは傷ひとつ、いや服の端にすら焦げた後も無い
        無傷どころではない、まるで最初から何も無かったように、男は目の前に立つ
        男は表情をひとつも変えず、そのままゆっくりと歩き出す。それはおそらく再びあの二人を追うためだろう
        それなら夜草はその男の歩みを止めなければならない。しかし先ほどの攻撃による体力の消耗、そして煙が晴れ朝日が身を薄くし始めた今
        夜草はその男を止める手段をもう持っていなかった。男もそれがわかっているのか、横を通り過ぎた後も夜草のほうへ振り返りすらもしない
        少しも相手に傷を負わせられなかった、自分の不甲斐なさに歯を食いしばりながらも、二人が逃げ切る事を願いつつ。夜草は苦い表情のまま消えていく -- 2013-06-15 (土) 15:46:05
      • もうどれほど走っただろうか、日が昇り始めてからどこへ行くとも無く、ただあの男から逃げるために走り続ける
        どこかくれるところは無いか、いつもは騒がしい影も今は何も言わず、頼れる相手もいない。エマは走る最中ここへ来た時を思い出した
        あの時も知り合いが一人もいない見知らぬ地に来たばかりで心細かった、知り合いをひとつ作るのにも精一杯だった
        しかし今はあの時よりも孤独だ、孤独で心細く、そして不安だけが自分の内部を取り巻き、その鼓動の機能を低下させていく
        やがて走り疲れると、近くにあった噴水の端に座る。夜草は無事だろうか
        自分達を逃がすためにあの男と一人で対峙し、大きな爆発まで起きた、やはり逃げずにあそこへ行けばよかっただろうか
        だが一度喉を刺された感触を思い出すと嫌な汗が出て脚が止まる
        すでに早朝ではなく朝になっているのだろう、目の前には人が何人も行きかう
        そんな人々を見ていると、ふと考える。もし今キキが返事をしないのは一時的なことではなく、永久に消えてしまったということなら
        自分はこれからどうすればいいのだろう、ここへ来た理由は影を消すことなら、それが無くなった今、そしてこの先どうしていくのだろう
        故郷に戻る? 冒険者を続ける? それともまた別の道……どれももやもやとしたおぼろげなものばかりだ
        今はそんなことを考えている場合ではないのに、それでも久しぶりの一人という状況はその考えを加速させる
        「……とにかく、今は逃げないと」
        ゆっくりと立ち上がり、歩き出そうとするエマの耳に、その必要は無い……と言うかのように後ろで鎖の音が聞こえる
        エマはその音を聴いた瞬間に体をこわばらせる、落ち着いたはずの心臓がまた大きく、そして早く動き出す
        ゆっくり、ゆっくりと後ろを向けば、おとこは最初に見たときと変わらない無表情で、エマの視界の中にいた -- 2013-06-15 (土) 16:01:03
      • エマの目に映るそれは傷がひとつも無かった、夜草はやられてしまったのだろうか
        とっさに腰の石剣に手をかける、不思議とキキの存在を感じられないのに柄を掴む事ができた
        「……影はどこだ」
        男がしゃべる、そんなのこっちが知りたいくらいだ。しかしここで知らない、と言うのも癪なものだ
        エマは知っていても教えない、と男に吐き捨てるように言うと、男はそうか、とだけ言って両手を挙げる
        まさかここで私を殺すつもりだろうか? 今いる場所はけして一通りが少ないとは言えない。現にその異様さを感じた何人かの通行人がこちらを見ている
        だが男はそんなことなど知ったことでは無いと、あげた両手を乱暴に振り回す
        どうやらやる気らしい、こちらに向かって飛んでくる何本もの鎖を見れば石剣を抜き飛んでくる鎖の数本をはじき返す
        討ち漏らした残りの鎖も、体と足を使いよける
        体が軽い、いやそれどころか最初に比べ飛んでくる鎖が遅く見える。いったい何がどうしてそうなっているのかはわからないが
        「これならいける……かも」
        そう静かに言うと、抜いた石剣を持ち再び男へ戦意を向ける -- 2013-06-15 (土) 16:20:22
      • ―――街の一角で二人の人間が熾烈な戦いを続ける。男が飛ばした鎖が相手によけられ、地面と接触すればその度に地面が抉れ、はじけ飛ぶ
        またその男に狙われる少女が黒い柄が伸びる石でできた剣を振れば、何かに押されるような強い力が広がり野次馬の何人かを転倒させた
        もはや互いにまわりに気を使っている余裕は無い、周りの何が壊れようと、野次馬が怪我をしようとも二人は互いに互いだけを認識し続ける
        時折通報を受けた騎士や自警団などが駆けつけたが、その度に吹き飛ばされる人間が増えるだけだった
        エマは戦いが得意なほうではない、ましてや剣術などそこらの冒険者に少し毛が生えたようなものだ。おそらく人との戦い慣れしたこの男とは実力に天と地ほどの差があるだろう
        だが今はその男と戦えている、対等かどうかはわからないが、少なくとも一方的に押されていることは無い
        やがてそんな戦いにも転機が訪れる、男の放った鎖をすべて弾く事に成功したエマはすかさず相手の懐に飛び込む
        剣を横薙ぎに一気に振ると、肉を切り裂く感触とともに男の胴体の半分が切り裂かれるのが見える
        「やった……!」
        思わずエマの口から声が漏れる、しかし男は苦痛の声を上げることすらなく、それどころかエマではなく自分の足元を見る
        だが相手を切り裂いた事に必死だったエマはすぐにはそれに気づかない、男が足元を見ていること、そしてなぜ見ていたのかを気がついた時にはすでに
        男の足元、その影の中から一本の細い鎖とその先についた刃物がエマの心臓部に突き刺さった後であった -- 2013-06-15 (土) 16:29:56
      • ……っん…ん?
        (いったい何が起こったのだろう、突然視界が真っ暗になったと思ったら、今度は体がまったく動かない)
        ここ…は……?
        (それだけを言うのが精一杯だ、目を開けているのか、あけていないのかさえ今の自分には分からない) -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:03:08
      • なんじゃ、お前また死んだのか -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:04:01
      • (誰かの声が聞こえる、えらそうでふてぶてしい声。そうこれは)
        キキ……なんだキキか、今まで返事が無いから消えたと思ってたじゃん
        いるんなら早く出てきてよね、こっちは襲われて大変だったのに
        (だるい体、倒れているのか立っているのかすら分からない状態で声に返事をする) -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:05:10
      • あのなぁ……私だって出てこない理由というもんがあるんじゃよ
        まったく……せっかく生き返らしてやったというにすぐ死ぬどころか
        文句まで言ってきおってもーブツブツ
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:06:43
      • えぇ……? 何言ってるか聞こえないよ、もっと大きな声で……っ!
        (かすれて聞こえる声、もっとよく聞こうと感覚で身をよじれば胸に激しい痛みが走る)
        なにこれ…キキ、胸が痛い…… -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:09:30
      • あーあー、まったくおとなしくしておれんのか……なぁエマよ、少しでいいから私の話を聞け
        お前と私のこと……というよりも、私がなぜお前の影を食べたかの理由の話だ
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:10:31
      • んん……? なんで今その話をするのさ -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:11:05
      • いいから聞け。お前の影を選んだ理由はな、お前に魔力の素質がまったく無いからだ
        それはもう私でもびっくりするほどに、どうしようもないほど空っぽだ、まるで魔力単体で見れば空っぽの人形レベルにな
        いや、人形と言うより入れ物といったほうが適切なぐらいかもしれん
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:12:26
      • 入れ物って……失礼だな、私はこれでもちゃんとした人間なのに -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:13:51
      • もちろん生物学的にはお前は人間だ、あくまで魔力の素質の話だ
        そして入れ物といったのはまさに、私の魔力をお前の中に入れるには最適だった存在だったからだ
        ほら、空っぽなほど夢詰め込めるとか言うじゃろ
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:14:56
      • 知らないよそんなフレーズ……でも今まで何度もそれっぽい実験してても成功しなかったじゃん
        その度に私気絶とかして大変だったし…… -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:15:47
      • そうじゃな、確かに最初の計画通りであれば私一人だけでもお前の中に私の魔力を注ぎ
        お前の体は愚か心ごと乗っ取ることはできたじゃろうな……だが私…いや私と夜草はそれをしなかった
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:17:50
      • いつでも乗っ取れたの!? ちょっとそれ聞いてな……あいっ!?
        (思わず体を動かし、再び痛みに悶え)
        き、きいてない……やらなかったのも意外だったけど…… -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:19:13
      • 動くなゆうとろうに……そうじゃな、意外、意外じゃったよ。まさか復活を第一に思っていた私達が
        糧と思わなければならない相手に一種の愛着を持っていたのはな
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:20:10
      • はぁ、この痛みいつ無くなる……今なんて言った? -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:20:29
      • さて、エマよ
        お前にひとつ、頼み事をしていいか?
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:21:25
      • おいちょっと、私の質問がまだ……!?
        (抗議をしようと声を上げた瞬間、何かに両肩を強くつかまれ、思わず声が止まり) -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:22:20
      • 一方的に巻き込まれたお前には理不尽な話かも知れん……だが頼めるのはお前だけだ
        エマ
        私の代わりに、魔王となってはくれんか
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:23:45
      • (唐突なお願いをされさらに困惑する、魔王? ただの田舎の村娘に魔王?)
        ……ばかなの?(少し間をおいて出た言葉はそれだけだった -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:24:46
      • はぁー!? お前私が決意を持って魔王の座を譲ると言うとるのに
        なーんじゃその返事は! このバカタレ! 田舎者!
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:25:55
      • いきなりそんなこと言われてもはいそうですかなんて言えるわけないでしょ!?
        なにその言いたい放題、っていうか私が魔王になってなにができるっていうのって話だよ! -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:26:59
      • いいか! 今のお前は死んでおるのだ、私は今からお前を蘇生する
        しかしそうすれば私は意志を持った一つの魔力を持った人格ではなく、ただの純粋な魔力になってしまう
        なんせお前に私の力をすべて与えるわけだからな! そうなれば私の力を継ぐものはもうお前しかおらん事になるのだ
        だから私の国にいる民草どもをまとめるのはお前しかおらんのだ!
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:29:55
      • そんな無茶な! 私カリスマポイント0だよ!? せいぜいあって2だよ!?
        力だけあってもそんないきなりまとめられるわけ無いじゃん! っていうか生き返らせてキキが消えちゃうって言うなら、さっき言ってたとおり私乗っ取ればいいじゃん! -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:30:56
      • なんじゃとお前! なんでそうあっさりと乗っ取れば良いとか言うんじゃ! -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:31:30
      • そんなのキキに消えられてほしくないからに決まってるじゃん! -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:31:49
      • そんなもん私だって一緒じゃい! -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:32:28
      • え? -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:32:56
      • はっ!? ……誘導尋問だ
        (思わず勢いで出た言葉、それに後から気がつき顔を赤くすれば、表情をふにゃふにゃとさせ) -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:33:45
      • ふんっ……なら最初からそう言え。それならなおさらお前を生き返らせてやる
        そして魔王になってもらうぞ
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:35:01
      • だからなんでそうなるのさ……さっき…って言ったじゃん -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:35:20
      • おぬしなら受けてくれるという確信があるからな。そう……これが私の最後の我侭だ
        だから聞いてくれ……と、言えばおぬしは聞いてくれるという確信がな
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:36:41
      • ……一方的に巻き込んでおいて、なんかひどく重いもの背負わせようとして
        キキはずるいなぁ -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:37:24
      • それが魔王というものだ……さて、そろそろ時間も無いな
        お前を今から生き返らせる。完全に私の力を受け継ぐことになるが、不死身というわけではない。だから
        だからもう、二度と死ぬなよ
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:38:45
      • 分かった
        (そう返事をした後、胸に何かを押し当てられるような感触がする)
        (やがてそこに開いた穴から何かが入り込むような、すこし気持ちの悪い感じがしつつも、エマはそれを受け入れる)
        ……ねぇ、キキは魔王っていう立ち位置で、なにがしたかったの? -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:40:42
      • そうじゃな、昔なら私の世界を統一……と言っていたところじゃが。今の私から言うのなら
        私の国で起こっている戦争を止めてほしい、ってぐらいじゃな……ま、そこまでお前にできるかはわからんから、国としてまとめといてくれるだけでよいぞ
        -- キキ? 2013-06-15 (土) 17:42:00
      • そっか、じゃあ好きにやらせてもらう
        じゃあキキ、お休み -- エマ? 2013-06-15 (土) 17:42:59
      • 「お休み」それだけを言うと別れの言葉もなしにエマはひと時の眠りにつく
        それはエマの中では少し長いものであったが、エマの外から見れば心臓を一突きにされてからほんの短い間だ
        再び視界は開ける、そこは影から伸びる鎖でエマを突き刺した男が念のためにさらに止めを刺そうと腕を振り下ろす瞬間だった
        刃物を光らせ振り下ろされる鎖、しかしエマは心臓に刺さった鎖を抜けばそれを男に投げ、剣を持たない手を振り下ろされる鎖に向ける
        影……黒く平らなそれがエマの手の平から少し浮いたように現れると、振り下ろされる鎖を飲み込む
        男は投げ返された鎖をはじくと、影に飲まれつつある、袖から伸びる鎖を見て初めて顔をゆがめる
        心臓を突いたはずの相手の傷はふさがり、今まで使ったことの無いような行動をとり、自分の鎖をどんどん飲み込んでいく -- 2013-06-15 (土) 17:48:36



      • 夜、朝二人の人物が争っていた場所からは野次馬はすっかり消えうせ、静寂に支配されていた
        一本だけぽつんと立つ街灯が噴水を照らす
        生き返ってからの男との戦いはそう長いものではなかった。勝った……とまではいかなくとも、相手を退けることはできた
        あの男の詳しいことは結局分からなかったが、それは問題ではない。今考えるべきはこれからのことと、そしてキキとの約束だ
        そう、「今まで」と言うものはそこまで重要ではない、エマは街灯に照らされながら一人たつ
        光に照らされる彼女の体からは影は伸びていないのは、すでにキキがキキでなくなってしまっていた事を意味していた
        そろそろ来るころだろうか、エマがあたりを見回すと、ここですよ、と声が聞こえた
        月が真上に昇る時間帯、夜草、彼女が現れる時間だ。エマは夜草に今までの事を話そうとしたが
        言葉を発する前に夜草は首をゆっくりと横に振ってそれを静止する
        「少し髪の色が薄くなりましたね、キキ様は白髪でしたので仕方が無いのですが」
        あぁ、彼女は知っているのだ、キキが自分の魔力となってしまったことを。しかしその表情からは悲観的なものは感じられない
        しかしそれは自分も同じだった、不思議と寂しくは無いのだ。キキはもうしゃべらない、目の前にも出てこないのに
        寂しいと言う感情はわいてこない……エマは夜草に向こうの世界にいける手段はあるのかを聞く
        どうやらキキが体をいつ取り戻してもいいようそこは準備していたようで、戻ることは容易なようだ
        ただ、夜草がエマと共に戻る、事はできても、再びこちらの世界へはもう来られないらしい
        だがエマには最初から迷いと言うものが無い、なぜならそれが自分のはっきりとしたい事だからだ
        それは強引に他人から託されたものであるのだが、それを継ごうと決めたのは自分だ
        やがて何も無い場所に穴が開く、ここを通ればもう戻れない
        夜草はエマに最後にこの世界で何か言うことはありませんか、と聞く
        エマは少し考えて、いつもの自分ならこう言うだろうと思い、こう言った -- 2013-06-15 (土) 18:44:44
      • なんか打ち切りエンドっぽいよね -- エマ? 2013-06-15 (土) 18:44:59
      • その後エマと言う少女が向こうの世界で何を成したのかは分からない
        ただどこかに漂う物語に二つの国の魔王の話があるのかもしれないが、それはきっと、ここで語られることではないのだろう -- 2013-06-15 (土) 18:45:57

Last-modified: 2013-12-12 Thu 23:18:13 JST (3816d)