経 歴 | 人呼んで、早すぎた天才。 かつては某国の軍事部で技術士官などをしていたとのこと。 彼の提唱した技術理論は何世代も先を往く革新的なものであり、 実現すれば革命をもたらし世界を席巻できるとまで言わしめた。
だが肝心の技術、自国の知識が理論に追いつかず、 その理論は荒唐無稽なものとして一蹴された。 天才だったが為に誰にも理解されなかった男は憤慨し、 以降は祖国に見切りを付けて放浪の科学者へと転身する。
各地を渡り歩きながら自分の理論を実践できる場所を探していたが、 それを実現することは困難を極め歳月のみが過ぎていった。
夢が色褪せるまでの時間が経過しようとしていたとき、 彼の人生に転機が訪れるのであった。 それは冒険者が多く集まる街で、見たこともない機械を見たという噂。 殆どの者はそれが何であるか理解することは出来なかったが、 彼だけはそれが自分の夢、理想を叶えたものであると確信する。 燻っていた野心をくすぐられ男は噂の土地に向けて馬車へと飛び乗る。 旅の末、辿り着いたこの街で歓喜する事となった。 ここでは非常識で成立する渾然たる秩序が街を歩き、 彼が長年夢見た光景が広がっていた。 長年の放浪の間に練り上げた理論、培った技術を武器に、 彼は技術屋として順風満帆の生活を送り始めた。
それから何年か経って彼の名前は、 技術屋の間で知らぬ者がいないまでに知れ渡る。 しかし今度は理論に技術は着いてこれても 機体の性能がピーキーに偏り搭乗者に負担が掛かりすぎてしまうために 今度は自分の理論に付いてこれる搭乗者を探す事となってしまった。 早すぎた天才の、苦難の生涯はまだまだ始まったばかりなのだ。 |