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キーン コーン
カーン コーン
キーン コーン
カーン コーン
--
2019-03-07 (木) 04:51:26
んん……んっ! んん?
んー……ん?
(目が覚める、そこは見慣れない教室の中。二つのが並べられ、その一つに座っている)
(寝ていたはずの部屋はなく、ベッドに寝ころんでいたはずの体は硬い木の椅子に座っている) --
アケ
2019-03-07 (木) 04:52:58
起きたか、おはよう
(そんなアケの机の隣、二つのうちもう一つの席についた足の無い人物)
(体が半分透けているそれが目を覚ますアケを見れば、なんでもないように挨拶をする) --
星
2019-03-07 (木) 04:57:10
あれ、星ちゃんじゃん。顔合わせるの久しぶりだねぇ
……? なんで? 星ちゃんなんで居るの?
(別の世界に住む人間同士、そうそう生で会えるわけがない。だが知らぬ間に居る空間の中で、本来会うはずのない別世界の自分と顔を合わせる)
(ましてや手を伸ばせばすぐに手が届いてしまうほどの距離に居るのは、互いが接触しあってから初めての事である)
(その唐突すぎる状況に、アケの頭は追いつけないでいた) --
アケ
2019-03-07 (木) 04:59:53
あー……まぁ、それはあいつから説明されるから
たぶんもうすぐ来るとおもうけ──── --
星
2019-03-07 (木) 05:00:58
おはようございまーーーーーーーす!!!! ドン・ガバチョでございます!!!!
(教室の引き戸を盛大に開き、何やら見慣れぬ板を手で叩きながら言葉を遮るようにして現れる白衣の人物)
(躁鬱じみたズレたテンションのまま教室に入ると、二つだけ置かれた机の前にある教卓へと歩き……席に着くアケと星を見る)
……おはようございます!!!!!! --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:04:19
……? --
アケ
2019-03-07 (木) 05:04:43
………… --
星
2019-03-07 (木) 05:05:01
……あれ、おかしいな。この挨拶今こっちの世界で流行ってんだけど
知らない? あの、ほら……なんか島のあれ、知らない? 知らないみたいだね、そっか……
最近の流行りってやつ勉強したのにな……(いつまでもアホ面を晒しながら、ただ頭に?を浮かべるアケと、実に嫌そうな顔色を隠そうともしない星を見れば)
(ギリルは少し落ち込んだと用に、板を教卓へと置く)
はい、それじゃあいきなりの事で二人は混乱しているかもしれませんが……とりあえず順を追って説明しよう
その前に、なにか質問はあるかな? --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:08:21
はい! なんで星ちゃんとギリルがここに居るんですか!
あ、まって……そもそもここはどこですか!(元気よく手を上げて) --
アケ
2019-03-07 (木) 05:10:32
んーうんうん、それは今から説明するから
そのはやる気持ちは置いといてね……はい、琴浦君もなにかありませんか! --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:11:14
帰っていいですか --
星
2019-03-07 (木) 05:11:29
んー、ダメーッ!
ダメでーす、なぜなら今日は二人に復習と大事なお話があるからですね
ではまず、ここはどこなのか……と言う疑問から解いていきましょう
まず前提の知識として、僕と、アケちゃん、あと琴浦君はそれぞれ別世界の同一人物……
名前や容姿や声や生い立ちなどは違えど、あー……なんていうのかな。まぁ因果でいいか
因果関係的なもので繋がっている存在です……もっとも、アケちゃんはちょっと例外だけど --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:14:23
でッ!
僕らは今現在、とある手段を使ってリアルタイムでの文字のやり取りはしていたわけだけど
異世界間をそんな気軽に行き来できるわけないから、実際の容姿を知るまでは会っても実際会う事はなかったね
まーもっとも、すごく昔にはそういう事出来ちゃう技術もあったみたいだけど、今回はそう言ったものじゃなくて
今居るこの空間は、ある意味夢みたいなものなわけ
(そう言って後ろの黒板へと向かうと、チョークでぐりぐりと大きな丸を描き) --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:17:21
はいここでアケちゃん! 夢みたいなものと言ったけど
実際この空間は具体的にはどういった形で実現されているのでしょうか!(チョークの先でびっと指す) --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:19:40
ッ、えっ……えっと……私たちは今までそれぞれの世界にある強い共鳴力を持った力で端末を媒介にネットワークを構築して
その端末から伸びる回線を使って会話のやり取りをしてたわけだから……えっと
か、会話を貯めておくところに三人の意識を全部押し込んだ! --
アケ
2019-03-07 (木) 05:22:33
んっ! んー………んんっ、んー・・・正解ッ!
その会話データを貯めておくところってのは、こっちの世界にあるこう、四角い大きな箱なんだけど
これがまた異世界間の通信するわけだから容量少ないくせにリソースバカ食いするわ、そのくせ速度は出ないわで……いろいろ大変だったんだけど
最近はアケちゃんとこの世界の技術も色々分かってきたので。こうして三人の意識を勝手にデータ化してその大きな箱に入れてるわけだね --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:29:46
ちなみにアケちゃんの意識データは10KB 星ちゃんのデータは3KBでした --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:30:39
うそ……私の魂……軽すぎ? --
星
2019-03-07 (木) 05:31:09
まぁ琴浦君の場合はいろいろ壊れちゃってるからねー
実際今の君は破損した魂をまさに黒い糸で無理矢理接合してる状態なわけだから --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:32:22
虫唾が走りそうなんだけど --
星
2019-03-07 (木) 05:32:43
星ちゃんって微妙に報われない星の下にあるよねー --
アケ
2019-03-07 (木) 05:33:17
いっとくけどアケちゃんの10KBはちょっと引くぐらいスカスカの助なデータ量だからね --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:33:57
・・・ --
アケ
2019-03-07 (木) 05:34:05
まぁそんなわけで、僕たちはこうして一堂に会すことができたわけ
で! こっからが本題。まず皆には僕達の目的について改めて再認識してもらいます --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:35:22
それがこちら!
黒い糸について
--
ギリル
2019-03-07 (木) 05:35:52
帰っていい? --
星
2019-03-07 (木) 05:38:41
んー、出来れば我慢してー
さて、まぁ正直僕達三人の間でも目標でありながら
約一名を除いてあんまり口に出したくない言葉……というか、生き物? なんだけど
消去法でこの黒い糸については、アケちゃんに改めて説明をしてもらう事になるかな --
ギリル
2019-03-07 (木) 05:40:18
除かれた一名だもんねー、実際私である方の私にとっては何の因縁もない相手なんだけどー
確か星ちゃんとギリルの大事な人を殺しちゃったんだよね --
アケ
2019-03-07 (木) 05:42:06
そのとーり!(ケモトピア) と言うか、現在に至るまで数々の世界の僕らから
黒い糸は僕らの大事な人を理不尽に奪っていきました……それも同じ日、同じタイミングで
時には琴浦君のように別世界の僕を巻き込んで、あるいは大事な人の親類なんかも巻き込んで --
ギリル
2019-03-11 (月) 00:10:04
そいつはいつの時代から来たのかもしれず
永遠とも思える時間を数多に存在する世界の僕らにとって大事な人を殺し続けてきました --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:11:17
そんな因果のように続く一人の人物の血で染まり続けた系譜
僕らはそれを「黒い糸」と呼称するようになったのが、僕達と黒い糸の戦いの始まりでしたー……
ここまでで、質問あるかな! --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:12:37
はーい! はいはい、はいはいはーい!!!(座ったまま跳ねて手を上げる) --
アケ
2019-03-11 (月) 19:13:25
はい、アケちゃん! --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:13:41
その黒い糸と私たちの因縁はどのぐらい続いてるんですか! --
アケ
2019-03-11 (月) 19:14:19
よくぞ聞いてくれました!
僕ら複数の世界の僕達が連絡を取り合い、アケボシ連合を設立し
そして明確に黒い糸を敵として認定したのは約138年ぐらい前になるねぇ! --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:15:47
なそ
にん --
星
2019-03-11 (月) 19:16:22
そんなに時間経ってたら、戦ってるうちにお婆ちゃんになっちゃわない? --
アケ
2019-03-11 (月) 19:16:50
まぁ実際寿命で死んだ僕も居るよね
黒い糸の接触行動で殺されたのも居るし、今の連合の盟主なんてもう3代目だもん --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:17:42
……ちょっと待って、連合とか盟主って
何気に今回の会話で初めて出てきた言葉だよね。少なくとも私はギリルとアケしか、別世界の私と言う存在を知らないんだけど --
星
2019-03-11 (月) 19:18:43
そういえば私も初めて聞いたなあ! --
アケ
2019-03-11 (月) 19:19:11
うん、アケちゃんは流してくれると思ったけどやっぱ琴浦君は突っ込んでくるねぇ
そうだね、実を言うと今回僕が密接に連絡を取ってるのは僕が作らせたアケちゃんと
琴浦君の二人だけだけど、定期的に連絡を取っている別世界の僕達、アケちゃん達であり、琴浦君たちである存在が
今はー……4人かな? 生き残りが居るんだよねー --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:20:55
どうしてそれを黙ってたの? --
星
2019-03-11 (月) 19:21:36
……会わせる意味が無いから
特に今回の作戦において琴浦君の存在はー……はっきり言ってちょっと懸念材料なんだよね
そういうのもあって、特に琴浦君とは接触を避けさせてもらってるわけ(両手でピースを作り、立てた二本の指をワキワキと動かす) --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:23:35
あー! 酷いんだ、仲間外れは組織崩壊の兆しだって
なんかの、なんかの本で読んだ気がするんですけどー! --
アケ
2019-03-11 (月) 19:24:46
やだなぁ、仲間外れにはしてないよー!
僕らの目的はいつだって同じ、黒い糸を断ち切る事なんだからさぁ……ただ事を円滑にするために
一部の人材に対し秘匿を作るのも組織としての機能だよ! --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:25:45
・・・
なんとなく、秘密にされてる理由は分からなくもないけど
(椅子に座ったままうつむき) --
星
2019-03-11 (月) 19:29:34
ごめんねぇ、ただこっちもただ意地悪で秘密にしてるわけじゃ無いんだ
なんていうかさー、たぶん今回の作戦を詳しく聞いちゃったら
賛同してもらえないと思ってさー、別に人材としての有用性を加味してるわけじゃ無いよ? 自分相手だからはっきり言うと、そもそもたまたまこうして
幽霊と言う特殊な存在になる事で異世界間の壁を越えてしまった君に、何かを期待しているわけじゃ無いから --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:33:28
そんなの言われなくてもわかってる
分かってるけど、私だって大事な人を殺されて、自分まで殺されて……魂までボロボロにされて
黒い糸……あいつを潰してやりたいって気持ちは……本当に! --
星
2019-03-11 (月) 19:35:43
うん、分かってるよ
琴浦君みたいなケースは僕らにとっても初めてだし、たぶん気持ちだけじゃ今まで加盟した僕達の中でも上位だと思うよ
だからダメなんだよね --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:36:41
ッ……?
どういうこと……? --
星
2019-03-11 (月) 19:36:59
うん! 話が横にそれたね!(手をパンっと叩き、星の言葉を無視するように流して)
黒い糸は昔から居て、世界を移動しては僕らの大事な人を殺している
さて、じゃあそんな黒い糸は最初にどこから来たのかと言う話になるけど……これはまだ観測出来てないんだよねぇ
その起源がある世界を探し出す事なんてまず無理だし、そもそもその世界の僕が生きているとも限らないわけだし
だけど度重なる接触によって黒い糸はヒトが変化したものだというところまでは分かってる
自分が作り出したひろーい世界の中に閉じこもりながら、何の恨みがあるのか知らないけど世界を渡り歩いては僕らの幸せを潰して次に行ってるんだねぇ --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:45:57
はい! 質問です!(手を上げて) --
アケ
2019-03-11 (月) 19:47:57
んー! 今は質問タイムじゃないんだけどいいや! 質問許す! --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:48:52
その黒い糸の形が分かるぐらい接触したって事だけど
それって何回ぐらい接触したの? 接触した私達? は今どうしてるの? 接触した際に黒い糸を倒すことはできなかったの? --
アケ
2019-03-11 (月) 19:50:18
やめてくれないか、質問の洪水をワッと浴びせるのは
でもそうだね、一つずつ答えてしんぜよう!(腕を組んで偉そうに)
まず何回接触したのか、これはだいたいそうだねー……23回ぐらいかな
(長距離的な魔術を使っての転送だったり、その接触任務を受けた僕の世界にある乗り物で黒い糸が居るところまで行ったり……あとはこちらが観測できない技術を使った僕達も居たけど)
まぁ皆それぞれの方法で23回の接触を果たしたよね……あ、ちなみに黒い糸が現れるのは必ず空の向こう、宇宙って言う空間に出てくるんだよ
行くのたいへんなんだよねーほんと! まぁ僕は言った僕達を観測しただけで、実際には行ったことないんだけど --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:53:58
んでー、質問を一個飛ばすんだけど……黒い糸を倒せなかったのか? と言った質問なんだけど
これはね、はっきり言って今までの技術では無理でした。なぜなら今に至るまでみんな自分たちの技術だけで黒い糸に挑んだからです --
ギリル
2019-03-11 (月) 19:55:40
えっ!? それって連合組んでる意味ないじゃん! --
アケ
2019-03-11 (月) 19:56:04
そういうこと! と言いたいところなんだけど、こうして異世界間で連絡を取ってる事でも僕らにとってはすごい事なんだよ
それこそ2代目時代は三日に一度、文字での通信が出来るかどうかってぐらい不安定だったんだ
1代目の時代はもっとひどかったらしいし、そんな中で23回も接触できたのはすごい事なんだよ --
ギリル
2019-03-11 (月) 20:02:46
そいで二つ目の質問
接触した僕達は今どうしてるのって質問なんだけどー……
うん、全員死にました --
ギリル
2019-03-11 (月) 20:03:59
死んだの? 全員、ほんとに? --
星
2019-03-11 (月) 20:04:24
うん、まぁあくまで観測上での判断だけどね
黒い糸の本体が作った世界自体が攻撃性を持ってるみたいでね。最初の11回目ぐらいまでかな? そこまでは黒い糸の世界、外殻を認識した直後通信が切れたの
当時居た視覚を共有できる観測班の僕の話によれば、外殻から伸びる線のようなもので
体ごとバラバラにされたのも居るみたいだねぇ --
ギリル
2019-03-11 (月) 20:08:10
そこから11回目以降、12回目の接触で外殻との物理的接触まで行って死亡
18回目でようやく本体を包む世界の硬さを知れて
最後の23回目……ようやく僕達の技術を共有出来始めた頃に、犠牲を払って外殻をぶち破るめどが立った --
ギリル
2019-03-11 (月) 20:11:03
23人の僕達の屍の上に立つ24回目、アケちゃんを中心とした僕達にとってのラストアタックは
そういう意味ではいろいろと異質なんだよね、技術共有が開始されてからの初めてのアタック
そしてこの世界の僕達でありながら、重複する存在であるアケちゃんを使う事によっての……イレギュラー的な期待、みたいな? --
ギリル
2019-03-11 (月) 20:13:08
へー……なんだかわかんないけど大変な
大変な……まって、それって
ようは行き当たりばったり何じゃん! --
アケ
2019-03-12 (火) 01:58:15
バレたか、わはは! --
ギリル
2019-03-12 (火) 01:58:35
わははじゃないよー! そりゃ元々無理がある作戦なのは分かってたけどさ
そんなのでいいのかなあ! 流石の私も疑問を感じざるを得ないんだけど! --
アケ
2019-03-12 (火) 01:59:42
まぁ、そう言わないでよ
それについて、これから二人には大事な話をしようと思ってたからさ
だからこうして、わざわざ顔を合わせられるような空間も作ったんだよ? --
ギリル
2019-03-12 (火) 02:00:39
アケはともかく、それって私にも言う事なの?
こんな黒い糸交じりの壊れかけに --
星
2019-03-12 (火) 02:04:55
そういじけないでよ
勿論これは琴浦君、いやこの場に居ない僕達にとっても
今後どうなるか大事な事であると同時に、おそらくこれを新しく伝える相手は君達だけになるだろうね
(そう言って教卓から離れると、改めて二人が座る席の前に立ち)
さっきも言ったけど、僕らが行う24回目のアタック
僕達アケボシ連合はこの24回目がどういう結果を迎えてもラストアタックにするつもりだ
失敗しても、成功しても……はたまた、別の結果へとたどり着いたとしても --
ギリル
2019-03-12 (火) 02:08:31
僕達は長く戦いすぎた、はっきり言って僕を含め生き残った僕達に戦う気力はもう残っていない
……いや、その長い時間が大事な人を奪われた憎しみを風化させてしまったと言ってもいい
正直焦ったよ、あれほど憎んでいた相手に対し10年…20年と時間が経つほど何も感じなくなっていくことが --
ギリル
2019-03-12 (火) 02:11:20
僕達の今までの原動力は憎しみと悲しみだった
それだけで動き、仲間とも呼べるほどの別世界の同一個体を何人も殺してきたんだ。もちろん、接触作戦は志願制だった
だけど死ぬことを知って居ながら送り出したことには変わりはない
だけどただ、思いが風化しましたじゃこれまで死んでいった僕達……いや、仲間たちに示しがつかない、義理が立たない
だからこそ、だからこそ……僕達アケボシ連合と言う時代遅れな憎しみのエゴと、多くの命を犠牲にした罪の象徴としてアケちゃん
君を作り出したのさ --
ギリル
2019-03-12 (火) 02:14:51
壮大すぎる…… --
アケ
2019-03-12 (火) 02:15:19
そうだ、所詮一人の人物によって手を引かれて初めて世界を知った僕らにとって
そんな思い、始めから重すぎるし、大きすぎるものなんだよ
だけど仕方ないじゃないか、皆唯一手を取ってくれたあの人が居たからこそ今ここに居られるんだ
アケちゃんはそのまま呑気で居てくれていい、琴浦君にはその顛末を見届けて
そしてそれをどう受け止めるかを考えてほしい、それが今の時点で僕らアケボシ連合が伝えられる事です --
ギリル
2019-03-12 (火) 02:18:37
うーん……なるほど! 私には因縁も憎しみも風化もないけど
みんなが居なきゃこの世界には生まれなかったんだよねえ? だったら行けと言われれば行ってなんとかしてやるさあ!
それに私がやらなきゃ結局この世界の私が、手を引いてくれた人を失っちゃうわけだしね
今更なに聞かれたってやることは変わらない……と思うんだけど……えっと(チラッチラッと、星を見て) --
アケ
2019-03-12 (火) 02:22:43
……?
なんでこっち気にしてんの --
星
2019-03-12 (火) 02:23:20
いやぁ、だってその……星ちゃんはそれを見届けるわけじゃん? それで星ちゃんは私と違って、黒い糸に因縁や憎しみがあるんだよね?
なんていうか、満足のいく結果を出してあげられるのかなーって、思ってさ --
アケ
2019-03-12 (火) 02:24:17
はぁ〜? なんであんたがそんな事気にするのさ
確かに私はアレが憎いし、その……世界の私? に対して何もできない、しがない地縛霊で
正直それに対して思う事だってあるよ、だけど別に命張ってる相手に文句を言うつもりは無い
それに正直分からないもん、アケボシ連合だとか、そこの私とは似ても似つかない私が何年も戦って気持ちが風化してきたとか
どうせ見る事しかできないんだったら、そういうの全部ひっくるめて見た後で感想言ってやる。秘密にされてる事に対するイラつき含めてね --
星
2019-03-12 (火) 02:27:54
そっかー、でも私もその方がいいかな
その方が気楽に死ねそうだし --
アケ
2019-03-12 (火) 02:29:48
死んだら幽霊になる方法教えてやる --
星
2019-03-12 (火) 02:30:12
いいねえー! 幽霊になれば他人のプライベート覗き放題! --
アケ
2019-03-12 (火) 02:30:31
琴浦君まで呑気になってどうするんだい
まぁいいか、正直僕も真面目な事話しすぎて疲れたし……こーいうのって、いつも通りで良いんだよね…多分
僕達にはそれが足りなかったのかもしれないしさ……でもあと一つだけ
アケちゃんには伝えとかなきゃいけないんだよねー --
ギリル
2019-03-12 (火) 02:31:57
んもー、まだあるのー?
手短にしてよね! --
アケ
2019-03-12 (火) 02:32:31
うん、その24回目のアタックなんだけどね
そろそろ完成しそうなんだ、宇宙に上がるための船が
僕らのラストアタックはもうすぐだ --
ギリル
2019-03-12 (火) 02:35:47
★ --
2019-03-12 (火) 02:36:11
「僕らのラストアタックはもうすぐだ」
あの時、そんなギリルの一言で締めくくられた私たちの邂逅から数日が経った。思えばあの時、状況的にもギリルは一人で盛り上がっているようなもので
空へと上がるために作られたアケはともかく、ただ恨みだけを抱えて漂っていた私には掴みどころのない話だった
異世界の私達によって作られた組織、100年以上続く黒い糸の戦い……そもそも偶然幽霊になる前まではただの高校生だった私に
そんな映画やアニメの中で聞かされるような事が目の前にあった事実とギャップに、付いて行けなかったのだろう --
星
2019-03-13 (水) 10:31:08
「……」
相変わらず、自分の世界で自分が縛られた土地に漂いながらも、ひどい倦怠感に襲われる
ただ連絡を取り合うだけの自分を置いて、自分がこうなった原因に対する物事が遠いところで進んでいく
ギリルは異世界の大事な人を殺された側の私達が、皆異世界の自分の存在に気づく訳ではないと初めて会った時に言っていた
だったらなおさら、私がこうしてここに居る理由は何だろうか
それともこうして理由を求めてしまうのは、私が子供のままで死んでしまったからなのだろうか --
星
2019-03-13 (水) 10:38:20
私にとっての事の発端は高校に入る前、中学生三年目の時だった
あの頃、どういった原因かは分からなかったけど私は少し……家に篭りがちの生活を送っていた
別にこちらで言う不登校と言うほどではなかったが、半年後に卒業を控えるなかで
たまに学校をサボっては部屋の中で一日中空を見上げることもあった
その頃の私が何を考えていたのかなんて、細かい事はノイズがかかって思い出せない
恐らくは私が死んだときに、大きく壊れてしまったのだろう……その時の自分の事は愚か
今ではもう両親の顔さえ黒いノイズがかかって思い出せないほどだ --
2019-03-13 (水) 10:44:48
おぼろげな時期の記憶、だけどそんな中ではっきりと覚えて居るのはあの人との出会いだ
あの人……なんて呼び方をするのは少し大げさだろうか
川辺の傍らに、彼は仰向けになるようにして寝息を立てていたのだ
周囲の目も気にせずただ腹を向けてだらしない姿をさらし続けるその光景は、その時の私のツボを大きく押したようで。その姿を見てしばらく笑っていたのを覚えている
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2019-03-13 (水) 11:10:55
あの頃の私は、思い返せばあまり笑わない子だったようだ
当時はそんな事全く分からなかったが、こうして改めて思い返すと彼と出会ってからは今までの私と比べよく笑うようになったと思う
高校に入ってからはそのおかげか、それまであまり縁のなかった友達という物に恵まれはじめ
少なくとも、高校生活1年目と言うのは壊れた私の記憶の中で綺麗に、大事に保管されている --
2019-03-13 (水) 11:18:24
その頃になると、彼は私の家で暮らすようになっていた
庭先での寝泊まりで申し訳ないが、当初彼を家に置くことに対し難色を示していた両親に対する妥協案だったのだ
それでも私が毎日家を出るたびに、彼は私にまっすぐでキラキラとした目を向けてくれた
幸せだった、少なくとも今までの人生と
これからの人生の中で一番の幸せがそこにはあった --
2019-03-13 (水) 11:29:14
████████████████████
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2019-03-13 (水) 11:30:25
柔らかい毛
可愛い目
私を元気にしてくれるもの
あの時失敗したものを、彼はこっそり食べてくれた
人を笑顔にするのが上手だった
可愛かった
かっこよかった
好きだった
また会いたい --
2019-03-13 (水) 11:36:36
「████」
いつもの道、彼と一緒に歩いていたあの日
高校に入ってから二年目が経ったあの時
彼が似合わない大声を張り上げる
ニュースでやっていた周期外の皆既日食
太陽に浮かぶ黒点が徐々に広がるようにしてできたそれは、私達が……私が呑気に見ているべきものじゃなかった
それは気づけばすぐ近くに居て、彼を見下ろしていたんだ
すごく███で、なにも█いようなその█が
彼をとらえていた。まわりにはそれが見えていなかったのだろうか?
誰も気にしない、何もないようにソレの横を通り過ぎていく
私と彼だけだ、私と彼だけが██を見ていた
堕ちるなにか、広がる████、私は思わずかばうようにしていたが
彼は私の下でもう --
2019-03-13 (水) 11:42:54
私の下で彼が小さく、最期の息を吐いた後
私の体もあまりよくない状態だったようで、そのまますぐに死んでしまったのだろうか
死ぬ直前と、死んだ直後の記憶はあまりにもおぼろげで、壊されるまでもなく曖昧なものだった
ただ暗い中で浮かぶ私の体、顔、頭の中を耳鳴りのような音と一緒に何か遅いものが這いまわっていた感覚だけが残った
たぶん、これが今の私をつなぎとめる糸なんだろうと今では思う
黒い糸、ギリルやアケが言う通り、それは私の体を接合しこの世界に縛り付けている
もっと苦しめという事なのだろうか、だけどその時の糸の感覚は
どこか温かいもので……それをそう思ってしまった自分に嫌悪感が残ってしまう --
2019-03-13 (水) 11:48:47
そこから先の事はただひたすらに平坦で、苦しいだけの日々だった
時折私が立つ場所に花を供える人の事も思い出せず、彼を殺した存在だけの事を思い続け
ただ彼を守れなかった自分の無力さだけを嘆き続けていた
そのうち花も置かれなくなる頃、私は幽霊ながらに眠るようになっていた
たいしてやれる事も無いのだ、と最初は軽く考えていたが……その睡眠が私達との出会いの引き金になるとは
その時の私は夢にも思っていなかっただろう --
2019-03-13 (水) 11:56:16
「██」
思い出を読み返しながら、私は小さく彼の名を呟く
音にならないノイズが存在ごと奪われてしまった事を思い出させ、悲しみと怒りが混じりあう
私はそれを許さないし、許せないだろう。たとえ自分が無力でも
それを呪い続けることは出来る
私をこの場につなぎとめた事をいつかそれに後悔させてやろう、どれだけ時が過ぎてもいい
死人に時間はないのだから --
2019-03-13 (水) 11:59:33
<◎> --
2019-03-13 (水) 11:59:49
元々僕の活動はそれほど大きなものではなかった
ただ何気なく始めたそれはやがて大きな事象になり、自分でも驚くぐらいの功績を上げることになる
もっとも、それは最初から決められていた事だったのかもしれないけれど --
ギリル
2019-03-27 (水) 00:33:15
事の始まりは僕自身がこの世界とは別の世界の観測だった
外宇宙とも、別の星で文化的繁栄を持つ別の文明とは根本的な概念が違う
まさに別の時空、並行世界とも呼べる分厚い概念の壁に隔てられた向こう側にある世界の事だ
詳細はもうあまり覚えていないが、僕はこの異世界を初めて観測した人間としてたいそう祭り上げられた後
随分と落とされた事を覚えている --
ギリル
2019-03-27 (水) 00:36:24
その頃になると自然と人を避けるようになっていた、悪の科学者と言うか
世界の破滅を目論むラスボスと言うか……まぁ今思えば随分と荒んでいたと自分でも思うだろう
実際気まぐれに街一つを毒ガスの霧に沈めてやろうなんて、若いながらに思っていた事だってあった
だからだろうか、いわゆる僕にとっての大事な人に目をつけられてしまったのは
かつての大事な人、僕が悪なら、彼女は善だっただろう
なにせその時人を人とも思わなかったような僕を、たかが好意だけで人に戻すための手を差し出してくれていたのだから --
ギリル
2019-03-27 (水) 00:42:18
とはいえ、結局それも因果なんて口に出すだけでも笑えてしまうものに打ち消されてしまったのだ
今でいう黒い糸、案の定僕が彼女の手を取り立ち直れた後に
彼女は突然現れたそれによってあっさり死んでしまった
当時の僕は星の数以上にある世界の中で、なぜこの世界に出てきてしまったのか --
ギリル
2019-03-27 (水) 00:44:23
なんて、どこまでも自分本位な事を考えながら随分と憎んだものだ
それから数年後、黒い糸を追っているうちに別の世界の同じように大事な存在を殺された一部の僕らがそれに仕返しをしてやろうと躍起になっている事を知った
もちろん、その時の僕も復習の炎に燃えていた若枝から
大義名分だか自分本位だと開き直ってだかは覚えていないが、とにかく復習だけを胸にその道を進みはじめ
そこから何十年もかけてそれを追い続けるだけの人生を過ごしていった --
ギリル
2019-03-27 (水) 00:47:11
復習一途な人生、その時の僕も僕達もそうだっとはいえ
当時は異世界間の通信はお世辞にもまともとは言えない利便性だった
交信間隔はまるで海を隔てた大陸同士のように時間差のあるものだったし
発進したメッセージも異空間の穴が互いに上手く重なる時でないと届く事すらないほどに不安定なものだった
それでも僕達で組織が結成され、今でも存続しているのはまさに執念、妄執と言うにふさわしいだろう(もっとも、今では通信環境はかなり改善されているが) --
ギリル
2019-03-27 (水) 01:01:01
だけどそんな環境なものだから、僕らは自分の世界での生活基盤や活動拠点を自分で用意する必要があった
幸い僕の世界は変人と呼ばれるような頭のいい人たちが多くいた世界だったものだから
黒い糸なんて訳の分からない存在を信じて僕の元に集まってくれた人たちが何人か居た
そんな彼らと一緒に僕は異世界間との通信の改善や、既に別世界へと飛んでいた黒い糸の観測なんかをしながら生活をしていた
問題はここからだ、僕にとっては問題ではないのだが
僕がやり始めた事にとっては大きな問題だ --
ギリル
2019-03-27 (水) 01:05:53
はっきり言ってしまうと、僕にはもう復讐心という物は無いのだ
個性的な部下や同僚を抱えながらの日々、もちろんかつて死んでしまった大事な人は僕の心の中に今でも住み着いている
しかしあわただしい生活の中、部下の面倒を見たりしているうちに僕の中でだんだんと黒い糸に対する復讐心は薄れていった
死んだことは悲しい、しかしそれ以上にこの可愛い部下たちを書類に埋もれながら見守っていたいと思うようになってしまっていた
だけど今更手は引けないのだ、これは僕の問題だが、同時に僕だけの問題ではない
長い年月の中、処理しきれない憎しみを抱えたまま黒い糸に殺されていった僕が何人も居る
死ぬ寸前、泣き叫びながら物理的に手の届かない黒い糸に恨み言を吐きながら死んでいった僕だって居る
そんな人たちに、もうそんな気分じゃないから抜けますなんて事をどうして言えようか
彼女が殺されたのが因果であれば、この果てに何があるかも分からない泥船に手を貸し続けるのもまた運命と言うものだろう
だからだろうか、僕は僕自身をそれに縛り付けるためにただ死ぬためだけの存在と言う
人が聞けばかつてワルだった僕を見るような目で見てしまうような、そんな哀れな存在を作らせてしまっていた --
ギリル
2019-03-27 (水) 01:11:26
アケという生きた爆弾に、僕は黒い糸の破壊は最初から期待していない
彼女自身は自分の体を使いそれを壊すために生まれてきたのだと思っているが、設計上彼女の威力ではそれを破壊することは不可能だ
そもそも破壊が目的であれば彼女に自我も必要ないし、ましてや感情だって無用の長物と言ったものだ
僕は復讐心が薄れた僕達の中の個体のひとつとして、彼女には破壊とは別の結末を期待している
だけどそれによって完全な恨みの払拭は出来ないだろうし、それがなされた事で僕達の一部
特に琴浦 星のような、強い憎しみを持ち続ける個体にとっては更に残酷な結末を迎えさせることになるかもしれない
思えば僕らもまた復讐者であると同時に、新鮮な憎しみを持つ若い僕達に対しての黒い糸と同等な存在になり果ててしまっているのかもしれない
だけどどこまでも続く長い糸を断ち切るのはそれしかないというのは、枯れた復讐者たちにとっての結論になりつつある
僕らは枯れすぎた
最後の犠牲であるアケ・キラボシに同情と終止の念を込めて、せめてこれが最後になるよう祈りながら宇宙へと打ち上げるしかないのだ --
ギリル
2019-03-27 (水) 01:19:33
Last-modified: 2019-03-27 Wed 01:19:33 JST (1858d)