汚ぇ花火だ
- （ネオ・トーキョーの夜は騒がしい。煌びやかなネオンが際立つ分、視覚的にも情報過多。加えて様々な店の呼び込み音声やBGM…）
（だがそれすらも霞ませる轟音がアーケード街で響いた。今夜はとりわけ騒がしい。轟音と共に発生した大量の煙と、崩落した瓦礫を押しのけて立ち上がる人影）
「ええい、どこ行ったアイツ…出てこーい！」
（他のプレイヤー同様、バニースーツに身を包んだ女がそう叫び、手にしたレーザーライフルを乱射する。 だがその光線は、爆発による火災を検知したスプリンクラーの作動で、大いに効果を減衰されてしまう）
（一方で、その様子を他人事のようにサイバーグラス越しに観察しているバニーガール…いや、バニーボーイが一人）
（ドローンか何かからの映像なのだろう、崩落したアーケード街を俯瞰する視点の映像を見ながら…その向こう、自分の手の上にあるウサコインを見つめる）
……そろそろご対面すべきか、隠れているべきか。どーっちだ？（ピン、と親指でコインを弾き…手の甲で受け止める。表が出た） -- ユーリ
- （最近やけに勝負を挑まれる事が増えた。原因は一つ、暫定2位となったことだ 1位に挑む度胸はないが、2位ぐらいなら…という輩が腕試しも兼ねて仕掛けてくる）
（目立った近接武器も重火器も持たず、露骨なサイバネ装備も持たない。爆発物だけで戦うプレイヤーなら、勝算は幾らでもあると考える者が多いのも事実。）
（初めのうちは嬉々として勝負を受けていたのだが、流石に四六時中ともなれば辟易する。ログアウトできないのだからそのストレスは尚更で）
じゃあ、ご希望に応えて…ボクのきゃわゆーい姿を披露してあげちゃう♡（コインを弄びながら煙が晴れるタイミングを見計らって、アーケードの入り口に立つ）
「戦い方は全ッ然可愛くなかったけど…ようやく観念した？10億手にするのは、私よ！」
（レーザーライフルが使い物にならないと分かれば、速やかに背中から剣を引き抜く。剣の間合いにはやや遠いが、この女には切り札があった）
（脹脛に仕込んだ加速装置 それはこの程度の間合い、一瞬で詰める事のできる装備であり…一歩踏み出すのと同じような動作に過ぎない あとは防御の低そうな相手を切りつければ一発KOだ）
10億欲しいよね、ボクだって欲しい。だからぁ……コレで我慢して？（相手の女に向けて、先程のウサコインを1枚…弾いた）
（それが描く金色の軌道に、一瞬視線が奪われる。そして、その軌道が空中にうっすらと見える赤い何かを遮った。 レーザートリップワイヤーだ）
「なっ……！？」
（今まさに、剣を振りかぶり…加速しようとした女を軽い爆発と共に電磁波のエフェクトが包み込む。設置型EMP爆弾の電磁パルスは、加速装置をシステムダウンさせ…その機能を奪う）
どうしてこんな無防備に姿を晒したか、もうちょっと用心深ければ気づいただろうけど…ね？んふー、この勝負もーらい♡
（いわゆる、詰みの状況を作り出せていたからこそ姿を見せたのだった。…両者ともまだライフは残っているって？）
決まり手は、浮遊機雷でしたーっと！（低速ながら、バトル開始時から執拗に女を追い回していた浮遊機雷。それが今になってようやく追いつき、とどめの一撃を加える）
（爆発と共にKOの表示。そして……）…ご馳走様でした、なかなか似合ってるよ♡（脱げた相手に賞賛の言葉を送り、一礼すると去っていく。）
（これで今夜の襲撃が打ち止めであることを祈りながら…） -- ユーリ
- 誰かが描いたイメージじゃなくて 誰かが選んだステージじゃなくてー♪ と…（どかーん、と爆発を背にして）
今日のショーはおしまーい！ ログアウトもできないから配信もアップロードできないんだったねー -- ユーリ
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