HNH/0012
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- ―――学園ダンジョン第5層隠し部屋『朽ち果てた闘技場』
レア武器がドロップするものの、使いなれた武器を使い続ける生徒が多く、
普段人の立ち入らないそこは、今日に限り熱気に溢れ沸き立っていた――― --
- 第28回！！鳥魔族のど自慢グランプリもいよいよ準決勝だーーーーーー！！！ -- 司会・実況ヤタガラス?
- イェーーーーーーーーーーーーーー！！！！ --
- 改めておさらいさせていただきましょうカァー！
元々は校長にダンジョンに押し込められた鳥魔族たちのうさ晴らしとして始まった鳥たちのえんカァーーい！！！
しかし〆の合唱中トラブル発生！下手な鳴き声は黙ってろ！我こそが最上の美声！我こそが鳥の中の鳥！
最強の称号を求めた鳥たちが競い合うようになり生まれたのがこのたいカァーーーい！！
記念すべき２８（にわ）とり杯！普段は地下深くに籠っている大御所たちも急遽続々参戦！！
予選の豆早食い競争！！一回戦の鳴きまね対決！！二回戦の風船早割対決！！！
数々の難関！数々のライバルたちを押しのけ勝ち上がってきた4羽！！
超音速小豆洗いさんの超音速洗いにより生み出された！一切の雑味がない伝説の小豆は誰の手に！いや誰の口に渡るのカァーーーーー！？ -- 司会・実況ヤタガラス?
- 司会の声と共に、会場の幕から2羽の鳥がゆっくりと歩き出てくる… --
- '
赤コーナー――！！
優勝候補がやってきたァァァァ！！！！
小豆が出たからつまみに来ただけ！！！！！
コンテストになど出るまでもない！！天が私を認めてる！！！！
地の底に押し込められた今も尚！！天から一声聞こうとファンが殺到！！！美声オブ美声！！！
カリョウゥウゥゥウ！！！ビンガアァァァァアアアアア！！ -- 司会・実況ヤタガラス?
- ♪〜♪〜♪〜〜 -- 迦陵頻伽? &new{2019-02-17 (日) 22:37:36
言葉に表せないほど凄い良い声なので♪のみでお伝えする迦陵頻伽の声に、観客のボルテージはマックスになる！
バタバタと観客席の何羽かは倒れるも誰もそれには目もくれない！会場に夢中である
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青コーナーーー！！
ダークホース！いや！ダークホークが勝ち上がってきたぁ！！！
まだまだ出してもらえる気配がない私たちと比べ今年が最後の大会参加ァーー！！
1年目には学園側からの刺客と思われた彼女も2年目にはベスト８！そして今年は準決勝まで！！！
頭は無くとも声はある！！！ぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよ！！！！声も勝利も止まらない！！！
飛べない鳥も羽ばたけるゥゥーーーーー！！！
ぴよ林ィィィィィィ！！！ぴよぴよォォォーーーーーーー！！ -- 司会・実況ヤタガラス? - ぴよおぉおおぉぉおおおおおおおおお！！！！ -- ぴよ林
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＼ワァァァァァアアアアアアアアアアアアアア！！／
-- 観客?
迦陵頻伽とぴよ林の間に、バチバチと火花が飛び散り、ピリピリとした雰囲気が包んでいる…！！
観客たちもピィピィカァカァと騒ぎ立てる中、司会が準決勝のお題を隠した幕に手を描ける……
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さぁ！準決勝の内容は…これだぁああああああああああああああああああああああ！！
-- 司会・実況ヤタガラス?
【耐久！息継ぎ無し連続シャウト勝負！！】
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ルールは文字通り！！
開始の合図とともにどのような鳴き方でもいいので一定の声量で鳴き続けていただきます！！！
先に声が出なくなった方が敗者！鳴き続けられた方が勝者となります！！！！
では両選手に意気込みを聞いてみましょう！
-- 司会・実況ヤタガラス? - 『意気込み？そんなものありませんわ、ただ歌うだけですもの…
……ただ、皆さんに私の貴重な声をお届けする横でうるさい小鳥が騒ぐなんて…
…ねぇ？私の声を聴く機会の損失ですわ……何も言わずお帰りになっては？』 -- 迦陵頻伽? &new{2019-02-17 (日) 22:53:44
「ぴよぴよぴよ！！ぴよぴよぴよ！！！！」
-- ぴよ林 &new{2019-02-17 (日) 22:55:24- 2羽の言葉を最後に、会場がシンと静まり返る……
開始の合図、二人の声を聴き逃すまいと鳥たちはかたずを呑んで見守っている…
戦いの前の静けさ……それはこの後の戦いの印象をより際立たせた
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レディイィイイイイ！！！カァーーーー！！
-- 司会・実況ヤタガラス?
「ぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよ！！！」
-- ぴよ林 &new{2019-02-17 (日) 23:01:37
「カリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョカリョ！！！」
-- 迦陵頻伽? &new{2019-02-17 (日) 23:02:14
お互いの声がこちらが上だ！！いいやこちらだ！！とぶつかりあう！！
1分！！2分！！！
二羽の声が止まらない！！
つられて応援のため声を出し続ける観客たちも
一羽、二羽と血を吐いて倒れ伏していく！
-- - 止まらない止まらない止まらないィーーーーー！！
ステージにいるのは何十羽ァアアアア！？一体どこに隠れてるゥーーーーーー！？
いーや二羽！
たったの二羽の鳴き声だぁーーーーーーー！！
どうなってるんだ肺活量ーーーーーー！！ あっちょっとうるさいですカァーーーー！！！？
実況お役御免カァーーー！！？ -- 司会・実況ヤタガラス?
- 3分20秒！
3分30秒！！
3分40秒！！！
二羽の顔色はフェニックスの様に赤くなりはじめ
嗚呼！なんということか！
先にぴよ林の声がかすれ始めてくる！
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「ぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴひょっーぴょぴよぴよぴよぴよぴよぴひょ！！！！」
-- ぴよ林
喉が痛い、息が苦しい、体が熱い……
だがぴよ林は声を出し続けることをやめない！
その裏にはこのような思いがあった！
（負けられませんぴよ林…！！課題もあるしぴよ林……
それに、応援してくれたみんなのためにも！！負ける訳には……！！）
-- ぴよ林
3年のクラスメイトと、大会に赴く前にした会話が脳裏に浮かぶ………
『……何言ってんだァ？んな大会ダンジョンで見たこともねぇよ…寝ぼけてるのかぴよ林よォ、ケルベロスマジで行かねぇ気かよ？…そうか…気が向いたら来いよ……』 -- ごめんなさい1?
『それ、美声の王子様は居ますの？……鳥だけ？そうなの……はぁ、王子様……姫はここにおります……何処に居ますの…？』 -- ごめんなさい2?
『大会ね、頑張ってきてくれよ？ボクみたいな脆弱な存在がそんなところに行くなんてとてもとても…ここで君の勝利を願っているよ』 -- ごめんなさい3? -
（負けられない……！！！） -- ぴよ林
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喉から血を吐きながら、ぴよ林はここに来て最大の声量でシャウトを続ける！
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「ぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよぴよピヨォーーーーー！！！」
-- ぴよ林
「！？ かりょかりょかりょきゃりょきゃろかきゃ………ッ！！？？？」 -- 迦陵頻伽?
突然の声量の増加に驚く迦陵頻伽！
その驚きは自身の声から意識を反らし…
長時間の鳴き声に呂律が回らなくなってきた舌を…噛ませてしまうのに充分であった！
戦いの勝敗は決した…
だが、戦いが終わりを告げたのは
数秒後、酸欠にぴよ林どさりと倒れてからだった…
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ここで決着ウゥウゥウウーーーーーーーー！！！
記録は……！5分13秒！！
長い長いながぁーーーーい！！
カァーーーーっぷヌードルが伸び伸びだーーー！
まさかの大判狂わせ！ぴよ林の勝利だァアアアアーーーーーーーーーーーーー！！！
そしてぴよ林は大丈夫なのカァーーーーーー！！？
-- 司会・実況ヤタガラス?
＼ウオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ！！！！／
-- - そんな……嘘よ！
私がこの声を得るまでどれだけ研鑽を積んできたか……
こんな小娘が生まれる前からずっと練習して…！ -- 迦陵頻伽?
- あり得ない、
迦陵頻伽は首を振り、起こってしまった現実を否定しようとしている…
そこに、ゆらりと影が差す……
起き上がったぴよ林だ！まだフラフラとしている… --
- ぴ……ぴひょっ……かりょさん……強かったですよ…ぴよぴよ
ひゅー……
でも……私、あなたの声を聴いたことが無かったです……ぴよ -- ぴよ林
- ！？ -- 迦陵頻伽?
- 鳴き声は一日にしてならず……慢心して忘れていたようですね……
練習欠かさぬぴよ林……毎朝ぴよぴよぴよ林…です
ヒュー……ぴよぴよぴよ… -- ぴよ林
- ……ッ……この私が、名もなき小鳥に教えられることがあるなんてね…
…握羽しましょ…勝つのよ……あなたならきっと……小豆を…… -- 迦陵頻伽?
- ふわり、ぶちっ
お互いの羽を掴み、羽を一本抜き合う
健闘を称えた証だ…
会場には熱狂の声と感動の声が入り混じる… --
- 「カァーーーん動的な光景ですッ！！！！！！！！
互いの健闘を称え！美鳥二羽が今硬い握羽をかわしています！！！
観客たちも合唱！私も鳴カァーーー！！せていただきましょう！！！カァカァカァ！
………っとぉ！！？どうやら別部屋の準決勝第二試合も決着がついたようです！！
あの扉から出てきたのはぁーーーーー！！
-- 司会・実況ヤタガラス?
- ぴよ林、迦陵頻伽、ヤタガラス、観客 皆が皆 別会場の扉に釘付けになる！ そこからゆらりと出てきたのは、
神の使い、カラドリウス……！！
が、どさりと倒れ、
後ろから赤く輝く鳥が現れる……
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ダンジョンの鳥……低レベルデーーース………
シカモ…？決勝の相手はそんな穢れた血……？フェフェフェフェー！！！
この飲んだら不老不死になる血と比べて何と下賤！
お腹壊しチャイマーーース！！
ほらガーール！！ミーの血を飲んで喉を治しなサァーイ……
ま、これだけじゃハンデにもなりまセーン…さぁ、
虐殺の始まりデーース……
-- フェニックス?
……ぴよぉーーーーーーー！！！
-- ぴよ林 - 投げ渡された血を投げ捨て
ボロボロの喉でフェニックスに挑みかかるぴよ林！
その戦いとはいったいどうなるのか……！！
続きはBDで！！
完！！！ --
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