聖杯戦争/最終/再世の塔    企画/ゴルロア聖杯戦争/4期   NEXT→聖杯戦争/決戦/再世の塔R


- 再世の塔 ・ 三階層 -

再世の塔三層
 


編集:聖杯戦争/決戦/再世の塔3F  差分:聖杯戦争/決戦/再世の塔3F

 
お名前:
  • (己の目前。女の姿は決して傷無く、その身を欠片たりとも傷つけることなく、己が守り抜いたことを示している。)
    (けれども。その身から、命の気配は殆ど感じられなくて。今にも吹き消えそうな蝋燭の炎の様。)
    (周囲の壁を轟然と燃える燭台の群れの中。一つの命の火が、今、潰えようとしていた。)

    …あんまり、かっこ良くないだろ。だから隠してたんだ。

    (当然だ。己が奪い去ったのだ。この女の体から、その、アルム・アルムニィアという存在を構成する要素を。魔力へと変換させて、引きずり出し、欠片も残さず飲み干した。)
    (微笑んで。冗談交じりに己の口から出るのは、他愛ない言葉。けれども、己も先は、長くない。)
    (今、己が動けているのも。体の中に僅か余った魔力の残滓を、飢餓のスキルで少しずつ、少しずつ使用しているからに過ぎない。)
    (そして現在進行形で、アルムから流れ来る魔力は、断絶へと近づいている。)
    (アルムが死ねば。暫くの後、恐らく己の命も。仮初の生も、終わりの時を迎えるだろう。)
    (伸ばされようとした手を掴もうと。空の右手を、相手へと向かって差し出して。)
    (それは握られること無く。目前の女は、身を傾がせ、地へと崩れようとする。)
    (相手ヘと一歩踏み込んだ。アルムの身体が地面へと触れる前。辛うじて、正面から抱き留める。)
    (腕の中の女の身体は冷たく、力無い。死へと向かう、ひとの、からだ。)

    …アルム。知ってる。アルム・アルムニィア。

    (初めての経験ではなかった。抱きしめた人を亡くすのは。奇しくも舌触りの似た名の人を、己は過去にも一度、亡くした。)
    (ぐったりと。力なく眠るように。今、この女はその生を全うしようとしている。)
    (救いたいと願ったのだ。この細い体の女を。その為に聖杯を願ったのだ。その命を。その生を、繋ぐために。)
    (けれど己がしたことは、逆に死を呼ぶ行為。己の過去と向き合うために。ただ、己のために、全てを奪った。)
    (また、奪い、殺すのか。一度救った相手すらも、己の手で殺めるのか。)

    …アルム。アルム。

    (繰り返して名を呼ぶ。聴覚は死ぬ間際まで残ると聞いた。それが本当であればいいのにと思う。)
    (けれども。またこうして、抱きしめた姿勢のまま。何も出来ずに、見送るのか。)
    (腕の中の身体を必死に掻き抱く。死なせない。死なせたくはないのだ。)
    (許せない。それだけは、できない。許されることではない。なぜならば。そうだ。)
    (気づく。そう。失くしたものは、何一つないのだ。己のこの身は。生前から何一つ、失っていないのだ。だから。)
    (あの時の再現ではない。再び失うのではない。あの時、一度失ったから。己は今。失わないために。)

    …三つ。許して欲しい。

    (出来ることがあるのだから。) -- ヒューイ 2011-11-07 (月) 23:51:24
    • (笑おうとした。そんな事無い 格好いいですよ、と笑ったつもりだったけれど、上手く表情を作れていたかはもはや分からない)
      (耳慣れた声が時折酷く遠くなるのが怖い。指先が震えるのは、恐怖からなのか)
      (それとも、体の末端から失われていく体温のせいなのか)

      ……はい
      (名前を呼ばれる。そんな些細な事が嬉しくて)
      (まだ死ねない、と思う。彼の目の前で死んではいけない、きっと彼は気にするだろうから)
      (だから、早く自分を置いてここから離れて欲しい。私の死を見届けずに行って欲しい。)
      (大丈夫、死ぬのは慣れているから 私の死を悼まないで)

      (巡る思いとは裏腹に、指は制服の端を弱々しい力で引く。)
      (『ここにいて』そう、縋るように)

      ……許します、よ

      (頷く、頷いたつもりだったけれど、ちゃんと動いたかどうかわからない)

      ………じゃあ、私も…3つだけ、お願い…
      -- アルム 2011-11-08 (火) 00:19:09
      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075647.jpg
      • (服を引く、何かの感覚。抱きしめた女の繊手がそこを掴んでいるのだと、見ずとも解る。)
        (それに次いで、得られた許し。死へと向かう少女は、ここに至っても、まだ。)
        (己へと許しを与えるのだ。有難いと思う。申し訳なく思う。そして悲しくも思う。入り混じった曖昧な感情。)
        (腕の中。相手の首が微かに動いた。恐らくは頷き。けれど、それすらももう満足に行かないのだろう。)
        (目を瞑る。あぁ、と声を漏らす。何故か。怖いからだ。この期に及んで。これからのそれを、恐れているからだ。)
        (確信なく行う行為に。己の意思が確かに果たされるのか、解らないが故に。)
        (そこへ告げられた、相手の懇願。己に許しを与えた少女からの請願。)
        …何だ?
        (抱きしめていた腕を緩める。けれども、相手の身体を落とさぬように。)
        (相手の顔を見ることの出来る姿勢。間近で向き合う形。きっと、もう、此方の顔は、相手の目には入っていないけれど。)
        (焦点の合わない、少女の青い瞳。それを間近で見下ろして。)
        俺は、どうすればいい。
        (ゆっくりと。静かな声で、問いかける。死の空気に満ちた創世の塔。揺れる炎に囲まれて。) -- ヒューイ 2011-11-08 (火) 00:33:02

      • (1つめの願いは、最初から聞き入れてくれないだろうと解っている))

        …今からでも、遅くないから… 他のマスター見つけて…少しでも
        ……長く、生きて欲しい

        (まだ彼にはそれぐらいの時間は残されているだろう、と)
        (上に行ったマスターを追って、契約を結ぶことが出来ればその命は少しだけ長くなる)
        (もし聖杯を手に入れる事が出来れば、ひょっとすれば彼は受肉出来るかも知れない)
        (…けれど、決してこの願いは聞き入れて貰えないだろう。だから返事は待たない)

        ふたっつめ…
        …少し、寒いんです… ちょっとだけ、抱きしめてください…

        (2つ目の願いはもう叶っている。)
        (けれど、それを確認するだけの感覚が残っていない)

        みっつめ…、みっつめは…
        (小さく、左手が動く)

        …令呪において命じる…

        (もうその左手に令呪は残っていない、そのぐらいは 理解している)
        (この願いも1つめと同じ、叶わないとわかっている)

        ……ヒュー・アンソニー・ジングラ… 私のことを… 愛してください…
        ………私と一緒に、生きてください
        普通の恋人のように、デートしたり …キスしたり、それで 家族に…

        (地面を涙が濡らす)
        (3つめの願いは、叶わないと分かっていて それでも叶えたかった願い)
        (けれど叶ってしまえば彼を不幸にする願い、だから今しか言えない。こんな方法でしか、言えない)
        …ふふ…もう、令呪…ないんでしたね…忘れてました  …駄目だなあ…
        ………これで、私のおねがい おしまいです
        聞いてくれて、ありがとう
        …聞いてくれたから、貴方のする全てを した全てを 許します -- アルム 2011-11-08 (火) 00:59:16
      • (普段から血の気の薄い少女の頬は、今やもう白蝋のように見えて。)
        (色の薄れた唇から漏れた3つの願いを聞いて、すっ、と。青年は浅く、息を吸った。)
        (他愛もない願い。己が相手から奪ったものに比べれば、まるで子供の遊びのように。)
        (けれど。それを全て叶えてやることの出来ない己の力無さに。悔しくて、目を瞑る。)
        (そして、それをきっとわかっていて。それでも己に許しを与えてくれる少女へと。)
        …ありがとう。
        (感謝の言葉。)

        (一つ目の願い。己の生存を願う相手の想い。己を幸せに。聖杯にそれを望もうとした、少女の。けれど。)
        …お前を置いていくのは、無理だ。
        (思い出す。少女の前で、嘗て告げた言葉を。先程己へと少女が叫び、絆を示した言葉を。)
        …我が身を御身の剣とし道を拓き、盾として守り…旗として、威光を示そう。
        それを果たせたかは分からないけど。それでも俺は。お前の、パートナーだ。
        (己と対等になりたいと言った少女。けれど己は常に、そう思ってきた。)
        (そして今。こうして、自分のエゴの為に命の全てを注ぎ込んだ少女を捨てて、この場を去ることなんて、出来るわけがない。)

        (二つ目の願いは簡単で難しい。今、抱きしめていることに、相手は気付けないほどに意識薄く。)
        (己の細い体。それがもっと大きければ。相手の身体を、しっかりと温めてやることが出来たのだろうか。)
        …二つ目は。わかった。
        (できる限りに、身を寄せるように、抱きしめる。その背に回した腕に、掻き抱く動きに、再び強く、力を篭めて。)
        わかるか。アルム。
        (己の身に残る熱を、少しでも与えられればと。)
        (しかしそれも、与えた先から、宙へ溶けて消える。少女の命が薄れるのと共に、世界へと溶ける。)

        (そして、三つ目。)
        (戦いに挑む前。少女は、己を愛していると言った。)
        (己と共に生きたいのだと。しかしそれを諦めるのだと。)
        (少女自身の幸せではなく、己の幸せのために。それを諦めるといった。)
        (けれど、今。令呪という、もう失われた絆さえ費やして。それを求めようとする、少女の願い。)
        (死にゆく少女の願い。自我を抱いて手に入れた、切なく、歯痒いまでに切実な思い。)
        (歯を食いしばる。言葉を留める。己の口から今にも吐き出されようとする言葉を、決死の思いで。)
        (返さない。答えを返さない。三つ目の願いへは答えを返さず。)

        …一つ目。許して欲しい。これからすることを。

        (許しを乞うた。)
        (抱きしめた力を再び緩めて。腕の中の、少女の顔を見る。涙溢すその目を。)
        (そこに確かに。ヒュー・アンソニー・ジングラは、まなざしを見た。)
        (此方の顔をなぞるように。最早光見えぬ目が、己をまなざしているのを、知覚した。)
        (それを受けて。ゆっくりと。顔を下ろす。)
        (まなざしは即ち、相手が己へと向ける想い。)
        (それに気づくことは即ち、それを知覚した己の中に、アルムを見ることに他ならない。)
        (失われようとしているもの。永遠に失われたものを、今己は、そこに見ているのだ。然らばまなざしは、欠如の象徴である。)
        (ずっと昔の夏の夜。己に向けられて、最後には失われたまなざしを、今再び知覚して。)
        (いつか諦めた欲望を。他者の生を望む思いを。罪を。ここに果たす。)

        (優しく、口づけた。冷たい少女の唇へと。)

        (生涯二度目の口づけは、いつかと同じように、死の味がした。)
        (手馴れぬそれだけれど、歯が当たらなかったのは、幸運で。)
        (そして柔らかい唇を押し開くように、舌を伸ばした。)
        (舌を覆う血と唾液が、それを為す手助けをする。)
        (続いて、アルムの口内へと触れる滑らかな感触。舌ではない。球体。舌先で押して嚥下させる。)
        (球体はアルムの喉を通り、腑に落ちた時点で、感触を失った。)
        (口づけた時と同様。ゆっくりと顔を離す。)
        (互いの間に引いた、唾液と血液の赤銀糸を、舌で断って。)

        …二つ目。許して欲しい。お前の愛に答えられないことを。

        (口づけを終えて青年は、少女の思い。三つ目の願い。向けられた愛を、受け入れられぬと言葉を返した。)
        (少女が嘗て想起した通り。青年にとって少女は、護りたいと思う相手であれども。)
        (かつて失った相手を、思い出してしまうから。重ね合わせてしまうから。だから。少女の思いには、応えられなかった。)
        (愛を囁くことは、出来なかった。消える間際であるからこそ。嘘を付くことは、出来なかった。)

        (身を屈める。少女を抱きしめていた手を解く。一度地面へと下ろして。)
        (そして、その体を抱え上げた。塔を登り来た時と同様。少女の細い体を、腕の中に抱えて歩く。)
        (最後の歩み。足の向く先は、次の階層への上り階段の、下。不安定な足場が終わる場所。)
        (辿り着くまでの、短いようで長い時間。その中で、少女の体へと変化が生じる。)
        (青年は。かつて己が与えられたものを。今、少女へと譲り渡した。)

        (それは賦活する。失われゆく生を。)
        (それは作り変える。命を繋がんと、その臓腑を。)
        (それは宝玉。時と共に、代々受け継がれた意思。)
        (それは絆。奴隷小屋の中、少年と少女が交わした最後。)
        (それは命。青年が、かつての少女に。そしてアルムに与えたかった、望みの結晶。)

        (サーヴァントとして顕現したその身の中に、宝具として存在したそれは、今。少女へと譲り渡された。)
        (かつて少年の命を繋いだ風の宝玉は、死にゆく少女の命を繋ぐために。その力を、顕現する。)

        (浮遊する足場が終わる。最後の時。青年は少女をその場へと下ろし、上着を脱いで、身の上にかけた。)
        (首元に手を伸ばす。ネクタイを緩めて、笑って。)

        (宝玉を譲り渡したためだろうか。己の身が、魔力を急激な勢いで消費しているのが解る。)
        (アルムの身体から吸い尽くすのを避けるために、此方から、ラインを塞いだ。)
        (すれば、自然。身体が端々から崩壊を始める。終焉の時が訪れようとしている。)
        (指先の感覚が消えた。両の足はもう、地面を踏んではいないだろう。)
        (周囲に光の粒が見える。俺は聖杯に注がれて溶けるのだろうか。)
        (聖杯。望みを叶えるもの。幸せへ至るための道。)
        (手に入れることの出来なかった。捧げることの出来なかったもの。)
        (だけど。)

        最後の一つ。許してくれ。アルム。

        (寝かせた少女を見下ろす。その目は、此方を見てくれているだろうか。この声は聞こえているだろうか。)
        (そうだと信じる。なんたって、俺のマスターは、できた奴だから。)
        (それよりも。己は今、笑えているのだろうか。それとも。いや。きっと笑えているはずだ。)
        (このマスターのサーヴァントなんだ。最後くらい。格好つけるくらい、できてるだろう。)

        (目を閉じた。思い返す。短く、長かった聖杯戦争を。)
        (そこに在った全ての事を。目の前の少女の変わり来た様を。己がここで、手に入れたものを。)
        (次々と浮かぶ走馬灯。その果てに何を見たか。)
        (そして。)

        お前が幸せに生きることが、俺の幸せであることを。どうか、許して欲しい。

        (目を開いて。笑いかけた。)
        (それを切欠に。身体の分解が、急激に進む。)
        (青年の胸元に至るまでが光の粒へと分解されて。)

        ありがとう。そして、さよなら。アルム。

        (別れの言葉と共に、青年は、還った。) -- ヒューイ 2011-11-08 (火) 02:29:15
      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075578.jpg
      • (笑う。そんなことは知っていた、けれど彼は誤魔化すことだって出来た、口先三寸で自分を喜ばす言葉を吐くことだって出来た)
        (そのどれも選ばず、優しく突き放されたことが不思議と嬉しい)
        (ああ、そういう人だから好きになったのだと思う。そんな彼にだから生命を捧げられたのだと)

        (消えていく意識 闇に沈む思考)
        (最後にこの目が見たのが彼の姿で良かった)
        (最後にこの耳が聞いたのが彼の声で良かった)
        (最後の死が、こんなに安らかなもので良かった)
        (──ありがとう、と動きかけた唇)

        (それは、最初で最後の口付けで)
        (体内に落ちる宝玉、消えかけた灯火はそれを受けて再び勢いを取り戻す)
        (譲り受けられた生命が、停止しかけた意識を再び呼び起こす)
        (ひどいなあ…と、眉を顰めた)
        (初めての恋がこんな恋だなんて、本当に酷い)
        (叶わない上に、きっと他の誰も敵わない。ハードルを上げるだけ上げて、去っていくのかと)

        (青年を見上げる。最後の繋がりが、塞がれた)

        ……許しませんよ…

        (立ち上がろうとする しかし、先ほどまで死にかけていた体は満足に立ち上がることすら許してくれず)
        許さない、許さないんですから…っ…
        (引きずるように上半身を起こす)
        (言うことを聞かない足、ここで折れても良い 二度と使い物にならなくなっても良い)

        ヒュー・アンソニー・ジングラ…!!

        (さっきからもうずっと、涙が止まらない)
        (笑顔で消えていく彼に、苛立つ。苛立ちを糧にして立ち上がった)
        …っ…
        ……貴方は…貴方は私が認めた、本物なんですから…!!
        帰るのなら、帰るべき場所へ帰らないと、許さない…っ
        (自分の知らない、自分とは関わりのない、彼の彼だけが持つ幸せな場所へ帰らないと、許せない)
        (彼を待っている人がいる場所へきちんと帰らないと、絶対に許せない)
        ……聖杯になんか…還ったら、許さないんですから…!!
        (消えないで、と叫びたくなる自分を抑える。)
        (最後に自分が伝えるべきは、そんな言葉じゃない)

        ありがとう…ヒューイ…
        http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075579.jpg
        …さようなら…

        (笑えていただろうか、彼に最後見せるに相応しい笑顔が出来ていただろうか)
        (涙でぐしゃぐしゃになった瞳を、服の袖で拭う)
        (震える足で、一歩階段を踏みしめる。)

        (─生きよう)
        (──救われた生命だ、だから…精一杯生きよう)

        (階段でつんのめって、膝をつく。助けてくれるサーヴァントはもう居ない)
        (鼻を啜って、涙を拭って顔を上げる)
        http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075580.jpg 
        (最上階まではまだ遠い。恐らく聖杯はもう手に入らない、それでも)
        (その最後を、見届けよう)
        (この戦争の終わりが、きっと私の新しい道の始まりだから) -- アルム 2011-11-08 (火) 03:45:41

      •               http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075648.jpg 
      •  


        CHALICE WARS  ── Episode:From Dusk Till Dawn ──
        =FIN=



      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075649.jpg

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  • (己の目前。女の姿は決して傷無く、その身を欠片たりとも傷つけることなく、己が守り抜いたことを示している。)
    (けれども。その身から、命の気配は殆ど感じられなくて。今にも吹き消えそうな蝋燭の炎の様。)
    (周囲の壁を轟然と燃える燭台の群れの中。一つの命の火が、今、潰えようとしていた。)

    …あんまり、かっこ良くないだろ。だから隠してたんだ。

    (当然だ。己が奪い去ったのだ。この女の体から、その、アルム・アルムニィアという存在を構成する要素を。魔力へと変換させて、引きずり出し、欠片も残さず飲み干した。)
    (微笑んで。冗談交じりに己の口から出るのは、他愛ない言葉。けれども、己も先は、長くない。)
    (今、己が動けているのも。体の中に僅か余った魔力の残滓を、飢餓のスキルで少しずつ、少しずつ使用しているからに過ぎない。)
    (そして現在進行形で、アルムから流れ来る魔力は、断絶へと近づいている。)
    (アルムが死ねば。暫くの後、恐らく己の命も。仮初の生も、終わりの時を迎えるだろう。)
    (伸ばされようとした手を掴もうと。空の右手を、相手へと向かって差し出して。)
    (それは握られること無く。目前の女は、身を傾がせ、地へと崩れようとする。)
    (相手ヘと一歩踏み込んだ。アルムの身体が地面へと触れる前。辛うじて、正面から抱き留める。)
    (腕の中の女の身体は冷たく、力無い。死へと向かう、ひとの、からだ。)

    …アルム。知ってる。アルム・アルムニィア。

    (初めての経験ではなかった。抱きしめた人を亡くすのは。奇しくも舌触りの似た名の人を、己は過去にも一度、亡くした。)
    (ぐったりと。力なく眠るように。今、この女はその生を全うしようとしている。)
    (救いたいと願ったのだ。この細い体の女を。その為に聖杯を願ったのだ。その命を。その生を、繋ぐために。)
    (けれど己がしたことは、逆に死を呼ぶ行為。己の過去と向き合うために。ただ、己のために、全てを奪った。)
    (また、奪い、殺すのか。一度救った相手すらも、己の手で殺めるのか。)

    …アルム。アルム。

    (繰り返して名を呼ぶ。聴覚は死ぬ間際まで残ると聞いた。それが本当であればいいのにと思う。)
    (けれども。またこうして、抱きしめた姿勢のまま。何も出来ずに、見送るのか。)
    (腕の中の身体を必死に掻き抱く。死なせない。死なせたくはないのだ。)
    (許せない。それだけは、できない。許されることではない。なぜならば。そうだ。)
    (気づく。そう。失くしたものは、何一つないのだ。己のこの身は。生前から何一つ、失っていないのだ。だから。)
    (あの時の再現ではない。再び失うのではない。あの時、一度失ったから。己は今。失わないために。)

    …三つ。許して欲しい。

    (出来ることがあるのだから。) -- ヒューイ 2011-11-07 (月) 23:51:24
    • (笑おうとした。そんな事無い 格好いいですよ、と笑ったつもりだったけれど、上手く表情を作れていたかはもはや分からない)
      (耳慣れた声が時折酷く遠くなるのが怖い。指先が震えるのは、恐怖からなのか)
      (それとも、体の末端から失われていく体温のせいなのか)

      ……はい
      (名前を呼ばれる。そんな些細な事が嬉しくて)
      (まだ死ねない、と思う。彼の目の前で死んではいけない、きっと彼は気にするだろうから)
      (だから、早く自分を置いてここから離れて欲しい。私の死を見届けずに行って欲しい。)
      (大丈夫、死ぬのは慣れているから 私の死を悼まないで)

      (巡る思いとは裏腹に、指は制服の端を弱々しい力で引く。)
      (『ここにいて』そう、縋るように)

      ……許します、よ

      (頷く、頷いたつもりだったけれど、ちゃんと動いたかどうかわからない)

      ………じゃあ、私も…3つだけ、お願い…
      -- アルム 2011-11-08 (火) 00:19:09
      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075647.jpg
      • (服を引く、何かの感覚。抱きしめた女の繊手がそこを掴んでいるのだと、見ずとも解る。)
        (それに次いで、得られた許し。死へと向かう少女は、ここに至っても、まだ。)
        (己へと許しを与えるのだ。有難いと思う。申し訳なく思う。そして悲しくも思う。入り混じった曖昧な感情。)
        (腕の中。相手の首が微かに動いた。恐らくは頷き。けれど、それすらももう満足に行かないのだろう。)
        (目を瞑る。あぁ、と声を漏らす。何故か。怖いからだ。この期に及んで。これからのそれを、恐れているからだ。)
        (確信なく行う行為に。己の意思が確かに果たされるのか、解らないが故に。)
        (そこへ告げられた、相手の懇願。己に許しを与えた少女からの請願。)
        …何だ?
        (抱きしめていた腕を緩める。けれども、相手の身体を落とさぬように。)
        (相手の顔を見ることの出来る姿勢。間近で向き合う形。きっと、もう、此方の顔は、相手の目には入っていないけれど。)
        (焦点の合わない、少女の青い瞳。それを間近で見下ろして。)
        俺は、どうすればいい。
        (ゆっくりと。静かな声で、問いかける。死の空気に満ちた創世の塔。揺れる炎に囲まれて。) -- ヒューイ 2011-11-08 (火) 00:33:02

      • (1つめの願いは、最初から聞き入れてくれないだろうと解っている))

        …今からでも、遅くないから… 他のマスター見つけて…少しでも
        ……長く、生きて欲しい

        (まだ彼にはそれぐらいの時間は残されているだろう、と)
        (上に行ったマスターを追って、契約を結ぶことが出来ればその命は少しだけ長くなる)
        (もし聖杯を手に入れる事が出来れば、ひょっとすれば彼は受肉出来るかも知れない)
        (…けれど、決してこの願いは聞き入れて貰えないだろう。だから返事は待たない)

        ふたっつめ…
        …少し、寒いんです… ちょっとだけ、抱きしめてください…

        (2つ目の願いはもう叶っている。)
        (けれど、それを確認するだけの感覚が残っていない)

        みっつめ…、みっつめは…
        (小さく、左手が動く)

        …令呪において命じる…

        (もうその左手に令呪は残っていない、そのぐらいは 理解している)
        (この願いも1つめと同じ、叶わないとわかっている)

        ……ヒュー・アンソニー・ジングラ… 私のことを… 愛してください…
        ………私と一緒に、生きてください
        普通の恋人のように、デートしたり …キスしたり、それで 家族に…

        (地面を涙が濡らす)
        (3つめの願いは、叶わないと分かっていて それでも叶えたかった願い)
        (けれど叶ってしまえば彼を不幸にする願い、だから今しか言えない。こんな方法でしか、言えない)
        …ふふ…もう、令呪…ないんでしたね…忘れてました  …駄目だなあ…
        ………これで、私のおねがい おしまいです
        聞いてくれて、ありがとう
        …聞いてくれたから、貴方のする全てを した全てを 許します -- アルム 2011-11-08 (火) 00:59:16
      • (普段から血の気の薄い少女の頬は、今やもう白蝋のように見えて。)
        (色の薄れた唇から漏れた3つの願いを聞いて、すっ、と。青年は浅く、息を吸った。)
        (他愛もない願い。己が相手から奪ったものに比べれば、まるで子供の遊びのように。)
        (けれど。それを全て叶えてやることの出来ない己の力無さに。悔しくて、目を瞑る。)
        (そして、それをきっとわかっていて。それでも己に許しを与えてくれる少女へと。)
        …ありがとう。
        (感謝の言葉。)

        (一つ目の願い。己の生存を願う相手の想い。己を幸せに。聖杯にそれを望もうとした、少女の。けれど。)
        …お前を置いていくのは、無理だ。
        (思い出す。少女の前で、嘗て告げた言葉を。先程己へと少女が叫び、絆を示した言葉を。)
        …我が身を御身の剣とし道を拓き、盾として守り…旗として、威光を示そう。
        それを果たせたかは分からないけど。それでも俺は。お前の、パートナーだ。
        (己と対等になりたいと言った少女。けれど己は常に、そう思ってきた。)
        (そして今。こうして、自分のエゴの為に命の全てを注ぎ込んだ少女を捨てて、この場を去ることなんて、出来るわけがない。)

        (二つ目の願いは簡単で難しい。今、抱きしめていることに、相手は気付けないほどに意識薄く。)
        (己の細い体。それがもっと大きければ。相手の身体を、しっかりと温めてやることが出来たのだろうか。)
        …二つ目は。わかった。
        (できる限りに、身を寄せるように、抱きしめる。その背に回した腕に、掻き抱く動きに、再び強く、力を篭めて。)
        わかるか。アルム。
        (己の身に残る熱を、少しでも与えられればと。)
        (しかしそれも、与えた先から、宙へ溶けて消える。少女の命が薄れるのと共に、世界へと溶ける。)

        (そして、三つ目。)
        (戦いに挑む前。少女は、己を愛していると言った。)
        (己と共に生きたいのだと。しかしそれを諦めるのだと。)
        (少女自身の幸せではなく、己の幸せのために。それを諦めるといった。)
        (けれど、今。令呪という、もう失われた絆さえ費やして。それを求めようとする、少女の願い。)
        (死にゆく少女の願い。自我を抱いて手に入れた、切なく、歯痒いまでに切実な思い。)
        (歯を食いしばる。言葉を留める。己の口から今にも吐き出されようとする言葉を、決死の思いで。)
        (返さない。答えを返さない。三つ目の願いへは答えを返さず。)

        …一つ目。許して欲しい。これからすることを。

        (許しを乞うた。)
        (抱きしめた力を再び緩めて。腕の中の、少女の顔を見る。涙溢すその目を。)
        (そこに確かに。ヒュー・アンソニー・ジングラは、まなざしを見た。)
        (此方の顔をなぞるように。最早光見えぬ目が、己をまなざしているのを、知覚した。)
        (それを受けて。ゆっくりと。顔を下ろす。)
        (まなざしは即ち、相手が己へと向ける想い。)
        (それに気づくことは即ち、それを知覚した己の中に、アルムを見ることに他ならない。)
        (失われようとしているもの。永遠に失われたものを、今己は、そこに見ているのだ。然らばまなざしは、欠如の象徴である。)
        (ずっと昔の夏の夜。己に向けられて、最後には失われたまなざしを、今再び知覚して。)
        (いつか諦めた欲望を。他者の生を望む思いを。罪を。ここに果たす。)

        (優しく、口づけた。冷たい少女の唇へと。)

        (生涯二度目の口づけは、いつかと同じように、死の味がした。)
        (手馴れぬそれだけれど、歯が当たらなかったのは、幸運で。)
        (そして柔らかい唇を押し開くように、舌を伸ばした。)
        (舌を覆う血と唾液が、それを為す手助けをする。)
        (続いて、アルムの口内へと触れる滑らかな感触。舌ではない。球体。舌先で押して嚥下させる。)
        (球体はアルムの喉を通り、腑に落ちた時点で、感触を失った。)
        (口づけた時と同様。ゆっくりと顔を離す。)
        (互いの間に引いた、唾液と血液の赤銀糸を、舌で断って。)

        …二つ目。許して欲しい。お前の愛に答えられないことを。

        (口づけを終えて青年は、少女の思い。三つ目の願い。向けられた愛を、受け入れられぬと言葉を返した。)
        (少女が嘗て想起した通り。青年にとって少女は、護りたいと思う相手であれども。)
        (かつて失った相手を、思い出してしまうから。重ね合わせてしまうから。だから。少女の思いには、応えられなかった。)
        (愛を囁くことは、出来なかった。消える間際であるからこそ。嘘を付くことは、出来なかった。)

        (身を屈める。少女を抱きしめていた手を解く。一度地面へと下ろして。)
        (そして、その体を抱え上げた。塔を登り来た時と同様。少女の細い体を、腕の中に抱えて歩く。)
        (最後の歩み。足の向く先は、次の階層への上り階段の、下。不安定な足場が終わる場所。)
        (辿り着くまでの、短いようで長い時間。その中で、少女の体へと変化が生じる。)
        (青年は。かつて己が与えられたものを。今、少女へと譲り渡した。)

        (それは賦活する。失われゆく生を。)
        (それは作り変える。命を繋がんと、その臓腑を。)
        (それは宝玉。時と共に、代々受け継がれた意思。)
        (それは絆。奴隷小屋の中、少年と少女が交わした最後。)
        (それは命。青年が、かつての少女に。そしてアルムに与えたかった、望みの結晶。)

        (サーヴァントとして顕現したその身の中に、宝具として存在したそれは、今。少女へと譲り渡された。)
        (かつて少年の命を繋いだ風の宝玉は、死にゆく少女の命を繋ぐために。その力を、顕現する。)

        (浮遊する足場が終わる。最後の時。青年は少女をその場へと下ろし、上着を脱いで、身の上にかけた。)
        (首元に手を伸ばす。ネクタイを緩めて、笑って。)

        (宝玉を譲り渡したためだろうか。己の身が、魔力を急激な勢いで消費しているのが解る。)
        (アルムの身体から吸い尽くすのを避けるために、此方から、ラインを塞いだ。)
        (すれば、自然。身体が端々から崩壊を始める。終焉の時が訪れようとしている。)
        (指先の感覚が消えた。両の足はもう、地面を踏んではいないだろう。)
        (周囲に光の粒が見える。俺は聖杯に注がれて溶けるのだろうか。)
        (聖杯。望みを叶えるもの。幸せへ至るための道。)
        (手に入れることの出来なかった。捧げることの出来なかったもの。)
        (だけど。)

        最後の一つ。許してくれ。アルム。

        (寝かせた少女を見下ろす。その目は、此方を見てくれているだろうか。この声は聞こえているだろうか。)
        (そうだと信じる。なんたって、俺のマスターは、できた奴だから。)
        (それよりも。己は今、笑えているのだろうか。それとも。いや。きっと笑えているはずだ。)
        (このマスターのサーヴァントなんだ。最後くらい。格好つけるくらい、できてるだろう。)

        (目を閉じた。思い返す。短く、長かった聖杯戦争を。)
        (そこに在った全ての事を。目の前の少女の変わり来た様を。己がここで、手に入れたものを。)
        (次々と浮かぶ走馬灯。その果てに何を見たか。)
        (そして。)

        お前が幸せに生きることが、俺の幸せであることを。どうか、許して欲しい。

        (目を開いて。笑いかけた。)
        (それを切欠に。身体の分解が、急激に進む。)
        (青年の胸元に至るまでが光の粒へと分解されて。)

        ありがとう。そして、さよなら。アルム。

        (別れの言葉と共に、青年は、還った。) -- ヒューイ 2011-11-08 (火) 02:29:15
      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075578.jpg
      • (笑う。そんなことは知っていた、けれど彼は誤魔化すことだって出来た、口先三寸で自分を喜ばす言葉を吐くことだって出来た)
        (そのどれも選ばず、優しく突き放されたことが不思議と嬉しい)
        (ああ、そういう人だから好きになったのだと思う。そんな彼にだから生命を捧げられたのだと)

        (消えていく意識 闇に沈む思考)
        (最後にこの目が見たのが彼の姿で良かった)
        (最後にこの耳が聞いたのが彼の声で良かった)
        (最後の死が、こんなに安らかなもので良かった)
        (──ありがとう、と動きかけた唇)

        (それは、最初で最後の口付けで)
        (体内に落ちる宝玉、消えかけた灯火はそれを受けて再び勢いを取り戻す)
        (譲り受けられた生命が、停止しかけた意識を再び呼び起こす)
        (ひどいなあ…と、眉を顰めた)
        (初めての恋がこんな恋だなんて、本当に酷い)
        (叶わない上に、きっと他の誰も敵わない。ハードルを上げるだけ上げて、去っていくのかと)

        (青年を見上げる。最後の繋がりが、塞がれた)

        ……許しませんよ…

        (立ち上がろうとする しかし、先ほどまで死にかけていた体は満足に立ち上がることすら許してくれず)
        許さない、許さないんですから…っ…
        (引きずるように上半身を起こす)
        (言うことを聞かない足、ここで折れても良い 二度と使い物にならなくなっても良い)

        ヒュー・アンソニー・ジングラ…!!

        (さっきからもうずっと、涙が止まらない)
        (笑顔で消えていく彼に、苛立つ。苛立ちを糧にして立ち上がった)
        …っ…
        ……貴方は…貴方は私が認めた、本物なんですから…!!
        帰るのなら、帰るべき場所へ帰らないと、許さない…っ
        (自分の知らない、自分とは関わりのない、彼の彼だけが持つ幸せな場所へ帰らないと、許せない)
        (彼を待っている人がいる場所へきちんと帰らないと、絶対に許せない)
        ……聖杯になんか…還ったら、許さないんですから…!!
        (消えないで、と叫びたくなる自分を抑える。)
        (最後に自分が伝えるべきは、そんな言葉じゃない)

        ありがとう…ヒューイ…
        http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075579.jpg
        …さようなら…

        (笑えていただろうか、彼に最後見せるに相応しい笑顔が出来ていただろうか)
        (涙でぐしゃぐしゃになった瞳を、服の袖で拭う)
        (震える足で、一歩階段を踏みしめる。)

        (─生きよう)
        (──救われた生命だ、だから…精一杯生きよう)

        (階段でつんのめって、膝をつく。助けてくれるサーヴァントはもう居ない)
        (鼻を啜って、涙を拭って顔を上げる)
        http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075580.jpg 
        (最上階まではまだ遠い。恐らく聖杯はもう手に入らない、それでも)
        (その最後を、見届けよう)
        (この戦争の終わりが、きっと私の新しい道の始まりだから) -- アルム 2011-11-08 (火) 03:45:41

      •               http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075648.jpg 
      •  


        CHALICE WARS  ── Episode:From Dusk Till Dawn ──
        =FIN=



      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075649.jpg
  • (随分長く一緒にいたような気がする。それなのにこうして目を合わせるのは初めてで)
    (こんな時に霞む視界が煩わしくて、一度きつく目を閉じる。)
    (再び目を開けたときには視界は随分クリアで)…はい…!(頷き、左手を胸の核に翳す)
    (尾を飲み込む蛇を模した令呪は青い輝きを放って)
    Vertrag  Ein neuer Nagel(令呪に告げる  聖杯の規律に従い)
    http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075491.jpg 
    Ein neues Gesetzl  Ein neues Verbrechen―――!(この者、我がサーヴァントに  戒めの法を重ね給え)

    全力を以て、貴方の敵を 打ち倒しなさい…!!

    • (中央に残った十字、サーヴァントを縛り付ける最後の楔。迷うことはない、力を貸せと言われたのなら)
      (ウロボロスに次いで、十字が青く輝く)

      そして、勝利の為に 私から全てを奪いなさい!!
    • (長くない体、この体が産み出せる全てを捧げよう)
      (これで、全ての楔が外され、アサシンをアサシンとして縛っていた鎖は解かれた -- アルム
      • (巨人の焦りとは対照的に。アサシンである黒衣の男からは、何処か弛緩したような気配が漂う。)
        (それは諦観故だろうか。違う。勝利を確信したためか。違う。そう。それはたった一つの理由故。)
        (この男は今。己を縛り付ける軛から、解放されたのだ。)
        (歪められた過去。それを歪めていた己の心。それらが今、解け、消えた。)
        (もしかすればこの解放はただ、己の都合よく、耳触りのいい言葉を選んだだけなのかもしれない。)
        (それは正しい。結局の所、己の内側にしか、死した者への答えは存在しないのだ。そして。)
        (今、アサシンは。己の内に答えを見つけて。連なり来た過去へ向ける想いを、是正した。)

        (解き放たれた心。そして今、主の手によって。その身を縛り付けるあらゆる枷すらも、失われる。)
        (曖昧な言葉。令呪の使い方としては、決して正しいとは言えないそれを受けて、アサシンの身体に満ちるのは、魔力。)
        (かつてないほどに大量の魔力が、サーヴァントとして顕界した己の身を、埋め尽くす。)
        (勝利を請われ、その為に与えられた自由。主は命を賭して。己にそれを与えた。それならば。それを捧げずに終わることは、できない。)
        (向けた視線の先。アルムの手の甲の令呪が蒼く、その髪にも似た色で輝き、消えた。)
        (それに伴って、アルムと己の間の主従関係は解消され、己は解き放たれた。だからこそ。)
        (今、アルムとアサシンは、対等な存在となって。共に戦場に並び立つ。)
        さんきゅ、アルム。(軽い口調。アルムの耳に届いたか。そして黒衣の男は、正面を向いて。)


        (同時。かつん、と。軽い何かが、地面に落ちる音がした。)


         http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075493.jpg 


        (それは、己の顔を覆っていた仮面が、地に落ちる音。)
        (白貌の仮面。泣いているようにも、笑っているようにも見えたそれは、一度地についた後、溶けるように消える。)
        (顕になった肌が、風を感じる。腐った匂いのする、死を感じさせる風だ。)
        (けれどもそれは、己に触れると同時。何かから解放されるように穏やかに。)
        (己の周り、渦を巻くように流れ始める。)
        (今、自分はどんな表情を浮かべているのだろう。笑っているのだろうか。怒っているのだろうか。)
        (なんとなく。あの頃と同じように、むすっとした、何時もどおりの表情を浮かべているのではないかと。そう思う。)
        (正面を向いた視界に入るのは、巨人が腕を撓らせ、何かを投擲しようとした姿。)
        (それに続き、死風の中を切り裂いて飛ぶのは、切り離されたらしい腐肉。)
        (先程の糸塊と同色。いや、えぐ味のある黄色が深まっている。恐らくは、着弾と同時に爆燃するだろう。)


         http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075492.jpg 


        (身体の中に巡る魔力は、何かを訴え、叫んでいる。黒い服に抑えつけられたそれが、何かを求めている。)
        (今。あの、複製された彼らを相手取るには。この格好で臨むべきではないと。)
        (もっと相応しい格好があるはずだと。叫ぶ。己を促している。)
        (小さく笑った。接近する肉塊。間もなく己の元へと到達し、この身を破裂させる。)
        (そう。その通りだ。この、暗く、闇に紛れようとする格好では。)
        (己の類似品を。怯え、恐れていた己の類似品を葬り去り、彼らを解放することはできない。)
        (肉塊が迫る。避ける挙動は見せない。このままでは恐らく、胴体の中心へと直撃する。)
        (だから。今。己はあえて、あの頃に戻らねばならないのだ。)
        (可能性の具現であった、あの学び舎へと――!)


        (肉片が、立ち尽くしていたように見えた黒衣の男へと、着弾すると同時に爆発した。)
        (炎は天高く上がり、周囲を煙が埋める。轟音が、フロア全体へと響き渡った。)
        (細身のアサシンでは、跡形も残らなかっただろう、激しい爆発。)
        (爆心地を中心に煙が漂い、視界を遮る。爆発音が途絶えた後。訪れた静けさ。)

        (不意に、風が吹いた。穏やかに、渦を巻くように。それは巨人から吹きつける腐風を吸い込み、徐々に勢いを強くして。)
        (気づけば轟々と音を立て、まるで竜巻のように渦巻き続ける。)
        (そして最終的にそれは、破裂するように周囲へと向けて吹きつけた。)
        (吹き飛ばされる煙。曇りが晴れて、顕になったその場所に、黒衣の男の姿はない。跡形もなく、消えてしまった。)
        (代わり、そこに立つのは。)

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        ―――その場所には全てがあった。

        (かつて街に存在した学校の制服を纏った、一人の青年。手の中のレイピアは、何かを断ち終えたように構えられている。)
        (それが断ったのは、肉片だったのか。或いは豪炎だったのか。)
        (なんにせよ、結論は同じだ。)

        (今、ヒュー・アンソニー・ジングラは、巨人を打ち倒さんと、剣を構えた。)
        (戦いが始まる。)


        ステータス情報が更新されました。 -- ヒューイ 2011-11-05 (土) 03:53:17
      • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075523.jpg
  • (叩きつけられた、巨人の砲声。身を震わすそれに、煩いというように、眉を寄せた。)
    …改めて見ても、でかいな。
    (迫り来る巨人の姿。人より高い己の背丈と比べて尚、ダビデとゴリアテの如く。)
    (その身体の所々に存在する、目の潰れた人面も合わさって。その威圧感は、生物の本能として恐怖を引き起こす。けれど、退かない。)
    (体格に似合わぬ速度で接近する相手へと、その場で足を止めたまま。右手の中のレイピアを、掲げるように握った。)
    (青年は、避けるのではなく。足を止め、相手の攻撃を受けることを選んだ。)

    (一撃目の鎌は、右手に持ったレイピアで受けた。左腕をレイピアの刀身中央に当てて、振り下ろされた凶刃を食い止める。)
    (何の謂われも持たぬありふれたレイピアは、巨人の鎌を受け止めて軋みを上げる。)
    (不意に、青年の身が動いた。重荷を担ぐ奴隷のように足を踏ん張り、前傾の姿勢で剣先を左下へと下ろし、体全体を撓らせる。)
    (ぎゃりぎゃりぎゃり、と音を立てて、巨人の刃は受け流され、青年の左の地面へと突き立った。)
    (一度の致命は、技で受けた。けれどもそこで終わらない。巨人の殺意は、二撃目を以って、確かに青年の命を奪い去る。)
    (振り下ろされた右の拳が、受け流したままに身を起こせぬ青年の頭を、確かに強打した。)

    お。
    ステータス情報が更新されました。

    ごん、と。鈍い音が塔内に響く。それはまるで、巨石同士が激突したような音。人間の頭部が爆ぜ割れる音とは違う。)
    (アルムの体内から、ごっそりと魔力が奪われる。これまでには感じなかったであろう感覚。)
    (本来であれば、飢餓のスキルを持つサーヴァントが使用しきれぬであろう、大量の魔力。)
    (それは今。青年の体内で、可能性の発露へと変換される。)

    耐久:D → EX スキル:落し子の身 を習得しました。
    (かつて養成校に、不死身の少女がいた。)

    (振り下ろされた拳は、青年の頭を打撃した。それは確かにダメージを与え、青年の頭を低く、礼を示すように落とさせる。)
    (痛覚が身を襲う。全身の骨格が軋み、筋肉が引き伸ばされて悲鳴を上げる。)
    (けれども。身体が破砕されることはなかった。巨人の拳は青年の頭の上に乗ったまま。)
    (青年の両足の下、足場の地面がその衝撃を受け止めて罅割れる。)
    (両足から放射状に伸びた罅。しかし身は爆ぜず、足場は崩れない。それならば、つまり。)

    痛、いだろうがぁ!
    ステータス情報が更新されました。

    (逆襲に転じる時だ。)
    (少年は、頭を押さえつける拳を退けようと。左腕を、右上へ向けてかち上げた。)
    (拳の先から鳴る、空気の壁を突破する音。拳の向かう先は、今振り下ろされた巨人の右腕。その側面を打撃せんと、拳閃が突き進んだ。)

    筋力:C → EX スキル:槌拳を習得しました。
    (かつて養成校に、明るく前向きな少女がいた。)

    (青年の細腕に篭る、強靭な筋力。代償は、アルムの身の中の魔力。再び大量に削りとる。)
    (そして放たれた拳は、巨人の腕側面に着弾すると同時。接地面から雷光を迸らせる。)

    魔力:E → EX スキル:雷神拳を習得しました。
    (かつて養成校に、召喚を生業とする青年がいた。)

    (青年の宝具は今。アルムの内側の魔力を糧にし、この場に一つの奇跡を創り上げる。)
    (剣士科が存在し、槍術科が存在し、魔導科が、召喚科が、葬儀科が弓術科が究命科が刑吏科が存在したその場所を、具現化したような。)
    (それはまさに、可能性の宝具。その服に包まれた内側は、かの魔術の秘奥、固有結界の如く。)
    (あらゆる冒険者を育て上げる、養成校という奇跡の場を。制服を纏ったこの青年の身体に、再現する。) -- ヒューイ 2011-11-06 (日) 22:59:42
  • (もしも肉の者に感情と呼べるものがあったならば。それはおそらく笑みを浮かべたことだろう)
    (一度目は捌かれた。だが二撃目、満身の力を込めた、その質量全てを速度で倍加し殺意で研ぎ澄ました拳は確かに叩きこまれた)
    (ドゴォン!! だが、蜘蛛の巣めいた跡を残すのは足場だけ。そして続けざま響く激突音、青年の拳が巨人の腕を弾いた音!)
    (魔力を代償に振るわれた、ともすれば巨人のそれよりも圧倒的な一撃。それはまさに、暗雲を払う明朗のように雄々しく強く)
    (渦巻く可能性はなおも顕現する。次なる力は雷の力。呪文詠唱を必要としない異例の魔術さえも、今は青年の思うがままだ)
    (迸る、迸る、迸る。雷鳴が、力が、可能性が! 少女の命を魔力を燃やし、その圧倒的な本流が巨人を吹き飛ばした!)
    オオオオオオオ―――――!!(デスマスク達が吼える。右腕のそれらは黒く焼け焦げ、すでに意味をなしていない)
    (見聞きし、感じ、破り、ともに育った力を再現するその奇跡。もはや巨人は為す術なしか? 否である)
    (回転しながら吹き飛ばされた巨人は壁に激突、全身の粘性を働かせ落下を防ぐ。折れ曲がった右腕が不気味に蠢き再生)
    (だが雷撃により炭化した部分は戻らない。不要と判じたか、右腕を鞭めいてしならせ焦げた肉塊をヒューイへ投擲!)
    (さらにデスマスク達が糸と化した肉をヒューイの背後の壁に吐き出す。同時に壁を蹴り跳躍、張力を利用し青年に突撃する)
    (拳一つで駄目ならば、全身そのもので輓き潰そうという魂胆だ。足の加速と糸の張力、合わさった巨体はもはや肉の巨弾!)
    -- 2011-11-06 (日) 23:32:56
  • ( ── 奪われる、とはこういうことか )
    (今まで経験したことのない魔力の急激な消費、再び地面に座り込む。)
    (しかし、耳に届いた言葉が一瞬遠くなりかけた意識を再びこちらに繋ぎ止めた。)
    …はいっ…!
    (頷いて、核に触れる指に力を込める。)
    (体中に走ったラインは輝きを強めて、その生命力を魔力へと そして勝利を紡ぐ為の糧へ)

    http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075526.jpg 
    (顔を上げれば、そこに奇跡があった)

    ああ…
    (流れた涙で、悲しくなくても人は泣けるのだと知る)
    (あの日見た写真を思い出す。きっとあそこには彼にとって全てがあったのだ)
    (自分が見ているのはきっとそのほんの一部、一部でも こんなに素晴らしい)
    (生命を差し出すに十分な奇跡がそこに在った、この為だけに自分は産み出されたのだと言われても頷ける奇跡が)

    (足先から生命が失われていくのを感じながら、それでも恐怖は浮かばない)
    (ただ1秒でもこの奇跡を続けられるように、求められるまま それ以上に魔力を捧げるだけだ) -- アルム 2011-11-07 (月) 00:04:00
  • (吹き飛ばした巨人を追撃はしない。振り抜いた左手を戻し、頭を抑えて、表情を歪めた。)
    (目眩がし、視野がぼやける。致命の一撃を受けたのだ。ダメージ無し、という訳にはいかない。)
    (けれど、歯を食いしばって首を振って。それを振り払う。)
    (視線を敵へ向けた。己の一撃は確かにダメージを与えている。けれど、相手の巨体にとって、それはパーツの一つの破損にすぎない。)
    (切り離されて此方へと飛来するそれ。先ほどの肉片よりも遥か巨大な右腕の残骸を前に。)

    ステータス情報が更新されました。

    (頭の内側へと知識が流れこむ。あの場で。学びの場で為された全てが知識として脳の内側へと記述されていく。)
    (街の記憶を再生したサーヴァントの身の内に、記憶が、知識が埋め込まれる。)
    (脳内回路は赤熱し、血管が悲鳴を上げる。体内、溢れる魔力を通すために、回路が作り上げられる。)

    スキル:コイン魔術を習得しました
    (かつて養成校に、涙を堪える少女がいた。)

    (ポケットの内側へと差し入れた手が、宙へと放り投げた10枚のコイン。)
    (魔力によって創り上げられたそれは、サーヴァントの身の如く、確かな金属として在り、宙で三角形に並び赤く光り輝いた。)
    (かつての青年であれば、様々な意味で成し得なかったそれを、行使する。)
    必防術式、テトラキス!!
    (投げつけられた肉片は形成された力場に押し留められて静止する。そのまま爆散した火炎も威力も、此方側へは届きはしない。)
    (けれどそれも、敵の巨体によって粉砕される。)
    なッ!?
    (煙を突き抜けるように此方へと突撃する相手の身体。力場が粉砕されたと判れば、咄嗟に盾としてレイピアを翳した。)
    (回避するには時間が足りなかった。正面から、巨体の突進を受け止める。)
    (先程鎌を受けた時と同様。左腕を刀身の中央に当て、相手の力を受け流そうと身を撓らせようとして。)

    ッ!
    (瞬間。レイピアが折れた。生前からこれまで、共に戦い抜いてきたそれは、呆気無いまでに容易く。巨体の前に粉砕される。)
    (驚愕の次に身体を襲ったのは痛み。相手の身体が正面から己へと激突する。)
    (それと同時、地面を蹴る。そのまま壁との間に挟まれて、轢き潰されることだけは避けた。けれど、その巨体の威力によって、青年は弾き飛ばされて。)
    (宙を舞う。目を閉じたその姿は、恐らく失神している。そのままでは、底の抜けたこのフロアから、奈落の底へと落ちるだろう。)

    ステータス情報が更新されました。
    幸運:E → EX

    (けれども、未だ身が宙にある内に、意識は覚醒した。)
    (現状を把握する。そして咄嗟に、袖口から金属製のワイヤーが飛んだ。)
    (手馴れたスキル。かつて養成校に、仮面に素顔を隠した少女がいた。)
    (その先端、尖った分銅が浮遊する足場の一つに突き刺さる。それを引いて、なんとか足場に着地する。)
    ぐ、はっ。(咳き込めば、喉奥から血の臭い。ぜいぜいと荒く息を吐く。) -- ヒューイ 2011-11-07 (月) 00:10:06
  • (浮かび上がったのはコイン。何の変哲もない、当然巨人の肉弾を防ぐことなど出来ない十の鉄)
    (だがそれは法陣を描き、防禦の力を生み出した。その原動力は他ならぬヒューイ自身の思いである。コインはそれを描いたのだ)
    (ドンッ! 魔の壁によって阻まれた黒い肉塊は宙空で爆発、吹き上がった火炎は遮られ、その風だけが青年に味方する)
    (その渦を押しつぶして飛来した巨人そのもの! 細身のレイピアはまるで役目を終えたかのようにその質量に敗北、破砕)
    (間一髪、EXレベルにまで強化された全能力を駆使してヒューイは脱出。その直後、ドォン!! と巨人が壁に激突する衝撃)
    (平たく言えばただの突進、威力は十二分だが此方も無事では済まない。デスマスク達は潰れて腐り、巨人の五体が折れ曲がる)
    (ベキベキと音を立て再生。着地した青年もまた重傷。このまま痛み分けで戦いが終わる、そんな道理はあり得ない)
    オオオオオオオオ――――!!(三度目の咆哮! 巨人は疾駆、左手の鎌が火花を散らして足場を削る)
    (そして青年が吐血する隙を突き、下からの切り上げで胴体を両断しようと腕を振るう!)
    (だがその動きはこれまでと比べれば緩慢この上ない。奴もまた疲弊し、負傷し、なにより―――焦燥しているのだ)
    (少女の魔力はまだ尽きない。魂の力はまだ消えない。おそらく、この敵の術策もまだ―――終わりではない!)
    -- 2011-11-07 (月) 00:32:55
  • (先程にも増して、朦朧とする意識。ちかちかと、目前に白の星が明滅する。)
    (遠くから何かが捻くれるような音。巨人の再生も、青年の目眩故に視野に入らない。)
    (がくがくと足が揺れる。それを押し止めようとした所に、迫り来る巨大な気配。)
    (頬の肉を噛み千切る。強い痛み。眼の焦点が合った。視界の中には此方を切り上げようと迫る銀の鎌。)
    (迫る死。現状を把握して尚、己の頭は咄嗟の行動を導き出すに至らず。)

    ステータス情報が更新されました。

    (あらゆる物が脳裏から消え失せる。目前に迫る敵刃。己の命を刈り取る死神の鎌。)
    (緩慢になったとはいえ、未だそれは、青年の胴体を薙ぎ払うには十分な力を乗せて。)
    (確かな殺気を伴って、ただ、その場に静かに佇む青年へと繰り出される。)

    スキル:『沙羅双樹』を習得しました
    (かつて養成校に、大切なもののために剣を振るう青年がいた。)

    (殺気も、剣気もない。ただ只管に静かな動き。)
    (右手の中、握られたままであった、刀身半ばで折れたレイピア。)
    (それが、振るわれる。本来であれば修練の果てに得られるべき技を果たすために。)
    (今、それが、迸った。)
    (血の流れる音はしない。宙へと舞うのは、銀の鎌の半分。)
    (青年の手の中。レイピアの残骸は、敵の鎌を断ち切り、主の身を守った。)
    (そしてそれと引き換えるように。レイピアは、その柄に至るまで粉々に砕け散る。)
    (身は守られた。そして死を超えて手に入れた時間は、青年の意識を取り戻させる。)
    (震える足に力を篭めて、宙へと飛び上がった。着地する先は、フロアの中央。祭壇の前。)
    (荒く息を吐く。ダメージの蓄積が酷い。そして、伝わってくる。)
    (己のマスターの魔力が。即ち命が、じきに尽きようとしていることが。)
    (アルムを振り返ろうとして、やめる。その代わりに、一言告げた。)
    …終わりにしよう。
    (言葉の先は、アルムか、巨人か。)
    (空になった右の手。それを制服の内側へと差し入れて。抜き出したのは、光を反射しない黒塗りのナイフ。)
    (矛盾の魔王より得た、矛盾の塊。それを今、青年は手の中に握って。)
    (今、決戦は、終局へと突入する。) -- ヒューイ 2011-11-07 (月) 00:56:27
  • (無念無想、明鏡止水。そこに一切の邪念はなく、ただ「斬る」という目的意識だけがあり)
    (それは本来、地獄のような修練の果てにたどり着く忘我の境地。だがそれさえも、奇跡は可能性として顕現せしめた)
    (―――――斬ッ! 剣撃は死の鎌を一刀に両断した。宝具の発動も含めれば奇しくもそれは七つ目の業、使い手の名と同じ数)
    (はたして刺突剣はこんどこそ微塵に砕け、繋がれた命は消え行く命を垣間見せた。少女の命は、今燃え尽きようとしている)
    ―――――――ッ!!(巨人は攻め込まない。攻め込めないというのもある。だが攻めないのだ。巨人はそれを選択した)
    (現れたのは闇を凝り固めたかのような黒き刃、それが吸った血と涙と悲しみとはいかばかりか。あるいはそれ自体がそうなのか)
    (闇は無である、だがそこに在る。それ自体が矛盾の証左、かつて青年が人として破りし剣士の精髄そのもの)
    (終局を告げた青年の言葉。よもやそれに巨人が応じたのか? それはわからない、だが確かなことは一つ)
    (巨人もまた、ここで終止符を打つ構えだということだ。戦いは、次なる一陣で終わりを告げる)
    (静寂が流れる。屍臭と風がぶつかり、殺意と殺意がぶつかり、命と命が燃えていく)
    (燃えていく。燃えて、燃え尽きようとして―――――)

    ――――――雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄ォォォォォッッ!!(巨人が駆ける! もはや次の攻撃も回避も己の体も厭わぬ突撃!)
    (右手はもはや使い物にならず鎌も無し。ならば残された左の拳にその殺意と憾みと存在の全てを込め、振り上げられる)
    (いかなる可能性も轢き潰し、すり潰し、圧潰する死の一撃。倒せば終わり、倒れればまた終わり)
    (獲物を狩るため生み出され、獲物を狩るため戦い続けた巨人にそれ以外のものはない。これで終わり、最後に立つのははたして)

    (青年か、巨人か。過去か、現在か。不可能か、可能性か。死か、生か。刮目せよ少女、戦いは今終わりを告げる――――!)
    -- 2011-11-07 (月) 01:14:53
  • (青年の手の中。光を映さぬ漆黒のナイフが、とろりと溶けた。闇の塊。液体のような。球となって、開いた掌に揺れる。)
    (固体にして液体であり、物質にして精神性。そこに存在しているけれど、恐らく誰にも触れられない。)
    (つまりそれは矛盾。矛盾の魔王から零れ落ちた、矛盾概念の結晶体。)
    (手の中のそれを一瞥する。口元が小さく、ほんの少しだけ。笑ったような気がした。)

    なぁ、アルム。俺の名前。ヒューイっていうんだ。

    (突然、軽い口調でそう言って。そして青年は、手の中のその闇を、躊躇無く握り潰す。)
    (手の中に押し込められたそれが、溢れ出ることは無い。その代わりに。そこからは。)

    聖杯を獲らせてやれなくて、ごめん。力が足りなくて。ごめんな。

    (それは闇であった。白く、ただ白く。全てを塗りつぶす、純白の闇。輝きのように、迸って。)
    (強すぎる光は闇に似るが、そうではない。見ればそれは、なぜか闇であるとわかる。)
    (今ここに、矛盾が存在する。)
    (闇であるのに白く、触れられないのにその手の中にあり、不定形にも関わらず、今、形を得ようとしている。)
    (白い闇は、風を起こすことも無く。青年の拳の先に渦を巻く。)
    (次第に形成されるのは、一本の、それはただありふれたレイピアの形。)
    (青年は拳を開いて。白磁のように純白なレイピアの柄を、掴み取った。)

    でもさ。こいつだけは、連れて行く。

    (それは一つの答えであった。矛盾から生み出され、矛盾を内包した、一つの力であった。)
    (今、新たな宝具として顕現したそれは、矛盾した世界のルールを破砕するべく、生み出された祈りであった。)

    さぁ、やろうか。でかぶつ。速く当てたほうの勝ち。単純な勝負だろ?

    (右腕を引き、半身になって。レイピアを構える。剣先はその直線上、巨人の身を捉えて離さない。)
    (口元に浮かぶのは確かな笑み。そして。)

    ヒュー・アンソニー・ジングラ。最後の一撃だ。

    (生かすために殺す。守るために傷つける。憎むからこそ愛し、死へと向かうからこそ生を渇望する。)
    (二律背反な世界の理。何人たりとも逆らえない、固定されたルールブック。)
    (それら全てを飲み干して、それでも尚。たった一つの冴えない答えへと辿り着く。)
    (希望を求め、足掻き、そしていつか、遥か高き天へと指先を触れる。)
    (矛盾の魔王の大敵にして、彼の魔王の待ち望むもの。それはここに。今ここに。)


    (もしも矛盾に答えがあるなら。背理の二つを成り立たせるなら。)

    << 天高く在れ、我が―――

    (パラドックスを解決するのは。それは、人の――――)

     遺志よ >>
    意思(ウィル)である。)


    (手の中のレイピアで、こちらへ接近する相手を貫くように。剣先は相手へと向けて突き出された。)
    (ぼろぼろの身体から繰り出されるそれは、見るべき所もない凡庸なる一撃。)
    (剣の才などないであろうアサシン風情に相応しい、ただ相手を刺し穿つための動き。)
    (そのような一撃が相手へと届くわけもなく、況してや打倒するなど、不可能な話。)
    (けれど、不可能は可能となる。無理が叶い、道理を破砕する。そんな矛盾が、そこにあった。)
    (矛盾の答え。唯一の解答。街に刻まれた人の記憶の再生。その意志の発露。)
    (レイピアの細い剣閃は、まるで巨砲の一撃の如く。あるいは遙か天から下る薄明光線、天使の梯子の如く。)
    (相手の正中線上を貫き穿たんと、迸った。)

    (それは矛盾。巨人の拳は青年へと先に到達する。)
    (それは矛盾。細き剣閃は巨人を打倒するに不足。)
    (それは矛盾。あらゆる概念が青年を敗北へ誘う。)
    (それは矛盾。矛盾する。矛盾は何も成し得ない。)

    (しかし、見よ。矛盾に解は示された。剣閃は今、その打撃より速く巨人へと至り。)
    (それを確かに討ち果たすべく、巨人の傷口から白光を迸らせる―――――!) -- ヒューイ 2011-11-07 (月) 01:37:24
  • ヒューイ
    (目の前の青年の名前を小さく呟く。それが彼の名前、漸く知ることが出来た)
    …ヒューイ…
    (ずいぶん長く一緒にいた気がするのに、ついに今まで知らなかった彼の本当の名前)
    (違う、力が足りなかったのは…足りないのは、自分のほうだ。そう叫びたいのに 溢れる涙がつかえて声にならない)
    (視界が点滅した。何かが引き千切られるような音と、消えていく体のライン)
    (痛みは既に感じない、そんな感覚は既に死んでいる。こうして体勢を保っていられるのが不思議なぐらいこの体は死にかけている)
    (彼に捧げられる物はもう僅かで、いくらも立たない内にきっと生命の炎が燃え尽きる)
    (黒に塗りつぶされる時間のほうが多くなってきて、それでもその結末を見届けようと目は開いたまま)

    ヒューイ…!
    (叫ぶ)
    (きっとこれが、彼に捧げられる自分の最後の力)

    勝って…ヒューイ…!!
    -- アルム 2011-11-07 (月) 02:09:20
  • (敵を貫き、断ち切った姿勢。残心。結果を確認することはない。)
    (もし外れていれば、そちらを見るまでもないからであり。それ以前に、己の技が必殺であることを理解しているからである。)
    (手の中の白刃が、不意にその端から溶け始める。世界の矯正力。塗り潰される固有結界の如く、意思の刃は世界に溶ける。)
    (矛盾の魔王より得た刃は、己の手を離れていく。手に入れたものがまた一つ、失われた。)
    (けれども。それでいいのだ。もう、目的は。意思のその示す先は、達せられたのだから。)
    (己は世界を一度、打倒したのだから。)

    (だらり、と。重力に従って、伸ばしたままの右腕を垂らした。上体を伏せるような姿勢。一呼吸の後。ゆっくりと身を起こす。)
    (そしてそのまま、天を向くように。頭上。茫洋と開いた目の中に映るのは、塔の中の景色。)
    (壁面に揺れる燭台の炎。それに照らされ、先の見えぬ、逆奈落。赤と黒のコントラスト。)
    (だけど。何故かそこに、抜けるような青空を見たような。そんな気がして。)
    (目を瞑れば、一粒だけ。涙が零れた。)

    (深呼吸を一度。再び開いたその目は、確かに現実を捉える。)
    (既に、アルムからの魔力供給がほぼ零となっているのは分かっている。)
    (上向いていた姿勢を戻し、視線が周囲を彷徨う。そして、アルムの姿を捉えた。)
    (力無い。けれど確かな足取りで、青年は少女へと近寄っていく。)
    (その身は制服のままで。けれど、その内にある身は既に、元の、決して強いとは言えない青年のものへと戻っている。)
    (最早、その身を黒衣へと戻すことすら、崩壊の切欠になりそうで。)
    (足場の悪い中をゆっくりと歩いて。そして少女の目前。制服姿の青年は、立ち止まった。)
    …アルム。
    (名を呼ぶ。己のマスターであった。そして今、共に戦った、仲間の名を。) -- ヒューイ 2011-11-07 (月) 02:44:36
  • (ホムンクルスの瞳が巨人の終焉を見届ける。あり得ない奇跡をその目に捉えて、涙を流す。)
    (造られた生命、使い捨ての生命、この戦いが終われば廃棄される生命)
    (何の価値も無いと思っていた自分の生命が、この奇跡を呼ぶ糧になって)
    ……ヒューイ
    (こうして、彼をここへ呼ぶことが出来たのだ。それを、改めて考えれば心より思う)

    ──産まれてきて、良かった

    ヒューイ…
    …貴方は、そんな顔をしていたのですね
    (初めて見るその素顔、最後に知ることが出来て良かった。そう微笑んで)
    初めましてヒューイ 私は…
    (握手を求める様に差し伸べた手)
    (それは上がり切る前に、ぐらりと揺れた体に引かれて落ちた)
    http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst075541.jpg 
    (スイッチが切れたように倒れる体)
    (奇跡にせき止められていた死が追いついてきた。再度視界が黒に染まる。もう何も見えない) -- アルム 2011-11-07 (月) 23:23:26
  • 階段を上っていくと、火薬の匂いが鼻を突く。この先で何か爆発があったのかもしれない。
    ―――たどり着いた巨大な広間は、どの層よりも破損が酷かった。
    真ん中から底が抜けたように中央に大きな穴が開いている。

    壁には炎を灯した燭台が天井まで無数にあり、所々崩壊はしているものの、吹き抜ける風にも消えることなく揺らめき続けていて。
    一部残った壁と同じ石造りの床や瓦礫、中央にあった炎を灯す巨大な祭壇だったものが
    暴走した聖杯の魔力で浮き上がり、かろうじて歩ける道を作っていた。
    外で見た光と同じものが天井から、炎よりも強く眩く輝き、溢れたり消えたりを繰り返す。
    その光が浮遊物に触れると、落下したり、また上へ浮き上がったりと足場はとても悪い。
    今立っている場所もいつ光に触れて崩れるかわからない。正面遠くに見える階段まで一気に駆け抜けた方が良さそうだ。
    -- 2011-11-03 (木) 23:41:58
    • (最初に踏み出したのは、赤髪のセイバーだったのだろう)
      (この開けた、不安定な空間の中でさえ。未だ見ぬ伏兵の存在を警戒し)
      (また、自らの後から来るマスターたちのフォローの為、その目をより鋭くさせて――)
      (自身は、その目の前の従者からの目配せと手振りに頷いて、その後の道を、慎重に……かつ、迅速に踏み出す)
      ぇと……足元、注意してくださいな? 見れば、わかるコトですケド……(剣馬たちに、声を掛けつつ。一見軽やか、内心おずおずと足場を駆けて) -- 季來 2011-11-04 (金) 00:02:31
      • (2階で戦闘中のセイバーのことが気にかかる。だが、今は後ろを振り向いては居られない……振り向けば、戻り、駆けつけたくなる自分を抑えられなくなるかもしれない)
        (……今は眼前の状况を突破することを考える。隣について来ている少女を見る、サーヴァントの代わりに送り届ける、その約束をした自分。この不安定な足場と、少女を見比べる)
        ……ベルちゃん、俺は君を送り届けると約束した。だから、君が頼めば俺は手を貸す。君の足じゃ、ここは無理だろう。どうする?(先へ行くセイバーと季來の動きを眺め、傍らの少女へと問う) -- 剣馬 2011-11-04 (金) 00:06:37
      • (階段を登るにつれて強くなっていく火の匂いに思わず顔を歪める、ここでももう戦闘が行われていたのか……と思いつつ、悪臭にも足は止めない)
        ………な、何、これ……?(浮き沈みを繰り返す足場をみて、その足も止まった 他のマスターはともかく自分の運動神経・能力で向こうまでたどり着けるのだろうか……こんな時、頼れるサーヴァントはもういない事を思い出して不安が顔にありありと表れた)
        (そんな時にかけられた声、どうせ自分一人では行けないのならこの人に頼るのがいいと思う 今までの交流で少し信頼し始めてもいた)あ、あの……お願い、します……(自分でも悠長な気はしたが深く頭を下げた、助けてくれる事への感謝なのか利用する事への謝罪なのかは自分でも良くは分からない) -- ベル 2011-11-04 (金) 00:10:54
      • オーケー!承知仕った!!確り掴まってろよ、振り落としはしねえが、こうも足場が不安定だとな……さすがに安全運転は出来そうにない。
        つーわけだ、乗りな(しゃがみ、ベルを、背中へと誘導し、落とさないよう確りと背負い、掴まっているのを確認すると)
        んじゃ……せぇーーのッ!!(一気に駈け出した!途中、不安定な浮遊物さえ蹴り進み、速度重視で突き進む!!) -- 剣馬 2011-11-04 (金) 00:21:57
      • (残りサーヴァントは二人、赤毛のセイバーと黒衣のアサシンのみ)
        (ここに至る道を身を呈して切り開いたサーヴァントと、そのマスター達の事を思えばとても弱音は吐けず)
        …アサシン、ここで敵が来た場合マスター季來のセイバーだけでは攻撃を防ぎ切れないでしょう
        私は大丈夫ですから、今はサーヴァントが居ない二人のことを優先して考えて下さい
        (ベルを背負う剣馬に目をやり、不安定な足場を歩き出す)
        (正直に言えば、あまり傍にいて欲しくなかった。先ほどの防衛で魔力を消費したせいか、多少なりとも体力を消耗したせいか)
        (だいぶ、体にガタが来ている。それを、触れられれば察せられそうな気がした。) -- アルム 2011-11-04 (金) 00:26:12
      • は、はい……(きゅっと肩を掴んで備えるが)わっ、きゃっ、ひゃあああ!?(背負われたまま自力では走れない高速で走られて悲鳴を上げる、掴んでいた手も首元に抱きつくように組み替えて) -- ベル 2011-11-04 (金) 00:27:08
      • (後ろから、少女の悲鳴。そんな少女を背負い、猛然と走る男の姿がそこにはあった)
        ……大丈夫かなぁ……(緊張が切れたわけではない。けれども、ここにきて少し調子が狂うような、そんな表情で……) -- 季來 2011-11-04 (金) 00:30:55
      • (周囲を揺れる燭台の群れと天から降る光が、この階層の影を揺らめかせ、遠近感すら薄れる。)
        (上下し続ける足場を見れば、恐らく己のマスターでは進むことも危ういと思えて。)
        (横手を見れば、ベルが剣馬に抱え上げられているのが見える。一階層同様、アルムを抱きかかえて移動するのが最善だろう。)
        (しかし下された命は異なるもの。恐らくは寄っても避けられる。足を踏み外しても、助けることは可能なはずだと判断すれば。)…分かった。
        (返事を返して、己も足を進め始める。足場の揺れを気にする様子なく進む。務めるのは殿。) -- 黒衣 2011-11-04 (金) 00:33:56
      • 不意に、壁蜀台の炎達が音を立てて膨れ上がり、消えそうなほどに小さくなる。
        天井からの眩い光も、吸い込まれるように小さくなって…中央の祭壇は暗闇に包まれた。
        このまま動けば道から足を踏み外して落ちてしまうかもしれない。 風すらも止まって。耳の痛くなるような沈黙―――

        ―――「何か」来る。そんな予感。
        -- 2011-11-04 (金) 00:35:38
      • 大丈夫か、ベルちゃん……、兎も角、気をつけな……。どうやら、ここもタダじゃ進ませてくれなさそうだぜ……(見た目とは裏腹に。ふわりとした挙動で比較的安定性がある足場に着地し、背中のベルを背負い直す。そして、不穏な空気が空間を支配して居ることを伝える)
        ……流石にこれ以上、仲間を減らすわけにはいかねえ……(不安定な足場、光の消えた世界、そして、更に迫り来るであろう敵。進むも戻るも危険しか無い。)
        (ならば、進むのみ……。だが、今は、相手の出方を見る……、確実な一歩を踏み出すために) -- 剣馬 2011-11-04 (金) 00:42:36
      • (赤髪のセイバーは、灯りが完全に失われる前に、後続に注意するように手振りを見せ。ぞわりと、臨戦の気配を漂わせる…)
        セイバーさん……? ぅ……、こんなコトなら、明るくてもランタン準備しておけば…… (ぱらり、と破片が足場からこぼれ落ちる音…。否応に、足は竦み…) -- 季来 2011-11-04 (金) 00:44:48
      • だ、大丈夫、です……でも、暗い、ですね……(ポケットから一枚のコインを取り出し、軽く念を込めてから軽く放り投げる)雲の盾、輝く、栄光、永遠に、氷を、破壊する者よ……来たれ……
        (宙に浮いたコインを中心に暖かい白色光が辺りの暗闇を払う、不思議と近くにいても眩しくはない)少しは、マシ、かな…… -- ベル 2011-11-04 (金) 00:49:32
      • (周囲が闇に包まれ足を止める。同時に全身に走る悪寒、ご多分に漏れず、ここにも敵が居るのだろう)
        …ここではあまりに状況が悪い…早く、抜けたほうが良さそうです(ベルに習って、自分も光源を用意しようと)
        ……っ…(詠唱が途切れる。掲げていた右手に生まれかけていた炎は空中で散って)
        (一瞬、青い光が空間を染めた)
        (光はその胸の中心、ホムンクルスの核となっていた宝石から発せられたようだ)
        (ぐらり、とその体が揺れて)
        あっ…(何とか踏みとどまろうとするも虚しく、助けを求めるように伸ばされた右手) -- アルム 2011-11-04 (金) 01:00:10
      • (突然の暗闇に足を止める。聴覚を頼りに、周囲の状況を探る中。耳に届いたのは、敵のたてる物音ではなく。)
        (マスターの声。それと同時、一瞬だけ周囲を照らし出した青色光。その源は、かつて見た、主の命を繋ぐ石。)
        …ッ!(黒衣の右袖口からワイヤーが飛んだ。ベルの創りだした仄灯りによって作り出された僅かな壁影へ向けて銀線が舞う。同時、黒衣の姿が、闇の中へと飛んだ。)
        (光を消した燭台へと絡みついたワイヤーによって、振り子のように。宙を走る影。)
        (落下しようとしていたアルムの身を左の腕で抱えて、そのまま手近な足場へと着地した。)
        (そして、抱えれば気づいた。)…アルム、お前。(己の腕の中の相手が、随分と弱っていることに。) -- 黒衣 2011-11-04 (金) 01:09:32
      • (青い光は、まるで呼吸をするように弱々しく点滅を繰り返して)
        ……(やがて、静かにその光は消えた)…ごめんなさい、少し…限界のようです
        暫く休めば…いえ、そんな時間はありませんね(薄暗いせいか、普段から不健康に白い肌が一層青白く見え)
        (恐らくもう長くない、そんな予感を抱かせる)……アサシン、私のことはもう(令呪の刻まれた左腕がゆっくりと動いて) -- アルム 2011-11-04 (金) 01:31:47
      • ベルの灯した明かりが辺りを照らし……彼らの目の前に浮かび上がるように火の消えた巨大な祭壇が見えた。
        ―――そして、アルムの消え入りそうな声が終わる前に―――

        ―――激しい炎の柱が生まれる。
        しかしその炎は辺りを照らす事はない…黒い炎
        白色光の下意思があるようにうねり、何かの形を作っていく―――
        天井の光がまっすぐに闇の炎に落ちて来て、同時に耳を塞ぎたくなるような、人の叫び声のようなものが響き渡り
        ―――「それ」は現れた。
        いつの間にか壁の炎は元に戻り―――炎をその身に反射させて、鋼鉄製の蜘蛛めいた怪物が彼らの方を向いて。

        「それ」はたしかに蜘蛛の形をしていた。
        八本の足、獲物から―――そう、相手は明らかに眼前の者どもを"獲物"と認識している―――一切視線を逸らさぬ四対の眼。
        丸みを帯びた頭胸部と、体節を持たないつるりとした、それでいて奇妙に丸々と太った腹部に分かれたフォルム。
        だが。
        「それ」は鋼鉄だった。暗闇の中においてなおも不気味に輝く、白銀の光沢。
        さきほど「それ」を構成した漆黒の炎から思えば、奇妙なほど潔癖的な、傷一つない装甲。
        そして巨体。今残っている者たちの中で、もっとも高い背丈を持つものでさえ、「それ」の腹底にさえ頭が届かない。
        おそらく歩脚を広げきれば、その全幅は祭壇を埋め尽くす。立ち上がれば、天井にも届くだろう。それほどの威容。
        その膨れ上がったボディを支える肢は一本一本が死神の鎌じみた鋭利な刃物であり、先端が床とこすり合って火花を散らす。
        身動ぎするたびに全身から響く金属音は、耳を澄ませば女子供の悲鳴に聞こえるような、心をざわつかせる不快さがあった。
        真紅の視線が獲物達を睥睨する。一同の全身が、鏡面のように映しだされ、「それ」の目的を純然と理解させる。
        まるで。
        お前たちをこれから追い詰め、殺し。
        臓腑を食らい、滋養となす―――本来の蜘蛛が持つその狩猟本能を、より純正化させたような殺意を。
        だがふと、視線がさまよった。まるで、「この場にいるはずの誰か」を探すかのように。
        しかしすぐに八つの瞳は獲物達を写し返す。そしてやがて、それらはただ一人……いや、"一匹"へと集中し、止まった。
        アルム・アルムニィア。いかなるわけか、そのマスターだけをはっきりと視界に捉え、蜘蛛は動き出す。
        火花が白銀に躍り、か細い断末魔のように耳障りな金属音が床を削る。
        慈悲なき殺戮機械が―――無残な狩りを、開始した。
        -- 2011-11-04 (金) 01:34:08
      • …アルム、お前。それ以上言ったら、ぶん殴るぞ。
        (何か感情を強く押し殺した様な声でそう言ったのと、同時。生じた異変。)
        (空間を我がものとするかのように、それは、この場に訪れた。)
        (突如としてこの空間に現れた、その蜘蛛。己の姿形とは異なる、ある意味神々しいまでに美しいその姿。)
        (けれども。その様な姿形ではない、根本的な部分。その部分で類似しているからこそ、解る。)
        (殺意。蜘蛛の中から溢れ出る、ただ純粋な指向性。その点において、眼前の敵と己は、これ以上ないほどに似通っていた。)
        (そしてその殺意が向けられた先が、己の今支えているマスターであると。まるで殺意が一本の線となり、目に見えているかのように、解った。)
        …このタイミングで、こいつ狙うか? -- 黒衣 2011-11-04 (金) 01:47:38
      • (視界は霞んでいる、何かが来ている…それは音で分かっても、何が来ているのかまでは把握できない)
        (それでも、『それ』が狙っているのが己である…というのは自らのサーヴァントの様子で分かった)
        (恐怖よりも先に安堵したのは、どうしてだろうか)
        (前方を進む4人、そちらへ目を向ける。アサシンの体を退けるようにして、それからその体を支えに何とか立ち上がり)
        …先に、進んで下さい
        私には奥の手があります、この場くらいならなんとかなる(それから、迫る蜘蛛の方へ体を向け)
        ……後から追いかけます、ですから それまでに聖杯を手に入れておいた方が良いですよ
        (後は、令呪を使ってアサシンを逃がすだけか、と) -- アルム 2011-11-04 (金) 01:56:56
      • (酷悪な貌に、息を呑み。赤髪のセイバーが……自分や、剣馬たちと、『蜘蛛』との間に入り、正眼に剣を構える――)
        (はっとして、少し遅れた位置の――その蜘蛛が注視する、二人の姿を見……)アルムさん……?! ……セイバーさん! 二人を……
        (セイバーに手を伸ばし、こちらの言を聞き入れるよう促そうとし……) ……っ!! (その、自分の手指の先を見るや、触れる前に手を引いて)
        (その指の先まで、『細胞』によって黒く染まり。意識を向ければ、身体の所々に、僅かな痺れが走っていて。……自分もまた、『消耗』していたことを意識する)
        (アルムの言葉に、首を横に振って…)……でも、だって……! -- 季來 2011-11-04 (金) 02:04:29
      • デカい……(両手がふさがり、背中には近接戦闘には向かないだろう、少女、サーヴァントも近くに居らず狙われれば一溜まりもないだろう)
        (そう、思った。だが、奴は。此方に見向きもせず、倒しやすい筈の俺達を無視して、真っ直ぐに標的を一人に絞った。一番後方、アサシンと共にいるアルム。)
        (傍から考えて理由がわからない。機械でありAIで動いているとして、合理性のかけらもない、判断。復讐に燃えているのか、目的を持って行動しているのか、いずれにせよその行動原理からは執着心が読み取れた)

        先にって……お前ッ!!そんな状態で……(後方確認を怠っていたのが災いした。支えられてやっと、といった風体のアルム。彼女から告げられる言葉には、偽りも悲壮感も感じられない、だが……)

        (しばらく、逡巡し。足を次への階段へと向ける。決意は。無駄にはしない、出来無い。託された意思を無為には出来無かった。歯をギリ、と軋ませ)ッ……行くぞ、ベル……。季來さん、アンタもだッ!(躊躇しているのだろう、優しい女性へ声を掛けた) -- 剣馬 2011-11-04 (金) 02:09:02
      • ……(奥の手と言う物が何か、本当にそれが通用するのか、不安は尽きない)
        本当に、行っても……(いいのだろうか?何人も残し……いわば見捨てて、自分が上に行ってもいいのだろうか?芽生える罪の意識、それでも)
        ……行かないと(頷いて心を決める、ここまで来たらもう引き返せない もしも彼女が死んで、それに罪悪感を覚えるなら……皆を救える願いを聖杯に込めればいい) -- ベル 2011-11-04 (金) 02:10:37
      • (アサシンの疑問は尤もだった。これだけの巨体を持つ蜘蛛なら、狙いを定めずとも全員を相手取れる。それだけの物量がある)
        (だが相手は、その血のごとく朱い八つの瞳は、髪の毛一本ほども逸らされない。凝視する先には、もはや瀕死の少女一人)
        (ホムンクルスだから? 違う。弱っているから? 違う。もっと根本的な何かだと、暗殺者には鋭敏に感じ取れることだろう)
        (アルムが立ち上がるさまを視線が追う。否、もはやそれは死線であった。獲物をどう殺すべきか、冷徹に判断しているのだ)
        (そしてゆっくりと、死刑囚に末期を認識させる処刑人の如く、前二本の肢が鎌首を擡げる。鋭い先端は余さず獲物を捉えていて)
        (他の"虫ども"のことなど歯牙にもかけず。剣馬が激した直後、左、次いで右と歩脚が振り下ろされ、煌く殺意が空を切る!)
        (一撃目で足を奪い、二撃目で息の根を止めるために。本能に忠実であるがゆえに、容赦も躊躇も見当たらない刹那の連撃!)
        -- 2011-11-04 (金) 02:12:17
      • 糞、がっ!(サーヴァントの脚力が、全力で地を蹴りつけた。その左腕には、先程と同様、アルムの身体を抱えている。)
        (まるで砲弾のように、足場から空へ向けて飛び上がる。蜘蛛の両の脚は、アサシンの黒衣の裾を引き裂いただけ。)
        (腕の中のアルムがこの衝撃に耐えうるかどうか、考える暇もなかった。それ程に無駄のない一閃。確実に、狙いはアルムだ。)
        (腕を振り、袖口から出たナイフを掴む。それをそのまま、蜘蛛へ向けて投擲。狙いは蜘蛛の腹部、その膨らみの根元。)
        (そしてナイフが手から離れたと同時、再び宙を迸るワイヤー。壁の燭台へと巻き付いて、体重を支える。それを頼りに、壁に着地して。)
        …アルム。生きてるか?(左腕の中。抱えたマスターへと声をかける。)
        (しかし、視線は蜘蛛に向いたまま。あの相手から今視線を離すことは、許されない。) -- 黒衣 2011-11-04 (金) 02:26:47
      • (剣馬が激し。セイバーが頷いて、自分の手を取って。先へ、先へと促す……)
        (立ち止まっていることは、出来なかった。ここで躊躇することは、全てを無に帰すことにも繋がり得ると感じられた)
        (なら、せめて……) ……っ、ヒューイくんっ! アルムさんを…… 皆、上で待っているから……!!
        (足場に、空間に、蜘蛛の連撃の衝撃が走り。言葉が轟音に呑まれたように思えても、振り返ることはできず。階段を目指し、走り続ける…) -- 季來 2011-11-04 (金) 02:32:38
      • あぁ、行くぞ……アイツらなら……(少女に対して。あいつらなら、大丈夫だろう、なんて何の気休めにも成らない言葉をかけようとして、飲み込んだ)
        (もう、振り返ることは出来無い。振り返ってはいけない。前だけを見つめ、進む!崩落していく足場を蹴り進む!)
        ……アイツらは、絶対に負けたりはしない。(これだけは、確信できた。どのような形でも、勝利をおさめることが出来る、それだけの強い絆を持っている。だから──負けたりはしない。万一にも有り得ない。)
        (そして、そのまま季來、セイバーへと続くように、道を渡りきり、階段へと駆け上がっていった) -- 剣馬 2011-11-04 (金) 02:45:00
      • っ…!!(令呪を使おうとした瞬間の衝撃、全身に走る鈍い痛みに一瞬意識が飛びそうになるも持ちこたえる)

        …(4人がこの場から離脱するのを確認し、こんな状況であるにも関わらず苦笑してしまった)
        ……想定外の連続ですね、本当に(問題ありません、と頷いてそれから敵を見る。見れば自分に向けられた殺意を痛いほど感じて)
        アサシン、私を置いて4人の後を追いなさい 問題ありません、言ったでしょう 奥の手があると
        …出来れば、こんなことに令呪を使いたくは無い ですから、お願いします
        (奥の手、本当に奥の手だ。自分の中にある魔力炉を暴走させれば、目の前の敵ぐらいは殺せる。)
        (巻き込まれて自分も死ぬだろうが、どちらにせよこの体はもう長くない ならせめて一つぐらい役に立ってから死にたかった) -- アルム 2011-11-04 (金) 03:00:48
      • (轟! 振り下ろされた死の鎌の速度は左右それぞれが致命的であったが、それを避けんとする決死の跳躍もまたかくや)
        (サーヴァントが持つ超身体能力によって発揮された回避行動は、見事に死神の爪を掠るに留まらせた。心眼が活路を開いたのだ)
        (一拍遅れ、蜘蛛の眼がアルムを捉える。……いや、わずかにその視線はずれ込んでいた)
        (まるで。今「獲物を彼方へ奪い去った、認識できない何者か」を視覚で捉えようとしているかのように)
        (即座に振るわれた銀の刃。暗闇を切り裂き飛来するそれは視界に含まない。はじめから獲物以外は何も見ていない)
        (ガキン! 鈍い音を立てナイフが命中。ただでさえ鋭く、その上超一流によって放たれた白刃は、腹部の根元に深く突き刺さる)
        (……だが、それだけ。刃渡りの五分以上が装甲に滑りこんでいるものの、蜘蛛が何がしかの異常を発した様子はない)
        (階段を登る季来達は完全に無視。不安定な足場を、細すぎるくらいの歩脚で器用に渡り、獲物へと間合いを詰め)
        (接近し、更なる斬撃を放つと思いきや、浮遊する床の残骸達の上で巨体が停止。不思議なことに蜘蛛が乗る足場は安定している)
        (さらにつるりとした頭胸部の前面、通常の蜘蛛で言えば鋏角に当たる部分が"がばり"と開き。)
        (若干の間隙を以て照準を取り―――そう、相手は"二人"に狙いを定めた―――射出口らしき孔から、何かを吐出!)
        (その正体は糸の塊だ。しかし、本来であれば粘着く白であるべきそれは、まるで脂肪の塊のように不潔な色を孕んでいた)
        -- 2011-11-04 (金) 03:03:08
      • (去り往くマスターたちの一人から投げ掛けられた声。それは、聞き覚えのある耳触りで己の元へと届いた。)
        (けれど、それに言葉は返さない。今ここにいる己はアサシンであり、そして頼まれた内容、アルムの保護と上階への移動は、言われずともこなすべきもの。)
        (その他。思う何かが在ったのか、無かったか。仮面の内側が視認できない以上、抱いた感情は掴めない。)
        (外から見た黒衣の男はただ、凶々しい蜘蛛へと、意識を向けている。)
        (己の放った刃が相手に何の痛痒も与えていないことを感じ取れば、仮面の内側で舌打ち一つ。)
        何なんだ。中身はがらんどうだとでも言うのか?それに、アルム以外を見てない…。
        (呟いた所に聞こえた、マスターの台詞。それを聞けば、苦々しげに。)
        …アルム。その奥の手とやらを使った後に、俺とお前のラインが切れないっていうのなら、従ってやる。
        (腕の中の弱ったマスターに、この場を解決しうるだけの手段などあるはずがないことは、十分にわかる。)
        (それを成しうるというのであれば。それは、確実に。)お前、俺がそこまで鈍いと思ってるのか?(命を賭すということだ。)
        それに、あいつは多分、お前だけ残っても何かする前に死――(そうする内に、こちらへと向かい来る蜘蛛の姿。)
        (マスターをどこかに置いて迎撃すべきだと考えた所で。)――はぁ?(がぱりと開いた蜘蛛の前面。微調整するような、頭部の挙動)
        (先ほどの連撃を避けた心眼が、再び己の中に鋭い悪寒を走らせる。それに従うようにして、袖口から伸びたワイヤーを切断。壁を強く蹴った。)
        (糸の塊は、二人の存在していた場所へとぶつかる。しかし、到達する直前。二人分の人影は、そこから離れて。)
        (蜘蛛の頭上を飛び越すように、中央の祭壇へ向けて飛んでいた。)
        (宙で身を捻り着地する様は、かつて矛盾の魔王からアルムを攫った折の如く。地へと両足と右手をついて、勢いを殺す。)
        (そしてアルムの身をその場へと解放すれば、蜘蛛へと再び向き合った。)
        (己の中の何かが、警鐘を鳴らす。その示すものは、つまり。)…残念だけど、アルム。狙われてるのは、お前じゃなくなったみたいだ。 -- 黒衣 2011-11-04 (金) 03:35:09
      • …っ(何か言おうと開いた口は、そのまま舌を噛み千切りそうになって慌てて閉じられる。)
        (めまぐるしく変わる風景と、体の内側からひっくり返りそうになる衝撃に呼吸すらままならない。)
        (不意に、体が重くなったように感じて 目を開ける。少しの間呆然と地についた足を見て、それで降ろされたと気付いた。)
        ……ふ…(うずくまるようにして息を吸う。脳は酸素を求めていても、体が呼吸の仕方を忘れているようでその欲求に上手く応えられない。)
        ………は…、っ…(視界に映る自分の指は、酷く震えていた。死の覚悟を決めた筈なのに今更何だ、と滑稽に思えて、唇が歪む)
        (震える指で地面を押すようにして、上半身を起こす)
        (自分に影を落とすサーヴァントの背中。もう何度守られたかしれない、見慣れたそれを見上げて)

        (左手を握る)
        ── 令呪を持って命ずる、私を置いてここから逃げなさい
        (その命令をするにはもう遅く、殺意の視線は自分ではなく サーヴァントへ)
        アサシン…
        (考える、今自分に出来る事を。例えば令呪を使って自分をあの敵の近くまで置いて逃げてもらうとか、そういうことを)
        (考えて、考えて…)
        ……アサシン
        (彼が今守ろうとしているものの、一番の敵が自分でどうする)
        (難しいことを考えるのは止めた。何も出来ないならせめて、彼を信じようと漸く覚悟を決め)
        ………勝てますね? -- アルム 2011-11-04 (金) 21:59:21
      • (仮面の裏に走った直感、そしてそれがもたらした警鐘は事実を的確に捉えていた)
        (微細な風の挙動を読めるような、研ぎ澄まされた心眼と観察力でもってようやくわかるような僅かな異変)
        (それは蜘蛛がアルムではなく、アルムとそのそばにいる"何者か"を獲物に選んだということを教えている)
        (バシュッ! 放たれた岩石ほどもあろうかという糸塊は、そこから蹴り飛んだ二人にはかすりもせず。)
        (その回避さえも高い敏捷性があらばこそだが……いずれにせよ、獲物を逃したそれは、べちゃりと壁に激突しひしゃげる)
        (見れば見るほど、糸というより腐りかけの肉にも見える不浄な物体。粘性を持つためか、壁に付着したまま落下しない)
        (蜘蛛が振り返る。もはや疑うべくもない、相手が見据えるのはアルムではなく……その隣に立つ黒衣の仮面、死の化身)
        (以前、魔性の剣士と相対した時。アサシンは残酷な選択を迫られた。思えばあの時と、ほとんど同じではないか)
        (だが。かの魔の者は、仮面の裏に隠された過去を抉り出し、嘲り、悪意を以て魂を堕落せしめようとした)
        (ここに、あの醜くも禍々しく、それでいて純然とした悪辣はない。あるのはただ、合理的な判断と研ぎ澄まされた殺意だけだ)
        (厳密に言えば殺意すらもない。蜘蛛が持つのは「殺す」という目的でしかなく、それに付随する不純物など在りはしなかった)
        (それもまた、似ている。今狙われる"獲物"、暗殺者の銘を持つ冷酷なる男が、敵を殺すと決意したときに見せる姿勢と)
        (そんな違和感、否、デジャヴめいた感覚の答えは、見慣れた女の姿となって瞳の中に映り込んだ)
        -- 2011-11-04 (金) 22:03:11
      • 『―――ごきげんよう。愚かで弱きマスター、そしてそのサーヴァントよ』(開かれた鋏角から流れる声。録音されたものだ)
        (瞳に映り込んだ姿と合わせれば、それが誰かは一目瞭然だ。此度の茶番を企てた黒幕にして元凶、シスター・シモーネ!)
        『あなたたちが此処まで来ることは想定済みでした』(声は続き、蜘蛛は動かない。この音声を聴かせるためだろう)
        『とはいえ、私は聖杯の制御に忙しく、わざわざ相手をするわけにも参りません。ですから―――』(声が一瞬途切れ)
        『―――最適な相手を用意してさしあげました。この「狩人」は、他でもないアサシン、貴方を殺すために造られたモノ』
        (瞳の中のシスターが笑みを浮かべる。その色は嘲弄、そして侮蔑)『あなたの過去そのものを複製した結果なのです』
        『黄金の時代の幕開けに、貴方のような薄汚い殺戮者は必要ありません。主共々、己の過去に呑まれるがいいでしょう―――以上』
        (皮肉めいた言葉で音声は締めくくられ、瞳に映った幻像も消失。蜘蛛が再び動き出し、瞳に映るのは黒衣の獲物だけとなる)
        -- 2011-11-04 (金) 22:03:28
      • (壁に張り付いた糸塊は、トリモチを想起させる粘性で壁面へと留まっている。アレは、己等を捉えるためのものだったのだろう。)
        (動きを止めさえすれば、後は狩るのみ。蜘蛛に相応しい。そして己を相手にするのに正しい戦略に、目前の相手が単なる蟲ではないということを否が応でも理解させられる。)
        …とりあえず、一つだけ。巻き込まれないように。
        (己の背後へと声をかける。主の命じようとしていた、この場からの離脱が成らなかったことに、僅かな安堵。)
        (ここでそれを行われれば、蜘蛛は己を追って、上階へと向かってくる。そしてそれを追えないだろうアルムは、完全に無駄に死を迎える。その様なことを、許せる筈もなかった。)
        (そしてその代わりに。かけられた言葉は、逃亡の命よりも、余程己を奮い立たせる物で。黒衣の姿から、背後の主人まで伝わる、笑みの気配。)
        (そう。勝てるかと問われれば、返す言葉は唯の一つだけ。)…当然。勝つさ。(言うと同時、左右の手を黒衣の内側へと差し入れた。抜き出された両の手には、厚刃のナイフ。)
        (誰かを背に負って戦うことには、冒険者として過ごす日々の中で、慣れていたはずだった。)
        (けれども。後ろに立つ人間が違い、勝利の意味が違うことによって。これ程までに、何もかもが変わるとは知らなかった。)
        (ナイフを持つ手に力を込める。ぎしり、と軋む音。使い慣れたそれを手に、再び宙へと舞おうとした瞬間。現れた、忌々しい女の姿。)
        …シスター、シモーネ。(足を止めて名を呟くが、相手から応じる返事はない。ただ、目前の蜘蛛から届く声は、要件だけを並べ連ねる。)
        (その声の意味するところは、つまり。)なんだ。随分と、俺に御執心じゃないか。(相手に向けられた悪意をそのままに返すように、小さく呟いた。)
        この蜘蛛が、俺そのものか。(告げられたその言葉には、成程、といった納得の気配。)
        (これがその様な意図をもって建造されたのであれば。先ほど感じた、何処か己に近しいという想いも理解できる。)
        (つまるところ。あのシスターから見て、己はこの蜘蛛の如く異形であり、目障りなのだ。)
        (不快だった。己の愚を見せつけられるようで。けれども、痛快でもある。そう。)
        つまり、これを殺せば。お前の希望する世界は訪れないって事だ…ッ!
        (この場に居ない相手へと、嘲笑の混じった叫びを投げ掛けて。黒衣の男は戦闘の始まりを告げるように、足を踏み出した。)
        (ふらつくように右足で一歩。そして左足で二歩。三歩目を踏むと同時。急激に加速しその姿がブレる。狭い足場の果てへと着けば、宙へと飛び上がった。)
        (離れた彼我の距離を縮めんと、宙へと浮いた不安定な足場を踏み、飛んで、接近する。)
        (黒衣の男こそは、面影糸を巣と張る蜘蛛。確かにシスターの意図は正しかった。)
        (この男の相似形を表すのに、蜘蛛の異形以外を以てして、為すことは叶わない。)
        (右手に握ったナイフを投げつける。狙いは蜘蛛の左前足。その付け根。一直線にそれは宙を突き進んで。)
        (蜘蛛の目前。3mほどの地点で、急激に軌道を変えた。ナイフの柄。その尾部に結び付けられたワイヤーが、ナイフの動きを踊らせる。)
        (一度斜め上へ跳ねて。続いて下へと進みを変える。狙うのは、蜘蛛の右前足。そしてそのナイフを追うように。左腕のナイフを構え、黒衣の男も蜘蛛へと接近する。) -- 黒衣 2011-11-04 (金) 22:38:37
      • (返された悪意は鎧に弾けた。先手はアサシン、覺束ぬように見える足取りは暗殺の業、敵を騙し穿ち殺す偽りの歩法)
        (一(ひと)二(ふた)三(む)つを数えて黒は風へと変わり宙を舞う。しかし蜘蛛は動かない。死線は然と外さずに)
        (前二本の肢が再度鎌首をもたげ、今度は×字を描いて空を裂く。獲物を殺すのではなく、猪口才な反撃を潰すため)
        (だがどうだ。蜘蛛に斯様な表現は些か見当外れながら、正しく目と鼻の先。糸に操られるかのごとく刃はリズムを刻んで)
        (ふわりと。そよ風に揺れる羽のように鎌を潜り抜け。振り下ろされ、防御の効かぬ右前足の根元に突き刺さる!)
        (ガキン! 二度目の鈍音。やはり五分以上突き刺さったナイフ、蜘蛛は異常を―――否、右最前歩脚の動きがわずかに軋んだ!)
        (目前にはもう一刃を構え我へと向かう蜘蛛一匹。糸塊も、振り下ろされた左最前歩脚もそれには間に合わない)
        (故に。蜘蛛は「その場で身を屈めた」。ナイフの突き刺さった右前肢以外のすべての歩脚が折り曲がり、体重がかけられ)
        (直後! あろうことか、蜘蛛はその巨体を持ち上げるようにして跳躍! その軌道上には他ならぬアサシン!)
        (蜘蛛は獲物の背後、壁へと飛び移りざま、歩脚全てで彼奴を切り裂くつもりなのだ!)
        -- 2011-11-04 (金) 22:58:46
      • (己の意図の通りに、放ったナイフは相手へと打撃を与えた。けれど、それと引き換えるように。己へと迫り来る、敵の巨体。)
        (左手のナイフで迎撃しようにも、多脚である相手の手数に及ぶはずがない。)
        (一撃を防いだ、または与えた所で、残りの脚に己の身は切り刻まれるだろう。)
        (もしもこれが地上であるのならば。先ほど同様に、宙へと飛び上がることで、回避も可能だったかもしれない。)
        (けれど現在。既に己の身は宙にあり、鳥で無く、羽持つ蟲ですらないこの身は、宙を自在に飛ぶ術など持つはずもない。)
        (重力に縛り付けられた生き物の、哀れな末路。己へと迫り来る、蜘蛛の足の刃光を、ただ待つのみか。)
        (…もしもこの生き物が、蜘蛛に例えられる生き様でなかったのならば。残された生は、地を這う生物の運命通り、数秒であったろう。)
        (アサシンの左の手から、銀光が迸る。投げられたのはナイフ。向かう先は敵影ではない。)
        (下へと投げ放たれたそれは、宙を浮く足場へと鈍い音と共に突き刺さった。そして足場と黒衣を繋いだ、銀の線。)
        (左手が、ナイフへと結ばれたワイヤーを掴み、強く引く。先程白蜘蛛へと突き刺さったナイフのように、黒蜘蛛、アサシンは、宙でその軌道を変えた。バレルロール。)
        (ありえない軌道で左前方へと移動する。空中で身を捩り、一回転したその黒衣を、多脚の先端、殺意持つ脚たちが掠める。)
        (多脚のうちの一本が、右腕を掠めた。しかし、掠めただけ。腕に残った傷跡は、浅く。)
        ッ!(宙で回転した勢いをもって袖口から滑り出たナイフを掴み、敵の背部へと投擲するのを妨げることはなかった。)
        (そして黒衣は相手の元居た足場へと、地を這うように着地して。壁に張り付いた相手を見上げる。) -- 黒衣 2011-11-04 (金) 23:17:55
      • (蜘蛛の跳躍は一瞬。しかし、それを見切ったもう一人の蜘蛛の行動もまた刹那。軍配は小さき獲物に挙がった)
        (ワイヤーを己の手足のように扱うさまはまさに面影糸を張る如く。音を切り裂いて通過した死神の爪は、またしても僅かに掠り)
        (ズンッ! 攻防がすれ違い、蜘蛛が壁に「着地」する。尖った歩脚を突き刺して黒衣を見返すその背には、三本目の爪が刺さっていた)
        (だが胴体への攻撃には異常を見せず。地に立つ獲物を凝視したかと思うと、視線はその頭上、先に張り付けた糸塊に移る)
        (……瞳の赤が光量を増した。糸のような細い直線の紅が塊に照射され、一秒、二秒―――数え終えると同時に、塊が破裂!)
        (どうやら脂肪めいた色は錯覚ではなく、可燃性を有していたらしく。光線の熱量によってか、壁を吹き飛ばして爆発したのだ)
        (決戦場が揺れるほどの衝撃。燃え盛る糸の飛沫と砕け散った燭台、そして壁の残骸がアサシンに迫る!)
        -- 2011-11-04 (金) 23:28:14
      • …狙うなら、脚ってことか。
        (胴体へ二発。脚へ一発当てた己の攻撃の内、意味を為したように見えるのは、脚への一撃のみ。もしかすれば本当に伽藍堂なのかもしれない、相手の体内。)
        (己は低位。対する相手は高所から、こちらを見下ろしている。高低の有利を握られては、更に分が悪くなるだろう。)
        (相手は、己の攻撃を殆ど意に介する様子がない。対して此方は、強く一撃を食らえば、それだけで危うい。早々に勝負を決めるべき現状。)
        (そう思い、再び飛び上がろうとした所で。)…?(相手の視線が此方から逸れたのに気付き、そこから迸った赤熱線の届いた先を視認して。)
        ッ!?(悟ったときには、遅かった。頭上で炸裂する糸塊と、それによって粉砕される壁面。)
        (大小様々な、時折火を纏ったそれらは、恰も散弾。空間を伝わる衝撃が先に届き、臓腑の底を揺らした後。黒衣を包むように、振り来る。)
        (狭い足場。足運びで回避するには、面積が足りない。咄嗟に破片の隙間を縫うように、ワイヤーを宙へと飛ばした。)
        (未だ残る燭台へと巻きついたそれを頼りに、飛び上がった。瓦礫の隙間を縫うように、壁へと接近する。)
        (しかし、如何せん数が多い。サーカスの火の輪潜りの様に華麗に行くわけもなく。)
        (大小の破片が、そして炎が身を打つ。)ぐ、ぅっ!(呻きを漏らすが、その場に身を留めれば、全てが終わると知っている。)
        (なんとか破片の群れを抜け、地の底へと落ちゆくそれらと対照的に壁へと着地した時。黒衣の至る所には火炎の残滓がまとわりつき、破片がぶつかって擦過したらしい部分が多数見て取れる。)
        (は、は、は、と。息荒くして、壁へと張り付く男。祭壇を中央に置いて、丁度白蜘蛛と正反対の位置。)
        (相手の火力も耐久力も、己よりも上を行く。己の優っているのは、精々が速度と小回り。有効な打撃を決めるには、足りない。)
        俺がこれくらい手強いと思ってもらえたんなら、ある意味喜んでいいのかね…。
        (軽口を叩くも、その声が時折揺らぐ。瓦礫の打撃によって痛めたか。背から鈍痛。)
        (であれば。)…早々に、決める。(己の動きに、これ以上の支障が出る前に。全力を以って、殺す。)
        (そう決めれば、動きは即座。この広い空間の中。炎に照らされ、揺らめく影たち。)
        (まるでその影の一つであるかのように。黒衣の姿が、ぼやけ始める。)
        (姿が薄れ、気配すらも混濁する。それは、アサシンの持つ、殺しのための最善手。) -- 黒衣 2011-11-04 (金) 23:49:35
      • (戦いにおいて、地の利を得ることは大きなアドバンテージへと繋がる。ましてやこの状況、いわばこの空間は蜘蛛の巣)
        (爆ぜた破片もまた、そのひとつひとつがアサシンの退路を塞ぎ損傷を残しせしめていく。蜘蛛はそれを冷徹に観察)
        (降ろされた蜘蛛の糸を互い違いに伝うが如き凄技。其を以てしても負傷は大きく、だが戦闘が未だ可能なのはその絶技ゆえとも言えた)
        (だがアサシンにもまた利はある。それは気配混濁、己の意も気も影へと混ぜ濁らせる偽我の業。達人にも捕えきれぬ水面の影)
        (蜘蛛の死線が再び巣を彷徨う。マスターを襲うという選択肢はもはやない。その隙をアサシンは最大の威力で以て突くのだから)
        (やがて。"ぴし"、という、硬い甲羅に亀裂が走るような音がして。ぴし、ぴしぴし、ぴしぴしぴし―――)
        (音の主は蜘蛛。背中に深く刺さったナイフを基点として縦に広がる不気味な亀裂。吹き出す空気は瘴気のように巣を満たし、「それ」の背が現れた)
        (次いで肩甲、肩から頚椎、後頭部。ぬるりと糸を引いて「それ」は起き上がる。蜘蛛にあらずも、羽虫が蛹から羽化するように)
        (「それ」は巨人だった。もはや抜け殻の蜘蛛からすれば二回り以上は小さいが、全身がむき出しの筋肉で構成され、いずれも強壮)
        (そして何より、そう、何より。「それ」の体表には凹凸があった。一つではない、無数に。――――くぼみは、人の顔であった)
        (顔が、貌が、表情が、顔が貌が表情が顔が貌が表情が顔が貌が表情が顔が貌が表情が顔が貌が表情が無数に無数に無数に)
        (その総てが)
        (■■■■を)
        (睨んだ。)
        -- 2011-11-05 (土) 00:05:15
      • (強い)
        (一人と、一体の攻防を目で追う。理解も、視線もその動きについていけない けれど、あの敵が相当に強いのだけは分かって)
        っふ…(足場がぐらりと揺れ、蹌踉めく。唇を噛んで漏れそうになった悲鳴を抑えた。)
        (少しでも気を散らせば、それが隙になってますます形勢を不利にする。)
        (そして、溶け始めるアサシンの気配。何度か目にしたそれ きっとここで勝負を決めるのだろうと)
        (なら、せめて囮役でもするべきか。しかしどうすればあの敵は再びこちらを向いてくれるだろう)
        (考えを巡らせている内に響く、不吉な音。)

        (始め現れたそれが何か、すぐには理解できず思わず凝視する。それから、息を飲んだ)
        (遅れて、喉の奥で小さい悲鳴が漏れる。その顔の一つ一つ、もしそれに意味があるとするならそれは)
        (自分には見覚えのないそれは、彼の精神を揺さぶる為だけに用意されたものなのでは)
        (アサシンではなく、『    』の)
        あっ…
        …あさ、しん アサシン…
        (足先が冷える。彼が酷く遠くに行ってしまう気がした、もうアサシンと呼べなくなるような、そんな気がして) -- アルム 2011-11-05 (土) 00:16:07
      • (気配が完全に空間内に溶け込んだと同時。壁面を蹴り、浮島の一つへと着地した。)
        (混濁する気配とは対照的に、確かな足取りで歩みを進める。浮島を飛び、進み、中央の祭壇まで来た所で、脚を止めた。)
        (右腕を黒衣の内側。左腰へと伸ばす。引き出された腕に続いて現れたのは、銀に鈍く光る、金属光沢。)
        (黒く塗られたナイフとは対照的に、ありふれたレイピアは鉄の光をもって、その場に姿を表した。しかし、それすらも今は朧で。相手に認識されることはない。)
        (硬い外殻に守られた白蜘蛛の持つ、八つの瞳すらも欺いて。相手の頭部を一閃し、沈めるために。)
        (それを目的とし、再び足を進めようとした所で。相手の白磁の如き甲羅を覆い始めた罅に、気がついた。)
        (己のナイフが今更になって効を表したか。…違う。アレは違うと、己の中の心眼が警鐘を鳴らす。)
        (罅は広がり、鋼の内部に包まれた、闇の気配を顕にする。秘された蜘蛛の中身。それは即ち、類似した己の内側の闇。)

        (ナイフが刺さろうとも、ダメージを受けた様子を見せなかった相手の胴体。その中は、伽藍堂ではないかと疑った。)
        (けれども。もしかすればアレは。白銀に輝く金属の胴体は。)

        あ。

        (蚕の身を美しく守る、絹の繭の如く。)

        あぁ。

        (内側の何かを、守り包んで/押し留めていたのではないか。)

        あぁ……―――!

        (思わず声を漏らした。視線の先に、顔。顔が見える。父の顔があった。母の顔があった。アリーの顔があった。)
        (己の前で首を落とされた村人たちの顔があった。あの日奴隷として別れた子供たちの姿があった。)
        (そしてフロニー・フィラシオの顔があり、テイリス・イリス・ツィツィティマの顔があり。)
        (即ち彼がこれまでに救えなかった、その手から零れ落ちた命たちが、此方を、ぎょろりと。)
        (恨みを込めたような、黒の感情に染まった眼球で見定めた。)
        (それを受けて、空間に混濁していた気配は、再び黒衣の姿に凝固する。観測された事象が確定したかのように、気配混濁のスキルは破られた。)
        (白蜘蛛の内側から現れた肉人形、そしてアルムの視線の先。そこに立つのは、驚きに固まって、隙だらけの身を晒す、哀れな殺人者の姿だけ。) -- 黒衣 2011-11-05 (土) 00:26:41
      • (片手に持つ鋭い刺突剣。それが刺されば、急所を捉えれば蜘蛛は動きを止めるだろう。獲物を認識することなく、鉄屑へと還るだろう)
        (だが。その胎には。シスターの言葉通り「過去」があった。アサシンの、否、仮面の下に隠れた■■■■の過去が)
        (笑顔しか浮かべることを出来ずに悩み続け、命を落とした少女の顔があった。その顔は笑いながら怨嗟にまみれていた)
        (不死者で不滅でありながら、人間を愛し世界を愛し、人間になろうとした少女の顔があった。その顔は憂いを帯びて怨嗟にまみれていた)
        (妹の顔があった。その顔は怨嗟にまみれていた。奴隷たちの顔があった。その顔たちは怨嗟にまみれていた)
        (父の、母の、瞼に焼き付いた村人たちの、顔が。顔が顔が顔が顔が顔が顔が顔が顔が恨みが怨みが憾みが! 無数に、無数にそこにあった)
        (瞳は漆黒。それはまさしくアサシンの衣のごとく。男を包んでいた黒は、他でもなく零した命達の色。白い仮面さえも塗り潰す闇のような、黒)
        (巨人が、肉の者が身動ぎする。ぬぢゃり、という粘液音を立てて立ち上がり、もはや物言わぬ抜け殻となった蜘蛛から現れいでる)
        (過去だ。これは紛れも無く複製された過去。だが、そうだ。それは「過去」でしかない。過去の、写し身でしかない)
        (あの魔王の。魔の者の見せた幻影ではない、厳然たるただの事実、過ぎ去ったものども。恨みめいた眼差しは、はたして悪意を持っているのか?)
        (隙だらけの愚かな人殺しに報いを。そう顔達が叫んだのか、巨人は蜘蛛の歩脚を一本掴み、引き千切る)
        (そして、一歩、一歩と。哀れな青年の成れの果てに歩み寄り。死神の鎌を両手で握り、振り上げて……下ろす)
        (そこに悪意はない。殺意だけがある。過去は未来をいずれ喰らう、だがもしその者に未来を切り拓く力が、心があるならば、あるいは――――)
        -- 2011-11-05 (土) 00:47:10

      • アサシン!!!!
        (自らのサーヴァントを呼ぶ、自分のどこにこれだけの力が残っていたのか)

        (苛立った。ただひたすらに苛立って、この苛立ちがどこに由来するのかもわからない。)
        (それは、すっかり自分なんて思考の外に追いやってしまったアサシンに対してか)
        (それとも、あんな禍々しい物に拐かされて簡単にその姿を見せた『    』に対してか)

        …っ!!
        そんなおぞましい物が、貴方の大切にしていた者ですか!
        そんな恨みがましい、汚らわしい物が貴方が救いたかった者ですか!
        (馬鹿げている、余りに馬鹿にしている。あの敵も、自分のサーヴァントも、あまりに人を馬鹿にしている)
        貴方の守りたかったものが目の前で冒涜されて
        (きつく握りすぎて、爪先に裂かれた手のひらから血が滲む。悔しくても涙というのは滲むのか、と思った)

        (何もかも苛立つけれど、一番苛立っているのは)
        …アサシン、私を見なさい
        我が身を御身の剣とし道を拓き、盾として守り…旗として威光を示そう あの言葉が嘘でないのなら
        今はそんな紛い物でなく、私を見なさい…!
        (私は救われた、という そんな事実さえ信じさせることが出来ない不甲斐ない自分だ)
        (今ここにこうして立っているのに、あんな『物』にさえ負けてしまう自分の存在が 一番苛つ) -- アルム 2011-11-05 (土) 01:04:15
      • (ただ、茫洋と。懐かしさすら覚える顔たちが、此方へ向けて近づいてくるのを眺めている。)
        (引き千切られた銀脚の色は、己の手の中のレイピアの色にも似て。そんな所まで真似なくても良いだろうに、なんて思いすら、頭の中に過った。)
        (懐かしい顔。二度と会えない相手。擦り切れた記憶の遠く、忘れかけていた父母の面立ち。それらが、怨嗟の意思と共に己を見て。)
        (そんな黒い感情の混じったものであろうとも、再開に僅かな喜びを覚えてしまう己の弱さを自覚しながらも、動けず。死神の鎌が、振り下ろされる直前。)
        ッ!?(耳に届いた大声が、身体を自動的に動かした。殺意の描く銀の弧を、仰け反るようにして回避して。そのまま後ろへと飛び、地へ手をついて縦に回転し、飛びすさる。)
        (巨人と距離をとって、伏せていた顔を上げた。歩脚の端が掠ったのか。仮面の左目部分が粉砕され、その下の瞳が、声の主人、アルムの方へと向いた。)
        (救うことの出来なかった人々の視線を受けながら、マスターを見る。己に救われたと。そう、戦いに臨む前に言った相手を。)
        (力足らず、この様に醜く利用されるに至らしめてしまった人々の末。漸く救えた一人が、大声で叫んでいる。)
        (届いた言葉に、驚き息を吸った。目の前の巨人に浮かぶ顔たち。恐らくは己と同様に、世界の記憶から複製された存在なのだろう。)
        (それが、己を恨むように見つめている。そうだ。己は、彼らを救えなかった。)

        (けれども。俺が救いたかった人々は、果たして、俺に救われたかったのだろうか。)

        (彼らは。少なくとも己の知る限りの彼らは、確固たる一人として、世界と向き合っていた。)
        (目標のために。大切なもののために。或いは、誰かを救うために。己の足で立っていた人ばかりだった。)
        (彼らは、俺を恨んでいるのだろうか。確かな自己を持っていた彼らが、今、あのような形で複製されて尚。救われなかったことへの怨嗟の声を上げるのだろうか。)

        (冒涜。その通りなのかもしれない。あのシスターの創りだしたこの巨人は。)
        (そして己の中の、恨まれ、償いたいという欲求は。己の救いたかった彼らへの、冒涜なのかもしれない。)
        (見上げる。巨人の姿を。そこに蠢く、多くの顔たちを。そして私を見ろと叫んだ、アルムの姿を見た。)
        (己の主が叫んでいる。惑わされるなと。叫んでいる。真実を見ろと。)
        (偽りの存在であるサーヴァントとして顕界した己の瞳で、本当を。私を見ろと。)
        (巨人の中に浮き上がる彼らも。もしかしたら。そう、叫ぶだろうか。)
        (分からない。己は何を信じればいいのか不確かで。けれど。けれども。)
        (この場で唯一、複製ではない。一人の人間であるアルム・アルムニィアの叫ぶそれを。)
        (己のこれまで助けたかった人々の叫びだと信じてもいいのではないかと、そう思った。)

        (再度巨人を見る。醜く捻くれた、フレッシュゴーレム。シスターの捻曲がった思想によって汚された、大切な人々。)
        (そこから向けられる怨嗟の視線は、己の内側へと潜りこもうとする。恰も身に刻まれた、呪いのごとく。)
        (そしてその呪いを呪いたらしめるのは己であって。そして今、アルムの言葉を信じるとするのならば。)

        << 誰も知らない真の相貌(リグレット) >>
        ―――その者の過去を深く知らずして、その者の内側へと入り込むことは出来ない。

        (過去に巡りあった人々の事を曲解し、信じることの出来なかった己のかける呪いなど。己の内に潜り込むには能わない。)
        (発動した宝具は、今、呪いを破砕した。空間に、生木の圧し折れるような音が一度響いて。)
        …アルム。(次いで、声がした。仮面の内側から、静かな声。)
        ごめん。それと、ありがとう。(ゆっくりと、アルムへ向けて振り向いた。露になっている左目は、僅かに笑んでいて。)
        力、貸してくれないか。 -- 黒衣 2011-11-05 (土) 01:42:03
      • (過去は呪いだ。憾みもまた。だがそこに悪意はなかった。それ自体がアサシンの、■■■■の過去だったとしても。複製には"過去がない"。)
        (何者も知らぬその素顔。知らぬものを恨むことが出来ようか? 答えは否だ。べきり。音と共に顔達の黒眼が、爆ぜる)
        (それは捻くれていた。捻くれていたが故に届かない。男真っ直ぐと見る、己が救えた主のことを。そして次に見据えるは、おそらく敵。殺意を以て)
        (巨人が、肉のゴーレムがのそりと起き上がる。片手には抜き取られた、しかし力に耐え切れず折れ曲がった鎌。その様は使者にして屍者の如く)
        (纏う死臭、腐った風もまた呪いのよう。だが届かない。風の名を持つ男はそれ故に悪しき風を受け付けない。むしろ今、それは味方にさえなるだろう)
        (そして。笑んだ男が目を逸した刹那、巨人は逸った。そう、意志なきその狩人はたしかに焦っていた)
        (獲物を殺すため生み出されたモノ。万が一、億が一にも敗北はあり得ない。逆転など尚更で。造物主はそう確信してこれを創ったことだろう)
        (巨人の鎌を持たない左手が鞭めいてしなり、振るわれる。ブンッ、という腐臭とともに放たれたのは、指先そのもの。肉の塊を放ったのだ)
        (その色合い、粘度、どちらを取っても先の糸塊と同一であることは明白。可燃性は更に高まり、着弾と同時にそれは爆ぜる)
        (なぜ間合いを詰めなかったのか? 否、"詰められない"のだ。なぜ近づけない? 明白だ。近づけば"殺されてしまう"だろうから)
        (繰り返そう。巨人はアサシンを、愚かな人殺しの末路を殺すためだけに創られた。そのために複製され、ねじ曲げられ、固められた歪みの結晶)
        (相手が黒衣の暗殺者であれば。仮面に過去を隠した哀れな青年の成れの果てであれば。万に一つ、億に一つも敗ける道理はない)
        (だが。)
        (そこにはあるはずなのだ。)
        (黒衣の男が、■■■■が、己を殺すために創られたまがいものを殺し、殺されぬという"可能性"が)
        (殺意があった。主がいた。いや、それだけではない。生まれようとしている。可能性が、一方的な狩りを「戦い」へと押し上げるその理由が)
        (巨人はそれを恐れていた! なぜならば、その男の仮面を剥いだのは自分自身、「それ」があることもまた識っていたからだ!)
        (直撃すれば動きを固め、即座に獲物を爆炎へと飲み込むであろう肉の塊が飛来する。避けたところで足場が崩れ落下は必至)
        (それが黒衣の暗殺者ならば。巨人が畏れ、避けようとしていることが起きないのであればの話だ―――――!)
        -- 2011-11-05 (土) 02:13:05
  • ──────────────────────
  • - 再世の塔 ・ 三階層 -
    • 告知
    • 君たちが再世の塔を奥へ奥へと進むと、そこにはシスターの姿がある。
      彼女は君たちの姿を見て尚、口元に穏やかな笑みすら浮かべている。
      -- ??? 2011-10-27 (木) 00:41:22
      • ひゅーう!? あれあれオ嬢ちゃんもなにそれすげークールー!? あ、;鉄の魔女と闇の魔女……あー、きたきた、来たよ! かなりキてるよぉ
        ははははは! 面白い、面白いじゃないか、まだまだやっぱり面白い詩はいくらでもかける! さぁ、聖杯とやら! もっと俺に面白い話を見せてみろ! 面白い詩を見せてみろ!
        できねぇならぶっ壊すだけだ! はーっはっはっはっはっは!! -- リーア 2011-10-27 (木) 00:43:32
      • へぇ、挑発的じゃねぇか……いいぜぇ、乗ってやるよ。俺にもっとアンタの詩を聞かせてくれよ
        全部ぶっ壊して騙ってやるからよ
        (狂笑を浮かべて進む。その足取りに澱みはない) -- リーア 2011-10-27 (木) 00:47:39
      • 「鉄の魔女」なかなか素敵だわ。さすが詩人さんね(興奮するリーアを見てくすくす笑い)
        (ひたすら奥へ…そして)
        (いつか見た顔。少しだけ目つきがきつくなる)…あら、お人形さんがまた人の真似? -- スー 2011-10-27 (木) 00:50:04
      • 狂人が……(吐き捨てるようにいって塔へと進み、全ての元凶。シスター・シモーネの姿をみて眉根をあげる)
        だが、今はお前と目的は一致する…破壊する。聖杯を血に染める。その為なら戯曲の登場人物にもなろう -- ジェーン 2011-10-27 (木) 00:55:29
      • 狂劇の詩人、魔王の花嫁、そして戦嵐の魔女よ。偽りの時代の使者たちよ。よくぞここまで来ました。
        と、言いたいところですが。ここは再世の塔の制御装置の一つ。あなたたちに踏み荒らして欲しくはない場所です。
        なので。(シスターが手を上げるとその後ろから貴賓の如き礼服を着た紳士が現れる)あなたたちにはここで死んでもらいましょう。
        ミスター・ゲオルド。彼らの処理はよろしくお願い致します――以上。 -- シスター 2011-10-27 (木) 00:56:28
      • ふん、数あるドライブの一部に過ぎないだろうによく言う……しかし、お前が現れるということは放置できない場所でもあることは確かなんだろう
        (銃口を向ける。9mmの嵐がどれだけ通用するかは分からない……それでも、やらずにはいられない) -- ジェーン 2011-10-27 (木) 01:09:34
      • (オールバックの紳士はシスターと銃口の間に立ちはだかり、ニヤリと笑う)
        (その口元には鋭い牙、そして極端に色白の肌と爛々と赤く輝く瞳)
        ――ごきげんよう、お嬢さん(フロイライン)。そんな物騒なものは捨てて私と踊っていただけるかな? -- ゲオルド 2011-10-27 (木) 01:16:08
      • つまらない話に付き合って死ぬような命は持ち合わせていなくてね。面白い話なら考えないでもないんだけど……今回はダメだわ。ダメダメ
        だから俺が違う話にしてやるさ
        (タロットデッキを取り出し、カードを投げつける。絵柄は……世界)
        安心しろよ。新世界は冷たい理性と奇跡の狭間……そうだろ? お望み通り冷たい理性で否定して奇跡の狭間で転がしてやるよ
        黄金の時代ってのはアンタの語る時代じゃない。俺の騙るこの世界だ -- リーア 2011-10-27 (木) 01:17:01
      • 偽りの時代…偽りの存在がよく口にできるわね。スーも作り物なのだけど…(喪服の花嫁はヴェールで隠すように傘で表情を隠し)
        生憎、荒らされたくないのはこちらも同じなのよ。スーのお屋敷が壊れたら大変だもの。
        食べ応えのありそうな子達ね?ふふっ。倒してもらった死体はお腹の子の栄養になってもらいましょう(愛しげにお腹をなでて、子供に話しかける) -- スー 2011-10-27 (木) 01:17:06
      • (一目で悪意に満ちた存在と分かるその紳士を見て、緊張感が高まる。背後の詩人よりはいくらかマシな存在だろうが、そんなもの基準にしても仕方がない)
        生憎と急ぎ用事があるんで、な
        (唐突に引き金を引く。無駄とは分かりつつも不意打ちを試みる) -- ジェーン 2011-10-27 (木) 01:21:31
      • (リーアから投げつけられたカードを指先で摘み取る)
        …可哀想な方。黄金の時代が始まるというのに。全ての幸福がそこにあるというのに……
        (『世界』のカードを捨て)あなたが騙る全ては黄金の時代を前に意味を成しません。
        偽りの時代にて偽りの命が孕んだ偽りの申し子。一切の矛盾なく共々にここで葬り去りましょう。
        醜き肉の人形に黄金の時代は似合いません。どうか良き終焉を迎えますよう。
        そして戦嵐の魔女。あなたさえ打ち倒せば御一行の全滅も間近でしょう。
        どうか最後のダンスをミスター・ゲオルドとお楽しみください――以上。
        (瀟洒に笑うと一礼し、闇へと紛れるように姿を消した) -- シスター 2011-10-27 (木) 01:28:21
      • (ジェーンが銃爪を引くと同時に紳士の姿が無数のコウモリとなって散る)
        (数匹のコウモリの死体がその場に落ち―――次に紳士はジェーンの後方に姿を現した)
        さぁ、踊ろうではないか。(姿勢も美しく右手を差し出す)黄金の時代の幕開けに相応しい、流麗な舞を。
        (紳士が指を弾くと衝撃波が一条、ジェーンに向かって放たれる!) -- ゲオルド 2011-10-27 (木) 01:32:04
      • 殺させないわよ。殺す事なんて出来ない。この子はスー達と違う。本物の血肉を持っているもの。
        人形になんて…あっ!!待ちなさい!!(駆け出そうとしても間に合わず、人形が消える)
        くっ…この幕が終わらないと駄目ね(戦いたい。けれどこの体では無理だ。そろそろ動くのも辛くなってきたというのに)
        (壁に寄りかかるようにして戦いを、輪舞を見守る) -- スー 2011-10-27 (木) 01:45:11
      • 吸血鬼……!? 詩人! 女! 退避しろ!(蝙蝠の死骸を見て瞬時にソレに思い当たり、身を翻して柱の影に隠れる)
        (直後に襲われる衝撃波によってごっそりと削り取られる柱の惨状を見て舌打ちする)
        ……くっ……ああいう割り切れない手合いが一番苦手だ -- ジェーン 2011-10-27 (木) 01:49:08
      • え、退避っって……おおっと、そういうことぉ
        (『運良く』衝撃波が柱にぶつかって事でそれ、詩人の身体を避けていく。しかし、吸血鬼と聞けば、深く笑う)
        おねーさん、吸血鬼といえば……伝承なんて山ほどあるよなぁ?
        (ならば必勝といわんがばかりに深く) -- リーア 2011-10-27 (木) 01:51:26
      • (柱の影に隠れながら、その詩人の深い笑みを見てこちらもまた笑う。不敵に、静かに)
        ……ああ、その通りだな……なぁ、詩人、その帽子の飾りは……やっぱり話のネタなんだろう?
        (詩人の帽子にぶら下がる星と月を見て、こちらもまた必勝を確信する) -- ジェーン 2011-10-27 (木) 01:55:24
      • 吸血鬼?(ステップを踏むとジェーンがいる方向に向き直り)ノンノン。もっとスケールの小さなものです。
        蝙蝠男やサヴェッジ・ヴァンパイア等と呼ばれますね。あんまりにもあんまりだとは思わないかな、フロイライン。
        (コツコツと足音を立てながら抉れた柱の影にいるであろうジェーンへと歩み寄る。あくまでも、ゆっくりと、優雅に) -- ゲオルド 2011-10-27 (木) 01:56:36
      • (その確信に対して再び深く頷き、帽子の縁に手を伸ばして)
        ああ、吸血鬼が相手なら御誂え向きのネタさ
        (帽子を放り投げる) -- リーア 2011-10-27 (木) 01:59:24
      • (退避。そう聞こえた瞬間に動こうとして…体が重く、衝撃波の余波で壁に打ち付けられた)
        きゃっ…!!!!!!!!!!!
        (お腹を両手で押さえて、床に崩れ落ちる)…危ないわ…ね。身重の体に無茶させないで頂戴。
        (ゆっくりと起き上がると笑ってみせる。まだ立てそうにない)…気障な男は嫌いよ。早くお芝居を続けて頂戴。観客のスーが動けるうちに。 -- スー 2011-10-27 (木) 02:02:24
      • たしかにあんまりではあるな
        (高く響く高価な靴音。それだけでも相手の余裕が如実に伝わる。相手はこちらを侮っている)
        詩人風にいうなら……
        (足音で距離を測る、そして、ゲオルドの顔に詩人の帽子の縁が重なったその時)
        お前みたいな手合いの死は話としてありふれている
        (身の乗り出してUZIのトリガーを引く。狙いはゲオルド……ではなく、詩人の帽子のつばについた銀飾り)
        ありふれた話はありふれたシルバーバレットって十分だ -- ジェーン 2011-10-27 (木) 02:11:49
      • 無駄、無駄。(両手を広げたままジェーンに近付いていき)無駄な抵抗はお止しなさい。
        すぐに血を吸い尽く(バス、と気の抜けた音を立てて額に開く穴)……してあげるというのに。
        こんな銃弾、何千発受けようと私は………?(話している最中、鼻血が床に零れ)
        ……ぎ、銀弾…ではない、銀飾りを銃弾ごと………!?
        (目、耳、口と血が溢れてくる)馬鹿な、牛の眼を射抜くような正確な銃の射撃だろうとこんなことは……
        こんなことが……できるわけがない……!!(牙を剥いて吼え)
        シスター・シモーネ……お、お許しを……(ごぷ、と血の塊を吐き出すと紳士は立ったまま動かなくなった) -- ゲオルド 2011-10-27 (木) 02:21:21
      • 正確? ……はっ、世辞は嫌いじゃないが、下手な鉄砲も数を撃てば当たるだけさ(完全に弾を吐き出しつくし、ただの荷物になったUZIを投げ捨てる)
        詩人、メインアームがなくなった。もう弾薬が尽きそうだ……そろそろクライマックスにしよう -- ジェーン 2011-10-27 (木) 02:27:54
      • そうだねぇ……面白いお話も一杯見れたし、ネタもたんまり頂いた(メモを取る手を止めて、部屋の中心にある焔を見る)
        最後は爆破オチってのも悪くない……笑い話すればみんなハッピーさ -- リーア 2011-10-27 (木) 02:34:00
      • 後ろで結んだ長く艶やかな黒髪が揺れた。
        部屋の奥。光の当たらぬ闇、それが続く通路。
        そこを黒の鎧を身に纏う少年が歩いていくのが見えただろう。奥へ、奥へと――
        -- ??? 2011-10-27 (木) 02:36:33
      • しかし、妊婦さんなのに無茶させすぎたね、ごめんねお嬢ちゃん、大丈夫……じゃなさそうだね……(ぱんぱんと帽子払いながらスィーニに手を伸ばすし)
        あれ? あそこにいる黒髪の子は……
        (それに気付く) -- リーア 2011-10-27 (木) 02:41:49
      • 終わったの、かな(動かなくなった吸血鬼を見て、ふーとため息をついて小さく拍手)ふふ、なかなか素敵なお芝居だったのよ。
        いただきますなの(影が伸びて死体を引きずり、すりつぶすような音が響く)…これでちょっと動けるかな。
        …あ。ありがとう詩人さん。貴方話を作るより役者の方が向いてるわ、きっと(手を借りて、ゆっくり立ち上がる)
        鉄の魔女、ふふ貴方は魔女よりも騎士のほうが素敵で似合うと思…
        (そして微笑を向けようとして―――)
        (――幻を見た)

        (ううん、違う…違うわ、幻なんかじゃない)
        ……ごめんなさい。あとは観客無しでお願いね。素敵な物語を、ありがとう。
        スーも自分の物語を続けるわ(二人にドレスを広げてお辞儀する。優雅な笑顔で)

        (そして……黒髪の少年を追いかけて闇に消えた) -- スー 2011-10-27 (木) 02:50:34
      • え、いやちょっとま……自分の、物語……?
        (闇に消えた少女を見て、ただ見送る。手を伸ばす事は出来ない)
        (今はそうするべきではないと、直感的に悟った)
        ……機会があれば、その物語もみたかったんだけどね……(がりがりと頭をかきながら、背後のジェーンに語る)
        そうだね……さて、語りの最後の仕上げだ……

        やってくれ、鉄の魔女 -- リーア 2011-10-27 (木) 03:14:06
      • (消えていく闇の魔女……恐怖に竦んでまともに取り合うことすら出来なかったその存在を見送り……詩人の言葉に頷く)

        分かってる……戯曲の語り手

        (厳重に耐火処理を施していたペンダント……ソレを捻って開き、中に仕込んでいた粘土状のソレを取り出し、中枢に仕掛け……腰元のハンドグレネードを一つおく。ピンに細工をして、起爆を遅延させたタイプ……ようするに即席の時限爆弾だ)
        (残りの弾薬もしこたまおいて、駆け出す)

        (口元に僅かに満足気な笑みと、いくらかの寂寥を表情に込めて) -- ジェーン 2011-10-27 (木) 03:34:17
      • リーアとジェーン、そしてスーが別れたこの部屋は中央の焔もろとも爆発に消え去ることだろう。
        塔の制御装置の一角が崩れた後の物語は、ここではないどこかで語られるはずだ。
        今は不吉な影だけを伸ばしながら―――
        -- ??? 2011-10-27 (木) 03:40:55
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Last-modified: 2011-11-08 Tue 04:32:27 JST (4335d)