HILDE BRAND †
世界的大企業。街で人に聞けば
「あ、あれね、おむつとかベビー服の!」
「時計メーカーだろ?知ってる」
「なんだっけ、魔導器とかの・・・パーツメーカー?」
「うちで使ってる部品の仕入れ先だよ、結構有名なのか?」
答えは多種多様でとりとめない。
企業概要 †
【巨大複合企業集団】
ヒルデブランドは海運を中心に独自の国際的ネットワークを持つ企業複合体。
創業は黄金歴98年、創業100年以上の老舗。複合企業なため、特定の
商品というものがなく、食糧・雑貨日用品・家具・工業機械・金融・サービス
思いつく限りありとあらゆる業種で『HILDE BRAND』の名前を見かける。
それらは元々ヒルデブランドとは関係の無い別の企業が買収されてできた
一部門あるいは子会社的なもので。ヒルデブランド社の巨大な組織のほぼ九割
がそういった元は外部の企業で、それらの経営管理は全て『役員会』と呼ばれ
る、上位組織が統合している。
【ヒルデブランドに本社は存在しない】
世界中に一万ヶ所以上のヒルデブランド社営業所や工場は全てたった数人の
『役員会』の指示によって動き、実動を担当する人員以外は一切居ない。それ
にも関わらず
「役員会は従業員のパンツの穴まで把握してる」
と言われる程にその経営指示は休みなく、完璧に下される。実はそれがヒルデブ
ランドという巨大な組織が提供する最大の商品で武器。
※ヒルデブランドの傘下企業群には経営者に相当する役職が無い
複雑かつ正確に一つの意思の元に各営業所の業務を連携させ、今も緩やかに
増殖を続けるそのネットワークは。しばしば神経細胞や電子回路的な連携に例え
られる。全容の把握は外部からは困難、端緒を見て類推することも不可能な
高度に有機的な組織というわけである。
社外秘 †
【HILDE BRANDの本業】
組織の殆どはごくごく普通な一般企業、だけどそれは、利益を上げるための
手段でしかない。HILDE BRANDという組織が存在する理由はCEOである『ヘロルド卿』
の研究を支え、あるいは利用するため。
創設者であるヘロルドは貴族の家の生まれで天才的化学者。現在の代表取締役と
名前が一緒なのは、表向き、ヒルデブランドの前身となった海運会社『Baumgard ein
schiff』を作った先祖のヘロルド卿にあやかり代々同じ名前を継いでいるとしてる。
でも実は創立から一世紀以上経つ今の最高経営責任者ヘロルドも創立当時のヘロルドと同一人物
彼の作り出す現代の人間が科学でも魔法でも生み出せ得ない特異な技術の一部を
使って、ヒルデブランド社は企業規模を拡大してきた。
【悪意無き狂気】
ヘロルド卿の研究はそのまま表に出すと、全方位からフルボッコにされ兼ねな
い、ヤバイ物が多々存在するため、ヒルデブランド設立当初からかなり厳重に
極秘事項とされた。ヒルデブランドの代表者の所在が掴みづらい組織づくりも
その一環。余りにヤバすぎるものが大量だったため、ヒルデブランドは生物兵器
の製造で成功したとか、大金持ちや国相手にヤバい商売をやってるなんて噂が
大量について回ることになった。しかもその幾つかは事実であったりする。
ヘロルド卿本人には悪意や野心等のギラつくものが皆無で彼なりの想いという
ものに誠実な人物なようではあるが。
【巨大すぎるが故に】
ヒルデブランドはあまりにも巨大で関わる人間も膨大であり企業という
特性から巨大な資本と権力を有する組織でもある。また非常にシステマチックに
機能するヒルデブランドの運営を司る『役員会』もその構成員は人間であるが故
色々な問題も起きるようである。
不穏な話し †
【周期プロジェクト一七五一号】
ヘロルド卿が現時点での技術レベルの確認とレベルアップを目的として
ヒルデブランドの技術を定期的に総結集して行うプロジェクトがある。それで
生産されるのは、生科学・重工業技術の結晶である『生きた少女の人形』
今回作られたのは『P-17・ソーラ』と呼ばれる量産可能なタイプの少女人形
でヒルデブランド社の次世代を担う技術の塊なのだが。この人形の製造に
深く関わっている傘下企業の一つが、得られた技術を用いてヒルデブランド
からの脱却を目指して、何やら水面下で活動している。その動きには『役員会』
のメンバーも関わっているようで・・・。
前回の同プロジェクトで『双子姉妹、アデーレ・リーゼロッテ』を生み、今はソーラを
生産する拠点となっている街はずれの古びた外見の屋敷は、物々しい警備と
忙しなく出入りする車両の列が騒然とした不穏な空気を放つ。
※生産プラントはヘロルド卿の別荘で、外見は洋館だが、中は巨大工場
ヘロルド卿について †
【青髪の魔女】
なぜヘロルドが特異な天才となったのか。話しは遡って黄金歴80年代後半。
ヘロルドの祖父、六代前のヘロルド卿が航海中、奴隷として捕まえていた原住民
の反撃にあって殺された。その後、親族間で跡目争いが続いた時、少年だったヘ
ロルドを助けた、冒険者の街から来たという黒い服を纏った少女との出会いが始まり
ヘロルドは少女の力の源の一部を垣間見せられた事で、惑星中に存在するすべての知性を足し
たよりも膨大な量の知識と記憶が彼の頭の中に刻み込まれることとなった。
余談だが、ヘロルドが膨大な情報の渦に呑まれ、ショックから目覚めた時の
少女の第一声は
「悪い悪い、ちょっと呑み過ぎて手が滑った」
【HILDE BRANDの誕生】
跡目争いが集結すると、青い髪の少女はふらっと姿を消した。探しても彼女は
見つからず、それ以来ヘロルドが彼女に会うことは無かったという。
ヘロルドは彼の頭の中だけに残された。膨大な量の知識を
地上に再現する作業に取り掛る。そうしていると、また彼女と会えそうな気が
したから。しかし研究費はかさみ、祖先から受け継いだ財産も祖父の会社も全部
喰いつぶしそうな勢いだった。
そんな折、当時の貴族階級の流行りで留学と称して諸国を歴遊していた貧乏貴族の
三男坊の『ロバートパーク』という男とヘロルドは出会う事になる。ロバートパークは奇妙な物をつくっている
という、ヘロルドの噂を聞き興味を持った。もっともヘロルド卿の屋敷があった辺りは酒の
名産地で見目麗しい美女の過激なパフォーマンスで客を引く酒場が沢山軒を連ねる
ことで有名だったから、そっちが本命だったと思われる。
しかし先祖伝来の屋敷を覆い尽くすように得体の知れない機械群で埋め尽くし。
「今にこれはもっと大きくなるよ、巨大な都市構造物があの空にある星を飲み込むんだ
これはその、ほんの小さな種に過ぎない」
等と真顔で言ってのけるヘロルドの天才性を認め、その才能の一番の理解者となっていく。&nr;
学究肌で籠りがちな変人なヘロルドと違い明るく社交的で稀代の商売人として
歴史に名を残したロバートパークという男も結構アレだったのかも知れない。
その後、ヘロルドが再現と呼ぶ研究と、大貴族だったバンガード家の力を利用し
ロバートパークが事業を展開。これが今のヒルデブランドの元になった。