悠久の車輪家出身 王宮親衛隊 タイガーアイ 317583 †「この俺が…敗れる…だと…」
暗く、淀んだ空気が充満した洞窟に、掠れた声と足音が響く
「俺が負けるはずが無い…これは…何かの間違いだ…!悪い夢だ…!」
「俺…は…車輪に選ばれるべき男なのだ…!こんな、こんな筈が…!」
タイガーアイは、苦し紛れに壁を叩き、そのままその場に膝を折った
…未来は示された
そう、貴方は…車輪に選ばれなかったのよ
突然、目前から厳かな声が降りかかる
顔を上げた先には…虹色に輝く水晶を手にしたマーメイドの姿があった
「何をっ…!?貴様は一体…!」 驚愕するタイガーアイをよそに、人魚は続ける
貴方は、車輪が与えた試練を超えることが出来なかった
あなたはこの世界に拒まれた
「な、何だと…貴様!何を言っている!?あ…あり得ん!断じて…断じてあり得ん…!」
人魚は問いかけにも答えず、しかし憐みの欠片も無い表情を浮かべたまま…彼を指差した
さあ、戻りなさい。元居た世界へ―
慟哭するタイガーアイを、光が包み込んだ
「お…俺はスケールギルドの副官なのだ!いずれ王もしのぐ存在となるべき男だッッ!俺は、俺は――――ッ!!!」
眩い光と共に…その姿は、跡形も無く消え去った
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