黄金暦151年 5月 珍しい茸捜索依頼 †
気がつけば、もうそろそろで一年が経とうとしている。
冒険にもすっかり慣れ、実入りも上々。なんら苦無く生活できるようになった。
欲を言えばもう少し刺激がほしいくらい、か。まあそんな欲求もすぐに満たされる。
見慣れない名前が並ぶ来月の依頼書。去年の九月以来の鉱脈探索。
マスター曰く「戦いは避けられない」だと。面白い。
黄金暦151年 4月 珍しい茸捜索依頼 †
いつもと同じ依頼、いつもと同じメンバー。
最近冒険がつまらないと感じることが多くなってきた。
帰還した後、マスターに方針変更の旨を伝え、帰宅する。
来月の依頼は確定しているらしく変更はきかなかったが、再来月からはもう少し刺激的な旅になるだろう。
私はこんなことの為にここにきたんじゃない。そうだ。
ただ日常を過ごすだけの毎日はもう飽いた。そうだ。
黄金暦151年 3月 珍しい茸捜索依頼 †
なんだってこんなものを手に入れてしまったんだ。
よりにもよってこんな野蛮 じゃなくて、そうこんなデカい得物を!
いつも同行するあいつの視線が痛い…来月も一緒だというのに!
まあ、なんだな。茸採取ばかりじゃ少し飽きもくる。
そろそろ薬草採取の依頼でもこないものかね?
黄金暦151年 2月 珍しい茸捜索依頼 †
今更だが、新年の用意やらなんやらで先月の日誌を付け忘れていたようだ。
いやそんなことよりも今月の依頼はすごい収穫があった。
幻覚成分のシロシビン、またはシロシンを含む菌類。
LSDに勝るとも劣らない効力。
そう、所謂マジックマッシュルームというやつだ。
栽培用にこれは取って置く事にする。
ところでこの「茸好き」ってのはどうにかならんのかマスター!!
黄金暦151年 1月 珍しい茸捜索依頼 †
黄金暦150年 12月 珍しい茸捜索依頼 †
最近気付いたのだが、冒険に同行する者が大体固定されてきたようだ。
あの若者は先々月から、あのでかい男にいたっては4ヶ月くらいずっと同じ依頼に行っている。
確かに、同じ面子なら連帯感も現れ、依頼の成功率もあがるだろう。
それに顔馴染みが出来るのは嬉しいことだ。これも酒場のマスターの配慮なのだろうか。
買出しの道中で、大きなクリスマスツリーを見つけた。
この街にもそういう習慣はあるらしい、と、雑貨屋で小さなツリーを一つ買った。
メリークリスマス。
黄金暦150年 11月 珍しい茸捜索依頼 †
冒険者の間でも、暗黙の了解というものはあるらしい。
例えば、依頼の途中で見つけたお宝の分配方法だ。
誰が見つけようが、冒険終了後にくじ引きで取り分を決める、ということなのだが、これがまた理不尽なものなのだ。
たとえ味方にバリバリの魔法使いがいたとしても、剣士が杖を持っていってしまったり……その逆も然り、だ。
つまり何が良いたいかというと、
私にも分け前をくれ…ッ
黄金暦150年 10月 珍しい茸捜索依頼 †
(少しページが濡れている……インクが滲んでよく見えない)
※買い物メモ
雨具(合羽・手頃な大きさの傘)
黄金暦150年 9月 鉱脈捜索依頼 †
今月はまた違った依頼が来た。南西にある洞窟で鉱脈を探してくれ、だそうだ。
世間は初秋、風が心地良い。少し行った後道を逸れ、洞窟に入る。
洞窟の中は少し肌寒いくらいで、灯りの松明が有難かった。
デカいコウモリや狼(洞窟に狼とは…)を蹴散らし、サクっと鉄脈を発見。
そういえば、捜索中にいかにもな宝箱を見つけた。が、何故か同行者は俺に開錠を任せるという。
胡散臭いだの怪しいだの、当人の目の前で言うことじゃなかろうに…。
開錠できる筈も無く、惜しみながらも先を急いだ。今度知り合いのロックスミスに技術を教えてもらうことにしよう。
黄金暦150年 8月 珍しい茸捜索依頼 †
この地に来て早三ヶ月、もうすっかり夏になった。
こんなくそ暑い中で森に行くのは少し気が引けるが、仕方が無い。そろそろ出発するとしよう。
(なにやら乱雑に書きなぐってある)
あのフレイディスとか言う女、一つ目の罠を回避して調子に乗りおって!
すぐ後ろの二つ目に気付かずドカンだ!忌々しい!
新しい服を調達せんと…小汚い狼にも噛まれて散々だ…クソ!
黄金暦150年 7月 珍しい茸捜索依頼 †
今朝キャスターが「時々雨」と言っていたのを今思い出した。全くやってられん。
鬱蒼とした森を進んでいくと、5〜6歳の子供くらいはある大きなネズミに襲われた。
所詮は鼠だが、こういう生き物は病原体を持っていることが多い。手早く片付け、足を進める。
ちょうどそのあたりから雲行きが怪しくなってきたのだが、不運にも屋根となる草木もない広場に出た途端に降り出しやがった。
……星占いばかりでなく、天気予報にも目を通すべきだったな。
しかしながら結果は上々、途中で掘り出し物も発見した。少し濡れたくらいは多目に見るとしよう。
黄金暦150年 6月 はじめての冒険 †
この町に越してきて最初の依頼だ。
酒場のマスター曰く、「屈強な男だろうがか弱い娘さんだろうが、最初はこの依頼を受けるもんだ」らしい。
聞くところによると、街近くの洞窟奥にいるゴブリンを退治してほしいという。
生憎私は魔物に興味が無い。狭い洞窟をずんずん進み、出てきた小人(のような…見たこともない生き物だった)をパパッとこらしめる。
これだけで金が貰えるのだから素晴らしい。
次の依頼は……珍しい茸捜索依頼?
珍しいキノコとは、なんともいかがわしい響きだ。楽しみにしておこう。
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