その場所には奇妙な猫が切り盛りする診療所があり
なかなかに繁盛していたようです。
ですが、ある日を境にその姿をぱったりと見なくなり
患者さんは困り果てました。
ある者は
「気まぐれな猫らしく、どっかいってしまったんだろう」
事情通らしいある者は
「いや、あの先生はもとの姿に戻ったため姿を隠したんだろう」
また同行した冒険者は
「奴だって冒険者。いなくなったということはつまりはそういうことだろう」
などと噂されたようです。
ただ、一つだけ確かなことは
そこに猫が戻ることは今後一切なく
主を持たない診療所は彼に関する記憶と共に風化していきました
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