ドロウ・リトリッチ 453586 Edit

3月、養成校が終わり卒業式の頃のことは覚えている
洞窟に探検に行き、運良く盾をもらい、酒場に戻り報酬を貰った
…それから、寮を引き払い。街を出た
ここまでは覚えている。



深い眠りだったと思う。夢は見なかった、見ていたかもしれないが恐らく、忘れてしまっていたと思う。
目を開けると、未だ暗闇だった。椅子に拘束されている
『おはよう、気分は?』
「最悪だ」
『そりゃそうかー。あ、約束通り刻限過ぎたから君の魂は我のものになるよ』
「死ぬということか」
『ちょっと違う。我の為になっていろいろしてもらう』
「例えば」
『えーっと、簡単にいうと作った器の中身になってもらう?みたいな?』
「……、…具体的に」
『我の作った体は気に入ってくれるかなー』「訊けよ」
『ま、次起きたときはおにんぎょさん、ってことだよ。』
「…やれること位はやる」
『そういう決意はいいから、君は魂がすり減ってなくなるまで我の意思通りに動くお人形さんなのだ。それじゃ お話はおしまい。』
「……。」
急激に意識がブラックアウトし出す胡乱な空間の中、一言だけ聞こえた
『あ、最後に一つだけ、生きてて楽しかった?』
応えたかったが、もはや口にすらできなかった。


Last-modified: 2011-08-07 Sun 06:36:27 JST (4648d)