王位の奪還を目的として街を去ったガゼットだったが、達成されることはなかった。
コルテージュ内で日陰者扱いだった人間を多数掻き集め、クーデターと無血開城に向けての準備を着々と進めるも、彼の妹が手繰る巧みな術により、その目論見は悉く失敗に終わった。
しかし王家の血を引く彼を君主として支持する声は根強く、コルテージュ領地の一部貴族と南部の鉄道を運営していた民間公社までもがガゼットの側につき、
黄金歴215年ついにガゼットを初代国王とし「南コルテージュ」を自称する新王朝が樹立されることとなった。 自らの王位を正統なものであると主張する北コルテージュ。
北に我関せずと独自の道を突き進む南コルテージュ。
一つの血は二つに別たれた。
長きに渡るコルテージュ南北戦争の、これが発端である。
黄金歴215年の3月。
大陸の端に位置する街から遥か離れた異国の地で。
名も顔も知らない生徒たちを祝する一人の男と一人の女の姿があった。
「卒業おめでとう、若者たち」
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