イモージェ家出身 ユンシア 49186 †〜困ったことになったわねぇ〜 「あたしが結婚……? えええっー!?」 そりゃまあ……そんな話が出てもおかしくない年頃だし、山の中で育った割には肌も綺麗で家事も得意だし、お買い得な娘だと自分でも思うわよ。自分で言うことじゃないけど。 でもね、まだそんな気はないんだけど……ねえ? で、お父さん、どんな人なの? ……ふんふん、隣村の村長の息子? 絶対に、イ・ヤ・よ!! あの態度と図体ばっかり大きくて嫌みなヤツでしょ!? ええ、水利権で揉めてるから断るとうちの村が困る? それじゃあまんま生贄じゃないの!? 大体うちの家は薬草で生計立ててるんだから水利権とか関係ないじゃないの! 村長が頭下げてきたからって……何であたしなのよ!? 村長の孫のネヴィリアとか長老さんの曾孫のアムリルとか、あたしじゃなくたって他にも適当な子いるじゃないの! 二人とも先約があるって? ……そんな話はちらっと聞いてたけど、あれ本決まりじゃなかったはずなのに。 あっそう、もう決まったの。 そりゃあたしでもあのドラ息子の嫁にされるぐらいなら手近なとこで妥協するわよ。 でもねえ……。 ……わかった。わかったってば! 一晩考えてみるから。今日はもう寝るわ。 おやすみなさい、お父さんお母さんお兄ちゃん。 はぁ……。 考えるったってねぇ。 どうしよっかなあ。 どう考えてもこのままじゃ逃げられないよね……。 ……逃げる? そうだ! コール兄ちゃん! コー兄のとこにしばらくおいて貰えばいいか。 ……押し掛けても平気だよね。 冒険者になってからは一度も家に帰って来てないけど追い返したりはされないよね。……多分。 口じゃ何のかんの言うけど、コー兄、あれで優しいとこあるし。 ついでにあたしも冒険についていったりして。 なーんて……。 女冒険者ユンシア・イモージェ。 うん、うん! ……いいかも! 決めた。 あたしも村を出よう! あれと結婚させられるぐらいなら冒険者の方がよっぽど気楽よね。 父さんたちには申し訳ないけど、ユンシアは悪い娘になります。 本当に、ごめんね。 さて、あしたからは早起きしなくちゃ。 承諾の返事伸ばして貰って、そのうちに旅装とか用意すればいいか。 とりあえず、置き手紙でしょ、当座の食べものでしょ、武器も……武器はコー兄に相談してからでいいか。旅籠の給金が出るのが明々後日だから、それを路銀に充てて……。 よし! なんとかなりそうね。 そしてあたしは結婚話の持ち上がった数日後、開放感とわくわくとした気分を胸に、村を後にした。 ……夜中に、こっそりと、だけどね♪ 〜その後、冒険者として〜
〜雑記&いただき物〜
〜妹を訪ねて下さった皆様へ〜 炎魔術入門者・ユンシア・イモージェ ──黄金暦89年 8月、人型の怪物討伐依頼にて死亡── 妹と仲良くしてくださった皆様に最上級の感謝を。 コール・イモージェ 拝 最新の10件を表示しています。 コメントページを参照 本日泉で性別と祝福を受けられた方は1人です |