目次 †
召喚魔導 †
魔とは表面上の定義においては魔力と言い換えることもできるだろう、だがその実態は…
- 概略
- ガリア諸国地域に存在した先史文明由来の技法
- 統合された力の体系、「機巧技術」と「気術思想」と「魔術論理」の産物
- 召喚を更に発展させ、魔力そのものを異世界からほぼ無尽蔵に導く技術として生まれた
- 異界(他世界)から力を引き出す事は「此方」の世界のエネルギーの総和を大きく増やす事になる
- 概略
- 闘気/想念の力、循環の思想
- 五属性(木火土金水)に分かれ、加えて分野と法則が存在する
- 分野
- 放出
体から離した状態で気を維持する技術
単純に気塊を飛ばす技が最も一般的
- 強化
働きや力を高める技術
主に自分自身を強める事が多い
- 操作
物質や生物に作用させ、操る技術
気自体に動きを与える場合や、他の何かに気を流し込み…その動きを操る場合もある
- 変化
自分の気の性質を変える技術
形状と性質を変化させ、何かの形をとらせる
- 具現化
気を凝縮し、物質化する技術
気を固形化させ物に変える
- 法則
- 相生
順送りに相手を生み出して行く陽の関係。力の円環
木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生じる
- 相剋
相手を打ち滅ぼして行く陰の関係。力の相性
木は土に克ち、土は水に克ち、水は火に克ち、火は金に克ち、金は木に克つ
- 比和
同じ気が重なると相乗効果でその気は盛んになる
その結果が良い場合にはますます良く、悪い場合にはますます悪くなる。
- 相乗
乗とは相剋が度を過ぎて過剰になり陵辱するもの
- 相侮
侮とは相剋の反対で力関係が逆転し侮る、反剋する関係にある
魔術論理 †
- 概略・定義
- 自然/混沌の力、変革の論理
- 神の御業の模倣
- 自身の意思(願い)を現実の事象として確定(認識)させる造物主の業を模したもの
- 局地的に物理法則を書き換え、ありえないことを人為的に引き起こす
- 典礼として、様式を統一する事で術の成否のばらつきを排除し、汎用性を向上させたもの
- 魔術と言葉/言語
- 言葉は本来、神々が人間に自分達を讃えさせるために教えたとも言われる
- 言語は手段
- 音やそれに類するものによって意味を与える記号・象徴
- 他者へ意思を伝える介在者
- 音声、音韻、そして文法……普遍性を以って共通の意味を有する
- 術の発動
- 「詠唱」「導印」「描画」「奏鳴」「祈祷」「儀式」に分類される
術の発動には幾つかの手法が存在するが、極論すれば「音」か「動作」によって起動させている
- 具体的には「口で言う」か「書く(描く)」か「踏む」か「印を切る」か、或いは「祈る」かの差異
- 体系や術式によって使える「発動方式」は異なる(制限される)場合もある
- 魔術の媒体
- 魔術を発動する上で、術者の補助をする呪具
- 力の流れる経路や道を拡げ、起点となる門を大きくする事で引き出せる力を増幅する
- 精神の集中を補助し、術構成時の代理回路としての術の維持を分担する
- 他にも「見立て」としての役割などがある
- 魔術武器(術具)
一般的に杖などであるが、短剣等の武器、指輪や冠などの装身具、
他に杯や硬貨、本など形態は様々……概して扱い易く、携帯し易い物
- これらは術の補助具の役割以外に、多くは魔術的な象徴として見立ての意味も有している
- その形態は四大属性に対応するとされる
- 術具は他に比べて術者と密接な関係であり、所持者の身体の一部…その延長とも云える
- その喪失は四肢を失うのに等しい
- 簡易発動体
呪符や巻物などは事前に特定の術を込め、その発動を簡易とするもの
これらは術者以外の者であっても使えるように設定されている場合が少なくない
- 触媒(供物)
サモナイト石に代表されるマナ鉱石や竜の牙や血など
- これらは術の代価、あるいは象徴として見立てに用いている
- 基礎
- 最も簡単な分類としては以下の六種の段階の使い分けとそれぞれの組み合わせからなっている
この六種の構成が複雑になればなる程、意識の集中が必要であり、詠唱に時間を要する事になる
- 生成
- 構成
- 置換
- 物質、構成の一部或いは全体の交換(例:岩を熔解させる等)
- 変化
- 性質の付加、状態の変化(例:火の粉を火薬にする等)
- 操作
- 破壊
- 応用
- 属性技法
- 術に他にいくつかの属性要素を加える事で、複合・派生が可能。
- 発動技法
- 詠唱の技法三種「連動(トリガー)」「遅延(ディレイ)」「簡易置換(パッチ)」
術者の種類 †
- 性質的分類
- 術者はその特性や幾つかの要素によって区分可能である
- 種族
- エルフには癒しを得意とした神官や植物系の魔術の使い手は多い
- だが、火等を得意とするメイジは極めて少なく、ごく稀である……
- 種族によって魔術の向き不向きがある程度分かれてくるようである
- 属性
- 術は大きく火風水土の四つの属性に大別されているが
術者が扱える属性が単系統か複数の属性かによっても分類できる
- 大概は先の四大の扱える数によって……
「単属性(ドット/エレメント)」
「二属性(ライン/ボーダー)」、
「三属性(トライアングル/バランス)」
「四大(スクエア/ボックス)」
以上の段階で考えるが、「光/闇」「時/空間」…対となる概念の片方、もしくは両方を加えた「六(或いは八)属性」と定義する例も少なくない
- 多くの場合、単属性よりも複数属性を扱える術者の方が希少であり、
単属性よりも二属性、二属性よりも三属性……と、
扱える属性の数が増えるにつれて術者は相対的に限られてくる
- 属性の数は生まれ以っての資質による処が大きい一方で、
修練によって後天的に属性数を増やす術者も少なくはない
- 扱える数が術者の技量を決める訳ではないということである
- つまり、単属性に特化したか
複数系統によって万能性を上げたかの差異であるに過ぎない。
- 魔術と武技の併用
- 一般的に、魔術師は近接戦闘を苦手とする職種である
- 一方、剣士達は遠距離からの攻撃への対応が困難な職種である
- 両者がそれぞれの苦手な分野に対応するために魔術と武技を習得する場合がある
- どちらのスタンスがメインであるかの差異は存在するが遠近対応可能な万能選手であるのは間違いない
- (ただし、己の才能と時間を二つの分野に投資する為
それぞれの分野の専門家に比べ、半端な技量となる場合が多い)
- 支配者
- ある種の魔術の系統に関しては特殊な血統などの専門家たちが必要とされる
- 多くの場合、魔術による創造物を自在に操る使役を専門とした支配者
- もう一種は、魔術によって特定の空間・領域に影響を及ぼし管理する支配者
- どちらの魔術師も直接戦う必要がない為、比較的近接戦闘に関して対応能力が高い
- 社会的分類
- 自らの技術や権利を守るために様々な組織に所属しているものが殆ど
大半は「派閥」と呼ばれる組織に所属し、その中で任務や研究に従事している
魔術の教育・研究は独自性から大概が家伝を通じるものであり、嫡子及び養子に「家名」を与えられる事例が多いが
一部にはそれ以外の方法で「家名」を得たり派閥の幹部の地位にいたりするものを「成り上がり」と称して蔑む風潮もある
- 地位
- 同種の系統の術者でも社会的な立場などによって呼称が変化する
- 指導する立場にあるものと習う立場にあるものとでは当然位が違ってくる
- しかし、必ずしも位階が高ければ術者として優れているわけではない。
(優れた指導者が必ずしも優れた術者であるとは限らない)
- 正規と不正規
- 一般的に魔術師は所属する組織、派閥を始めとした組合、師弟関係による戒律や制約を受けている
- 一方、僅かではあるが組織に縛られずに自由である事を求める者
制約を無視して犯罪行為や邪法などの禁忌に触れて、無法を働く者もいる
……彼等は組織側から見れば異端であり、こうした逸脱した魔術師達は
『闇に堕落した』として追放、或いは狩られる立場となる
- 組織に迎合しない為に合法的な活動が困難となり、非合法的な活動によって生計を営む事になる
- 己の欲望に忠実であり、生き残る為の力を要求される彼らは
正規の魔術師達よりも寧ろ実力が重視される環境にあるとも言える
召喚術 †
- 概略
- 対象をその場に呼び、使役する術技法
- 「此処」ではない「何処」か違う別の場所から「何か」を呼び寄せ、召き引き出す技術全般
- これを逆利用する事で「送還術」と呼ばれる場合もある
- 此処ではない異世界の住人や来訪者を元の場所、世界に帰す技術
- 精霊など異界の存在を呼び出し、契約によって使役するものが一般的
- 遠隔地にある器物を取り寄せる"転送"などの場合も含める
- 手順
- 類似・感染の性質と触媒を用いて対象と魔術的な繋がりを創出
- その繋がった「糸」を「道」として対象を「門」まで引き寄せる
- 此処までの手順が実質的な召喚であるが、実用上続いて対象を使役する支配の手順に入る
- 誓約により対象の真名を読み取り、条件付けによって束縛する
- 誓約とはある種の契約であり、条件は基本的に対象を「元の世界に戻す事」である
- 危険性
- 支配には対象を上回る術者の技量、力量…存在としての相応の「格」が要求される
- 即ち特殊な個体や高位の存在ほど魔力での支配・制御が困難
- また、数量やサイズが増大するにつれて難易度が上がる
- 力の逆流、術の暴発暴走、召喚対象からの危害等によって最悪、術者自身が死に至る
- 精霊
- 召喚した精霊を介せばそれ自体を精霊界への「門」と出来る
- この為、効率よく力が引き出せる……そして高位の精霊ほど大きな門となりうる
- 精霊に全権を委ねられるほど完全に支配下におければその最大限の力を発揮できるが、難度が高い
- リスクと労力の面から力づくで屈服させるよりは契約の形で精霊の助力を願う場合が多い
- 召喚の難度を基準として位階を設けており、一から十までと設定されている
- 真の名
- 全ての存在が固有に持ち、存在そのものを示すとされる絶対的な呼称
- 地域によって「真名(しんめい、まな)」「魔名」「隠し名」「忌み名」などと様々に呼ばれる
- これを知るということは、その存在の全てを掌握するに等しい
- 理論上、対象を意のままに操り、支配することすら可能であるとされる
- 実際には、「真名」理論は迷信であるとの見解が主流である
- 上位精霊などは固有名を知る事で召喚・支配が容易になる事が確認されており、
王侯貴族の一部に現在も続けられている長い名、仮名を用いる風習や
魔術師が魔術名として「字」を名乗る習慣はこの「真名」を支配されるのを恐れた名残とも
- 「類似・感染」
- 魔術理論の法則
- 以下のもの間では魔術的な繋がり(縁)が生じやすく、関連付けがされ易い性質
- 対象と「性質の似たもの」、「形態の似たもの」、「その一部であったもの」、「接触のあったもの」
- そして、縁を結ばれたもの同士はその後も互いに影響を及ぼしあう特性
- 憑依召喚/召喚呪詛
- 多くの場合、現代では遺失もしくは禁忌とされる術
- 召喚した存在を対象に「憑依」させる事によって身体能力の向上及び低下を引き起こす
- 対象を傀儡とすることや、「憑依」した相手の身体構造そのものを変化させる
- 鬼を憑かせて理性を持たない狂戦士に変える『悪鬼憑き』
- 死体に低級悪魔を憑依させることでこれを術者の操り人形とする『屍人兵』
- 決して死ねない苦痛を与える病魔を憑かせる『病魔の呪い』等
- 共に対象に召喚した存在を取り憑かせる術で両者の区別は不明
- 主に後者のような特に効果が非人道的なものを召喚呪詛としている
魔術論理の諸々 †
- 未整理
- 魔術の象徴や色彩、媒体は意味を持ち、
つまり、これらは他の界域への接続を容易にするためのものである。
仮に炎霊を召喚するとすれば、
円環などの象徴は場所としての目印と同時に術者を対象から保護する陣の役割を。
媒体とする火は炎霊と場を結ぶ道の役割を。
赤の色彩は炎がその内に秘める激情の性質から対象との結びつきを強める、などである。
四大属性や五属性等、用いられる理論によって対応する象徴の意味や形は異なる。
上記の場合、水では「青」と「黒」と全く別の色を象徴に対応させるのである
- 魔術とは何か?
- 例へるなら……其れは「音樂」如きものだと思ひ給へ
「魔術師」は「樂器」であつて、「演奏者」
「魔力」は派生せる「音」
而して、奏でられたる「樂曲」こそが……「魔術」と、呼ばる
『魔術の寓話』より
寓話にもあるように、「呪文の詠唱」を「唄を歌う」とする……等、
魔術は「音楽」で比喩されることが多々あり、
そうした繋がりから魔術師を「作曲家」として例える事もある。
魔術師における知識を重んじる論理派と、行動を重んじる閃き派の場合を挙げれば、
「音楽理論」を学んだ作曲家と「感覚」で作る作曲家……という有様である。
魔術が才能に由来する……、
これは言葉や音そのもの、(儀式的な)行動自体に力が宿るのではなく、
何かしらの源から「力を引き出す」ためであろう。
結局、魔術師の目的は「入力Aに対して出力Bが確実に得られる手段」
……というより「ある変数の解を求めるための式(方程式)」
その探求というのが、最も近いのかもしれない……
- 言葉など音を発する「詠唱」の意義
基本的に魔術における呪文の詠唱は「知識・情報をプールしておく媒体」「理想の再確認」。
言霊信仰も基本は同じであり、この「理想を口に出して再確認する事」が逆転して
「口に出した事が真実になる」となった。
・呪文自体(ある言葉、文法)に発動させる術を指定する
情報・意味(仕組み)が込められ記述される。
(より高次の、真理に近い世界観の一端を示しており、用いる事で現実世界に影響を及ぼす)
詠唱には二種類の可能性があるといえる。
a.仮に詠唱される呪文が「意味」ならば、
詠唱の行為そのものが意味、ひいては力を持つので、行為の正確性が必要。
より効率的に同じ意味を記述しようという思考に至るのは ある種自然であり、
効率化された詠唱法が追求される……即ち呪文の省略、短縮である
音、言葉、短文……どこまでの正確さが求められているかで差異が生じる。
・正確さが重視されればされるほど、「音の高低、大小、音素」に至るまで定められる
・長い呪文を覚えやすくするための拍子の役割
・詠唱される呪文は「唄」とすれば、歌詞・様式・響きが意味を有する
・呪文の言葉自体に意味は無く、意義が音の連なり(呪音)として意味を持つとすれば、
その旋律に意味があり、「正確な発音」が必要
・特定の音を発するのではなく「呪文を正確に繰り返す」必要があるとすれば、
他言語での翻訳不可能だろう。
・術の為の特定の言語、或いは「力を与える存在」が用いる言語。
「力を与える存在」が意味を読み取れるなら発音を多少変えられる場合もある?
b.仮に詠唱される呪文が「意味」でないならば、
術者の認識こそが術の実体であり、
詠唱はその媒体、効率性や確実性を高めるためのある種の手順に過ぎない
・思念のみで術が発動する事を抑制する安全装置
・精神統一、意識の集中状態へ自動誘導するための切替条件(言葉は自分に働きかける媒体)
- 印などを組む「動作」の意義
こちらも同様にその「動き」自体が意味を持つか、持たないかで変化する。
・予め定められた動作を繰り返すことによって精神の安定を計り、集中力を高める
・指先から「魔力」を発して空間に陣を描き、それを空間への媒介として術式を完成させる
・印の動作自体に名前と意味があり、簡易的な魔法陣としての意味合いを持たせる。
・戦術上、他者に対して動作が必要であると認識させておく
機巧技術 †
- 概略
- 知恵/科学の力、進化の技術
- 基本的に物質/物理の力を使っている
- 創造により精緻を極め、安定と永続を目指す
紋様魔導術 †
- 概略
- 刻印とは即ち「印」を「刻む」事……
「音」を媒体に魔術を発動する形式に対し、「文字」を媒体に魔術を残し続ける形式である
- ある意味、機巧技術の精密さが可能にした魔術
- 魔術的に意味を持つ文様…呪紋を刻む事で、対象に恒久的に魔法の影響を及ぼす
- 魔術の巻物や符のような物品も、呪紋を文字の形にした応用形といえる
- 人体に施せば魔力や身体の能力向上が望める
- 一方で心を封じるなど精神に影響を及ぼすような非人道的な使用も考えられる
召喚魔導の弊害 †
異界の存在を召喚し、使役出来る召喚術ではあるが問題や課題もある……
- はぐれ召喚獣
- 召喚獣は本来役目が終われば「送還」し、元の世界へと送り返すのが常だが
召喚師が死亡した、扱いに耐えかねて召喚師の下から逃走した等…様々な理由で
呼び出された召喚獣が元の世界に戻れない状態となる事例がある
元の世界に帰れなくなった彼等が辿る道は……
- 「此方」の世界と友好関係を築き、帰還を諦めて共存する
- 人間界に溶け込む事が出来ず、人間に害を為すモンスターとなる
- ……知能のある召喚獣は自然と前者の道を選ぶが、そこまで知能の無い召喚獣、
または人間不信に陥った召喚獣などは野生化し、街の外で生活を余儀なくされる
- 魔導魔族の侵攻
- 魔導魔族との接点となる縁、「此方」の世界へと導く道標
- 「此方」の世界によって数多の異世界が魔力を際限なく吸い上げられマイナス化し、滅亡した
- 魔導魔族の故郷もマイナス化した異世界の一つであり、それが彼等の誕生の原因ともいえる
- エネルギー総和の増加に対する反動・寄せ返しとして減少させるべく現れる負の存在…
「魔」族を文字通り他の界域からこの地に導いているともいえる