設定/ロータートイフェル商会 ・ スタッフルーム
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- (初夏の熱が冷めぬ車内、耳まで赤くしようかという少年とそれに跨るツナギ姿の女性…)
誰かと比べられることが酷と感じたの? …でもそれは妥当よ、それが社会だもの でも誰もが同じ物差しで計られるわけじゃない。…ねえ、貴方の良さを教えてもらえないかしら (と、少年の胸元をつつーと指でなぞる) -- ジンジャー
- (密室は密室だが、まるっきりの閉鎖空間ではない…いつ誰がやってくるか解らない状況でこんな態勢でいるのは嫌が応にも期待と不安を抱かせて)
そうです、だからあいつと比べられないような…あいつのやらないことで褒められたかった… (自分だって男だ、腕っぷしにモノを言わせてみたりといった荒事のひとつやふたつできたほうが恰好が付くくらい解っているが…できない できないからこそ他の事で価値を証明したいと躍起になる) …ひどいこと言いますね、先輩(そこでそんな事を言われたって、素直にこれが自分の良さだなんて言えるわけがなかった) -- セイ?
- ひどい? 謙遜と卑下は違うんだけど
自分自身の褒めるべきところ、相手に見せたいところを自覚するのは大切なこと 貴方はさっき機械弄りが好きと言っていたけど、それは自慢できるところじゃないの -- ジンジャー
- だからそれはっ!…できるからやっていたです…褒められるから…認めてもらえるから…
(さっきの携帯端末を握りしめる、待ち受けにはある女性の写真が) (自分にできたこと、それを褒めてくれる存在がいた…だから好きになった…それが最初から好きだなんて言えるのか?見返りがあるからやっていただけのことを本当に好きなんて言えるのか…?) (そもそもの出発点がタケルのやれない事をやろうという逃げでしかない事が素直に好きだと言い切れない原因である) -- セイ?
- ……(人間の気配はない、それ自体はこの街では珍しいことでもないが…修行によって磨かれた感は単なる屋敷でない「煩悩に訴えかける何か」を感じている)
…僕がしっかりすればいいことさ(誰に言うでもなくそう呟いて屋敷の敷地に侵入…今日は自分ひとりだけでなく「仕事」でここに来たのだ) (業務提携を結んだ商会への挨拶、読んで字のごとくガキの使いといえばそこまでだが…ガキ以下の片割れが粗相をしないように自分ひとりで来たことから気合いの入りようは伺えるかもしれない) (地元の銘菓であるバナナを用いたケーキもばっちり準備してある) -- セイ?
- (昼下がりにあっても邸内は静まり、初夏の風が頬を撫でる)
(人間の気配はない、それは確かだった。この邸内に人間と呼べるものは一人として存在してはいない) (しかし生活音は耳に入り、裏の庭からは剪定の音、見えぬ厨房からは食欲を誘う芳香が運ばれ、セイのすぐ近くからは聞きなれた音が響いた) (それは厩にも似た建物、長方形のそれは正面の戸口を広くとっている) (セイはそれがガレージであると推察できたかもしれない。これを無視して目的を果たすのもいいだろう) --
- (これは仕事だ、タケルならいざ知らず好奇心の赴くままそこかしこを覗いてまわるなど子供のすること)
(今回の目的は商会の代表と会い丁重に挨拶をして顔を覚えてもらう…それだけだ、それだけだからこそ、失敗できない) (頭の固いムッツリらしい思考でずんずんと歩を進める、その様子ははじめて都会に出てきたおのぼりさんそのものだ) -- セイ?
- (だが高揚に進む彼を呼び止める声がある。それはガレージより投げられた)
…商会に用事なら入口はそこじゃないわ。正面の扉から行ったほうが案内してくれると思うけど (しかし声を掛けた姿はなく、ガレージには黒塗りのクラシックカーが佇んでいるのみ) (セイからすればその車体は古臭くも思えるものだが、整備は行き届いているのが見て取れるかもしれない) (そしてその車がタイヤを外され、ジャッキアップされた状態にあることも見える) --
- …(キメ顔で歩いていたところそんな指摘をされれば見る見る顔が真っ赤になっていく、恥ずかしいったらない)
ご、ご指摘ありがとうございますっ!それでh…(張りつめた緊張がほどけたせいか、しばしその車体に視線を移す、化石燃料を用いた旧式の車両) (しかしよく整備されている、物持ちのよいところだと聞いていたが目の前にスイと出てくれば好奇心がむくむくと湧き起り…) (気が付けばその車体に手を置き目を閉じていた) -- セイ?
- (少年がボンネットに手を置く。瞼の裏ではこの車が道を往く姿が幻視され、持ち主と整備に携わる者の思いまでもを頭に思い描く)
(いつしか想像は自分が運転席に座るまでに至るかもしれないが、一時停止の標識の如く現実へと引き戻す声が車体の下より投げられた) 車、好きなのかしら? (背面台車を滑らせ車体の下から顔を覗かせたのは若い女性、茶色の髪を後ろで束ね整った顔立ちが美人であると少年にイメージとして印象を強く与えたことだ) -- イルゼ
- …(しかし、そうはならない。なぜなら…「自分は裏方」で、ハンドルを握れるのはあいつだけだからだ)
えっ!?(不意に声をかけられて車体から飛び退いて声の主に視線を移す) …機械いじりが、好きなだけです(その一瞬、美人と見るや懐から取り出した櫛でさっと乱れた髪を直しまたもやキメ顔 ええかっこしいをしたい年頃) (それと同時にその胸元を少年は見逃さない、体のラインが解りづらい服装だがおそらく…でかい!) (視線を悟られぬよう必死であるが、所詮10かそこらの少年ではバレるのも時間の問題か) -- セイ?
- 機械弄りを?
(女性も少年に気を惹かれたのか、車体の下より這い出て立ち上がる) (オイルと汗にまみれた肌は健康的だが色白、革ツナギが女性としての艶めかしさをラインとして強調する) (少年の視線を知ってか知らずか、女性は少年の手にしていた荷物…) (それに視線を落とすとくすりと笑みをこぼした) …もしかしてS.N.R.I.の子かしら? -- ジンジャー
- おかしいですか?(見た目に毛並のよさそうな坊ちゃんである、機械油にまみれて力仕事をしているイメージを持たれないことに関しては慣れているらしくそう返す)
(実際その通りで、どちらかといえば電子機器をいじったりするのが専らだが…できないことはないと自負している、タケルの乗り回している赤い単車も自分が最終調整をした) はい、セイ・J・ストレイフといいます…今日は商会の代表へご挨拶に伺いました。 (ぺこりと90度のおじぎ、その名を聞けばジンジャーには思い当たるフシがあるかもしれない) (S.N.R.I.現CEOの『フォルテシア・D・ストレイフ』の親族と解ればその顔立ちと眼差しはどことなく似通っているようにも見えるだろう) そうだ、こうしてはいられない…!ではまたいずれ!(結局寄り道をして世間話までしてしまった、これではタケルのことを笑えないと足早に立ち去ろうとする) -- セイ?
- (彼が手にしていた土産、そのバナナケーキはS.N.R.I.の代名詞ともいえる銘菓だった)
(そのことからの問いだったがストレイフの名を聞くとその眉が跳ね上がる) (慕った女性の面影を薄っすらと残した顔立ち、そして遺伝ともいえるそそっかしさに思わず助け舟を出してしまう) …ちゃんとアポイトメントはとった? うちの代表だったら午後から出かけてるんだけど -- ジンジャー
- …そんなバカな!?(間違いなくあと30分後には挨拶が……手元の携帯端末の表示を確認 ここで致命的なミスに気が付く)
(『黄金歴』の消滅によって『暦』の概念が消えた余波はすさまじく、ごく一部を除いてみなそれぞれの時間尺度で生活せざるを得ない状況に追い込まれていた) (ありていに言えばある人の主観で時間が停止していれば無限の時間を生きることも、またある人の主観ではわずか24時間の間にひと月の時間経過が起こることもあるでたらめな異常事態である) (そんな状況で日時を合わせてアポを取るなど不可能に近く…この商会周辺に合わせた相対時間がわずか『一日』ぶんズレているだけで済む時計機能を内包した携帯端末の技術力と精度は驚異的とも言えるのだが…結局失敗であることに変わりはない、脱力してその場にへたり込む) こんなことも、満足にできないなんて…(泣いているのだろうか、俯いてわずかに震えている) -- セイ?
- (事情はどうであれ、俯いて震える少年の姿を見かねたのかその袖を引く)
…ちょっと休みましょうか。社長もいずれ戻ると思うから (ガレージの脇、置かれた古びたソファーを視線で告げる。女性も作業の手を止めて一緒にソファーに座ろうとする) -- ジンジャー
- (なんて情けないんだ、失敗して、心配されて…なによりこうされて『嬉しい』という自分の子供っぷりに腹が立つ)
(結局タケルじゃなく自分を見てもらえれば、自分にかまってもらえればそれでいいってことじゃないか…) …すみ、ません…(彼女から見ればとんだハリキリ☆ボーイがやってきたぜ!!なんてもんじゃないだろう、呼吸を整えて平静を保とうとする) お仕事の、お邪魔…でしたね(作業中の彼女の手を止めてしまった、その事に謝罪する意味で頭を下げつつ一緒にソファーに) -- セイ?
- 邪魔じゃないもの。…S.N.R.I.の後輩が来てくれたのだから
(ソファーに腰をおろすと改めて少年と向き直り、自らの名を告げる) 元S.N.R.I.所属、ジンジャーよ。うちに挨拶に来たとなれば私のことも知ってると思うけど (S.N.R.I.からの初めての出向員、商会との橋渡しに尽力した人物として記録が残っているかもしれない) -- ジンジャー
- えっ…?(そう、失敗したくない以上この商会に関することは予習復習ばっちり)
(当然両社に関わりのある職員として彼女の名も聞いてはいた…が、目の前の彼女だとは思わなかった) (なぜなら自分の祖母と同年代の『人間』ならば当然すでにベテランで相応の年齢のはず…資料も当時のものだった) (しかしそんな先入観がいまのいままで彼女がジンジャーであることに気が付かなかった原因である) (たったいま痛い目を見た時間の流れや、伝説の海女サヨリのような特異性を持つ人類ならば年若く美しいままで居続けることもできる) …これは失礼しました、あらためて…よろしくお願いします。(『先輩』と彼女を呼んで微笑む、少しずつ心がほぐれてきたらしい) -- セイ?
- (心ほぐれた様子に安堵してかジンジャーは革ツナギのファスナーをおろし、ラフなスタイルに着崩す)
(胸元まで下ろされたファスナーは胸の谷間を露出させ、初夏のガレージに大人の色香が漂う) 機械弄りが好きと言ってたけど、後方支援か整備に所属してるのかしら? -- ジンジャー
- (体温と汗、女性の香り…そしてこの商会に漂う雰囲気…思考にだんだんと霞がかかっていくような感覚)
ええ、僕…才能ないですから(体のほとんどが生身、変じる力もない、血が薄い…才能がない。というのは精一杯の虚勢でマイルドな自虐だ) でも大丈夫です!博士にみっちり仕込まれてますから…(『博士』というのはS.N.R.I.の誇る頭脳、才媛『郷須環』の事だと言うのは元職員であってもすぐに解ることだろう) (彼女もジンジャー同様『加齢しない』体質である、のだが…それはまた別の話) そうだ!なんならお手伝いしますよ、その車の整備!(いつしかセイの祖母がジンジャーに提案したような事をのたまうのも薄まったとはいえ血が成せる業だろうか) -- セイ?
- ありがと。今ではすっかり旧式の仕様となった車だから整備するにも手間がかかるの
(だけど社長は年季のはいったものを好み、車ですら購入させるのに苦労がいったのよとジンジャーが笑い混じりに席を立ち上がる) (向かうのは車の運転席、しかしドアを開くなり脇へと控えてセイを待つ) 運転席からまずは見てみる? -- ジンジャー
- 誰だって最初はいろいろなものに抵抗がありますから…(世間話に答えて笑う、自分たちの扱う電車にしたって路線ひとつ敷設するのにどれだけの苦労があるか…)
…?え、ええ…(わざわざ運転席に招かれた、ステアリング、アクセル、ブレーキ…操作系の調整だろうか?と思いつつ招かれるまま向かう) -- セイ?
- (セイを運転席へと座らせるとドアを開いたまま、彼の手をとってハンドルへと運ばせる)
感触を確かめて貰えるかしら、エンジンは切ったままだけどアクセルとかも踏んで軽くないかとか (整備の手伝いというよりも助手、しかし彼がこの車を見ていたときから。思案に耽っていたときから運転に対する思いを感じていた) (それを擬似的ながら満足させるのか、掌を握られると暖かなぬくもりと女性の汗ばんだ色香が緊張を煽る) -- イルゼ
- ぼ、僕まだ届かないです、よ…?足…(ハンドルはともかく、10歳の少年の体躯ではアクセルまで思うように足が届かず…)
(なんてことよりも重なる手と近づく体温、柔肌、匂い…心拍数が急上昇し見る見る顔を赤くする) あのっ!センパイ!?(この状況はマセたガキでなくても健康な少年ならば気恥ずかしさが勝って体を離そうともがくが…車内で密着しているからかうまく脱出できない) -- セイ?
- (しかし少年の叫びを無視するように女性は体をより寄せ、少年の代わりにとアクセルとブレーキペダルを踏む)
…ねえ、貴方は運転をしたことがあるかしら。ううん、S.N.R.I.の人間なら操縦の方が正しいかもしれないけど -- ジンジャー
- …一度も(ジンジャーの言う操縦とはつまり…S.N.R.I.の保有するレスキューマシンシリーズ…『Dロイド』のことだろう)
(もちろん自分も試したがまったく適正がなく…タケルのように血が濃ければ難なく操縦できるというデータを作るだけだった) (ここでも、才能の差で、わずかばかり片割れに血をもってかれたばっかりに受け継げなかった一族の遺産…) だから…僕は裏方なんです、裏方をしなきゃ…いる意味なんて…(おもいだしたくない事を思い出し、徐々にどろどろとした感情がふつふつと) -- セイ?
- (滲み出る心の闇、ふつふつとした思いが少年の瞳を濁らせ表情が俯こうとしたとき)
──── んっ (それを遮るように重ねられた唇がある。柔らかで、人肌のぬくもりがあり、思春期の少年にとっては劇薬ともいえる衝撃) 貴方が裏方でならない理由なんてない。自分のしたいことをする …心に正直になりなさい。そうすれば見えてくるものもあるから -- ジンジャー
- (なんだ?自分は一体何をされたんだ?それを理解するのに数秒を要した)
んっ…ぅ…?(言葉にならない、文字通りの劇薬を含まされたようにぱくぱくと口を動かすのみ) ぼく、の……(『ぼく』のしたいこと、それってなんだ…?ぼくの…) ちがう、『俺』は…(誰にも!役立たずとも、タケルのおまけとも言わせない、俺は、俺…!) 俺はタケルの劣化品なんかじゃぁないぃっ!!(呼吸は荒く、目は据わり、ずっとため込んできた感情を口にして) ……ふっ…ふふふ…センパァイ…なんのこともない…なんのこともなかったんですよ… (かと思えば含み笑いから掌で顔を隠して大笑い、ため込んでいたものを爆発させた爽快感で一時的にハイになっているようだ) -- セイ?
- (突然の豹変に思わず目を丸くしてしまい、きょとんと呆気に取られる)
詳しい事情は分からないけど、貴方が誰かの劣化品ということはないと思う (セイの掌を握ると車内へと滑り込みドアを閉める。窓すら開けられていない車内、暖かな空気が二人の息に熱を生ませる) 悩みがあるなら、誰もいないこことで聞いてあげるけど (セイの膝に跨るように、座る彼に対して跨るように、騎乗位の姿勢で彼と向かい合う) -- ジンジャー
- あっはは…大丈夫、『ぼく』は平気ですよ(ジンジャーの唇で後押しされて言いたいことが言えた、いまはそれだけで…よかった)
センパイのおかげでちょっとだけ、勇気が持てたというか… (自分の中に抑圧されてたものを言う、それが『ぼく』のやりたいこと…それでいいんだなんて独りよがりなことを思っていたところ) …!?…センパイ?(やはり、初対面でいきなりあんなことを叫んだら気を悪くして当然だったか…?と気まずい表情で跨るセンパイを見上げて) え、ええ…とても、魅力的な申し出で…(もしかしてこれ、いやいやまさか…でももしかして…?とエロ孔明のデータベースがフル回転) (勘違いじゃなければこれはその…車内で致すってことのお誘い…!?いやそんなゲームや漫画じゃあるまいしと理性と煩悩の狭間で葛藤する) -- セイ?
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Last-modified: 2014-12-19 Fri 00:40:47 JST (3641d)