FF/0016
- (地下の分厚い扉を一応、一つ二つノック。少しだけ待って、扉を空けて…するりと中へ。そうして辺りを見れば)
……いい雰囲気のとこだな(他の酒場にありがちな、肩を潜めて法の穴をくぐっているのだという陰湿さが薄いように思われる) -- ヘルト
- (話に聞いた通りに裏口へ向かう)………ここでいいんだよな。(Il Canticoを前にうろうろ) -- アニー
- (身なりのいい男たちが人目を忍んで裏口のドアをくぐってゆく 倉庫を兼ねたバックヤードを通り抜ければ、地下へと続く階段がある)
(剥き出しの煉瓦をたよりに降りてゆけば、その先にもう一つの分厚い扉がある その向こうにはジャズバンドの生演奏が流れる小さな楽園がある) (彼らに続いて立ち入ってみるのもいいかもしれない 合言葉も不要だ 快楽と酩酊の賛歌溢れる楽園の扉は、あなたにも開かれているのだから) -- ベルタ
- (自分の衣服を見る。決してみすぼらしいわけではない。ジェシーさんの見立て通りだ)
ええい。(思い切って男たちに続いて入ってみる) (ジャズが流れる向こう側へ勇気を出して扉を開く)………う、おお。(気圧された) (どこにこの国にこんなに洒落てて清潔な場所があるだろう? 清潔なだけでなく、遊び心と計算もあった) -- アニー
- (高貴ならず典雅ならず、陽気に笑いさんざめく声と即興演奏に酔いしれて、ただ華やいだ歓楽の生気だけが満ちている)
(時代に禁じられたものがここにある カウンターに立つ女の一瞥があなたを捉えた)おォ、今日はええ日じゃ よう来ましたのォ われァ初めてじゃったの、アニーよ 迷子にならんかったかの?(正面のスツールを勧める 手入れの行き届いた臙脂色の天鵞絨張りだ) -- ベルタ
- (楽園という言葉を知ったのは随分後になってからだったけれど)
(その時になって私はこの店を想像した。閑話休題) 迷子には……なったけど。(なったのか)でも来たぞ、ベルタ。(にひひと笑ってスツールに座る) -- アニー
- ふふっ、たしかに来んさい言っとったのォ(二つ隣の客に赤いカクテルを出して)っちゅうこたぁアニーよ、腹ァ空いとるんかの?
(店にはおしながきが無いようで、周りの客たちも思い思いに好きなものを頼んでいる様だ)好きなもんは何じゃったかの 言うてみんさい 甘いも辛いも、酸いも苦いも言ったもん勝ちじゃけえ(オーダーを待たずに何か作り始める) -- ベルタ
- あーと、えーと。じゃあ……肉とか、コーンとか、お腹いっぱいになるものッ。
(腹を手で押さえて)もう少しの辛抱だぞ。(と腹の虫を宥めて) ベルタは手慣れてるなぁ……本当に新人バーテンダーかよォ。(いい匂い、酒を楽しむ大人。まるで別世界) -- アニー
- おォ、色気よりも食い気じゃの ほんじゃったら、ええもんがあるんじゃ ちいと待ちょってのォ(話しながら周りのオーダーも捌いていく)
(ミントの葉に甘いシロップと炭酸水、ライムをまるまるひとつ絞って加え、ミントを潰してリムとボウルの広いワイングラスへ) (クラッシュアイスを入れてかき混ぜ、さらに炭酸水と氷を足して混ぜ、最後にひと手間、ミントを手のひらで叩いて添える) (挨拶代わりの一杯は、清涼感が鼻腔を突き抜けるラム抜きのヴァージンモヒートだ)喉が渇いとったじゃろう アニーはいけるクチじゃったかの -- ベルタ
- ああッ。(笑顔で店内を見渡す、ご禁制の嗜好品を喫しているにしては)
(明るく、落ち着いている不思議な空間だった) 酒は全然。(一口飲んで)うわ、これすごいな。こんなに美味しい飲み物、初めてだッ。 (ミントの香り、ライムのフレーバー、シロップと炭酸水のわかりやすい加味) -- アニー
- 気に入った様じゃの(炭酸の気泡が青々としたミントのゆらめく透明な甘露を立ち昇ってゆく 淡い光を受けてきらきらと輝く)
(一瞬奥に引っ込んだかと思うと、熱々のパスタを運んできた みんな大好きスパゲティ・ウィズ・ミートボールだ!) (真っ赤なトマトソースに大きなミートボールがごろごろとひしめいて、そこにたっぷりのパルメザンチーズがかかっている) わしらのおかんと同じ味じゃ アル……のオヤジもぶち好いとってのォ(空いたグラスを磨いている)食べんさい、アニー (ジャズバンドの曲調が変わって、しっとりとした時間が流れだす)最近はどうじゃろ、景気はええんかの? -- ベルタ
- みんなこういうおしゃれなお酒を飲んでいるのかぁ……(大人になったら自分も飲むのかなぁ!?とワクワク)
うおーッ。(テンションが上がる)すごいぜ、これだよこれってモノが出てきたなッ。 (食べれば、トマトソースがわかりやすくて、ミートボールがたくさん入っている。チーズはふんだんに使われていて) (家庭の味というものを久しぶりに食べた気がして、笑顔で口にした) 組織は飛ぶ鳥を落とす勢いだけど、下っ端は相変わらずだ。ジェシーさんは私に小遣いくれようとするけど…… そんなのッ。子供扱いだ、良くないぜ。なぁ、ベルタ!(口元を汚しながらパクつく) -- アニー
- われも年頃の女子じゃけん、ちぃと多すぎたかと心配しとったが……(その心配は無さそうで苦笑している)
組の若い衆を食わせるんはオヤジの務めじゃけえの(片肘をついて食べっぷりを見守る)遠慮はいりゃあせんのじゃ あん御仁もわれに目をかけとるんじゃろ、アニーよ あるいは、われの腹の虫が気になっとるのかもしれんがのォ 方々でぐうぐう鳴かれとったら敵わんじゃろ われの恥はオヤジの恥じゃけえ(ソースが飛ばないかハラハラしている) -- ベルタ
- 美味いよ、ベルタ。お母さんが作ったパスタみたいだ。(もぐもぐと勢いよく)
それは……(確かに人前で空腹を誤魔化すために自分の腹を殴ったのも二度や三度ではない) わかった、今度はちゃんと受け取るよ……(しょんぼり、口を拭って) それにしてもッ。(表情がコロコロと変わって)ベルタってどこで料理習ったんだ? すげぇよ、今度ジェシーさん連れてきていいかッ。 -- アニー
- そうじゃのォ、わしもそがぁな方がええいうて思うんじゃ(二つ隣の客に相槌を返して)衣食足りて何とやらじゃ
仁義も道理も腹の足しにはならんけえ、食い詰めたもんは何をするかわからん あん御仁はそがいなことも考えとるんじゃろう 取っておくがええ われを一山いくらの鉄砲玉いうて思うとらん証拠じゃ(プリモ・カルネラに捧げられたカクテルを左隣の客へ) 煮炊きの手本はおかんじゃの ローリアのもんはみんなそうじゃ(賞賛の言葉にはかすかな笑みを)構わんが、腹ァ膨れたじゃろうか -- ベルタ
- むむむ……思ったより心配されてたんだなぁ、私…(考えが足りないことこそ、子供なのかも知れない)
そうだな、そうするよ。なんかベルタの言うことなら素直に聞けちまうなぁッ。(はははと照れくさそうに笑って) ああ、お腹いっぱいになったよッ。(ごちそうさまでしたッ!と笑って)足りないかも知れないけど。(と言って硬貨を置いて) あるだけ払いってやつだな。残りはまた今度。(その時には改めてジェシーさんのお世話になってるだろうけど、と苦笑して) 奢ってくれるって話だったけど、私は敬意を払いたくなった。これも仁義ってやつかぁ? それでさ、今流れてる音楽はなんてタイトルなんだ?(結局、長話をしてから店を後にして) -- アニー
- (表通りに面した小さな雑貨店が店じまいの時間を迎え、代わって裏口のそばに置かれたランタンに灯がともる) -- ベルタ
- (もぐり酒場の開店を知らせる符牒だ) -- ベルタ
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