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- (相変わらず寂れてんなこの店……)ミュウさん、この席に座りましょうか? -- 奪人ヒロシ?
- そうだな。ここらへんでいいだろ -- ミュウ
- んじゃ適当なの注文して下さい……おーい、オヤジ!俺いつものー
それと、悪いんだけどコーヒー出した後は少し店の奥に引っ込んでてくれるか?……ああ、悪いな -- 奪人ヒロシ?
- オレは普通のコーヒーでいいぜ
(注文したコーヒーが届くと)それでヒロシ、大事な話ってのは・・・? -- ミュウ
- ま、いきなり本題に入るのはお互い緊張するでしょう……まずは昔話でもどうです?
(そう……昔話を、ね……) -- 奪人ヒロシ?
- そうだな・・・それじゃ、その昔話をしてくれるか? -- ミュウ
- ふふっ……まぁ、つまらない余興ってことで、あまり期待しないで下さいね?
(ヒロシはゆっくりと語りだした……) むかしむかしあるところに、どこにでもいる普通の男の子がいました ある日、男の子が探検ごっこをしていると、自分の村にはある筈の無い大きなお屋敷を見つけたのです 探究心の強い男の子はそのお屋敷に侵入してみました。すると、広い庭に真っ白なドレスを着たお姉さんがいるではありませんか 男の子はそのお姉さんの美しさに見とれてしまいました……じっと遠くから見ていると、お姉さんが男の子に気付き、話しかけてきました 男の子とお姉さんはすぐに仲良くなりました。お姉さんはいつも独りで寂しそうにしていたので、男の子は毎日毎日お屋敷に通いました 2人はとても楽しい日々を過ごしたのです…… -- 奪人ヒロシ?
- ・・・・・・(黙って話を聞いている) -- ミュウ
- お姉さんには不思議な力がありました。ある日男の子が傷付いた小鳥を彼女の元へ持っていくと、彼女はその小鳥を手の平に乗せ、その力を男の子に見せてくれました
お姉さんが目を瞑り、優しい言葉を口にしながら念じると、なんと手の平に乗っていた小鳥が元気になり、大空へと飛び立っていったのです 男の子はそれを見るとすごく驚いて、その力を自分も使いたいとお姉さんに言いました お姉さんは少し困った顔をして考えましたが、男の子があまりに真剣なのでその力の使い方を教えました どうやら彼女は感情を力にしているようなのです。優しく対象を思いやればその対象は元気になり、憎しみを向ければその対象は傷付く。そんな力でした 男の子はまだ若く感情が豊かだったので、少しずつその力を使えるようになりました -- 奪人ヒロシ?
- しかし、楽しい日々はそう長くは続きませんでした……ある曇りの日、男の子がいつものようにお屋敷に行くと、お姉さんはすごく暗い顔をしていました
どうしたのかと尋ねると、どうやらお屋敷の人に酷いことをされたようなのです。男の子は一生懸命お姉さんを慰めました。だって、男の子はお姉さんのことが好きだったから…… お姉さんは元気になりました。男の子は彼女の笑顔を見て嬉しくなりました。それから、お姉さんは少しだけ男の子のことを大事に想うようになりました…… 暫く経ったある日、お姉さんは男の子をこっそり屋敷の中へ招き入れました 男の子は不思議に思いながらも、部屋に招かれた嬉しさから、彼女の誘いに乗って部屋に行きました -- 奪人ヒロシ?
- お姉さんは男の子を部屋に招き入れると、男の子に自分を愛しているかと尋ねました。男の子はよく分かりませんでした。でも、お姉さんのことを大好きだというのは本当なので、それを伝えました
お姉さんは少し悩みましたが、男の子に告白しました。彼女は寂しかったのです。相手が年下の男の子でも、彼女にとっては愛すべき男性だったのです…… 男の子は驚きましたが、彼女の気持ちに対して嬉しく思い、承諾しました……それを聞いたお姉さんもきっと嬉しかったんでしょう。お姉さんは男の子と愛を確かめ合おうとしました その行為は、男の子にとって未知で、快感で、そして危険なものでした……お姉さんが途中まで男の子をリードしていましたが、気がつくと男の子は自分のやりたい放題にお姉さんを“使い”ました…… 行為が終わるとお姉さんはすごく悲しそうな顔をしました。男の子にもそれは伝わりましたが、何故そんな顔をするのか……男の子には想像もつかなかったのです…… 男の子が家に帰る時には、外は雨が降っていました…… -- 奪人ヒロシ?
- (一度、「はぁ」と溜め息をつき、続ける)
暫く雨の日が続きました。男の子はその間も欠かさずお屋敷の庭を訪れましたが、お姉さんには会えませんでした…… そんな日が何日か続いたある日、男の子を黒服の大人の男が迎えました。その黒服の男はお姉さんに会いたくはないか?と男の子に聞きました 男の子は当然首を縦に振りました。そして屋敷の中へ招かれました…… お姉さんはそこにいました。ボロボロの姿で……男の子は驚きました。何故大好きなお姉さんがそんなことになっているのか? 混乱している男の子に一番偉そうな人が話しかけてきて、男の子に説明しました 「彼女は悪い子なんだよ。私達の言うことを聞かないいけない子なんだ。だからお仕置きをしたのさ。もう必要ないからね」 その偉そうな糞ジジイは続けます。「坊や、君がこのお姉さんの代わりに私達に協力してくれないか? そうしたら彼女の命だけは助けてあげるよ?」と…… 男の子には何がなんだか分かりませんでした。でも、ここにいる大人達がお姉さんを苦しめたことだけは分かりました。だから、男の子は怒りました でも、男の子がいくら抵抗しても大人の人達にはかないません。やがて男の子はその人達に捕まりました…… そこでボロボロのお姉さんが口を開きました。男の子を助けてください。わたしが言うことを聞けばそれでいいんでしょう?と……しかし、その願いは受け入れられませんでした 大人達はお姉さんの顔を殴りました。お姉さんの綺麗な顔を殴りました。男の子は叫びました。でもお姉さんを殴る大人の手は止まりません…… 男の子はその場にいる大人達を憎みました。心の底から殺したいと思いました……そして、叫びました。お姉さんを傷つける者に罰を……そう、思って…… -- 奪人ヒロシ?
- ・・・それで、どうなったんだ? -- ミュウ
- (ヒロシが肩を震わせながら話を続ける……)
男の子が怒りの言葉を吐くと、最初にお姉さんを一番痛ぶっていた大男の頭が無くなりました。お姉さんと、その周りにいた男達は皆真っ赤に染まりました……男の子はその場に立っていただけです 次にお姉さんのお腹を殴った男の腹が割け、腸を撒き散らしながら死にました。その次はお姉さんの腕を傷つけた男の腕が千切れて赤い血を出す噴水になりました。その次はお姉さんの足を蹴っていた男の膝から下が無くなり、男の身長は半分になりました。男の子はその場に立っていただけです 一番偉そうにしていた糞ジジイはその場から逃げ出そうとしました……が、男のは逃がしませんでした。その糞ジジイは全身を切り裂かれたような傷を受けて真っ赤物体になりました。糞ジジイの目玉が派手に飛び出しました。糞ジジイの耳から脳味噌が垂れ流しになりました。男の子はその場に立っていただけです 部屋全体が真っ赤に染まりました。しかしお屋敷から悲鳴が途絶えることはありません。どの部屋から聞こえたか分からないぐらい沢山の悲鳴が部屋に届きました。男の子はその場に立っていただけです ……やがてお屋敷には男の子の慟哭だけが残りました -- 奪人ヒロシ?
- ・・・・・・・ -- ミュウ
- ……男の子の足元へ、お姉さんが真っ赤な床を這って寄ってきました。お姉さんが男の子の足首を掴むと男の子は正気に戻りました
お姉さんは男の子に「ごめんね」と言いました。男の子には自分が何故謝られたのか分かりません。それでもお姉さんは謝ります 男の子は泣きました。先ほど、あれだけ泣き叫んでいながらも、まだお姉さんに対する涙を残していました 男の子はお姉さんに死なないでとお願いしました。でもお姉さんはもう自分が死ぬことが分かっていたのでそれは無理だと告げました。お姉さんはもう一度「ごめん」と言いました…… 男の子はどうしてもお姉さんと離れるのが嫌でした。それでも2人は別れなければなりません。お姉さんは最後に男の子に宿題を残しました 「人を憎しんではダメ。他人を笑顔にしなさい。みんなを幸せにしてあげなさい」と…… でも男の子は自分がお姉さんを不幸にしたことを理解していました。お姉さん一人を笑顔に出来ないのにみんなを幸せにするなんて無理だと言いました お姉さんは笑いました。「私は君に会えて幸せだったよ……だから、私みたいな女の子を幸せにしてくれるかな? 女の子だけなら全体の半分だよ」 男の子は首を振りました。俺は君以外愛せない、と……お姉さんはそんなことはないと男の子に言います。何とか男の子を説得しようとします ……でも、やがてお姉さんは動かなくなりました。男の子は真っ赤な屋敷の中で泣き続けました…… 男の子がそこにいる間、その村の天気はずっと大雨だったそうです…… -- 奪人ヒロシ?
- (何故か爽やかな笑顔で)はい、お終い……どうです? 頭の悪い、つまらないお話だったでしょ? -- 奪人ヒロシ?
- そんなことはない。けど、悲しいお話だな・・・ -- ミュウ
- そう……ですね。悲しいお話かもしれません……では、そんな悲劇の主人公……それは一体誰でしょう? -- 奪人ヒロシ?
- ・・・・・・ヒロシ、だな -- ミュウ
- 大正解〜☆ いやぁ、ミュウさん凄いですね? エスパー?(極めてお茶らけた様子で喋っている) -- 奪人ヒロシ?
- (茶化すのを無視して真剣な目で)それで、その男の子は大人になり、約束のために女の子を幸せにして回ってるってことか・・・・・・ -- ミュウ
- ……ええ、その筈でした……でも、それも今日で終わりです
俺、気付いたんです。今まで自分は、誰一人として本当の意味で愛してはいなかった……ってね つまり俺はまだ、その愚かな“男の子”のままだったんですよ…… -- 奪人ヒロシ?
- 約束が人を愛する切欠にはなる事はある。けれども、約束そのもののための愛は・・・違うだろうな
でも、ヒロシは自分で気がついたんだろ?だったら・・・・・前に言ってた、本当の愛を持てるさ -- ミュウ
- 俺はもう愛を語れない……無理、なんですよ……(そう、俺は貴女を愛してしまった……だから俺は、もう……)
……ミュウさん、この間の返事……まだでしたよね? 俺からの応えは……NOです ミュウさんはまだ若い。俺みたいな屑じゃなく、もっと相応しい男がいますよ……じゃ、俺はこれで(席を立ち、ミュウに背を向ける) -- 奪人ヒロシ?
- (ヒロシの返事を聞き、呆然とする)・・・・・・・そうか。オレじゃあ・・・ダメなのか
(少しの間顔をうつむかせていたものの、ヒロシが席を立とうとするとその手を突かんで引き止める)待て、ヒロシ オレを・・・振るのは・・・さ、しょうが・・・・無いけど。自分の事を・・・屑だ、なんて・・・言うなよ・・・・・ -- ミュウ
- ……俺が屑じゃなかったら、誰が屑だって言うんだ? 手、離せよ……俺はあんたに心配なんてされたくない
(頼む……俺のことなんか、嫌いになってくれ……) -- ヒロシ?
- 屑なヤツだったら、死んだ子との約束なんて守ろうとしない・・・それなのにヒロシが苦しんでたのは・・・優しいから、だろ?
だから・・・オレは好きになったんだ・・・(ヒロシの手を掴んだまま再びうつむく) -- ミュウ
- 離せッ!!(無理矢理ミュウの手を振り解く)……っていうかそもそも、ミュウさんは俺の好みじゃないんですよ。もっと色気のある、大人の女が好きなんです俺は……
だから、これでお終い。友達に戻りましょう。中途半端な今の関係は駄目です (くそっ……こんなこと言いたくないんだ! 諦めてくれ……!)もう魔王城でしか会うことはないでしょう……それじゃあ、さようなら……! (店を出て行くヒロシ……その背中からは、決して振り返ることは無いという意思が伝わってきそうだ……) -- ヒロシ?
- うわっ!(振りほどかれて尻餅をつく)
ヒロシ・・・!待てよ、待てってば!(慌てて立ち上がって追いかけるも、ヒロシの姿はもう見えなかった) -- ミュウ
- (ミュウの制止は聞こえていたが、それでも歩みを止めることはない。暫くあの家には帰れないな……と、宿のことを心配しながら人ごみに消えていった……) -- ヒロシ?
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- オヤジ、酒 -- ヒロシ?
- そんなもの、うちには無いよ……いや、実はあるにはあるが、コーヒーを飲めコーヒーを
今のお前に必要なものだ…… -- クソ
- 俺に必要な物……なぁ、俺は……誰かに愛されたい。とか思ってるのかな…… -- ヒロシ?
- そんなことは知らん……だが、人は愛がなければ死んだも同然
っと、これはお前の持論だったな? -- クソ
- 死んだも同然……か
(思えばあの時から俺は死んでいるようなもんか……) オヤジ、一番苦いあれをくれ -- ヒロシ?
- マスターと呼べ!ったく……(と言いつつとびっきり苦いブラックコーヒーを出す) -- クソ
- ありがとよ…………うわっ、にげぇ……これほんとに飲み物かよ?
(うるさい!という店主の言葉を適当に聞き流しつつコーヒーを飲み進める) …………染みるな、くそっ -- ヒロシ?
- (素直になれ若者よ……本当は隣に誰かいて欲しい癖に……) -- クソ
- ……あ、ついでにプリンくれ←甘党 -- ヒロシ?
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- この席にしましょうか?日当たりも良くて、気持ち良い・・・。(目を細めて少し伸びをする) -- アルマ
- …そうですね、日当たりが良くて…(ふぁっと小さく欠伸)…なんだか眠くなってしまうかも。 -- クォックス(人)
- 12月と言っても、店内は暖かいですからね。(コートをたたんで、座席に置く)
クォックスはキャラメル・ラテで良いのかな?ミルクもあるようですけど、なにがいいかな? -- アルマ
- そうですね…私はあまり詳しくないので、アルマにお任せしますよ。 -- クォックス(人)
- わかりました。買ってきますね・・・。(カウンターへ向かい、二言三言言葉を交わす。暫くして、トレイを持って帰ってくる)
はい、キャラメルラテに牛乳プリンです。私は、コーヒープリンと・・・その・・・コーヒーをっ! -- アルマ
- ありがとうござい…え?(自分の分とプリンを受け取って顔を上げた)
(蹴躓いたアルマ、宙を舞うコーヒーカップ、自分に向けて振ってくる黒い液体がスローモーションで動いている) (…ばしゃ!) -- クォックス(人)
- き、きゃー!ご、ごめんなさい!クォックス、大丈夫ですか!?(あわててハンカチを取り出して汚れた部分を拭く) -- アルマ
- …あっちちちっ!(きょとんとしていたが、熱と状況が伝わると飛び跳ねながらズボンを脱ぐ) -- クォックス(人)
- え?ち、ちょ・・・そ、外で、駄目!(あわててコートを被せて隠す) -- アルマ
- (コートをパタパタとしながら)…っつ、あぁビックリした。 -- クォックス(人)
- ご、ごめんなさい。やけどとか・・・してませんか? -- アルマ
- んーと、大丈夫…かな。(少し赤くなっているが平気)
それより、アルマの分が無くなっちゃいましたね。 これ…半分こします?(自分のキャラメルラテを差し出して) -- クォックス(人)
- ふぅ・・・よかった。
うーん・・・じゃあ、頂きますね。(カップに口を付け、一口飲む) んー・・・甘い(幸せそうに笑う) -- アルマ
- (少し悩んで、アルマの口をつけた場所に、ほんの少し被るよう口をつける)
うん、甘い…もっと苦いと思ってました、これなら私も飲めそうです。 -- クォックス(人)
- それなら良かった。プリンもありますよ。はい。(自分のコーヒープリンをスプーンですくうと、クォックスの目の前に出す) -- アルマ
- …あーん。(ぱくり、口の中でほろ苦い甘みが広がって、溶ける)
美味しいです、アルマも一口どうぞ(自分の牛乳プリンを、慣れた手つきで一すくい、アルマに向けて差し出す) -- クォックス(人)
- いただきます・・・ぱくっ。(さっぱりした甘みを堪能する)
うん、おいしい。(にこりと笑顔を向ける) -- アルマ
- …えへへ。(つられて笑顔を返す) -- クォックス(人)
- (暫くの間、二人で一つのカップを分け合いながら、コーヒーの香りとゆっくりと流れる時間を楽しんだ)
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- コーヒーをいただきますよ。…ふむ、雰囲気のいい店だ! -- 753?
- 名護さん!ぼ、僕も相席していいですか…? -- 渡?
- いいですよ。歓迎です。…ん、電話?…はい…何?それは本当ですか!?分かりましたすぐ行きます
悪いね渡君、私はもう行かなくては…マスター、コーヒー美味しかったですよ、ごちそう様←一口も飲んでない -- 753?
- あっ、あの…! 行っちゃった… -- 渡?
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- マスター、ブレンド(少年はぶっきらぼうに注文し、隅の席に腰掛けた)
あー、ダメだ思いつかねぇ。冒険者に汚れ仕事とかどうすりゃいいんだ? -- ネモ
- (運ばれてきたコーヒーにそのまま口をつける)……後味に嫌な酸味が無い。イイ仕事してるねぇ
んー人は揃ってるハズだ。フラッテリーの奴だろ、職業暗殺者に裏世界のブローカー…… 眼帯したヤツが多いな、オイ -- ネモ
- マッドは特に問題無い。アチャーと黒子は……コイツラに殺しはさせられんよなぁ
(煙草に火を点ける)フリートは適当な理由で出すとして、アーリアル……ベルモンテのヤツなのか? -- ネモ
- マスター、ブレンドもう一杯!………商会の、ねぇ。商会、商会。んー……
ああ、マスターサンキュー。……美味いコーヒーは水のように飲める、煙草も進むねぇこりゃ -- ネモ
- 商売、ビジネス、新参の商会が……対立軸とそれに繋がって利益で結び付けば不自然さは無いか?
2チームに分けるか?陽動?んー……あ、すまねぇ灰皿換えてくれ -- ネモ
- 理詰めはつまんねぇな………書けばどうにかなんだろ、どうにか。
マスター、邪魔したな。勘定だ。(そう言ってネモは一杯分多く代金を支払って去っていった) -- ネモ
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