名簿/510441

  • ――5。 -- 2014-03-20 (木) 20:22:39
    • (夜の砂漠は寒い。遮光フードを今度は遮風フードとして使いながら、国境線までの道を歩く)
      ……風越先輩、私の目的って何か分かってたんですか?
      -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:25:24
      • 正確にこれだっていうのは分かってなかったよ。それに、丁寧にやってたからボロも出してなかったし。
        ただ、丁寧にやってるのとは別のところで、怪しいところがいっぱいあった。
        だからおかしいとは最初から思っていたよ。悪いけどね。
        その上で、なんとなく目的の方向を探り探りやってみたんだけど、こっちの方向で良かったのが分かったのは、ついさっきだし。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:27:08
      • ……クッソさみぃ、何なんだこの砂漠とかいう地域。絶対こんなところにプリン生えねーよ。 -- ヴィル 2014-03-20 (木) 20:28:41
      • 温暖な地域にもプリンは生えませんよ。
        最初からっていうのは……やっぱりあれですか。偶然砂漠の中心に倒れていたのを先輩達に発見されるっていうのは、出来すぎでしたか?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:29:41
      • それもある。それに、意識を失うほど憔悴してる割には、その後全力疾走までしてるしね。
        流石にこれは、先に俺達がシゼール領王国を目指しているのを知ってて、先回りしていたとしか思えなかった。
        だから多分雑務ちゃんは、偶然俺達が発見したんじゃなくて、俺達に見つけてもらいたかったんだろうなって。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:32:29
      • ……あー、でも星綺麗だなオイ。なんだ、ロマンティングじゃねーか。 -- ヴィル 2014-03-20 (木) 20:35:03
      • 巨人グレンデルを仕留めた魔剣(フルンディング)みたいに言わないで下さい。
        ……あー、でも、私も結構緊急だったんですよ。一から十まで思い通りって言う訳でもなかったんですよ。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:36:24
      • (さくさくと砂地を歩きながら)結局さ、雑務ちゃんはうちの上司と繋がってたっていうことで合ってる?
        この結果を是とするんだから、ある程度は俺が立てた予測とはズレてないと思うんだけど。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:37:31
      • ……やっべえ、そういえば晩飯食ってねえ……餓死……死っ……!? -- ヴィル 2014-03-20 (木) 20:38:27
      • (携帯用チョコバーをヴィルの口に差し込み)
        はい。……偶然というのも、必然というのも、非常に憚られるんですけど。
        やっぱり、何か宛てが欲しかったんですよ。南に行くに当たって。
        それで、ある程度洋上学園のネットワークにアクセス出来る権限は残っていたので……有り体に言えばまずヴィル先輩に会いに行ってみようと思ったんです。
        ……まあ、最初に会いに行くには丁度いいかなと思いまして。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:41:16
      • ……物好きだとは言わないでおく。
        で、うちの上司と連絡を取って俺達の行き先を知り、先回りしていたと。シゼール領王国城下までね。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:47:49
      • え……そこまでバレて……ああ、バレますよね。
        一応聞きますけど、何で城下まで先回りしてるってわかったんですか?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:49:09
      • 初めて来る国の、初めて他人が注文してくれた料理を「酸っぱい」って断言はしないでしょ。
        見た目的には華やかでどんな味か分からない料理を注文してみたから、是が非でも食べておくべきだったね。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:51:13
      • う……あれは、本当に食欲がなくて……。
        はぁ、そういうところで細かいボロは出てたんじゃないですか……。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:51:49
      • それでも、もしかしたら他の国で似たような食材の料理を食べたのかもしれないと思って、決定的なボロとは思ってなかったよ。
        実はあの時点で雑務ちゃんが何を目的としているのかは俺には分かっていなかった。
        いくつか可能性はあったけど、雑務ちゃんが「正式に任務を失敗させよう」としてるのが分かったのは、やっぱり答え合わせが始まってからなんだよ。実はね。
        だから、用心深い俺を騙せたんだから自信を持っていいよ。
        悪意があってやってるわけじゃないんだろうなとも思ってたし。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:54:49
      • ……それでも、騙されてる振りをしてくれてありがとうございました。(少し拗ねた感じで)
        元々は、リリィさんの作戦だったみたい、ですけどね。
        もちろん、風越先輩達に依頼を振った時には失敗をさせようなんて、リリィさんも思ってなかったみたいでしたし。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:56:25
      • ……それが上司に言えって言われた言葉じゃないことを祈るよ。
        ああ、だとするなら、やっぱりそこは俺が予想した通りっていうことでいいのかな、雑務ちゃん。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:57:18
      • ……チョコバーを食ったら、チョコバーがなくなった……!!(震える) -- ヴィル 2014-03-20 (木) 20:57:53
      • (追加でヴィルの口にチョコバーを突っ込む)
        ええ、そうですね……禁書『      (くうらんりくじ)』は……あの国には存在しないんです。
        元からその可能性はあったらしいんですが、今回《大法典》から交換交渉を迫られたことで、リークがあったらしいです。
        そのリークも、どこまで国と繋がりのないリークなのかは定かではありませんが、リリィさんが見ず知らずの私を作戦に組み込むくらいですから、確証に近いものだったのでしょう。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:00:36
      • ……だろうね。こちらが提示した条件は禁書と引き換えにするにはかなりの好材料だったはずだから、それに応じられないということはテーブル以外での交渉が必要な物なんだろうなとは思った。
        それが、国の象徴であるから、みたいな言い方をあの国王はしてたけど、それならヴィルを交換条件として提示してきたのはおかしい。
        あの時点で禁書自体の存在に対する胡散臭さは感じてたので、一応『応じてみる』って形を取ったら、道理が通ってるので断れなかったしね。
        まあ、アレ自体腹いせみたいなもんだから、痛み分けと思ってもらわないと。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 21:06:44
      • ぐ……じゃあ、ヴィル先輩を写本を作らせるって名目で国内に潜り込ませたのって、
        風越先輩が単に任務を失敗して帰るっていうことへの溜飲を下げるためにあんなことしたんですか。
        私も相当気を揉みましたけど、国王もきっと気を揉んだと思いますよ。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:08:25
      • 周囲から見てわかりやすくもなっただろ。
        ヴィルっていう問題児によって『正式な交渉が決裂した』。
        それに対して譲歩するのは、シゼール領王国の慈悲深さであり、お互いを尊重する外交の手段だ。
        《大法典》としても、存在しない禁書から手を引く理由にもなり、そして禁書が存在しないことを指摘せずに済む
        さっきも言ったけど、これって面子の問題だからあんまり雑務ちゃんには理解ないかと思ったけど……。
        完全に理解して、ヴィルを引き換えにして飄々としてる俺へ演技で怒ったとき、ああこの子怖い女だなと思ったよ。
        (冗談めかして笑い、肩を竦めた)
        -- 優理 2014-03-20 (木) 21:11:25
      • あれは……何か本気で腹が立ったっていうか……まあ、そういうのも、あるんですけど。
        ……あれ、じゃあシゼール国王が《大法典》側が手を引くことに了承してるっていうのはどうしてわかったんですか?
        それが分かってなければ、問題を起こして去るなんて出来ませんよね?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:12:56
      • 焚書十篇
        この単語をさ、国王が口にしたでしょ。
        それ自体はいいんだよ、もしかしたら魔術に傾倒してる人間が背後にいる場合、正確な審美眼でヴィルがその一篇だって見抜くことは可能だし。
        俺やヴィルもヴィルが魔導書であることを隠してないから、調べたらすぐに分かることだ。

        でもさ。
        洋上学園時代には、ヴィル自身は《大法典》に所属してなくて、自身が焚書十篇という名前の魔本だって気づいてなかったんだよ。
        もちろん俺も知らなかった。だから、洋上学園時代しか付き合いのない雑務ちゃんがその単語を知っているのはちょっとおかしいなって思ったんだ。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 21:15:47
      • (額を押さえる)
        そうか……聞き返すべきだったんですね、あそこでは。
        私がそれを知っているっていうことから、類推して国王にその情報を教えたのが私だってバレますから。
        そうなってくると、状況を操作しているのが私だっていうことも、バレるって話ですか……。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:17:21
      • あの瞬間、もしかしたら雑務ちゃんはシゼール国王の味方なのかなとは思ったんだよ。
        その直前にも、『砂漠喰い(デザートイーター)』の乙種を狩ったのが誰かっていう問いに対して、わざとらしく反応して注意を向けてたしさ。
        あの時一応周囲を索敵してたんだけど、その情報をリークしたのも雑務ちゃんだっていうのなら通りがいいからね。
        ただまあ、あの後ヴィルを取引材料に使うって言い出したとき、かなり本気で焦ってたからさ。
        ああこれは恐らく『互いの面子を潰さないように、交渉を決裂させる』のが目的なんだろうなと思ったんだよ。
        だからまあ、ある程度ガードも下げる事が出来たし、その範囲内で好き勝手やってやろうと思ったのさ。
        林檎を剥いて来てと言われて林檎の皮を持参する、風越優理の真骨頂、だな。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 21:21:54
      • ……お二人が修羅場をくぐって来てるのがなんか理解出来ました。
        普通、そこまで考えないですから。
        そうですね……元々、お二人の目的としていた禁書が存在せず、存在しないことが明るみに出るわけにも行かなかったのがシゼール領王国の言い分で、
        禁書がないのならば失敗として手を引くのも吝かでなかったのが《大法典》というわけです。
        なのでお二人には、交渉の失敗をして貰いたかったんですけど、随分と荒っぽい失敗になりましたね。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:26:00
      • 俺達に正直に言うという選択肢はなかった? -- 優理 2014-03-20 (木) 21:26:21
      • ちょっとリスク大きかったです。組織の命令だからって失敗しろって言われて、それを飲み込むような先輩達ではないと思いましたし。
        それに、飲み込むどころか正しいを是として引き返しでもしたら、シゼールとしての面子が立たなくなるでしょう。
        まさか状況にかこつけて最大限に迷惑掛けて帰るような遊び方されるとは思わなかったですけど。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:27:56
      • 良くわかんねーが、そういうことだな。
        ――だから任せろって言っただろ、雑務。
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:29:05
      • うわ、話に入ってきた。……ヴィル先輩は相変わらず変わってなくて安心しましたよ。
        風越先輩のことも、少しは理解できましたし。理解出来た分謎も深まりましたけど。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:29:50
      • 良く言われる。
        ……で、これからってどうするの? 実際ヴィルに会えたわけだけど、この先は更に自分探しの旅?
        -- 優理 2014-03-20 (木) 21:30:29
      • そうですね。国境線超えたら、またそこから南に向かってみようと思います。
        今回は異な縁でしたけど、お二人の先輩が元気そうにしていると分かっただけでも、収穫ですし。
        あと自分探しの旅って言わないで下さい。何か凄く軽く聞こえますそれ。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:31:38
      • ……気楽なもんだな。こっちは帰ったらクソほど始末書書かされるんだぞ。 -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:32:12
      • 始末書書くのは俺だ。
        お前は反省ノートだろ。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 21:32:46
      • うう……もうしませんって何回も書かされるんだぞ……。ノートにびっしり。
        あのクソ上司マジいつか一回ぶん殴って泣かせてやる……!!
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:33:35
      • 悪いことした小学生みたいですね……。
        すいませんでした……お二人とも。一応、私の意向も少し入っていたので。
        結果的には納得してもらえましたけど……騙していたことには変わりないですし。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:35:08
      • ……オレら騙されてたのか?(風越に首を傾げる) -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:35:39
      • ……さあ、何のことか分からん(ヴィルに肩を竦めた) -- 優理 2014-03-20 (木) 21:36:07
      • (その二人のやりとりに、小さく笑い)
        ……じゃあ、国境線まで、エスコートお願いしてもいいですか?
        一応、可愛い後輩なわけですし……。元、ですけど。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:37:47

      • (笑って答えようとしたところで――どこかで経験したような地響きが起こる)
        (眉根を寄せて周囲を伺っていると、目の前の砂がどこかで見たように隆起して、どこかで見たような怪物が現れる)
        あー……。でかいな。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 21:39:26
      • (その巨大な『砂漠喰い』(デザートイーター)を前にして、ポカンと口を開く)
        ……すっげえ。400mはあるな、あれ。
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:40:50
      • えっ!? えっ!? えっ!?
        ちょ、ちょっと!!?
        えっ!? これ言うの二回目ですけど何でそんな落ち着いてるんですか!!?
        風越先輩!! ヴィル先輩!!? 『砂漠喰い』ですよ!!?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:41:49
      • ちなみに夜の方が元気らしい。 -- 優理 2014-03-20 (木) 21:42:13
      • 生活周期おかしいから痛風になるんだよ。 -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:42:47
      • 痛風関係ないでしょう!!? どうにかしてくださいよ!!
        あっ、あれ使いましょう!! 異能!! 洋上学園で使えそうな異能引っ張ってこれるんでしょう!?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:43:36
      • じゃーん。 -- 優理 2014-03-20 (木) 21:44:01
      • けーん。 -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:44:21
      • ホイ!! って、え!!?
        これって何のじゃんけんですか!!? しかも負けてるし!!?
        えっ!? えっ!?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:44:54
      • ごめんな、雑務ちゃん(微笑んだまま足を刈る -- 優理 2014-03-20 (木) 21:45:43
      • (それに合わせて後頭部を叩く)恨むんじゃねーぞ。あと、お前からもらったチョコバーの味は忘れない。 -- ヴィル 2014-03-20 (木) 21:46:26
      • (ぐるん、と視界が回転して、顔面から砂地に突っ込む)――ぶへっ!?

        (顔についた砂を払いながら前を見ると、全力で逃げていく先輩二人の背中が見えた)
        ……あ、の……先輩ども……!!

        (背後で、『砂漠喰い』がこちらを発見したのか、大声で嘶くのが聞こえた)
        (絶対に死ねない、死ぬまえにあの先輩達の顔面を一度殴らないと気が済まないと誓った私は)

        (立ち上がって、全力でその背中を追いかけるのだった)
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 21:48:39

      • 【おわり】 -- 2014-03-20 (木) 21:48:55
  • ――4。 -- 2014-03-20 (木) 18:50:25
    • (昨日も利用したレストラン、目の前に運ばれてきた料理に手も付けずに、膝の上で両手を合わせ、正面に座る風越を見る)
      (全く落ち着けないこちらとは対照的に、昨日と変わらない様子でパスタを食べているその様子に、やはり焦りは募る)
      (時刻はもう夕方から夜へと移っており、約束の期限までは半日を切っていた)
      -- 雑務 2014-03-20 (木) 18:53:49
      • (だというのに、風越先輩は一向に焦ろうとしない。それどころか真面目な対策を取ろうとしている様子すらなかった)
        (国王の前で切った啖呵などなかったかのように国の中をブラブラと散策し、ひそひそ石で《大法典》と連絡を取ることもない)
        (何を考えているのか分からないのが風越先輩の良さでもあるはずなのだが、この時ばかりは気が気でなかった)

        ……風越、先輩。その……こんなところで夕飯取ってても、いいんですか。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 18:56:28
      • (フォークを止め)……ヴィルのこと?
        まあ、聞くのも野暮って話だろうけど。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 18:57:04
      • このままじゃ……ヴィル先輩、この国の人、人? 本になっちゃいますよ……。
        風越先輩、俺に任せろって言いましたよね、ヴィル先輩に。だからヴィル先輩も大人しく従ってたのに……。
        本当にヴィル先輩を取り戻す何かって、取り寄せられるんですか……?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 18:58:30
      • 可能不可能の話でいえば、限りなく不可能に近い可能だろうな。
        ある程度裁量は俺もあるんだけど、実際それを目の前に提示してすぐに飛びついてくれるような手札は俺にはないよ。正直なところな。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:00:17
      • そんな!? じゃあなんでヴィル先輩を貸与したんですか!?
        それこそ、風越先輩が心配されてたみたいに、貸し損になるんじゃないんですか!?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:01:41
      • なるかもね。というか、なると思うよ。(パスタを食べながら)
        俺は別にヴィルの写本が本当に取引材料になるとは思ってないからね。
        あれは単なる、そうだな、時間稼ぎっていったところかもしれない。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:02:41
      • 時間稼ぎって……!! そんな理由でヴィル先輩を一時的に手放したんですか!?
        それ、ヴィル先輩も了承済みの話なんですよね!?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:03:18
      • してないよ。……あいつがそんなこと思いつくわけないだろ。常識で考えて。
        あいつは今馬鹿正直に、俺が助けに来ることについて考えながら、少しずつ解析されてるよ。宮廷魔術師みたいな感じの魔術師に。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:04:28

      • (ばぁん! とテーブルを両手で叩いて立ち上がる)
        風越先輩は、ヴィル先輩を何だと思ってるんですか……!?
        お二人の関係や、今までの歩みは私には分かりませんけど!! それでも、あんまりにも軽率じゃないですかっ!!
        ……絶対に口に出すまいと思ってましたけど、絶対におかしいですよこんなの!!
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:06:37
      • (少しだけ指でパスタの皿を浮かせ)……雑務ちゃんって思ったより怖い女だな。
        ……弁解しとこうかな、色々。俺にとっても、ヴィルを所有していない今の状態っていうのはそこそこに不安な状態でもあるんだよ。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:08:52
      • でも……それは、私があって欲しいと思うお二人の信頼関係なんかじゃなくて、道具としてのヴィル先輩がいないことへの……。
        魔術師・風越優理が所有する魔導書・『貪欲のブランクノーツ』がないことへの不安なんですよね……?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:10:37
      • それが無いとは言わない。ただそれが全てでもない。
        ……だから納得しろなんて言うつもりはないけどね。防衛手段が何もないただの人間になった俺が支払うリスクは、ヴィルが支払うリスクに比べたら些細だ。
        でも、少なくともそういう関係は超えたと、俺は勝手に思ってるんだよ。……どちらかに得だの損だの言ってたら、勘定が面倒だろう。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:12:37
      • だから……ヴィル先輩にリスクを負わすことに、何の躊躇いもないって言いたいんですか……?
        それが、ヴィル先輩をあそこに置いてきた、風越先輩の理由ですか……?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:13:46
      • ……詰問地味て来たな。
        まあそれもあるといえばあるかな。今回一つ貸しだと俺が思っていれば、次少し優しく出来るかもしれないだろう。
        少しランクの高いプリンを用意するとかになるが……まああいつはそれで大喜びするからな。
        それに、ヴィルは洋上学園を出てから今までの間で、俺の采配に文句は言うが従わなかったことは一度もない。
        あいつなりに納得するものがあって、従っているのだとしたら、それはあいつの自由意思を奪っているとは俺は思わない。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:16:54
      • ……ああ見えて、そしてああいう口の利き方なのに、ほんっとうにお人好しですからね、ヴィル先輩。
        指摘したらすっごい怒るでしょうけど。(少しだけ納得し、席へと座る)
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:18:06
      • ……あの成りと言動でお人好しっていうだけでも、そこそこに面白いけどな。
        だから、俺だってそう簡単に手放していいモノだとは思っていないし、何より今のあいつは《大法典》所属の外典(アポクリファ)だ。
        俺が勝手に手放したら問題になって即刻クビだよ。上司も助けてくれる程情に厚くはないし。
        だから。

        安心していいよ。
        ――全部、作戦の内だから。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:24:13
      • (その言葉は、冗談やハッタリには聞こえず、確信に満ちているように聞こえた)
        ……作戦の内、ですか……?
        じゃあ、何か、考えがあるんですか、風越先輩には。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:26:58
      • あるよ。
        というより、今立ててる予測が全て正しかったら、恐らく収まるべきところに収められると思う。
        あくまで今のところ立ててる予測に裏付けがあるわけでもないけど、断片的な情報を組み合わせると、落とし所がわかってくるってところかな。
        雑務ちゃんは……今シゼール領王国と、《大法典》、つまりは国王と俺なんだけどどっちの方が交渉で有利に立ってるって思ってる?
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:29:40
      • ……? それは、えっと……ヴィル先輩を貸与したことに対して、目的は達成出来そうもないんですから……。
        イニシアチブはシゼール領王国が取っているんじゃないですか……?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:34:55
      • 表面上はそんなところだね。本質的にこっちが目的の品を手に入れられなかったら、という尻尾を握られている限り、交渉は今まで通りあっち主導で行われる。
        できるだけこっちは相手の興味を引ける餌を懐から出していくだけで、消耗戦に近いね。
        今のところ持って行かれてばっかりだけど、あくまでそれを俺は時間稼ぎとして使っているだけだから、何かしらの手を打たないといけない。
        ただ、その打つ手に今のところ思い当たるものはない。だから、この交渉をテーブルの上だけで考えたら、この交渉で望みの結果は得られないと思っているんだ。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:41:04
      • ……交渉の、テーブル? それに載せるために一日待ったんじゃないんですか、先輩は。
        なのに、そのテーブル以外のところで交渉を……? というか、テーブル以外の交渉って何ですか?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:42:10
      • 利のやりとりじゃないってことかな。
        ……あんまり雑務ちゃんには馴染みがないかもしれないけど、男って色々あるんだよ。面子とか、なんかそういう。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:44:53
      • 話が何か抽象的になってきてませんか……? あんまりピンと来なくなってきたんですけど……。
        あの、私あまり頭良くないので、結論から言ってもらえるとありがたいんですけど、風越先輩の思惑通りに行った場合、ヴィル先輩って帰って来れるんですか?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:46:41
      • 上手く行けばね。
        本当に、今のところ上手く行くかどうかは確証がないんだ。ただ、成功確率は九割を超えてるとは思うよ。
        少なくともさ、雑務ちゃんがここで俺達に出会うまでにそれだけの時間一緒に居たわけだから、少なくともヴィルへの理解は俺の方が高いと思ってる。
        だから、多分思い通りに行くさ。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:48:23
      • ……!? 余計分かんないんですけど。
        ヴィル先輩への理解度が、何か関係してくるんですか?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:48:57
      • ……するよ。
        そりゃ、するさ。でないとあいつを連れてきた意味が無い。
        ヴィルが俺の頭脳を信頼しているように、俺もヴィルの実力だけは信頼してるんだよ。
        あいつがさ、自己犠牲と共にシゼールの国王の申し出を不承不承受け入れたから、雑務ちゃんは悲劇のヒロインに見えてるかもしれないし、
        俺ってヒーローがここで悠々自適に晩飯を食っていることに腹が立つのかもしれないけどさ。

        ……少しだけ冷静になって、そして雑務ちゃんの普段の思考で考えてみるといいよ。
        こういう状況になって、こういう配役に置かれた場合。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:53:33

      • (――魔術師は、すでに呟いていた『呪文』を『発動させる』)

        俺が必ず助けるから、なんて言われたヴィルが。
        ――俺が来るまで黙って待ってると思うか?
        -- 優理 2014-03-20 (木) 19:55:25

      • (喧騒が近づいてくる)
        (人の悲鳴が聞こえる)
        (言い争う声にまぎれて、笑い声が聞こえてくる)

        (数拍遅れて、食い物屋の扉がぶち壊されんばかりの勢いで叩き開かれる)

        風越ィ!! テメエ誰を助けるとか偉そうな口利いてやがんだテメエェェェッ!!

        (全身傷だらけで、脇に『貪欲のブランクノーツ』を抱えたまま、店内に向けて怒鳴りを入れた)
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 19:59:22
      • (――開いた口が塞がらない)
        え……ええ?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 19:59:53
      • テメエ良く考えてみたらこの取引オレしか損してねーじゃねーかッ!!
        その上テメエがどうにかするみてーな面でドヤ顔晒して行きやがって!!
        地下牢にいる間中それを考えてたら死ぬ程原立って来やがった!! 一秒たりとも我慢なんか出来るかボケが!!
        五、六回死ねぇ!!(何の躊躇いもない殺すつもりの飛び蹴りを風越に向けて放つ)
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 20:02:16
      • (何回も捌いているかのようにヒョイとしゃがんで避けると、奥にあった食材に頭からヴィルが突っ込む)
        ……想定してたのより一時間ほど早かったけどな。(言いながら『貪欲のブランクノーツ』を拾い上げて、空中に蔵書として消す)
        落書きでもされたか。太ももに正の字とか。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:04:27
      • (がらがらと食材の山から抜け出し)……ア"ァ? 別になんもされてねーよ。
        そもそもが未だに白紙のままな『ブランクノーツ』をどうコピーしろってんだ。聞いてて笑いが出たわ。
        ズラかるぞ。死ぬほどぶん殴ってきたからな、あの国の警備。一気に国境線超えるしかねえ。
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 20:07:18
      • ……了解。
        少し予定より早いが、夜の間に国境線を抜けるか。
        一緒に来るんでしょ、雑務ちゃん。荷物あるよね?
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:10:10
      • あ、ああ、ありますけど……そもそもこの国には交渉に来たんでしょう!?
        て、手ぶらで帰るんですか!? ヴィル先輩は言った通り帰って来ましたけど……。
        その、くうらんなんとかの禁書を回収するのが先輩達の任務だったんじゃないんですか!?
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:11:14
      • そうだね。……だから、任務的には失敗になるな。
        どうする……今月給料もらえないかもしれないぞ、ヴィル。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:11:52
      • ……少々ランクが低いプリンでも文句は言わねえぞ? -- ヴィル 2014-03-20 (木) 20:12:30
      • 食うことは譲らないのかよ。
        ……そういうわけで、任務失敗。
        禁書を回収するという、風越優理と、ヴィル・ライプニッツの目的は達成されず、シゼール領王国には貸しが出来てしまった。
        こういう状況なわけだけど。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:14:02

      • qst085097.png -- 2014-03-20 (木) 20:15:03

      •      こんな感じでどうかな。
                 ――黒幕(ざつむ)ちゃん。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 20:16:01

      • (その言葉には、確信と確証があるように聞こえたので)
        (私は、そこで漸く、小さく笑顔を返すことが出来た)
        (ヴィル先輩だけが何も分かっていないような顔をしていたのは面白かったけれど)
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:18:20

      • qst085098.png -- 2014-03-20 (木) 20:19:12

      •       ……ええ、充分です。
                      風越先輩。
        -- 雑務 2014-03-20 (木) 20:19:57

      • 【つづく】 -- 2014-03-20 (木) 20:20:39
  • ――3。 -- 2014-03-19 (水) 00:41:21
    • (領王国シゼール。古い言葉で『繁栄』を意味するその名前を宿した国は、かつて東の地を追われた蛮族が建国したと言われている)
      (統治の最高権威者に『王』ではなく『領』という概念を据え、国という母体を何よりも大切にする国がシゼールだ)
      (故に諸外国との間に貿易こそあれ、そのやりとりには高い関税が掛けられている)
      (自国民が同等の面積を持つ国に比べて遥かに少ないことが食物自給率の低さを補う形になっており)
      (この地でしか採れないレアメタル……いわゆる貴金属(宝石)の類によって周囲の国からも一応の国と認められている)
      (四方どころか八方を遥か視線の先まで砂漠地帯に囲まれたそこは一種独特の空気を纏っていた)
      -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:49:41
      • (そんな国の王宮であるのだから、当然固められた砂で出来ているような物を想像していた)
        (外観こそその通りではあったのだが、いざ中に通されてみるとそれなりの作りになっており)
        (むしろ近隣諸国より宝石で飾られている外壁が綺羅びやかに私達を迎えてくれて、着の身着のままの私は更に居心地が悪くなった)
        (やはり宿で待って居たほうが良かっただろうかと思いながらも、毅然とした態度の風越先輩と、緊張感の欠片もないヴィル先輩に何処か助けられていた)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:52:10
      • (国王の玉座を前に頭を垂れ)……謁見の許し、誠に恐悦です。シゼール国王閣下。
        この度はお招きいただき、感謝致します。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:55:36
      • 良い。楽にせよ。
        ……堅苦しいのは嫌いでな。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 00:56:21
      • (小声で)……おお、今どき呼びつけといて玉座でふんぞり返ってるクソデブが調子乗ってんじゃねえよと思ったが、意外に話せそうだな。
        今日日謁見が玉座って時点で流石砂漠の端のクソ田舎の国王だと思ったが、意外と楽に交渉に臨めそうじゃねーか。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 00:57:24
      • ヴィル先輩のその声が聞こえた瞬間完璧に交渉決裂して国際問題に発展しますから、もう少し声落として下さい。
        あと率直に物を言いすぎです。歯に衣着せてくださいよ。
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:59:13
      • 昨日一日を棒に振ったんだぞ俺らは。ちったあ許されんだろ。
        場が和んできたら二、三発小突いていいか聞いていいかなと思ってる。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 01:00:31
      • 良い訳ないでしょう。なんでそれを良いと思えるんですか? バカなんですか?
        それでもし二、三発はちょっと怖いけど一、二発なら、ってなっても絶対に殴りに行ったらダメですからね? バカなんですか?
        っていうか先輩の小突くって確実に異能使ったパンチですよね。何王に穴空ける気なんですか? バカなんですか?
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 01:02:38
      • ――以上が、こちらの提示出来る条件です。
        もちろん、あくまでも交渉をしてこいと言われた身ですから、合意の為にある程度の裁量は得てきています。
        禁書『      (くうらんりくじ)』と引き換えにしても、ある程度遜色のない有形財、無形財であると思うのですが、如何でしょうか。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 01:05:36
      • 正直に回答を述べるとするのなら、気に入らんというのが感想になる。
        それは元々《大法典》が禁書の所有権を有しているという前提での話だろう? -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 01:06:47
      • 成る程、失礼しました。その正当性をまず主張し、裏付けを説明するべきでした。 -- 優理 2014-03-19 (水) 01:07:31
      • 何を言われたところで正当性にこちらが納得をすることはないだろう。それはまず間違いなく言えることだ。
        君達がいかに《大法典》の意思を運んで来ようが、出発点があまりにも我々の認識する事実から遠い。
        禁書『      (くうらんりくじ)』は建国時から代々シゼール国王が受け継いで来たものだ。
        今更それの所有権がそちらにあると言われても、首を縦に振れるわけはあるまい。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 01:10:16
      • よし。殴る。(腕まくりをして一歩踏み出し) -- ヴィル 2014-03-19 (水) 01:10:42
      • ダメですって……! ちょっと、ちょっとヴィル先輩……!(必死で腕を掴んで引き止める)
        結構今大事なところみたいですから、邪魔しないでくださいよ……!
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 01:12:06
      • あのクソブタ野郎何を偉そうに言ってやがるマジぶっ殺す……口にリンゴ詰めたままオーブンにぶち込んでやる……。(目が据わっている)
        離せ雑務、あいつは豚だ、豚に人語なんか通用しねえよ、拳でぶん殴って修正してやんよ。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 01:13:37
      • ちょっとホントなんでヴィル先輩交渉に着いてきたんですか? 沸点低すぎでしょう!?
        っていうかホントダメですって!! 国の歴史に大穴空いちゃいますって!
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 01:14:58
      • ……つまりは、こちらが提示した条件で、禁書を譲り渡す事は出来ないと。
        そういうことでしょうか。……それは少し残念ですね。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 01:17:45
      • ただの交渉で済めばそれも吝かではなかったが……貴殿らはこの国にて罪も犯しておるしな。
        自覚はあろう。『砂漠喰い』の乙種はこの国では保護生物とされている。
        先日、大型の乙種の死体が発見された。……貴殿らがやったことだろう。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 01:20:14
      • あっ……。
        (と、口にしてから口を両手で押さえた。先輩二人の「お前……」という視線が突き刺さる)
        (ヴィル先輩ですらこなした腹芸をこなせなかったことに眉根を寄せた)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 01:21:24
      • やはりな。(どこか納得し、王手を置いた盤面の支配者のように高みから言葉を投げてくる) -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 01:22:02
      • ……確かに大型の『砂漠喰い』の乙種を一体斃しました。ですが、それは身の危険がそこにあったからです。
        シゼールの法律の中にも乙種に命を脅かされた場合に限り、それを斃しても構わないという例外は規定されていたはずです。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 01:23:56
      • あくまで命を脅かされた場合に限りな。
        その法律は恐らく、命を脅かされた者としての範囲の中には「その襲われた日に直接王への交渉に赴ける者」は含まれていないだろうな。
        まずもってそこが信用に値せんのだよ、《大法典》の使徒よ。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 01:25:33
      • っつーか例外もクソも人を襲う可能性のある生物を保護種とかにしてんじゃねーよクソが。頭おかしいんかこの国は。
        それをあまつさえ信じねーときてやがる。決めた、あいつマジ一発ぶん殴る。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 01:26:44
      • だからダメですってヴィル先輩……!! 色々この国にも事情があるんですよ……!! 国境線を超えてこないようにする自然の要塞として機能してるとか……!
        (腕まくりをして殴りに行こうとするヴィルを必死で止める)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 01:28:00
      • ……どっち道オレがキレようがキレまいが、結果は変わんねえっての。
        最初からあいつには交渉する気なんかねえんだよ。だったら先手必勝に決まってんだろこういう場合。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 01:28:59
      • 結果は変わんなくないです……!! 今風越先輩がしっかりと交渉してくれてますから……!
        風越先輩、ヴィル先輩がこれ以上抑えとけません、って、風越先輩?
        (少し高い位置にいる国王を見ながら、風越先輩が薄く笑っているのが見えた)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 01:30:21

      • qst085061.png -- 2014-03-19 (水) 01:31:37

      • ……成る程、直接交渉に関係ない事由まで引っ張り出してきたということは、こちらの条件が飲めないという話ではなく、最初から交渉をする気がなかったんですね。
        おかしいとは思っていました。こんなに簡単にこの国の最高権力者に謁見が可能であるほどにこの国は開かれているとは思いませんから。
        だとするなら貴方ですらこの国の王ではなく、禁書の交渉の場にふさわしい権能を持つ者でもないのではないですかね。
        もしそうだとするなら、俺達は完全なる無駄足を食わされ、しかもその無駄足にすら足止めを食らった愚か者ということになる。
        というのが現状の分析であると思うのですが、如何でしょうか、シゼール国王。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 01:34:03
      • (ぽかんとその様子を見る雑務に向かって)
        ……ほらみろ、オレがキレようがキレまいが、結果は変わんねえだろうが。
        言っとくけどな、あいつ、普段は飄々としてるしわかりづらいけど、オレと同じくらい沸点低いからな。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 01:35:25
      • ……い、言っちゃいましたね。言い切っちゃいましたね。 -- 雑務 2014-03-19 (水) 01:35:55
      • (少しだけ表情を変え)ほう。
        少しは頭のキレる坊を寄越してきたようだな、《大法典》も。
        更には、その可能性を確信していてもなお口にすることが憚られるその事実を、殊更に怒りに任せてぶつけてくる胆力もある。
        面白い。……風越と言ったか。交渉のテーブルに着こうじゃないか。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 01:37:27
      • これだけのヒントを与えられて漸く理解出来たことを、賢いと褒められたところで皮肉にしか感じられませんがね。
        それが偽りの国王であったとしても国王の代弁者としてそこに据わっている貴方から賜られた物であるとするならありがたく頂戴しましょう。
        そして漸くテーブルに着いていただけたということであれば、こちらの持参した取引材料に食指を唆られた物があったということでよろしいでしょうか?
        でなければ最初から誠意と共に手札を全てオープンにした俺達の熱意が伝わったと思ってよろしいでしょうか?
        (口元は笑っているが、目が笑っていない)
        -- 優理 2014-03-19 (水) 01:40:54
      • 非礼に腹を立てているのならば詫びよう。それで溜飲が下がれば頭も下げようではないか。
        無論、既に交渉の席に着いた者にそれをさせる愚を良しと思えるほど愚かにもなりきれまい。
        ……一つ、提案がある。
        そちらの手札、全て見せて貰ったが、その中に禁書と引き換えにしてもいいとこの国が思える財はない。正直に言えばな。
        この国の成り立ちに、あの禁書は既に深く関わりすぎている。そちらの言い分は尤もであるが、こちらの言い分も理解してもらいたい。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 19:17:21
      • でしょうね。客観で物を捉えることは私も得意ではありませんが、立場を貴方がたの国に置き換えてみれば、禁書『      (くうらんりくじ)』は絶対に手放したくない財であるでしょうから。
        その上で、それと同等以上の対価を持参したと、私も、私の上司も、私の上に控えている《大法典》も思ったわけですが、ご不満ですか。
        では、提案とは……?
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:19:21
      • (玉座で肉に覆われた足を組み替え)……結論を急ぐな。若さが滲んでしまう。
        自分より上の立場の者の意思であると示威するそのカードも、まだ少し切るタイミングが甘い。
        ……簡単な事だ、こちらからの提案は、風越とやら……そして、その付きの二人。
        貴殿ら自身を交渉の材料としてテーブルに載せることが、こちらが禁書を渡す条件とさせてもらいたい。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 19:22:41
      • 肝に命じます。
        ……それは、少し予想外ですね。提案としては些か不明瞭ですので、明瞭な言葉でお願いします。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:24:32
      • そうだよ。何言ってんのか全然わっかんねーじゃねーか。(イライラした様子で)
        配慮しろよ、こっちにはバカが一人居るんだぞ。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 19:25:24
      • ……ん。まあ反論して怒るところなんでしょうけれど、この場にバカが一人いるというのは間違いではないので訂正しませんよ、先輩。 -- 雑務 2014-03-19 (水) 19:26:21

      • 心得た。では簡潔に言おう。
        ――『貪欲のブランクノーツ』
        そちらのくすんだ金髪の青年の正体は、かつて焚書十篇と呼ばれた魔本の一冊であるそうだな。
        そちらとならば、この国が有する禁書『      (くうらんりくじ)』と交換をしようじゃないか。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 19:28:55
      • 無っ(大声が出そうになり、すぐ口を抑えて)……理でしょう、それ、は。
        えっ、そんなの、だって……えっ、風越先輩? ヴィル先輩? ……なんでそんな顔してるんです?
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 19:30:04
      • (交換条件を聞き、難しい顔をしているが視線を伏せて何かを考えるように顎に手をやっている)
        (その申し出に腹を立てるでもなく、ただ冷静にその条件を分析しているようにしばらく沈黙し)
        (何かに考えが至ったのか、小さくため息を吐いて、雑務を見る)……あ、何が?
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:31:48
      • いや、だって……えっ。何でそんな考えることあるんですか……?
        ヴィル先輩を渡せって言われてるんですよこれ。そんなの、任務だからってダメに決まってるじゃないですか。
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 19:32:38
      • うるっせえなお前は。だから連れて来たくなかったんだよ。
        (珍しくこちらも、腹を立てているような様子はなく、いつも通りの口調と態度で雑務を押しのける)
        んで、どうすんだ。風越。……オレはお前に任すぞ。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 19:33:52
      • 任すってそんな!! おかしいですよ!!? そんなの、おかしいじゃないですか!? -- 雑務 2014-03-19 (水) 19:34:20
      • ……そうか?
        オレは考えるの面倒だからこいつに任せるって言ってるだけだからお前が何でそんなに慌ててんのかは分かんねーけど。
        まあ、どうにかなんだろ。どうなっても。それに、風越に交渉を任せるって言った以上、決めんのはこいつだ。
        二人だと言い争いになったとき絶対に決着付かねえから、決定権は最初に責任持つ方だって、そう決めてんだよ。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 19:36:21
      • 大体俺になるんだけどな。(小さく嘆息して)
        そう決めなければ晩飯すら決められないからね。……ただ、意見は聞いておく。
        お前、この国の住民になる気、あるのか?
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:38:26
      • ねーよ。何で好き好んでこんなクソ酸っぱい料理が名産な地域に定住しなきゃなんねーんだ。
        この国の住民になるくらいなら、まだ洋上学園で死ぬまで過ごした方がマシだわ。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 19:39:51
      • ……だ、そうです、国王(?)。
        交渉を了解してヴィルを飼うつもりなら、地下室にでも幽閉しとくのがいいかもしれないです。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:40:39
      • あっ!!? テッメエ!? どっちの味方なんだよ!! クソが!! -- ヴィル 2014-03-19 (水) 19:41:11
      • そうしよう。箴言に感謝する。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 19:41:56
      • ちょ、ちょっと風越先輩……。本当に、どこまで本気なんですか……?
        ヴィル先輩との関係に口を出すつもりはないですけど……そんな感じでいいんですか……?(不安げに尋ねる)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 19:44:28
      • ん、大丈夫。今俺もどうすれば一番得するか考えてるところだから。 -- 優理 2014-03-19 (水) 19:45:35
      • そういうことを言ってるんじゃないんですけど……!! -- 雑務 2014-03-19 (水) 19:46:03

      • ――国王(?)。 このハテナのニュアンス伝えにくいのでもう国王ってことにします。
        勿論ヴィルを渡すというのはこちらとしてもあまり採りたくない案ではあります。少なくとも今武装がこれしか無い以上、この国から出ることすら容易でなくなる。
        まあだからといって帰りの分のタクシー代を出してもらっても、領収書切って二重に得をするくらいしか私自身に得はないですが。
        なので、代替案の提案をします。……今晩一晩、彼をお貸しします。
        損壊されたりするのは困りますが、内容の閲覧は出来るようにしておきます。ですからそれを、『写本』とし、それを交渉の材料にさせてはいただけませんでしょうか。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:49:50
      • ……ほう。『貪欲のブランクノーツ』の『写本』か。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 19:51:30
      • ……一晩貸すっていう言葉の響きがスゲー気持ちわりぃ。(青い顔) -- ヴィル 2014-03-19 (水) 19:52:14
      • どこで知り得たかは存じませんが、焚書十篇についても知っているのであれば、その写本の価値もご理解いただけるのではないかと。
        それに、ヴィルを欲しがるのだとするならば、写本化する用意くらいはこの国には出来ているのではないでしょうか。
        もちろん私の意見が見当違いということでしたらそれで構いませんが。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:54:08
      • (でっぷりと肥えた顎を太い指で撫で)……一理ならぬ、一利程度はあるな。
        だが、写本との交換ではやはり僅かに弱い。原本と写本にはそれくらいの差があることは貴殿も分かっているのだろう? -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 19:55:25
      • そうですね。仰る通りです。
        ですから、本日一日……明日の正午までの貸与という形を取らせていただきますが、その間に私の方で《大法典》に掛け合い、写本にプラスが出来る何かを用意します。
        それを以って、禁書との交換に応じていただきたい。……如何でしょうか。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 19:57:18
      • もし、その明日までの貸与で貴殿が交渉に見合う材料を用意出来なかった場合はどうする。
        『貪欲のブランクノーツ』の貸し損ということにはならんか。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 19:58:36
      • ですから、これはあくまで誠意ですよ。善意の貸与です。
        こちらとしてはそれだけ、禁書『      (くうらんりくじ)』を持って帰りたいのです。
        そのために先払いをする対価が無駄になるかは、その誠意に対してどれだけの評価をいただけるかということになりますね。
        如何ですか。これがこちらが提示出来る妥協案です。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 20:00:50
      • ……成る程。面白い外交の仕方をするな。
        飲もう、その条件。そして明日、正午までに貴殿らがどのような条件を提示してくるか、楽しみにしていようではないか。 -- シゼール国王 2014-03-19 (水) 20:06:16
      • 決まりですね。(手の中に白紙の本を生み出す。『貪欲のブランクノーツ』の原本)
        (玉座へとそれを持って近づき、王にそれを差し出す。振り返り、ヴィルに顎で指示を出すと面倒くさそうに玉座へと歩いてくる)
        -- 優理 2014-03-19 (水) 20:07:52
      • ……そんな、嘘ですよね、風越先輩……。
        そんなに簡単に、あっさり……。(気が気でない様子で二人を見て)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 20:08:40
      • (ハァ、と嘆息して)……何今生の別れみたいな顔してやがる。テメエは子牛が売られていく荷台見てる親牛か?
        っつーかな、風越だって何の勝算もなしにこんな取引持ちかけるかよ。リリィと話はついてるんだよな。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 20:10:17
      • いや、全然。 -- 優理 2014-03-19 (水) 20:10:36
      • ほら見ろ、伊達にオレらの頭脳担当してるわけじゃねーんだこいつは。
        分かったらちっとドンと構えてろよ、オレも一晩程度は我慢してやるからよ。
        -- ヴィル 2014-03-19 (水) 20:11:37
      • いやいや!? 聞き逃したり聞き間違えそうでしたけど、全く考えてなかったって返答と顔でしたよ!?
        何自信満々でどや顔してるんですかヴィル先輩!! この国の子になっちゃうかもなんですよ!?
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 20:12:33
      • ……?
        ……あんなこと言ってんぞ、あのバカ。(他人ごとのように玉座の隣から雑務を指さす)
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 18:30:55
      • ……まあ、安心しろ。
        ヴィルに頭脳労働させようとは俺も思ってない。(ポンとヴィルの肩を叩き)

        ……信じられないか? 俺のことを。(薄く笑った)
        -- 優理 2014-03-20 (木) 18:32:55

      • qst085094.png -- 2014-03-20 (木) 18:34:53

      • (その風越の珍しい物言いに、無言で鼻白む。返す言葉がすぐに出てこずに、目を細めた)
        (僅かな間の後、静かに口を開く)……ンなこと言ってねーだろうがよ、一言も。
        ……んじゃ、任すぞ。いつも通りな。
        (呆れたように鼻を鳴らして嘆息した)
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 18:37:00

      • qst085095.png -- 2014-03-20 (木) 18:38:45

      • 任された。(何でもない事のように言い)
        ……大人しくしとけばいい。一日だけ我慢しろ。
        そうすれば、俺がお前を救える策が思いつく、かもしれない、こともない。
        -- 優理 2014-03-20 (木) 18:40:37
      • (やはり何か引っかかる物を感じながらも不承不承納得し)
        んじゃ、そういうわけだ。テメエ、妙な真似したらぶっ殺すからな。
        一応そっちが本体みてーなもんなんだからよ。(国王に向けて言う)
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 18:42:24
      • 心得よう。だが、VIP待遇とは行かない。
        やはり風越君の助言通り、今晩一晩だけは地下牢に繋がせてもらうよ。 -- シゼール国王 2014-03-20 (木) 18:43:51
      • クソが、余計な知恵付けさせやがって。勝手にしやがれってんだ。
        おい、風越。(ポケットから鍵を取り出して投げる)
        無駄にすんのもなんだから、その馬鹿に部屋使わせてやれ。
        -- ヴィル 2014-03-20 (木) 18:45:13
      • ヴィル、先輩……(口を挟めない空気に、息を吸い、吐く) -- 雑務 2014-03-20 (木) 18:45:46
      • (玉座の前から降りてきて、その不安げな雑務の手に鍵を握らせる)
        ……安心していいよ。ヴィルは必ず、俺が助けるから。
        (それはまるで、魔法の呪文であるかのように、静かに呟かれた)
        -- 優理 2014-03-20 (木) 18:47:29

      • 【つづく】 -- 2014-03-20 (木) 18:47:56
  • ――2。 -- 2014-03-17 (月) 20:34:11
    • (夕刻。公用語が使用出来るレストランに入り、割高の料理を注文した後、雑務に仕事の説明をしている)
      ――というのが、普段の仕事。感嘆に言えば禁書の回収に当たってる。
      物理的に奪い取るようなやり方がどこでも通用するわけはないから、主に交渉事だけど。
      上司が優秀だから荒事になった時のために荒事専門の人員を着けてくれてる。(ヴィルをフォークで指す)
      -- 優理 2014-03-17 (月) 20:46:01
      • (運ばれてきた料理のハンバーグに挿さっている外国の国旗の旗をナプキンで丁寧に拭いてポケットに仕舞っている) -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:47:07
      • 上司が優秀だと幸せなことだと思う。人使い荒すぎて、俺達を目減りしないアイテムだと思ってるのが玉に瑕だが。

        今回は、領王国シゼールの禁書『      (くうらんりくじ)』(空欄陸字)っていう特殊な禁書の回収。
        昔色々とあったときに蔵書から抜け落ちてた一遍なんだけど、その後も色々あってこの国の蔵書になってるらしい。
        正当な所有の権利は《大法典》にあるので、国同士じゃないけど外交のつもりで臨んで欲しいとのことでした。
        だから二人だけだけど外交官のつもりで来たんだけど。あの始末だから飛び込み営業のつもりで来るべきだったかも。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 20:51:00
      • (この国の城下に入り、城を訪問した午前中の様子を思い出して眉根を寄せる)
        門前払いでしたもんね……謁見は明日にして欲しいとかなんとか……。
        正式な交渉、というか、所有権が《大法典》にあるなら、あの態度って風越先輩怒って良かったんじゃないですか?
        (運ばれてきたパスタを巻きながら言う)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 20:55:00
      • よくあることだから、こういう任務こなしてると。慣れてる。特に俺は。
        ……何で良くあることだと思う?
        -- 優理 2014-03-17 (月) 20:57:18
      • そうだな。状況を冷静に、そして客観的に捉えてみることでその疑問を解消することが出来ると思うぞ。
        オレの見立てではさっきのあいつらの態度は、一言で言ってしまえば……『罠』なんじゃないかと思う。
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:59:02
      • 多分今まで一回もこの手の質問をヴィルにしたことはないし、これからもするつもりないから、食べてていいよ。 -- 優理 2014-03-17 (月) 21:00:11
      • そうか? 悪ぃな。(型に収められたご飯にふりかけをかけて食べ始める) -- ヴィル 2014-03-17 (月) 21:01:00
      • (巻いたパスタを持ち上げ)……えーと、外交の手段、っていうところでしょうか。
        あまり賢い方法とは言えないですけど、牽制というか、出鼻を挫く効果はありそうですし。
        現に挫かれましたしね。挫かれておもいっきり反省会中ですし。
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 22:08:17
      • 上司は多分すんなりと行くとは思ってなかっただろうし、俺も思ってなかった。だから予備日は何日か取ってある。
        滞在に比例して懐事情は寂しくなってくるけどな。宿も何日もは無理だろうし。
        何にせよ、元々この国の属性は『拒絶』にあるわけだから、一筋縄には行かないよ。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 22:11:38
      • 拒絶……ですか。
        それって、その、外交とかそういう意味でですか……?
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 18:37:52
      • 正確には『外交』も含めて、の話かな。でなければこんな砂漠の真ん中に国を創ろうだなんて思わないだろうからね。
        元を辿れば周辺国から逃げ延びた蛮族が作り上げた国だ、外交にしろ渡航にしろ、根底にあるのは『拒絶』の属性だろう。
        拒絶があるから迎合した時の意味がある。今回はその基本姿勢を再確認するために一度拒絶で対応されただけ。腹を立てることじゃない。
        ……食べないの? 割りと見た目は美味そうだと思うけど『砂漠花のパスタ』。
        -- 優理 2014-03-18 (火) 18:43:56
      • (色とりどりの砂漠に咲く花が添えられたパスタを絡めたフォークを置く)……ちょっと食欲が。全力疾走もした後ですし。
        せっかく注文してもらったんですけど、それほど得意じゃないんですよね、酸っぱいの……。
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 18:46:15
      • いらねーならよこせよ。(言うが早いか皿を引き寄せて食べ始める)
        グダグダ言ってっけど、さっきのあの態度なんだ、今日何回行ったって追い返されんのが見えてる。
        今日はもう腹満たして宿に帰って明日早朝にもういっぺん行って見るんでいいじゃねーか。(口の周りをベタベタにして言う)
        -- ヴィル 2014-03-18 (火) 18:48:34
      • ……驚いたな。ヴィルに物を考えるって機能があるとはな。 -- 優理 2014-03-18 (火) 18:50:39
      • ア"ァ!? テメエそりゃどういう意味だコラ……。 -- ヴィル 2014-03-18 (火) 18:51:17
      • 俺の相棒は俺が思っているよりも優秀だったっていうことだが? -- 優理 2014-03-18 (火) 18:51:53
      • ああ、そういう意味かよ……・びっくりさせんなよ。(口の周りを拭きながら席に座る) -- ヴィル 2014-03-18 (火) 18:52:24
      • あの、そういう意味ではありますけど、同時にバカにもされてますよヴィル先輩……。
        じゃあ、やっぱりヴィル先輩が言うように、明日改めて伺うんですか? また、あの王宮に。
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 18:54:22
      • そうなるね。こっちとしても交渉の材料はあるけど、その材料をテーブルに載せる前に門前払いされてたら手札として出しようがないから。
        明日はそのテーブルに相手が座ってくれることを祈るだけだよ。……雑務ちゃんはどうする? 今日みたいな社会科見学で行く予定?
        -- 優理 2014-03-18 (火) 18:56:02
      • いいんですかね……今日ですら相当不審がられてたので、明日同行してたら交渉不利になるんじゃないんですか。
        同行していいのであればありがたく着いて行きますけど。その、やることないですし。
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 18:57:40
      • オレは反対しとくぞ、風越。仕事の邪魔になる可能性がこいつには充分にある。
        お前の交渉が長引いて滞在期間が伸びれば伸びる程リリィのダメだしキツくなんだから、当初の予定通りさっと終わらせるべきだろ。
        っつーかな、テメエなんでそんなブラブラブラブラ暇そうにしてやがんだよ。同行してーならさっき言ってた複雑な事情くらい話やがれ。
        まさか『自分探しの旅』とか言うんじゃねーだろうな。そういうの言っていい奴はこの間まで学生だった奴だけだぞ!?
        -- ヴィル 2014-03-18 (火) 19:01:01
      • この間まで学生だった奴ですよッ!! う、まあ、なんかそれほど強く言い返せないのが辛いですけど。
        ……異能疾患対策室が解散になって、バラバラになって……とにかく自分の足で一歩を踏み出さないと行けなかったんです。
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 19:02:28
      • ……物理的に一歩踏み出してやがる。 -- ヴィル 2014-03-18 (火) 19:02:54
      • しかも勇み足だな。
        ……そうか。特別教室は解散になったのか。それは……初耳だな。
        -- 優理 2014-03-18 (火) 19:04:05
      • だな。まあ、興味ねーけど。んじゃあの書記とか会計とかのバカも晴れてテメーと同じくぼっちか。いい気味だ。
        ……それに、オレは言ったはずだからな。あんなクソみてーなとこにいつまでも篭ってんじゃねーって。
        どうよ、恋の一つでも見つかったか?(昔口にした冗談をさもバカにしたような口調で嗤いながら言う)
        -- ヴィル 2014-03-18 (火) 19:07:03
      • イラッ…!
        ……ヴィル先輩にはルベライトさんから伝言があります。「少し真面目な話があるから今度帰ってきた時は真っ直ぐ私のところに寄ること」だそうです。
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 19:11:05
      • 「めんどくせえ。お前が来い」って言っといてくれ。 -- ヴィル 2014-03-18 (火) 19:11:51
      • 私を伝言板みたいに使わないで下さい!! ヒソッターですか私は!!
        それに無理じゃないですか? ルベライトさん大きくなってきたお腹を擦りながらそれ言ってましたし。
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 19:12:38
      • ――ブハァッ!!(食べていたパスタを盛大に吐き散らし)
        ………………。は……?
        いや……ア!? どういうことだ!?(鼻からスパゲッティ出たまま雑務を見る)
        -- ヴィル 2014-03-18 (火) 19:13:55
      • ………。(ごくりとレモンフレーバーの水を飲んで、落ち着いたまま)
        久しぶりに海賊部の方と食べ放題に行ったんですって言ってました。バイキングがバイキングってことですかね。
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 19:24:15
      • テメエッッ!!
        ……クソが……!! 性質悪すぎるだろその冗談……!! どこで覚えてきやがったそれ……!!
        -- ヴィル 2014-03-18 (火) 19:25:33
      • オレとしてはお前に性欲があると分かった事のほうが驚きだな。 -- 優理 2014-03-18 (火) 19:26:55
      • 毎回思うがテメエはオレのことを何だと思ってんだ……?(ギリギリと歯ぎしりして詰め寄る) -- ヴィル 2014-03-18 (火) 19:27:31
      • (無視して)……ところでさ、雑務ちゃん、ちょっと聞いておきたいんだけど、宿って大丈夫なの?
        この辺観光地じゃないから、素泊まりの宿ってそれほどないし、あっても俺達みたいなビジネス目的の商人が押さえてるんだけど。
        -- 優理 2014-03-18 (火) 19:32:26
      • ……え?
        それって、どういう……。(ぽかんと口を開いて再度風越しに尋ね直す)
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 19:35:43
      • 多分だけどさ。
        今日泊まるところ無いよ、君。
        (マイペースにパスタを食べながら言った)
        -- 優理 2014-03-18 (火) 19:36:45


      • ――だからって、これは少し問題ないですか……?
        (シングルの古いベッド、明らかに一人用の小さい部屋を見回す)
        (居心地悪く太ももをこすりあわせてベッドに座り、覚えなくてもいい緊張感を覚えていると、バスルームの扉が開く音が背後でした)
        (流石この界隈では一番の設備を誇る高級宿といったところか、個室にはシャワーまで付いていたようだ)
        (ビクリとして振り返ると、その部屋の主は頭を拭きながら出てくる。少し安心したのは、しっかり服を着直していたことだ)
        -- 雑務 2014-03-18 (火) 23:58:12
      • どんな顔してんだよ。(少し笑いが溢れる)
        (コップに水を汲んで飲み、頭を拭いたバスタオルを机に置く)
        緊張されるとこっちも緊張するんだけど。(椅子を引いて座ると、ベッドで両手を膝に置いた雑務に苦笑した)
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:02:33
      • ……どうにかならないんですかね、これって。
        確かに、予約取ってなかった私にも落ち度はあるでしょうけど、それにしてもこの状況って色々問題ありませんか。
        私の方になくても、風越先輩としては、問題あるでしょうこれ……。
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:06:41
      • 生憎部屋が二つしか空いてなくて、ヴィルが嫌がった結果だからな。
        ヴィルが寝てからなら、そっと忍び込んで窓から放り出せば一部屋使えるけど、そうする?
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:08:08
      • ……嫌ですよ。男二人に女一人で二部屋使う提案を退けるような人に喧嘩売る程バカじゃないです。
        何なんですあの人、優しさとかそういうものってこの何ヶ月かで手に入らなかったんですか?
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:15:44
      • ヴィルの優しさは、分かりにくいからな。
        安牌と思われてることは良いのか悪いのか。一応雑務ちゃんでも充分興奮出来る事を証明しとこうか?
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:20:04
      • いいです。嘘から出た真っていうことわざもありますから、振りでもそういうの辞めて下さい(口を尖らせ)
        それに、言葉に出してから証明の為に興奮されても別に嬉しくもありませんから。
        ……風越先輩って思ってたより意地悪ですね?
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:24:06
      • (薄く笑みを浮かべ)もしかしたら旧友に会えて、俺も舞い上がってるのかも。
        ……エリちゃんって、元気してる? してた? かな、この場合。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:25:14
      • はい。多分、ですけど……私達も最後の数週間は色々バタバタしてましたから……。
        特に何の報告も上がってきていなかったっていうことは、そういうことだと思いますし、そういうことだと思った方がいいと思います。
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:28:09
      • (それだけで充分であるかのように珍しく笑いをこぼし)……そうか。良かった。
        ベッド、使っていいから。俺はその気になったら立ったままでも寝れるから。
        今日は椅子で寝る。先に起きたら六時頃に起こしてね。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:29:43
      • えっ、そんな、悪いですよ! 私が無理言って同室にしてもらったのに!? -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:30:22
      • 選択肢1。抱き合ってシングルで寝る。
        選択肢2。雑務ちゃんが椅子で寝れるもんなら、寝てみる。
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:31:26
      • どっちも無理です……出来ません。……やっぱり意地悪ですよね? 風越先輩。
        (先輩のわかりにくい優しさに感謝しながら、ベッドに再び腰を下ろす)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:32:21
      • ……かもね。
        雑務ちゃん、明日は多分交渉になるから、余計なこと言ったりしないようにね。色々と面倒になる可能性もあるから。
        あとは……うん。探してる自分が見つかるといいな。お休み。
        (言うと、返事も待たずに一瞬ですぅ、と眠りに落ちる)
        (ベッドで腕を組んだまま首を傾けて、器用に眠りに入った)
        -- 優理 2014-03-19 (水) 00:35:13
      • ……早っ。
        (恐らく快眠に至る訓練か、あるいは深い眠りに落ちる魔法か何かなのかもしれない)
        (顔を覗きこんでも寝息の音すらなく、眼を開く気配もないまま深い眠りへと落ちている)
        (男性の物にしては少し長めの睫毛を至近距離で眺め、少しだけ時間を忘れたところで我に返る)

        何してるの、私。
        (急に自分こそが不埒者であるかのように思えて、顔に朱が差すのが自分でも分かった)
        (起きてる者の居ないその部屋でぺち、と片方の頬を手で叩いてからベッドで横になった)
        (全力疾走の後の疲労感に包まれた身体は、程なくして眠りの餌食となった)
        -- 雑務 2014-03-19 (水) 00:39:07

      • 【つづく】 -- 2014-03-19 (水) 00:41:51
  • ――1。 -- 2014-03-17 (月) 17:53:53
    • ……かねえか。第一、そこまでする義理がオレにもテメーにもねぇ。
      テメエのケツをテメエで拭けない奴連れて行ける程お人好しじゃねぇぞ。
      そういう心構えで足を踏み込んでいい場所じゃねーだろ、砂漠ってのはよ? ア"ぁ?
      -- ヴィル 2014-03-17 (月) 17:56:06
      • ……お前が一体どの程度ならお人好しなのかは気になる。
        それと、初日に軽装で歩いて治癒魔法が必要なくらい日焼けしてなかったらもう少し説得力があったな。次頑張れ。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 17:57:50
      • おう、任せろ。オレは同じすだちは二度と踏まねえ。 -- ヴィル 2014-03-17 (月) 17:58:20
      • そうか。柑橘類の知り合いが出来たら吉報として教えてやるといい。
        ……何にせよ、早めに決めたほうがいいと思うぞ。熱射だろうが日射だろうが、砂漠の昼間に倒れてて無事で済むとは思えない。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 18:00:46
      • ……っだぁ! メンドクセーなオイ!!
        おい、テメエ!! 雑務だろ!!
        こんなところで寝てんじゃねぇよ、死にてぇのか? ア"ァ!?
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:02:39

      • (その懐かしい名前を呼ばれて、ゆっくりと目を開く。途端、灼熱の砂地に身体を横たえていることを否応なしに理解出来るような熱が身体を襲った)
        (意識を向けざるを得ない余りのその熱さに、一瞬で意識が覚醒する)

        ――ぐっえ! (と、同時に、何か重い物が背中に落とされるような衝撃を受けて苦悶の声が漏れた)
        (それによって身体を更に砂地に押さえつけられて灼熱感に思わず悲鳴を上げて立ち上がる)
        ――あっつ!! 熱い!? えっ!? 何!?
        (目を閉じていたので周囲の明るさに目が慣れない。そのせいで逆光ではないのだが、目の前に立つ誰かが誰であるのかを判断するまでに数秒を要した)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:07:55

      • qst085043.png -- 2014-03-17 (月) 18:09:59

      • (バサバサと黒髪の間から砂が落ちる。周囲は見渡すかぎりの砂漠)
        (国境線を遥かに南下した砂漠地帯。知り合いなど一人も居ないこの不毛の地で……懐かしい顔がそこに居た)

        ヴィル……先輩。それと、風越先輩。……あの。あれ?
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:12:39

      • qst085044.png -- 2014-03-17 (月) 18:13:50

      • ……あれ、じゃねえよクソが。とぼけた顔しやがって。何死に掛けてやがんだよオレの手の届く範囲で。
        死ぬなら勝手に死にやがれ寝覚めの悪ぃ。っつーか、なんでテメーがこんなとこにいんだよ。
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:16:54
      • 意識が良好なのが救いだな。
        最悪の再会にならなくて良かったね。もっと最悪だと砂に埋れて見つからなくなることだろうし。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 18:18:44
      • え、いや、あれ!? 私、どうしてました!?
        ……えっと、そんなに危ない、あれ、視界が真っ暗に……(座っているのに立ちくらみがして苦笑いする)
        (顔を手で覆いながら先ほどの出来事を思い返し)……というか、もしかして踏みました? ヴィル先輩。
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:20:07
      • 踏んでねーよ、人聞きの悪ぃ。踏みたいのはやまやまだったけどな。 -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:21:21
      • え、でも何か背中にどすんって衝撃が走ったんですけど……。踏みましたよねヴィル先輩? -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:21:59
      • ……だから踏んでねーっつってんだろうがよ。 -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:22:42
      • ……本当ですか? 風越先輩。(眉根を潜めて尋ねる) -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:28:15
      • こいつに女を踏める度胸があるわけないだろ。 -- 優理 2014-03-17 (月) 18:28:42
      • ほら見やがれ雑務。 -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:29:13
      • ……ヴィル先輩はそれでいいんですか。風越先輩からの評価……。
        でも、まあその……勘違いだったらすみませんでした。
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:30:29
      • ヴィルに謝らなくていいぞ雑務ちゃん。踏んだの俺だから。 -- 優理 2014-03-17 (月) 18:31:11
      • 風越先輩!!? 女を踏める度胸がある風越先輩!!?

        (――と、場の空気が少し弛緩したところで、地響きのような物が聞こえてくる)
        (洋上学園に居た頃に何度か経験をした『地震』よりも更に浅い場所から来るようなその振動に、周囲を伺う)
        ……な、ななな、何なんですこれ、地面が揺れ、揺れ……!!(バランスを保てなくなるほどの地響きに、二人に対して疑問を投げる)
        (どこか落ち着いた様子の二人はバランスを保ったまま、私と同じように周囲を伺っている)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:35:23
      • (小さく嘆息しながら、砂の大地を揺るがすその『原因』に思いを馳せる)
        ……あー……こりゃ、でけえな。風越。ちょっとやべーかもな。
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:36:37
      • それに、多分『近い』からだろ。……逃げる準備しとくか。
        この国に入ってから一番でかいのが『居る』んだろうな。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 18:39:16
      • ちょ、ちょっと、あの、分かる言葉で、分かる言葉で言ってくださいお二人とも!!
        逃げるとか、きっと私にも関係のあることですし、何なんですかこの揺れは!?

        (――まるで、その疑問に応えるように、ではないが)
        (目の前で、代わり映えのしなかった砂の大地の一部が大きく隆起を起こす)
        (それは小高い丘のレベルまでに大地を押し上げ、周囲に大きな砂埃をまき散らした)
        (――最初、私はそれを間欠泉か何かが吹き出したのかと思った)

        (――だが、次の瞬間)
        (その丘のように大きい隆起自体に――瞳が生じた。正確には、閉じていた瞳を開いたと言ったほうが正しいだろう)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:43:08

      • qst085045.png -- 2014-03-17 (月) 18:44:54

      • ……あ、やべえ。マジでけえ。
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:46:29
      • ……300mくらいか? 主だろうなあれは。 -- 優理 2014-03-17 (月) 18:48:09
      • 何でお二人そんなに落ち着いてるんですか!!? 『砂漠喰い』(デザートイーター)ですよ!?
        っていうか、でかっ、ちょっと、デカ過ぎませんかあれ!!?
        (見上げる程の大きさの『砂漠喰い』を涙目で見上げて叫ぶ)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:49:49
      • ……蚕串もオレンジクリームモンブランも好き嫌いせず食ったらあんなデカくなれんのかな。 -- ヴィル 2014-03-17 (月) 18:52:10
      • あそこまでデカいと尿酸値凄いだろうな。多分痛風だぞ彼。 -- 優理 2014-03-17 (月) 18:53:41
      • 彼だか彼女だか分からないじゃないですか!!? と、というか、先輩達落ち着きすぎですよホント……あ、あれって、無害なんでしたっけ……!?
        あっ、そうだ、ガイドマップ……!! シゼール領王国の歩き方 -砂漠編-が、確かこの辺に……!!(バッグを漁る)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 18:57:42
      • 安心していいよ雑務ちゃん。あのレベルの大きさの『砂漠喰い』は初めて見たけど。
        (ダッ、と砂漠を走りだす。『砂漠喰い』と反対の方向へ)
        ……昨日からこれで四度目の襲撃だから。『砂漠喰い』からは。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 18:59:43
      • おら、立ちやがれ雑務。逃げんぞ。
        あの野郎、身体あんだけでけーのに相当はえーから全力で走んねーと餌だぞ餌。
        (雑務の後頭部をはたいてから風越を追うように走り出す)
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 19:01:40
      • (『シゼール領王国の楽しい歩き方 -砂漠編-』を開いたまま走って二人を追う)
        いやああああ! 好物『黒髪の女の子の人肉』って書いてあるぅぅぅ!!
        (そのまま砂漠にガイドブックを投げ捨て、泣きながら全速力で二人を追う)
        (それに気づいたのか、『砂漠喰い』が大きく口を開いたまま、こちらに向けてその巨体で襲い掛かってくる)
        (背後で飲み込まれていく砂の大地とガイドブックを見ながら、半泣きで二人の先輩の後を追う)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 19:04:04

      • ――痛風っていうのはな、プリン体を多く摂取してなる病気なんだ。
        『風』が当たっても『痛』いと書いて痛風と読む。怖い病気だろ。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 19:09:08
      • ……マジかよ。じゃあプリンばっかり食ってるオレはもしかして痛風なのかもしんねーぞ……。
        そういえば先週の禁書回収任務で腕の骨粉々に折ったとき、風が吹いても痛かったし、もしや、これは……?
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 19:11:11
      • それは腕の骨が粉々だから痛いだけです!! そしてプリンにはプリン体含まれてませんからいくらでもご賞味くださいよ!!
        っていうか、思いっきり追われてる最中なのに、何でそんな暢気に会話してるんです!?
        それに段々追いつかれてきてませんか私達!?(砂に足を取られながら逃げる)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 19:12:47
      • 領国内まで逃げ延びれば自警団がどうにかしてくれるだろ。
        流石にこんな砂漠の中に国作ろうって連中なんだし、『砂漠喰い』くらいは対処出来るだろうしな。
        ただ、殺れっつーなら殺るぞ、風越。
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 19:15:37
      • ……少し待って。もう少し様子を見たい。(全力で走りつつ、フード越しに後ろを見ながら言う) -- 優理 2014-03-17 (月) 19:17:00
      • そんな悠長なこと言ってる場合じゃないですよね!!? 本当にやっぱり追いつかれてますよ!? 気のせいとかじゃないです!!
        あの、風越先輩確か魔術師でしたよね!? 魔法とかで足止め出来ないんですか?
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 19:18:03
      • 魔術師だけど、唯一使える魔導書がこういう場面で役に立たないからな。 -- 優理 2014-03-17 (月) 19:18:35
      • そんな使えねえ魔導書持ってやがったのか。そんなもん領王国に着いたら捨てちまえよ。 -- ヴィル 2014-03-17 (月) 19:19:20
      • 視野に入れておく。
        正直に状況を説明すると、少なくとも今自由になるのはヴィルだけなんだ。逆に聞くけど雑務ちゃん何か出来ないの?
        -- 優理 2014-03-17 (月) 19:21:05
      • 雑務ビーム出せ雑務ビーム!! 洋上学園で良く出してたろビーム!! -- ヴィル 2014-03-17 (月) 19:21:46
      • 一体誰と勘違いしてるんですそれ……!! 出ませんし出しませんよ……!!
        ああ、そういうことになってたんですね。学園の最後の方、全てを調べられる程こっちも余裕なかったですから初耳でした。
        ……って、じゃあ今の状況って凄いヤバいんじゃないですか……!?(振り返ると、やはり距離を詰められている。前方に領王国の姿はまだ見えない)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 19:23:31
      • そこそこにヤバいよ。俺とか今走馬灯見え始めてる。
        雑務ちゃんさ、さっきのガイドブックに『砂漠喰い』の弱点とか乗ってなかった? 生物としての生態とか。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 19:25:40
      • 載ってませんでしたよ……! 必死だったので全部に目を通しましたけど……!!
        遭遇する前の地響きの段階で逃げておけっていうのが唯一の対処法みたいに書かれてましたし……!!
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 19:29:07
      • ……あー。
        っつーかな、段々イライラしてきやがった。何でオレらがあんなデケエだけのクソ化け物にビビって逃げなきゃなんねーんだよ。
        洋上の頃にもいやがったけどな、人間を餌としか思ってねえような化け物、死ぬほど嫌いなこと今思い出したわ……。
        (逃げながら歯をギリギリと噛み締め、過去から怒りを引き出すように青筋を浮かべている)
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 19:30:48
      • デカいだけで充分な脅威だと思うんですけどヴィル先輩……! -- 雑務 2014-03-17 (月) 19:31:21
      • ……少し待った甲斐があったな。充電完了の合図だ。
        雑務ちゃん、少し退がってて。あのデカいのを……斃すから。(殊更に強調して雑務へとその言葉を投げる)
        -- 優理 2014-03-17 (月) 19:33:24
      • 斃す、って……えっ!? あの!?
        (聞き返したが、既に風越の目は背後に迫る『砂漠喰い』に向けられていて、慌てて二人から距離を取る)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 19:35:10
      • (ふわりと、フードを外し、獣のように牙を剥く)
        (待ちわびたその瞬間に喜色満面鬼のような笑顔を顔に張り付かせ、『砂漠喰い』を振り返る)
        ――最初から、そうしてろってんだ、テメエはよ。
        (ゴキゴキ、と肩から腕を鳴らし、ぶんぶんと腕を振り回す)
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 19:37:32
      • (遮光フードを棚引かせ、両手を広げる。魔力の胎動が周囲に幻光となって表出する程にその身体は魔力に満ち満ちている)
        (右手に魔導書が生じる。表紙も背表紙も真っ白であるその魔導書の名を『貪欲のブランクノーツ』と呼ぶ)
        (ヴィル・ライプニッツの持ち主である魔術師はその内の一ページに指を挟み、魔術を詠唱した)

        ――《泣いた赤子の手を捻るように》

        (その短い詠唱のみで、魔力が魔導書からヴィルへと流れ込む)
        (波濤となって襲い掛かってくる魔力の供給を貪欲に飲み込みながら、ヴィルが大きく腕を振りかぶった)
        -- 優理 2014-03-17 (月) 19:55:51

      • (――拳が、振り抜かれた)
        (衝撃の波及すら一瞬遅れ、音の到達は数瞬遅れた)
        (練り上げられた魔力を全て破壊力に変え、『砂漠喰い』の胴体に大穴を空けた)
        (まるで悪い夢であるかのような巨大な破壊が目の前で起こり、それは規模からビルの倒壊を思わせるスケールだった)
        (かつて、洋上学園で彼が経験した『赫拉克勒斯(クライベイビー)』という異能を、魔術によって再現したブランクノーツの一頁)
        (白紙であるが故に万物を書き込める魔術書である彼が、洋上学園で得た物の一つが、化け物を一撃で屠っていた)
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:00:34
      • (ただ、拳を振り抜いただけに見えた)
        (気付けば嘘のように大きな『砂漠喰い』の胴体に貫通穴が空いていた)
        (記録で、一度見たことがあるその異能。自分が異能疾患対策室に居た頃に注目していたとある男性の異能)
        (それを風越先輩からの魔力供給で、ある程度まで再現したその魔術によって……私の腰は完全に抜けてしまっていた)
        (魔術の行使や、魔法の威力もさることながら)
        (何の指示も指定もなく、その異能を選んで行使したその二人の連携は)
        (――彼らが洋上学園を出た後にも、こんな事態に何度も何度も遭遇し、解決してきた証左であり)
        (それは、ただ目的もなく南へと足を運んでいた私の目には――とても綺麗な物に見えた)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 20:04:44
      • (不満気)……いや、権兵衛の野郎のアレはもうちょい威力あっただろこれ。
        風越、テメエちょっと手ぇ抜きやがったな。
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:05:39
      • お前が持って行きすぎなんだ。足止めって言っただろう。何で殺したし。
        (砂を払いながら)……魔術師の魔力も無尽蔵じゃないんだ。路銀と同じで尽きたらアウトだぞ、どの任務も。
        少しは考えて使う頭を……頭のことはいいか。無理だな。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 20:07:05
      • 仕留め損ねるよりゃマシだろ。大体オレはそういう細かい調整とかも死ぬほど嫌いなんだよ。
        あー……これ食えんのかな。ただ、大味で不味そうだな。プリンもでけーのよりちいせえやつの方が美味いしな。(『砂漠喰い』を見上げながら)
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:09:09
      • ちなみにな。これが乙種だか甲種だかは分からないが、どっちかは領王国で保護種らしいぞ。
        早いところばっくれよう。バレたらきっと怒られる。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 20:10:52
      • ……怒られるって、そんなレベルじゃ済まないと思うんですけど、風越先輩。
        これ、そのままにしておいて大丈夫なんですかね……保護種である乙種っぽいですよ……?
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 20:12:10
      • っぽいよね。だから早めに逃げよう。
        結構砂も被ったからな。早めに領王国内で落ち着きたい。この日の高さなら今日中に仕事終えて一日バカンス出来るかもしれないからな。
        ……領王国で何食べたい、ヴィル。(フードを被り直す)
        -- 優理 2014-03-17 (月) 20:13:46
      • 辛くねーやつなら何でもいい。何でもいいくらいにはすげえ腹減った。
        オラ、どうすんだ雑務、着いてくんのかよ。どっか行く途中だったらどっか行けよ。仕事中なんだよ。
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:15:09
      • 仕事、ですか……? あの、もしかして《大法典》の……?
        いや、特にはその、目的とかあるわけじゃないですけど。
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 20:15:51
      • ……何かの縁だし一緒に来たら? とりあえずこの辺ウロウロするよりは、領王国城下に入ってしまったほうがいいだろうし。
        正直男二人の旅って死ぬほど面白くないから。
        -- 優理 2014-03-17 (月) 20:17:26
      • ……っつーか、聞きそびれたが、テメエ雑務こんなところで何してやがんだよ。
        テメエオレにくれた一生学園の中で過ごすとかいう啖呵どこにやりやがった。何ふらふらしてんだ?
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:18:44
      • えっと、それは……少し事情が複雑でして。
        一応、同行させてもらってもいいですか、城下まで。そこで、聞きたければ教えますから……。
        はぁ……疲れた……こんなに走ったの久しぶりですよ。学園でヴィル先輩に追い掛け回されてた時以来です。
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 20:20:20
      • 別に聞きたかねーけどな。目印もねーこの砂漠で道に迷って野垂れてたんだろどうせ。バカなのか?
        さっさと行くぞ。着いて来いよ。どっちの方角から来たかもわかんねーバカは黙って着いて来い。(道の先に歩き出す)
        -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:22:59
      • ヴィル。そっちは俺達が来た方向だ。 -- 優理 2014-03-17 (月) 20:23:42
      • おう、そうか、悪ぃな風越。(笑いながら着いて行く) -- ヴィル 2014-03-17 (月) 20:24:22
      • ………。(言いたいことをぐっと飲み込んで黙って着いて行く)
        (どこか懐かしい雰囲気に少しだけ笑いがこぼれたのは、仕方のないことだと思う)
        -- 雑務 2014-03-17 (月) 20:25:19

      • 【つづく】 -- 2014-03-17 (月) 20:27:22

Last-modified: 2014-03-20 Thu 21:48:55 JST (3708d)