洋上学園都市/違反部活動/売買部
- グリゼアが誘い出されたのは、木々の生い茂る暗い森の中、不自然に開けた広間の様な場所
その中央に立つのは、あの白い拳法着の女 女は挑発するように、片手で誘う様なジェスチャーをとる…女の能力を考えれば、この場所に誘い込んだのが罠だと 直ぐに見抜けるだろう --
- (良いように誘われている自覚はある。だが、得体の知れないモールと連携されるよりは、分断されてでも1on2を維持するのが最善と判断し、敢えて相手の得手とする地形へと歩を進める)
(牽制として生み出した苦無を射出しながら、相手へと追いすがる) 聞かせろよグリードの女よォ、手前ら洋上学園都市で何やらかしてたんだ (間断無く鈍く光る苦無を撒きながら、問いかけた) -- グリゼア
- 「モールの言った通りだよ、あいつのボスが人間を材料に使う趣味の悪い魔術の使い手でな
あいつは材料調達のために違反部活を立ち上げせっせと売り飛ばし、あたしは裏でこそこそあんたらみたいなやつの始末のため動いてたわけ、だ!」 喋りながらも、苦無を髪の毛で弾く 「さあきな…鉄クズ野郎、スクラップにして海に沈めてやる…」 異能を発動させつつ、自身は後の先を狙うべく何時でも迎撃の取れる構えへ 既に女の能力についてある程度予測のついているグリゼアなら、相手が持久戦を狙っているのが見破れるだろう -- ウィドウ
- ハッ、使いっ走りの駄犬かよ
(鼻で笑いながら、生物よろしく蠢く髪とそして相手の異能を思考する。閉所であれば、確かに十全にこの能力を活かせると言えるであろう) (細かい傷を無数に浴びせ、異能によってそれを悪化させた後に先日見せた発勁を叩き込む事はこの場所であれば容易に可能だと推測し) 流れを変えるか……? (一人ごち、牽制の一斉射の後に一気に懐へと躍り込む。カーボンナノチューブに変換された筋肉が唸り、土くれを蹴りあげて。黒銀の鎧装を纏う魔人が、コマ落としのようにウィドウの視界で大きくなる!) -- グリゼア
- 「まあな、本来ならばっくれてえが、そこは嫌とは言えねえ悲しい下っ端の定めってもんだ」
同じく、先の戦いでグリゼアの力を予見してた女は、即座に対応 「仕掛けるならともかく、迎え撃つならこっちにだってやり様はあんだよ!」 牽制はやはり、自身の髪の毛で落としつつ、砲弾の様な速度で迫るそれを、半身をずらし軌道からそれつつ、合わせるように足払いを放つ! このままいけば転倒した所に先の戦いで受けた、強烈な一撃を打ち込まれかねない! -- ウィドウ
- ケケケ馬ァ鹿が。言われた事だけやって「仕方ねー」っつー奴は思考停止してるだけなんだよ馬鹿女
(だが、光速の反射神経はその意表を突くべく突き出された足、動き始めの予兆の察知を叶える) (大気を叩く音が響き、半身を向けた姿勢でウィドウの視界から唐突に消える……否、低く屈みこむ。足払いは地に突き立てられた右腕、鋼の鎧装で止められていた) (突き立てた腕から土埃を盛大に撒き散らしながら減速、不利な条件を覆すべくの行動を開始する) 遮蔽物が多けりゃやりようは在るってか? 舐めすぎだ、クソ女。 (言うや否や、ウィドウが足を着ける真下の地面、そして周囲の木々が赤光を発し──次の瞬間、先の尖った鋭利な槍そのものとなった赤い結晶が四方八方から彼女へと襲い掛かる!) -- グリゼア
- 「なっ!?」
その反応速度は完全に予想外だったのだろう、逆に一番硬い部分を脚にぶつける形となり、足を痛めるだが、それ以上に驚愕したのは 「くっそが!どうなってんだこりゃあ!!」屈んだ体制が仇となり、回避動作が一瞬遅れ、体のあちこちを紅の刃が引き裂く、それでも致命傷を避けられたのは、彼女の髪を木々に引っ掛け手の跳躍が、コンマ何秒で間に合ったからだろう 「…ち、悠長にはやってらんねえか、なら…全力だ」 木々にワイヤートラップのように張り巡らされていた髪が、元に戻る 「ふぅぅぅ…」さらに、女が深く息を吐き、脱力する…そして、次の瞬間! 「破っ!」 先程のグリゼアに勝るとも劣らぬ速度でかけた女が一瞬にして懐に潜ると、ゼロ距離からの寸勁を放つ! それはあの場でグリゼアを昏倒寸前まで追い込んだ拳と同じ、極限までの脱力から、気を練り相手を内から叩く必殺の拳! さらに、女の髪が一瞬で巨大な拳の形となり、グリゼアの背後から挟み込むように襲いかかる! 「どうよ、これがあたしの本気だ!言っとくが受け切れるとか甘い事考えんじゃねえぞ!」 -- ウィドウ
- (驚嘆すべき回避機動であった。あのタイミングでの攻撃で、足を止められない。生命を掛けた戦いの最中だと言うのに賞賛が胸に湧く)
(故に、か──この力を自らの欲に使うならばまだ理解は出来た。だが、上の言うことを聞いて汚れ仕事をしていたというのが、彼には我慢がならない) (過去の自身と重ね合わせ、それを「仕方ない」とする思考形態に否を突き付けねばならない)
(故に)
……ッ!!
(全力を謳った攻撃。寸勁と質量打撃のコンビネーションに対し、敢えてノーガードで受ける) (胸元に触れたウィドウの掌から。背に叩き付けられた髪の拳から。黒銀の鎧装に、罅割れが走り……砕ける) (頭部を鎧う装甲が砕けた先には、口の端から血を流しつつも、歯を剥いた──)
──全力? この程度でか?
(獲物を見据えた鮫そのものの、笑み)
発勁ってのは運動エネルギーを透す技だろ。気が乗ってたとしても基本は変わらねえ。 種が割れりゃ、後は接触面との間にクッションとなるモノを挟めば威力はかなり減衰する。スペースドアーマーって奴だ。 ……さて。 (解説は終わった、とばかりに。未だ鎧装を纏った右手を向け、魔人はウィドウの頭を掴み取ろうとする) -- グリゼア
- 「く…!」
見破られている、どういうわけか、目の前の相手は自分の拳法についての知識を持ち、尚且つ対策法まで既に練ってある… 痛みによる判断力の低下と、驚愕が明暗の差を分けた、その圧倒的な力を持つ存在に、頭を掴まれるというミスを犯した女は、体のうちから湧き上がる恐怖に、寒気を感じる、だが… 「…負けられっか、あたしは、姐さんのためにも、負けられねえんだ…!!」 大量の髪が再び拳となり、四方八方から無数の乱打をグリゼアに浴びせる!更に 「捕まえたってことは、逆にあたしからも逃げられなくなったってことだぜ!!」(異能を暴走させる!もはや敵味方の区別が無くなった女の異能は、傷ついた木々をなぎ倒し、砕けた大地を更に破壊し、自身とグリゼアの傷を急速に悪化させていく!) -- ウィドウ
- こちとら隠し芸も功夫も、腐る程見てんだよ。初見でブチ殺せなかったのが手前の敗因だ
(与えられる嵐のような乱打にも、身体を内から焼くような痛みにも、最早揺らぐ事は無い。急激に体力が失われていくのが解るが、最早構わない) (掴んだ腕を変質させる。骨格構造を変化させ、筋肉の撥条を弦の如く。肘から掌までに中空の領域を作り上げ、タングステン製の骨を変化させて) (肘から真っ直ぐ、長く太い金属の棒が突き出る。掌、ウィドウの眼前にソレと繋がるハンマーが形成される) (今や杭打ち機と化した右腕で、打撃の嵐にも拘泥せず。グリゼアは、ウィドウを頭から大地へと叩きつける) (血塊を吐き、痛みと消耗する体力で意識を奪われそうになりながらも、その獰猛な笑みは変わらず)
誰かの為に戦えるなら、正しく力を扱いやがれ!! それを叶えられんのは、テメェの意志だけだって事を……叩きこんでやる!!
(咆哮。そして、引き絞った弓矢の如く。重金属のハンマーを、遠慮も、容赦も、躊躇も無く。ウィドウの顔面へと、連発で射出した──!) -- グリゼア
- 「ッッッあっ!!」
流石にまともに受け見も取れない状態で、頭から叩きつけられれば 体格的に劣る女は貯まらず、苦悶の声を上げる、即座に立ち上がろうとするも、それを許さないといわんばかりのグリゼアの拳の雨 為す術もなく、顔で、腕で、致命傷だけを避けながらその拳の雨に耐え続け… 「は、女の顔殴って笑ってる奴が、偉そうに御高説かよ…笑わせんな!!」 と、不意に頭を持ち上げ、グリゼアの拳に向かい頭突きを当てる! 否、それは頭を使っての浸透勁!額が裂け、盛大に出血し、意識も朦朧となるが、代わりにグリゼアの拳に勁を通す事には成功する 女は、耐え続けながらこの時を狙っていたのだろう、更に、半ば失いかけた意識で尚、神による拳の乱打と異能は止まらない!このままでは相討ちになるのは容易に想像できる! -- ウィドウ
- ッ、こいつ……!
(不意に杭打ちのピストンが止まる。肘から先の感覚が消失し、ただ重みと鈍い痛みが走り抜けた) (打撃と、急速に悪化する傷。体力消耗は無視出来る範囲を超え、こちらも限界が近い)
(──否、本当に?)
(それは本当に限界なのか?)
(体内構造を再構成しろ。動かぬ右腕であれば切り落とし再び創り上げろ) (イメージを形にし、望むモノを創り出す夢の神の如く。赤い結晶が身を覆い、ばきばきと音を立てながらグリゼアの身体を修復して行く) (だがそれは、同時に理性をも蝕む行為である──思考が単純化する。目の前の、この女を。圧倒的な力でねじ伏せ、壊せと。脳裏で自分自身が囁く)
──うるせえよ。
(脳裏の声と、ウィドウの言葉に。否を突きつける)
気に食わねえなら追って来やがれ。本気で女を殴る覚悟してんだ、それぐらい背負えねえで──やってられるか!
(最早生身の腕で、拳を握り締める。身体の傷が治ろうとも、消耗した体力まで回復出来る訳ではない)
(故に、これが最後の一発)
──ッ!!
(震える身体を叱咤して、ウィドウの額へ拳を振り下ろした) -- グリゼア
- いける、と感じたのか異能の出力を抑え、自身に被害が及ばない程度まで落とすと
全身の力を腕に込めるようイメージ…あのグリゼアを切り裂いた手刀を使い、グリゼアを股から胸へ両断しようとする! 「し――」 だが、それがなされる事は無かった…恐らくそのまま身体を変化させるまで回復を待っていたら、体を切り裂かれていただろうが…生身での一撃が、間一髪、女の顔面に直撃し、攻撃を中断させる 「…っ、ぶぁ…」 一瞬びくりと体を痙攣させた後、身体を大の字にして気を失う その顔は不自然に腫れあがり、あちこち骨は砕けもはや元の顔の判別など到底つかない程の有様に) -- ウィドウ
- (拳をたたき落としたままの姿勢で、暫く肩で息をする)
はぁー……はぁー…… くっそ、あちこち痛ぇ……うわぁ…… (そうして改めて自分が打ち倒した少女の惨状に、気の抜けた声を漏らす。やり過ぎた)
……ま、まぁ。後でアマミヤに回復してもらおう……とりあえず手錠、と (ぐったりと脱力したウィドウの手足を、風紀謹製の異能リミッターがかかった錠で拘束し、その辺りの木の根本に背を預けてずるずると腰を落とす) あー……ックソ。はよレジェムとアマミヤの方に行かなきゃなんねぇーのに……
(絞り出すように言って、暫し意識の糸を手放した……) -- グリゼア
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