名簿/398782

  • 15?年?月

  • 今回はコボルド討伐依頼。最初から敵がわかってるのはいいよね。
    コボルドならなんとかなるでしょう。

    …………

     なんでこーなるのよー!!

    突如天井から現れたオーカーゼリーに連れ去られ、何処ともわからない空洞へと連れ込まれていた。
    手足胴体に伸びた触手が絡みつき、宙に浮いた状態で拘束されている。

    以前遭遇したブラックプティングとは違い、消化液は分泌していない様子。
    じゃあ何のために捕まえられたのか…。
    私を釣り上げたまま奥へと進んで行くとそれがいた。
    私を釣っているオーカーゼリーよりも遥かに大きく、床から壁まで埋め尽くしている。

     オーカーゼリーのボス…?

    近付くにつれ、その体内に浮かぶ何かの骨と見たことの無い丸い物体が見えた。

     わたしをこいつの餌に…!

    わたしを拘束したまま大きなオーカーゼリーとくっついてひとつになると、
    わたしに絡みついた触手が太くなっていき、身を捩れる程度に動かせた身体が全く動かせなくなる。

    拘束する触手とは別に、もう一本の触手が伸びてきた。あろうことかスカートの中へと入り込んでいく!
    内股にオーカーゼリーのヌルリとした感触が伝わり、すぐに股間に触手が触れるのを感じた。
    疎いわたしでも流石にここまで来たらこいつが何をしようとしているのか判る。
    こんな水みたいな体にどれだけの力があるのか、拘束された手足は全く動かせない。

    大事な部分を生ぬるい感触が撫でると、最後の壁の薄布がオーカーゼリーの分泌液で湿っていく。
    あまりのおぞましさにわたしの表情は引きつる。
    …ふと、股間が空気に触れたような気がすると、ヌルリとした感触がわたしののそこに直接触れた。
    分泌液で布を溶かしたんだと思うけど、そんなことを考える余裕はすぐに無くなった。

    ズッ…!

    遮るものの無くなったわたしの中を、壁など無かったかのように奥まで一気に触手が貫く。
    目を見開き、叫ぼうとしたが声の出なかった口を開けたまま、身体を震わす。
    余りの痛みにオーカーゼリーの触手が膨らみ、何かを注ぎ込んだことに気付かなかった。

    痛みに慣れた頃、わたしの中から何かが溢れ出て、内股を伝い落ちていることに気付く。
    傷ついて出血がひどいしたのかと思ったが、すぐに違うことが判った。

     身体の奥が熱い…。何これ…どんどん熱くなってくる…。

    効果が出始めたのが判ったのか、触手が動き始めた。

     痛っ…くない、むしろ…気持ちイイ、かも…。

    オーカーゼリーに初めてを奪われ犯されている絶望的な状況も忘れ、暗い洞窟の中に嬌声が響き始めた…。

    …………

    目を覚ますと知らない部屋に居た。ちゃんと人間の家。
    この家の主の話だと、あの洞窟近くに倒れていたので助けてくれたそうです。
    言葉を濁しながら励ましの言葉がかけられる。やっぱり夢で終わってくれないみたい。
    好きなだけ休んでっていいと、その言葉に甘えて今日は泊まることにした。

    …………

    その夜、苦しさを感じて目を覚ます。
    まだ夢を見てるの?…わたしのお腹がまるで妊娠しているかのように膨らんでいた。
    その時、お腹の中で何かが弾けた気がして、股間が湿っていくのが判った。
    慌てて寝間着を捲るとやっぱり下着がぐしゃぐしゃになるほど濡れている。
    一瞬漏らしたかと思ったけど、おしっこではないみたいで安心した瞬間だった。
    お腹の中で何かが蠢き始め、苦しさと痛みでベッドに爪を立て身体が反り返る。

     ひぐぅ…ぁ、何、何なの…ぃたッ!

    何かが私の中をズルリ…ズルリ…と降りて行き、下着を押しのけて出て行く。
    まだ続く痛みの中、身体を起こし、私から出てきたそれを見た。

     オーカー…ゼリー…?

    忘れもしない、私を犯したあの忌々しい怪物の子供を産んだのだと気付く。
    あの時、卵か何かを産み付けられたんだ…!
    再び起きた痛みに悲鳴を上げてベッドに倒れ込む。

    戸を叩く音と心配そうな声。
    騒ぎに気付いてこの家の人が心配して来たみたいだけど今は…!

     ダメ…!入ってこないでぇぇえあぁぁッ!

    悲鳴を聞いて急いでドアを開けて入ってきた瞬間、ブチュブチュと音を立てながら子供たちが私の中から溢れ出た。
    内臓を持っていかれるような感覚に白目を剥いて意識が飛びかける。

    目から口から下から汁まみれで視点の定まらない私の有様を呆然と見ているしか無かった。


  • 153年6月

  • 今度も同じような洞窟の同じような依頼。嫌な感じね。
    あれから全身打撲のひどい姿で外にも出れなかったわ…。

    …………

    細い道を進み少し広い場所に出ると、格子状の扉が行く手を塞いでいた。
    どう見ても怪しいモノが扉の上にくっついている。明らかに罠じゃないの。
    道はここしかもう無いし、どうにかして開けないといけない。

    ということで、わたしが開けることになった。こういう時に限ってじゃんけん弱いのよ…!
    しゃがみ込んで扉に近づき、ノブに手をかけると…鍵はかかってないようね。
    意を決して扉を開け放ち、わたしはすぐに逃げ出した!
    すると後ろで何かの作動音が聞こえ、一瞬強い光が走った。
    何が起こったのかわからないまま、仲間の元へと戻ろうとするがすぐに異変に気付いた。

    …っ!?え?背中、熱い!!

    何かが燃えるような匂い。背中を見ようとして振り返った私を見て、仲間たちはそれに気付いて急いで駆け寄ってくる。
    事態を全く把握出来ないまま、背中の熱さに慌てふためくわたしに向かって水をぶっかけた。

    …………

    どうやらあの仕掛けから何かが放たれて、わたしの背中が燃えていたらしいわ。
    すぐに消してくれたから良かったけど、背中側の服がほとんど焼けて火傷も少々。
    ボロボロでまともに着てられないから、こんなところで着替えることに。くぅ…恥ずかしいんですけど!


  • 153年5月

  • 右手の包帯も外れて、元通りとはいかないけど大分調子はいいわ。
    治療費に今までの報酬が注ぎ込まれて、カラっけつよ…もう。

    …………

    今日はゴブリン退治なんだけど…、多い!こいつら多いわ!
    もう何匹やったのか数えてられないぐらいうようよ。

    疲労した身体を引きずって進んでいると、何かに足をひっかけて転んでしまった。
    なによもう!起き上がりながら、何に躓いたのか振り返ってみると、紐?

    ブシャァ

    あら…聞き覚えのある音ね。
    ガスが噴射されるやいなや、私たちは全速力で逃げだした。

    …………

    毒ガスから逃げ込んだ先は真っ暗な大部屋だった。
    カンテラと松明だけじゃ照らしきれず、暗闇に潜んだゴブリンに気付かない。
    突如襲いかかるゴブリンに翻弄されて散り散りになってしまった。

    離れた場所で皆が戦っている音がする。
    カンテラで周りを照らしながら、ゴブリンを警戒しながら仲間の元へと向かう。
    予想通り暗闇から襲ってきたゴブリンを払うように剣を振るが、
    剣先がわずかに掠っただけで、逆にゴブリンの棍棒が脇腹に叩きつけられる。

    ぅ…がぁ…!

    激しい痛みに打たれた箇所を手で押さえながら地面を転がる。
    涙目で顔をあげると、再びゴブリンが棍棒を振り下ろした。

    いぁ…!ひぃ!痛い…!痛いよ…!

    容赦ない責めに丸まって耐えるしか無かった。
    抵抗しなくなった私は蹴り飛ばされ、仰向けに転がって咳き込む私の上にゴブリンがまたがる。
    胸元に手をかけ、服を引きずり下ろされて胸がゴブリンの前に晒された。

    朦朧とする意識の中、ゴブリンを引き離そうとするも私の手は力なく地面に落ちる。
    胸をゴブリンの舌が味を確かめるように這う。
    多分、人間がするような意味ではなく、本当に味を見ている気がした。
    ゴブリンの歯が左胸に刺さり、そのまま引きちぎろうと乳房を引っ張る。

    ぃ、たぃ…っ。あ、ぁ゛ぁぁ…っ!

    初めて体験する痛みが大きな叫びとなって部屋に響き、次の瞬間ゴブリンが吹き飛んだ。
    駆け寄った仲間が私を抱き起こし、もう一人、多分蹴り飛ばした人が私をいたぶっていたゴブリンに止めを刺した。

    …………

    今まで以上にボロボロになった私を背負ってもらい、洞窟をあとにした。
    ひどい打撲傷と胸に噛傷が歩く振動で痛んだ。


  • 153年3月

  • あれから一ヶ月後、二回目の冒険。

    北のほうにある遺跡の調査らしいわ。
    お宝があるかもって話だけど、うさんくさい情報ね。

    …………

    やってきました遺跡の前。
    うわ…今にも崩れそうじゃないの。ほんとに大丈夫?

    中に入ってみたら、まぁ外見と違ってちゃんと遺跡ね。
    ちょっと触った壁が崩れたりしたけど別にいいよね。

    …………

    思ったより広いようなので二手に分かれることになった。
    棲みついたオオカミを退治しながら奥に進むと、待ってました宝箱!
    ほんとにあるとは思わなかったな。
    ドキドキと宝箱を開けてみると、とても出来の良い手袋が入ってた。…なんで手袋なのよ!
    宝箱はもっと金銀財宝でしょ!…などと不満を漏らしながら部屋を出ていこうとすると、

    ブシュァ…!

    何かの音に振り返ると、殻になった宝箱から煙が吹き出していた。
    仲間の一人が毒ガスだ!と叫ぶも間に合わず、身体の自由を失って床に倒れた。

    …………

    …大きな声で目が覚めた。わたし、毒ガスで倒れて…。
    再び声。そっちを見ると仲間の一人が同じように倒れていて、わたしの方を向いて助けを求めていた。
    その人の身体は黒い何かで覆われてた。グニャグニャと動き彼を飲み込んで行く。

    …………

    しょうがないじゃない!助けようにも私も毒ガスのせいで動けないし!
    助けてって、痛いって叫んでて…。でも何も出来なくて…!
    急に何も言わなくなって…、動かなくなって、全部飲み込まれて…。
    そして私の方に向かってきたわ。

    来るなっ!来ないでよッ!ッ…!

    力なく投げ出した手がゆっくり包み込まれて行く。
    ひんやりとした感覚がだんだんとヒリヒリとした痛みに変わっていく。
    うっすらと透けて見えるスライムの中から、変わり果てた仲間の顔がこっちを見ていた。

    嫌ッ!痛い!助けて…っ!起きてよ!ねぇ!!

    もう一人はまだ起きる気配もない!
    既に腕は飲み込まれ、背中まで到達し服を簡単に溶かしていた。
    目の前に迫るスライム。もう恐怖で声すら出せなかった。

    ジュゥ…

    視界の端で、スライムが炎に包まれる見えた。
    それに怯んだスライムが私の腕から離れる。
    その隙に仲間に抱えられて、部屋を出てそのまま遺跡を脱出した。
    服を燃やしてスライムに被せたらしく、一人上半身裸にだったわ。

    飲み込まれてた腕は赤く爛れて、ひどい。

    これ治るかな…。


  • 153年2月

  • 初めての冒険。

    最初の冒険はみんなゴブリン退治らしいわ。
    故郷でもたまに見かけたけど、だいたい大人たちが追い払ってたわね。
    今度はわたしが追い払う番ってわけ。

    …………

    同じような初仕事の面々で指定の洞窟に潜入。
    薄暗くて臭くて気持ち悪い。これから何度も来るんだからひどい話よ。
    落ちたら死んじゃいそうな崖の上の細い道なんて二度と通りたくないわ!

    しばらく進むと暗闇に光るものを見つけた。
    なに…?と思ってそれを照らすようにカンテラを向けると…、そこに居たのは大量の大鼠!
    突然明かりを向けられて、蜘蛛の子を散らすように逃げて行っちゃった。

    安心したのも束の間、私たちを囲む光る眼。
    逃げた鼠に呼び寄せられたのか、さっきのより遥かに多い!

    わたしたちが逃げ出すと同時に襲いかかる鼠たち
    飛び出した岩につまづいて転んじゃった。もうこんな時に!

    起き上がろうとしたけど、大鼠に押しつぶされまた地面に突っ伏す。
    何とか逃げようと思った瞬間、太ももに鋭い痛みが走った。
    太ももだけじゃない、腕、耳、脇腹、胸…次々に痛みが身体を突き刺す!

    痛いっ…!離ぁしなさひぅ!やめ、え゙っ!

    グチグチ、ゴリゴリ、肉が抉れる音と骨が削れる嫌な音を感じる。
    聞こえるのと感じるのと両方。

    振り解こうと暴れる手がさっき落としたカンテラを触ったわ。
    すぐに掴んで振り回し、叩きつけ、まき散らした油に火が燃え移る。
    火に怯えた大鼠たちが、風で吹き飛ばされる落ち葉のように一斉に暗闇に消えていくのが見えた。

    …………

    逃げた先にいたゴブリンを退治して戻ってきた素晴らしい仲間たちに助けられ、洞窟を出ることが出来た。

    自分に割り当てられた部屋に戻り、治療で包帯だらけの身体を簡素なベッドに横たえる。
    冒険者なんてもう辞めたい。…でも逃げられない。
    人生で一番最悪な夜はジンジンと疼く傷とともに更けていった。


  • *新しい日記を作った

Last-modified: 2010-05-04 Tue 22:19:29 JST (5114d)