施設/鉄拳道場
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- (静寂と、闘争の空気が包む道場内) --
- 気付くのが遅くなったが……いるか?カズヤ -- ドライ
- ………遅かったな。待っていたぞ。
(闇の中に声が響く 次の瞬間、仁王の目が赤く光り、部屋を赤く薄暗く照らす) (その仁王の睨む先、部屋の中心で赤い闘気を発する漢 その両目がドライを真っ直ぐ見ている) 構えろ、ドライ。 -- 五島一也
- (赤い闘気を見ると僅かに口元を釣り上げて荷物を置く)……行くぞ、カズヤ
(だらんと下ろした手をさっと構え、目の前の漢へと構える) -- ドライ
- ド ゥ ン ッ
(ドライが構えた、まさにその瞬間、地面を揺らすかのごとき踏み込みでドライの眼前に吹っ飛んでくる) 奥 義 ・ 極 熱 羅 刹 斬 ッッッ!!!(そのままドライの顔めがけ、燃え盛る拳が全体重を乗せて飛んできた 奥義にふさわしいとんでもない素早さと圧力と殺気だ!) -- 五島一也
- ……っっっ!!!(地響きが体の芯を揺らすと、眼前には男の肉体)
(とっさに構えるもその防御すら突きやぶらん勢いで拳が叩きつけられる!数メートル持ちこたえるが勢いは止められず、体は宙に浮き壁へと叩きつけられる) がはあっ!!……ぐっ!(壁を揺らす衝撃、床に崩れ落ちるように膝をつくも男の目はまだ萎えてはいなかった) うおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!(力強くダンと床を蹴ると一也へと詰め寄る) -- ドライ
- ………(既に体制を立て直し、ゆっくりと両の拳を引く そしてドライの姿を目の中に捉え―――)
極 技 ・ 火 山 双 炎 龍 ッッッ!!! (詰め寄るドライの腹部めがけ、燃える両拳を叩き込まんと拳を振るう 10の拳を超高速で放ち、最後に両拳を同時に撃ち放つ必殺拳!) -- 五島一也
- くっ……くそぉ!うがあああ!!!ぬぅん!
(繰り出される拳をさばくも半分を過ぎた辺りから追いつかなくなり胸に両拳を叩き込まれ再び弾き飛ばされる) ……くそっ!出し惜しみ無しかっ! (再び駆け出せば漢の懐に潜り込もうと体勢を低くする) -- ドライ
- ………奥義と極技を耐えたか。フ………貴様なら伝えても良かろう。
(懐に踏み込んでくるドライを少し前に平手で押し返す と同時に自身はバックステップでわずかに距離を開け、両拳を自身の目の前でがちりと合わせた) コオオオオオォォォォォォッ………!!!(一呼吸―――それとともに、全身の闘気が合わせた拳に集束し、拳は炎ではなく赤い光を放つ) 一度しか出来ぬ………よく、目に焼き付けろ………(その一瞬、少しだけドライに微笑み)
五島流古武術最終奥義……… 真 ・ 鉄 拳 !!! (その両拳が、光りを放ちながら同時にドライの心臓めがけ、高速で放たれる だが―――この攻撃は防ぐ腕を砕き、鎧を穿ち、全てを貫き叩きつけるまさに剛拳!)
(―――その剛拳が、ドライの目の前で停止していた) -- 五島一也
- ……!(懐から顎目がけ真上に振り上げた拳を避けられる…回し蹴りを放とうとした途端に軽く突き放される)
な、なにっ!?それはどういう……(目の前になだれ込む覇気に疑惑は吹き飛ばされる) ……しまっ!!(永遠とも思える一瞬、それは男の胸に死への確信を抱かせるのには十分だった。が、それは訪れることはなかった) ……な、なぜだ!なぜ止めたっ!? -- ドライ
- ………(急速に拳の光が消え、がくりと腕が落ちる そのまま、ゆっくりと膝を付いた)ハァー………ハァー………
闘気全てを………拳に、完全に集中させ………撃ち放つ………ハァー、ハァー。………例え、どんな障害があろうと……… 己の拳のみを信じ………すべて打ち砕き………相手の心の臓を止める………ハァー………ハァ………それが、最終奥義………真・鉄拳だ……… だが………俺は、貴様を打ち倒すために………ここに呼んだわけでは、ない………から、な………(声は力なく、息を切らしながら必死で喋る) -- 五島一也
- (漢の言葉を黙って受け止める)……ああ、カズヤの拳…しかと受け止めた
だ、大丈夫か……?と聞く俺もずいぶん痛めつけられたが……(漢に向かって手を差し伸べる) -- ドライ
- ………ああ………大丈夫だ。もはや、今までのように闘う事は不可能だが………これで、いい。
(手を取り、ゆっくりと立ち上がる………が、ふらつき、仁王像にもたれかかる)ロイは………プロレスを誇りにして闘う漢だった………自身のプロレス魂を誇っていた。 前原は………空手を嗜んでいた。元々、人のいない道場に助け舟のように入った者だ………だが、十分にここを賑やかにしてくれた。 ウルミラは、元は踊り子だ………だが、舞の切れを闘技に生かせる者だった。その才能を、十分に発揮してくれたと、思っている……… ドレッドは、結局何を学んでいたのかはよく判らんが………自身の信念には正直な漢よ。面白い漢だと、実に思う。 レオノーラは………結局、あまり拳を見ることは叶わなかったが、奴のおかげでみなの傷を癒すことができた………ありがたい存在だ。 加硫は、正直なところ俺を凌ぐ拳の持ち主よ………既に完成されていると言っていい。俺が教える事など、何一つ無かった。 木人………実に、陰の功労者だと思っている。奴がいなくては練習もままならぬ技もあった………本人は、嫌がっていたようで、少し申し訳ないがな……… (とつ、とつと仲間のことを語り、そのたびにうれしそうに笑う) -- 五島一也
- ……そう、だったな(道場の入口を振り返る)
ここでの日々はとても良い物だった……皆、いい連中だ(漢の背中にあわせるように腰を下ろす) ……だが、そう言う物言いはもっと後に取っておくべきじゃないのか?まだ、終わりじゃあないさ…… -- ドライ
- フ………まあ、待て。もうすこし………俺の、話に………付き合ってくれ。
………(一つ息を吐く)今まで挙げた者達は………自身の闘い方をそれぞれ持っていた。俺は、その手伝いを少しした程度に過ぎん……… だが、レジティラと………お前は違う。 レジティラは………随分と怠け者で、厳しく鍛えてやったものだ。………そのうち、俺の構えや、俺の技を真似るようになったときは、嬉しかった。 奴なりに、強さを求めた結果………俺を学んだと言うことが、何よりも嬉しかった。そして………ドライ。 貴様にはあまり稽古をつけてやれなかったが………それでも、格闘術は素人同然だった貴様が見てきたのは、俺の拳だ……… 俺にとって………レジティラと、貴様は………本当の意味で、弟子だったのだよ。だから………奥義を伝えたかった。 できるようになれ、とは言わない。だが、俺がたった一度しか奥義を放てないと言うならば………誰かを倒すためでなく、弟子である二人に、見せようと………決めていたのだ。 ………結局、レジティラには………見せることができなかったが………せめて、お前だけでも………そう、思ってな。 (息を吐き、笑う)………もう、俺にとっての心残りは………これで無くなった。 -- 五島一也
- そう、だったな……俺はここに来るまできちんと稽古もしたことがなかった
だが、ここに来てカズヤや多くの門下生を見て稽古を積み、腕を磨くことが出来た…… 自分を見失い故郷を飛び出し各地を転々と流れるだけだった俺にとって、この地は……色々なものを見つめ直す場所だった 遅くなったが礼を言わせてくれ。……ありがとう 俺はカズヤとは違う……。拳にかける想いもそれを突き通す信念も別物だ だから、この奥義を同じように使うことは出来ないだろう……だが、俺の中にその赤き鼓動は生き続ける 俺の中で形を変え、俺としての形で……この業は在り続ける ……心残りはない、か。それはそれで少し寂しいな…… -- ドライ
- ああ………技を受け継げ、とは言わない。だが、意思を貫かんとするため、拳を放つ………
その精神を、心に留めてくれればいい。………フ、強きものに出会え、未来を託す事が出来た。 これでどうして心残りがあろうか。………この道場は、放棄しようと思っている。 締めてもいいのだが………お前がまだ、ここで鍛えたいと言うなら………自由に使え。………道場主を名乗りたければそれでもいい。 俺は、この地を離れ………隠居して生きていこうと思う。もはや俺に闘う力など、残されてはいないからな。 ………少し、無茶をしてしまった。俺は暫く此処で………休もう………(そこまで言うと、ゆっくり座り込み………直ぐに寝息を立て始めた) -- 五島一也
- そうか……。カズヤの最後の組み手の相手となれてよかった……
取り合えず道場の鍵は預かっておこう。いつでも来てくれ……待っている 俺も、何だか疲れたな……体が火照って、心地よいからか……(大の字になって寝息を立て始めた) -- ドライ
- (部屋は暗く、何も見えない) --
- (暗くて視界が悪いが、足音や、呼吸音すら極力抑えて静かに足を踏み入れる) -- ウルミラ?
- (ウルミラの服の裾を握ってゆっくりと足を進める)暗い…ねー… -- レジティラ?
- (暗い間に視界が慣れず中が把握できないがゆっくりと歩く) -- ドライ
- …明らかに掃除する前提の明るさじゃないわよね というコトは掃除する為に入ったんじゃないのかしら
明かり…今からでも取ってこようか -- ウルミラ?
- いやー、明かりなら私の雷でー…つけるよー?心の準備はいいー? -- レジティラ?
- ………好奇心は猫を殺す………とは、良く言ったものだな。
(闇の中、ぼうと赤い人影が奥に見える………その薄暗い赤光に当てられ闇に浮かぶ巨大な影) (身の丈6mはある阿吽の仁王像が、門下生を睨み付けていた) --
- あ、そっかその手があったか……焦がさないでね?(急激な明かりに目をやられないよう、両手で視界を少し塞ぐ) -- ウルミラ?
- (いきなりの声にびくりと身を震わせる)わ 先生!? ごめんなさいごめんなさい! -- ウルミラ?
- う、うわー!ってししょー…?(仁王像をぼんやりと見上げて)ここはー…? -- レジティラ?
- う……!(仁王像に見据えながら息を飲む) -- ドライ
- ………フン。まあ、貴様らが覗き込みに来るのは予想がついておったわ。(赤い影はよくよく見れば五島一也その人のようだ)
ここは決戦の間。 仕合でなく、命すら厭わず、総ての因縁に決着をつけるための間だ。 ………あまり長く居るなよ。ここでは闘争の仁王が見つめる者に全力を出させようとする。 (気づけば、その場に居る者総てに、沸き上がる力と耐え難い闘争心が体の奥から呼び覚まされてきているだろう) --
- はー……(途方も無いため息と共に、言われた瞬間体に何か変調があるように感じる)
だから入るなって言ったのね……でもそんな所じゃ、強い人ほど手加減なんて出来なくなるわね(仁王像を仰ぎ見て、一也自身も見てみれば、その赤さに少し背筋が凍る) ……先生が一番ここを出た方が良くない? 凄く危険なコトになってるわよ -- ウルミラ?
- (バチバチ音を鳴らし始める雷)ううー…放電したくてたまらなくなるのはそのせいかー
危ないなー… -- レジティラ?
- フン、己が闘争心を飲み込み、我が物としてこそ格闘家よ。案ずるな、闘争心に飲まれはせん。
が、闘気が溢れて火のようになってしまっているがな……… さあ、修行の間に戻るがいい。俺は暫くここで瞑想をする。 -- 五島一也
- ん……分かった でも、くれぐれも気をつけてよ先生(そう言いながら、来た時と同じように足音を殺して退室した) -- ウルミラ?
- うん、落ち着かないし…私も帰るねー…決戦の間、かー…(呟きながらふらふらと歩いて戻っていった) -- レジティラ?
- 確かに、ここにいると何だか沸々と沸き上がってくるようだ……勝手に入って済まなかった(修行の間に引き上げる) -- ドライ
- (ギィィ、と重く鈍い軋み音が響き、その門が開く 暗い部屋に光が入り込む)
(まるで放置されていたとは思えないほど澄んで埃ひとつ無い部屋で、仁王像がふたつ、強大な重圧を放っている) --
- ………近いかもしれん。この間を使う日が………(仁王像を見上げ、何か決意めいた表情をした) -- 五島一也
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