フェイクザフェイス †驚く女将をよそに、男が言う
『いやだから、俺だって。ほらこの通り、どうにかこうにか……え、死亡届出しておいた? それはどうもありがとう』
安宿の一室とか通りとか †&color(#8b0000){--}; 活動時間:夜から深夜にかけて
彼についての噂 †
履歴 †
所持品 †
独りの部屋 †&color(#8b0000){--};
御伽噺 †――男が息を吹き返したとき 全ては終わっていた
周囲には自分以外の五人の同行者の骸が横たわっている
自分の身を見下ろせば 横腹の肉をごっそりとこそぎ取られていた
この傷なら助かるまい 自分が今意識を取り戻せただけでも奇跡に近しい
緩慢に しかし確実に 死の足音が迫る
瀬戸際にあって男は ただ静かに笑っていた
『そうか――やっぱり俺は 英雄じゃなかったんだな――』
自分の同僚を、親しい友を奪った“神”を殺してから 男は惑い続けていた
自分達を神にささげた者達が遺した呪いが いつか成就するのではないかと
ヒトではない 『英雄』へと 自分が変わってしまうのではないかと恐れていた
しかしその儀式は 今自分の死を以て失敗に終わる
そのことが 酷く嬉しかった
怯える日はもう終わる 恐怖に震え 怯えるように何かを斬り倒す日々は終わる
『――――』
最後に 何かを呟いて 男は 瞳を閉じ――
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