アルガルフ家出身 アサル 425451 †
主は静寂を尊ぶ †
人となり †
全身に及ぶ縫い目と、所々色の違う肌を持つ男
実態は暗殺教団所属のアサシンの一人
普段は目深にフードを被り、顔を隠している
服装は丈の長い白のローブと、その上から半身覆う鞣革の鎧を見に付けている。刃物の類は一切身に着けておらず、一見すれば巡礼者と見紛う
左腕は何時もローブの袖で隠しているが、鉄製の義手がぶら下がっている
義手の掌に鉤があり、これを引っ掛けて壁を登る等する事ができるが、負担が大きい
冒険中、または「仕事中」は、義手を得物として使う
アサシンである事は無論秘密であり、周囲には冒険者とだけ名乗っている
所属組織である「暗殺教団」には忠実であるが、過去の経歴から、宗教関係者に対しては容赦が無く
教団の教義から一脱した行動を取る。故に仲間内からもやや反目されている節がある
縫い目のある男 †
アサル・アルガルフ。全身に渡る縫い目と、所々に色の違う皮膚を持つ男
彼のその傷は、何時、如何にして刻まれたのか? それは八年程前に遡る
山間の小さな農村。元服を迎えるまで、其処は彼にとって世界の全てだった
日々、作物と天候の心配をし、野盗と戦争に怯え…矮小で惨めな世界
その世界は唐突に終わりを迎えた。彼が十六を迎えた頃。酷い旱魃で、明日の食い扶持にすら困る、そんな年の事だ
とてもじゃないが今年の上納はできないと直訴しに、村の男衆が遠路遥々出かけていった数日後の事
男衆は、当時その一帯にまで教圏を広げていた、とある教団の旗を掲げた騎馬隊を引き連れ、冷えた体で帰って来た。誰一人、目を開けている者はいなかった
騎馬隊を率いる、とりわけ上物の甲冑を身に着けた者が、字すら読めない農村の者達に、巻物広げて見せ付けつつ、声を張り上げる
曰く、この村落に異教徒の嫌疑が掛かっている。嫌疑取り下げには、倍の上納をするべし、と
無論、農村が出せる物など何も無かった
村の代表者の懇願を尻目に、答えを聞いた騎馬隊は、待っていたと言わんばかりに手早く村へ火を放つ。その後は言うまでもなく。村は悲鳴と炎が上げる轟音に包まれていった
アサルが灰塵と化した村から掘り出されたのは、村の全焼から数時間後の事だった
たまたま村の傍を通りがかった町医者が、騒ぎを聞きつけ駆けつけたのだ
しかし、時既に遅く。生存者は、倒壊した家々の下敷きになって気を失っていたアサルだけであった
そのアサルでさえ無事な姿では無く。重度の火傷を負い、左手など、肘から先がすっかり削げ落ちていた
町医者はまず、左肘から先の残りをすっぱり切り落とし、次にそこらじゅうに転がった「材料」で、火傷で爛れたアサルの皮膚を繋ぎ止めた
それが、彼の全身に及ぶ縫い目の訳。色違いの肌の理由であった
町医者に助けられた後暫くは、治療の為、町医者の下へ身を寄せていたアサルであったが、ある日、忽然と姿を消す
再び彼が姿を現したのは、それから数年後の事。彼は偉大な父を中核とする、大きな家族の一員となっていた
暗殺教団。己が利害と、教団の教義に従い人を罰す。復讐を望む者が身を寄せるなら、これ以上の所は存在しない
偉大なる父の名の下、彼、アサルの、今となっては強大に膨れ上がった教団への復讐劇が幕を開けたのだ