この街から一人の冒険者が旅立った一ヵ月後
北にある戦災から復興中の国々が併合する事件が起きる
併合された国々はその名を残しつつも
国家としての軍事力を持たない
既存にはない政治システムを取り入れていた
そしてその中心地。地平線を埋め尽くさんばかりの軍事兵器と兵士たちが
並び、一人の人間の声を待っていた。その姿が見えると周囲から音が消えうせ
たった一人の人間の靴音だけが響いた
壇上のマイクが声を拾い始める
「この世には争いの火種はいくらでもある」
「宗教、政治、人種…だがしかし火種がいくらあろうとそれを振りかざすものがいなければ」
「戦争は起きない。起きようはずもない」
「そこには政治の道具として捨てられる兵士はいない」
「ましてや宗教の都合を押し付ける捨て駒もいない」
「蹂躙される家族も、村も、街も国も、海も森もない」
「俺達はそのために全ての武力を廃し、統合し一つとなる」
「俺達はたった今から、世界の武力を一つにするために戦う」
「そしてこの世界の、たったひとつの武力とする」
「それは独占でも独裁でも脅迫でもない」
「国を愛するものが、人を愛するものがなぜ世界を愛せないと決めた」
「力を一つにし、国境をなくし、政治と宗教、イデオロギーとは分離した軍隊」
「だが俺達はそのために世界に戦場という地獄を生む」
「誰にも理解はされないだろう。世界のためというなら如何なる悪事も働く」
「善はなく、愛することはあっても愛されることはない孤独な戦いとなるだろう」
「世界のために、世界と切り離された軍隊」
「平和のために平和と切り離された俺達の戦場」
「それが俺達…外側の軍隊、隔離された軍隊 アウターズミリタリアだ」
黄金歴184年5月 北半球にある大陸全土を巻き込む戦争が勃発
後に世界統一戦争と呼ばれる戦争の幕開けだった
日誌 †
私の正気は死体の山が証明してくれる
私の足元に積み重なった死骸の山が私の正気を証明してくれる
正気であるからこそ死骸を積み重ね、生き続けることができる
狂気が少しでも混じれば…私は死骸の中に埋もれ死骸となるだろう
贖罪、償い、断罪。そのために死骸となれと言う それは違う
死骸を積み重ねてでも己の道を貫くのが生きるということだ
そこに贖罪はない、あってはいけない
そこが戦場であっても変わることはない
そこがどこでも、変わってはいけない
〜ウィリアム・マクスウェル 傭兵の記録 第一章1ページより抜粋〜
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黄金歴174年1月
169年にカーリッツランド王国政変の末に私は作戦行動中に捕まり
収容所を転々と移送させてから早5年
我が傭兵団の救助の攻勢部隊が政治犯収容のファシムルク監獄を強襲
スーパーハインドを含むヘリ4機とレンジャー、海軍の支援もあり無事、脱出に成功
政変の際、ここに送られてきた共和派のリーダー
第三皇子ヴェルフマンとその同志達と共に再び戦いを始める
我々傭兵団のターゲットは王政派の実権を握る第二皇子ラーゲルトではなく
彼に協力している武器商協同国家の宰相ディルヴェクス
ヤツが供給している鋼鉄の戦闘巨兵やゴーレム、飛行船の売り込みにより
王政派の戦力は異常ともいえる充実により第三国も含め戦線を拡大していた
我々はヤツの身柄と協同国家の都市機能破壊のために収集した情報を元に
作戦を開始した。鉄には鉄を、借りを返す時だ
黄金歴174年2月
連中の首都バハロムスクに私を含め少数の部隊で潜入した
場所は山岳に囲まれた豪雪地帯。視界が悪く天候の影響も激しい
連中は山をくりぬきその底に都市国家と製鉄技術や加工技術の機関を置いている
AC-130スペクターや海軍のミサイル援護は厳しい
そこで我々が少数の隠密行動で内部から破壊する。燃料や立地もある
セムテックス等プラスティック爆薬を仕掛ければ連中を一層できるだろう
連中の取引先の書類を回収するのも目的
作戦は中盤で難航、地下技術層は全て破壊できたか表層部のエリアで激しい抵抗にあう
そこにスーパーハインドの支援が急遽加わった
吹雪の中ではレーザー照準と反射でストロボが使えないため
40mmのカラースモーク打ち出し標的指定のために使用
着弾位置を指定しロケット弾と機銃による掃射で攻撃
無事表層部分を制圧、時限式爆薬を仕掛け我々は脱出
今はもう岩と雪に閉ざされた廃墟となっているだろう…
黄金歴174年3月
補給先や武器の供給がほぼ断たれたと言ってもいい王政派は急激に弱体化する
広げすぎた戦線に対して打ち切られた補給はあまりにも痛手だった
徐々に縮小する戦線、共和派の第三国との協力によりこの一月で
首都は陥落、ヴェルフマンの演説により第二皇子とその周囲の人間はあくまでも更迭
王政派の戦力が無人兵器に頼り切っていたこともあり、ほぼ無血で解決した
しかしその間にも近隣諸国で侵攻の傷跡により、戦災は残る
新たな国家を支える形でヴェルフマンからの次の依頼である孤児院や
擁護施設の建設と運営が待っている
この国の戦争 カーリッツランド鉄十字戦争 はここに終わった
首都への進撃の途中、私達が助けたあの子供も無事に施設に入れているといいのだが・・・
黄金歴174年4月
大変なことになった。傭兵団の福祉運営機関の幹部会から連絡がいきなり来た
どうやら鉄十字戦争終了の際に建てた養護、孤児院施設だが
予想より些か収容人数があったようだ。方々に手を伸ばしていた第二皇子が恨めしい
収容人数を越えた人数を収容すれば施設内の環境悪化に繋がるため
以前から里親制度に近く、時間に余裕がある職員に子供を任せる制度を取っていたのだが
老兵や退役軍人の数や駐留警備の者に割り当てていた今回、1人どうしても残された
ここで1人だからと施設に入れるのも規則に反するためと受け入れ先を探していたが
見当たらず、私に世話を任せるというものだった
仕方がないので他に都合が付くものがいないならと引き受けたはいいものの
後で書類を見て驚いた。我々が助けたあの子供を私が育てることになったらしい
黄金歴174年5月×日
一週間前から埃のたまった家を掃除に掃除し家具も新しく取り寄せた当日
午後、職員に連れられ件の子供が到着する
職員の話では記憶生涯が起きており、我々が救出した後後方に搬送させれ治療を
受けていたようだが記憶は戻らなかったようだ
我々が到着し救助したとき周囲に家族らしいものも折らず、家屋も跡形もなかった
そのせいか極度の恐慌状態だったが・・・
年齢的には10歳と言ったところだろうか。名前もないのでどう接すればいいのか分からない
とりあえず最低限と思い、風呂の使い方を教える。食事の好みが分からないので
缶詰を温めて食卓にだす
何度か話し掛けるが頷くか首を振るぐらいで無言の食事が続く
辛い。濃い味付けの糧食だが味がわからなかった食事は初めてだ
もう忙しさもありずいぶん料理も作ってなかったので手料理を作る自身が
なかったのが悪かったのだろうか
歯を磨かせた後、専用の私室に案内し、明日のスケジュールを伝える
つい部下に連絡するような事務的な態度で接してしまったことに後悔する
酒が不味い
黄金歴174年5月○日
食事のこともあるので買出しに行く。街の方は行きなれていたが目を離さないように
しているのは非常に疲れる。好みを知るために一通りの食材を買い集めたら
偉い量になってしまった。まさかとおもって100ℓの背嚢を持ってきたが役に立つとは思わなかった
途中、もてなくなった分を配達屋に頼んでいる間に子供を見失う。背嚢も配達させて
街中を探している間、憲兵や街の人間に情報を集めようとするが
そこで子供の容姿を説明している間に名前が与えていないことに気付く
胃から腸にかけて氷をブチこまれた思いだった
夕方になりなんとか街の人の情報も得られて見つけ出した
場所は広場の公園だった。ベンチに1人座っているため声をかけようと思ったが
視線の先を追うと同年代の子供達が遊んでいる姿が目に入る
夕暮れ時なのか親が迎えにきたり、そのまま1人で帰る子供達ばかりだった
どう声をかけていいかわからなかったのでとりあえず「帰るぞ」
としかかけられなかった
家に帰り着いていた食材全部を冷蔵庫押し込めるがパンク一歩手前になる
仕方ないので手前の方から出して調理を始める、これでも料理はうまかったと
思っていたが作ろうとしていたパンケーキは塩加減を間違えて
缶詰の塩鱈を開けようとしたら豆のトマトソース煮に缶ごとぶちまけて
鍋をひっくり返す 極めつけはオーブンに入れた豚肉ブロック香草詰めが爆発
調理場が修理が必要なレベルになったので今日も缶詰
食事の前の一言が私からの謝罪だった、本気で辛い。ファシムルク監獄以上だ
黙々と食事が続くが途中で名前について尋ねる
食事の手が止まるも特に会話がない。名前はあったほうがいいと
言うのだが特に帰ってこない。かといって名前がぱっとでてこないので
ポケットに入れてあった試作の認識票(ドッグタグ)に刻まれてあった
名前を伝える。Ally アリーだ。Aから始まるので試作によかったのか
しらんが手渡して今日から君の名前だと伝えるとじっと見ていたがやがて
食事を再開する。理解したのかしてないのかわからない・・・
寝静まった後スコッチを飲むが不味かった
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黄金歴174年6月×日
進展の無いまま月が変わってしまった
そして本日職員との会話で初めてアリ−が少女だと知った
書類に目を通していたようで通していなかったのかと確認したら
書類上男だったので書類で担当官に通達する
そもそも砂漠の砂で洗濯を行う要領で服を洗濯していたし
支給品の服を着せていたので全くわからなかった
アリーを連れて街に衣服を買いに行くも少女用の衣服など全く知らないので
適当に選ばせる 選ばせたかったが本人もわからないらしいので店員に選んでもらった
店員のよくわからない笑顔が辛い
しかもやたら時間が掛ったり、かなりの量を買わされた
あの店員それが目的だったのではと疑う。出費が痛い 経費で落ちないだろうか
新しい衣服を買ったとなれば私が洗濯するわけにもいかないので全自動洗濯機を買う
これで洗濯の手間も省けて楽だろうと思っていたがそうではなかった
設置も無事終り、アリーに使い方を教える。10歳だろうが洗濯物、水、洗剤を入れれば
勝手にやってくれるもの。すぐに覚えるだろうと聞いたようにやってみせ
私の私服とアリーが着ていた支給服を入れて回す
あとは待つだけと居間で紅茶を入れて新聞を読んでいたが
途中でアリーが私の袖を引っぱるものだから何だと思えば
洗濯機が異様な音を立てていた。今思えば装甲車両に乗っていたとき
側面攻撃を喰らって中で兵士共々体が跳ね回ってた時のような音が近いと思う
何事かと思って近づくとものすごい勢いで泡を噴き上げていた
洗剤を入れすぎていたらしい。慌てて止めてモップかけに雑巾かけを行う
夕食の準備が出来ていなかったし出来るはずもなかった
仕方が無いので携帯用ガスコンロでマフィンと缶詰を温めなおす
朝食みたいな夕食になってしまった…
やはり家で食うとあまりうまくなかった
黄金歴174年7月×日
アリーが来てから1ヶ月たつ。今日は職員に預けてレンジャー訓練の監督と
選抜試験の評価に加わり、射撃訓練を行った
帰りに職員のところに行きアリーを引き取ろうとしたが私を避けた
なぜかわからなかったが、職員が私を見てあまりにも硝煙臭いという
アリーは硝煙と鉄の臭いを忌避しているのだろう
急ぎシャワー室に戻り洗い直し服も変えると何とか着いてきてくれた
やっと手順を思い出してきた夕食後、硝煙について謝る
特に反応はなかったがそれでもいい
寝かしつけた後、兵器管理局に行き拳銃、ナイフ、手榴弾、携行火器やアサルトライフル~弾薬爆薬その一切全てを預ける
銃器を携帯できないのは心もとないが、やってやれないことはない
危険を冒すものが勝利する。そうだ、銃火器で平和な状態を作ることは楽であっても
1人の平和を作るために火器が必要だろうか
世界の安寧を願うために己の持てる全てを使い、納得のいく戦いのため
己がために意志を持ってこの傭兵をやっているのなら
やってやれないことはない、それが我々だ
アリーを一人前に育てる。私個人の戦いを終えた今
これが私の新しい任務。必ず完遂してみせると心に誓い、ここにも記す
しかしM1911a1が手元に無いのは本気で心もとない
いや、完遂してみせる
冒険の時は使うが
黄金歴177年7月×日
私があの誓いを立ててから早くも3年立った
あれからアリーとのコミュニケーションも最初はぎこちないが
進めることができた。近所の子供達と日が暮れるまで遊んだり勉強したり…
それと今では私より食事を作るのがうまい
自慢だったリンゴのシチューも私よりうまくて若干苦いが嬉しいものがある
しかも洗濯掃除家事一切を手伝ってくれている
私も学園にも復帰する手はずであるし、共にいられる時間が短くなるが
一人前にかなり近づいていると思っている
性格も3年前から明るい活発な子になって運動が得意なのか
休日は一緒に走りこんだりしている。遠泳、投球、スキー、運動系なら何でも
ござれではと思うと関心して仕方が無い
こんな仕事をしていたが、こういう生活もありだったんだろうと
今更ながらに思う
最近酒もやめて久しい 職員室で飲めるかなぁと不謹慎だが思う
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黄金歴177年12月24日
寒さも厳しくなってきた。年の瀬も近くついにクリスマスだ
この日のためにあらゆる策を練ってきた
去年まで普通に家で過ごすクリスマスだったが今年は盛大にいく
事前に今年は外で食事をしようと言っておいたため特に準備もなく
アリーは家で待っていた。用意していた通り目隠しとイヤーマフラーを
付けて厚着もさせ外に連れ出す。さすがに不安そうであったので
抱えて移動することになった
ライフルと装具に比べれば軽いものだった。以前も感じたことだが
子供というのは思っているより軽くて驚く。数値的な重量ではないんだが、表現しづらい
予定通り待たせておいた輸送ヘリ、CH-46シーナイトに乗り込み所定の場所にいく
天候の関係もあったのだがしっかり抱えていたので
アリーが体をどこかにぶつけることもなく到着した
目隠しとイヤーマフラーを外させるとその眩しさと冷たさで身を小さくした後
その光景に目を奪われ、隣の空まで届きそうな歓声を挙げた
そう、場所は雲よりも高く天に近い山の頂上。訓練施設の空きが出たため
少し前から内装をクリスマス用に飾り付けていたのだ
そしてこの一望できる雲ひとつない星空。空気が澄み渡っているためか
近いためか、三千と煌く星空の雨が空に写っていた
星の光が反射し、夜というのに雪の山々も白く輝いていたのを覚えている
メリークリスマス、と祝うと雪を踏みしめ飛びついて空に響くくらい
感謝の言葉を叫んでくれた。抱きとめて回た。私も嬉しくて仕方がなかった
中で用意していたシャンパンにケーキ、七面鳥やら料理を出してその日は目一杯騒いだ
今年も最高のクリスマスになって嬉しかった
来年はもっと最高のクリスマスにしたい
黄金歴178年1月1日
年が変わった。私も学園に復帰して半年が立ったろう
新年ということで以前採寸してもらっていた着物を受け取りにいく
私のではなくアリーのである。東洋の風習だがこの界隈では関係ないだろう
似合うと思ったから買った、それ以上の理由がどこにあるだろうか
隣の大陸まで生地を取り寄せた甲斐があったのか上品な出来になって
非常に素晴しい出来になったと着付けが終わった後アリーの姿を見て思う
店員も上機嫌であり、その場で一回転しアリーは私に見せてくれたが
素晴しいという以外の感想は出なかった。しかし短い言葉だったためか些か不満だったようだ
履物の足袋や下駄は慣れていないので転んで怪我をすると危ないと思い
普段どおりブーツでよい、という結論に至った
晴れ着が嬉しいのか走って急かす姿が愛らしい。そんなに急いでも神社は逃げないというのに
一通り初詣が終わると新年の買い物周りである
食材はどれも高かったが時期も時期なのでどれでもいいだろうと思っていたが
その中からでも選ばないといけないとアリーに怒られてしまった
すっかり家事そのほかをまかせっきりにしてしまっているようだ
休日や暇のあるときに勉強し手伝わなければ、と新たな新年の抱負が出来た
去年まで特に悪いこともなく過ごせていたので、今年も無事平穏に過ごせることが
私の望であり、希望である
しかし新年でも家で酒は飲めなかった
いや、まぁいいんだが
88年来付き合っているM1911a1のオーバーホール後の動作チェックも行ってきた
スライドの強化、セレーションの配置やサムセイフティの延長もばっちりだった
折れていた延長部のスライドストップも新規に作成され
新たなセレーショングリップもばっちりフィットし、ハンマー、トリガーフィーリングも
最高の出来栄えだ。メンテナンスを頼んだガンスミスもここまで使われれば
銃器として本望。あと11年すれば人間に化けますよと茶化していた
心残りがあるといえば冒険に出るとき以外で携帯できないことだろうか
銃器に触るために冒険に出ているなんて口が裂けてもいえん・・・・・・
銃器といえば新年早々物騒だが食卓の会話でアリーが銃器に興味を持っている節が見えた
私の使っているM1911a1についてだったが、それとなく逸らした
だが話逸らしたりするときは理屈っぽくなると指摘を受けて辛かった
女の子が持つ物ではないからだと話を切ったためかそれ以上はなかったが
この子が武器は持たせたくない、持たせなくていい人生を送れるように導かねば
それが私の今の使命
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黄金歴178年2月14日
娘からチョコを貰った
嬉しかったのでアリーの見えないところで跳ねたら頭を電灯にぶつけて転んだ
流石に馬鹿すぎた。オマケに電灯割ったので脚立持ってきて直すハメになるとは・・・
はてさてホワイトデーには何を変えそうか。今回持ち帰ってきた
魔術書を珍しそうに見ていたし書店で幾つか本を買うのもいいかもしれない
しかしジャンルは一体どういうものがいいだろう。今まで参考書や欲しいと
言われたものしか買っていなかった。今さら技術書や専門書を贈っても
と思うし、女の子が読むものか?とも思う。明日職員に聞いてみるか?
同僚に聞くのも憚られる。今月の大きな課題が出来た
黄金歴178年3月14日
部下からは女に返すものだし職員の話はアテにならないし結局一月使ってしまった
アクセサリーや花束とか娘に贈るものじゃないだろうと突っ込みつつ時間だけ
浪費してしまったように思える。ということで女性職員に頼み込んでアンケートをとる
やはり菓子が多いようだった。統計2000人だからまず間違いない
そしてなんとかレシピを手に入れた。ホワイトデーの贈り物 マシュマロを使った
マシュマロフォンデュというらしい。材料はマシュマロと牛乳だけらしいので
なんとかなった。それらしい鍋とマシュマロと牛乳や菓子などを買い込んで
アリーが勉強に出ている昼時から作業開始。帰宅時までになんとか作り終えた
テーブルで紅茶を入れ終え鍋に火をかけた・・・のだが途中火加減などで
アリーが様子や手伝いどころが殆ど全てやられてしまった、不覚
火を使うのが危なっかしいといわれた。これでも爆破工作と拠点除去の
内部向け教本作成を監修し作成した身であるのに
そんなものだったが喜んでくれたのでやった甲斐があったものだ
まだ春先で外は寒かったが暖かいホワイトデーになったと我ながら思う
後日職員には礼をしなければならない
勉強費と見れば安いものだろう 2000人分の菓子折りなど
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黄金歴178年4月××日
桜の咲く季節。アリーと桜を眺めるのももう4度目である。
中等部2年のアリーは来年卒業するのか、卒業式の撮影もあるし
と今のうちからめぐらせておく。新学期も元気な姿で登校していく姿を見て
私も学園に通勤する。ここ数年の穏やかな日々は何物にも変えがたいものだと
実感している。ただ問題といえばアリーに家事を任せているせいか
部活動等、学校の課外活動に参加していないことだ
今の年頃だと友達も必要だし、と思っていたが何だかんだで友達と
一緒に下校したりよく遊びに言っていったりしている
先日は中等部内の生徒間オリエンテーリングでハイキングに行っていたし
(無論日ごろから運動しているため楽しいハイキングになっていたようだ
心配のしすぎかもしれないがやはり気になるものでアリーに聞くと
「私が家事をしなかったら誰がするの?パパは座ってお茶飲んでて」
と返されてしまった。面目ない。なんとか料理家事を覚えないといけない
もしかして私が一人前になっていないのか?
それと銃器についてまたも聞かれたのでそんなに不安ならと
護身術を教えることにする
CQCよりは簡単であるがとっさのときに役立つはず
まず受身から教えていったが外でやる場合下着が見える可能性があるので
インナーの着用を薦める。女子として当然のことである
理解もできているし、動きも短く正確に適応させている
これなら階段から落ちるようなことがあってもおそらく大丈夫だろう
大丈夫なのか?
黄金歴178年5月××日
穏やかな季節の5月、予てから決めていた渓流釣りに出かける
この時期はまさにベストシーズンと言えるだろう
さすがに野山の方は私がト思っていたがハイキングやら野山に遊びに行ったりで
私に付いて来れるようになっていたのは驚きだった
日帰りでの予定だったので余り多くはつれなかったが
それでも十分な数を釣り上げた。無論私のほうが多かったが
釣った魚はさばいて即塩焼きで飯ごう炊飯とともにいただいた
バランスがどうのと言われ、網で野菜も焼いたが、充実した一日だった
そういえばとアリーに泳ぎの方はどうなんだと聞いたら
「学校で着衣水泳の授業もあったから平気!」と答えた
最近はそんなことまで教えるんだなぁと感心してしまった
しかし今思うと平気で魚をさばく中等部の学生とか大丈夫なんだろうか
いや、調理実習などあればそりゃ活躍できるだろうが
いかん、女の子らしい休日の遊び方とか知らんぞ私
どうすればいいんだ。誰かに聞くか?いやしかし・・・
しかしなぁ いやどうすればいいんだ。職員にこれ以上聞くのも憚られる
なんとか解決策を見出さねばならない
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黄金歴178年8月××日
あれから打開策を模索し続けるも結局見つからなかった
一体どうすればとアリーの夏季オリエンテーリングの準備を手伝い
送り出そうとするといきなりのとある同僚の魔女がダイナミックエントリーしてきた
多々誤解があったためアリーを送り出してから大方のことを説明する
あらかたの説明が終わると非常に気を落とされていたが
今までの生活のことを話すと女性としてアリーの教育に協力してくれるという
しかしそこでようやく気づいたが年頃の少女の悩みとはなんだろうか
身体的なことだろうか?もしそうだとしても私が察することができるのだろうか
普段と違うところがあれば気づくはずと言っていたがどう気づくんだろうか
不安が募る。夕食のときそれとなく最近変わったことはないかとか聞いてみるが
不信な顔をされるだけだった。すまないアリー。流石に露骨すぎた
やはりここはとある同僚の魔女か二女一男を持つあの同僚に聞くしかない
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黄金歴178年11月20日
ということでとある魔女に聞いたとおり、休日はアリーと買い物に行く
年齢も年齢だし買うものも増えてきた。もう15歳とは月日はなんとやら
しじみ地味 しみじみ思いつつカフェで昼食と茶を取った
そこで思いつめたような表情でアリーが話したいことがあるというので
身構えたらカップの持ち手を潰してしまった。店員に謝ったが
本題を進めるためにその場で返した
まさかボーイフレンドでも出来たのか?出来た場合まず工作員か確認しないと
いけない。何人集めるべきかと危うく口に出そうとしてしまったが
真実は別で、冒険者になりたいとのことだった
すごく反対したかったし反対するべきなんだろうが
友人達も多く冒険者になったり、傭兵として相手の自由意志を尊重する
風潮や今までが壁となり反対できなかった
危険な目に遭遇させたくない、これは困った
ということで許可を出しつつも意を決する
アリーの冒険日数と私の冒険への距離は異なる
来月から雪の時期であるしスナイパーチームと組んでアリーの冒険先に潜んでいる
モンスターを軽く始末し難易度を下げよう
こうすれば安全に冒険ができるはずだ
問題ない
早速陸軍と海軍から部隊を選抜しよう
L96AWSを使えばこの時期でも問題ないだろう
新たなミッションの始まりだ
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コメントアウト †
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