「星をも砕ける魔剣」として造られたほしくだき
彼女がその身に意識を宿したのは星が綺麗な夜のことでした。
鍛冶師は産まれたばかりの魔剣を、星がよく見える丘まで釣れだすと、夜空に眩い星の中でも一等大きく輝く星を指さしました。
あの星を砕けというのでしょう
彼女は言われた通り確かにその星を砕くため力を振るいました。
振るわれた刃は土埃を舞い上げ、草を散らし、周囲に暴風を産んで確かに指されたその星を砕きました。
砕いたのです、彼女にはその手応えを感じることが出来ました。
確かに砕いたのに、静かになった後の空にはあいも変わらず星が眩く輝いています。
失敗したのでしょうか、そんなはずはありません。確かに確かな手応えを感じたのですから
何事か言おうとした少女は、鍛冶師の顔に落胆の色が浮かんでいるのを見てしまいました。
見てしまえば、もう何も言えるはずもありませんでした。
かろうじて銘は与えられました。 けれど役目を与えられることはなく、次々と生み出される他の魔剣からはまるで見下されているように感じました。
きっとそれは気のせいだったのでしょう、けれどすっかり卑屈になった少女には与えられる目線も言葉も
まるで自分を見下し哀れんでいるようにしか思えなかったのです。
星が煌く夜になると少女は丘に登ります。 確かにあの一等輝く星を砕いたのだ、今にあの眩い光は失せるのだ、そんな思いをいだいて空を見上げます。
幾瀬の月日が過ぎ、他の剣があちこちに散らばっても彼女はそうして丘で空を見あげているのです。
|