グンマ家出身 マスカレード・グラスソルジャー 78135 †
冒険者になった理由 †理由です//
エピローグ †人生は偶然の連続である、つくづく私はそう思った
何度もの偶然を経て私とこの子はここにいるのだ これは偶然なのか、必然なのか 故意なのか他意なのか 運命の女神の賜りものなのか、それとも気まぐれの女神の賜りものなのか 私にはわからない、多分この先も 今はこうなった事に感謝をするしかない 身を起こし、体を確認する。子供のように小さい女の子の体だ 最初は違和感があったが今ではこれが本物の体のように見える 寝ても疲労は取れないし冒険で受けた傷も治らない、体に巻いた包帯が赤く染まっている …そろそろ体の限界なのだろう 銀色の装飾がされた棚、私の大切なものが入っている棚 防御魔法が解かれているその棚は私の長年かけて作り上げたプレゼントの完成していることを告げていた 棚を開けると、プレゼントはきちんとできていた。私はにっこり笑った その笑ったのを見届けたかのように数年間、メモ帳からこの棚まで魔力を供給していた古代の騎兵の頭部パーツ、 "KnightMasquerade"は崩れて砂になった。最初は名前だけをみて何となく拾ってきたものだったけど…これも運命なのかな?ふふふ… あの子は1ヶ月間ずっと眠りっぱなしだ、そろそろ起きる頃だろう 魔法で神経の推移を計ってみる、もう魔法を使うだけでも体中に痛みが走る 神経の波を感じる限りだとこの分だと朝には起きそうだ 起きる前に最後の仕上げをしなくては 私が力尽きる前に最後の仕上げをしなくては 必要な荷物は纏めた 真新しい黒い服、と黒いベレー帽。あの子があの時に着ていた服 私が数年かけて"KnightMasquerade"の魔力を借りて復元したあの子のお気に入りの服 腕の血液と照合させて行った血の染み抜きも完璧だ どんな顔をするだろうか?それが楽しみで仕方ない どんな事を言ってくれるだろうか?褒めてくれるかな?喜んでくれるかな? 私はそれが見たい、聞きたい だから動け、私の手足。床に伏せているとあの子の顔が見えないじゃないか 無音の世界から戻れ、耳よ。このままだとあの子の声が聞こえないじゃないか 動け、私の体よ。あと立ち上がって数歩でいい、動いてくれ よくやった、私の体。もう十分だ。椅子に座れればいい、背もたれに寄りかかってるだけでいい そうすればあの子の顔を見れるから、あの子の旅立ちを見ていられるから あ、あの子が起きたよ。凄いびっくりしてる、だって小さい男の子から元の自分の体に戻れたんだからね 私の体を媒介にしただけはあったなぁ…よかった………もうこの体は涙も出ないか うん、ごめんね。話しかけてくれてるけどもう何も聞こえないんだ 声は…出るかな?わからないや 「マスカレ…お久しぶりね…」 あ、何か涙流して何か言ってる。辛気臭いなぁ…折角戻れたんだから笑ってよ… 「何か言ってるみたいだけど…もう私は何も聞こえないの、ごめんなさいね」 そんなに泣かなくてもいいじゃない、私も悲しくなるよ 「少し前に二人一緒になった時…背中に翼生えてたよね?もう…私たちは普通の人じゃないの…私たちは神様の手から一時的に離れたの… 生命の輪から一時的に外れちゃったの…偶然か…必然か…わからないけど…私は先に神様の手元に戻るわ」 私たちは…人としてのループを外れてしまったけど…私は満足、だって貴方に再び会えたから 「ねぇ、マスカレ…美しい世界を見たくない?広大な世界を感じたくない?自由な世界を楽しみたくない? 自分だけの魔法やアイテムを作ってみたくない?海岸を歩きながら貝殻の中に潜む真珠を見つけてみたくない? 何十もの街があり、何百もの遺跡があり、数限りない人々の息遣いがある。様々な種族がいて、様々な人がいて、様々な魔物がいて、様々な物語がある 今、すべてがあなたの目の前にあるの。私がいなくなると悲しい?ならば旅に出なさい。この世界をその体で感じ取りなさい。様々な感動を」 言いたい事を言ったら何か楽になってきちゃったな…目の前も霞んできて…もう見えないわ… 行きなさい、マスカレード。貴方は世界へ羽ばたくの 貴方は私の分まで生きるの 貴方は私の…… 朝起きて、羊毛刈って、薬草摘んで、通学途中で戦って、パンを焼いて、二人で食べて、曲を作って聴いてもらった 昔の夢を見た、あの頃の懐かしい夢。本当に夢なのかどうかはわからないけど あの頃に戻りたいな、なんて一瞬思ったりした あの子は行った、もう目も見えないし耳も聞こえないけど何となくわかる。あの子は世界に羽ばたいた 最後の時が来たみたい、キリュウ・ツキヨノとしての最後が 私は…まだマスカレードと一緒にいたかったな… 来世ではどうなるかな…ふふ…また会えるかな…?仲良くなれるかな…? また… 「全ての魔法と全ての力をここに、私の体を無に返し、放たれる一筋の光をもってマスカレードの新たな旅路への手向けとならんことを…」 キリュウの放った最後の魔法、ラストメモリーは眩く高い光の柱を作り上げキリュウとマスカレが過ごした家だけを飲み込み、塵に帰した 「さようなら、姉さん」 マスカレードは光の柱にそれだけを言い、歩き出した。世界を体で感じ取るために 最新の10件を表示しています。 コメントページを参照 メモ帳 †様子見に来た人の数1 コイツはもうダメだと思った人の数0 見放した人の数6382
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