アブリアル家出身 ラフィール 9769 †
ID: | 9769 |
名前: | ラフィール |
出身家: | アブリアル |
年齢: | 17 |
性別: | |
前職: | |
理由: | |
状態: | |
アーヴ帝国皇帝の孫娘。
ステータス/戦歴
地上世界 †
序 【0 G ?????(うさんくさい情報)】 †
特にすることがない場合は、可能ならば宇宙を飛ぶかソビ……いや、とにかく今のラフィールには何もすることが無かった。
ジントを待つ間の一時間、ただ猫をかまうだけには時間が惜しい。そう思いながら部屋に備え付けの端末を眺めていると、
「地上世界を……体験する?」
何かのゲームのようだ。登録無料・費用無料・花押不要・テスト段階・地上世界での冒険・要キセーグ(接続纓)雌端子・推奨全方位型モニター。胡散臭い言葉が並んでいる。
それでも、地上世界を体験するという言葉には興味を引かれた。
要キセーグとある以上、あの者は体感はできないだろうが…映像くらいはみえるのではないだろうか。そう思い登録画面へと進めた。
(出身は帝都だから都会。出身家……アブリアル。前職は……修技館にいたから学生。目的は……上を目指すべきだから立身であろな)
名前や連絡先など次々に情報を入れて、最期に送信。数秒と待たずに登録完了の通信をうけた。もう参加できるらしい。
キセーグを接続し、プログラムを起動。ゴーグル型の擬似全方位モニターに映像が表示される。
そのまま、ラフィールの思考は地上世界へ……
(成功 0G 情熱1000)
黄金暦84年 12月 はじめての冒険 【300 G ◎◎◎◎◎(確実な情報)】 †
片手には軽い剣、それに妙な服を着て、ラフィールはじめじめした洞窟内を進んだ。自分以外あと五名いる。先ほど知り合ったばかりだ。
素人でもできる任務と聞いたが、正直なところすでに帰りたかった。かび臭い洞窟や、何匹かネズミを切り刻んだ剣の血の臭いがいらいらさせる。
(大量の猫を送り込めば、ネズミなど一掃できるのではないか)
などと考え出した時に「ゴブリンだ!」と、仲間の一人が叫んだ。先ほどから常に急襲にあってばかりで一向に先手を取れない。
(慣れない地上世界だからか、集中がないのか……とにかく、あの者たちを倒せば帰れる!)
残った気力を剣に込めて、全力でゴブリンの掃討を始めた。
(成功 300G 情熱+0 駆け出し 質の悪いロングソード)
黄金暦85年 1月 コボルド討伐依頼 【900 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
任務失敗
今度は森の中で、前回とは違いじめじめした臭いもしなかった。
周囲を警戒し、急襲にもほとんど会わなかった。
前回獲得した長剣も、前回手に入れた資金で、手入れをする道具を購入したから血の臭いも残らなくなった。
準備は万全だと思ったが、それでも二名の死者とラフィールの重症。それでやむなく逃走した。
「まったく、忌々しい」
キセーグをはずし、周囲を見る。まだジントは帰っていないようだ。
ジントにも見せてやりたいが、二度目にして任務失敗などという姿は見せられたものではない。正直、帰ってきていなくてほっとした。
今すぐ再開する気はなかった。やる気が出ない。暖めたティル・ノムを飲んで休憩するとしよう。
(失敗 情熱-28)
黄金暦85年 2月 ゾンビ討伐依頼 【850 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
「つまり、ゾンビとは死んだ者が生き返ったと言うのか。……よくわからぬ」
酒場の主人が要領を得ぬことを言う。死んで生き返ったのであれば、それだけでは、わざわざ殺す必要がないではないか。
むしろ家族の元に帰せばよかろうに。そのような奇跡、望んでも得られぬであろ。
もし仮にその者達が悪事を働くとして、彼らを捕まえるのは憲兵の果たす役割ではないか。
しかし、一度受けた任務、辞めることも変えることもできぬのなら、果たすしかないであろな。
憲兵に引き渡すよう、捕縛用にロープでも持っていったほうが良いかも知れぬな……
帰還後、嘔吐感に苛まれつつ、ゾンビと名のつく依頼は二度と受けないと誓った。
(成功 850G 情熱+58)
黄金暦85年 3月 人型の怪物討伐依頼 【950 G ◎◎◎○○(微妙な情報)】 †
「騙された!」
遺跡に入っての緒戦を終えた感想がそれだった。
正確には、情報が少ないため「人型の怪物」と表記された任務。
ゴブリンもコボルドも人型だった。そういう類の相手だと思っていた。
それが、よりによって「ゾンビ討伐」だった。前回の任務で、もう相手にしたくなかったというのに。
(酒場の主人は、人を宇宙の果てに突き落とす天賦の才があるようだな)
筋違いな恨み言を思いつつ、前回の腐臭の原因ともいえる、叩き潰した戦いを思い出した。
前回は対処の仕方も分からずただつぶした。が、今回は切るべき箇所もおおよそはわかる。
できるだけ触られず、近寄らず、力押しではない、剣技だけで倒す事に集中した。
「うん、多少は剣術の腕も上がったであろな」
たいした汚れもない自身の姿から、醜悪な任務であったが収穫のある任務でもあったことに満足した。
(成功 950+1465G 情熱+87 剣術入門者)
黄金暦85年 4月 巨大な怪物討伐依頼 【1,300 G ◎◎○○○(あやふやな情報)】 †
今度の任務で行く洞窟は、変な形状をしていた。真っ直ぐなのか、湾曲しているのか、どう見ても自然にできたものではない。
それも、この場所の主を見て納得がいった。
『巨大ムカデ』
上下関係なく洞窟を駆け抜けるこのおぞましい相手は、その数え切れない程もある足を使って、一気に襲い掛かってきた。
任務編成も、近接四名、弓兵一名、魔術師一名と、バランスは良いはずだった。
しかし、任務失敗。二戦目で一人が命を落とし、このままでは無理と判断し帰還。
街の酒場で話を聞くと、その奥には超巨大ムカデという化け物が居るらしい。その話の発端の部隊は、一名しか帰ってこれなかったそうだ。
生きて帰ってこれただけ、僥倖であろな。
この緊張感を紛らわすため……ディアーホを風呂にでも入れるとしよう。
(失敗 0+1208G 情熱-125)
黄金暦85年 5月 人型の怪物討伐依頼 【1,400 G ◎◎○○○(あやふやな情報)】 †
ディアーホを抱えて浴槽に向かったが、入る直前で逃げられた。
部屋を出て行ったので追いかけようとしたが、ジントから連絡が入る。あと二〜三〇分はかかるようで、その後に朝食の誘いがあった。現在の時刻は九時。
「こんな時間に朝食を取る悪癖を私はもっておらぬ。まぁ、そなたがどうしてもと言うのならソイ・アーサ(紅茶)程度なら付き合わなくもないぞ」
短い通信のあと、部屋を振り返る。猫は逃げたしジントは待たねばならぬ。……二度ほど任務を遂行するか。
む、ゾンビか……
多少壊れてはいるが、石畳の綺麗な廊下を進む醜悪なゾンビを見ると、遺跡を作ったものの嘆き声が聞こえてくる気がする。
地上人の宗教施設らしき空間は、当時の壮麗さが残っているのか、心が安らぐ気がする。目の前に館の主らしきローブをまとったゾンビが居なければ本当に良いのだが。
収穫は聖遺物であろう槍。他の者が持っていったが、槍は使わぬしな。
それに、持って行った者の名は、槍に良く似合うと感じた。
(成功 1400G 情熱+143 半人前)
黄金暦85年 6月 オーク討伐依頼 【950 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
衛生を交易で売り払ったかのような彼らの姿は、どう見ても二足歩行する家畜にしか見えなかった。
ある程度文化的な生活のできる遺跡をねぐらにしているのだから、知性は高いのだろうが、見た目に醜悪だ。
(そういえば、人型の犬も見かけたな。あの者たちは衛生的であった)
元の種族によるのか? いや、豚は綺麗好きで、酔狂なアーヴが猫の代わりに飼う者も居るという。
知性を手に入れたら衛生を放棄するかというと、そんなはずはないと結論付ける。
(さっぱりわからぬな)
そう考えながら、正面のオークの首を長剣で跳ね飛ばす。
キセーグをはずすと人の気配を感じた。ジントか。ゴーグルをはずし視認する。
「眠っていたわけじゃないぞ。地上世界を体感する遊戯をはじめてみただけだ」
ジントが驚いた表情をする。心外な、地上に降りたいとは思わぬが興味がないわけではない。
ほんの数秒待ったが、手を差し出す様子はないのでそのまま椅子から立ち上がった。
鈍感、と思いつつ、からかってみる。「そなたの食事風景でも楽しむとするか」
(成功 950+714G 情熱+115)
黄金暦85年 7月 コボルド討伐依頼 【950 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
コボルド。二度目の任務にして失敗した相手だ。前回は前哨戦がネズミだったが、今度は狼らしい。
群れで生活し、狡猾に獲物を仕留める頭のいい獣。その特性に違わぬ見事なまでの不意打ちを仕掛けてきた。
しかし、場所が洞窟だったせいか、動きが小さく、限定した位置にしか移動できないらしく、難無く我らが勝利。
因縁のコボルドに対しては、こちらが完全に先制を取る事ができ、最後まで有利な戦いを進める事ができた。
(確かに、野良猫は寝ているだけだから害はなさそうだ)
野犬のようなコボルドを見ながら、ジントとの会話を思い出した。
「もし猫が、二足歩行で人並みの知性があるのなら、どう生活するのであろな」
ジントの食事中に振ってみた話。質問しておいて自分でも間抜けな問いではあると思った。
コボルドやオークを見ていたせいか、猫だとどうなるかふと気になった。
「ん〜」ジントは、先ほど咀嚼していた香りの強い葉で巻いた肉料理を飲み込んでこう答えた。「寝てるんじゃない?」
間抜けな問いに、間抜けで納得のいく答えが返ってきた。
(成功 950+1089G 情熱+148)
黄金暦85年 8月 人型の怪物討伐依頼 【1,200 G ◎◎○○○(あやふやな情報)】 †
四基の罠に一度のゴブリン退治。今回の任務はそれだけだった。
街に戻り報酬を受け取り任務小隊を解散。その後ぶらりと街を歩いてみる。
酒場兼宿屋の周辺はある程度広場になっていて、数多くの屋台が並んでいる。主に食品が多い。
食べたことがあるのだが、味付けが濃いので楽しめなかった。気に入っている店は東側の水門付近の店だ。
そう、不思議な事に普通に味覚を感じることができる。それどころか、時間の流れが違う。
居続けようとすれば、次の任務がある一ヶ月先までこの地上世界で暮らす事ができる。その間、現実世界では十〜二十分程度しか進まない。
現実世界に戻ろうとすれば自覚的に戻れるから、夢を見ているわけではないだろうが、それに近いのではないかと思う。
(ここは、われらにとっては危険な世界のようだな)
そう思う。命ではなく心が危険。現実を無視できるほど長時間居られるこの世界は、生活が現実と逆転してしまうのではないか。
(長時間居るのは危険であろな。定期的に本来の私に戻らねば、自らを失いかねない)
そう思いつつも、
(『猫足の水門亭』で冷えたトマトカルピスでも飲んでから帰ろう)
と考えるあたり、この世界に毒されているのかもしれない。
(成功 1200G 情熱+89)
黄金暦85年 9月 オーク討伐依頼 【1,000 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
遺跡としてはそれなりの広さだった。しかし、各部屋に何も無く、使えそうな物は置いてなかった。
今まで行った遺跡と比べて、風化が激しいのか、石畳からは草が生え、天井は壊れていた。
すでに過去に冒険者が探索し終わったのであろう、見かけた箱も全て中身が無く収穫らしきものがない。
「オーク討伐だからな、何もないのは仕方ないであろ」
罠を一基過ぎただけで目的のオークにたどり着いた。
たった1戦、しかし依頼の村人は困っているであろう相手。ゆえに手は一切抜けない。
気を引き締めて長剣を強く握った。
初めて大将クラスを倒した。それまでは、周辺の相手ばかりだったのだが、チーフ相手の最期の一太刀を入れることができた。
遺跡のそばに流れている川で、オークの血を洗い流しながら、満足いく戦いに自然と笑みがこぼれた。
(成功 1000G 情熱+64)
黄金暦85年 10月 コボルド討伐依頼 【1,300 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
「これで……何匹目になるであろな」
洞窟に入ってから、ずいぶんな数のコボルドを切ってきた。今、目の前にはコボルドチーフ。この戦いで任務完了は決定してる。
小隊全体で二十一体目のコボルドを長剣で切り捨てた。
「あと四匹。 ――っ!」
集中の切れ掛かったラフィールの肩を、コボルドの持つ鈍器が振り下ろされる。
長剣を反射的に振ったが、疲労からか剣速が出ずに、空を切った。ただし、避けたコボルドはその先に居た仲間に切り伏せられる
剣を構え直す頃には、他の仲間がチーフを倒していた。残ったコボルド掃討に加わって程なく終了。
安心からか、汚れもいとわず地面に座り込む。
(疲労に負けて振り切れなかった。私の剣術はまだまだ無力なのであろな)
もっと剣術に励む。そんな思いに駆られる戦闘だった。
(成功 1300+715G 情熱+61 剣術初級者)
黄金暦85年 11月 巨大な怪物討伐依頼 【1,700 G ◎◎◎○○(微妙な情報)】 †
ラフィールの左足から、真っ赤な血が大量に流れる。巨大ムカデの顎に噛み付かれたからだ。
幸い噛まれた時間は数秒にも満たない程度だったが、これからの戦闘にかなりの障害が出る事は想像に難くない。
足が重い。鞘に収めた長剣を杖代わりに、洞窟を進む。そしてその先に、また現れる巨大ムカデ。
左足を引くようにして巨大ムカデと相対する。何本もの足が仲間を次々と攻撃していく。
そのうちの一つが、ラフィールを襲う。今度は残った右足側を、ムカデの足が深く突き刺さる。
(っあぁぁぁぁ!)
声に出すのをなんとか堪えた。声に出してしまえば、そこで気力が消えるような気がした。
長剣を振るう。ムカデに傷を負わせた気がした。一瞬意識が飛んでいたようだが、気がついたら二匹目の巨大ムカデも倒していた。
(この後、耐えられるのか)
この先の戦闘を思うと、かなり不安を感じる。両足を包帯で巻いて立てるようにした。やや歩きにくく、心もとない。
周りの味方を見ても、ほとんどのものが重症を負っている。
(退くか進むか、決断するべきであろな)
進むべき通路は二箇所。そのうち片方を見ていると黒い妙な塊がそこから流れ込んできた。
『ブラックプディング』
冒険者を続けていて名を知らぬものが居ないほど有名な化け物。
多くの冒険者の命を奪っていった怪物。それを相手に、完全な不意打ちを受けた。
巨大ムカデを倒して間もなく、ほぼ同じ位置での戦闘。いまだ座っているものもいて、臨戦態勢ではない。
その間にもブラックプディングは、その粘液状の体を拡散し全体に攻撃を仕掛けてくる。
任務の仲間が一人殺された。
生きているが、立つこともできず倒れているものもいる。
私は、両足はもう進む力もなく、利き腕にも大きな怪我を負い、すでに満足に動かせない。
休憩したら撤退しようと五人で決めた。
それが、この世界で迎えた十六の誕生日だった。
(失敗 0G 情熱-279)
黄金暦85年 12月 怪物討伐依頼 【1,700 G ◎○○○○(うさんくさい情報)】 †
食後仕事に行ったジントの手伝いをしようと会いに行ったのだが、ジントも画面を眺めるだけでやることがないようで、
「ここに居ても画面を見るだけだから」
と言って、部屋で休んでいればいいと言われる。別に仕事がなくともここに居ようとは思ったが、どうにもジントが落ち着かぬ様子だ。
軽く口論になったが、「あとで話すから」といわれて、納得がいかぬが納得することにした。
部屋に戻る途中、ディアーホを見かけたので抱えて連れて行った。風呂のことはもう忘れたようだ。のん気さは主人と同じだな。
粘液(オーカーゼリー)に腐臭(ゾンビ)。気分の悪い相手を討伐する任をうけた。
酒場の主人には、彗星で酒場の経営をしてもらいたいと思ったのは、これで何度目であろな。
(成功 1700+1629G 情熱+90)
黄金暦86年 1月 人型の怪物討伐依頼 【1,300 G ◎◎○○○(あやふやな情報)】 †
任務から帰るなり、酒場の主人に、
「これであんたも一人前の冒険者だな」
といわれた。彗星での酒場がいやで、世辞でも言っているのであろか。怪訝な表情で見ていたら、
「ある程度仕事をこなした冒険者には、全員に言っている」
とのことだ。世辞でないのはわかった。ただ悪い気分ではないな。彗星の酒場から、小惑星の酒場に格下げしてもよい気がした。
気分良いまま酒場で適当な酒精のある飲み物を飲みつつ、この世界での私のあり方について考えてみる。
私はこの世界では、意識していない間は、別人格として生活しているらしい。
眠った場所と起きた場所が違ったり、私服が違ったりしている。
ただ、人に聞いた限りでは性格も考え方も全く一緒で、違いがわからないようだ。
また、種としての姿も、アーヴであるのには違いない。鏡に映る私の額には空識覚がある。
身の上もさほど変わらず、冒険者であるが爵位と領地があるそうだ。
(この様子ではどこかに父上やラマージュ陛下も存命しているであろな)
少し前の任務でもアブリアルの姓を持つものが居たではないか。今度調べてみるのも良いかも知れぬ。
ひょっとしたら、この世界ではプラキア卿が母上として生活しているのではないかと期待して……
(成功 1300G 情熱+79 一人前 剣術中級者)
黄金暦86年 2月 人型の怪物討伐依頼 【1,600 G ◎◎◎○○(微妙な情報)】 †
毎回ではないが、開錠をすることがある。私より手先が器用そうな人もいるが、そのあたりは見た目ではわからない。
ただ、私の手は向いていないのか、今回の扉も開く事ができなかった。
そして、開かない扉を仲間が武器で破壊する。最初からその方法でよいのではないかと思うが、どうなのであろな。
通路途中で宝箱を発見。施錠されていないこれはつまり……誰かがもう洞窟に入って持っていったということか。
当然のことながら中身は空。酒場の主人は「お宝が眠ってるって噂だ」と言っていたが、どうもあの者の言葉は信用ならぬ。
奥に居るゴブリンの群れを撃破。彼らもこれといったものを持っていなかった。
情報が少ないのは仕方ないが、完全な誤情報を良しとは思わない。
(やはりあの者は恒星で酒場を経営してもらう事にしよう)
(成功 1600G 情熱+38)
黄金暦86年 3月 人型の怪物討伐依頼 【1,900 G ◎◎○○○(あやふやな情報)】 †
夜空を見上げていると、故郷を空に忘れてきたような気分になる。我らが『星達の眷族』だからであろう。
他の冒険者に聞くと、多くがこの惑星の衛星(月という名らしい)に望郷の念に駆られるらしい。
そんなわずかな違いを楽しみつつ、目の前の森に目を移した。今度の依頼は夜に現れる怪物らしい。
遠くの獣の遠吠えがいくつも重なり、強風で木々が不規則にざわめき、見慣れない羽虫の集団がランタンに集まる。
(夜の森とは……き、聞いた限りでは危険、のようだな)
思わず、いつもよりより周辺に気を配る。過剰なほどに。
見渡せない森の中では、木のうろでさえ何かの生物に見えて落ち着かない。
広い森を探索し続け、五度目の戦闘で見つけたゴブリン。
焚き火につられて近寄ったら不意打ちを受けたが、なんとか撃退した。
森を出ると、空が白みがかってきた。ほぼ一晩森を探索していたようだ。
村に戻り村長に報告。提供されていた宿に帰ると、硬いが清潔な寝台にもぐりこむ。ようやく落ち着いた気分になった。
(ふぅ、こわ……ではない。疲れたのだ、うん)
(成功 1900G 情熱-54)
黄金暦86年 4月 オーク討伐依頼 【1,600 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
ある程度資金に余裕が出てくると、いろいろと使ってみたくなる。その一つが冒険者用の私書箱である。
基本的に定位置にとどまらないのが冒険者だが、それでは故郷や友人との連絡をうまく取る事ができない。
そこで作られたのが個人用のポスト。一ヶ月ごとに料金を払えば自分用の手紙や配達物を確保してくれる。
ラフィールも冒険者の例に漏れず『泡間通信』という名前のポスト名にして、登録する事にした。
オーク討伐の任務を終わらせて、ポストを覘いてみると、以前この世界の父上に出した手紙の返事が帰ってきた。
(本当に帰ってくるとは思わなんだ)
読んでみると、現実側と特に変わらぬ様子。領地が宇宙か地上かという違いだけで、やはり陛下は陛下の地位のようだ。
私も、皇族としてアブリアルの義務により冒険者として旅に出ているらしい。
「わかりやすい。つまり、こちらでも戦い抜けばいいだけなのだな」
目的を再確認しつつ、手紙を大切に鞄にしまった。
一つ嬉しい事があった。こちらではプラキア卿が存命していた。遺伝子提供者ではなく、母上として。
手紙にプラキア卿……母上から「私の可愛い殿下」と書いてある。それだけで、これからも戦える。
(成功 1600+2107G 情熱+78)
黄金暦86年 5月 ゴブリン討伐依頼 【1,700 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
今日ほど地上世界での任務が疎ましいと思ったことはない。
雨が降ってきて体中がずぶ濡れになってしまった。
良く酒場から外を眺めているときは、面白がって見ていたもののだが、実際任務中に濡れてしまうと動きが鈍くなって非常に面倒だった。
多少厚手の服を着ていたのが仇になったか、なかなか乾かないままだった。
だからといって任務中に脱ぐわけにもいかぬ。防具を薄くする事は即刻死を意味するからだ。
(風呂に、入りたい)
欲求をぐっと堪え木々の間を進む。やや開けた場所に見えたのは、討伐対象のゴブリンチーフ。
自然と、笑みが綻んだ。
「さて……と」
部屋を見渡す。目的であるディアーホが私が普段座っている椅子でなにやら遊んでいる。時刻は午後2時。
「風呂にでも入るか……ディアーホにもシャワーという雨を体感させるとしよう」
(成功 1700+1031G 情熱+45)
黄金暦86年 6月 コボルド討伐依頼 【1,300 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
ディアーホと共に風呂から出る。自分の体の水滴は乾燥室を通ったのでおおよそ乾いている。
ただし、あの毛深い哀れな犠牲者は、いきなりは乾かないので、タオルで全身を拭った後で乾燥室に共に入る。
「うん、あの湿っぽい毛も綺麗になったようだな」
乾いたディアーホの背中を見て、使命を果たせたと満足する。
風呂を上った後、体中を毛づくろいをはじめるディアーホを眺めつつ、自身の身支度も整えることにした。
爆発する罠に虎鋏。コボルドは頭のいい獣のようだ。
かの者のキャプテンまでたどり着く頃、我らの損害は少なくは無かった。
不意打ちを仕掛けてくるほどに知恵のあるコボルド。しかし、仲間の力はそれを上回るほど強かったようだ。
(成功 1300+1210G 情熱+59)
黄金暦86年 7月 人型の怪物討伐依頼 【1,500 G ◎◎○○○(あやふやな情報)】 †
オーカーゼリーにゴブリン。討伐数はさほどではなく、広さの割には思った以上に早く終わった。
このところ三度も森での任務が続いたからか、ある程度は慣れた気がする。
探索の効率化というのは、いまだにわからぬが、山道で疲労をしない歩き方というのはわかった。
そういった意味では、討伐相手がすくみ使っただけの任務が、報酬以上に価値のあるものに見えてくる。
もちろん、近隣住民が困っているから意味がある、というのは当然ではあるが。
「ラフィール」
不意に、ジントの声が聞こえた。
「なんだジント。仕事はいいのか?」
少し突き放すように返事をした。先ほどの口論がすこし尾を引いている。
「うん。いや、よくはないけど……まだ怒ってる?」
こちらを伺うような視線で尋ねてくる。
「怒ってなどいない。そなたの仕事は一人ででき、そして一人であるほうが今日の仕事は効率的にはかどるのであろ?」
「まぁ、そうなんだけど」
「そして、その仕事は今は私には言えない。後で言う。それで私は納得することにした。それで、今度は何の話だ? まさか、話を蒸し返しに来たわけではないであろ」
「まさか。さっきの仕事は後で言うって約束だから、今は違う。ただ、今晩食事でも一緒にどうかなと、多少豪華に」
なるほど、機嫌を伺うためかどうかはわからぬが、夕食の誘いか。普段も一緒には食べているが、意味合いが違うのかも知れぬな。
多少豪華。そう聞いて、少し意地悪をしてみる事にした。
「伯爵の爵位を持つものが『多少豪華』というからには、期待してよいのであろな?」
(成功 1500+1090G 情熱+0)
黄金暦86年 8月 ゴブリン討伐依頼 【1,700 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
この世界では私のように、元の世界の背景を背負ったまま来ているものも少なくはない。しかし、人型の兵器まで持ってくるとは思っても見なかった。
この兵器の持ち主が、今度の任務に同行する者らしい。ここまで来ると頼もしさを通り越しあきれてしまう。
兵器の持ち主であるAEUのエース、パトリック・コーラサワーという名を聞いたときは、ある種のドリンクを思い浮かべたのは本人の名誉のために黙っておこう。
非常に頼もしい兵器であるが、残念な事に今度の任務は洞窟。入ることができない。
洞窟の入り口を埋めてしまえばいいと、兵器で叩こうとしていたが、他に入り口があった場合のことを考えるとよい選択ではないだろう。他の五人が止めた。
洞窟は右回りの形状をしていて、中央に向かって伸びていた。途中ゴブリンを倒し、ブラックプディングと相対したときに
「あの野郎……」
とつぶやいたかと思うと、剣を構えてパトリックが突撃した。
(妙な気迫だな。恨みでもあるのであろか)
後に続き攻撃に参加しようとしたとき、洞窟全体に金属性の金切り音が広がった。頭が割れるような頭痛がする。
周辺の仲間も頭を抑えている。突撃した一名を除いて。
騒音の正体は、その突撃したパトリックの剣にある。かすかに見えたその剣は妙な振動を起こしているように見える。
「―――――――――!」
頭痛がする中、ラフィールが何かを叫んだ。本人としてもよくわからないまま叫んだ、およそ淑女としては似つかわしくない内容ではあった。
パトリックが何らかの剣技でブラックプディングを倒すと、
「応援してくれてたようだが、オーニュってどんな意味だ?」
と聞いてきた。
(アーヴ語で叫んだのか)
先の無意識の叫びは、自分でもよくわからないまま叫んだが、どうやらアーヴ語で叫んだらしい。
(この者の戦い方を見るに、そのままの意味では少し当てはまらぬな……)
少し迷ったが、
「そなたのように勇敢に立ち向かう者を指すこともあるな」
言葉を選んでそう答えた。
「勇敢に…英雄、AEUか!」
その後の彼の足取りは妙に軽かったのを覚えている。
最終戦でも、先の振動する剣技で敵を切り刻んでいたが、余りの負荷のために剣が折れた。
運良く丈夫そうな長剣を手に入れたため、全員一致でその剣はパトリックの剣となった。
……長剣、少しうらやましかったが。
(成功 1700+1770G 情熱+93)
黄金暦86年 9月 巨大な怪物討伐依頼 【1,700 G ◎◎◎○○(微妙な情報)】 †
「西に四日……これまでの任務の中でもっとも遠いな」
受け取った任務の詳細が書かれている紙片を見た感想がそれだった。
討伐する対象の、巨大な怪物という情報は十分脅威ではある。
しかし、今までの任務の距離がせいぜい二日であった事を考えると、今回の任務は討伐対象よりは任務地の方が気になって仕方が無かった。
洞窟に入り、大蛇と超巨大ムカデを討伐した。任務はこれで完了。
近隣の依頼があった村に行って、村長に報告。これで村も安心して生活できるだろう。
(それはそれとして……)
元の街に戻る前に、少しこの村で滞在するというのは計画にあった。
もちろん、一日、二日ではあったが。
「聞いた話だが、この村での特産に葡萄があったと聞いたが」
出発前にこの地域について調べたが、どうやら数多くの果物を扱っているようだ。
特に、この秋と呼ばれる時期は収穫が多いようで、それを食べることだけを楽しみに、遠くからわざわざ護衛を雇って来る者もいるそうだ。
(そうまでせずとも、輸送すればよいであろ)
とは思っていたが、村人に連れられて畑についたときにはその印象がなくなっていた。
店先に並ぶ果物とは違った、ある種の気品が感じられる。
手にとって食べれるかどうか聞いてみたが、目の前のものは皮をむいて干さなければ食べれないそうだ。
そのまま食べれる種類のものを教えてもらい、収穫して食べる。
比類するもの無くおいしい。
思わず笑みがこぼれたりする。もう一度周りを見渡して、
(こういうものを守るのが任務なのであろな)
と、改めて自分の守るものを実感した。
村の青年に剣の手ほどきしてもらうよう頼まれた。
確かに、自分達である程度守れるなら、そのほうがいいと思い快諾した。
(成功 1700+2738G 情熱+72 剣術上級者)
黄金暦86年 10月 怪物討伐依頼 【2,800 G ◎○○○○(うさんくさい情報)】 †
巨大な円柱状の柱が目に付く、白亜の宮殿。それが今回の任務地であった。
遺跡は、川から水を取り入れているのか、いたるところに水路がある。
景観も良く、普通であれば名勝として多くの人々が来ただろうが、この場に住む者がそれを阻んでいる。
遺跡に入ってすぐに気がついた。この遺跡がゾンビだらけだということが。
数は数え切れないほどいる。それこそ、全て倒すには軍隊レベルでの規模が必要なのは、一目でわかる。
ただ、今度の任務はそれら全ての掃討ではない。この中で指揮をしている者を倒す。それだけだ。
聞けば、ゾンビは生前の生活をそのまま再現した生活をするようで、生きている者を見ない限り、率先してその場から離れるわけでは無いらしい。
しかし、それもある程度知性を持った指揮官が居ないときだけである。
ゾンビの指揮官が居る場合、その指揮官の能力によってある程度の数のゾンビは、操られて人里に向かい人を襲うそうだ。
そして、その指揮官は、時を置けば置くほど強くなり、操れる数も増えるらしい。
そういう意味では、この宮殿にいる数多くのゾンビが居る場所を放置するわけにはいかないが、軍は人員不足らしく、いまだ手が付けられないようだ。
余談ではあるが、指揮官の居ないゾンビが人を襲う場合は、多くが生前に人殺しの集団だったそうだ。
任務は困難を極めた。
全てのゾンビをかわし、指揮官の所に行くのは不可能で、かなりの連戦を強いられた。
しかも、指揮官を探すのも困難で、識別方法としては、ゾンビの頭部の破損状況と、身体能力の機敏さ、あとは目の焦点が定まっているかどうかというだけだった。
見るだけで気分が悪くなっていくゾンビを観察するというのは非常に苦労したが、おそらくそうではないかというゾンビを発見。
一体になった所を見計らい、先制攻撃をかける。こちらに気づいたゾンビは、他の部屋に居るゾンビを呼び出していた。
(呼び出した。という事は、これがリーダーであろな)
わざわざ一体になるまで待ったのは、指揮をできるかどうかを見計らうため。
そして、この指揮官を倒してしまえば、この依頼は終了だった。
「とはいえ、気が晴れぬな……」
指揮官を倒した後、遺跡を離れ、遺跡がもう小さくにしか見えない距離で振り返った。
「結局、遺跡にいたあの大量のゾンビを、倒しきれぬまま帰らねばならぬのか……私は、無力だな」
(成功 2800+772G 情熱-167)
黄金暦86年 11月 怪物討伐依頼 【2,500 G ◎○○○○(うさんくさい情報)】 †
「これであんたも、熟練冒険者の仲間入りってわけだ」
任務終了の報告と、報酬を貰い受けるためにいつもの任務を斡旋してくれる酒場の主人に会いに行くなり、そういわれた。
意味がわからぬ。
「熟練だとかどうとか、はっきりわかるものでもないであろ。現に、私より強いものなど星の数ほども居る」
力も魔力も、平均より高いとは思うが突出してるわけでもない。それに、前の任務で無力を痛感したばかりだ。
「強さとかそういうわけじゃない、依頼をこなして帰ってくる。それが熟練冒険者だ。たとえ強くても、依頼をこなせなければいつまでたっても半人前だ……よっと」
酒場の主人は、任務報酬の金をカウンターの上に置く。そういえば、最近報酬が増えてるな。
「だから、どんな依頼でも、数多くこなして帰ってくる冒険者は、どんなやつでも熟練冒険者さ」
酒場を出る。酒場の主人の言葉を思い返しつつ、
(そういえば、一人前といわれるようになってから、どの任務も失敗はしなかったな)
それゆえの熟練か。そう考えつつも、街中を見回してみる。
私がこの街に来てから、ずいぶん人の数が増えている。
ゆったりと歩けた道路は、いまや道を選ばなければならなくなっていた。
また、冒険者の質も違ってきている。
当初、若い冒険者を多くか見かけたが、最近見る冒険者はかなりの熟練者が多いようだ。
ある程度の経験が無ければ生きられぬ冒険者だからこそ、自然淘汰されていったのであろう。
その中で、自分のような若年冒険者がここまで戦えたというものは、運が良かったほかには無いだろう。
(『猫足の水門亭』で、祝杯でもあげるか)
そう考えると、いつも通ってきた道をあるいて店に向かう事にした。
『猫足の水門亭』で、二年目、十七の誕生日を祝ってもらえた。
(成功 2500+1337G 情熱-153 熟練)
黄金暦86年 12月 怪物討伐依頼 【2,400 G ◎○○○○(うさんくさい情報)】 †
(成功 2400G 情熱-69)
黄金暦87年 1月 巨大ムカデ討伐依頼 【1,600 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
(成功 1600+1248G 情熱+0)
黄金暦87年 2月 オーク討伐依頼 【2,000 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
(成功 2000G 情熱+25)
黄金暦87年 3月 オーク討伐依頼 【2,000 G ◎◎◎◎○(信頼できる情報)】 †
(死亡)
泡間通信 †
- ふふ、そろそろあんたの魂も天上に上った頃かねえ。時々昔の事を思い出すよ、あんたに注いでもらった酒の味、忘れないでいたいもんだね…。 -- エルネルラ
- 報が今になってしまい申し訳ありません、あの時のメンバーで生きているのは私ともう一人だけになりました。私もどれくらい生きれるか…戦友よ安らかに -- アイシャ
- (大地に果てたか。声は届かぬと思うが、我が墓前に来てもらったことに感謝を。できれば、多くの土産話を聞きたいゆえ、私の退屈が超新星になるまで皆が冒険をしていてほしく思う) -- ラフィール
- こないだのとっておきには一寸劣るけど、これだって上等モンだよ あっちへ行ったらまた酒盛りしようじゃないか! -- エルネルラ
- ご一緒になることはありませんでしたけど、とても、残念に思います -- パルフィナ
- 同期の墓を作ることになるとはな……安らかに眠ってくれ -- ハルペン?
- 長い間お疲れ様でした・・・ 花がないのでキノコ植えときますね -- カタリナ
- ・・・おいおい、嘘だろ皇孫女殿下。そんな事ってよ・・・あんまりだぜ -- コーラサワー
- 泣いた>初期に剣を支給される学生の末路であろな。使わぬ魔力が上がり続けてるのが不可解だ。 -- ラフィール
- 任務の成功に乾杯! 戦闘後の酒はやはり美味いな。また次の機会があれば、よろしく頼む。 -- ラフィール
- 今日はお疲れ様 オークキングを倒した剣のお手並み見事だったよ さあ約束通り乾杯だ! -- エルネルラ
- 初期ステータスとかけ離れた現状に泣いた --
- 通信に感謝を。まだ18ほど任務があるので、大地に果てる前にたどり着きたいと願う。 -- ラフィール?
- 日記、楽しんで読ませてもらってるよ! --