15歳の時に私は冒険者になった。
馬鹿だったし、他にやりたい事もなかったし…
ついでに言えば冒険者で一攫千金!みたいな事を夢見ていた所があった。
体も丈夫だったし、元々力があったので討伐の依頼を中心にやっていく事にした。
結構ハードな仕事だったし、泥とか血とかで汚れるのも嫌だけど、次第に慣れていった。
それから、冒険者をやって一年が過ぎた。
冒険者としてはようやく一人前と言った所だったけど、一人で生活できる程度の所には来た。
その頃は他の冒険者の人と依頼をこなすのが当たり前になっていて、その繋がりで仲間と言える人達がいっぱいできた。
仲間からはデカブツ女だの筋肉バカだの恋人にしたくない冒険者No.1とかからかわれたり…とかしたけど、
それなりに楽しくて充実した毎日だったと思う。
そんなある日の事。依頼が終わり、酒場で集まっての飲み会の席で起こった事だった。
「実はお前の事が…好きだったんだ!」
と、酒の勢いに乗った言葉だったけれど、びっくり半分、嬉しさ半分で、
こんなガサツな私でも何故か好きになってくれる人が居る事に驚きを隠せない面持ちで居ると…
「じ、実は俺も!」
「僕も…」
「わしも!」
オイオイオイ、モテ期到来かー!?死ぬわ私。
とか思っていたら何やら空気が怪しくなり…私の事を最初に好きと言い出した男が、いきなり皿で仲間を殴り始めた。
あまりの出来事に呆然としてそれを見ていると、シャレにならないくらいの喧嘩になっていって…
怖くて逃げた。酒場から、そしてこの街から…
まだまだ子供だった私はどうしていいかわからず、もう誰の目にも留まらない地まで逃げるようにどこか遠くへと行った…
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