飲み物をくれ、氷の入った水を
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(そしてさらに数日後)
(北のマフィア組織との提携の話もまとまり、オウルファミリーはこの町を去っていった)
(それぞれが、それぞれのタイミングで カナリアとスパローは先に発った 黒服達も全て)
(最後に、店の鍵を閉めたのは、イーグルだった)
……(看板を外した店を見上げて、たたずむ)
もしも……
--
2013-02-05 (火) 12:32:49
もしも、俺がオウル様に拾われなかったら、きっと俺は今の俺にはなってないのだろう。
オウル様に拾われ、俺は表情を捨てて、鋼鉄の仮面と手足を以って、オウル様のためだけに戦い、生きてきた。
そうしているうちにいつの間にか、いくつもの出会いがあり、捨てたはずの表情が戻ってきて、愛する者もできた。
それが本当に正しい道だったのかどうかはわからない……もしかしたらオウル様に拾われなければ、表でまた違った幸せを掴んでいたのかもしれない。
だが、きっと全てが「なるべくしてなった」、そういうものなのだろう。
たとえどこまで時を遡ろうとも、そのときに生きていた俺達が俺達であるかぎり、なるべくしてこうなっていくのだろう。
オウル様は亡くなられ、俺達はたくさんのものを受け継ぎ、たくさんの自分達のものを作っていく。
――生まれ行く新しい命に「もしも」などない。裏社会の子として生まれて、裏社会で生きていくのか、それとも表へ飛び出そうとしていくのか。
それもきっと、なるべくしてなっていくものなのだろう。どれだけ後悔したとしても、それでも、なるべくしてなったものなのだと――
そう受け入れ、生きて往かなくてはならない。諦めではなく、受け入れるようにして、生きよう。
--
2013-02-05 (火) 12:44:19
人は生きて、物語を紡ぎ、死んでいく。それは終わりではない。物語は、語られるものだ。
悪として生きた、あの御方の物語は、決して忘れない。そして、俺は俺の物語を紡ぎだしていこう。模倣するのではなく、学んだ上で、自分の道を歩こう。
オウル様――
(空を見上げた 夜明け前の月が、やさしく光っている)
--
2013-02-05 (火) 12:50:14
貴方がそうしたから、俺達はこうなった。
――ありがとう、ございました。
俺達もまた、生きることで、なるべくして、なっていきます。
貴方がそうであったように。生きてゆきます。
--
2013-02-05 (火) 12:53:26
(荷物の入ったアタッシュケースを持ち、虚空へ向かって語る)
ヒメ。お前はいつまでこの世界にいるのだろうかな。分からないが、きっとお前にしか見えない世界があるのだろう。
俺達はきっとお前からしたら矢継ぎ早に死んでいく。それでいい。俺達は死ぬことで次に何かを受け継ぎ、受け継いだ者が新たな意味を見出していく。
お前は死なずに、何をどうしていく?死が遠い者は、いったいどこを目指して歩いていく?
俺達にはきっと分からない。お前にも、俺達のような早死にする生き物は理解できないのだろう。
だから……好きに生きてくれ。そして、願わくば、ほんの数秒でも長く、オウルファミリーと過ごした僅かな時間を覚えていてくれ。
--
2013-02-05 (火) 13:00:19
(そして、隣のまだ閉まっているパン屋を見ながら、語る)
パルフェ。お前はこれから、日の出とともに飛ぶ鳥となるのだな。
居心地のいい、隠れるための場所の多い、闇夜を抜け出して、刺さるような光の下を飛ぶのだろう。
お前が闇夜で犯し続けた罪は傷となって、光が刺さるたびに痛むのだろう。きっとそれは、永遠に治癒することのない傷だ。
それでも、青空を飛び続けろ。そうなるべくして、そうなったのだから。
いつか地獄に墜ちる運命だとしても、天に愛された者のように、光の空を飛んでゆけ。
--
2013-02-05 (火) 13:07:11
――俺達は、俺達として生きよう。なるべくしてなった運命を受け入れ、新たな運命を切り開いていこう。
この夜空を、飛んでいこう。星月夜の中を――
(赤い羽根が、店の前の路地に舞い、散る)
(そこにはもう誰もいなかった)
(夜闇の鳥たちは、飛び立っていった)
--
2013-02-05 (火) 13:11:18
…そんなこと、あたしにだってわかるもんか
(屋根の上に腰掛けて最後の巣立ちを見送りながら頬杖をとくと足元の窓を見て)
(始めてこの窓を覗いた日から、あの部屋に入り込んだ日からどれほどの歳月が流れただろうか)
(争ったり、語らったり、笑ったり、最後にまた争ったり…もともとそんなつもりも予定もなかった日々。
(正直随分巧い具合にハッタリが回ったと思う。 もっとも最後には暴かれて終わったけれど)
(長い年月が過ぎた気もする、一方でほんの一年程度も経っていない気もする)
どっちにしろこれからは思い出の話だね? その願い、確かにうけとったよ アイン。 --
ヒメ
?
2013-02-05 (火) 21:54:11
(埃だらけになったパン屋の扉を開け、早朝の太陽の光を浴び、まぶしさに目を細める)
(朝の澄んだ空気を吸い込み、小さく息を吐いた。普段なら既に仕込みを始めている筈の隣の洋食屋に人気は無い)
(扉の前に落ちていた赤い羽根を拾い上げ、今はもう見える筈もないその姿を通りの向こうに見る)
……行って、しまったんですね(手にした赤い羽根を握り締め、人気のなくなった洋食屋を見る)
……あなた方と過ごした日々は。羽を休めた暖かい止まり木での日々は。忘れません
貴方達はまた…生きていくのでしょう。私たちの知らない所で。……私もまた、生きていきます。あなた方の居ない…この街で
(静かに呟くその顔に陰りは無い。爽やかな笑顔。人通りのない通りの奥に向け、深々と頭を下げた)
(胸に去来する様々な思いを口にすることも無く、パン屋の中へと戻ろうと扉を開く)
(かちゃり、と音を立てて扉を開いて立ち止まる。静かに振り返り―)
―ありがとう…ございました。いつか…また --
パルフェ
2013-02-11 (月) 18:29:51
―――イーグルがアタッシュケースを開けたとき、まず記憶にない荷物に気がつくだろう
「うん?」と手に取ってみれば何かの本だと判るが 馴染みのない言語で記されていて題名さえ読めない。
一緒に紙が挟まっていて、こう書いてあった。 すぐに渡し主も理解しただろう
「ハロー ハロー? 私から君に贈る 小さなプレゼントさ
いつか君たちがコレを、今はまだ見ぬ君たちの大切な人物に、読んで聞かせてやって。
遠い異国の言語だけど翻訳は比較的容易だから、自力で解読して欲しい
…ってそれじゃあ冷たいから題名だけおしえておくよ 読む気になってくれるといいな?」
表紙は 雪野原で手を繋ぐ父と子の絵。 バックの夜月がとても印象的な綺麗な絵
その絵本のタイトルは――『OWL MOON』
ハロー ハロー? 私から君に贈る さいごのプレゼントさ
(誰もいなくなった路地を見やり、すくと立ち上がって。「さようなら」ではなく、あえて)
またね。 --
ヒメ
2013-02-05 (火) 21:56:08
--
2013-02-05 (火) 12:26:07
--
2013-02-05 (火) 12:26:03
--
2013-02-05 (火) 12:25:58
(――あれから、数日)
(オウルの葬儀はファミリー内で行われ、埋葬された)
(店は休業となり、黒服達にも休暇が与えられた 最も――休暇ではなく、脱退をしていった者も多かった)
(レイヴンも生きていた頃、あの全盛期に比べて実に1/7の団員数 それがオウルファミリーの現状だった)
(……静まり返った店内で、会議が行われようとしていた 当初幹部会議の予定だったが、結局5人の幹部と、黒服全12名ほどを交えた全体会議になった)
(理由は、幹部とのいがみ合いはこの数日で幾度と無くあったからだ)
(カナリアとイーグルに、テリアに、スパローに、責任を追及する黒服も多かった そのたびにピジョンが必死でなだめたが、失望や悲しみとともに黒服達が次々と去っていった)
(つまり――今いる黒服達は、オウルの判断を受け入れ、責を問わず、それでもファミリーに付き従おうと決心した者たちだけだった だから会議の結果がどうあれ、彼らは従うだろうと判断したためだ)
(主席にあたる場所には、オウルのサングラスだけが置いてある 席そのものは空席だ そのとなりのイーグルが口を開いた)
……ではこれから、今後の方針について話し合う会議を始める。皆、よろしく頼む。
(イーグルはサングラスをかけていない もはや隠す表情も無ければ、出せない感情もないのだから)
--
2012-12-03 (月) 22:36:12
(事の発端とも言えるカナリアは、あの後目覚めてから顛末を聞き「そうなんだ、それを選んだんだね」と、何もかも悟ったような表情で言った)
(その表情にはどこか亡きレイヴンのような達観したものがあった 怨術を通して、死生観や人間に対する見方が代わっていったのかもしれない)
(イーグルの隣で、目を伏せて黙っていた それでもやはり、最期に父と呼んだオウルの死はあまりにも深い悲しみだった)
(いつも口やかましいスパローも、この数日で乗り越える事も多かったのだろう その表情には影が濃くなり、幹部として黒服達を支える立派な姿になっていた)
(この町の周囲への根回しも彼が行った オウルの死を隠蔽し、大きな仕事があるのでしばしその業務のみに集中したいと、御得意様には伝えていた)
(そしてスパローの隣には、テリアとピジョンが座っていた 彼女らも幹部として、発言権がある 黒服達は、机に向けて姿勢正しく整列して立っていた)
--
2012-12-03 (月) 22:50:34
まるで風前の灯だねえ?
(イーグルの宣言に対する挨拶代わりに口を開き、(見渡すだけでしっかり確認できる総勢を一通り眺めてから)
ま、あたしが引き金引いたんだけどさ?君らも、よく残ったね。タイミング逃したの?(黒服、もとい、ある意味元同僚たちに軽口。さすがに自重気味に)
(スパローの工作はそう長くは持たない。 クライアント以上に敵も多いから
いずれ”休暇のまま”の連中がその内吐かされる目に逢うはずだろう。 もしくは、ないと彼らを信じるが、この現状この情報は、さぞかし高く売れるだろう
―現状に対するヒメの状況分析である。 「あちしが敵ならもう掴んじゃってるね?」そうも報告には付け加えている)
--
ヒメ
?
2012-12-04 (火) 02:07:30
……風前の灯、というのもあながち間違ってはいないかもしれません(と、テリアの言葉に付け加えるように呟く)
あくまで片手間ではありますが、周囲の主だった敵対組織への諜報活動を行った結果、既に皆、我々が「大きな仕事に集中している」というブラフに薄々感づいています
未だ本格的に此方の腹を探りに来てはいませんが…時間の問題でしょう(目を伏せる。ヒメが危惧しているように、抜けて行った黒服達が吐いてしまえば隠ぺいなど無意味だ)
……早急に、手を打つ必要があるかと。オウル様の死を公にするかどうかは…別にしても --
ピジョン
2012-12-11 (火) 23:01:38
そうだな、まさにその通りだ。このままいけば、オウルファミリーは壊滅するのみだろう。
テリアならば生き残れるかもしれんが、我々は所詮は人間の少し優れた程度の者の集まり。だからこそ群れていた……
もはや崩壊は避けられない。であれば――選択肢は少ない。
このまま滅び逝くか。その前に組織を解散してしまうか。それか、遠くに逃げてでも組織を維持させるか、だ。
……他の幹部の意見を聞こう。まずは、テリア、ピジョンの順でだ。
--
2012-12-12 (水) 02:38:44
え〜?取るにたらないから放って置いたけど連中まーだのろくさ腹探りの手もまごついてんだ? もう動いてるかなーと思えば ばっかだなー
(ケラケラと危機感のかけらもなく笑い)逆にチャンスなんじゃないのかにゃー?
いっそあちしだけで…まあいっか
色々言うことあるけどあたしはさ、イーグル君。もうちょっと欲を持っていいと思うよ?
どっちも癪に障る選択肢じゃないか? まるでオウル氏が居ないだけで何もできなくなったみたいだ?
解散するにしてもとんずらこくにしても、親父を見返してからにすればいい
(それは進言でもあり、未練でもある) --
ヒメ
?
2012-12-12 (水) 21:12:01
……私も、テリアさんの意見に賛成です。一番の新参である私が言うのもおかしいかもしれません
……ですが。此処でただ何も出来ないと決めつけて逃げの一手を打つなんて…そんなのは、私が羽を休めると決めた止まり木の有るべき姿じゃない
私は…そんな所で羽を休めたくはない。此処は…貴方達の、いえ。私たちの家では無かったんですか…?
居場所が…テリトリーが荒らされる時、無力な…ただの小鳥であれば逃げるしかないのかもしれない
けれど…貴方達は違う。爪が、嘴が、翼がある。……違いますか
育ててくれた親梟が居なくなったとしても…その爪を。嘴を。翼が無くなるわけじゃない。あなた方の誇りはきっと、まだ―
(参加者全員の顔を見渡して静かに告げる。育てられた組織から逃げ。たどり着いたこの街での暖かな暮らしからも逃げてたどり着いたこの止まり木を失いたくは無かった)
(自分が堕ちるのは此処までだ。此処から這い上がると誓った。他の幹部や黒服達はどうかは知らない)
(けれど、自分にはもう逃げる場所など無かった。であるのならば、今この場所を何としても守り抜かなければならない) --
ピジョン
2012-12-13 (木) 22:51:18
勿論だ。私とてこれで終わるつもりはない。……だが……あまりにも、我々は失いすぎた。
オウル様がいなくなっただけならば、立て直すこともできただろう。だが、オウル様は我々に「喪え」とその身をもって伝えた。
……オウル様だけではない。多くのものを、喪ってしまったのだ。爪は剥がれ、嘴は欠け、羽は千切れる寸前だ。
(ただ一人、人間が死んだだけのこと――それだけならば、こんなにもこの巣が弱まることはなかっただろう)
(喪うことは、学ぶべきことだった 喪ったことで、初めて知ったのだ こんなにもこの巣は、オウルに大きな羽で包まれていた場所だったことを)
(強い喪失感、それは彼らを自棄にさせるには十分だった いなくなった黒服の中にはオウルの後を追った者すらいたのだから)
(それは、イーグルも――)
……私は、我々の力が健在であることを示すために、幹部の総力を以ってして、いくつかの組織を蹂躙しようと考えている。
(イーグルは、力を示し、組織の再躍進を決意していた)
ッ!ナンだってッ!
(声を上げて椅子から身を乗り出したのはスパローだ 当然だ 彼の意見は真逆だった)
無茶だ!そんな危険な策を実行できるワケないのは、さっきオマエが言ったばかりだろ、イーグルッ!!!
もう十分だ……黒服達だってよくやってくれたッ!そんな特攻でブチ壊れていくのをオウル様が望んでるモンかッ!!
(ぶるぶると、手を震わして、しぼりだすような声で)……解散、すべきだ……これ以上命が喪われる前にッ……
逃げ延びることなんかできやしない……それならもう、皆別々の道を歩んだほうが、まだ未来があるッ!!
(スパローは、喪うことで喪う悲しみを痛感した そして、イーグルとは違い喪うことへの恐れを強く抱いた)
(やはりマフィアに安息など無いのだと思ったのだ だから、もはや全員が足を洗うべきだと考えたのだ)
(スパローは、終わる事で皆を守ろうとしていた)
…………
(そして、カナリアは何も言わない 何を考えているのだろうか)
--
2012-12-15 (土) 05:25:18
じいちゃんならなんて言うだろうね? カナちゃん(スパローの意見だって大いに最もだ。ただ―)
君がすでに背負ってる罪は、足を洗ったからって許されるわけじゃない。スパロー君だけじゃなくて全員がそうなんだ。
(表と裏で色んな依頼をされる事もあるヒメだが、当然「この組織」に対する声もないわけじゃない)
ヒメの場合は、あたしの事を”知ってるヤツ”がいれば、まあいるとすれば君たちだな?
みんなが泣き寝入りしてくれるのを期待したい。 でも一生かけて、何を対価にしてでも恨みを晴らそうとするヤツがいれば
残念だけどどうしたって安心できる場所なんてない。 結局逃げ続けながら脅えながら暮らしていくだけだ。「今それを選べば」そうなる。
スパロー君なんて確実にそうなりそーであたしゃーとっても心配だな〜?(スパローの二の腕に手をやって)
そもそもだよ、あの
大ばかたれ
がさ、「負け」しかない選択肢だけ残してくたばるほど無責任かね?(”大ばかたれ”に若干の憎まれ口を込めて イーグルを見ながら)
(「アイツは全部失わされてからここまできたんだよ。 それで生まれた家族に同じ事が出来ないなんて事言わせるもんか」)
(伝わったかどうかは知らないが)
ちなみに、あちしは今が君らのピンチだとは全然思ってない。そーなの? --
ヒメ
?
2012-12-15 (土) 13:29:56
……私は、テリア様のように楽観的にはなれません。私たちが置かれている状況は…客観的に見れば組織の存亡の危機と言えるでしょう
(淡々と告げる。絶大なカリスマによってまとめあげられていた組織が、その頭を喪えば崩壊するのは自明の理。その瀬戸際に来ていることは事実)
……ですが、だからと言ってスパロー様のように、逃げることはしたくありません。イーグル様のように、死に花を咲かせようとも思いません
あの方の羽の下は確かに暖かく、闇の中とはいえ心が安らぐ場所であったことは確かです。…喪って、初めてそのことを私も自覚しました
ですが……ですが、親鳥が居なくなったからそこで終わりだなんて。そんなことをオウル様が望んでいるとは思えないのです
他にも。…まだ何か手はあると。私はそう思います --
ピジョン
2012-12-27 (木) 23:22:32
ぬっ……グ……(ぐうの音も出ないのがスパローだった 自分はどうなってもいい覚悟はあるが、部下が幸せになるとは確かに限らない)
で、でも、実質、組織の力はゼンゼン……無くなっちまったンだゾッ……!
(イーグルはテリアの目を見て、少しうなずき)ピジョンも、スパローも甘い考えだ。窮地などではない。我々はいくらでもやり直せる。
だからこそ今、その力を示すときだ。我々幹部の全力を尽くせば、出来ぬことではないはずだ!
だから今こそ――
パァンッ
(――平手が、イーグルの頬を貫いた カナリアが、今まで見たことも無いような強い瞳でイーグルを見下ろしていた)
テリアちゃんの言いたいことを分かってないよ、イーグル。スパローも、足を洗えるなんて、甘い考え。
でもテリアちゃんは泥にまみれたオウル様のことを分かってない。貴方はあの人ほど泥にまみれたことなんて無いもの。
ピジョンちゃんの意見が一番近いけど、悩んでも答えになってない。皆いったい、オウル様が何を受け継がせたかったと思ってるの?
(それはとても凛とした声だった、薬に頭を任せる少女だった面影は無い もしオウルがいたならば、その姿を「月」にだぶらせただろう)
誇り?(イーグルを睨んで)違う。
平和?(スパローを睨んで)違う。
勝利?(テリアを睨んで)違う。
思考?(ピジョンを睨んで)違う。
全部あってるけど、全部違う!!オウル様はそんなもの今まで一度だって求めたことは無かった!
(ごう、ごうとカナリアを旋風が包むように、黒い魂の奔流が飛び交った それはレイヴンが遺した「怨術」)
「もうじゃ」はいつだって、闇の中。裏社会の中ですら覗き込めない、暗闇の奥底。私たちはどんな道を歩んでもいつか「もうじゃ」になる。
今闘っても、逃げても、楽観しても、苦悩しても、待っているのは死だけ。人が死ぬとき、最後に託すのはその「意思」。
……オウル様は、ただ必死に「生きた」。……生きたから、私たちがここにいる。「もうじゃ」だったなら、私たちはここにいなかった。
ムーン・オウルがダート・オウルに求めたのは、ただそれだけ。生きることで、誇り、守り、笑い、迷った。
(ドン、と机を叩き、声を張った)
生きるためだけに生きなきゃ、オウル様の意思を受け継ぐことなんかできない!
自棄になって命を散らす危険なんかオウル様は犯さなかった!
逃げて怯えて死を待つことなんかオウル様はしなかった!
苦境なんて跳ね除けられるなんて楽観視はしなかった!
これからどうすればいいかなんて迷ったりしなかった!
私たちは生きなきゃならない!かつてオウル様が全てを奪った裏社会に媚びへつらってでも生きたように!
オウル様が何もかもに耐えて生きたからこそ、受け継ぐべきものを生み出していった!
ただ必死に、生きる道だけを歩かなきゃ、私たちはオウル様の意志を次に受け継いでいくことは出来ない!
「巣」のために生きるんじゃない!「生きる」ために巣を存続させる!たとえどこかの組織に下って、別の組織の部下になってでも!
親鳥はもういない!私たちは「わらべ」じゃなくなった!!自分の意思で!!生きなきゃならないの!!!
(腹の底から、店内に響き渡る強い意志の表明 それはいつ死んでもおかしくないマフィアだからこそ、マフィアとして生き続けなければならない)
(たとえ泥を纏ってでも――命短い人間だからこそ、必死に生きる そうすることで、人は意味を持つ)
(オウルの人生は、それを体現していたのだと、カナリアは理解し、受け継いだのだ 月から、梟へと、その子らへと――)
--
2012-12-28 (金) 00:08:10
(今いるのは、まどろみの中で成長し長い長い時間をかけてやっと抜け出した本来の「ナターリア」なのか。 それともカナリアの力が呼び込んだ「彼女」なのか)
ふぅん…なるほどねえ 考えて見れば言いそうそれ。 奥さん死ぬほど大好きだったもんなぁ
(妙に納得できた。同時にカナリアの言葉は少し 心に刺さった。)
オウル氏の遺した物はオウル氏のもんだ。 貰ったわけじゃない。 うちらが勝手に後生大事に守ろうとするのはおこがましいってわけだ
にはは…怒られちったじゃないか?(一本獲られた そんな顔でイーグル、スパリー、ピジョン、黒服たちに笑って)
オウル氏にも言われたっけ。長生き出来てしまってるとよくないね
(彼らとヒメの中にある生きるという感覚、時間の流れ方は違う。一方からすればそれは確かに楽観に過ぎない)
でもね、「生きろ」なんて願いはさ、ともすれば呪いと同じだってのに? 夫婦揃ってなんて自分勝手なんだろーな
そんな勝手な奴おいてやる場所なんてここにはないし(と、主席のサングラスを取り上げて、そこはただの空席となった。)
それで、どうやって生きていく? 少なくとも彼は君たちに破滅してもらうために失う事を教えたんじゃないことは判ってる。「負け」ってのはそういう意味だ。 そうなってもらうとあたしも困るんだよね、かなり --
ヒメ
?
2012-12-29 (土) 12:37:31
(カナリアの言葉に口を噤み、俯いて。しかしその言葉はしっかりと胸に届いた)
(オウルが、親鳥が伝えたかったものは一体なんだったのか。その答えをしっかりと、己の中で噛みしめる)
……ただ、生きる。巣の為に生きるのではなく…生きるために、巣を存続させる…
……ただ、生きるだけなら。私たちはかつてのオウル様程追い込まれているわけではないのでは…ないでしょうか
構成員は減ってしまったのは確かです。…けれど…まだ全員が居なくなったわけじゃない
生きるだけなら…それこそ、オウル様がしたように、泥を啜ってでも生きようと全員が思えるのなら、幾らでもやりようはある筈です
前に進むだけなら…一歩、足を踏み出すだけでいい。オウル様を喪っても尚、この店の看板を誇り高く掲げていけばいい
たとえ周囲からどのような目を向けられようと…私は……この看板を抱えて「生きて」いたいと。そう思います
組織の規模が小さくなろうと…それでもここは「ダート・オウル」なんですよ。そこで私たちが「生きている」ということは…きっと、何も変わらない筈だから --
ピジョン
2013-01-13 (日) 01:52:16
……(カナリアに頬をはたかれたイーグルは、驚いた表情のあと、噛み締める様に言葉を聴いていた)
(そしてスパローも、半ば聞き入るように呆けた表情で言葉を染みこませていた)
(少しの間ののち、イーグルが口を開いて)
ハハ、ハッハッハッハッハッハッハ!!!
(黒服達が仰天した こんなに大声で笑うイーグルを初めて見たからだ そしてカナリアもまた、こんなにも意志を見せた事は初めてだ)
(皆が、2人の変化に、驚きと――納得を感じていた)
ハハ、ハハハッ……その通りだ、その通りだなカナリア。俺達はオウル様のために生きてきた。そしてオウル様が居なくなったら、今度は俺達が生きなきゃならない。
莫迦な考えを持った。すまなかった、皆。(苦笑しながら、軽く頭を下げた)もはや威信などここには無いのだな……
威信も、地位も、権力も、すべてオウル様のものだった。俺達は何も持っていないただの雛鳥だったんだ。
……ヤレヤレ……(ふう、と息を吐いて背もたれにもたれかかり)悪かった、ワルかったよカナリア。ワタシの考えは甘かったな。
少しでも幸せになるために、だとか、そんな事を考える余裕ナンて無かったナ。ワタシ達は今、生きるコトだけ考えるぐらいしか余裕がナイ。
変に頭働かせなくても良かったンだ。(こちらもサングラスを外し、苦笑してみせた)……生きよう。オウル様から受け継いだ「つもりだった」モンを全部捨てて。
「生きるために」することをシよう。……カナリア。たぶん……ワタシ達の意見は同じだヨな?
……(満足げに笑う)うん。……ねえ、テリア。私達はひとつだけ希望がある。(自分のお腹を触り)ここに、「純血種」がいるの。
このお腹の子は正真正銘の純血の鳥人族。オウル様と同じ、両翼の人間。
(周りが、どよめいた)遺伝子改造で半鳥人だった私とイーグルの、鳥人の血だけがこの子に受け継がれたの。私の能力でそれが分かった。
……正真正銘、これは「オウル様の子孫」なの。……未来がどうなるか分からない。この子がこの組織を受け継ぐのかどうかもわからない。
それでも、受け継いだものはみんなの魂に刻まれていて、形としてもここにある。これが呪いであっても、それを絶やさないために――
「生きよう」
。
ピジョンの言うとおり、オウル様がかつて追い込まれたほどの苦境なんかじゃない。とはいえ、苦境ではある。……スパロー。「あて」は?
……アア、勿論ある。取引先の中にワタシ達をスカウトしたいと熱心に言ってた組織が北の国にある。オウル様が居る頃は勿論断ってたンだが――
今の俺達が生きるには、そこと同盟を組んで、少しずつ力をつけていくのがいいだろうな。……カナリア。
(テリアの取り上げたサングラスをひょい、とつまみあげて、カナリアに投げ渡す)
……ハハハハッ。意外と似合うナ、カナリア。(スパローが笑った)
(梟のサングラスをかけて、にた、とカナリアが笑った)フフッ。他所様の「巣」に間借りさせてもらって、中からそっくりいただく。長い時間をかけて……ね。
なんとも、私達らしいじゃない、フフフッ!(そうだ、この笑顔だ 生きるための「欲望」に満ちた笑顔 最も空っぽだったカナリアは、ほかの誰よりも全てを受け継いでいたのだ)
(イーグルとスパローはそれを理解したのだ)その案で、異論はある?テリア、ピジョン。(笑いかける 少しも似てないけど、とても良く似た笑顔で)
--
2013-01-15 (火) 14:33:18
まったく、赤んぼってのは生まれるまでのお楽しみにしとくもんで…
あっ
(盗られたサングラスの行方を追う視線の先で、新たな持ち主の笑顔をみれば)
…にはは。 ちいともマフィアっぽくねーなあ (いつだったか言われた言葉。 )
ふぅっ… (少し悔しい気がした。 でもまあいいか そんな顔で手を頭の後ろに組んで椅子に持たれかかり) 思うようにしたらいいよ。 おもりはもう疲れたっ
(その言葉は別に彼らを貶したわけではなく、彼らの決意を祝う最初の言葉、――同時に…)
「DIRT OWL」をM&Aしようなんてこしゃくな話だけど、せいぜい高く売り付けてやりな?
北の国はココ以上に難儀なエリアだよ。 でもこの街にも出身者は多いし 「ミハイロフ」のお膝元の近所でもある
"冒険者だった顔"を使えば、君らの援護者は多いかもしれない。 隠れ蓑には最適かもね
うっかり、あたしの敵に回らないようにきをつけな〜?(にひーんといやらしい笑みで) --
ヒメ
?
2013-01-15 (火) 20:15:28
…異論、ありません。それが一番…「私たち」らしい決断だと思います
(カナリアの笑顔に此方も表情が緩む。前途が多難なことに変わりは無いが、消えゆくことへの不安など無い)
…私たちは、終わらない。これからも…生きていけばいい。その手段が「私たちらしい」のであれば、それこそ喜ぶべきことですから
(落ち着いた声のトーン。外していたサングラスをかけ直し)…さて。そうと決まれば忙しくなりそうですね。仕込みのために色々と跳び回る必要がありそうです --
ピジョン
2013-01-17 (木) 23:01:06
……テリア。ううん、ヒメちゃん。(仕方ないな、という笑顔で、ヒメを見つめる)そうだろうね、そうすると思ってた。……ここからは、私達だけで行くよ。
「死なない番犬」なんて、頼りすぎちゃったら……私達、生きる実感無くなっちゃいそうだから。頼るものもすがるものもなく、明日死ぬかもしれない、そういう道を……
飛んでいくよ。(カナリアの苦笑は、今まで見たことのないものだった レイヴンや、オウルの笑顔を混ぜ込んだような――少し優しい笑顔)
フ、お前が敵に回っても「敵に回ったかどうかすら分からない」だろう?この組織にいる間だって、お前を探すのには一苦労していた。
気にするだけ無駄だな。お前はお前らしく、好きに生きればいい。(イーグルもまた、自然な笑顔を見せた)
……ヤレヤレ。オマエらにいつも以上に振り回されるコトになりそうだナ。(と、ピジョンの言葉を聴いて)オット。
(つかつかとピジョンの前に立つと、ピジョンのサングラスを取り上げて、ポイ、と投げ捨てた)「私たちらしい」とは言ったモノじゃあナイか、ハハハーッ!!
……それは間違いダロ?ワタシ達はマフィアしか出来ない夜の鳥だ、そりゃあワタシ達らしいさ。でもオマエは……
「パンを焼くこと」が「パルフェらしい」コト、だろ?
(笑いかけて)オマエは隠密ばっかりだから裏にあまり顔も知られてない。どうせ誰も知らないんだシ、隣に空き店舗があるから、好きにパン屋でもやればイイんじゃあナイか?
……オマエみたいに悪事をやるたび苦い顔をしてる奴がいると、先方にもご迷惑だしナ。ハハハハーッ!!!
--
2013-01-18 (金) 00:12:29
本当、君らかわってるよなぁ やっぱさ、おやじ含めてマフィアに向いてないんじゃないの?(ケラケラ笑いながらパルフェを見やり)
気が変わんないうちに決めたほうがいいよ〜?
この「綺麗なスパロー」は不良品だから日持ちしないんだ --
ヒメ
?
2013-01-18 (金) 00:56:58
スパロー様、それは―(言いかけた言葉を飲み込んだ。彼らは決して自分が足手まといだからおいて行こうと思っているわけではないのだ)
(ただ純粋に、出自の異なる自分を。未だに陽の当たる道に焦がれる自分を思っての言葉)
………テリア、さん……(楽しげに笑うテリアに視線をやり、順々に幹部へと視線を映していく)
(皆一様に笑顔だ。邪な想いなどありはしない。ただ、「パルフェ」としての自分の存在を許してくれている)
……ありがとう、ございます……っ…
(震える声でそれだけ言って、両手で顔を覆った。零れる涙が掌を、袖を、床を濡らしていく)
(此処に居る皆はこれからも生きていく。自分もまた同じ。生きていく。その道が此処で分かれているのだ)
(その事実がどうしようもなく胸を締め付ける。一時の羽休めのための場所だった筈なのに)
(気付けばここは。ダート・オウルはどうしようもなく、自分の家になっていて。此処の仲間たちはどうしようもなく、自分の家族になっていたのだ)
……っく、ぅ、……すいま、せん……みっとも、なくて…
(思えば涙を流したのなど何時振りだろうか。裏の世界に生きる者として押し殺していた筈の感情があふれ出して止まらない) --
ピジョン
2013-01-18 (金) 22:55:50
(くしゃ、くしゃと髪を撫でる)テリ……いや、ヒメか。ウルサイんだヨ!ワタシはどうしようもない悪人だし変人だけど、友情ぐらい持ったってイイだロ?
ワタシは……いや、皆おんなじダ。オマエに皆感謝してる。……うまいパンが食えたことや、お前に相談に乗ってもらったこと、感謝してるンだヨ。
借金分はもう十分に働いてくれた。返す分はここの資産から必要なだけ持ってけ。……ワタシは経理も担当してたンだゾ?そのぐらい減ってもゼーンゼン問題ないンだヨ。
……泣くなヨォ。ワタシは虐めて泣かれるのには慣れてるンだけどナァ……(苦笑しながら、くしゃくしゃと髪をなで続ける)
「いいんスよ、ピジョンさん……じゃねーや、パルフェさん。泣いても。」「俺ら、すっげー楽しかったッスから。」「会えなくなるのは寂しいけどなあ。」
「スパロー様!俺も残ってパルフェさんと二人三脚で店を
タコス!
」「てめっふざけんな!」「てめえは道連れだバカヤロー!」
(皆がみんな、パルフェのことは大好きだった きっと一番、レイヴン亡き後から、彼らの心を癒してくれていたのは彼女の包むような笑顔 焼きたてのパンの匂いのような、暖かい笑顔)
……オウル様は「殺し」の仕事はオマエにさせなかっただろ?向いてないってのもあるンだろうケド……きっと、「表」に出たときに極力恨みを引っ張らないようにするためダ。
オマエは日の下に出るためにここに入ったンだ。……オウル様は、そのための仕事をちゃんと用意しててくれたンだヨ。だから、ワタシ達がそれを無碍にしちゃダメだロ?
(パルフェのサングラスをパキ、と足で踏み割って)悪党は悪党のお面としてサングラスをかけて、人間らしさを隠す。……オマエにはもういらないからナ。
……スパローもずいぶん、変わったものだ。いや……(周囲を見て)変わらなかった人間などいないのかもしれないな。
この町に来てから……色々な出会いがあって。俺も、カナリアも、スパローも、黒服達も……オウル様も、変わられたのだろうな。
俺達はただの「悪党」だった。人間らしい心なんて捨てて、悪党をやっていた。……でも違うんだな。人間らしく……悪党をするようになったんだ。
ヒメ。パルフェ。(笑って見せて)お前らのおかげだよ。
……そうそう、ヒメ。お前には渡すものがあるんだ。
--
2013-01-19 (土)00:41:08
パルフェちゃん、これで良いんだよ。 借金も枷もなくなって、おつりの退職金付きだよ?
さらに店のスタートメンバーであたしも手伝ってやろうか、客の財布の紐解かすのは得意だよ?巧過ぎて怒られた。な?(イーグルを見て)
きみ、緩い顔が随分うまくなったね? 人間らしい悪党っていみわかんないけど。 で、このMVPのあちしにくれるものとはよっぽどいいものなんだろうね?
…なんじゃこれ?(差し出されたそれを指で摘んで) --
ヒメ
?
2013-01-19 (土) 02:37:36
ありが、とう…ございます……っ…(ぐしぐしと袖で涙を拭うも、ぽろぽろと零れる雫は止まらない)
(それでも、精いっぱいの笑顔を作る。もうどこか影のある笑顔ではない。ただ純粋に、人のためにパンを焼いていた頃の笑顔)
私は……本当に、幸せものです……。こんな、こんな素敵な家族に……恵まれて…!
(嗚咽交じりの震える声であふれる気持ちを口にする。言葉では伝えきれない感謝の気持ちをどう表せばいいのか分からない)
(けれど、今ここで泣いているばかりではいけないと思った。だから、精いっぱいの笑顔で応えよう)
…本当に…ありがとうございました……! --
ピジョン
2013-01-22 (火) 23:59:35
これは――ヒメは勿論、パルフェ、お前にも……いや、ここにいる全員が見るべきものだ。
(そう言って見せたのは――若きダート・オウル……いや、ディーン・オウルだった頃の……家族の写真だった)
(オウルの傍に寄り添うように、白髪の女性と少女が笑っている ……オウル自身も笑っている、とてもとても……古い写真)
オウル様は老齢だったから、自分の死んだ後のことはある程度は私やカナリアに話していた。パルフェを解放してやることや、資産の分配の事を。
その1つがこの写真だ。……これは、「これを持っているべき奴は、テリアだ」と仰っていたものだ。ヒメは覚えてるか?
レイヴンが常に怨術でヒメにも進入できない部屋を作っていた事を。いつぞやは逆にそこに誘い込んで小競り合いをしたこともあったな。
あの部屋は元々、オウル様が本当に一人で集中したい時に、絶対に誰も入れないようにと作られた書斎なんだ。レイヴンが亡き後はカナリアが影を張っていた。
……そこにあったものだ。何でも見えるお前が見せて欲しいと時折ねだっていた、「ディーン・オウル」「ムーン・オウル」「ソニア・オウル」の……写真だ。
きっと、俺達はオウル様の過去を受け継ぐな、ということなんだろう。限りある人生、自分の未来だけを持っていけと。今なら……そう思えるな。
だからこそ、お前に託そうと思ったんだろう。オウル様達が生きた「証」を。お前はきっと忘れないだろうから、と。
(その写真をす、と手に取ったのはカナリアだった)ヒメちゃんに渡す前に……みんな。
今から、この写真に残った思念を……聞かせるから。これが、オウル様……その姿を、感じ取って。そして、その気持ちを受け継いで。
オウル様がどうしてムーン様から「ただ、生きて」と言ったのか。それを……聞いて、感じて。
(そう言って写真から手を離すと、カナリアの周囲に黒い霧がふわりと噴出し、写真が中空に浮かぶ そして――声が 聞こえた)
――ほら、ディーン!そんなに嫌そうな顔しないでよ!
――いや、だってなあ……写真屋に来るようなタマじゃねえぜ俺は。家族写真なんて……
――パパ、はずかしいの?ソニアはへいきだよ、おしゃしんとるときはねえ、ぴしって、きおつけ!するの!えらい?
――は、恥ずか……ああ、うんうん、えらいえらい。分かった、分かったよ。撮ればいいんだろ?
――ソニアが言うと言う事聞くんだから、ディーンは。……あ、こら。コレもダメ!
――うるせえなあ……あ、おい!勝手に取るなよ!俺のトレードマークだろうが!
――だーめ。写真撮る時くらい、サングラスは取りなさい。あ、ほら、写真撮るって!笑って!ほら!にっこり!
――えっ、あ、わ、笑えって……こ、こうか?
――パパ、へんなかおー。
――そうだね、変な顔だねーパパってば♪
――は、はは……もう金輪際写真なんか撮らないからな!ったくよう……
(カナリアも、イーグルも、スパローも、黙って聞いていた カナリアは聞きながらぽろぽろと涙を流し、イーグルは目を閉じて、スパローはぐしゃぐしゃになった顔を擦っていた)
(黒服達も、殆どが泣きながら聞いていた オウルが何を得て、何を喪ったのか――「生きて」という願いの意味を、感じ取りながら)
--
2013-01-25 (金) 17:48:33
あぁそれかぁ。確かに言…
あっまた!?
(摘んだ写真は見る前に取り上げられ)
これからの君らにはひつよーないものだぞ?「過去を受け継ぐな」って言うなら君らは見ちゃダメだろーに?
(言うものの、内心よっぽど気になってたんだろう。 それならとやかく言えた身分ではないので彼女らの“命令違反”は軽口程度で不問にしてやった)
(写真に焼き付いた記憶――それは実際にそこに映った物ではなく、その場の全員に等しく伝わった『イメージ』。)
(他の皆がどう感じたかは判らないが、それはみてみればなんでもないような あたりまえの なんて他愛のない一幕だろう。 )
(そんな実に人並みな場面を、指で眼鏡を整えて静かに見つめた)
―捲れるページは もう残り少ない―
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ヒメ
2013-01-25 (金) 19:53:40
(流れ込んでくるイメージはごく普通の家族の。何の変哲もない幸せの記憶の一ページ)
(穏やかな時間を切り取った一枚の写真から伝わる暖かな思いに、胸が熱くなる)
……オウル、さま……
(他の黒服達と比べて、自分は彼の生い立ちを詳しく知っているわけではない。それでも、写真から伝わるイメージに、視界が再び滲んでいくのを抑えることは出来なかった)
(ぐ、と拳を握って胸に抱き、言葉少なに鼻を啜るだけだった) --
ピジョン
2013-02-03 (日) 23:13:57
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2012-12-03 (月) 22:25:52
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2012-12-03 (月) 22:25:47
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2012-12-03 (月) 22:25:42
Last-modified: 2013-02-28 Thu 03:10:19 JST (4272d)