農業道に二つ無し
- (僅かに欠けた月が浮かぶ夜、月明かりに照らされて少女が姿を現す)
こんばんは… 私はエリュクシア・ルーナ・リュミエールと申します あの…私の方へこちらの物が飛んできていまして……(紙袋に入っているのは下着だ) もし違いましたら…申し訳ありません…… -- エリュクシア?
- おお、これはこれは……な、何、また飛んでいったのか……
これは申し訳ない。これは確かに私のものである……お恥ずかしい。(紙袋を受け取って) どうにも止め方が悪いようで……初めまして、本官は武下秀貞、帝國軍人であります!(敬礼して) -- 秀貞
- 合っていましたか…よかったです。 次は飛ばされないといいですね(にこり)
軍人様…ですか、軍隊とはどのようなところですか? 私は軍隊を訪ねたことはないので、よろしければ教えていただきたいです -- エリュクシア?
- ええ、まことにその通り……気をつけねばならぬ。
軍隊とは本官が所属している、帝国陸軍のことである。兵隊の組織であるといえばわかるだろうか、 戦争や事変などが起こったときに国を護るために出動するものであるのだ。戦う為の組織であるともいえるのだ。 -- 秀貞
- よーっす、誰かいるかー?オレんトコにこれ、跳んできたんだけどさ、もしかしてこの家のじゃねーかと思って持ってきたんだけど(褌っぽいのをぶら下げて) -- マオウ
- む……おお、これは忝い。まさしく本館のものである。お恥ずかしいものを飛ばしてしまいましたな。
(直立不動の体勢で謝る農業軍人。農作業中だったらしい) -- 秀貞
- いいっていいって気にすんな!困ったときはお互い様…って、今使うような言葉じゃねーか、まぁあえて言うなら風に飛ばされないようしっかり結んどけよな!
それにしても……真面目に農業やってるヤツってこの町に来てから初めて見たかもなー -- アオウ
- はは、まさしくその通り。きちんと管理しておかねばいかんな。
……! 如何にも! 本官は日本帝国のため、食糧増産という重要な任務についているのだ! そもそも日本帝国は古来より農耕より成った国であり、邇邇芸命が天照大御神から受け取ったものは稲穂であるのだ! 我々日本人は国を瑞穂国とするために今日子の日まで、一天万乗の大君をいただきて、努力奮闘してきたのである! しかし、現代の政府や軍は農業を甘く見ている! 戦に勝つために必要な第一のものは食糧でないか! 何故軽く見るのか! 農業を侮る国は滅ぶのだ、このままでは日本は日本たる栄光を失うこととなる! (かなり熱くなったようで色々と演説めいたものを言っていたが) ……! す、すまない。本官は農業については全身全霊を以って望んでいるのでな…… -- 秀貞
- ああ、うん、べ、別に気にしてねーから……なんか圧倒されちまったし、でもま食べ物を大事にすることは良いことだと思うぜ!
食い物は大量生産大量消費だからなー、その日本って国じゃ物量に対抗すんのに限界があるのさ(難しい顔で) -- マオウ
- 私は理解のない上司により左遷させられてしまったのだ。だが、日本民族の真髄は農業にある。何とか説得せねばなるまい。軍人も農業を行うべきなのだ。
我が国は大国との超緊張状態――おそらく戦争になるだろう――である。貴女のいうとおり、某国の農地は広く、資源も豊かである……現代の総力戦の戦争では、我が国は不利だ。 だからこそ、食糧を増産し、来るべき時に備えるべきなのだ! -- 秀貞
- 農業にもうちっと見返りがあればなー、今じゃ専業農家なんてごくごく一部だし……というか、食糧増産の前に戦いを回避すべきじゃないのか、って思ったけど
まぁきっとその辺も色々理由があるんだろうさ、ん、作業の邪魔をしちまったな!そんじゃそれ確かに返したからなー! -- マオウ
- 最早開戦の熱気は止められぬのだ……軍も大衆も開戦の一筋であるのだ。
戦争となれば若者は出征し、農村は疲弊する。避けねばならぬことだが…… うむ、今回は忝い。貴女も農業に励むよう望んでいる! -- 秀貞
- この国のことも何となくわかってきた。今日は少し此処の住民と交流をしてみるとするか…… -- 秀貞
- ケイタさん! --
- はて、ケイタとは一体何者か。本官にはわかりかねますな。(軍服姿の男が大使館より出でて、言った) -- 秀貞
|