ラーラの名簿へ

  • 黄金暦166年 9月 -- 2010-09-08 (水) 20:21:08
    • (屋敷の裏庭、黒いワンピース、黒いコートを羽織って青い花を見ている。そばには大きいトランク) -- ラーラ 2010-09-08 (水) 21:55:20
      • (そこへ男が現れる。似たような黒ずくめの格好に、荷物を背負った姿。違うのは、依頼から戻ってすぐらしい事だった)
        (相当慌てていたようで、上がった息を整えながら彼女の後方から歩み寄ってくる。メイド服でもなければ、仕事で着飾った姿でもなく、一瞬躊躇って)……ラーラ……? -- バルカ 2010-09-08 (水) 22:06:25
      • あ…おかえりなさい。私…もうここにはいられなくなってしまったから…どこか遠くへ行こうと思って…
        (声に振り向くと、目を細める。その顔はいつもより真っ白で血の気がない)もう、”お仕事”ができなくなってしまったから…用済みになっちゃった。
        早く行かないと、私が死んでないことに気づいた彼らがまた来るかもしれないのに…駄目ね、ひとめ会いたかったのかしら…ここから動けなくなっていた。
        (だんだんかすれる声、立つ足も少し震えている。真っ白な指を彼の頬に伸ばした)
        (青い花が揺れる。花の香りに混じって血の匂い。彼女から)
        -- ラーラ 2010-09-08 (水) 22:19:39
      • ああ……只今。遠く……?(それだけを搾り出すように口にする。「”仕事”」「用済み」「彼らが来る」)
        (それらの単語は、いつか風の噂に聞いた彼女の「もう一つの仕事」を思い出させた)
        (血の香り、蒼白な肌、掠れて行く声。伸ばされた指が頬に届く前に男はその手首を掴む)
        (そのまま、震える彼女の体を力強く引き寄せた)……もういい。その彼らが来る前に此処を離れよう────俺と、一緒に -- バルカ 2010-09-08 (水) 22:27:19
      • (抱きすくめられて、目を閉じる。欲しかった言葉)…でも…でも、きっと逃げられないと思うの。
        一緒に行ったら貴方まで殺されてしまう…(胸に手を添えて、呟く)…それでも、いいの…?
        (血の匂いが一際濃くなり、彼の胸元に濡れた様な感触。彼女の血だ)わた、し…傷の治りが、さっきから遅いの。
        もしかしたら……このまま…私…(死んでしまうかもしれない。声に詰まる)
        (馬車が表に止まる音がした。そしてもう一人のメイドの姿。早く乗るようにと二人を促す)
        (行き先は駅。汽車に乗って逃げるつもりらしかった)
        ……(無言で彼を見上げる。このまま離れることも覚悟して)
        -- ラーラ 2010-09-08 (水) 22:48:02
      • (血に塗れ、濡れていく胸元、命が流れだしていく。己もまた、同じように血に染まり死ぬのだろうか?それでも)……いい、ラーラと一緒なら、それで。
        (見上げてくる菫色の瞳を見つめ返し、静かに頷いた。馬車の音、促されて)
        (傍らのトランクを掴み、薄く笑う)……行こう。最期まで、一緒だ(手を引いて走るのももどかしく、彼女の体を横抱きに抱え上げようとする) -- バルカ 2010-09-08 (水) 23:04:49
      • ごめんなさい…貴方には生きていて欲しいのに…私、本当に駄目ね…こんな、幸せな気持ちになるなんて…
        (謝りながらも腕の中で幸せそうに笑う。白い顔に少し赤みが差すような錯覚)
        (凍えたような心が暖かくなった。死なんていつも覚悟していたつもりなのに、やっぱり怖かったのだと今更思った)
        (でも、もう怖くない。この人がそばにいてくれるのなら…)一緒なら、怖くないわ…何だって…
        (抱き上げられる彼女は驚くほど軽い。血が流れるせいなのか。黒い服の胸元がさらに沈んだ色になっていく。血が広がっているのだ)

        (馬車が走り出す。屋敷のメイドが不安げに二人を見送っていた)
        …汽車に乗ったら、ね、話したいことがあるの…(二人一緒に馬車に揺られながら、彼の膝の上でぽつりぽつりと呟く)
        -- ラーラ 2010-09-08 (水) 23:18:04
      • 謝らなくていい……同じだから(幸せだから、そう言葉を紡いで走っていく。二人分の荷物と彼女自身を抱えて尚、駆けるその身は羽のように軽い)
        (暖かな気持ちは以前よりもずっとはっきりと、胸の中にある。死の間際だとしても、側に居られるなら、それだけで良いとさえ思えた)
        (微笑みを浮かべて)ああ……一緒に、越えていこう、なんだって怖くないのなら。

        (呟きに、ゆっくりと頷く)……俺も伝えたい事がある。もしかしたら……一緒かもしれない -- バルカ 2010-09-08 (水) 23:35:02
      • 貴方も?何かしら…じゃあ、汽車の中でお話に困らないわね…お父様が随分遠くまで切符をくださったから。道は長いの…。
        (そんな彼の顔を見つめていると馬車が止まった。駅に着いたのだ。意識が少し遠くなる。傷の再生がはじまっているのか、命が消えようとしているのか)
        (立つ事もできずに彼に席まで運んでもらう。何か聞いているのか、不自然な二人を見ても駅員は何も言わなかった)
        (古めかしい列車。赤い布をしいた席に二人で寄り添う)この列車は…緑の深い国まで続いてるのですって。誰も追ってこなかったら…そこで暮らしたいな…
        夢だったの。好きな人と、かわいい子供と、三人で幸せに暮らす事。
        (汽車のドアの閉まる音。汽笛が鳴った)
        (静かに走り出した列車の窓から、外を眺める。ずっとすんでいた冒険者の町。忘れないようにと)
        (そして彼の方を見て、少し恥ずかしそうにためらってから、口を開いた)
        さっき言っていた話したいこと、ね…あのね…私………………………………子供ができたみたいなの……。
        私は娼婦だから…貴方の子じゃないかもしれないけれど…。
        -- ラーラ 2010-09-08 (水) 23:57:51
      • そうだな……そんなに長いのなら、ゆっくり、沢山話そう……今まで話さなかった事も、話せなかった事も、色々。
        (彼女の体を支えるように抱えて、歩いていく。改札を抜け、車内を歩き、赤いカーペットの客室へ)これでしばらくは……楽に出来る、な。
        (寄り添い座り、同じように窓の外を眺めた。長く暮らした第二の故郷とも呼べる場所、もう二度と訪れることはない場所を。そうして、彼女の語る夢を、時折ゆっくりと頷きを返しつつ聞いたのだった)
        (一瞬言葉が止んで、彼女の方を見ると丁度目が合った。恥ずかしげに躊躇う姿に笑って口を開こうとして──)
        (話を切り出す台詞と、少しの間と。その後に続いた言葉に男は驚きを隠せず、すぐに言葉を継ぐことが出来なかった)
        (驚いたのは、又聞きに子供が出来ない体だと聞いていたからで、悪い意味はないのだと、そう示すように)
        そうか、そうか……俺の子じゃなくても、構わない……今度は俺の話、聞いて欲しい……今更過ぎるほど今更だ、けれど────
        好きなんだ、ラーラ、ラーラティーナ。愛してる、心から。
        ずっと言いたくて、言えなかった。(一旦箍が外れれば、溢れ出す想い、言葉は止まらない)
        娼婦だから本気になってはいけないと、仕事の邪魔になってはいけないと、ずっと言わなかった。でも今なら……言える。
        愛してる、誰よりも……君を(少し困ったような笑みを浮かべて)もし良かったら、さっき言っていた夢を、叶えさせて欲しいんだ -- バルカ 2010-09-09 (木) 00:27:47
      • (子供ができた、定期健診で医者に言われたときは何かの間違いかと思った)
        (その日から彼女は暗殺者としての仕事も娼婦として体を売ることもしなくなった。いつか遠い昔に決めた事)
        (「子供ができた」口にするとさらに実感がわいて、幸せで、涙がこみ上げてくる)
        (そして彼の言葉が続く)
        (愛していると)
        ありがとう…私…私もよ。私はずっと全てを諦めていたつもりだった。今日も、一人で行くつもりだった。
        でも、最後に貴方だけは諦められなかったの…(肩にもたれるようにして、彼の手に自分の手を重ねた。この人の子供だったらいい。心からそう思う)
        …許されるのなら…一人の女に、戻りたい…貴方と子供と、三人で幸せに暮らしたい…。
        (重ねた手に、涙が落ちる。悲しいものではなく、幸せな)…ありがとう…バルカ…愛しているわ…ずっと…。
        (意識が薄れ、瞳を閉じた。幸せそうに微笑んで……)
        (流れる血はまだ黒い服を濡らし続けているけれど、きっと大丈夫。遠い鬼の血が助けてくれる)
        (そうして安らかな寝息と共に夢を見る。ずっと二人一緒の未来の夢を、汽車に揺られながら)
        -- ラーラ 2010-09-09 (木) 00:58:33
      • (すべてを諦めた、その言葉にいつかのクリスマスの話を思い出す。きっとこの人は色々な物・事を諦めながら、我慢しながら生きて来たのかもしれない、と)
        (それでも、最後に自分を選んで、諦めずにいてくれて。胸の奥から愛しさが込み上げて、重ねられた冷たい手を握って温めるように絡めた)……ああ。
        生きて行こう、一緒に、幸せに。必ず守るから……愛している、ラーラ。ずっと、ずっと……
        (目を閉じた彼女が、ゆっくりとした呼吸を続けているのを確認すると、安堵の溜息を漏らす)
        (後ろへと流れていく景色を眺めながら、遠い国へ想いを馳せる。いつしか意識は闇へと落ちていったのだった) -- バルカ 2010-09-09 (木) 01:29:16

      • (…その後、二人はどうなったのか。追っ手に殺されたとも、どこかで幸せに暮していると言う人もいる)
        (彼女がいた組織の記録には死亡と書かれていたし、薄紅色の髪の女が彼女を殺したと言い張っている)

        (真実はどこに?)
        (数年後に彼女の養父だった鬼に届いた差出人の名前のない手紙、その中に親子三人と思われる写真があった)
        (それだけで、きっと十分)
        -- 2010-09-09 (木) 01:42:40
      • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp000168.jpg

Last-modified: 2010-09-09 Thu 12:48:03 JST (4975d)