THE・外道傭兵
風の子
- 『いやはやしかしあれだな。まぁこのなんていうかね、言うなれば星空。満天の星空見たく爆発跡で抉れた草原ってひどいもんだ』 -- ソーン
- 『二ヶ月にも渡る消耗戦の後に残ったのはお互い僅かな兵と召喚師。最初はまぁだいぶこっちが数いたんだがね、敵に1人護衛獣付きの派閥召喚師がいるだけでこれだよ。倍以上いたのに戦力差ってのは結構付くもんだと毎度思い知らされる』 --
- 『ロレイラルの機械兵士だっけか、あいつがライフル銃でまぁ地味に削ってくれるお陰様でこっちが雇った外道召喚師5人が二ヶ月で土の肥えだ。ヒヒヒ、ご愁傷様。
相手方短期見越してたか増援もねぇし。こっちもハナから助成もねぇ。互いにドン底一歩前。ここがヤリ時、次が大一番だなぁ。えぇ・・・・・・あの機械兵士と召喚師どっち先に叩くか、叩こうかぁなぁ』 --
- 「おかしら・・・・・・まさか1人でどっちか潰してからとか考えてないですよね?」
あぁその通りだ。どっちもやらんぞ、どっちも俺がやる、やらせろ。そんでその後に残りを血祭りだ 「無謀だ、召喚師に護衛獣。互いが協力してるから厄介だっておかしら一番分かっているじゃないですか」 『そう。連中はある種の協力だとか共生関係にあるしそういう戦い方をしている。どっちかに向かうってことはどっちも相手するのと同意語だ。正直頭のいい選択じゃぁないが出せる手で一番頭がいい選択だと思う』 -- ソーン
- 『いや頭のいい悪いじゃない、一番いい選択だ。極上の。いいとこ独り占めだ』
「召喚術使えるだけの体力ももう無いし、せめてこっちにも護衛獣と召喚師がいたら・・・」 おぉそれだそれ!なら呼んでみるか。それもいい手だ 今日は冴えてるなお前。ちょっと石寄越せ石 「おかしらがぁ!?」 『ハハハすっげぇおもしれぇ顔してやがるコイツ。俺だってそういう戦のための知識はきっちり修めるタイプでなぁ・・・・・・そう詠唱の呪文はあれだアレ』 -- ソーン
- 古き英知の術と我が声によって今ここに召喚の門を開かん
我が魔力に応えて異界より来たれ 新たなる誓約の名の下にソーン・アリエティスが命じる 呼びかけに応えよ!異界のものよ!! 『そこにあった折れた剣で描いた魔方陣に奇妙な形の緑のサモナイト石。ありあわせもありあわせの半ばの儀式、だがそこにその一瞬に魂の力を込めて異界の者に呼びかけた』 -- ソーン
- (召喚の歪んだ光が輝いている。異界と異界を繋ぐのだ、痛みすら伴うような煌きが生じるのは当然のことであろう)
(ありあわせの幾何学模様に風化してぼろけたような形のサモナイト石。それがパズルのように組み合った結果か、はたまたこんがらがった弊害か) (光は弾け収束し、硝煙等とは違う妖しい煙があたりを支配する) (ごおと風が吹いた。それは渦を巻いている。煙は花びらのように、その風の中心へ集っていく。そして花吹雪がごとく煙が散った!) ふえ? (そしてそこに居たのは) ここ、どこですか? (小さな緑の人影で) おじさんたち、誰ですか? (緩慢にすみれのような笑顔を浮かべていた) -- ラナ
- 『あらぶる旋風、集束する煙。こりゃドラゴンでも呼び出したか。大妖精かって子供みたいなキラキラした目でしててさぁ
いざっ!て姿見せたらぼんやりした子供1人。 いやぁまさか最初に奇声あげたのが勘定やってる利口なアイツたぁねとシミジミ思う俺だったわけよ』 「終りだ!もう終りだ!俺はここで死ぬんだ!」「うわぁぁぁぁぁぁ!」 『大の大人がこんな声上げるのかって感想しかでないわ。いやもう面白くてさぁ』 ハハハハハ ヒーッヒッヒ ハハハハハハハ アハハハハ! 『まぁもうなんか笑い声しか出なかったわけよ、わけなんよ』 ヒッヒヒ・・・・・・クヒヒ あぁ、ここは戦場でなぁキヒッ 俺達はそこで戦ってる人ブッ ククク・・・・・・お前を戦わせるために呼んだ人だよ俺はぁ ハハハハハーッハッハッハ!アハハハハ -- ソーン
- (大のおとなが酒に酔うよりも激しく、喚き散らして動転し、天が落ちんかというさながら。その光景は実に酷かった)
(当のその渦中に居る、緑服の子供。台風の目と言うのが正しいか、凪の谷間で笑う男に話しかけられて暢気に笑っている) 戦場で。で、戦士さんで。で、ボクが呼ばれたですか?(理解しているようなしていないような素振り。明らかに場違いな特異点) (彼:彼女は、嵐の夜にざあと雨が降る中、家から外へちょっと出て風に吹かれてはしゃぐ子供のような顔をしていた) -- ラナ
- そうそう、戦って欲しいから呼んだわけよ。はぁーふぅーくくくっ 「おかしらぁ!もうそんなこといってる場合じゃありませんよ!」
まぁいいから黙ってろよ今大事なところだ。 んで呼び出したお前 お前えーと名前。俺はソーンだ。まぁそこはいいや『笑いつかれたのかだいぶ息も落ち着かせるように呼吸を深く深く落とす。なんたって大事なことだからなぁ』 急に呼び出した上であれだ、ここ戦場で命の危険がそこら中にあって俺負けそうだ。正直死ぬかもしれない 希望するってならすぐ還してやるぞ。俺はぁ傭兵だからな。約束事に関しては絶対嘘つかないからな、マジで 『そうだそうだ。傭兵ってのはぁここが大事だと俺は思うんだよねぇ、嘘つかない。約束破らない。それはぁ絶対のルールってヤツだ』 「おかしらぁ!大変ですやつら血相変えてこっち来てます! やばいですよぉ!逃げましょう!」 『あぁアレか。向こう召喚術で戦力増やしてきた、やばいやっちまおうって辺りかぁこりゃぁひでぇや』 (先ほどとは違う。狂気じみた声に叫び声、怒号が草原を隔てて向こう側から迫ってきていた) -- ソーン
- ソーンさんですか。ボクはラナっていいます、よろしくです。(現実逃避をそのまま形にして引っ張り出したような、ほのぼのしたやり取りがなされる)
うんうん……わぁ、グルグルでボロボロですね。このままじゃどかーんです。(言葉からはそう見えないが大体理解はした様子) ……うーんと。でもでも、困ってるですよね、ソーンさんたちは。このままじゃぐちゃぐちゃのばりばりですよね? (無邪気ゆえのグロテスクな擬音があたりに木霊する)困ってる人は助けなきゃです。 (雄叫びが上がる。それにぴくんと耳を揺らした。故郷で血の気の多い種族が襲ってくることなど、ないでもない。獣じみた敵の雄叫びはそれを想起させたらしく、ラナの表情がきりりと引き締まる。あくまで先ほどの表情に比べると、だが。) でも、ボクだけじゃ無理です。あのひとたちのところにいったらぽこーんでぺしゃーんです。 (あまりにも至極もっともな意見が常識外れた彼:彼女から出る)だから、風さんに頼んでみるです。なんとかなるかもしれません。 (中空へ向かって何事か呟き始めた。小声でほそりとした歌のようだった。この場にあまりにも合わない) -- ラナ
- おうよろしくなぁラナ。カカカッ そうだなぁこのままじゃぐちゃぐちゃのばりばりのずどがががだな
「ひぃあああああああああ!」「いやだぁぁぁぁぁ死にたくないいい!」 『まぁなんというかいままで押し留めていたものが一気に出たというかな。至極単純な言葉の雄叫びが鳴る』 至極まっとうなこと言うなぁラナは。世の中助け合いの精神ってもんかねぇ 「おかしらぁ無理ですって今からでもおそくありゃしませんよ」「おおお置いてかないでくれぇぇぇ」 腹くくれよ腹、人間死ぬときぁ死ぬんだ。すきこんで金もらって戦でてるんだ懺悔する神なぞおらんだろ 「なんとかするってなんですかー!やだー!死にたくないー!」 『まぁこちらもただで死ぬ気はぁないが しかしなんの詠唱だこいつは』 (悲鳴とうめき声、負傷している傭兵が逃げる手はずを整えている傭兵の足を掴んではけり返す打撃の音 かき消されてしまいそうな でもなにか耳が背かない声が伝わっていくる ような気がした) -- ソーン
- (さすがにここまで来ると悲鳴の痛々しさも届くというもので、ラナへここにも弱肉強食という乾いた世界はあるのだと痛感させる)
(そんな最中。森を歩いていたら手のひら大の蜘蛛が目の前に突如ぶらんと降りてきた、そんな驚きようを見せる) (目を円くしてぱちくりと瞬きを数度。そしてソーンへ向いてこう言った)……風が怒ってるです。 (長いこと戦いのやりすぎで、自然現象でもないのに地面を抉って風の流れを変えて。それが乱気流を生み出す原因となって) (そこへ風の意志を感じ取り、少なからず操れるラナという起爆剤が放り込まれて。導き出された結果は) ゴ ォ オ ッ (この位置を中心に、切り裂くような竜巻が生まれた。こちらのエリアに飛び込もうとした敵兵の一人が) (突如生まれた風の壁に猛烈な勢いで吹き上げられ、虚空へと飛ばされていった) ……あわわわわ。(身を低くしてわたわたしている。制御できる範囲すら超えたらしい) -- ラナ
- 「おおぉおおぉ!」「すげぇ!」 (湧き上がりはじめる歓声。徐々にその声に気づいたものからラナへと目を向ける)
(今目の前で、敵兵が空を飛び消えた。助かる、俺達に天から助けが使わされたんだ!) 『みたいな顔してるなぁ。いや実際助かった、助かるのかもしれないんだけどさぁ』 「帰れる!帰れるぞ!」「あぁ!連中ごとぶっとばしてこのまま凱旋だぁあ!」 (先ほどまでの不安はどこ吹く風といわんばかりの声が沸き起こる) 『正直風が怒ってるとかさっぱりわからないが一つ、ラナを見て分かるっていうか分かった』 なぁ、これって俺達もヤバイんじゃねぇの 『制御できない荒れ狂う風って暴風って言うよな』 「え」「へ」「は?」 (一同、1つ遅れて慌てる天から舞い降りた風の御使いの様子と状況を理解してしまった。俺達は今『竜巻のド真ん中にいる』 と) -- ソーン
- えと、その、ごうで、ぐるぐるで、わーっで……。(説明しきれないらしい。あたりの兵士達へなにか言おうとして目を回している)
(ソーンの言葉にはっと振り向いて、ぱあっと言い当てられたような顔をして)……。(こくこく、二度頷いた。肯定の証) (竜巻は徐々にその形を崩し……糸巻き車のように集っていた風は、解けるように滅茶苦茶な乱気流へと変わった……) -- ラナ
- 『早い話理解し遅れたヤツからぶっ飛ばされた。姿勢を低くし忘れたヤツからっていうのかねぇ。1人また1人。ついちょっと前まで考えられなかったことだなぁこれは』
(糸巻き車の糸が引かれるように、内から外へ乱れる気流の流れは人を意図もたやすく吹っ飛ばしていく。1人、1人、巻き上げられて いよいよ残りがラナとソーンになったその一瞬、一寸) ヒ ヒヒヒハ、ハハハハハハハハ! ラナァ!掴まれぇ!(大笑いしながらラナへ手を伸ばす) 『これだから戦は辞められないなぁぁああ!』 -- ソーン
- (やりすぎた風から、「どうか無事でいてくださるように」と祈りのような言葉を聞いた。木の葉のように、人は煽られ飛んでいく)
(ラナの軽い身体がどうしようもなく浮かんだとき、そこに手が差し伸べられた)は、はいぃい! (反射的にそれを掴む。乱気流の糸はあちらこちらと吹きすさんでいく、果たしてラナたちはどこへ行くのか) (風が織り成すタペストリーの紋様は、麻のように乱れている。少なくとも、穏やかな展開は待ち受けていないだろう) う、ひゃあああああああああああ!!!(最後の風がひときわ大きく吹き上げて、二人を高く遠く飛ばしていく) -- ラナ
- --
- 『つーわけで飛ばされた。ラナの仕業だか能力だかわからんが竜巻にのって飛ばされた』 -- ソーン
- で、どこよここ・・・・・・ -- ソーン
- ぎゅう……(ごく近くの芝生でのびている。大きな怪我どころか擦り傷すらない) -- ラナ
- とりあえず、だ。おーいラナァ起きろ やばそうだったらやばいっていえよー(ゆさゆさ揺する) -- ソーン
- あ゛ー……やばくない、です……。(目を覚ます。だるげもなくすくりと起き上がる。ダメージは全くないらしい)
……でぇ、ここどこでしょう? ボクはメイトルパで集落の皆と……(しかし寝ぼけてはいるようだ) -- ラナ
- オッケーそいつは上々だぁラナくぅん(首コキコキしながらラナの前に座り)
いや俺も知らん。ただ俺がお前召喚したからメイトルパじゃないことは確かだな -- ソーン
- ……あ! そうですそうです! ソーンさんです!(半開きになっていた目を擦る。しっかり目が覚めた様子)
確かぁ、みんなわーわーってなって、敵がバーッってなって、こう、なんとかずはーんと……! で、えーと……飛ばされて? ……でー……ここ、どこですか? あれ、なんですか?(森のほうを向いて、指差す) (木の波に隠れて解り辛いが、森を越えた先に街があるらしい。建物の尖塔がちらちら見えている) -- ラナ
- そうそうソーンんでみんな悲鳴上げて敵ぶっとんで俺らもぶっ飛んだのがちょっと前だなうん
あれぇ?(そのまま後ろ向いて) あーあーん? おおぉ人工物だ街が近いぞラナ君! 行ってみようやってみよう! ゴー!(立ち上がって走り出す30手前 -- ソーン
- ということは今ボクたちは飛ばされてここに来たというわけですね。いそがしいです。キリキリです。
(ぽかんとした顔でソーンを見つめて、そして)そうですね! 行ってみようって風さんも言ってるです! ゴーです!(追う子供)
────【間。】 どうして……こんなことになってしまったんでしょう……。(周囲を固める下っ端狼×3) -- ラナ
- 殺すためにーうーまれーてー!殺すために生きるのさー!殺せないーまーまー終わるぅーそーんなのーはーいーやだ!
(ものすごいひどい歌を口ずさみながら走る) なんでってお前 ・・・・・・・・・・・・・・あれだろ飼い主の愛のない放置プレイのせいだろ? シッシッそういうのは帰ってやりなさい(狼に向かってぞんざいに手を振る) -- ソーン
- 風さんが言ってます……「ソーンさん血の匂いする」って……。集まってきたんですね、惹かれて。
ソーンさんモテモテです……。(ソーンの影に隠れる。サイズ的に非常に楽に隠れられる) 帰ったら他の愛に餓えた獣も引き連れてくるんじゃないかって風さんが……うわーあ! (それが当然か、と言わんばかりに前方の一匹が森土を踏みしめ葉をかき上げ、正面から飛び掛ってくる!) -- ラナ
- 何を当たり前なことを。生きてるんだから血の匂いするのはあったり前だぜ!人間ってのは他の血喰らって生きてるからなぁ
当然!ワイルダー!(2m一歩手前ぐらいなんで余裕でかくれてしまう) 愛を取り戻せ!愛に飢えた獣の叫びがぁ〜どっちかっていうと肉に飢えてねこいつらぁぁ 危ない! (それが当然か、といわんばかりに森の土へ踏み込み腰に携えた自在剣を思いっきり引き抜く!解き放たれた刃の鋼鉄が唸りと鳴き声を上げ狼を削りきらんと蛇腹となる!) -- ソーン
- うわあお。(基本的に獣人なので血生臭いことへの耐性はあり。膾斬りにされる狼へ合掌)
(鞭かなにかのように刃が分かれて振り回される自在剣。ちょと見蕩れる)すごいですねえ……。 あ。(振り向く。ソーンと背中あわせ。向かう先にはやっぱり狼。後方から攻めてくる一匹) (そして当然正面にも。ソーンに向き合う最後の三匹目。前門の狼、後門の狼) な、……なんとか、しましょう!(先程ので警戒したのか、じりじりと詰め寄ってくる狼。ラナは若干パニクって、自分の行動を迷っている) -- ラナ
- 腹すいて肉が食いたいんだろぉぅ?ほぁら作ってやったぜ!食えよ!(不規則に再び結合する蛇腹剣を構え笑顔)
ヒェッヘッヘ ラナァ!(挟み撃ち。ラナは微妙、なら決まりだといわんばかりに背中越しに叫ぶ) 突っ込むんじゃぁないぞ!背中俺にくっつけて前だけ見てろ! はいラナ君後ろ飛びぃぁあ!!(震えて跳ね上がる奇妙な笑い声を放ちつつ目の前の三匹目にいざ進み飛ぶ!自在剣が金属で捻り上げた羊の鳴き声に似た奇妙な音を立てて伸びる!) -- ソーン
- (もしかして、狼とかよりも恐ろしいんじゃないだろうか。風の子に若干迷いの色が浮かぶ)
は、はいっ!(色々な情報が頭の中でぐるぐる交錯。そんな中での声、回路がストップ、それに従う) わわ、わかりましたあ! ぴたっとして、はい、ばーっっと!(ソーンにつられて飛ぶ。着地した瞬間に、先程までラナが居た場所へ狼が飛ぶ。そして続けて、ソーンの目の前にいた狼の首が飛ぶ) -- ラナ
- (狼の胴体なき別れを最後まで見届ける義理もないのでそのまま剣を元の大剣に戻し)
よぉし!そのまま全力でかかれぇ!(ラナの中にある迷いを吹き飛ばすように背中越しに叫ぶ。それと同時に自在剣が完全に大剣に戻り金属の音が合図のようにキンとなる。次の手、振り向くため森の地を踏みしめた音は聞こえぬくらいの小さき音であり) -- ソーン
- はい、それで!? それで……全力ですか! 全力……。(考える。自分にできる全力とは)
わかりました!(両手を前方に軽く突き出す。風が舞う。指先から爪のような刃が伸びる。なんらかの超自然的エネルギー!) でっ、こうすると、ざってきて、ガーッってくるから(狼は飛びかかろうと今まさに地を踏みしめている、そこへ) ずば───っっと!!(地面を蹴り、狼と交錯! 向こう側へ通り抜けざま、爪で刈りつける!) (真空の刃に切り裂かれ、血を垂れ流すものの、傷がついただけ。仕留め切れてはいない)ったぁ……。 -- ラナ
- 全!力! (そういって真横に振りかぶった瞬間。風の爪の発生から一部始終の一瞬を見届け)
上出来だぁぁぁああああ!(それこそラナが叫んだように、再び金属が解き放たれて狼へ鋭くヘビのように解き放つ!) -- ソーン
- (そしてまあ、結果的に残ったのは当然、狼三匹だったものが散らばったものなわけで)
う゛っわー……。(さすがに多少耐性があるとはいえ、好んで見たいものではないらしい) ……なんとかなりましたね。あはは。(グロテスクな地面。そこで似合わない感じにゆるぅく笑う) -- ラナ
- いやぁ森って物騒だから怖いわ・・・・・・いつ襲われるかわからないってのはたまったもんじゃないわなぁ(ジャキジャキと蛇腹剣を戻し)
しかしぅんラナ君もいい筋じゃないのさ。鍛えれば狼の三枚降ろしもラクチンにできるさぁ。俺ミンチしかつくれないけど(ベェヒャハハハと笑い声を上げて) まぁ森の肥やしにはなったろ。ヒヒヒ さぁて当分はこっちに狼釣られてくれるといいなーとかねー街に無事つくといいねー -- ソーン
- ボク森の近くに住んでたから慣れてるですけど……びっくりしました。こう突然ガーッときてバーッといくのはいやです。
(爪は既に綺麗さっぱりとなくなっている)……自分の身は自分で! というやつと風さんが言ってました。あ、ぶつ切りにもできてますよホラ、骨ごと。 (大変なことになってる狼、映像に自主規制がかかりそうな臓物と血のフィナーレ)……森に還るです。安らかに。 風さんが呼んでるです。街はあっちぃ、です!(早々に離れなくては危険だと、本能的に解ってるらしくとっと先に進む) -- ラナ
- 俺も勘弁だよ奇襲って結構驚くからなぁもうだいぶなれたけど。次はドラゴンあたり出てこないかなぁー
うむ!そして襲ったら襲われる覚悟もする!善悪はなし!マジで?キツネとかだと骨からいい出汁がでるって聞いたことあるんだよなぁ (しばらくお待ちください) こいつら元から森の一部なればまた森にとね おっしゃとっとと街にいこうぜぇ!いい加減湯浴びて血を洗い落としたいんだよ(ダバダバとラナについていく) -- ソーン
どうしてこんなことになってしまったんでしょう……。 (冒険者の集まる街にて。熱心な衛兵は年端もいかない子供を連れた血に塗れたソーンを引き止めている) -- ラナ
-
いやマジで狼に襲われたんだって。こいつは俺が呼び出した護衛獣でぇさぁ (どうみても誘拐犯だろ冒険者に見えるわけないだろみたいなヤリトリしてる衛兵とソーン) -- ソーン
- (嘘つけ絶対召喚士に見えないよという辛辣な事実を突きつけてくる衛兵)
ご主人さま、召喚石! 召喚石を!(ご主人さま発言に近所の奥様方の視線が潰れた毛虫を見る目になる) -- ラナ
- (なんだとうこう見えてもそこらの召喚士より召喚戦の馴れはなぁと返しつつ)
おぉそれだそれ!(懐から契約済みのハンパな緑のサモナイト石を取り出しつつ近所の奥様方やらに毛虫を潰すような目で返す) -- ソーン
- (魚と思ったら鳥だったものを見たぐらい納得のいかない顔で渋々引き下がる衛兵)
(ソーンへの視線は消えたが、ラナへ哀れみの視線をしとしと向ける奥様方その他大勢) (正当な理由があるということで騒ぎは収束。小イベントが終わったように何事もなかったように振舞う街の集)
……人間って、面倒臭い生き物なんですね……。(なにやら悟ったような表情で宿を探し歩くソーンに従う風の子) -- ラナ
- --
- ;『街の検問に引っかかってから少し後 ちょーっと遠くの戦場in草原is夜』 --
- いんやーこの時期でもまだ夜は冷えるねぇ 『腰を低く草の丈に隠れるように座り込む』 -- ソーン
- 本当ですねえ。風さんも、少しとげとげしてるです。(服と髪の色が保護色になって、普通に立っているだけで草々と同化している) -- ラナ
- いやいやまったく 『この風が囁くように吹いていた草原も・・・・・・とある国の軍隊の部隊が駐留してから数日になる』
『数は200ほどといった前哨基地といったところ。ここを足がかりにし攻め入るようである。大して味方は50ほど。正規の連中は出せないわ見知った連中も先日の件で散り散りの有様で』 さぁてどうするかなぁ 『そうはいいつつも策は決まっているのは邪悪な笑顔で腰のまだ火を灯していないランタンを取り外す』 -- ソーン
- ぷちっといかれちゃいそうですね。ぷちっと。(さすがの風の子も困った表情。風は多数の声を伝えてくる)
(軍隊というからか、ただの数だけではなくその結力も大したもので、200はまるで大きな獣。) (それが有象無象の少数をどれだけ速く呑み込むか。考えたくないところではある) どうするんですか?(ソーンが見慣れぬものを手に持っているので、そちらに目がいく) -- ラナ
- こういうと常套手段はそうさなぁ『迷う、考えるという仕草すらもうれしそうに喉を鳴らし笑う』
『数が足りないときにはその数を覆せるほどの何かがあれば 何も問題はない。そういうときのために大好きな、心の底から大好きなやり方がある』 やつらを火の渦で追い立てる『すっとマナを手中のランタンに集めると白熱といわんばかりの明かりが灯る。マナが鍵となるアイテムの一種だろうが・・・・・・』 『その白熱の炎は薄暗い蒼い炎に押し込められるよう、包まれていた。窮屈そうにランタンの中に鬼火が脈を打っていたのだ』 -- ソーン
- 常套手段ですか?(それは考える、なんて人間的な仕草ではなく、エモノへ飛び掛る前に獣がするような仕草に見えた。そのわりに、物事を愉しむ人間らしくもある)
……火の渦?(火の使い方ぐらいは知っている。しかし、種火もなし、朽木もない。燃えそうなものといえば、草ぐらいであるがここへ小さな火をつけたところで、広がるなどとは思えない) あっ。(ランタンに火が燈った。小さな火なのにちらちらと、マグネシウムに似たような、爆発にも見える火が燈る) なんですか、それ……炎……?(ラナは赤い火しか見たことがない。青い火は、青い太陽ぐらい奇妙に見えた) -- ラナ
- くっくくくく・・・・・・!こいつはなぁ人間を焼きたくて焼きたくてしようがない鬼の魂よ キヒヒヒッ
『その鼓動はドンドン強くなり。近くに大勢の人間がいるからか・・・・・・渇きを訴えるかのようにその主は鼓動を高めていく。青い心臓の中に白熱の血を注ぐかのように』 だがこいつだけじゃぁ足りない。一応種火程度にはなるけどなぁ『辺りを見渡せば草が漣のようにゆれて』 なぁラナくん。風のご機嫌は如何かなぁ?『エサの目の前で、エサをどう食べようか。もう決まっているというのに決まっているのに嬉しそうに尋ねた』 -- ソーン
- (悪鬼羅刹も裸足で逃げ出しそうな。その鬼の魂がよく似合うような。そういう姿。)
(このランタンが手に入る経緯は知ったものではないが、きっと、渡るべくしてソーンに渡ったのだろう。それぐらい似合っていた) えっ。(その火は何もかも燃やしつくしそうなのに。ひとたびディッシュを掴んだら、空になるまで貪るに違いないというのに) (喉の渇いた旅人に、パンだけを与えられないように。水がなければ喉に詰まって立消えてしまうというように) (そう言うのだ)……風……。(声に、少し飛んでいた意識を戻す。風の声を聴いた) (風もやはり調和を好む。無駄にかき回す:戦を起こそうという輩は、排除して然るべきと。風はそう言っていた) 風さんは……(そちらに吹けば、“消せる”と教えたなら、喜んでそちらへ吹くだろう) あっちに吹きたがってる、です。(この後の言葉が予想できる。それでも、その言葉自体は聞いていない。曖昧な恐怖感が募っている。敵地を指差した。) -- ラナ
- あぁ・・・・・・待ちきれないのかぁキヒヒヒ 『早く!早く!早く!命を!人の命を!肉を!焼かせろ!』
『意志は既にあるかのように、いやあるのだろうか。その訴えは強くなる。もっと、もっと焦がすようないや空を大地をも焦がすような炎で、命を焼くのだと。命を燃やすのだと』 その風に乗せてぇこの草原に炎の大波を作る。そしてやつらを追いたて飲み込むのだ ヒヒヒヒヒッ ギヒヒヒヒヒハハッハア 燃やす 燃やすぞォ大きな火で燃やすぞォ 『その恐怖ごと覆い被さるように噛砕きながら笑う』 -- ソーン
- これ、って……。(火の持つ意志を、さらにさらに高めて、悪霊じみたなにかにしてしまったような)
(黒鉄を焼き饐えて、鋭く炎と化したような。端的に言うと、怖い。怖い怖いものが、ディフォルメされて強調された、真っ直ぐな怖さ) ……っ!(後ずさる。怖いのはソーンではなく炎。既にソーンは炎に呑み込まれたように嗤っているのだ、だから、ソーンも炎) (かさりと草が踏み足に音を立てる。まるで咎めるように。これから燃やされるという草も、もしかすると、もう侵されているのかもしれない) (火に囲まれたようだ。)…………い、嫌……。(なにが嫌なのか。敵を倒すこと自体は嫌でもない、それで断末魔を上げ響かせても、それは当然のこと。それが生きるということだから。でも、それでも、自分も飲み込みかねない炎を)や、ぁ……っ!(産み出すのは怖いのだ。たとへ、炎以外のなにかに身を滅ぼされるとも) -- ラナ
- ク ククク ギヒヒヒヒヒヒ! どうしたぁラナァ・・・・・・怖いのか炎が 『憎悪と負で火を練り固めて炎にしたような、そんな鬼火。炎の怨念が、煉獄の炎が生まれてしまっている』
『人の怨念が生み出した鬼火でも水面に浮かぶ煉獄の導でもない。そも人に温もりを与えて豊かにするという性質ではない』 『人をただ焼き殺す。肉を骨を魂すらも焼く 炎の怨念。鬼のような火であるのだ 温もりと明りを作り出す道具だと信じ込んでいる人間をせせら笑い食い殺す鬼なのだ』 怖いのか。風の声を聞けるお前が、炎を怖いというのか 『風の意志を聞き汲み取れるお前がなぜ、炎が、炎の意志。意志を持った炎が怖いというのだろうかとただ単純な疑問だった』 『お前が声を聞いているその風も 自分を飲み込みかねない嵐。別の何かが自由にできるものではなく、自由にしてよいものではなくその力を犯せば、冒涜すれば必ずその力に飲み込まれ滅ぼされる』 『そう、お前が意志を聞くことのできるその風も この荒れ狂う怨嗟の炎と同じものだというのに!』 『何を恐れる必要があるというのか!』 -- ソーン
- (その炎は、火の負を固めたものに見えた。焼き尽し、全てを灰燼と化す炎だ)
(鬼火。鬼が人の恐れから生まれた化け物であれば、これは火への恐れから生まれた化け物なのだ) 怖い。(記憶が呼び起こされる。それは、山火に森が焼かれた話。そこで、ラナは 思い出さぬよう首を振る) 風なんかより、ずっと怖い。嵐はものを巻き込むけれど、ものを燃やして大きくなったりなんかはしない。 巻き込めば巻き込むほど、力を失って小さくなっていく、風なんかとは違う。 (言葉から意志が伝わる。炎に囲まれたようだ。言葉が熱い。身を焼くようだ!) 巻き込むほど大きくなって、留まらない炎は…………乱暴すぎる。(いつもの、気の抜けた丁寧語がない) (歯がかみ合っていない。かちかちと、震えた顎はそれを許さない。力を留め置くのを許しちゃくれない) (膝から力が抜けてその場へ、へたんと座り込んだ。ざあっと草草が鳴った) -- ラナ
- 『ざわめく草、風、炎。全てがラナを囃し立てる、ラナの周りの全ての存在が』
『何をしている!代弁者ではないのか!繋ぐものではないのか!ならわからないのか!なぜ!なぜ!早く!早く!』 『その中でまた、一つとなっている炎の片割れか一片か。ソーンがへたり込んだラナに一歩二歩と近づいていき』 そうか キキッ なら仕方ねぇや でもやることはかわらねぇとも、なぁ? 『開いた口からは糾弾でも要求でも命令でもない。やりたくなかったらやらなくていい』 『傭兵に身を置くこの男の生きる大原則でもある。自然の声を聞き導くこともできるだろう者が、性質は違えど大きな枠で隣り合う炎を怖いと言うのだ』 『ならそれほどの何かがラナにはある。尋常じゃないほど嫌であるのに強要しやらせるのが傭兵か、お前か?』 『否。それは正規の軍隊か強盗のやることである。自由に選択し責を真っ当するのがこの男なのだ』 あいつらを黒コゲに燃やし尽くすか、追い立てる、それだけはやる。炎も風も関係ねぇ、俺がやりたいからやるんだよ お前らもそうだろ?気に食わないからやるんだろ?ギヒヘアハハハ!『鍵束を遊ぶように鬼火のランタンを回し遊ぶ。目の前の遊び場で、遊具で遊びたい子供のように』 と、いうことでラナ君。このまま真っ直ぐ引き返せば帰れるから帰っておけよぅ。気なんてもうまわらないからなぁ 『不要だから消えろ、ではなく。これからヤバくなるから今のうちに帰れ と』 巻き込んで巻き込んで巻き込むから なぁ! -- ソーン
- (頭が痛い。濁流のように流れ込む周囲の力の意志。流転変転する世界の意志。)
(それが「焼け、焼け!」と声を高らかにして叫ぶのだ。風は伝うもの、空を響く声と同じく、叫びがわんわんと頭に流れるのだ) (ソーンが近づいてくる。導火の花を散らし、ぢりぢりと線を歩く炎の如しか。見上げれば、その顔の向こうに夜焼き星が輝いていた)
……。(言葉は呆れるほどにいつも通り。みんな好きにすればいい、そういう刹那的なものが垣間見える) (自分は安心したのか、それさえ解らない。しかし、悪夢から醒めたような現実感を得ることはできた。冷静になって、見つめなおす) それは“やるべきこと”、だから。ボクは止めようとしないし、思ったりしない、よ。(ランタンをからんころんと揺らす姿を見ながら、立つ) でも…………炎は、怖い。どうしようもないぐらい、怖い。何もかも焼いていってしまうようで、熱いのに、寂しくて……。 だから……。(護衛獣の自分がそんなことをしていいんだろうか。護衛獣で居る自分が好きだから、戸惑った) だから、逃げます。……これだけ、これだけ言わせてください。あんまり無茶しないでくださいね。 (どの口が言うんだろう、と寒々しかった。自分が:風が手を貸せば無茶をする必要など消えてなくなるというのに) (それでも、なのか、だからこそ、なのか。言わずにはいられない。それだけ言い切って、振り切るように、真後ろを向いて走り出した) -- ラナ
- おう。精一杯楽しんでくるとすらぁ ちゃんと逃げろよ。ゲヒヒヒヒ!
『決してこの男には聞こえないだろう風が、炎が、草原が問う。何を燃やす!いかにして燃やすか!』 キッ ギギギ ゲヒヒヒ キャハハハハハ! 『燃やせ!燃やせ!魂を燃やせ!喰らい尽くせ!魂の髄まで燃やし尽くすのだ!』 ク ヒヒ!燃やすさ 燃やすものがあるからなぁ!『笑いをかみ殺しながらランタンを振り回し 前哨基地の近くを歩く歩哨に投げつけた』 人間を燃やす!人間を糧に燃やし続けるのだ!ガヤハハッハアヒャヤハハハア!『狂乱の叫びと共に炎と男は踊りかかった』 -- ソーン
- --
- (前回、戦場の騒動より幾何も経たぬうち。ソーンとラナの根城)…………怒ってますか? -- ラナ
- え、なんで?(包帯がところどころに見えるがそんなこと気にせずブ厚い肉を齧ってる) -- ソーン
- ……いやその、ボクはつまりショクムホーキして逃げたわけでして。それで大変だったなら、怒って然るべきじゃないかなあって。 -- ラナ
- 職務?あぁやりたくなけりゃやらなくていいいい。そもそもよーラナ君1人で戦況左右させるよう重しを載せるのはー間違いじゃなくてぇ? んな作戦立てたヤツがいたらそいつが責を負うべきさね。俺はおもしろそうだから連れて行ったわけよ、オーライ? -- ソーン
- (拍子抜けしたように話を聞いている。作戦云々の深い意味は解らなかったが、なんとなく伝わった)
お、オーライ。です。……ええと、まとめると、全然気にする必要はない、ってことですね。 (少しばかり居心地が覚束無さそうにしている。やがて、包帯のついたソーンの顔を見て) えっと……でも、あの。次は、頑張るです! 頑張りたいです!(意を決したというふうに、そう言った) -- ラナ
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- 『とある戦場。敗戦の色濃く現れている戦場は傭兵にふさわしく。また絶望の色も他より強かった』 --
- 『城塞は落城し、戦場の丘は地獄となり始めていた。俺はそれでもまだ戦い足りない』 --
- 「ぎゃあああああああああ!」
もういっちょおおおお! ひ、ひひひひ!!! 『既に外套は見る影もないが気合はまだ十二分にあり、死という魔の手が近づけば近づくほど燃える炎のように活気付いていた』 ここらで引くのが妥当だろうなぁ ククク!『そこらかしこから殺気が溢れ人が切り爆発する丘でまた1人、切り伏せる』 -- ソーン
- うぉぉおッ!!(風の爪をひん剥き、人波を掻き分け泳ぐ。その姿は風の如く。血が噴き出るよりも前に、姿は消える)
(不自然なほど、血の汚れのない服の中、赤いマフラーが異様なように棚引いていた)……はぁっ、はぁっ……。 (少しでも気を抜けば、傍に人が注ぎ足される。主人にとっては、杯の乾くことなき酒宴にも近いことだろうな。そう思っていた) ……引く、って……どこに、ですか!(声が聞こえた。罵声の中返事。周囲八面、敵が見える) -- ラナ
- 『大剣が折れて別れ、敵兵の首を狩り薙ぐ。歴戦の傭兵なのか一体多数の戦闘は慣れているが…』
どこ?前に決まっているじゃないか、なぁ!『戦場で後ろを見せれば即ち死を意味する。きり続け殺し続けることこそが生きるということではあるが』 あの世にだけはいけそうにないしなぁ!『その戦場には既に前も後ろもなかった。あるのは敵だけ 敵と ラナしか見えなかった』 -- ソーン
- (話して動きを止めたラナへ、周囲から武器が襲い掛かる。ぐっ、と身を屈めた)
(ガキンッ)(鈍い音が、頭上で響く。長柄の武器同士がそこで絡み、交差し、止まっていた)しゃあっ!! (瞬間の隙を見て、その持ち主を爪で斬り飛ばす。戦いにも随分慣れた。それは獣の本能のようなものでもあったが。) 前……。(果てが見えない。行き先は水平線の彼方、そこへ陸地を探せというようなものだ) どこへ向かっても、行き先、一緒そうです……。(前方は、森。無論、棲まうのは兵のみ) -- ラナ
- 『一薙ぎ、二薙ぎの後。愛用の剣の先が派手な音を立てて折れる。金属が散らばる音はこの戦いで酷使した散る際の音』
今まで助かってたぜ……『これを好機と見た兵が一斉に駆け寄るってくるが』 そうは問屋が卸すかよ!『折れた剣を一番近い相手に付き立てて、その首をヘシ折る。すぐさま死体を投げ捨てて武器の長剣を奪った』 はっ……森だろうが道だろうが切り拓くだけだぜ、血を持ってな!『それが相手の血か己の血かは言わず、森へ駆け入っていく』 -- ソーン
- (二人の周囲は異様な雰囲気であった。斃れる兵、それを踏み近づく兵。どうやら、敵軍は掃討戦を望んでいる)
(二人が異常な戦果を上げるほどに、敵の士気が高まっていく。数を上回った自負が、心を狂わせていた) (栄誉を求め、それを喰らうかのごとく酔う者達は、絶えず殺到する) しゃあァっ!!(掛け声と共に、爪が飛ぶ。風刃となった爪が敵兵の波を分ける) (森の中で、敵の攻撃は多少勢いを削がれたが、焦らされるのか、凶暴さは余計増していた) でも、このままじゃ……!(走りながら、声を発した。このままじゃどうなるというのだろう、想像など、できもしない) -- ラナ
- 『国も思想も何もかもが違いすぎる敵。だが意識は違った。ここにいる誰もが殺気だっている。いや殺気に支配されている』
『殺せ!殺せ!殺せ!首を取れ! 熱にうなされるかのようにただそれだけを考えて』 か…・・・はははっ!キリがねぇなぁ!えぇ!?『喉を刺し貫く剣が木に突き刺さり、ハエヤニの如く敵兵を捕らえる』 ク……クククハハハハ!『森の中の悪魔のように口を裂いて笑い出す。もっと殺す!果てなく殺す!』 『だがたった一瞬、ささいなことだがどこから飛んできた石が注意を逸らしソーンの側頭部にあたった』 あ・・・?『たとえ足並みが揃わぬ森の中でも隙ができれば脆き場所に注がれる意識…』 -- ソーン
- (黒い森には闇が潜む。古来より、どの地でも畏れられていたこと。今は、人がそこに居る)
あっ……(元々陣形などもない。剣の先はあちらこちらと覚束無い。しかし、石が中った) (突撃の命令か、開戦を告げる鳴り矢の声か。視線は集う、好機へ集う) (酒樽に一つ、小さな孔でも空いたかのように……。そこへ流れていく)ご主人さ、……くぅっ! (自分の意識の逸れもまた、好機。阻まれる。数の嵐に) -- ラナ
- 『まるでいつかみたどこかの国のオモチャのように、囲まれた敵兵の剣が体中に突き刺さった』
ぐ……あっ……『たとえいくつ戦場をくぐってきても、たったひとつの些細なことで命の天秤は落ちるものだ』 がっあああああああああぁっ!『それでも今、ここで死ぬわけには行かない。その先で死ぬことになっても』 ラナァァァァァ!『体中の筋肉に力を入れ、力ずくて体を回し敵を振り払う。鎖につなげようとするも暴れる猛獣のように!』 『このまま相方を犬死させることはできない。最悪己の命をもってして相方の故郷に返さなければならない。それが最初からこの男がラナと契約したときに己に課した契約である』 -- ソーン
- (羽をもいで、串を刺したら。そんな調子だ。後は煮るなり焼くなりどうとでも。舌なめずりをする)
ふぅうう……っ(目が血走る。危険が、ピアノ線のように身体中に通るのだ)かぁああっ!! (身は軽く、宙で踊る。コマのように、ぐるり。ギロチンのように、ぎらり。瞬く暇は、与えない。目をひん剥いて、転がればいい) ソーン、さんっ……(言葉など要らないその場の中で、ざくりざくりと容赦なく爪を立て、歩き、向かう) (敵は自分等に殺到していた。それこそ、その場に居た全てが。) (他の兵も直にここを見つけるだろうが、ただこの時だけ、ほんの一瞬、敵の姿が晴れていた。嵐の中の目のように。) -- ラナ
- 『敵ごと剣を振りぬいたものの傷口を大きく広げた事実は拭えなかった』
『引いていく血の気が異常なほど頭を冷たくするがラナのその戦い方を鮮明に焼き付けるには十分すぎるぐらい落ち着いていた』 はっははははははは!!!『あのおびえていた子供が、呼んだとき誰もが絶望していた子供が今は立派な戦士になって自分の前にいる』 『誰の目に見ても変わり者であろう召喚獣数だったが、今。数奇すぎる運命と今の姿に笑いが抑えられなかった』 ここが散り時ってわけか……まったくあっけない幕引きたぁなぁ『今、この場所は開けている。寸時であっても送還の儀式をするには十分である』 つーわけだラナ君、キミは先にかえれや…… -- ソーン
- (敵の血よりも、真っ赤に見える。同じくらい、頭が冷たくなっていた。自分が敵に流させた血と、そう変わりのないものなのに)
(笑い声が遠く響く。いつもと変わらないのが、何より不安を煽った。でも、どこか安心するところもあった。……混乱していた) (自分に『スペル・ヒール』が使えたら。回復呪文でもあれば、どうにかなったかもしれないのに。どうしようもない後悔まで押し寄せてきた) ……そんなこと、言わないで……。(誰の目に見ても、それは終わりの彩り。この言葉は、励ましでもなく、ただの我侭) ボクが……ボクが帰ったら、ソーンさんは! ソーンさんはどうするの!? (解っているのに。時間など無駄にしてはいられないのに。問わずには、いられない。溢れてくる) -- ラナ
- 俺、俺はそうだな……この後大急ぎで待ちに帰って酒飲んで寝るわ
『そうできたらいい、というものではない。もっと戦い続けたい。それだけだが』 『もう戦うことも帰ることも出来なくなったのなら、最後の契約と義務、責務を果たすべきだった』 『懐から出したサモナイト石が再び輝きを持ち始める』 まったく勝手に呼ばれて勝手に返されるんじゃ世話ないからな、もう一度言うぜラナ君『失血が多すぎた。口を開くのがやっとになりつつあった』 おまえは 帰るんだ 『サモナイト石の輝きが一層強く溢れ始め……ラナを呼び出したときと同じ光が現れた』 -- ソーン
- ……そんなの……!(嘘だ、言おうとしたが、口から出てこない。嘘を言っているように見えない)
(そもそも、自分を安心させるための嘘を吐けるような人か。それは嘘ではなく、きっと願望なのだ) ………………。(叶えることはできない。光と声が、自分を引き戻していく。光がだんだん、ゆっくりと強くなり空に上っていく) 帰るけど……まだ、まだ、最後に一つだけ。一つだけ。ボクは、まだ、なんにも返してない。 (光の中で、すっくと背を伸ばし、空に手を掲げる。……遠くから、敵の声が聞こえる。わあと、猛りを上げている) ソーンさん。ランタンを。そこらの枯れ木でもいい、どんなに小さな火でもいい。炎を。(送還の儀は、間も無く成る) -- ラナ
- 別れの挨拶なんざしたことねぇからな。向こうで元気にやれよ ハハハハ
『送還の儀は刻一刻と進む。光がもうあと少しという時』 炎?お前が……ハハハお前がハハハは『呼びかけられればランタンに火が灯る。弱弱しい光だが意志の光』 はっお前とも最後か……『そこらの枯れ木の近くの石に投げつけるランタンは割れて枯れ木に熱が移る』 -- ソーン
- 風さん。……どうか、彩りを。(小さな炎は、おかしな風に煽られる。それは綿飴のように、だんだん、だんだん、膨らんでいく)
楽しかった。異常じみてたけれど、ここに居るのは、なんでか心地よかった。 (火が木へ燃え移る。少し、その勢いはおさまり、火は一本の木のみを燃やす) (火を目印に兵が集まる。あれだ、あれだと声を上げて、歓喜に喉を震わせて、せわしなく足を向けている) ……感謝してますよ、ソーンさん。あなたはボクにとって、大切です。(火を背に、笑顔を向ける) (かつて、大きな火事に巻かれたことがあった。理由は忘れてしまったが、恐怖は今でも染み付いている) (「こんなものは、人の手で起こして良いものではない」純粋に、純粋にそう思っていた) あっ、はは……ボク、ちょっとおかしいのかな。……ソーンさんの首を、簡単にくれてやるかって、おかしい考えだ。 (困ったように、笑っていると……敵が押し寄せてくる。自分らを見定めて、今、まさにと駆け出してくる) ……彩を。どうせなら、最後に、彩りを。あっけない最後なんて、似合わないから。 (送還の光がひときわ強く輝いた。異界の門が開き、元の世界へ、引き込まれる)
(同時に、東から大きな風が吹き付けた。嵐のような、大烈風。木すら薙ぎ倒されかねない、恐ろしい風の乱舞!) (一本の木に纏った炎は、瞬く間に森の全てへ広がる。土足で踏み荒らした侵入者へ、怒りの声をぶつけるかごとく、森が燃える、燃える!) (敵は、浮き足立つ。元の目的なぞ忘れ、ちりぢり、バラバラとなる)……さようなら、ソーンさん。 (ラナの姿が消え、風が止んだ。その後には、巨大な炎。風が止もうと、何をしようと、止まることのない地獄の猛火が、手薬煉引いて、待っている) -- ラナ
- はっははっ……そうかぁ『炎の中意識も朦朧として薄く切れそうではあるが、なぜか声だけははっきり聞こえた』
そうかそうか……ハハハハハ『炎と敵の声が交じり合いはじめる。炎の狂おしい熱が溶け合い』 そいつはそいつは。俺もお前も連中に好きにさせるのは尺でなぁ、カカカ! またなぁ! 『怒号と炎が溶け合い、戸惑いやざわめきを越し恐怖に焼き焦がれる。全てを燃やす地獄の扉が開いた』 『ヤツは!あれは!燃やされる!逃げられない!殺す!殺せ!首を!逃げろ!誰か!』 お前は最高の相棒だったよラナ……クククク……『炎の中、一つの黒い影が反り返るように立ちあがり、悪魔のように大きな口が開かれた』 『ハハハハハハハッ!!!!!ワハハハハハハハッ!ガハハハハハアハキヒヒイイイイイギギギギ!アハハハハハ!』 『その日、殲滅にきた敵兵の話曰く。炎の中に悪魔が生まれて一人の傭兵が消えたとの 話だった』 -- ソーン
- --
- 火焔に因って起こされた、阿鼻叫喚の地獄絵図。それを尻目に、異界の門はひっそりと閉じられた。 --
- 故郷、メイトルパに帰ったラナは、ソーンとの別れを悲しみながらも、久々に会う家族や仲間との再会を喜び……。
“向こう”の世界で何があったのか、そんなことを話し、その世界を少なからず惜しむ。 月日が経つにつれ、その記憶は風化して、平和な世の中でのんびり暮らしました、とさ。 --
- そう続けばどんなに良かったことでしょう。故郷に戻ったラナは、悲しみも喜びも、お預けを喰らってしまいました。
理由は、故郷の異様な雰囲気。嵐の前の……といった、生気のない、張り詰めた空気。 --
- 人々はラナを見て、一応は喜んでくれたようでした。しかしながらに、その空気の中では、それも長くは続きません。
土産話も手に持ったまま、「どうして?」と聞いてみると、成る程その訳がわかりました。 -- ラナ
- とある、オルフルの一部族の侵攻。それが、つい目の前まで迫っているというのです。……どうしたことでしょう。
この世界は、弱肉強食、自然の世界。しかし、強者が何もかも口にする世界ではありません。 小さな競り合いはあっても、大きな侵攻はない、そんな世界です。 -- ラナ
- ……その均衡が崩れたわけは、簡単でした。異界から、戻ってきた者がラナの他にも居り……その者が、“人の争い”を知っていたから。
それは少し悲しいことでした。ラナは、異界でオルフルの一人と出会って居ますが、それは決して決して、悪いオルフルではなかったし、他もそうだろうと思っていたからです。 -- ラナ
- にわかに、集落が騒がしくなりました。襲撃です。……元々、気性の穏やかなポルル族の集落は、火を打ったように。 -- ラナ
- ラナが、飛び出しました。 --
- (オルフルの群。一糸乱れぬ、軍隊のような足の運び。まさに獣といったしなやかな体躯、鋭い嗅覚。その量、視界を埋め尽くす程)
(しかし、こちらの世界に戻る前、見た光景よりはずっとずっと小さい。人の真似事では、人の怖さには通じない) (今は、もう、背中を守ってくれる人は居ないけれど、それでも、足を踏み出せる。懐かしい臭いがする) シャァアアアアッ!!! -- ラナ
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- 異界から持ち込まれた争いが、異界での大切な記憶とぶつかる。火花を散らす。血の華を咲かす。
これは、本当におしまいの話。ちょっとした所であった、ちょっとした出来事の完結編。 -- ラナ
- その後のラナは…………平和な世の中でのんびりと暮らしましたとさ。おしまい。 --
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