イモーゲン家出身 チキンフォーミー・イモーゲン 11635 †
チキンフォーミー役 床井咲
チキンフォーミー・イモーゲン、本名チルアウト・イモーゲン。 彼女は突如この酒場に現れ、その日のうちからすみっこの一席に陣取りあやしげな指輪を売り始めた。 いわく「こいつの威力はマジだぜ!死ぬ気がしねえや!エースの俺が言ってんだ、間違いねえ!」 死にたくない一心から藁にもすがる気持ちで、告白の願掛けに、アクセサリに、大切なあの人への贈り物に、関連事業も立ち上がりリングはこの酒場のちょっとしたブームにまでなっていた。 これが後に言うトルマリン特需である。 しかし、やはりというべきか指輪ひとつごときに動かされるほど死の運命は軽くはなかった。 トルマリンリング神話は崩壊し、一部の冒険者は当然の怒りをあらわにしていた。 「インチキ商品売りつけやがって!」「あの女許せねえ!」 「制裁だ!」「おっぱいもんでやる!」「俺も!」「俺も!」「お祭りだ!」「サイバトロン戦士アタック!」 男たちは宴の会場へとかけつけた。 いつも彼女がトランク片手にセールストークをまくしたてていた酒場のすみっこの席。 そこにはいつもの詐欺師の姿はなく、かわりに一枚の紙切れがおいてあった。
彼女が16歳になった頃、母親が家の金のほとんどを持って失踪した。 「これを持っている人だけが近い未来訪れる世界の破滅から逃れることができるの!これを販売して私は多くの人を救い、さらにその差額が収入になるのよ!」 22歳になった彼女のもとには大量の借金と、母親が買ってきた大量のガラクタ同然の指輪が残った。 借金は普通に働いて返せる額でなく、彼女は金を手に入れるために指輪を奇跡のアイテムとして甦らせる必要があった。 指輪は売れず、スジものに返済を追い立てられ、彼女はどうしようもないほどに疲弊していた。 その男は指輪の効能ひとつひとつにすげえ!すげえ!とうなずき、じゃあ全部の指にはめるからよ!と言って嬉々として10個を買っていった。 これだ。石よりバカな冒険者の連中になら売れるかも! 目論見はハマりリングは順調に売れ、借金も減った。しかし彼女の心の休まる時はなかった。 いくつかの酒場を転々とし、あるときたどりついた酒場ではおかしなことが沢山あった。 おかしなことにそこではよくわからん機械や、どう見ても魔物のような連中が平気で闊歩していた。 おかしなことにそこでは指輪がまるで本当に奇跡のアイテムのようだった。買った人は皆死なない、想いが叶った、アイテムが手に入ったと大喜びでお礼を言いにきた。 おかしなことにそこでは初めての友達ができた。彼女は居心地の良さを感じて離れたくなくなってきた。 指輪の力でなく自分自身が受け入れられたような気持ちはあったが、そんなのは都合のいい錯覚だと自分を律し、彼女はまたどこかの酒場へと旅立った。
使ってくれてありがとうございました! †
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