ヴァルキサスの化身 †
森の道を往くときに冷たい風が吹いたら、絶対に振り向いてはいけない。
奴らは風で振り向かせる為にあの薄気味悪い馬を乗り回しているんだ。
主に冒険に行っていた人型の異形達。
彼らは個であって多である。
御伽噺では不吉の象徴として描かれており、この異形の姿を見た者は数日以内に凶事に見舞われると言われている。
化身たちの意思、意識はヴァルキサスと共有されており、化身達の見聞き経験したものはすべてヴァルキサスの得た知識として吸収される。
矛盾の信奉者 †
成せば成らぬと人は言うが、我らが王は心一つで成さずとも成し、成すとも成さない。
矛盾とは時に事象すらも捻じ曲げるのだ。
ヴァルキサスを信奉する異形の神官。
主にヴァルキサスの逸話、御伽噺を広め、ヴァルキサスの力の支配域を広めるために暗躍している。
元々は人や何らかの知性体だったものと、元からそういう存在としてヴァルキサスに産み出された者と2種類いるが、基本的には同じ者として扱われている。
ゲブリッド †
……痛い、痛い、痛い、苦しい、痛い、苦しい、痛い、痛い……
様々な死体を掻き集めて作った魔物。
多であったにも関わらず個、死しているにも関わらず生きているなど、矛盾を固めて存在している魔物であるため、ゲブリッドはそこに存在するだけで常に苦痛に苛まれ続けている。
痛みの化身とも言われる。
御伽噺では「悪いことをすると魔王に連れ去られてゲブリッドにされちゃうぞ」などと子供嗜める為に使われていた。
木蔭に潜むモノ †
そらそこの木蔭を見ろ。そらそっちの暗がりを見ろ。
そこで何かが見ているぞ。そっちで何かが聞いてるぞ。
森に潜む邪霊達。
見えないのに見えると思えば見えてしまう。聞こえないのに聞こえると思えば聞こえてしまう。
一度意識してしまえば暗がりは全て邪霊の住処に見え、ざわめきは全て嘲笑に聞こえてくる。
御伽噺では森で人が迷うのはこれら邪霊の悪戯のせいだと伝えられていた。
矛盾の悪魔 †
信じてはいけない。だが、疑ってもいけない。
力を得たヴァルキサスの化身達。個体数はそう多くない。
普通の化身達とは違い、彼らはヴァルキサスとはまた違う個別の魔族として存在している。
曲がりなりにも悪魔なので、正しい契約を結べば人間でも使役ができる。
矛盾の怪物 †
それを初めて見たとき、近くで見ても遠くで見ても大きさが変わらないので、男達は蜃気楼か何かと思っていた。
男達は直後にその認識を改める事となったが、一人は改めきることができなかった。
猜疑心と懐疑心から生まれた怪物。
近くで見ても遠くで見ても大きさが変わらず、見ているだけで頭痛を引き起こすと伝えられている。
夢想を成す者、ザルカノナル? †
ある者は彼に林檎を投げつけた。それは蛙になった。
ある者は彼に藁を投げつけた。それは煉瓦になった。
またある者は彼に鍬を投げつけた。彼は居なくなってしまった。
矛盾の悪魔の中でも特に力を持った個体。
個別の名前と能力を持った上位の魔族であり、潜在的には充分魔王となりえるだけの力を秘めている。
鉄が弱点である為、ザルカノナルの伝承が残る地では魔除けのお守りが鉄で拵えられる地域もある。
知識以外! 叡智以外! 何者も、何、物も、私には必要、な、い! 知さえ、知さえ得られると、いう、ので、あれば、私は、何でもす、る!
知識を得る為になら手段は一切選ばない、知の亡者にして殉教者。
一応、ヴァルキサスには従っているようだが、それは契約があるからに過ぎない。
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