イモ家出身 ゲルゲ・イモ 13851 Edit

ID:13851
名前:ゲルゲ・イモ
出身家:イモ
年齢:31
性別:
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前職:
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理由:
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状態:
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山岳のゲルゲ



「こりゃア、死ぬな」
ふらふらと、頼りない足取りで、ゲルゲは歩いている。
その腹が、己の血で、しとどに濡れていた。

此度、戦いは熾烈を極めた。
何人が死に、何人が逃げ延びたか。ゲルゲは覚えていない。
混乱の中にあって、這々の体で、ここまで逃れ落ちた。
ゲルゲは腹を割かれ、今なお、血は滴り、流れている。

ゲルゲは死を悟っている。
だが、死が目前にあるが故、強烈に駆り立てる思いがあった。
山へ。
ただ、少しでも山の近くへ。
その一念がゲルゲの足を動かしていた。

足は重い。
僅かずつ歩を進めるゲルゲの胸中を、
するりと駆け抜ける景色がある。
それは、冒険者の笑い声。
酒の満ちた杯を打ち合わせる音。
高らかに響く、恋の歌。

長らく独りであったゲルゲも、
いつしか人の輪の中にあった。
その見知った顔が、幾人も、幾人も、
ゲルゲの中に浮かんでいる。

(ああ、もはや俺の帰る場所は、山ではなかった)

ゲルゲはふと、景色が歪むのに気付いた。
我知らず、ゲルゲは、泣いていた。

(こんな顔では、死ねんな)
外套の袖で、顔を拭う。
涙を拭いた顔を、すっと上げ、
ゲルゲは、そこに驚くべきものを見た。
それは、見慣れた酒場の姿であった。

「は、ははっ!」
己にも理解出来ぬ、思いの波が押し寄せ、
笑いとなって口から出る。
思わず、傷も忘れ、ゲルゲは酒場に駆け寄った。
扉に手を掛ける。だが開かない。
「誰か居ないか」
声を掛けるが、応えもない。
その扉は固く閉ざされている。
力の限りに叩いても見るが、びくともしない。

「開けてくれ!開けてくれ!頼む!ここを開けてくれ!!」
ゲルゲはこれまで、出したことがあったろうかと言う程の声で叫び、
残る力を振り絞って、酒場の扉を叩いている。

だがやはり、扉は開かない。
開こうはずもなかった。
ゲルゲが叩いていたのは、赤茶けた地面である。

気付けば、ゲルゲは広い大地に伏していた。
いつ倒れたものか、それも分からぬ。
ただ、その右手が、力なく地を叩いていた。
(我ながら、何とも無様な……)
ゲルゲは、微かに笑みを浮かべ、
最期にぽつりと何事か呟くと、
その拳を、ゆっくりと降ろした。



ゲルゲ・イモ 享年31
──黄金暦92年 3月、人型の怪物討伐依頼にて野垂れ死に──





予約済みの空席 Edit


  • 俺、ずっとあんたに憧れていたよ
    ガキの頃からずっと、アンタになりたかった。俺も立派な冒険者になった。それで引退して・・・店を持った・・・。
    なあゲルゲさんよ、俺はあんたになれたのかな・・・。(そっと花束を置いて静かに歩み去る) -- 2008-11-01 (土) 09:31:40
  • ネリネの花束が一枚のカードと共に墓に置かれている。(カードには「戦友へ」と記されている) -- 10年? 2008-07-26 (土) 04:20:23
  • もう5年も経ったかしら、ね?ゲルゲさんには是非、祝い酒してもらいたかったのだけれども・・・
    今月限りで、冒険者稼業から引退するわ。あの世で再会するには当分かかりそうね… -- エルザ? 2008-05-16 (金) 21:45:40
  • やぁ元気かいゲルゲさん。久しぶりに来たよ。(墓前に酒と花を置く)
    こっちはいまだに地獄の坂道だ・・・。将来有望そうなルーキーですらどんどん去っていきやがるっていうのに・・・俺も性根が悪いもんだ。
    ・・・それじゃ、またこうして愚痴が言えるよう長生きしてくるぜ。じゃあな。 -- アルエ 2008-05-13 (火) 19:26:22
  • (もう少女というにははばかられる歳になった、一人の女)
    (ひとつの墓の前、花を片手に立っている)
    ご無沙汰しています。すみません、忘れたってわけじゃないんですけど…
    (女は屈んで鼻を添えると、静かに手を合わせた)
    もう、4年ですか…早いものですね。少しは大人になっったでしょ?(小さく笑みを浮かべながら、じっと墓を見つめる)
    こんなわたしでも、いい人ができたみたいです。今度は、何も伝えられないのは嫌だったから、ちょっと頑張ってみました。そしたら…。自分でも、驚いてます。また、こうしていい報告ができるといいんだけど…。
    (女は立ち上がると、静かにその場を後にした) -- イオ? 2008-05-12 (月) 12:03:35
  • さて今回も命日の墓参りだ。酒と花置いておくぜ。
    ・・・本当ここの墓場もドンドン拡張されていきやがる。まるで何事も無かったようにな・・・当たり前と言えばそうだが・・・やはり辛いな
    じゃぁまた。 -- アルエ 2008-04-19 (土) 07:04:25
  • 盆。墓の前で女は呟いた。
    「いやぁ、随分経つのに…結構吹っ切れないもんだね、ははは」
    男の好きだった酒と線香を供えると、手を合わせ改めて冥福を祈った。 -- ワルプルギス 2008-04-12 (土) 04:11:45
  • (酒場の片隅の席、少女が腰を下ろせば、酒をひとつ注文して)
    お盆には、霊がこっちに帰ってくるって聞きましたから。
    (少女は差し出されたお酒に軽く口をつけると、テーブルの上に静かにそれを置く)
    久しぶりのこっちはどうですか?いろいろ変わってますか?それとも、変わらないですか?
    (少女はその後暫くの間、何も言わずにただじっと酒の入ったグラスを眺めていた。) -- イオ? 2008-04-12 (土) 01:47:42
  • 夜空に一筋の緑色の光。酒場の上を走り、やがて消えた? -- 2008-04-07 (月) 02:47:28
  • 1年か・・・早いもんだ。(花を墓に供える)
    また、たくさんの人があの酒場にやってきて沢山の人が去って行ったよ。
    ・・・まぁ去ってった奴とその酒で仲良くやっててくれ。じゃぁまたな。 -- アルエ 2008-04-06 (日) 21:36:01
  • 「マスター、質問なのですけれど。・・・そこのお席は何時も空いてるんですか?」
    「・・・あぁ」
    「誰か予約が入っているんですか?」
    「そうじゃない。お前も知って・・・いや、知らないのか」
    マスターはそれだけ言うと口を閉ざしました。
    お前に言う事はこれ以上ないといわれるような、そんな風でした。
    「?」
    わたしはよく解りませんでしたけど。何故かその場所はなんだかとても懐かしくて。
    『おとうさん』、とそう呼びたくなりました。 -- アーミリア? 2008-03-29 (土) 12:47:11
  • 久しぶりに訪れた酒場で、しかしゲルゲの定位置は空席だった。
    マリオンはゲルゲが逝ったことを知らない。いつかの冒険の道中で、フィニスと一緒になって姦しく騒いだことを、もう一度くらい謝りたい、と思っているのだが。
    「ゲルゲさん、いないのか」
    手土産の酒をマスターに預けて、彼女は踵を返す。
    「ま、近いうちに、また一緒に冒険することもあるだろうからね」
    つぶやいて、酒場を後にする。彼女が再びゲルゲを目にすることはなかった。 -- マリオン 2008-03-26 (水) 23:31:21
  • 何時もは依頼の請負、清算以外には余り酒場に縁の無い女である
    しかし、何時も感じられていた泰山の如き気配が消え去っているのを感じ取る
    「あの山男は・・・・・・そうか、逝ったか」
    女は無双の剣客を目指し研鑽を積んでいた
    しかし、かつて背を追いかけていた爆腑も、メルトーナも、もう居ない
    そしてまた一人、猛者が逝った
    「某は・・・・・・何処まで行けるものか。所業・・・無常・・・・・・」
    その夜の酒に、抓みの塩は無用であった-- ジェーン 2008-03-26 (水) 22:06:33
  • 昼の酒場、空席の隣に座る
    「お前さんも居なくなっちまってたか…もうちっと話してみたかったんだが…」
    そう呟いた、子供たちを三人大きなひざの上に乗せていた
    この男から貰った木材、素人目にも良い物だとわかった。ぬくもりを感じるその木材で作ったベビーベット、子供たちが今でも遊んでいる積み木
    男から貰った木材は形を変え今でも大切に使われている
    不器用な男だと、始めてみたときにそう感じた
    だがあの木材の様な柔らかさと優しさを秘めているそんな男だと…思った
    「なぁ、ニア・シェン・ファン…あの席にいつも座っていたお兄さんはな…」
    そう言って暫くある男の話を子供たちに聞かせた -- ビースト 2008-03-26 (水) 21:19:17
  • (皆が去っていったのを見計らって空席の隣に座る)
    ・・・最初に俺と話した日の事を覚えてるかい?思えばゲルゲさんに最初に話しかけたのって俺が酔った勢いで酒を奢った奴だったよな。
    あれが俺にとってのゲルゲさんの始まりだった・・・。気づけばあれからお互い別々の道を歩んで・・・。影から見守らせてもらったが、やっぱあんたは尊敬に値する冒険家だったよ。
    さて、祝いの酒だ。あの時と同じ銘柄のやつ持ってきたんだぜ?
    物語の始まりが奢りなら・・・終わりも奢りで締めくくろう。(二つのグラスに酒を注ぐ)
    俺の・・・いや・・・英霊ゲルゲを祝して、乾杯(酒場の隅で静かにグラスの音が響いた) -- アルエ 2008-03-26 (水) 16:17:21
  • 深夜-
    その空席の傍にいつの間にか、少女は居た
    「そうか、力尽きたか」 鈴の鳴るような声で、ぽつり
    少女は一人、思う(あの偏屈の事だ、臣には応えまい)
    星の綺麗な、月のとても綺麗な夜。
    「今日は随分と…輝かしい蛍火が多い。君もその一人なのだろう?」
    何時もは、殆ど表情を変えぬ、この女が…
    少し笑った。「また何時か、君の前に」 -- 戒厳? 2008-03-26 (水) 00:23:16
  • (無遠慮に空席に腰を下ろすと普段は呑まない強い酒を瓶毎一口浴びるように呑む)
    (瓶を口から放すと机に叩きつける用に置き無言のまま勘定を済ませ席を立ち酒場から出て行った) -- レイヴン 2008-03-25 (火) 21:22:56
  • その日、少女は確かに違和感を感じていた。既に3年にもなろうか。通いなれた酒場、何かが足りないという感覚だった。
    入れ替わりの激しい場でもある。すぐには気付くことは出来なかったが、なるほどいつもいるあの席に、いつもいたあの男がいない。
    話したことなど無かったが、不思議と存在感のある男であった。
    掲示板の戦没者名簿を見ようと思ったが、止めた。そういえば、あの男の名も知らぬのだ。
    少女は見知らぬ隣人に短く祈りを捧げると、地下の自室へと足を向ける途中、「そういえば彼女から貰った彫刻は、彼がよく酒場で彫っていた彫刻に少しだけ似ている。」とふと思った。 -- アルマン 2008-03-25 (火) 21:10:35
  • 「……久々に酒場に来てみれば、様変わりしてるじゃないか」
    久しく遠のいていた足を酒場に向けてみれば、見知らぬ冒険者ばかり。何とももの侘しい。
    見知ったバーテンダーもいなければ、決まった席で酒を舐めていた男の姿も忽然と消え去っていた。
    「異界にでも取り残された気分だなぁ」
    酒場に背を向けると、頭上に降り積もった困惑を振り落とすように頭を動かし、男は姿を消した。 -- ラディクス? 2008-03-25 (火) 19:22:18
  • あんた、最後までいい男だったぜ -- 酔っ払い? 2008-03-25 (火) 19:21:52
  • 『いつもの席』に座っていた男に負けず劣らずの体躯を持った男が酒場の隅の席に着き、空いた席を見ながら何かを呟いている。
    「・・・ゲルゲさん・・・ もっと話がしたかった、な・・・ クッ・・・」
    男は苦い顔をしながら睨み付けていた酒を飲み干す。
    「・・・俺は以前言われたことを忘れちゃあいませんよ・・・ その力でただ生きればいいと・・・」
    それでも今は悲しむことを許してください、と男は小さく力なく呟いた・・・。 -- テツ? 2008-03-25 (火) 17:25:00
  • http://notarejini.orz.hm/up/d/hero20021.jpg -- 2008-03-25 (火) 16:25:24
  • 大きな男がいつも座っていた席。いつも見られた暖かいその横顔は今は見られない。彼に死などありえない。そう思い始めたのはいつからだろう。この道に生きるものであれば、誰であろうと死はすぐ隣にいる。そんなことは承知していたはずなのだが、彼に関してはありえない、そう思っていた、いや、そう信じたかった。
    「ひどい冗談じゃないですか。こういうの、好きじゃない…」
    口から出たのは弔いの言葉ではなく、恨み節。唇を噛みながら、しばらくその席を眺めると、踵を返して歩きだす、酒場の外へ。泣きはしない、誰が泣いてなどやるものか、その呟きは小さな嗚咽に掻き消えた。 -- イオ? 2008-03-25 (火) 16:18:00
  • 予約席の、隣の席。少女と男の数少ない接点に、少女は腰を掛けた。
    「さて……そろそろマジで手合わせ頼もうかな。マスター、旦那は? まだ帰ってきてないの?」
    明るく問い掛けた声に返答はないが、確かに届いたのであろう、少女の前によく冷えたエールが出された。
    「まだ何も頼んでねえけど……あ、もしかして奢り? へへ、気が利くなマスター」
    少女は杯を傾けながら、人の流れる様を見て男を待った。
    いつもの酒場、いつもの喧騒、そこにぽっかりと空いた一人分の空間。
    いつまでも、男は来なかった。 -- アルマ 2008-03-25 (火) 15:58:41
  • 「アンタの剣は・・・・・誰かを導く剣だ、そう言ったよな」
    思い出すのは、殆ど言葉を交わさずとも酒を楽しめたあの日々。そして狼と熊が戯れに剣を交えたあの日の事。
    涙を望む男ではなかった。だから、狼は牙を噛み締めそれに耐える。
    「あの世でも、それは変わらないと思うんだ。だから・・・」
    腰に下げた刀を引き抜く。鉈に似たそれは、青褪めた光を湛えていた。酒場の外へ出ると、それを頭上へ掲げる。
    「俺がずっと先、ジジイになって、黄泉路に迷った時は、導いてくれよ。またいずれ・・必ず、会おう!」 -- ヴォルフ 2008-03-25 (火) 15:31:54
  • 死は等しく私達に訪れる…しかし、そんな事を分かっていても別れは辛いな。
    あなたに教えて貰った事はたくさんあった。それを忘れずに私は生きていくことにするよ
    ありがとう。ゲルゲさん…(花を供える) -- ミズ? 2008-03-25 (火) 15:23:26
  • 「バカ野郎が…師匠より先に死ぬ弟子がどこにいやがるってんだ…」
    (静かに酒を注ぎ、干す)「あ?オメーみてえなバカ野郎にやる酒はねえよ。」
    「ったく…バカ野郎が。せいぜいあの世で楽しくやれよ…。」
    そう言い残すと男は席を立った。
    そこに残されたものは、徳利と、男が愛用していたぐい飲みだけであった。 -- ゲンゾー 2008-03-25 (火) 15:18:22
  • 報せを聞き男の下へ馳せ参じた女だったが、待てど暮らせど男は戻らない。
    何もかもが遅すぎたと知り、女はただ涙を流すのみであった。 -- ワルプルギス 2008-03-25 (火) 15:17:08

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Last-modified: 2008-11-01 Sat 09:31:40 JST (5645d)