| キボウホウ家出身 喜望峰 数多 411074 | | |
|  | ID: | 411074 | 



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名前: | 喜望峰 数多 |
出身家: | キボウホウ |
年齢: | 26 |
性別: | |
前職: | |
理由: | |
状態: | |
方針: | |
難易度: | |
信頼性: | |
その他: | ステータス/戦歴/冒険中? |
響: | ステータス/戦歴 |
活動時間: | 21時〜2時が基本的な時間 昼休み前後はちょっと居る |
状態: | | |
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| 神様に服を買ってもらった | ぁああああぁあ……/お、おき、た……(土下座) | |
みくだり †
プロパティ †
彼の人生のお供には、鬼が1匹、猫が1匹。
学園生活を経てちょっと(だいぶ?)俗っぽくなってきたような。
探偵業始めました。
名前 | | 喜望峰 数多(kibouhou amata) | 鬼亡峰 塰音(kibouhou amane) |
ステ/戦歴 | | ■/■ | ■/■ |
種族 | | 人間 | 鬼 |
好物 | | 甘味 | 酒、甘味 |
食欲 | | 燃費悪い |
嫌物 | | 酒(嫌いじゃなけど強くない) | なし |
能力 | | 微微針(距離を精確に測る能力) | 乾巽針(方位を精確に知覚する能力) |
武器 | | 剣・槍 |
続柄 | | 甥孫 | 大叔父 |
歌 | | ポップミュージック論 | oratio |
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飼猫 | | 外見:赤毛 | 名前:火車 |
RP方針ここらへん//
街を外れた所にある小屋 †
コメント用 数多&color(CornFlowerBlue){}; 塰音&color(goldenrod){}; &ruby(){}; &br;
携帯環境の時は「」が数多、『』が塰音
間取り:囲炉裏部屋(畳)・奥の寝床(畳)・台所・納戸
職場 †
職場その2 †
交友帳 †
がんばれよ
ほらがんばれって俺
大事なもの †
貰い物とかね。
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公子先輩に貰ったキーピック | イルルさんとS科お茶の間 |
以下設定 †
塰音の設定はこっち
背景 †
遥か東に位置する地域。
妖怪は生きる為に人を喰らい、人は生きる為に妖怪を殺す。
その中にある一つの村。
かつて塰音が天音として人間として妖怪を狩り、日々を生き抜いていた村。
数十年振りに訪れたその村は既に滅びていた。
生き残りの少年が一人、奇しくもその姓を喜望峰、塰音の血縁の者である。
彼もまた塰音と同様に呪いを受け、一人佇んでいた。
その名を数多。10歳の時の事である。
人柄 性格 †
- 一見礼儀正しく大人しめだけど脳筋
- 一人称「僕」
- 愚直、実直、篤実、律義
- 一応基本的にはですます口調。簡単に地が出る
- 表面的には結構ポジティブシンキング
- 知らない間に入れられた学園にもがんばって順応する志
- 保護者に負けず劣らず燃費が異様に悪い。アホほど喰う。ド甘党。先輩方のおかげで酒は少しだけ飲めるようになった
- 保護者も自分もアホみたいにエンゲル係数が高いのでわりと貧乏。学費は冒険で賄う
- 眠そうに見える事が多い。が、多分飯が足りてないだけ
- 不器用で人の好意を真正面から受けるのが苦手
- 保護者である塰音とはロックとテリーぐらいの関係
- ただし彼は姓を明かしておらず血縁である事は知らない
- 村を滅ぼした種族「鬼」を大変憎んでいる
- 「鬼」には超反応を起こす、吸血鬼や餓鬼とかでも反応する。問答無用で喧嘩をふっかけることも。
- 節分とかそういうイベントではちゃんと空気読む。
- 人の髪触るの好き。黒髪超好き。
- 呪いについて
- 28歳の誕生日で死ぬ運命
- 左脇腹に呪詛の紋があり、時を追い成長する。最後は心臓に達する
- それまでは四肢を失おうが頭を吹き飛ばされようが死なない。生かされる
- 故に彼は己の死に関して今のところ全く頓着が無い
- その代わりに他者の死には酷く敏感である
- 文化レベル
- 大正日本ぐらい
- 長らく旅の空の下だったので、異文化への順応性は高め
見た目 その他 †
- 体型
- 身長 少し伸びた。180cmほど 体重は60kg前後
- 顔
- 黒髪で黒目、ちょっと三白気味
- 肌の色は典型的な日本人カラー
- 肩口位までのちょっと長めの髪
- 服装
- トップス
- 和柄シャツにジャケット。探偵風コートに憧れる昨今。
- 首には高速攻撃用のフライトゴーグルを下げている。
- ボトムス
- 動き安い麻ズボン。膝を締める組紐付き。ズボンの下には具足。
- 靴はエンジニアブーツだったり下駄だったり。
- その他
- 腰に帯刀。刀と脇差の2本。ジャケットの裏には苦無を6本下げている。
- 冒険中は左手にグローブ、右手に手甲。
- 腰に筒状のランタンを下げている。中には火や電灯ではなく放電球が納まっている。
- 普段は真っ赤な毛の猫を1匹連れ歩いている。
- 名前はカシャ(火車)
- 教室に入れるのはとりあえず自重。
- 夏フェスに向けての公子との特訓によりスキル:「エレキギター演奏Lv2」取得
戦闘 †
武装 |
「沈紅剣」 | 超高速に耐えうる特殊な素材で鍛えられた暗い紅色の刀身の剣。 | 紅鉄製 |
「唄う雷鳥の剣」 | 刀身に穴の開いた特殊な脇差。帯電性の高い特殊な塗料が塗布されている | 振るうと甲高い音を出す |
「無銘の槍」 | 何の変哲もない槍 | 全長2m強 |
苦無 | 投擲武器 | 6本装備 |
「砂漠の一握(アグリッパー)」 | 手の平に強力な魔力防壁を施した出来の良い手甲(右手のみ) | 本来は魔力の篭った鉱石を加工する為の、 作業用の手袋と思われる |
「ルシャトリエの結石」 | 黄金の熱力結晶。チョーカーにして装着している | 体力と引き換えに雷獣使役時間を最大で0.5秒近く延長する 最大まで使えば確実に倒れる |
技 |
居合の型 | 足を一文字に開いた、身体全体を使う居合の構え | 距離を測る力との親和性が高く、後の先を取る能力に優れる |
二天の型 | 右手に刀、左手に脇差を手にした二刀流の構え | 複数の敵に対応する際に取る事が多い |
使役 |
雷獣「限真」 | 雷の召喚獣。騎馬、狼、山羊、人形の何れかの姿で現れる | 持続時間1秒 |
┗ | 稲妻(アクセル) | 自らを稲光とする電速の一撃 | 限真召喚中 |
┗ | 震電(エレクトリガ) | 相手を掴み、直接高圧電流を流し込む必死必殺の一秒 | 限真召喚中 |
┗ | 閃電(エレクトライブ) | 電界の揺らぎを検知するエリアの形成及び対応する電操の設定による 自身の認識とは無関係に発動するオートカウンター | 限真召喚中 |
┗ | 一触(バンク) | 超々至近距離、電速の1インチパンチ | 限真召喚中 |
┗ | 放電(スキャッター) | 前方広範囲の電撃。電圧は高くない 範囲を絞って威力を増すなどの制御はまだ出来ない | 限真召喚中 |
┗ | 雷球(クラスタ) | 球形の電気の塊を一定の範囲内の任意の場所に出現させる。 | 限真召喚中 |
┗ | 追風(ストローク) | 雷光による空気の膨張が音速を突破する事による衝撃波 電撃の効き難い相手用、狙った当て方をし辛い | 限真召喚中 |
能力 |
微微針(びびしん)・改 | 長さ」を極めて精確に認識把握する異能 | 常用最小単位四半寸(約3/4cm) 測る事に集中すれば0.1mm単位の認識も出来なくもないが非実用的 |
死を怖れぬ心・真 | 生きたいと強く願う心を伝う境地。 期限までは絶対に死なない運命の最大活用 | 定められた死を乗り越える決意により取得。 スーパーアーマー系 |
怪異慣れ | 幼い頃から魑魅魍魎と渡り会っているいる為、 不可思議な事態に遭遇した際のSAN値の減少幅に少しだけ-補正が掛かる。 | あくまでも少しだけ |
防人の血統 | 人外の存在がなんとなく察知出来る | 血が薄い、人に溶け込み過ぎてるなど、結構色々な理由で通用しない 満月の日は夜じゃなくても感覚が冴える |
計数処理Lv3 | 能力により弾き出される様々な距離を戦闘に利用する為の数理処理。 神速の四則演算により対象の速度や攻撃の角度の導出を行う。 | Lvがあがると三角関数やベクトル計算にまで発展するかもしないかも |
氷魔法Lv1 | 学生時代、ラジア・ルクスから簡単な手解きを受けた、氷魔術の基礎 | 氷の魔道器取得により使用可 |
- 基本的には居合道がベースの日本剣術で戦う
- 相手によっては槍を持ち出す事も、但し練度は剣に劣る
- 能力故、出方を待って後の先を取る戦法を得意としている
- 時折天賦の才能を見せる事がある。彼の村で若干10歳にして一人で生き延びて来たのはそれなりの理由がある
- 必殺技の類は召喚した雷獣による電撃属性の攻撃
- 召喚が維持出来るのは1秒、実質的には派生技を1回使えるだけの時間
- 練度が上昇しても派生技が増えるだけで持続時間は増加しない
- 派生技は特定の口上を唱える事で性能が増す
- 都合により口上の詠唱中は持続時間は減らない
- 仲間の援助があれば持続時間を増す事が出来るかもしれない
- 腰に下げた放電球のランタンのスイッチを降ろすと召喚の準備が整う
- この放電球は持ち主の生体電流から少しずつ電力を充電する代物
- 30分〜15時間程度で1秒分の電力がチャージされる。非常にムラがあるが本人の状態に拠る。1秒分以上は充電されない
- 緊張感やテンションが高いと早く溜まりやすい
- もうちょっと長くなったらレギオンしよう……
昔語 †
+
| | 神隠し、あるいは神隠され
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数多の故郷を含むこの地域には、所謂「神隠し」という現象が少し変わって伝承されている。
唐突に現れる異邦人、異物。
遠くの国の人間だったり、別世界の道具だったり。
「何処かから何かが現れる」その現象こそが神隠しと呼ばれていた。
本来の意味での神隠しに遭遇する者も居た。
がしかし、殆どの場合離れた場所で見つかるか、無事に帰ってくる。
例外的に帰ってこれなくなったとされる者も居たが……彼らは何処かで生きていると信じられている。
この事は彼らの言う神隠しとは区別され、「神隠され」と呼ばれていた。
何よりもの奇妙なのはこの地域では神隠しも神隠されも頻発するのだ。
あるいはその余に特異な環境が人と妖の殺合を呼び込んだのかもしれない。
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+
| | 東の国の南の村
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その村の住人は妖怪とは何ぞや?と問われれば、人を喰らう敵と答うる。
人と人為らざる者達は多くの場合に置いてその棲み分けを自然と別つが、
世界には互いの生き方が相対する地域が点在している。数多の故郷もその一つだ。
人は生きる為に妖怪を殺し、妖怪は生きる為に人を食らう。
誰彼共、疑を差し挟む事無く戦いを続ける。只管に。致し方無く。
その見方によれば滑稽とも言える凄惨を、しかして地獄の閻魔も罪に問いはしまい。
致し方無いのだ、何もかも。
そんな村に数多は生まれた。そんな村で数多は育った。
この村では凡そ人の持ち得る敵意・悪意・疑念の類は村外の人外共に向けられる。
人は互いを拠所とし、生きる為には団結を強いられる。
そんな環境が数多の人を疑う事を知らぬ、純粋実直な性格を育んだ。
そして妖の者に向ける強い憎悪も。
|
+
| | 滅び
|
その拮抗は、とうの昔に崩れていたのだ。
いつしか現れた、妖怪を纏め上げる種族「鬼」
高度な知性と並外れた強靭、そして何よりも恐ろしいのは……「呪い」
彼らは断末魔の代わりに仕留めた敵に呪いを掛けるのだ。
災厄は様々。
狂い果てる者やその場で死ぬ者、運気に見放される者。
鬼の側に引きずり込まれた者も居るという。
かつて最強とされていた青年もまた、鬼の呪いにより姿を消した。
それから数十年、真綿を締めるようにじわり、じわりと、衰亡の一途。
黄金暦にして150年頃、東の国より一つの村が消えた。
生きる為の拮抗を失った妖怪達もまた滅びた。
|
+
| | 名を数多。数え尽くせぬ者
|
村に残ったのは少年一人。
果たして他の住人は皆総て喰らい尽くされた。
残る妖怪は鬼が一人。
果たして餌を失った彼らは共食いの果てに一人残った。
少年の名は数多。喜望峰 数多。
かつて鬼の呪いを受け村を去った男の血縁の者である。
純粋実直に育った彼の鬼への憎悪もまた、純粋。
隣人、友人、恩師、兄弟、両親さえも、皆目前で喰らわれた。
その光景を彼は生涯忘れない。夢枕に現れる事も屡也。
互いに一人となってから、若干10歳を下回る少年は鬼と対等に渡り合った。
極限が彼の天性の才を開花させていた。
腕も知恵も五分と五分のままの数ヶ月、雑草を喰らい泥水を啜りの虎視眈々。
一方で鬼は飢餓の内にその直力を弱め……凡そ1年に渡るかくも悲しき鬼ごっこは幕を閉じた。
鬼の断末魔。呪いの受諾と引き換えに。
|
+
| | 邂逅
|
数十年振りに訪れた故郷を目の当たりにした青年の嘆息。
こうなる事は分かってはいた、何れ避けられぬ滅びの一途。
しかしながらなんという無常だろう。
鬼の眷属の化した自らが訪れたのは最早滅びた故郷だとは。
余に無力、その溜息と共にかつて自らが護ろうとした村を隅々と歩く。
最後に脚を向けたのは己が姓の由来が岬、喜望峰。
見つけたのは夥しい数の墓、出会ったのは齢十歳の少年。
人も妖怪も居なくなった村で数多は一人生きていた。
身に受けた呪い。脇腹に彫られた馴染まぬ紋がじくじく騒ぐ。
命の灯火は残り十と八年、何も考えまいとする彼は一先ず一つの事に打ち込んだ。
村人の弔い。骨や遺骸が残る者総てを海臨む喜望峰へと運んだ。
穴を掘り、木の碑を立て。遺骸すら残らぬ人の分も総て。
その数、百と十六。
飲まず食わずに只管と。その弔業を支えたのもまた呪いであると知るのは暫くの後。
祈りを捧げる彼の背を見つめるのは、かつて人だった鬼。
数多の旅の始まり。
「生きる」を誰よりも早く駆け抜ける少年の物語の始まり。
|
+
| | 親友
|
数多が13歳の頃、二人と旅を共にした少年が居た。
どういう出会いだったのか、数多は覚えていない。
それほどすぐに打ち解けてしまったからだ。もう一人の家族だったみたいに。
なんで今まで黙ってたんだい?
突然の告白だった。自分は人間では無いのだと。
些細な事だった、数多にとって彼は親友だったから。
気にするなよ、別に人を取って食ったってわけじゃないんだろう?
「ごめん」
次の瞬間にはもう首を切り落としていた。
流している涙の理由も分からなくなる程の純粋な憎悪。
親友の首を抱きむせび泣く数多の背を、鬼は見ている事しか出来なかった。
|
+
| | 切人懺悔
|
「そうか、その話はあいつから?直接?なるほどな」
「そりゃあ十二分に信頼されてるって事だ、喜んでくれりゃ俺も嬉しい」
「で、だ、言ってたろ。大層な事。時間がねえ、だから生き急ぐしかないって」
「大変全うな正の思考だがよ、ありゃあ半分ホントで半分ウソだ」
「死期が分かってるなんて怖ぇに決まってる、まだガキなんだぞあいつは」
「まぁ人ってのは慣れるからな、随分隠すのが上手くなったもんだよ」
「笑っていても、泣いていても、怒っていても、あいつぁ一人ぼっちだ」
「俺にゃあどうにも出来ん、頼む、この通りだ、力になってやってくれ」
「代わりに、あいつぁたった一つの事を確実に約束出来る力がある」
「未来……特に冒険者の未来なんぞ不安に満ち満ちているが」
「数多は次の1秒、次の1時間、次の1日、来月、来年、必ず居る。いなくならねえ」
「『その日』が来るまでは、絶対にだ」
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| | 神隠鬼没
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「神隠し」……って知ってるかい?
そう、やっぱりそうだよね。今でも少し驚くよ。
何せの僕の周りでは神隠しっていうのは……
一つ昔の話をしよう。
夕暮れ時に林の中を急いでいた。
うかうかしていると妖怪に食べられてしまうのは、御伽噺ではなかったからね。
すると突然目の前が真っ暗に…いや、真っ白だったか?良く覚えてはいない。
全く違う景色。見た事も無い街並みを望む、崖の上。
そこに僕は立っていた。
右目から角を生やした憂い気な顔の男がいた。
見るからに人間ではなかったけれど、不思議と恐怖はなかったんだ。
運命は集積する。
彼の者の気まぐれで。
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+
| | 限真
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ほう、私と話が出来るのか?
宿主以外の人間と口を利くのは久しぶりだよ。
私を覚えていてくれるなら、限真。
「限真 右乃」そう呼んで欲しい。
見ての通りの雷獣さ。尤も、雷など力の一端に過ぎないけれど。
自分で言うのも大概な話だが、電子を操るとなれば私の右は居ないとも。
それでも姉さんの足元にも及ばない程度の力だけど。
こうしているのはまぁ趣味みたいなものさ。
元々人間が好きでね。
数多かい?ああ、こいつは中々に面白いね。宗房の少女程じゃあないけども。
生きると死ぬがこんなにも混濁して尚必死な人間は珍しい。
問題はこの私を扱うに中って、こいつは聊か才能に尖りが過ぎる。
力を引き出すに置いては凡そ人間の中でも無類の位置だろう。
光子を応用するに中っては何れ人類でも五指には入るのではないか?
ふふ、まぁそれは過言を多分に含むが。
しかしながら霊力の質がちと私とは相性の具合が宜しくない。
つまりね、持たないんだ。こいつの体はそう出来ている。
具体に問えば外部からの光子エネルギーを1秒以上留めるのが非常に難しい。
故にこうして道具で補わせているわけだが、それで1秒が限度というわけだ。
誰かがその役目を肩代わりするのであれば……あるいは。
さて、そろそろ時間だね。
気が向いたらまた話に来ておくれ、私は人間が好きなんだ。
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+
| | 草葉の陰
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「嗚呼、彼方という人は、本当になんて無茶をするのでしょう!」
塰音がもう一方の角を根元から折ったのは、数多と出会った次の日の事だ。
「鬼にとって、それがどういう事か分からない彼方では無いでしょうに!」
鬼となった日、衝動的に折った左の角。
二月程前に折った右の角。
両の角が凡そ生え変わるまでに百年を要する所か。ともあれ。
今目の前に居る大事な人を非常に非常に心配させて居る事はなんとも心苦しい。
久しく会ったと言うに。毎度の小言もこの時ばかりは胸を衝く。
「すまねえ、でも、俺はこいつを見届けねえと。分かってくれるだろ、映姫」
身体を酷く重く感じる。霊力の衰えも著しい。
それでも歯を食い縛らなければ。
まだこいつは、俺にゃあ向き合えない。しかし向き合わせなければいけない。
願わくばこれから起こる数多の出会いよ。
こいつを救ってやってくれ。
|
+
| | 満天
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風にしなやかに靡く長く黒い髪を今でも覚えてる。
満天の星空の下で誓った約束。
「必ずまた会える。」
その約束は果たされる事は無い。
彼が来る時を諦める事が出来たのは、もう彼女が居なかったから。
彼が残りの時間を使い尽くそうと強くあれたのは、もう彼女が居なかったから。
初恋だった。
でも、その影を追う事は、もう無い。
|
+
| | 巨人の肩の上に立つ
|
鬼の呪いのもう一方の側面に気付く者は少ない。
殆どは間も無く死に至る故に無理もない。
鬼の霊力によって付与される皮肉な力。
鬼の力の顕現。
夕闇に聳え立つ機械の巨人の姿。
固有結界「巨人の肩の上に立つ(アース・シミュレータ)」
相対する敵の機微の尽くを解析するバベッジ・ギア。
これが塰音の持つ「方位を精確に知覚する程度の能力」の真の姿。
一方で、数多の力。
鬼に与えられた忌まわしき力。「距離を精確に知覚する程度の能力」
奇しくも二人には、物事を測る力が与えられた。
何故に?
|
+
| | ” ”
|
その「鬼」は、既に種として絶たれ。
文献の類も人亡き村に残されているはずもなく。
手を掛けるとすればただ、二人の記憶のみ。
徒々途方に暮れるばかり。
「罪の様々を無理無数に見つめてきた私には、一つ思う所があります」
「……その心は?」
「凡そ呪いとされる類々、数多ある術の中でも取り分けて使い手の思念思慮の分を多分に含みます」
「つまりだ……この僕の目ん玉から角が生えてんのも、そいつの願いだってか?」
呪の形が其々に違うのは、それで説明が付いている。
異様な強力さは、単に死に伴う怨念だからという所。
「とはいえ、これで貴方を人に戻せるわけでもないのですが……」
「そいつあ、いいっこ無しだぜ」
人であった頃の、そんなやり取りをふと思い出した。
鬼と化し、旅を続け、数多と出会い、また旅を続け。
今にして思う。
あの鬼は、人間と友達になりたかったんじゃねえか。
|
+
| | ざわめく燐光
|
目を護るゴーグルを下げ、ランタンのスイッチを入れる。
パチパチと帯電する空気。
自分の知覚を大きく凌駕する1秒間が始まる。
雷光の赴くままに身を任せる。
散る紫電を纏う姿は最早残像に過ぎない。
電速。
死ねない身体を無理矢理に追従させた一撃。
必死必殺電光石火。
塰音から限真を譲り受けて半年、彼の戦いはそれに終始した。
超えるべきあの壁に出会うまで
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+
| | 名前
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鬼の夢を見た。
数ヶ月の間、泥を啜りながら戦い抜いたあの鬼の。
生きる。生きる。生きる。ただそれだけの事を考えていた。
そんな僕に、最大限の皮肉を篭めた呪いかけた、あの鬼の。
肩膝を抱えた格好で僕を見て、口の端を曲げていた。
小さく笑っているようにも見えた気がした。
なんでそんな顔をするのだろう。
定められた死に向かって迷い無く歩を進める僕が、滑稽なのか。
所詮は夢だ。
……奴は、最期に何を喋っていたっけ。
|
+
| | 夏の夕暮
|
この街に辿り着く少しだけ前。
旅すがら、路銀を求める事は多くあった、
手段としてはつまるところ「妖怪退治」だ。
とある集落に人を喰う妖怪が出るという。
人畜無害な姿で近づき、気付かぬ内に丸呑みにするという。
討伐の意を受けて暫くの後、夕暮れの岸辺で少女と出会った。
夏影が何処か不思議な雰囲気を際立たせる。
どちらともなく始まる話。
これまでの事、今の事、これからの事。
旅の事、家族の事、夢の事、境遇の事。
陽が沈み切る頃、少女は自ら正体を明かした。
声無き激昂と共に、半ば反射的に放たれる少年の剣閃をいとも簡単に止めてみせた。
いくつも感情が混ざって吐き出しそうな顔で呆然と立ち尽くす彼に悲しそうに笑うと、
「 」
とても優しいことば。それだけを残して彼女は海の中へ消えた。
数日後、顔の無い少女の体躯の妖怪の死体が海岸に打ち上げられた。
|
+
| | 黄金の秋
|
「冒険者」の肩書き。
鬼の青年がこの地を再び訪れる事の因果を閻魔は笑うだろうか。
数多の運命が交錯に交錯を重ねるこの街は。果たして。
最初に少年を待っていたのは、街が持つ歴史の片鱗だった。
鬼が人であった最期の時間、過ごした記憶がそこにある。
囲炉裏を構えた古ぼけた家。
街並みから少し外れた其処。
人が鬼と化した時、知己から隠れる為に暮らした戒めの家。
ここを選んだのは特に深い理由もなければ、語る事もない。
それも含めて、ただの因果。
|
+
| | 冬の月光
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鬼の青年は、実の所自分のかつての望みを重ねていた。
見届けるなんて透徹した目的ではない。
呪いを打破するべきだ、この少年は生きねばならない。
巡りに巡った果て、この街を選んだのもその為だ。
角を折ったのは、その利己を追う事への戒めでもあったのか。
ともあれ、彼はあらゆる世界の知識の集積するこの街へ、望みを掛けた。
謎を解く鍵の一つを、自分が持っている事に気付くのは少しだけ先の話。
寒風に冷やされた徳利を、月明かりへと伸ばす。
一つだけ、あと一つだけ壁を越えたならば、薄氷の望みが繋がる。
呪いに屈した彼には為しえない事。生きたいという望みの喚起。
願い、月に献杯をする。
|
+
| | 桜
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真新しい学生服に袖を通し、桜並木を駆ける。
今を精一杯生きる事、彼の年頃の少年少女なら誰でも願う事。
但し、その根にあるものは真逆。
それでもひたむきに生きる限り、この学園は幾多の出会いと数多の数奇をもたらすだろう。
結論としてそれは現実の物になるのだが、それは彼の口から何れ語られる事だろう。
実直に、愚直に、無数の戸惑いと共に。桜弁の幕は上がる。
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コメアウ †