黄金暦189年 ９月 † 
少しシンパシーを感じる、綺麗な鳥類の娘と会う
綺麗さに思わずぽぅっと見とれていたら、モデルだと聞いて「道理で」と思ったわ
バレエをしていることを伝えたら「かぁっくいぃ！お嬢様なんだねー！」と、褒められて……何だか嬉しかったわ
「選ばれた者だけが立てる領域なんだね」……と言われて 苦笑しかできなかったけれど……
屈託のない笑みや その人懐こい可愛らしいところが魅力的な子だったわね……
黄金暦189年 10月 †
突然、足音も気配もないのに部屋の扉が開いたかと思ったら 黒服の男性が胸元に手を忍ばせているのを見た時は……本当に、私死ぬかと思ったわ……
黒服の男が、私を追う筈なんて……無い――…… 無いのよ……
裏社会に生きている方だからかしら？ 入って来た時に警戒したのは
冒険者希望の方だから、もしかしたらまた顔を合わせるかもしれないわね
黄金暦189年 11月 †
実に退屈な冒険だったわね……冷めてしまいそう
……忘れてしまいそうになるけれど バレエの練習だけをしていればいいような身分ではないのだから
楽しくないなんて稚拙な思考で辞めるわけにはいかない
退屈は無事で居られるという幸せであることを忘れてはいけないのに……どうして人は誓いを立てた後でも簡単に堕落できるのだろうか
忘れてはいけないわ。此処で得られる幸せ、初心を……
（その後は、書いては消してを繰り返したのか その先だけ紙が毛羽立ち、ぐしゃぐしゃに潰されて読めなくなっている）
黄金暦189年 12月 †
久々に、楽しいと思える冒険で嬉しかったわ。先月は特に退屈だったせいもあって不安だったから
もう長らく、フィヨルド家の子と冒険を重ねていて、アイリスさんとリカルド君は知っていたけれど
三つ子だと聞いていたのにもう一人とはなかなか組まないからどんな子かと思ったら
ヴィーラと言うお兄さんと同行することになったわ
2人とよく似ているから一度で分かったけれど…… 明日の冒険は賑やかになりそうね
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