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二人目の賢者曰く── 『いずれ孵るこの仔は強く優しく育つであろう。 私に呪いは解けぬが、その苦痛に始まりと終わりを与え、 永く苛まれ続けぬようにしよう』
三人目の賢者曰く── 『いずれ孵るこの仔は聡明に、気高く育つであろう。 我に呪いは解けぬが、代償となる苦痛に刃とし、 体外へ捨てることで 呪いの力が削られ続けるようにしよう』
──斯くして呪われし竜の姫君は死を免れ、 血と刃に塗れた生を歩むこととなったのです。
昔々とある国に、魔術や呪術を極め、そればかりか武芸にまで秀でた魔女が住んでいました。 ある日魔女は、魔物に襲われ荒れ果てた村で一人の赤子を見つけました。 魔女にとって赤子の去就など興味の無い事でしたが、その時は不思議な気まぐれを起こしてその子を拾い、育てる事にしました。 生まれて間もない赤子の世話は大変、などというような程度の話ではありません。 ですがそれでも赤子はすくすくと育ち、魔女の心は日々、無上の喜びを味わう事となったのです。 そう、魔女は初めて愛を知ったのでした。
それから時は経ち……赤子は青年となり、魔女の技を継いだ立派な武芸者となりました。 若者の常として、青年は親元を離れようとし、魔女もそれを一旦は引き留めようとします。 ですが、才有る者の道を閉ざしてしまう事を厭って、涙を飲んで送り出したのでした。
青年が都へ出ると、すぐさま王の目に留まり、戦士として仕官する事となりました。 折しも時は群雄割拠の時代。 ある日、とある国を治めるドラゴンの王を恐れたかの王は、青年に暗殺を命じました。 実力はあれどもまだ若く、売れる名もないが篤い忠義心だけは持っていた青年。 彼は、一も二もなくその命に従ったのです。 それを知った魔女は、王に猛抗議しましたが全く聞き入れて貰えませんでした。
そこで魔女は仕方なく、青年の旅に同道する事にしたのです……
「知ってる?昔ウチの王様に挑んで負けた剣士と魔女が居るんだけどさ」 『知ってる知ってる。王立墓地の外れにある墓の、だろ?』
「そうそうそれそれ。あのお墓の近くでさ、時々男の霊が出るって噂なんだよ」 『あー、聞いた事ある。なんか誰か探してるらしいって』
「そう、でさ、女の──魔女の方は出るってのは聞いたこと無いよな?」 『あー、確かに。ってことは探してんのは魔女なのかね?』
「かもなー。なんか恋人同士だったとかって聞いたよ」 『親子だって話もあるぜ?』
「ほーん。ま、どっちにせよ……見つけられると良いのにな」 『だなー』
──御足労どうも。あなたが当日あの区画のご担当の方で間違いないですね? 「はい。王立墓地の東側担当です」
──有難う御座います。それで──何を見たのですか? 「はい。あれは例の、剣士と魔女の墓の前でした。鎧を着た男と、魔女っぽい服の女の霊が抱き合っていました」
──霊、と思ったのはなぜですか? 「そりゃあ、向こう側が透けて見えていたら、誰だってそう思うでしょう?」
──失礼、愚問でした。それでその男女の霊は抱き合った後どうなりましたか? 「暫く見つめ合って……すぅっと消えましたよ。なんだか幸せそうで、目頭が熱くなりましたねぇ」
──そうでしたか。ご協力有難う御座いました。 「いえいえ、これくらいのことでしたら。あ!そうだ。狐がお備え食い荒らすんで看板もっと大きく……」
「なあなあ聞いた?」 『聞いた聞いた。男の霊、出なくなったんだってな』
「警備員さんに聞いたんだけどさ、会えたんだって」 『マジ?えー、本当ならすっげぇなー……ン百年越しかよ』
「な。良かったよ……化けて出るほどの未練が解消されたんだろうし」 『女の方、なんで今の今まで出てこなかったんだろうなー?』
「なんでだろうな。なんか……囚われてたとか?」 『幽霊が?何に囚われるんだよ』
「さあ?怨みとか……なんかそんな奴?」 『ン百年も何恨むんだか……当人にしか分かんねぇか』
「だろうな。俺だったらそんなに怨みの念続かねぇわー」 『お前そんなんだからフラレんだろ。なんか……情熱が足りない?とか言われて』
「ううう、うっせぇよ!なんでそんな話知ってんだよ!?」 『お前がフラれた当日酔ってだな……』
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