色んな所をうろうろ †
雲野彼方は星を掴みたい †
地球征服…なんていう話ではなく、空に輝く星のこと。
荒唐無稽な願いではあるが、リアリストな面も持ち合わせる彼方は現実的に可能な方法として
目下個人所有での人工衛星…すなわち宇宙ステーションを持つことを目指している。
そのため、多額の資金を必要としており、手段として自身の持つ異能を生かした怪異狩りを行っている。
怪異情報サイト『BloodFrontNetwork』 †
某市土着の歴史ある怪異狩りが運営していると噂される怪異を狩る者たちへのハンターサイト。
怪異狩りやその協力者でなくとも閲覧が可能ではあるが、情報は制限される。
依頼として討伐依頼や調査依頼が日々舞い込んできており、それらをこなすことで依頼者から報酬が支払われる。
彼方は以前からこのサイトをメインの情報源、活動場所として使っている。
※//適当に使ってもらって構いません
異能『インセイン・ディレクション/狂い交じる平行線』 †
幼い頃発現した様々な物体、事象の方向性、その強弱を操作する、ある種のベクトル操作能力。
例えば彼方は常時パチンコ玉を持ち歩いているが、パチンコ玉に強い横方向のベクトルを与え撃ち出すことで攻撃する。
また、自身にかかる重力のベクトルを操作することによって、空中に浮かび飛ぶこともできる。
対象が体に近いほど強くベクトル干渉を行うことができ、離れるにつれて干渉力は弱まる。
操作することが出来る対象は、彼方が感知し認識できるものに限られる。
単純に五感で感じられるものはなおのこと、形而上の事象に関してもある程度は認識することができる。
対象への観測精度は操作難易度や、その強弱に影響するため、感知、探査能力としても常日頃から鍛えている。
身体能力そのものは一般人よりは優れている程度。頑強な肉体を持つ亜人と腕力比べをすれば普通に負ける。
- 『インセイン・ディレクション・ビヨンド/崩れ去る果て無き境界線』
一人では辿り着けない、平行線の向こう側。万理を我が物として観測し、干渉し得る可能性を秘めている。
髪の毛が銀色にも近い透明な髪色となり、瞳が七色の輝きを放つようになるが、
人の身には余る力のため、この領域まで辿り着いた彼方の身への反動は大きく、殆ど瀕死になる。
種種雑多 †
・若干のタレ目、右目の下に泣きぼくろ
・体は常人としてはそれなりに鍛えられているが、細身で若干頼りないシルエット。
・髪の毛は妹が適当にカットしてくれているのを適当にセットしているのでちょっとぼさぼさ
・宮城県水白市出身。自宅は吉峰区のはずれ。両親は健在であり、妹が居る。
・父親は、東京に本社のある五菱複合重工業の支社務め。そこそこ偉いらしい。子供に甘く、甘やかしてたまに妻に怒られている。
・母親は、過去にどこかの国で軍人をやっていたらしい元軍人。日本に来て父親と出会い引退。たまに怪異を狩るパートをしている。子供に厳しい。
・妹は中学二年生。手芸が趣味。自身が作った人形を自由に操る異能持ち。兄を尻に敷き気味。
・日々の足は原付。ヤマハのビーノを乗り回している。りんちゃんモデルに似てるパープルシアン色のモデル。祇にメンテしてもらった。
・急ぐときは飛んだりもするけどお巡りさんに怒られるので余りやらない
・好物はカレー。大体なんでもカレーなら好きだが、骨付きチキンカレーが特に好き。タンドリーチキンじゃ。
・得意科目はどちらかといえば理数系…だが成績は中の下といったところ。英語は苦手。
・怪異狩りをやってることは特に隠してない、というか中学からやってるので知ってる人は知っている
・自室においてある睦月から貰ったギアダリンガー。たまーに一人で遊んでる、とか
・部屋に掛けられている八雲が選んだ白地に緑が映えるヤシの木アロハと、睦月に選んでもらったマケドニア柄アロハ
・自室のタンスの上にトナカイコスプレをした彼方人形が飾られている。たまに角度を変えて置いてみたり(右側のみ)
・天文部とかあるッスか?ない?そう…。
◆大体常備してる系の装備品。
概ねタクティカルベルトに下げた汎用ポーチとかに入れている
・パチンコ玉
・特殊鋼のナックルダスター
・特殊鋼仕込み戦闘靴のブーツ
・特殊鋼スローイングダガー
・重合金属繊維製のワイヤーロープ
・ポーチの一つには『滝淵くくり』の名が崩し文字でサインされている
・ブーツの横にマハモティさんから貰った宇宙シールが貼られている
・八雲より買った櫻岡大神宮のお守り「勝守」低級怪異くらいなら寄せ付けない加護あり
◆喫茶店『HiemsAdamas』
怪異狩りの仕事をする際に、情報交換、作戦会議もろもろに使っていた喫茶店。
喫茶店経営は裏の顔を隠すためのカモフラージュだが、割と気合が入ってるのでコーヒーも美味しい。
ある雑居ビルの一階にあり、内装は落ち着いた雰囲気の純喫茶。BGMは掛けられてたり掛けられてなかったり。
彼方はある一件以来、この喫茶店に訪れ、その頃から店長を始め従業員に気に入られている。
・店長、志倉。少し長い総白髪の髪を後ろで纏めた、執事めいた雰囲気を持つ老紳士。コーヒーを淹れるのが上手い。
・ウェイター、狭間。髪をセンターパートに、顎髭を扇形に整えた三十代前半の男性。モデルっぽいスリム体型。
・ウェイター、長谷川。腰まで伸びた亜麻色の髪をした、二十代中盤の女性。ぼんきゅぼん。
・コック、島谷。短いコック帽を被った太めの男性。四十歳前後。喫茶店の料理全般担当。
◆株式会社『Auxilium』
社名は、援助、支援、協力、援軍などの意。
主に怪異退治をメインとし、異能犯罪や術の悪用などの超常現象による困り事を解決する事を業務とした会社。
実際の業務内容は武力による解決だけではなく、調査、相談、メンタルケアなど多岐にわたる。
立ち上げ時の社員構成として、取締役社長、雲野彼方、社員は間宮京子、滝淵くくりの三名。
喫茶店「HiemsAdamas」のある雑居ビル最上階フロアが現在の本社。
| 令和四年(西暦2022年) —月 第—週 | (西暦 2024-12-27) | NEXT :--(-月) | 告知 ・企画終了になります。お疲れ様でした。 ・企画期間終了後、いわゆるロスタイムの過ごし方は自由です。 ・メタお疲れさま会終了しました!
個人イベント日程 (専用ページがあるもののみ) ・全日程終了しました。お疲れ様でした! |
挿話 †
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| | はるか、かなたへ
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あの星を、掴みたいと思った。
水白川下流で行われる花火大会。小学校は夏休みであり、父親に手を引かれて遊びに来た。
母親は仕事で遅れて、妹と一緒に後から来るらしい。
少しチャンスだと思った。母親は厳しいが、父親は子供の自分たちに割と甘い。
おねだりすればなんでも…とは行かずとも、屋台の食べ物くらいなら買ってくれるはずだ。
初めて見る花火に心躍らせながら、川べりの会場へ。近づけばどんどんと人影が増え、それに比例するように屋台も増える。
普段どおりの格好をした人たちの中に、和服を来た人たちも多い。その事がお祭りの非日常感を思わせて、心が浮き立つ。
その屋台の一つに、カレー焼きそば、なんてのを見つける。すかさずお父さんの手を引いて、
「この前のテストで百点取ったんだからいいでしょ?」
などと言ってそれをねだった。たぶんこのひと押しが無くても買ってくれただろうが、念には念をだ。
このことわざも、前のテストに出たっけ。昨日は体育の授業で百メートル走を一番で走れたし、それで褒めてももらった。
自分で言うのもなんだけど、僕は結構すごいと思う。このくらいのご褒美は当然だと思えるくらいには。
そうして河川敷に着いて、既に人がいっぱい居る中の隙間を探し、
端っこの方にあったスペースに滑り込むようにしてシートを敷いて父親と座る。
わくわくとしながらカレー焼きそばを食べて待っていると…花火が、あがった。
初めて見る花火は綺麗で、大きな音は迫力があって、とても楽しかった。
会場へ放送が流れ、花火の解説をしてくれる。いわゆる普通の打ち上げ花火の印象通りの、菊の花が開いたような菊花火。
菊花火と同じように丸く描かれるが、線を描かず点で光り、牡丹のような花を咲かせる牡丹花火。
上の方で点火し、何十本もの太めの煌めく線で弧を描き光が落ちる、柳花火。
不思議だった。打ち上げられるまでは見えないのに、突然、光が生まれキレイな模様を描き出す。
その見えない間に、どんな方向で、どんな力が加わってそんな模様になるのか、気になった。
次々と打ち上げられていく花火を焼きそばを食べるのも忘れて見ていると、変な形の花火があがった。
放送の解説によれば、それは型物、と呼ばれる種類の光の線や点で何かしらの絵を描く花火らしい。
最初のはハート…だったらしい。が、僕達の座っていた位置からは横から殴られたみたいに歪んでとてもそうは見えなかった。
その次の花火は、蝶…ということだったが、それも僕らの位置からでは小さめの花束くらいにしか見えなかった。
いやだな、と思った。折角の花火なのに。初めての花火なのに。
そう思ったら、僕は食べかけの焼きそばを置いてシートから立ち上がって、走り出していた。
理屈はわかる。僕は頭がいいんだ。これはつまり、空に描かれる模様と見る人の角度が合ってないからこうなるんだ。
なら、見る人である僕の方の角度を合わせればいい、と、花火を見上げる人たちの間をすり抜けて走っていく。
その間にも型物花火は上がっていく。今度は魚らしい。まだ全然そんな風に見えない。
はあはあと息を切らせて走る。一番だったんだ。その僕が走ればいける。そんなことを思いながら走る。
少し間を開けて放送解説が、これから今回の花火大会の目玉である一連の連続した型物花火を打ち上げると放送した。
内容は、僕の好きな戦隊シリーズの型物。それを聞いて、焦る。見たい。絶対見たい。
息せき切って走る。まずは黄色の光が広がった。恐らくはヒーローのマスクを描いたように見えるそれは、だいぶ線がガタガタだ、
けど遠くのお客さんの歓声を聞くに、見える角度からは綺麗に見えているようだ。くやしい。
続けて、ピンク、ブルー、グリーン、と次々と戦隊の隊員のマスクを描いた花火があがる、少しづつ綺麗に見えてきたけども、まだ歪んでいる。
戦隊のリーダー、レッドの花火が上がる頃には…もう限界で、肺は爆発しそうで、心臓は飛び出してしまうんじゃないかと思うぐらい跳ね回っていた。
汗が流れ出す、足が止まる。ぜえぜえと喘ぐ息で、赤い光がマスクを形取り夜空に広がる。…歪んでる。
くやしかった。こんなに走ったのに。一番の僕が走ったのにどうして間に合わないんだ。
次は連作の大目玉、戦隊が悪い敵をやっつける時の巨大ロボの花火があがるはずだ。それは、それだけはどうしても見たかった。
どん、と一際大きな発射音が響く。今までのものより明らかに大きな花火玉を上げたのだろう。破裂まではあと数秒。
夜空を睨みつけ、熱湯で茹だっているような頭の中で、悔しさと焦りと、苛立ちを綯い交ぜにした感情を煮立たせて、思った。
”お前がこっちを向け”
と。
その瞬間、頭の中がとてつもなくスッキリした感じがした。呼吸は一瞬で整い、ドラムみたいに打ち鳴らされていた心臓は静かに。
そうして、花火は炸裂した。なぜだか花火が広がっていくのがゆっくりと分かった。そして、それがやっぱり自分の位置からは歪んでいるのも。
手を伸ばし、伸ばした手に力を…筋肉の力とは何かちがう感じの力を込めた。出来ると思った。
そうすれば言葉に表せないような感覚と共に……大きな花火の全体が一気に、ぐい、とこっちを向いた。
嬉しかった。ようやく綺麗な崩れていない花火が見れた。それは破裂したのと同じくらいゆっくりと消えていって、確かな満足感を得た。
もう走る必要はない。他の花火も全部全部、こっちへ向けてやる。そう思って次の花火を待ったものの、一向に上がってこない。
放送が聞こえる。いや、放送席にいた人の、覚えのある声が、直接聞こえる気がする。違う、聞こえるんだ。
今のなに?なんかおかしくないですか?これ、続けていいんですか?と。
あー、もう、と思って、直接花火を打ち上げている人たちのところへ行くことにした。今なら、出来る。そう不思議と確信できた。
河川敷から発射地点まで、まっすぐ歩く。もちろん、直ぐに川へ突き当たるが、べつにいい。止めればいいだけの話だ。
手を差し伸べ大きな川へ向ける。そうすれば、川の流れが止まった。そして止まっていない方の川はそのまま流れていき地面が露出した。
周囲の人たちが、びっくりして逃げていった。何に驚いてるんだろう。こんなの、出来て当然じゃないか。
そうして川底をてくてくと歩いていくも、途中で歩くのが面倒くさくなった。だから川底から、飛んだ。
自分を地面に縛り付ける力の存在が、肌に感じる風以上によく分かった。知ってる。この間習った。これ重力って言うんだ。
すとん、と中洲に降りれば、そこに半被を着た花火職人の人たちが居るのが分かった。首を傾げている。
「ねぇ、続き打ち上げてよ」
そう後ろから声をかければ、ぎょ、と職人さんたちがこっちを向く。そして驚愕の視線を向けて言う。何だお前は、と。
なんでそんなに驚いてるんだろう?そう思って、自分で自分を見ると、なんとなく分かった。
僕の髪は色の抜けた透明なものとなり、風もないのになびいている。僕の瞳は黒ではなく七色に輝き、常にその煌めきを変えている。
口を膨らませて、カッコいいじゃんか、こんなんでビビるなよ、って思ったけど、この人達が花火をあげてくれないんじゃどうしようもない。
つまんないな、とため息をついて、それじゃどうしようか、と考えてふと…花火のない、空を見上げた。
気づけば…星空は、とても綺麗だった。
さっきまでの自分とは違う眼界。満天の星空は昼間にも増して煌々と明るく輝き、煌めいている。
ちまちまとした花火なんて目じゃない。肉体的な瞳によるものではない視界を更に広く。更に遠く。更に微細に。
光輝は脳裏を埋め尽くし、燦然と胸の内が静かに光を放つそれで満たされていく。なんて綺麗なんだ。
そして南の空に三つ、明るい星。三角形を形作るその三つの点で、一際大きく、太陽よりも強く輝いて見える、星。
ふわりと、浮かんだ。あそこに、届くと思った。今の自分なら、どこまでも行けると。
力を込める。自分を地面に縛り付ける力を引き千切り、反転させて、強烈に増幅させる。
何かを突き破ったような反動を感じた。空気の壁って言うんだっけ?
凄まじい勢いで上昇しつつも、地上の様子を背中で観察すれば、職人さんたちが倒れて、打ち上げ花火の筒も吹っ飛んでた。
ま、いいか。もうどうでもいい。今の僕ならなんでも出来る。どうにだってなる。
みるみると高度を上げていけば、ざわめく会場のお客さんたちの声も遥か遠く。水白市が一望できた。
手のひらに収まるようなそれを見て、なんか小さいな、と思った。こんな小さなモノよりも、と、また空を見上げた。
今は輝く丸にしか見えないけれども、あれはもっともっと大きいはずだ。
目指すは直上。大きく輝く、冷たい色の星。
世界を感じる力を強めれば、それに比例するように今まで見えなかったものが見え、触れられなかったものに触れられる。
まるで世界は万華鏡のように。普通のものと、そうじゃないもの。折り重なって、挟み込まれて、色んなものがごちゃまぜになっているのが分かる。
楽しい。全てが分かったような気分、あらゆる事がこの手の内にあるような気分。
これを皆に教えてあげれば、のーべる賞?だったかももらえちゃうんじゃないかな、なんて思いくすくす笑う。
ごう、と僕の横を大きな飛行機が通り過ぎた。ジャンボジェットだっけな。あんな大きなものに乗らなきゃいけないなんて大変だ。
僕は僕一人で、ここまでこれるのにね。そう思って笑みを深めて、更に、空へ。
ちょっと寒くなってきた。手をこすり合わせるような感覚で、辺りの空気をがしゃがしゃと混ぜて、温める。
もう雲は足元だ。あの上に乗って歩いたら楽しいだろうな、と思うも今は星のことが頭から離れない。
横を見れば地平線は曲がっていて、地球は丸いんだ、ってことがよく分かった。これも前に、習ったな。
少し息がしづらい。疲れたのだろうか。ぐ、と歯を食いしばって、頑張る。
この辺りまで来ると、頭上が暗く、黒く見える。これが宇宙ってやつだ、と思って嬉しくなる。
でも、手が冷たい。足が凍える。空気を混ぜて温めようとしても上手くいかない。
それでも、空へ。なんでも出来るんだ。どこへでも行けるはずなんだ。
更に勢いをつけ上昇しようとするけど、うまく力が入らない。
もう殆ど視界は真っ黒、でも地上に居た頃よりも星空はもっともっと綺麗で、その光に向かって飛んでいくことは止められない。
息ができない。連れてきた空気は殆どない。辺りの力を動かそうとするも、その力自体が薄い。
それでも、それでも。
一向に星は大きくならない、これだけ飛んでも、輝きこそ地上より強く見えるけど、その大きさは変わらないままだ。
くら、と機動がブレた。宇宙の暗さとは別に、地球自体も霞んで暗く見える。心の中で、危ないのでは、と冷静な僕がつぶやく。
無視して、ただ、上を。空を。速度は見る影もなく落ち、もはや歩いているのと同じくらいでしか進めなくとも。
意識が薄れゆく中で、強く手を伸ばす。出来るだけ遠くに、出来るだけ、彼方へ。
違う。僕は、出来るはずなんだ。すごいんだ。あんな星くらい掴め
目が覚めた。何かよく分からない場所に寝かされている。
辺りはトラックの後ろの箱?のような金属の壁になっていて、
浮遊感とごうごうと空気が流れる音が聞こえるので飛行機かな、とぼんやり思った。
馬鹿、と絞り出すような声が隣から聞こえる。お母さんの声だった。
そちらをゆっくり向けば、今まで見たこともないような顔をしていた。
ごめん、と思い、そして分かった。ああ、僕は届かなかったんだ、と。
星のような涙が一つ、こぼれ落ちた。
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天体のささめき †
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